(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140143
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】粉末形態の物質用の吸入器
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-501037(P2014-501037)
(86)(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公表番号】特表2014-513608(P2014-513608A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】SE2012000039
(87)【国際公開番号】WO2012128692
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】1130016-7
(32)【優先日】2011年3月21日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】1130104-1
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】1130122-3
(32)【優先日】2011年12月18日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】513237489
【氏名又は名称】シムプリフィード ソリューションズ スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーベリ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】カタオカ、ユタカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘデガールド − ブロク、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フランソン、ステファル
(72)【発明者】
【氏名】ライテルホルム、ウルフ
【審査官】
和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−516251(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0180894(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0078022(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/152477(WO,A2)
【文献】
国際公開第1999/036116(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01172122(EP,A1)
【文献】
国際公開第2000/045879(WO,A1)
【文献】
国際公開第2003/090811(WO,A2)
【文献】
米国特許第04860740(US,A)
【文献】
国際公開第2010/042035(WO,A1)
【文献】
米国特許第06752148(US,B1)
【文献】
国際公開第2009/092593(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物などの事前に投入された量の粉状物質の保管及び放出が意図される投与リング(2、38、65)を設けた吸入デバイスであって、前記吸入デバイスは、事前に投入された粉状物質のそれぞれの投与量を保管するための、前記投与リング(2、38、65)の表面に配向している複数の凹部又は粉末チャンバ(1、37、66)と、一度に1回分の投与量を定量吐出するための、空気チャネル(7、43、43a、67)とを含み、前進機構(5、41)が、前記投与リング(2、38、65)を回転させ、前記空気チャネル(7、43、43a、67)の中に粉末チャンバ(1、37、66)を一度に1つずつ露出させるように配置されている、吸入デバイスにおいて、
複数投与量の粉末をそれぞれの前記粉末チャンバ(1、37、66)に保持するために、少なくとも1つのシール(35)が、前記粉末チャンバ(1、37、66)を互いに対して封止するように配置され、
前記シール(35)が、前記投与リング(2、38、65)と共に回転するように配置され、
前記シール(35)が、少なくとも1つの一体化された事前に穿孔された開封可能な要素(36)と共に配置され、
前記空気チャネル(7、43、43a、67)が、空気の流れの方向に見たときに増大する断面を有する状態で配置され、即ち、第1の領域(B1)の断面積が、第2の領域(B2)の断面積よりも小さくなっており、前記第1の領域(B1)の後に、前記空気チャネル(43a)は前記第2の領域(B2)まで拡がり、前記第1の領域(B1)から前記第2の領域(B2)の範囲で前記投与リング(38)に低圧を生成させ、
空気が前記空気チャネル内を意図される方向に流れるとき、前記空気チャネル(7、43、43a、67)の中に位置決めされた前記開封可能な要素(36)が、ベンチュリ効果によって引き起こされる低圧を用いることによって自動的に開封するように配置され、前記粉末チャンバ(1、37、66)の内容物を前記空気チャネル(7、43、43a、67)に露出させる、
ことを特徴とする吸入デバイス。
【請求項2】
前記開封可能な要素(36)が、フラップ又は蓋の形態をしていることを特徴とする、請求項1に記載の吸入デバイス。
【請求項3】
前記空気チャネル(7、43、43a、67)が、前記投与リング(2、38、65)の回転方向を実質的に横切るように配向されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸入デバイス。
【請求項4】
前進アーム(13、48)の一端には、前記前進機構(5、41)の作動時に、前記投与リング(2、38、65)に配置された嵌め歯リング(14、49)に係合する嵌め歯形成セグメント(12、47)が設けられ、送り出されるたびに1回分の投与量のみ前進させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項5】
前記前進アーム(13、48)及び/又はその嵌め歯形成セグメント(12、47)が、逆方向送り時に、前記投与リング(2、38、65)の前記嵌め歯リング(14、49)から跳ね返されるように配置されることを特徴とする、請求項4に記載の吸入デバイス。
【請求項6】
前記投与リング(2、38、65)が、大きい嵌め歯歯車として配置され、前記前進アーム(13、48)には、小さい嵌め歯歯車のセグメントが設けられ、歯数比は、粉末チャンバ(1、37、66)が跳ね上げ運動の実質的に半分で定量吐出位置に移動するように設けられ、
前記前進アーム(13、48)の前記嵌め歯セグメントは、前記跳ね上げ位置で、前記投与リング(2、38、65)の前記嵌め歯リングからなくなり、前記投与リング(2、38、65)の回転が停止する
ことを特徴とする、請求項4に記載の吸入デバイス。
【請求項7】
前記投与リング(2、38、65)が、吸入器ハウジング(3、4、39、40)の少なくとも一部を形成するように配置されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項8】
前記投与リング(2、38、65)と隣接する回転固定ハウジング(3、39)との間の接触領域内にある前記シール(35)が、前記投与リング(2、38、65)に一体化されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【請求項9】
前記シール(35)には、前記投与リング(2、38、65)内の粉末チャンバ(1、37、66)の数に対応する数の開封可能な要素(36)が設けられることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の吸入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、粉状物質用の複数回投与型吸入デバイスに関する。詳細には本発明は、使用者自身の呼吸する能力によって動力が供給される、いわゆる複数回投与型吸入器(DPI:Dry Powder Inhaler、乾燥粉末吸入器)に言及する。複数回投与型吸入器は、喘息によって引き起こされた病気又は正常な呼吸を妨げるその他の軽い慢性病を、緩和しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
