【実施例】
【0062】
光反射率は、ISO 7714/1に準拠しMinolta CM−3600d分光光度計を400〜700nmの波長範囲にわたって使用して測定した。水蒸気透過速度(MVTR)はEN ISO 12572−Cに準拠して測定した。液体の水の浸透は、EN 20811に準拠して静水頭として測定した。放射率は、ASTM C1371に準拠して測定した。燃焼性は、水平燃焼を方法ISO 3795に準拠して測定した。
【0063】
反射シート材料を越える放射伝熱の測定
試験片に可視光線および赤外線を一方の側から照射し、反射シートの反対側の経時による温度上昇を監視することによって反射シート材料を比較するための機構を構成した。装置は、幅21cm×長さ30×高さ33cmの同一の寸法および形状の2つのチャンバーからなり、好適な耐熱性および断熱性の材料から構成され、水平の床および垂直の壁を有し、各チャンバーは、その屋根に照明取付具を有し、これにはPhilips IR 150 RH 150 W赤外スポットランプが取り付けられ、それによってランプの底部からチャンバーの床までの距離は25cmとなった。各チャンバーの床には、スポットランプの真下で中央に位置し、PT100温度センサーが収容される幅3cm×長さ10cm×深さ2cmの小さなくぼみが存在した。ISO A4の寸法の反射シートの試験片は、いずれのチャンバーの床も完全に覆うことができ、そのためランプによる温度センサーへの直接照射は阻止され、温度センサーと試験片の下面との間の距離は常に2cmであり、試験片と温度センサーとの直接接触は、センサーのくぼみの側面によって防止された。
【0064】
典型的な実験では、装置および試験片を最初は室温で使用し、熱センサーのくぼみが完全に覆われるように、試験する材料のA4試験片を装置の各チャンバーの床に配置した。同じ材料で2つの測定を同時に行う場合、試験片は同じ材料であってよいし、2つの材料を比較する場合は、異なる材料の試験片であってよい。次にランプのスイッチを入れ、各試験片の下の熱センサーによって記録される開始温度T
0を記録した。次に、約15分の時間の間、または温度が60℃を超えるまでの規定の時間tにおける温度T
tを記録した。熱障壁性能が不十分な試験片は、センサーによって記録される温度上昇が急激であり、一方、より良好な性能を有する試験片は温度上昇が比較的遅かった。最初に、後の時間T
tにおける各温度の読取値から初期温度T
0を引いて各時間における温度上昇ΔT
tを求めることで、各サンプルにおけるこの性能を定量化した。
【0065】
個別のランプの放射出力の系統的な差を補償するため、徹底的な実験のためには、同じ試験片の組で連続して2回の試験を行い、2回目の試験では、2つの試験チャンバーでそれらの位置を交換する必要があった。各時間tで、2回の試験から得られた2つのΔT
t値を平均した。5分におけるΔT
t値(ΔT
5)および15分におけるΔT
t値(ΔT
15)が、熱保護の好都合で再現可能な尺度となることが分かり、値が小さいほど、より良好な熱保護を示す。
【0066】
比較例1
反射シート試験片を配置せず、赤外ランプからの放射線温度センサーに直接当たるようにして、前述の装置を行った。
【0067】
比較例2
パッケージをパレットに載せ、その組立体を、AFP Hollandより入手可能なResinex 581(輸送する品物を包装しパレット貨物を安定化させるために一般的に使用されるような23ミクロンのポリエチレンストレッチフィルムである)の4つの層で包み、パッケージがパレットに固定されるように十分な張力を加えた。ストレッチフィルムの4つすべての層のほぼISO A4の寸法のサンプルを、包装材料からはさみで注意深く切り取り、層が互いに接着した状態であることを確認し、次にこの層のスタックを前述の方法で試験した。この材料は透明であるため、放射率および反射率の信頼性のある測定はできなかった。
【0068】
比較例3
Isohood(Ventiflex)断熱フィルム(温度に敏感な品物を輸送用に包装するために一般に使用されるような金属化バブルラップであり、EcoCool GmbHより入手可能であり、面密度が180g/m