今日の市場には、粉状物質用のいくつかの吸入器があり、そのほとんどは、いわゆる複数回投与型吸入器である。現在市場に出ているそれらは比較的大きく、実際に用いるには扱い難く、洋服/ハンドバッグに入れて保管すること、及び、それらを取り扱うことが、使用者にはあまり容易ではないことを意味する。別の問題は、それらの吸入器が必ずしも正確な意図される投与量を送達するわけではないこと、及び新たな投与量が意図せずに順方向送りされる可能性があることであり−これは使用者が、誤って2倍又はさらにそれ以上の投与量を受け取る可能性があることを意味する。投与量が、吸入される位置に投入された場合、使用者はうっかり空気を複数回投与型吸入器に吹き込む可能性があり、したがって水分が蓄積されて粉末化物質を1つに固める可能性がある。さらに、公知の複数回投与型吸入器は多くの部品からなり、作製するのを複雑にし、したがって製造に費用がかかり、結果的に最終使用者が購入するには高価なものになる。多数の構成要素は、交絡因子の数も増加させる。所与の品質レベルでは、可能性あるエラーの数が、原則として部品の数と共に直線的に増加する。また吸入器は、使用者の快適さを増大させるため、多くの投与量、例えば60回分以上の投与量を含有することが望まれる。
【0003】
これらの問題を解決する複数回投与型吸入器を構成するために、多くの試みがなされてきた。下記の吸入器に関するUS6273085、US7275538B2、US6871647、US7395821B2、及びUS2009205657A1は、そのような試みの実例である。欠点は、少なくとも9個以上の部品を有すること、及びそのいくつかは、吸入される粉状物質を閉じ込めた封入体を形成することである。物質を露出させるために、封入体を穿孔しなければならず、粉状物質を自由に吸入できるようにするために、シールを巻き上げ、穿孔し、又はこれらに類似したことを行わなければならない。この封入体、より正確に言えばシールを破るのに必要な機構は、いくつかの個別の部品を必要とする極めて重要な因子であり、それが複数回投与型吸入器を比較的大きくし且つ扱い難くする。これらの問題は、本発明によって解決される。
【0004】
US6273085は、個別の粉末カートリッジを備えた吸入器を開示する。カートリッジは、粉末チャンバを構成する軸線方向のボアを有するディスクを含む。上部及び底部には、ディスクの穴を密閉するシールがあり、したがって粉末チャンバは封止される。上方及び下方スプリング・ワッシャは、封止圧力を生成する。したがって、粉末チャンバを収容するよう機能するためだけに、5つの部品が使用される。本発明では、同じ機能のために2つの部品が使用され、即ち投与リング及び上方ハウジング部分が使用される。本発明では、上方ハウジング部分が、密閉粉末チャンバを形成するために2つの部品の一方を構成する。本発明は、従来の公知の特許の5つの部品に比べ、2つの部品を使用する。より少ない部品では、より低い製造コスト、より低いアセンブリ・コスト、及びより少ない交絡因子になる。
【0005】
US7275538B2は、シリンダの形状の粉末チャンバを備えた吸入器を開示し、これは、チャンバの内容物を露出させるために、したがってその内容物を吸入可能にするために、一度に1つのチャンバを突き刺すよう針を備えた穿孔デバイスを使用するディスク状に逐次配置される。各チャンバは1つずつ前進し、その後、ディスクの内部から穿孔される。穿孔の配置は、設計高さが空気チャネルの高さの約11倍程に高いことを意味する。粉末は、両方のチャンバを貫通する針の表面に粘着するようになる可能性があり、粉末は、突き通されたときに、粉末チャンバ内で内側に折られた突き通された箔の部品の下又は背後で空気力学的影部となる可能性もあり、箔は粉末を汚染する可能性もある。チャンバには粉末が充填され、次いでディスクの内部と外部の両方で封止されることになるので、この解決策は生産を妨げる。部品の数は、少なくとも9個である。
【0006】
US6871647は、本発明の3倍程に多い部品から構成されるデバイスについて記述する。チャンバから吸入されることになる投与量を露出させるために、封入体/テープを「巻き上げ」又は「引き剥がす」ことが必要である。またチャンバを開封するこの複雑な方法は、封入体のその部分も危険に曝し、粉末チャンバ内の物質と混合されることになり、したがって汚染される。吸入器は、本発明よりもかなり厚く、どこから見ても容積が大きく、したがってそのデザインは嵩張っており、したがって保管し管理するのがより厄介である。
【0007】
US7395821B2は、12個の部品から構成されるデバイスを開示し、薬剤と共にチャンバ上に配置されたカバー・テープが穿孔され、次いで突き通すのに使用した「針」を通して吸入される。したがって、吸入される物質の汚染は危険な状態にあり、粉末チャンバ内の粉状物質も「空気力学的影部」になる可能性があり、即ち、粉末は封止されたチャンバを突き通した針に捕捉されるようになり且つ吸入中にその外側になる可能性もあるので、利用可能な投与量の全てが吸入されるわけではない。吸入時の投与量の順方向送り及び吸入器の管理は、2本の手も必要とする。これは、新たな投与量を先に送るために上部と下部を反対方向に回転させる必要があるからであり、吸入される物質が位置付けられたカバー封止に突き通すために、「ピン」が押圧される必要がある。この吸入器も、本発明よりもかなり厚く、どこから見てもその容積が大きく、したがってそのデザインが嵩張っており、したがって保管し管理するのがより厄介である。
【0008】
US2009205657A1は、本発明の2倍程多くの部品を収容し、それと共にテープが粉末チャンバを覆う場合には、使用者が粉状物質を吸入できるように引き出し、穿孔し、引き離さなければならない(「ブリスタ」)ようなデバイスについて記述する。したがってこのデザインでは、上述の汚染の危険性をもたらす、本発明とは完全に異なる封止の解決策を使用する。これらの封止の解決策は、吸入される粉末を露出させるのに必要な開封機構のために、空間を使用しなければならないことも意味する。これは即ち、本発明で使用される方法が、粉状物質を露出させるためにそのような機構の必要性をなくしているので、複数回投与型吸入器のサイズが本発明のサイズよりも必ず大きくなることを意味する。このよく知られた吸入器はかなり厚く且つそのサイズが大きく、したがってそのデザインが本発明よりも嵩張り、その結果、保管し管理するのがより厄介になる。
【0009】
US7571724は、2つの投薬リングが互いの上に配置されているデザインを開示する。ここで、投与量の回数及び吸入器の厚さも増加する場合には直径のサイズが問題になり、使用するのが難しくなり実用的ではなくなる。2つの投薬リングを重ね合わせたこの解決策は、大きく扱い難い吸入器を提供する。
【0010】
WO2009102273は、各粉末チャンバのそれぞれを開封するように作製された、開封型配置の容器を備えた投与リングを開示する。この解決策は、各粉末チャンバの投与量を露出させるのに使用される開封型配置に、主に言及する。記述される配置を備えた吸入器は、投与量の回数が60回分に近付き又はそれを超える投与量であるときに、そのサイズがかなり大きくなる。
【0011】
このようにUS7571724及びWO2009102273は、投与リングを使用する構造を示すが、吸入器のサイズ又は厚さが適度に且つ使用者が使い易いレベルで保持されるものである場合には、十分な回数分の投与量を保持しない。従来技術は、多数回分の投与量に適合することになりそれでも生産に費用がかからない、小さくて柔軟性があり共に運ぶのが容易な、投与リングを備えた吸入器を実証するいかなる解決策も示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US6273085
【特許文献2】US7275538B2
【特許文献3】US6871647
【特許文献4】US7395821B2
【特許文献5】US2009205657A1
【特許文献6】US7571724
【特許文献7】WO2009102273
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による複数回投与型吸入器は、粉末チャンバを含有する投与リングであって、粉末チャンバが実質的に円形に配向されて前記投与リング内に押し下げられる形をとる投与リングから構成される。粉状物質は、互いを封止するハウジングと投与リングとによって中に入れられる。ハウジングには、空気チャネルを含む局所的な隆起を暫定的に設けてもよい。前進機構としても同時に働くマウスピースの保護装置を開放すると、投与リングが一度に1ステップ回転し、粉末チャンバが空気チャネルの位置に送り出され、したがって、吸入器を通した吸入によって引き起こされた空気流に露出される。その後、粉状物質を、空気流に運び/添加することが可能である。