2であり、全体の厚さが約3mmであり、金属化側で測定される放射率が0.35であり、金属化ポリエチレンフィルム層と、透明ポリエチレンフィルム層と、それらの間にはさまれた、密集した円形で封止された直径10mmのエアポケットがポリエチレンフィルムで封入された層とで構成される)について、金属化側が上向きで赤外ランプに向けられるように、すなわち外側が熱源に向けられるようにして、前述の方法により試験し、これは、輸送中の温度に敏感な荷物を保護するために、このような金属化包装材料が取り付けられる向きである。この材料の金属化されていない側の透明の外面および不均一な外観のため、反射率の信頼性のある測定はできなかった。
【0069】
比較例4
比較例3の金属化バブルラップを、金属化側が下向きで温度センサーに向けられるようにして、すなわちこのような金属化包装材料が取り付けられる向きとは反対向きにして、前述の方法により試験した。
【0070】
比較例5
Tyvek(登録商標)1560B(面密度が58g/m
2であり、全光反射が90.3%であり、放射率が0.62である白色ポリエチレン不織シートであり、E.I.DuPont de Nemours and Companyより入手可能)を前述の方法により試験した。
【0071】
比較例6
金属化ポリエチレン不織反射シートであって、および面密度が60g/m
2であり、薄い耐食性コーティングで覆われた金属アルミニウムの薄層を一方の側に有し、E.I.DuPont de Nemours and CompanyよりTyvek(登録商標)3563Mで市販され、白色側で測定した全光反射が90.7%であり、金属化側で測定した放射率が0.15である金属化ポリエチレン不織反射シートから、ISO A4シートサンプルを作製した。この材料を、金属化表面が上向きで赤外ランプに向けられるようにして、前述の方法により試験した。
【0072】
実施例7
金属化面が下向きで温度センサーに向けられるようにして、比較例6のシートサンプルを前述の方法により試験した。
【0073】
【表1】
*N.A.該当なし。
**N.D.温度読取値が60℃を超えたときに試験を停止したため測定されず。
a1つの層で測定
14組の測定の平均:5分値は12.2℃〜12.5℃の範囲であり、15分値は22.7℃〜23.4℃の範囲である。
26組の測定の平均:5分値は6.6℃〜7.5℃の範囲であり、15分値は14.0℃〜15.5℃の範囲である。
36組の測定の平均:5分値は5.3℃〜6.2℃の範囲であり、15分値は12.0℃〜13.4℃の範囲である。
【0074】
上記例1は、温度センサーを赤外ランプに直接曝露した場合の、試験装置のベースラインの温度上昇速度を示している。比較例2の結果は、輸送のための荷物の包装に一般に使用される透明ストレッチラップは、非常に透湿性が低く、センサーの温度上昇速度がベースラインに対して大きく増加することを示している。比較例3は、温度に敏感な荷物を保護するために金属化層を外側に向けて、すなわち金属化層が荷物とは反対側で外部熱源に向けられるように一般に取り付けられる金属化バブルラップの有効性を示しているが、この材料は水蒸気の透過に対して本質的に障壁となる。比較例4は、金属化バブルラップの金属層の向きを逆にして、上向きで赤外線ランプに向けられるのではなく下向きでセンサーに向けられるようになると、入射放射線の反射に対するバブルラップの有効性が低下し、温度上昇速度が速くなることを示している。比較例5は、高い水蒸気透過速度を有する白色ポリエチレン繊維で構成される反射シートは、透明材料よりも温度上昇速度を低下させることができるが、これは比較例3の金属化バブルラップの保護レベルには到達していないことを示している。実施例7は、本発明の通気性反射シートが、金属層が下向きでセンサー(または荷物)に向けられる場合に、比較例6の金属層が上向きで赤外ランプ(または外部熱源)に向けられる同じ多孔質反射シートよりも高い熱保護を示している。この結果は、反射性金属層が上向きで赤外ランプに向けられる場合により良好な熱保護が得られた金属化バブルラップのデータ(比較例3および4)を考慮すると予期せぬものである。
【0075】
実施例8
金属アルミニウムの薄層が一方の側に堆積されたポリエチレン不織反射シートであり、それによってこのシートは面密度が58g/m
2であり、白色側の全光反射率が92.2%であり、金属化側の放射率が0.15であり、E.I.DuPont de Nemours and Companyより入手可能であるTyvek(登録商標)1560M。この材料を、金属化表面が下向きで温度センサーに向けられるようにして、前述の方法により試験した。
【0076】
実施例9