【0014】
投与リングとハウジングとの間のシールは、種々の方法で作製することができる。1つの実例は、二重射出成型による投与リングが、ハウジング層を封止することになる軟質表面層を備える。二重射出成型による別の解決策は、投与リングに押し付けられる側に軟質表面層を備えることである。一方向弁は、使用者が偶発的に吸入器内に空気を吹き込むのを防止する。
【0015】
本発明の目的は、可能な限り薄い複数回投与型吸入器を生成することである。その意図は、例えば胸ポケットに都合良く保管することができるように、複数回投与型吸入器の設計高さを削減することである。長さ及び幅は、クレジット・カード程度のサイズにまで削減され、これは複数回投与型吸入器が、公知の複数回投与型吸入器においては普通であるサイズよりも著しく小さくなること、及び厚さが約3分の1にしかならないことを意味する。削減された設計高さは、使用者にとって重要な特徴である。これは構築高さが、下方ハウジングの壁厚、投与リングの基部の壁厚、粉末チャンバの高さ、及び上方ハウジングの壁厚のおよその合計になるように、幾何学的形態を設計することによって得ることができる。この高さは、吸入器表面の少なくとも約95%に当てはまる。この独自の幾何学的形状は、よく知られた吸入器よりも著しく低い構築高さを可能にする点で、明らかな利点をもたらす。
【0016】
本発明のその他の目的は、生産を容易にするためにできる限り少ない部品で設計することであり、それによってデバイスを生産するのがより費用効果の高いものとなり、最終使用者に対して、今日市場で入手可能なものよりも非常に安価な複数回投与型吸入器の代替例が与えられる。部品は主に、投与リングを密閉する上方及び下方ハウジングと、前進機構と、一方向弁とからなり、合計で5つの構成要素から構成される。少ない部品と特定の構造により、複数回投与型吸入器は、組み立てるのが簡単になり且つ安価になる。生産の自動化は、全ての構成要素が同じ取付け方向にあるので、標準的なピッキング・ロボットを使用して実行することができる。したがって、製造中に手動操作の必要がない。
【0017】
本発明の別の目的は、複数回投与型吸入器の取扱いが、できる限り容易であり且つ使用者が使い易いものであり、それと同時に誤用の可能性が最小限に抑えられることである。例えばこの吸入器を胸ポケットから出し、親指で前進機構を押し、順方向送りを行い、吸入し、次いでこれを閉じて元の胸ポケットに戻すことができる。
【0018】
したがってこのデザインは、使用者がどのように保持していても、使用者が全投与量を確実に吸入しながら片方の手だけを使用して複数回投与型吸入器を管理することができるようにする。デバイスは、順方向送りを行い且つ吸入が終了したときに、不注意で倍の投与量を吸入する危険性もなくす。投与量が消費された後、複数回投与型吸入器は廃棄され又はリサイクルされる。
【0019】
変形例において、粉末チャンバは、ハウジング封止作用が前記粉末チャンバ上の空気チャネルでなくなることにより、開封される。投与リングを順方向送りするごとに、封止表面でのハウジングに対する投与リングの滑動運動によって、一度に1つのチャンバがその封止されたエンクロージャから剥き出しにされる。粉末チャンバはこのように、一方向に空気チャネルに向かって回転することにより、送出しが終了したときに露出する。この解決策は、箔を穿刺し、破いて開き、ゴム・シールを持ち上げ、又は封止キャップを持ち上げるデバイスの必要性をなくす。粉末チャンバの露出はこの独自の方法で行われるので、構築高さ及び部品の数を最小限に削減しながら、安全性及び良好な有用性が維持される。このデザインは、粉末の汚染の危険性もなくし、薬剤の一部分が、穴が開けられた密閉箔の部品の背後の空気力学的影部になるということをなくす。
【0020】
したがって開示された複数回投与型吸入器は、公知の複数回投与型吸入器よりも実質的に小さく、とりわけ薄い。本発明は、公知の複数回投与型吸入器よりも実施的に少ない部品を含み、安全性を犠牲にすることなく、より単純な取扱いで、そのような少ない部品を含む。また吸入器は、提示されたデザインで単純になり、したがって製造するのに費用がかからない。
【0021】
代替の実施例は、粉末チャンバを含有する投与リングを含む複数回投与型吸入器であって、このチャンバが実質的に円形に配向して前記投与リング内に押し下げられ又は窪んだ形をとる、複数回投与型吸入器である。投与リングは、前記凹部に直接隣接して配置された、シールの形をした封止材料に接している。シールには、好ましくは各粉末チャンバの面積の4分の3に寸法決めされた、開封可能な要素が配置されている。開封可能な要素は、シールにフラップが形成されるように切断し又は穿孔する。除去される材料はなく、したがって可動性要素は周囲の封止材料に正確に嵌合し、粉状物質はスリットを通り過ぎることができず又は通り抜けることができなくなる。シールは、例えば、対応する封止リングの上昇が適合する粉末チャンバ間の切欠きを通して、投与リングに糊付けされ又は固定されてもよい。粉末チャンバの1つの長辺でのみ、シールが投与リングにスナップ留めされる。吸入器ハウジングは、粉末チャンバの封止に対して押圧され、したがってシールを粉末チャンバの所定位置に保持するのを助ける。ハウジングには、例えば空気チャネル部分に局所的なエンボスを設けることができ、そこではハウジングとシール・リングと投与リングとの間の封止機能が消える。前進機構としても同時に働くマウスピースの保護が開放されると、投与リングは1ステップ回転し、それによって1つの粉末チャンバが空気チャネルに送り出され、吸入器を通した吸入によって引き起こされた空気流に露出される。空気チャネルは、低圧が、また、ベンチュリ効果が投与リングの領域内に生じるように形成される。狭窄部が、ある投与量の粉末を送達することになる投与リング及び粉末チャンバの上流に配置される。この狭窄部は、空気流の速度上昇を引き起こす。狭窄部の後、空気チャネルは突然広くなり又は徐々に低圧が加えられる。拡幅部は、ある投与量の粉末を送達することになる、露出した粉末チャンバの領域に位置付けられる。低圧は、開封可能な要素を持ち上げ/開放し、流通する空気は、粉末チャンバからの粉末を引き出す。
【0022】
別の代替の実施例は、粉末チャンバの2本のラインを備えた投与リングである。その意図は、投与リングの所与のサイズが、より多くの粉末チャンバに適合することである。吸入器は、使用者の快適さを増大させるため、多くの投与量、例えば60回分以上の投与量を含有することが望ましい。市場のトップを走る吸入器は、60回分の投与量を有するが医薬品投与量の容器として投与リングを使用せず、粉末チャンバを形成し且つ順方向送りされると破けて使用者が吸入したときに一度に1回分の投与量が外に露出される、巻上げ型ブリスタ・バンドを備えたものが、より複雑な手法で構成される。この吸入器は、吸入器に含まれるのが望ましい投与量回数のパターンを形成してきた。しかしこの解決策は、組み立てなければならない多数の部品を含み、それが製品の製造コストを増加させる。本発明として投与リングを備えた吸入器は、より少ない部品で製造することができるが、その欠点は、吸入器が大きなフォーマットで作製されない場合は吸入器に含有される投与量の回数分が60回よりも少なくなり、使用者にとって実用的ではなくなることである。粉末チャンバは、十分な粉末を保持するために最小限に抑えられたサイズである必要がある。薬物のタイプに応じて、16〜18立方ミリメートルの粉末チャンバ・サイズが望ましく又は必要である。粉末チャンバを互いに分離する隔壁があり、その役目を果たすために、ある幅を持つよう設計する必要がある。しばしば、壁厚は少なくとも1mmである。この結果、投与リングを備えた吸入器は、通常、約30回分の投与量を含有する。投与量の回数分を増加させるには、投与リングの直径を増加させる必要がある。或いは、2つの投与リングを互いの上に配置することができる。しかしこれは、吸入器の厚さが扱い難いものになることを意味する。吸入器の市場では、直径が最大85mmの吸入器がある。使用者は、そのような吸入器をポケットに入れるのは現実的でないので、ハンドバッグ又は同様のものから取り出し且つそこに戻す必要がある。85mmよりも大きい吸入器は、単にそのサイズにより、競争上不利な立場にあると考えられる。課題は、直径を非常に大きくすることなく、例えば85mmを超えることなく、又は投与リングの組立て及び機能を過度に複雑にすることなく、60回分以上の投与リングを備えた吸入器を設計することである。
【0023】
本発明の目的は、その表面に粉末チャンバが設けられた、本発明に記述される投与リングで達成される。粉末チャンバは、例えば、外側及び内側にある少なくとも2本の実質的に円形のライン、又は各粉末チャンバが投与リングの中心からの距離を徐々に変えて配置される螺旋形に、配置されてもよい。例えば空気チャネルを含む、除覆デバイスは、投与リングの回転方向に対して実質的に放射状に且つ横切るように投与リングの表面上を滑動するように、したがって一度に1つの粉末チャンバが露出するように、配置される。空気が、除覆デバイスを通過するとき、例えば低圧を空気チャネル部分に生成することができ、それによって封止キャップが持ち上げられ、或いは意図されるデバイスがカバー箔を機械的に穿刺し若しくは破ることができ、又はその他の方法で、粉末チャンバ内に粉末を保持する封止機能を破壊することができる。空気流は、この粉末投与量が、吸入器から出て使用者の肺の中に降下していく空気流の後を確実に追うようにする。シールは、投与リングと回転固定部品の隣接面との間に配置されてもよい。シールには、開封蓋を配置することができる。除覆デバイスは、好ましくは、そのつもりで配置されたガイド及び/又は空気チャネル内に滑り込み、その内部では、空気が吸入器の入口から出口のマウスピースまで通過することができる。空気は、使用者が吸入すると移動する。マウスピースは、吸入前に使用者によって除覆される。
【0024】
除覆デバイスは、好ましくは、投与リングの周辺で、粉末チャンバ上に最初に位置決めされる。除覆デバイスの位置は、投与リングの表面に設けられたガイド・トラックにより決定される。除覆デバイスは、ガイド・トラックに合わせて調節されたガイド・ピンを有し、したがって除覆デバイスは、投与リングが回転するときにガイド・トラックを辿ることができる。吸入器が使用者に供給された場合、投与リングは、粉末チャンバが吸入される位置にはないように位置付けられる。これには2つの目的がある;第1の投与量は、除覆デバイスが空気チャネルに向かって開放されるので、より耐湿性があり、投与リング上の除覆デバイスの半径方向の位置を変化させるトラック位置の変更に必要な変更ポイント用の空間が生成され、それによってガイド・トラックは、外側の位置から投与リングの中心付近の内側の位置まで走るように配置される。使用者が、外側ラインの最後の投与量を吸入した場合、及び後続の吸入によって投与リングを次の投与量に送り出した場合、除覆デバイスのガイド・ピンは、ガイド・トラックのシフト・ポイントを粉末チャンバの内側ラインまで辿る。これは、粉末チャンバがない開始位置にある投与リングの表面で都合良く行われる。
【0025】
したがってガイド・トラックは、除覆デバイスを粉末チャンバのライン上に位置決めするように配置される。この解決策は、除覆デバイスが、1つずつ空にすることのできる粉末チャンバの外側ライン上に、最初に位置決めされることを意味する。外側ラインの最後の粉末チャンバが空になり、使用者が次の投与量に向けて順方向送りする場合、この除覆デバイスは、投与リングの中心に向かって除覆デバイスを導くための傾斜断面を有する状態で配置されたガイド・トラックを辿り、順方向送りの終了時には、吸入をこの投与量に関して行うことができるように内側ラインの第1の粉末チャンバ上に位置決めされる。それぞれの順方向送りでは、新たな投与量が吸入位置に移され、全ての投与量が吸入されるまで粉末チャンバの内側ラインを1つずつ空にすることができる。
【0026】
このように、粉末チャンバを備えた二重のラインは、1つの追加の細部だけを使用することによって、投与リングに配置される。当然ながら、投与リングに粉末チャンバ及びガイド・トラックの追加のラインを組織することが可能である。したがって投与リングは、吸入器を5つの部品ではなく6つの部品で構成しながら60回分以上の投与量を含有することができるが、これは公知の吸入器に必要な、粉末チャンバの約13個の小部品及びテープよりもさらに著しく少ない。この解決策は、当然ながら、代替として、粉末チャンバの外側ではなく内側ラインが最初に空になるように、配置することができる。
【0027】
代替の解決策は、除覆デバイスの位置が、投与量表面から立ち上がるように且つ例えば投与リングの回転方向に一定の半径方向位置を有するように、配置されたカムによって決定される。除覆デバイスは、その底面に、カムに向かう特別仕様のガイド・トラックを有し、したがって投与リングが回転するとカムを追うことができるようになる。この解決策によれば、例えば除覆デバイスは、1つずつ空にすることができる粉末チャンバの外側ライン上に最初に位置決めされる。外側ラインの粉末チャンバの最後が空になり、使用者が次に投与量に向かって順方向送りを行うと、除覆デバイスはカムに従って投与リングの中心に向かい、その結果、順方向送りの手順が終了した後に内側ラインの第1の投与量上に位置決めされるようになり、その投与量の吸入を行うことができるようになる。それぞれの順方向送りでは、新たな投与量は空気チャネルの排出場所に位置決めされ、粉末チャンバの内側ラインは、全ての投与量が吸入されるまで1つずつ空にすることができる。
【0028】
別の任意選択の解決策は、例えば除覆デバイスと同じプラスチック材料で巧みに作られた又は隣接部品のいずれかの内部にある、除覆デバイスに一体化することができるばねによって、除覆デバイスを導入することである。本発明による除覆デバイスは、投与リングを実質的に横切るよう配置された空気チャネル内で、この投与リング上で半径方向に移動し/滑動するよう配置される。
【0029】
最初に除覆デバイスを、粉末チャンバの外側ライン上に位置決めする。一体化されたばねは、除覆デバイスを、投与リングの中心に向かって内向きに押圧し、カムは、投与リングの中心に向かうその運動を端位置で遮断する。外側ラインの最後の粉末チャンバが空になり、使用者が次の投与量に向かって順方向送りを行うと、カムは停止し、除覆デバイスがばねの力によって内向きに滑動し、粉末チャンバの内側ライン上に位置決めされる。内向きのドリフトは、カム又はそれらの部品のその他の適切なデバイスによって制限される可能性があり、除覆デバイスは意図されるよりも長く滑走するのを防止する。本発明は、代替として、外側ではなく内側ラインが最初に空になるように配置されてもよい。
【0030】
本発明は、粉末チャンバの3本以上のラインを含有してもよい。ばねは、必ずしも一体化されなくてよく、個別の細部とすることができる。しかしこれは、製造時に別の部品が必要であることを意味する。ばね圧の方向は逆にすることができ、即ち中心に向かうのではなく、投与リングの周辺に向かって外向きにすることができる。
【0031】
さらに別の解決策は、粉末チャンバを、円形の代わりに螺旋形に配置することである。円形に配置された粉末チャンバの3本以上のラインの代わりに、粉末チャンバの単一のラインが形成されるが、投与リングの表面に螺旋状に配置される。除覆デバイスは、この除覆デバイスの半径方向位置を制御するよう配置されたガイド・トラックを使用することにより、投与リングの表面上を半径方向に滑動し且つ螺旋形状を辿ることができる。ガイド・トラックは、例えば粉末チャンバの外面の隣りで対応する螺旋形に配置され、したがって除覆デバイスは常に順方向送りされ、空にされる粉末チャンバ上に位置決めされる。
【0032】
粉末チャンバが円形又は螺旋形に配置されているか否かに関わらず、除覆デバイスは一定の幅を有しており且つ投与リングの中心に向かって内向きに又はこの中心から外向きに半径方向に滑動するので、チャンバを、投与リングの中心の半径方向のラインからその縁部に向かって配向すべきである。投与リングが1つの完全な旋回で回転すると、除覆デバイスは、既に空になったチャンバを覆うのと同時に、好ましい実施例に応じて位置をシフトさせ且つ内向き又は外向きに移動/滑動し、それと共に投与量を依然として含有する内側、或いは外側のチャンバが露出する。
【0033】
除覆デバイスをガイドする代替の設計例において、粉末チャンバの配置が螺旋形の実例では、除覆デバイスを投与リングの中心に押圧する、一体化されたばねと共に設計される。運動を妨げるカムは、除覆デバイスがその粉末投与量を送達するための粉末チャンバ上に配置されるように、各投与量ごとに、それぞれが送り出された後に変化し/削減された半径方向位置を有する。
【0034】
本発明を、添付図面の助けを借りて、好ましい設計例のいくつかにおいて以下により詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】本発明の複数回投与型吸入器の分解組立図である。
【
図1B】本発明の複数回投与型吸入器の分解組立図である。
【
図2A】本発明の複数回投与型吸入器の分解組立図であって、空気流が、空気チャネルを介してマウスピース内から外にどのように粉状物質を運ぶのかを示す図である。