パターン化された耐火性コーティング、金属アルミニウムの薄層、および耐食性ラッカーが連続して一方の側に堆積されたポリエチレン不織反射シートであり、それによってこのシートは面密度が64g/m
2であり、白色側の全光反射率が92.6%であり、金属化側の放射率が0.11であり、E.I.DuPont de Nemours and Companyより市販されているTyvek(登録商標)3566M。この材料を、金属化表面が下向きで温度センサーに向けられるようにして、前述の方法により試験した。
【0077】
実施例10
金属アルミニウムの薄層、薄い耐食性ラッカー、およびパターン化された耐火性コーティングが連続して一方の側に堆積されたポリエチレン不織反射シートであって、それによってこのシートは、面密度64g/m
2であり、白色側の全光反射率が91.4%であり、金属化側の放射率が0.31であるポリエチレン不織反射シート。この材料を、金属化表面が下向きで温度センサーに向けられるようにして、前述の方法により試験した。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例8は、低放射率金属層を一方の側に有する通気性反射シートである本発明の単純な一実施形態を示しており、高い透湿性および低い放射伝熱を示しているが、金属層は水分に曝露することで容易に腐食し、この反射シートは燃焼性であり、ISO 3795耐火性試験に不合格となる。このことは、金属層の上部に好適な保護層を塗布することで、反射シートの透湿性または放射伝熱を大きく変化させることなく耐食性にすることが可能なことを示している実施例7とは対照的である。実施例9および10は、耐火性コーティングと保護層との併用で、通気性反射シートにおいて、耐食性および難燃性の両方が実現されることを示している。実施例10は、パターン化された耐火性コーティングを金属層および保護層の上に塗布した場合に熱保護が改善されうることを示しており、実施例9は、金属層および耐食性コーティングがパターン化された耐火性コーティングの上に塗布した場合に熱保護がさらに大きく改善されることを示している。
【0080】
比較例11
厚さ1.3mmおよび面密度24g/m
2であり、90mmの間隔で離れた列に40mmの間隔で配置された直径4mmの円形の孔を有する有孔発泡クローズドセルポリエチレンフォームについて、装置の温度センサーのくぼみの上に孔が位置しないように確認して、前述の方法により試験した。
【0081】
比較例12
比較例11の有孔発泡クローズドセルポリエチレンフォームの一方の側を、面密度が81g/m
2の1層のTyvek(登録商標)1589B不織ポリエチレンシートに積層して、全体の面密度が123g/m
2であり白色側で測定した光反射率が93.3%である積層体を得た。白色側が赤外ランプに向けられるようにして、積層体の放射伝熱速度を前述の方法により試験した。
【0082】
実施例13
比較例11の有孔発泡クローズドセルポリエチレンフォームの一方の側を、面密度が81g/m
2の1層のTyvek(登録商標)1589B不織ポリエチレンシートに積層し、他方の側を、実施例9の1層のTyvek(登録商標)3566Mに積層することによって、Tyvek(登録商標)3566Mの白色側がフォーム層に隣接し、Tyvek 3566Mの金属化側が積層体の外面を形成するようにした。得られた可撓性積層体は、全体の面密度が203g/m
2であり、白色側で測定した光反射率が93.9%であり、金属化側で測定した放射率が0.12であった。白色側が赤外ランプに向かい、金属化側が温度センサーに向けられるようにして、積層体の放射伝熱速度を前述の方法により試験した。
【0083】
実施例14
金属化側が下向きの実施例7の反射シートの下層と、面密度が185g/m
2であり平均厚さが8mmであるスペーサーとしての剛性ポリエチレン繊維の目の粗い三次元網目構造の中間層と、金属化側が下向きでスペーサーに向けられる実施例7の反射シートの上層とを積層することによって、積層反射シートの模擬実験を行った。このシートのスタックを、記載の方向で前述の方法により試験した。
【0084】
実施例15
標準的な物理蒸着技術を使用して、約175mg/m
2のアルミニウム層を、E.I.DuPont de Nemours and CompanyよりNomex(登録商標)412で市販される面密度が41g/m