【
図2B】本発明の複数回投与型吸入器の分解組立図であって、空気流が、空気チャネルを介してマウスピース内から外にどのように粉状物質を運ぶのかを示す図である。
【
図2C】本発明の複数回投与型吸入器の分解組立図であって、空気流が、空気チャネルを介してマウスピース内から外にどのように粉状物質を運ぶのかを示す図である。
【
図3】粉末チャンバの番号が付されている投与リングの下側が視覚化された、本発明の複数回投与型吸入器を示す図である。
【
図4A】前進機構の運動の最初の半分の間に順方向送りが行われる、本発明の複数回投与型吸入器であって、前進機構がマウスピースに進入するためどのように連結されるのかを示す図である。
【
図4B】前進機構の運動の最初の半分の間に順方向送りが行われる、本発明の複数回投与型吸入器であって、前進機構がマウスピースに進入するためどのように連結されるのかを示す図である。
【
図4C】前進機構の運動の最初の半分の間に順方向送りが行われる、本発明の複数回投与型吸入器であって、前進機構がマウスピースに進入するためどのように連結されるのかを示す図である。
【
図5A】マウスピースに取り付けられた一方向弁が補われた、本発明の複数回投与型吸入器の変形例を示す図である。
【
図5B】マウスピースに取り付けられた一方向弁が補われた、複数回投与型吸入器の本発明の変形例を示す図である。
【
図6A】封止層の位置が、シールをどのように設計できるかという変形例と共に示される、複数回投与型吸入器の本発明の進歩性ある変形例を示す図である。
【
図6B】封止層の位置が、シールをどのように設計できるかという変形例と共に示される、複数回投与型吸入器の本発明の進歩性ある変形例を示す図である。
【
図7A】封止層の位置が、シールをどのように設計できるかという変形例と共に示される、複数回投与型吸入器の本発明の進歩性ある変形例を示す図である。
【
図7B】封止層の位置が、シールをどのように設計できるかという変形例と共に示される、複数回投与型吸入器の本発明の進歩性ある変形例を示す図である。
【
図8A】投与リングがハウジング本体の1つを構成する、代替の解決策を示す図である。
【
図8B】投与リングがハウジング本体の1つを構成する、代替の解決策を示す図である。
【
図9A】本発明の複数回投与型吸入器の分解組立図である。
【
図9B】本発明の複数回投与型吸入器の分解組立図である。
【
図10A】分解組立図で本発明の複数回投与型吸入器を示す図であって、空気流が、空気チャネルを介してマウスピース内から外に粉状物質をどのように運ぶのか、また空気チャネルのデザインが、低圧の使用によって開封可能な要素を開封するのをどのように実現するのかを示す図である。
【
図10B】分解組立図で本発明の複数回投与型吸入器を示す図であって、空気流が、空気チャネルを介してマウスピース内から外に粉状物質をどのように運ぶのか、また空気チャネルのデザインが、低圧の使用によって開封可能な要素を開封するのをどのように実現するのかを示す図である。
【
図10C】分解組立図で本発明の複数回投与型吸入器を示す図であって、空気流が、空気チャネルを介してマウスピース内から外に粉状物質をどのように運ぶのか、また空気チャネルのデザインが、低圧の使用によって開封可能な要素を開封するのをどのように実現するのかを示す図である。
【
図11】シールがハウジング本体の1つに取着される、代替の設計例を示す図である。
【
図12】投与リングがハウジング本体の1つを構成する代替の設計例を、分解組立図で示す図である。
【
図13】開封可能な要素及びそれらが取着される方法の、代替の設計例を示す図である。
【
図14】シールの開封可能な要素の代替の設計例であって、1つが流入空気用であり1つが外向き空気用である2つの開封可能な要素が配置された状態を示す図である。
【
図15】除覆デバイスが空気又はガイド・チャネル内に配置された状態の、回転可能に固定される部品を備えた本発明の投与リングの簡単な分解組立図である。
【
図16】空気チャネル内にある除覆デバイスの図を、より詳細に示す図であって、除覆デバイスが、投与リング内に作製されたガイド・トラックを走るガイド・ピンによってどのようにガイドされるのかを示す図である。
【
図17A】本発明の投与リングの断面を示す図であって、この状況では除覆デバイスが粉末チャンバの外側ラインを露出させている状態を示す図である。
【
図17B】
図17Aによる本発明の投与リングの断面を示す図であって、除覆デバイスが粉末チャンバの1つをどのように封止するのかを示す図である。
【
図18A】
図17Aによる本発明の投与リングの断面を示す図であるが、この位置では除覆デバイスが粉末チャンバの内側ラインを露出させている状態を示す図である。
【
図18B】
図18Aによる本発明の投与リングの断面を示す図であって、除覆デバイスが粉末チャンバの1つをどのように露出させるかを視覚化した図である。
【
図19】いくつかの、約60個の粉末チャンバと、ガイド・トラックとを備えた、本発明の投与リングを示す図である。
【
図20】ガイド・トラックが、投与リングの表面から立ち上がるカムに置き換えられた、除覆デバイスの代替の解決策の図をより詳細に示す図である。
【
図21】粉末チャンバが螺旋形に投与リングに配置された、代替の設計例を示す図である。
【
図22A】除覆デバイスが、投与リング内に配置されたカムに対して走り、投与リング上での2つの異なる半径方向位置の間の運動が、カムの開放と、除覆デバイスを投与リングの中心に向けて押し遣るばねとによって引き起こされる、代替の解決策の図を、より詳細に示す図である。
【
図22B】変更ポイントの前後の、ばねの2つの位置を、概略的に且つ上方から示した図である。
【
図23A】投与リング上を半径方向に滑動することができる、蓋の形をした除覆デバイスの代替の設計例を示す図であって、投与リングの外側ラインの粉末チャンバを空にするための位置にある状態を示す図である。
【
図23B】投与リング内の粉末チャンバの内側ラインを空にするために位置決めされた蓋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1Aは、いくつかのキャビティーから構成される複数回投与型吸入器を示し、キャビティーは、これ以降は粉末チャンバ1と名付けられ、それぞれが、事前に投入された量の粉状物質を含有している。粉末チャンバ1は、投与リング2において円形に配向している。また投与リング2は、回転可能に固定される上方ハウジング3と、回転可能に固定される下方ハウジング4との間で密閉される。粉末チャンバ1の開口は、含有する上方ハウジング3に向かって配置される。複数回投与型吸入器は、前進機構5を備え、前進機構5は、同時にマウスピース6の開口のカバーとしても働くものであり、また、一度に1つの粉末チャンバ1を吸入用の位置に送り出す。空気チャネル7の入口端において、入口8が、下方ハウジングに配置される。入口は、少なくとも1つの、しかし好ましくはいくつかの空気穴9からなり、空気穴9は、一方向弁10によって覆われている。一方向弁10は、それが開いて吸入できるようにするのと同時に、空気が複数回投与型吸入器に吹き込まれるのを防止する。一方向弁10の下流にある空気チャネル7は、粉末を捕捉するために螺旋部11として設計されており、粉末は、粉末チャンバ1から空気チャネル7内に落下し得る。これは、進入口8に到達する前に螺旋部11によって粉末が捕捉されるのを確実にする。この解決策は、複数回投与型吸入器が使用中に使用者によってどのように向けられても、薬剤/粉末の投与量が確実に吸入されるようになることを意味する。
【0037】
図1Aは、前進機構5が、嵌め歯付き12前進アーム13から構成されることも示す。前進アーム13を開けると、投与リング14の嵌め歯リングが前進し、その結果、次の投与量が空気チャネル7に沿って順方向送りされるようになり、そこでは上方ハウジング3が、投与リング2の回転方向を直接横切るように存在する局所的な隆起を有している。この隆起の長さ及びその幅は、粉末チャンバ1よりも僅かに大きく、粉末チャンバ1の全内容物を確実に外に露出されるようになっている。そして、空気チャネル7の一部である局所的な隆起では、順方向送りされた粉末チャンバ1の封じ込めが停止する。したがって順方向送りした場合、1つの粉末チャンバはその封じ込め状態から上方ハウジング3に向かって解放され、空気チャネル7に向かって/その内部で露出される。マウスピース6を通して吸入した場合、粉末チャンバ1は流れる空気に露出され、粉状物質を、吸入された空気と共に引き込むことができる。吸入後、使用者が前進機構5を閉じると、前進アーム13は、投与リング14の嵌め歯リングの嵌め歯から、元の開始位置へと跳ね返される。投与リングに一体化されたバックストップ15は、下方ハウジング4に一体化された嵌め歯リング16に嵌め歯を把持することによって、投与リング2が後方回転するのを防止する。投与リング14内の嵌め歯リングは、バックストップ15及び下方ハウジングに一体化された嵌め歯リング16と一緒になって、例えば一度に1つの粉末チャンバ1だけを確実に吸入位置に送り込むことができるようにする。バックストップは、順方向送りされたときに、下方ハウジングにおいて、一体化された嵌め歯リング16の嵌め歯の上方に跳ね上がることができるように、余裕(leeway)を与えるよう設計される。この解決策は、一度にただ1つの粉末チャンバ1を、空気チャネル7に一致するように配置することができ、且つ空気チャネル7に露出させることができることを意味する。