2のメタ−アラミドペーパーの一方の側に堆積した。得られたシートは、蒸着していない側で測定した全光反射率が68.2%であり、金属化側で測定した放射率が0.09であった。この金属化反射シートは、ISO 3795水平火炎伝播試験で実質的に不燃性であることが分かった。金属化側が下向きで温度センサーに向けられるようにして、この材料のサンプルを前述の方法により試験した。
【0085】
実施例16
金属化側が下向きの実施例7の反射シートの下層と、面密度が185g/m
2であり平均厚さが8mmであるスペーサーとしての剛性ポリエチレン繊維の目の粗い三次元網目構造の中間層と、金属化表面が下向きでスペーサーに向けられる実施例15の金属化メタ−アラミドシートの上層とを積層することによって、積層反射シートの模擬実験を行った。このシートのスタックを、記載の方向で前述の方法により試験した。
【0086】
実施例17
金属化側が下向きの実施例9の難燃性反射シートの下層と、面密度が185g/m
2であり平均厚さが8mmであるスペーサーとしての剛性ポリエチレン繊維の目の粗い三次元網目構造の中間層と、金属化表面が下向きでスペーサーに向けられる実施例9の難燃性反射シートの上層とを積層することによって、積層反射シートの模擬実験を行った。このシートのスタックを、記載の方向で前述の方法により試験した。
【0087】
実施例18
金属化表面が下向きの実施例15の金属化メタ−アラミドシートの下層と、面密度が185g/m
2であり平均厚さが8mmであるスペーサーとしての剛性ポリエチレン繊維の目の粗い三次元網目構造の中間層と、金属化表面が下向きでスペーサーに向けられる実施例9の難燃性反射シートの上層とを積層することによって、積層反射シートの模擬実験を行った。このシートのスタックを、記載の方向で前述の方法により試験した。
【0088】
実施例19
金属化側が下向きの実施例7の反射シートの下層と、E.I.DuPont de Nemours and CompanyよりEnergain(登録商標)で入手可能であり、アルミニウム箔封入層を取り外して使用した厚さが5mmであり相転移温度が22℃のコポリマー/パラフィンワックスがブレンドされた相変化物質の押出シートの中間層と、比較例5のポリエチレン不織シートの上層とを積層することによって、積層反射シートの模擬実験を行った。金属化シートを下向きにして、このシートのスタックを前述の方法により試験した。
【0089】
実施例20
金属化側が下向きの実施例7の反射シートの下層と、あらかじめ脱イオン水中に浸漬して約2.1kg/m
2の水を吸収させた、面密度が159g/m
2であり厚さが0.9mmであるCamtex Fabrics Ltd.より入手可能な超吸収性繊維を含むCambrelle(登録商標)Type150不織布の中間層と、比較例5のポリエチレン不織シートの上層とを積層することによって、積層反射シートの模擬実験を行った。金属化シートを下向きにして、このシートのスタックを前述の方法により試験した。
【0090】
【表3】
*模擬実験の積層体の構成要素の個別の水蒸気透過速度に基づく計算値
**この模擬実験の積層体の水蒸気透過速度の測定および計算は行っていないが、スペーサー層が有孔であるか、他の方法でパターン状に取り付けられた場合、これらの構造である程度の蒸気透過性が達成されうることは明らかである。
【0091】
比較例11および12ならびに実施例13は、ポリエチレンフォームの薄層は、赤外放射線に曝露した場合に得られる熱保護が非常にわずかであり、外側にTyvek(登録商標)の反射性白色層を有するこのようなフォームの積層体は、より良好な熱保護が得られ、高反射性外面と低放射率金属化内面との間にはさまれた同じポリエチレンフォームを有する本発明の積層反射シートは、軽量で可撓性の構造を維持しながら高度な熱保護が得られることを示している。示される水蒸気透過速度は低いが、多くの状況で荷物の内側での凝縮凝集を防止するには十分であり、ポリエチレンフォームスペーサー層の孔の大きさおよび数を変化させることによって、またはオープンセルフォーム層を使用することによって、またはその両方によって調節可能である。
【0092】
実施例14は、金属化表面がそれぞれ内側に向かう2つの反射シートを分離するためにスペーサー層を使用して本発明の多層反射カバーシステムを形成することを示しており、これは非常に良好な放射障壁特性を有し、低く維持されているが十分な水蒸気透過速度を有する。接着剤を使用して、スペーサー層を一方または両方の通気性反射シートに接合して、複合反射シートを形成することができる。