【0038】
図1Bは、上方ハウジング3の下側を示す。粉末チャンバ1での物質の封止は、ある高さで固定され、投与リング2と上方ハウジング3との間の接触面17に見出すことができる。
【0039】
図1Aは、下方ハウジング4に、投与リング2の位置決め機構18があることも示す。下方ハウジングには、前進機構5を繋止するための軸19、並びに投与リング2のバックストップ15用の、一体化された下方ハウジング嵌め歯リング16もある。組立て時には、最初に例えば下方ハウジング4を測定治具に配置する。次いで投与リング2、一方向弁10、及び前進機構5を、この部分で組み立てる。その後、粉状物質を投与リングの粉末チャンバ1に充填する。最後の組立てステップでは、複数回投与型吸入器を上方ハウジング3で封止する。
【0040】
図2Aは、空気チャネル7のデザイン及び配置を示す。その始まりは入口8の一方向弁10にあり、螺旋部11内を進んで、順方向送りされる粉末チャンバ1の上方に至り、マウスピース6で終わる。図は、使用者がマウスピース6を通して吸入を行ったとき、空気チャネル7内に低圧が生成されて一方向弁10が開放されることにより下方ハウジング4の穴9を通して空気を流入させ、空気流は螺旋部11内を通過し、露出した粉末チャンバ1上を通り、マウスピース6を通して粉状物質を使用者の喉の奥に引き入れることも示す。さらに空気チャネル7は、吸入中に粉末が捕捉される可能性のある空気力学的影部を有するポケットが生成されないように、設計される。このデザインは、使用者が吸入するごとに完全な1回分の投与量を受け取るのを確実にする。
【0041】
図2Bは、中間に位置決めされた投与リング2を含む、上方及び下方ハウジング3、4のA−A断面を示す。交線は、上方ハウジング3が投与リング2に押圧されて粉末チャンバ1を封止する位置を示す。これは、空気チャネル7に一致しており排出位置にあるものを除く、全ての粉末チャンバ1に当てはまる。
【0042】
図2Cは、中間に位置決めされた投与リング2を含む、上方及び下方ハウジング3、4のB−B断面を示す。断面B−Bは、空気チャネル7を通るものであり、この位置にある粉末チャンバ1は、通過空気流20に露出される。
【0043】
図3は、粉末チャンバ1に番号21が配置された状態を示す。番号21は、投与リング2の下側であって、粉末チャンバ1の対向面に位置付けられる。番号は、下方ハウジング4の窓22を通して見ることができる。窓22は、読取りが容易になるように拡大する性質を得るために設けてもよい。窓22を通して、使用者は、どれだけ多くの投与量が使用されたか、又は、その方がよければ、どれだけ多くの投与量が残されているかを決定することができる。
【0044】
図4A、4B、及び4Cは、複数回投与型吸入器がどのように開放されるか、及び、それが行われた場合には投与リング2がどのように順方向送りされ、次いでマウスピース6がどのように利用可能になるかを示す。
【0045】
図4Bは、新たな投与量の順方向送りが、前進機構5の運動の最初の半分23でどのように生じるかを示す。前進機構5の運動の最初の半分の間に、前進アームの嵌め歯12の運動が、投与リングの嵌め歯リング14でインターロックされる。運動の半分がなされると、前進アームは投与リングの嵌め歯リング14でもはやインターロックされず、投与リング2の巻上げが終了する。マウスピース6は、全運動の半分23よりも多くが終了するまで、使用者の唇で利用することはできない。このように、粉末の投与量は、吸入を引き起こすことが可能になる前に、完全に前進することが保証される。
【0046】
図4Cは、完全に開放された位置にある、複数回投与型吸入器を示す。
【0047】
図5Aは、複数回投与型吸入器に、マウスピース6と投与リング2との間に配置された一方向弁24が補われた、代替の設計例を示す。下方ハウジング4には、前記一方向弁24の繋止ポイント25があり、この代替の解決策における上方ハウジング3には、
図5Bに示されるものと同じ弁の、対応する繋止ポイント26がある。一方向弁の相補性は、空気チャネルへの空気の吐出しを不可能にすることによって、耐湿性を高める。また一方向弁は、新たな投与量を順方向送りするときに複数回投与型吸入器が上下逆さまに保持された場合、投与量が、マウスピースから出て来ることができないようにすることを確実にする。したがってこの変形例では、既にこれまで記述された全ての部品に加え、一方向弁24は、出口側、即ちマウスピース6において、関連付けられた位置25及び26を有することがわかる。
【0048】
図6Aは、上方ハウジング3に配置されたシール27を示す。このシール27は、例えば、軟質表面が設けられる二重射出成型によって実現されてもよい。シール27は、デバイスの組立て時に上方ハウジング3に配置された、個別の部品とすることもできる。シール27は、空気チャネル7に隣接して位置付けられた飛び出し部又は開口28を備える。前進機構5を作動させると、投与リング2が、図に示されるように固定された上方ハウジング3に対して回転する。粉末チャンバ1が空気チャネル7に送られると、チャンバは、投与リング2の回転方向を直接横切るように配置された上方ハウジング3の隆起に露出される。空気チャネル7は、上方ハウジング3の主外面を越えて延びることなく且つ上方ハウジング3に隆起を作製することなく、上方ハウジング3の実際のハウジング材料に設計されることも考えられる。
【0049】
図6Bの断面C−Cは、シールが上方ハウジング3に一体化するよう設計された、代替例を示す。
【0050】
図7A及び7Bは、代わりに投与リング2に一体化された、また二重射出成型によって軟質封止面が与えられた、代替のシール29を示す。
【0051】
図8A及び8Bは、下方ハウジングをなくし且つ投与リング30そのものがケーシングの一部である、代替の設計例を示す。投与リング30は、前述と同じように実行される。前進機構は、投与リング30に対し、その幾何形状に関しては同じデザインを有する。しかし、セーフガードのデザインは、本質的に円形の吸入器に適合させる必要がある。一方向弁を有する空気チャネルはその全体が、以前と同じ形状を有する。一方向弁31は、投与リング30の底面の穴32の周りに適合させるため、中心に僅かに大きい穴が必要である。クリップのフィーチャで終わるシャフト33は、上方ハウジング34の中心に位置付けられる。シャフト33は、投与リング30の中心に向かって延び、中心の穴32に一致する。穴32は、上方ハウジング34からのシャフト33の先端に位置付けられたクリップのフィーチャとは、反対の形状に設計される。投与リング30と上方ハウジング34とを一緒に合わせた場合、シャフトのクリップのフィーチャは投与リングの穴32に係合し、2つの構成要素の間に封止圧力を生成する。
【0052】
代替の設計例では、前述の一方向弁10及び24をなくし、又はおそらくは、既に述べた変形例に広く類似している本発明の複数回投与型吸入器の相補的なものとして保持することができる。その説明が
図9Aで始まるこの変形例では、提示されたシール27及び29の代わりに、事前に穿孔された開封可能な要素36を備える個別のシール35を用いる。
【0053】
図9Aは、それぞれが事前に投入された量の粉状物質を含有している、円形に配向された、投与リング38に配置されたいくつかの粉末チャンバ37から構成される、本発明の複数回投与型吸入器を示す。ここで投与リング38は、回転可能に固定される上方ハウジング39と、下方の回転可能に固定されるハウジング40との間に配置される。粉末チャンバ37は、回転可能に固定される上方ハウジング39に対して配向されたそれぞれの開口を有する。複数回投与型吸入器は、マウスピース42を露出させながら、やはり空気チャネル43の吸入位置に向けて一度に投与リング38の粉末チャンバ37を1つずつ順方向送りする、カバー・キャップを含めた前進機構41を備える。下方の回転可能に固定されるハウジング40には、空気チャネル43用の空気入口44が配置される。空気入口44は、1つ又は複数の空気穴45から構成される。空気穴45の下流には、入口44の後に螺旋部46が設計され、これは特別な安全基準として、例えば使用者が吸入器を振動させた場合及び/又は順方向送りの後に垂直な位置に保つ場合に、粉末チャンバ37の1つから落下する可能性のある粉末を捕捉することを目的とする。これは、粉末が空気穴45を通過する前に、確実に捕捉されるようにする。この解決策は、吸入中に複数回投与型吸入器がどのように配向されようと又は使用者によってどのように取り扱われようと、投与量を構成する物質が全体として確実に吸入されるようになることを意味する。
【0054】
シール35は、やはり事前に穿孔された開封可能な要素36と共に配置され、シール35は、投与リング2に対して配置することができ、そこでは開封可能な要素36が投与リング2の粉末チャンバ1に対して適合される。シール35の適切な材料は、必ずしもそうとは限らないが、非常に薄い層に噴霧して形成することができるEPDM:ethylene rubber diene monomer(エチレンゴムジエンモノマー)とすることができる。
【0055】
図は、前進機構41が、嵌め歯47を有する前進機構48から構成されることも示す。吸入器を開放すると、前進機構48は投与リングを順方向に駆動させ、それによってアーム上の嵌め歯47は投与リングの嵌め歯49のリングを掴み、したがって次の粉末チャンバ37は、投与リング38の回転方向を直接横切って並ぶように設計された空気チャネルの空気チャネル・セクション43aに順方向送りされる。空気チャネルの空気チャネル・セクション43aの内側の長さ及び幅は、粉末チャンバ37全体を空気チャネル・セクション43aに確実に露出させるために、粉末チャンバ37の開放領域よりも、好ましくは僅かに大きい。空気チャネルのセクション43aも、上方ハウジング39の主外面を越えて延びることなく、また上方ハウジング39に隆起を作製することなく、上方ハウジング39の実際のハウジング材料に設計されることが考えられる。
【0056】
したがって空気チャネル・セクション43aでは、順方向送りされる粉末チャンバ37が露出し、その事前に適合された開封可能な要素36を備えたシール35のみが、この時点で粉末チャンバ37を覆う。順方向送りする場合、一度に1つの粉末チャンバ37が、回転可能に固定された上方ハウジング39に対してその封止位置から露出し、空気チャネル・セクション43aで露出する。
【0057】
吸入後、使用者が前進機構41を閉じると、前進アーム48は、投与リング38の嵌め歯リング49の嵌め歯から、その元の開始位置へと跳ね返される。投与リング38に一体化されたバックストップ50は、下方ハウジング40に一体化された嵌め歯リング49の嵌め歯を捉えることによって、投与リング38が後方回転するのを防止する。投与リング38の嵌め歯リング49は、バックストップ50及び下方ハウジングでの一体化された嵌め歯リング51と共に、例えば一度に1つの粉末チャンバ37だけを吸入用の位置に確実に送り込むことができるようにする。バックストップ50は、順方向送りの際に、下方ハウジング40で一体化された嵌め歯リング51の嵌め歯上に跳ね上がることができるよう、余裕を与えるように設計される。この解決策は、一度に1つの粉末チャンバ37だけを、空気チャネル・セクション43aに沿って配置することができ且つこのセクションに露出させることができることを意味する。
【0058】
図9Aは、下方ハウジング40に、投与リング38を所定位置に保つ円形縁壁52があることも示す。下方ハウジング40には、前進機構用のガイド・ホール53もある。吸入器の組立て時に、まず下方ハウジング40を測定治具(図示せず)に配置する。次いで投与リング38及び前進機構41をこの部分で組み立てる。その後、粉状物質を投与リング粉末チャンバ37に充填する。次いでシール35を、投与リング38に対して組み立てる。最後の組立てステップでは、複数回投与型吸入器を上方ハウジング39で封止する。
【0059】
図9Bは、上方ハウジング39の下側を示す。
【0060】
図10Aは、空気チャネル43のデザイン及び配置を、分解組立図で示す。その始まりは空気入口44の空気穴45にあり、次いで螺旋部46内を通って、空気チャネル・セクション43aに配置された順方向送り粉末チャンバ37を通過し、次いでマウスピース42で終わる。この図は、マウスピース42を通した吸入時に、順方向送りされた粉末チャンバ37が、流れる空気に露出されることを示す。空気は、穴45を経て下方ハウジング40に取り込まれ、その後、螺旋部46内を流れる。螺旋部の後、空気チャネル・セクション43aの直前に、空気の流動方向に狭窄54が配置され、それによって空気の速度が吸入時に上昇する。粉末チャンバ37上の領域では、空気チャネル・セクション43aが徐々に拡がり、その結果、低圧が生じて、シール35の開封可能な要素36が持ち上がり、空気流が粉末を粉末チャンバ37から引き出す。局所的な低圧は、いわゆるベンチュリ効果によって引き起こされる。シール35の開封可能な要素36は、フラップ又は蓋のようである。したがって粉末は、空気流55に露出され、吸入された空気と共に吸入器から引き出されて、マウスピース42を通して使用者の喉の奥に引き込まれる。さらに空気チャネル43は、吸入中に粉末が捕捉される可能性がある空気力学的影部を有するポケットが、生成されないように設計される。このデザインは、螺旋部46と、マウスピースを通した呼気により生成された過圧と、カバー状の開封可能な要素36と一緒になって、使用者が吸入するごとに完全な投与量を受け取るのを確実にする。
【0061】
図10Bは、中間投与リング38及びシール35を有する上方及び下方ハウジングを通る断面D−Dを示し、空気チャネル・セクション43aと、空気チャネル・セクション43aに露出された粉末チャンバ37とが見えるようにしている。この図には、空気流の速度上昇のために、空気チャネル・セクション43aがB1でどのように先細りになっているかが示される。B1の後に、空気チャネル・セクション43aはB2まで拡がり、範囲B1からB2で投与リング38に低圧を生成し、そのためシール35の開封可能な要素36が開く。
【0062】
図10Cは、同じ断面D−Dを使用して、使用者が図らずも吸入する代わりにマウスピース42に息を吐き出した場合に、何が起きるかを見えるようにしている。これは、むしろ空気チャネル・セクション43aに過圧を生成し、露出した粉末チャネル37ではシール35の開封可能な要素36が閉じる。この作用は、粉末が元の場所に吹き戻され、螺旋部46を下るのを防止し、それと同時に、粉末を使用者の呼気中の水分からも保護する。
【0063】
どのくらいの回数分の投与量が残っているかを表示するデザイン、および、開封機構は、上述の変形例において、
図3と4A、B、及びCに既に機能が示されているものと同一である。
【0064】
図11は、既に述べた変形例の別のデザインを示し、シール35は、上方ハウジング39に隣接して配置されるように配置される。シール35は、上方ハウジング39と一緒に回転可能に固定されるよう配置され、次いで空気チャネル・セクション43aに配置された単一の開封可能な要素36によって配置される。
【0065】
図12は、下方ハウジングをもはや必要とせず、代わりに投与リング56そのものが外側ハウジングを構成する代替の設計例を示す。投与リング56は、その他の点では、先に述べたものに該当するデザインを有する。前進機構41も、投与リング56に対するその幾何形状に関しては、同じデザインを有する。しかし保護キャップのデザインは、本質的に円形の吸入器に適合させる必要がある。空気チャネル43は、その全体が、以前と同じデザインを有する。シャフト57は、その端部にクリップのフィーチャが設けられており、上方ハウジング58の中心に位置付けられている。投与リング56には穴59が作製され、投与リング56と上方ハウジング58とが一緒に封止されるとき、シャフト57のクリップの機能によってシャフトが投与リングの穴59に取着され、シール35、上方ハウジング58、及び投与リング56の間に圧力を生成する。
【0066】
図13Aは、開封可能な要素36の切断面をどのように真っ直ぐに60作製できるか、或いは斜めに61切断された面をシール35に作製できるかを示す。斜めの切断面は、空気流によって、開封可能な要素36をより容易に開封可能にするが、その理由は1つには、開封可能な要素36と周囲の封止材料との間の摩擦が低減することによるものであり、しかし空気によって斜めの切断面61をより容易に得ることができることにもよる。使用者がマウスピースに息を吐き出すと、過圧が空気チャネル・セクション43aに生成され、斜め61切断面は、開封可能な要素36が粉末チャンバ37内で押し下げられ、したがってチャンバ内の粉末が外に露出されるのを防止することに寄与する。