【0093】
実施例15〜18は、本発明による耐火性複合反射シートまたは反射カバーシステムの種々の実施形態を示しており、これらは、難燃性材料でできた防火ブランケット層、または耐火性コーティングを有する反射シート層を含み、断熱スペーサー層を有する場合、または有さない場合がある。
【0094】
実施例19および20は、放射熱に対する非常に高度な保護を有する本発明による複合反射シートを形成するための相変化物質および/またはヒートシンク材料のスペーサー層としての使用を示している。
【0095】
実施例21
本発明による複合反射シートを形成するための層として内部にPCMを含むACLの使用の例を示すために、以下の実験を行った。
【0096】
ACL要素は、E.I.DuPont de Nemours & Company製造のE88(あるいはE88C)Nomex(登録商標)フェルトが詰め込まれた銅箔のケースで構成された。タイプE88/E88Cのスパンレース布は、高度の飽和性が必要であり、厳しい耐熱性、難燃性、または耐薬品性の要求を満たす必要がある用途のために設計されている。これらの不織シートは、液体が容易に飽和することができる開放構造および多孔質構造を有する。ACL要素中に使用した内部の冷却剤/PCMは純水であった。長さ39cm×幅2.4cm×厚さ1mmの2つのACL要素を、それらの長軸に沿って垂直に、初期には63℃である320gの水が入った直径7cmの同じ円筒形セラミック容器中に入れ、それによってACL要素の水中に入った長さは9cmとなった。対照として初期には63℃である320gの水が入れられた同じセラミック円筒容器を、2つのACL要素が入った円筒容器の隣に置いた。容器底部からの伝導冷却を最小限にするために、両方の円筒容器を厚さ8mmのTeflonプラーク上に載せた。周囲温度は22℃であり、外部の放射線は有さなかった。最初に温水を満たした後に、各円筒容器の水の温度をある時間間隔で測定した。結果を表4に示す。
【0097】
【表4】
【0098】
2つのACL要素を使用した場合に有意な温度低下が観察され、本発明による複合反射性通気性シートの形成に好都合であることを示している。実施例9の反射性通気性シートと組み合わせることで、さらなるに温度管理の利点が確認された。
【0099】
このようなACL要素は、三次元伝熱特性を有し、
図1〜6に示されるような本発明の複合組立体の通気性および反射率を維持するために最も好適な構成中に配置することができる。ケースは、アルミニウム複合材料、銅、セラミック、繊維状混合物、およびそれらの合金、ならびに固有熱伝導率、好適な機械抵抗を有し機械加工や成形が可能なあらゆる材料、ならびにそれらの組み合わせを含む材料でできていてよい。
【0100】
模擬的な荷物カバーの試験
40.6cm×31.8cm×25.4cmの寸法のダンボール箱を使用して、種々の構成の反射性通気性カバーによって保護される製品の模擬実験を行った。電池式の温度記録計を各箱の底の中央にテープで留め、水の入った3リットルのポリエチレンボトルを、温度記録計に触れないように確認しながら、各箱の内壁にテープで留めた。箱を閉じ、試験するカバー材料の1つの層を用いて同じ方法で包み、包装を固定するために接着テープを使用した。各カバー材料で、カバー材料が箱と接触するように1つの箱をしっかりと包み、第2の同一の箱は、カバーとおよび箱との間に空隙を維持するために箱の上部および隣接する側面に接着した20個の小さな厚さ1.9cmの断熱フォームスペーサーを取り付けた後に、カバー材料で包んだ。最初に箱は、すべてが同じ内部温度に到達するように、実験室内に終夜保管し、次に箱を外に出し、木製パレット上に1層で1つのパレットに4つの箱を不規則に配置して、あらゆる外部からの影および隣接する箱の影から離れて箱が完全に太陽に露出するようにした。これらの箱を2010年4月18日から19日のRichmond,Virginia,USAで全体的に快晴の日中および澄んだ寒い夜の間に周囲条件に曝露した(履歴の報告はhttp://weathersource.com/past−weather/weather−history−reports/で入手可能である)。次に箱を開き、温度記録計のデータを収集した。
【0101】
比較例22
E.I.DuPont de Nemours and Companyより入手可能な比較例5のTyvek(登録商標)1560Bを使用して箱を包んだ。
【0102】
比較例23
実施例8のTyvek(登録商標)1560Mを使用して、金属化側が外側となり外部環境に向かうようにして箱を包んだ。
【0103】
実施例24
実施例8のTyvek(登録商標)1560Mを使用して、金属化側が内側となり箱に面するようにして箱を包んだ。
【0104】
温度データを表5に記載している。
【表5】
【0105】
これらの例は、通気性反射シートを金属層を内側にして使用して荷物を覆う場合は、金属層を外側にして使用する同じシート、および金属製を有さない通気性反射カバーを使用する場合よりも、模擬実験される荷物の最高温度および温度変動範囲が低くなることを示している。結果は、カバーと荷物との間のスペーサー層によるさらなる利点も示されている。この実験では、本発明の通気性反射シートでは、温度が10℃上昇するのに要する時間が、白色カバーの場合よりも、スペーサー層がない場合で約25分、スペーサー層がある場合で75分長くなった。
【0106】
本発明の反射シートを含む荷物カバーの利点を示すために、本発明によるカバーおよび別のカバー設計によって保護される同じ模擬実験用荷物の温度を監視しながら、同時に、直射日光への曝露などの種々の外部気象条件に曝露し、荷物よりも大幅に高い周囲温度に曝露した。これによって、輸送中に生じうる周囲温度の急激で極端な種類の変動を再現した。
【0107】
4つの同一の模擬実験用荷物は、BS EN 12546:2−2000:Materials and articles in contact with food products−Insulated containers for domestic use − Part 2:Specification for insulated bags and boxesに準拠して以下のように構成した。幅800mm×長さ1200mm6つの標準的なユーロパレットを、4つの同一の模擬実験用荷物の積荷の台座として使用した。以下に別に示される場合を除けば、模擬実験用荷物をパレットに搭載する前に、パレットと同じ寸法のTyvek(登録商標)1560Bのベースシートをパレット上に置くことで、荷物の底部を閉じて空気の循環を防止した。市販のミネラルウォーターの500mlのPETボトル(直径55mm×高さ220mm)を6×4の配列のカートントレイに詰め込み、各パックで無作為に8本のボトルを空のボトルと交換することで、各パックの空気対水の体積比が50:50になるようにした。各パック中のボトルの外側に接着テープを巻き付けてボトルを固定した。このようなパックのボトルの4つの層を、各パレット上に搭載し、各層は、3×3に配列した9パックのボトルからなった。このようにして、6つの模擬実験用荷物を作製し、それぞれ高さ1mで1296本のミネラルウォーターのボトルからなり、その1/3は空であり、荷物の内側で全体で50%の空気体積が達成され、荷物中に432リットルの水が存在し、標準的な全熱容量が得られる。各模擬実験用荷物の作製中、4つの電池式温度記録計を荷物中に入れ、1つはボトルパックの最低層の底部の左前の角、1つはボトルパックの第2の層の中央、1つはボトルパックの最上層の上部の右後の角、1つはボトルパックの最上層の中央の荷物の上に置いた。使用した温度記録計は、iButton製造のThermobutton(登録商標)タイプ22Lであり、+85℃〜−40℃の測定範囲を有し、分解能は0.1℃であり、記録計のサンプリング速度は5分ごとに1つのデータ点に設定した。次に3つのこれらの同一の模擬実験用荷物を試験される種々の材料でできた荷物カバーで覆い、第4の荷物は、以下の非限定的な例で荷物を安定化させるためにストレッチラップフィルムのみで覆った。
【0108】
比較例25
Tyvek(登録商標)1560Bの底部シート、およびE.I.DuPont de Nemours and Companyより入手可能な実施例5の白色通気性ポリエチレン不織シートであるTyvek(登録商標)1560Bでできたカバー。カバー材料は、高さ1.2m×深さ0.82m×幅1.22mの立方形に成形し、両面接着テープを塩右して垂直の辺に沿って閉じ、底面は開放して、パレット上の模擬実験用荷物の上に容易に引き上げることができ、模擬実験用荷物を完全に覆うがゆるく覆うようにした。
【0109】
実施例26