【0067】
さらに
図13A及びBは、シール35が取着手段62と共に作製され、したがって開封可能な要素36が、投与リング38の回転方向に位置付けられた粉末チャンバ37の側面に位置合わせされたことも示す。これは、次の投与量が順方向送りされて空気チャネル・セクション43a内に吸入用に位置決めされたとき、開封可能な要素36が上方ハウジング39の下の誤った位置で終わるのを防止する。
【0068】
図14は、シール35の開封可能な要素36に関する、代替の設計例を示す。シール35は、粉末チャンバ37上の位置に、それぞれの粉末チャンバ37ごとに2つの開封可能な要素63及び64を有する。一方は、投与リング38の中心に最も近いシール35の内側部分にあり、他方は、マウスピース42に向かう外側部分にある。空気流55は、内側開封要素63を経て粉末チャンバ37に降下し、外側64を経て外にガイドされる。
図14は、これらの開封可能な要素63及び64をどのように構成できるかという実例を示す。2つの開封可能な要素63及び64を有するいくつかのその他のデザインも可能である。
【0069】
本発明のような吸入器の投与リングは、投与リングの直径を増大させることなくより多くの粉末チャンバを取り付けることができる、代替の方法で設計することができる。
【0070】
図15は、事前に投入された量の物質、例えば粉末形態の医薬生成物を含有する、片面に多数の凹部又は粉末チャンバ66を備えた本発明の投与リング65の、分解組立図を示す。粉末チャンバは、少なくとも2本の主に円形のラインに配向することができ、その一方は外側にあり、一方は内側にある。空気チャネル67は、投与リングの回転方向に横切るように配置され、特定の瞬間に、粉末又は生成物を空にするための位置にある複数の粉末チャンバに跨る。除覆デバイス68は、投与リング65上を半径方向に且つその回転方向を横切って、空気チャネル67内を滑るように配置される。その半径方向に位置合わせされた除覆デバイス68は、薬剤の内容物を空にすることができるのが、2つ以上の列をなして位置決めされた粉末チャンバ66のどれであるかを決定する。除覆デバイス68は、ガイド・トラック70に適合し且つ辿るように配置されたガイド・ピン69を備える。ガイド・トラック70は、粉末チャンバの外側ラインの外で、投与リング65内を好ましくは円形に走り、そこでは使用者が吸入器を使用するときに、粉末チャンバの外側ラインが最初に空にされ、一度に1つの粉末チャンバ66が空にされる。使用者が外側ラインの最後の投与量を吸入した場合、その後の吸入の機会では、次の投与量が順方向送りされ、除覆デバイス68のガイド・ピン69は、ガイド・トラック70の斜めに位置決めされたトグル・ポイント71を辿って粉末チャンバの内側ラインに至る。したがってガイド・トラック70は、トグル・ポイント71で、投与リング65の中心及びガイド・ピン69に対して斜めに配置され、したがって除覆デバイス68はガイド・トラック70を辿り、除覆デバイス68を粉末チャンバ65の内側ラインに位置決めし、次いでこれを1つずつ空にすることができる。
【0071】
図16は、
図15に関する上述のデザインの、より詳細な図を示す。
図16では、空気チャネル及び除覆デバイス68が、投与リング65のガイド・トラック70に取着されている。
【0072】
図17Aは、投与リング65、空気チャネル、及び除覆デバイス68を通る断面を示す。除覆デバイス68のガイド・ピン69は、除覆デバイス68の開口を粉末チャンバ66の外側ライン上に位置決めするステアリング・トラック70に、位置決めされ且つ走る。空気流72は、露出している外側粉末チャンバ66上を通過し、それによって粉状物質を引き出す。
【0073】
図17Bは、除覆デバイス68が、投与リング65の粉末チャンバ66の内側の列を覆い又は封止する、断面E−Eを示す。
【0074】
図18Aは、
図17Aと同じ方法で本発明の投与リングの断面を示すが、この位置にある除覆デバイス68は、粉末チャンバ66の内部ラインを露出させている。
【0075】
図18Bは、
図18Aと同じ方法で投与リングの断面F−Fを示し、粉末の投与量が空気流に追随するように、除覆デバイス68が粉末チャンバ66の1つをどのように露出させるのかを示している。
【0076】
図19は、投与リングの空間効率を上方から見た図を示す。多数の、例えば約60個の粉末チャンバ66が、ここでは投与リング65の2本のラインとして配置されている。ガイド・トラック70は、投与リングの上面に配置され、最初に使用する前に除覆デバイスの位置を構成する開始ポイント74を有する。ガイド・トラック70は、トグル・ポイント71を有する本質的に円形であり、粉末チャンバ66の外側ラインの隣りに/外側に、またトグル・ポイント71の後では粉末チャンバの内側ラインの隣りに/外側に、即ち粉末チャンバ66の2本のラインの間に部分的に位置決めされる。
【0077】
図20は、除覆デバイス75の代替の設計例の図をより詳細に示し、ガイド・トラックの代わりに、投与リング65の表面から上に延びるカム76が用いられている。除覆デバイス75は、カム76に追随するように配置された、したがって投与リング65上の除覆デバイス75の半径方向位置を制御する、飛び出し部77と共に設計される。
【0078】
図21は、粉末チャンバ66が、投与リング65内で1本の長いライン上に、螺旋形態となるように、互いに隣接して位置決めされた代替の変形例を示す。したがって互いの内側に位置決めされた粉末チャンバ66は、順方向送りの後に除覆デバイス(図示せず)により粉末チャンバ66全体を確実に露出させることができるように、投与リング65の中心から縁部に向かって半径方向に互いに沿って配置されることが重要である。それぞれの順方向送りごとに、投与リング65は、ある所定の度数だけ徐々に回転させる。したがって除覆デバイス(図示せず)は、投与リング65のそれぞれの順方向送りのたびに、引き続き投与リング65上で半径方向に徐々に移動し、この運動は、例えば、好ましくは粉末チャンバ66の各列の隣りに配置される螺旋形状のガイド・トラック78を使用することによって、制御される。したがって投与リング65は、合計で85mmの投与リングの直径の範囲内で、例えば60回分の投与量又はそれ以上の投与量に合わせた空間を提供することができる。
【0079】
図22Aは、除覆デバイス79が、ばね80により、投与リング65の中心に向かって半径方向に内向きに押圧される、代替の設計例を示す。投与リング65の表面に配置された円形カム81は、除覆デバイス79が投与リング65の中心に向かって内向きに移動するのを防止する。除覆デバイス79は、最初に、粉末チャンバ66の外側ライン上で半径方向位置に据えられる。したがって吸入時に、粉末チャンバの66の外側ラインが最初に空になる。トグル・ポイント82では、カム81が終了し/なくなり、除覆デバイス79は、ばね80の作用で、投与リング65の粉末チャンバの内側ライン上の位置まで半径方向に跳ぶことができる。ばね80は、記述されるトグル・ポイント82の前及び後の、2つの異なる位置にある状態が
図8Aに示される。記述されたトグル・ポイント82の後の、ばね80の位置は、同じ図上で破線により示される。
【0080】
図22Bは、
図8Aに示されるばね80の2つの位置がもう少し明瞭に示されている、上方から見た投与リング65を示す。トグル・ポイント(図示せず)の後の、ばね80の位置の1つは、やはりここでも破線で示される。
【0081】
図23Aは、除覆デバイスが、粉末チャンバ66上を半径方向に移動することができる蓋83の形をとる、代替の設計例を示す。この図は、粉末チャンバ66の内側ライン上に位置決めされた蓋83を示す。これにより空気流72は、粉末チャンバ66の外側ライン上を通過して、一度に1つの粉末チャンバを空にすることが可能になる。蓋83の位置は、投与リングの表面に配置されたガイド・トラックと組み合わせた蓋83に配置されたガイド・ピン(図示せず)、又は上述の制限カムを備えたばねにより、制御することができる。
【0082】
図23Bは、粉末チャンバの外側ライン上に位置決めされた蓋83を示す。この位置では、空気流72が粉末チャンバ66の内側ライン上を通過することが可能になり、そこでは一度に1つの粉末チャンバが空になる。
【0083】
上記説明は、主に本発明の理解を容易にするものであるが、当然ながら指定されたデザインに限定するものではなく、本発明のその他の変形例も、革新的概念の枠組み内及び後続の請求項の保護範囲内で可能であり考えられる。