Tyvek(登録商標)1560Bの底部シート、およびE.I.DuPont de Nemours and Companyより市販される実施例7の通気性金属化ポリエチレン不織布で反射性のTyvek(登録商標)3563Mでできたカバー。カバー材料は、比較例25に記載のように立方形に成形し、これを使用して模擬実験用荷物を完全に覆うがゆるく覆い、カバーの金属層が内側で模擬実験用荷物に面するようにした。
【0110】
比較例27
Tyvek(登録商標)1560Bの底部シート、およびIsohood 2L−2(EcoCool GmbHより入手可能な厚さ6mmの両面金属化バブルラップ)のシートでできたカバー。これを金属化表面が外側で外部に向かうように1層で使用して、模擬実験用荷物を完全に覆うがゆるく覆うようにテープで固定した。
【0111】
比較例28
輸送用のパレット貨物の安定化および保護に使用される典型的な方法で、模擬実験用荷物を比較例2の23ミクロンのポリエチレンストレッチラップであるResinex 581を包んだ。この場合、一般的な方法と同様に、底部シートは使用しなかった。
【0112】
動作範囲が−40℃〜+70℃であり分解能が0.1℃であるVoltcraft DL 120 TH/DL 100 T温度記録計を各模擬実験用荷物のカバーの外側に配置して、後の実験中に5分ごとに周囲温度を記録した。
【0113】
最初に4つの模擬実験用荷物を、直射日光の曝露がない温度制御された建物中で20℃の開始温度で数日間コンディショニングを行った。
【0114】
屋外曝露:
模擬実験用荷物を、パレット上で、温度制御された建物から取り出して、東西方向の線でパレット幅1つを超える距離だけ離して、影のない屋外に配置し、真南に対して同じ方向で各パレット上で温度記録計を使用した。模擬実験用荷物を、Luxembourgの周囲条件で2011年8月1日から3日の連続する2昼夜の間連続して曝露し、その間の気候は乾燥し、雲量は最小限であった。
【0115】
50℃チャンバー:
2日間の屋外曝露の後、模擬実験用荷物を、+50℃(±2℃)の制御された空気温度に加熱したチャンバー中にできる限りほぼ同時に移動し、そこで18時間保管した。荷物の積み下ろしに照明が使用される場合を除けば、この時間の加熱チャンバー内部は暗かった。
【0116】
温度曝露サイクルの終了後、模擬実験用荷物を冷却して室温に戻し、カバーを取り外し、データ分析のため温度記録計を回収した。結果を表6および7にまとめている。
【0117】
【表6】
*RMS=二乗平均の平方根、すなわち、試験中に5分ごとの時間間隔で記録した開始温度からの温度変化の二乗の合計の平方根であり、2回の昼夜温度サイクルでの開始温度からの周期的変動の大きさの尺度となる。
【0118】
実施例26の結果は、本発明の通気性反射シートでできた荷物カバーによって、外部温度が変化し荷物が日光曝露および暗所に交互にさらされる場合の荷物温度の変動範囲が大きく減少することを示している。金属層を有さない比較のための通気性シートの比較例25では有効性が低い。金属化バブルラップの比較例27は温度変動の減少には効果的であるが、通気性ではなく、本発明の反射シートの10倍を超える厚さであり、はるかに可撓性が低く、そのため、荷物への取り付けは、より困難となる。パレットに搭載される荷物の安定化に通常使用されるものなどのポリエチレンストレッチラップの比較例28は通気性ではなく、熱保護は得られず、実際に周囲環境を超える温度変動が生じる。
【0119】
【表7】
【0120】
これらの結果は、本発明の通気性反射シートを含む荷物カバーが、荷物が高温環境に置かれる場合、さらには日光への直接曝露がない場合に、温度変化速度を低下させるのに有効である事を示している。
【0121】
上記の例および値は説明のみを目的としており、限定しているものと解釈すべきではない。本発明の異なる実施形態を互いに組み合わせて、覆われる製品の個別の条件(たとえば許容される温度範囲、呼吸、気体生成、熱発生、湿気に対する影響など)に適合し、輸送中に生じる条件に適合する製品(すなわちシートまたはカバー)を形成することができる。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1.製品を覆うためのシートであって、保護される製品から見て外側および内側を有する高反射性透湿性基材でできた少なくとも1つの層を含み、制御された透湿性を供給しながら高反射低対流による断熱を供給するために、前記内側が少なくとも1つの適切な放射率を実現する金属層をさらに含む、シート。
2.前記少なくとも1つの金属層が物理蒸着(PVD)プロセスによって堆積される、上記1に記載のシート。
3.前記高反射性透湿性基材が、1種類以上の天然または合成の繊維またはフィラメントを含む不織布または織布である、上記1または2に記載のシート。
4.前記高反射性透湿性基材がフラッシュ紡糸不織布である、上記1〜3のいずれか一に記載のシート。
5.前記金属層上に堆積またはコーティングされた保護層をさらに含む、上記1〜4のいずれか一に記載のシート。
6.その内側に、制御された透湿性の難燃層をさらに含む、上記1〜5のいずれか一に記載のシート。
7.前記難燃層が制御された透湿性のコーティングまたは繊維を含む、上記6に記載のシート。
8.その内側に制御された透湿性の断熱空間層をさらに含む、上記1〜7のいずれか一に記載のシート。
9.前記透湿性の断熱空間層が、生物系資源から本質的に得られるフォームを含む、上記8に記載のシート。
10.前記生物系資源が植物油、ならびに天然または合成のタンニン類を含む、上記9に記載のシート。
11.冷却剤、蒸発部分(EP)、および凝縮部分(CP)を含む封止層を含み、それによって前記冷却剤は前記蒸発部分に流れて蒸発して、前記凝縮部分に向かい、次に凝縮することで、熱を放散させる、上記1〜10のいずれか一に記載のシート。
12.前記凝縮部分が前記金属層に接触する、上記11に記載のシート。
13.前記断熱空間層の片側または両側に取り付けられた接着層または接着促進層をさらに含む、上記7〜12のいずれか一に記載のシート。
14.上記1〜13のいずれか一に記載の少なくとも2つの反射シートと、前記少なくとも2つの反射シートの間の断熱空間層(6)とを含む、複合シート。
15.製品を覆うための難燃性シートであって、保護される製品から見て外側および内側を有する高反射性透湿性基材でできた少なくとも1つの層を含み、前記内側または前記外側またはその両方が少なくとも1つの金属層をさらに含み、前記内側が難燃層をさらに含む、難燃性シート。
16.物理蒸着(PVD)プロセスによって前記少なくとも1つの金属層が堆積される、上記15に記載の難燃性シート。
17.前記高反射性透湿性基材が、1種類以上の天然または合成の繊維またはフィラメントを含む不織布または織布である、上記15または16に記載の難燃性シート。
18.前記高反射性透湿性基材がフラッシュ紡糸不織布である、上記15〜17のいずれか一に記載の難燃性シート。
19.前記金属層上に堆積された保護層または保護コーティングをさらに含む、上記15〜18のいずれか一に記載の難燃性シート。
20.上記1〜14のいずれか一に記載の反射シートと、上記15〜19のいずれか一に記載の難燃性シートとを含む、複合シート。
21.製品を覆うための難燃性シートであって、外側および内側を有する耐火性繊維混合物の少なくとも1つの層と、前記外側または前記内側またはその両方における少なくとも1つの金属層とを含む、難燃性シート。
22.前記少なくとも1つの金属層が物理蒸着(PVD)プロセスによって堆積される、上記21に記載の難燃性シート。
23.前記金属層上に保護層が堆積またはコーティングされる、上記21または22に記載の難燃性シート。
24.上記1〜13のいずれか一に記載の反射シートと、上記21〜23のいずれか一に記載の難燃性シートとを含む、複合シート。
25.製品用のカバーであって、上記1〜14のいずれか一に記載の少なくとも1つの反射シート、あるいは上記20または上記24に記載の複合シートを含み、前記反射シートの前記金属層を有する側が前記製品に向けられる、カバー。
26.温度に敏感な製品のためのカバーである、上記25に記載のカバー。
27.腐敗しやすい製品、あるいは電気または電子デバイスのためのカバーである、上記26に記載のカバー。
28.製品のカバーを形成するための、上記1〜14のいずれか一に記載の反射シート、あるいは上記15〜19および21〜23のいずれか一に記載の難燃性シート、あるいは上記20または24に記載の複合シート、あるいは上記25〜27のいずれか一に記載のカバーの、単独または互いに組み合わせての使用であって、前記反射シートの前記金属層を有する側が前記製品に向けられる、使用。
29.上記1〜14のいずれか一に記載の反射シート、あるいは上記20または24に記載の複合シート、あるいは上記25〜27のいずれか一に記載のカバーで覆われた製品であって、前記反射シートの前記金属層を有する側が前記製品に向けられる、製品。