(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140169
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】調整可能な支持を伴う小ゲージ外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20170522BHJP
A61F 9/011 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
A61F9/007 130C
A61F9/007 130H
A61F9/007 170
A61F9/007 200Z
A61F9/011
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-533315(P2014-533315)
(86)(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公表番号】特表2014-530681(P2014-530681A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】US2012057545
(87)【国際公開番号】WO2013049341
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月24日
(31)【優先権主張番号】61/539,655
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514076102
【氏名又は名称】ライアン,エドウィン
【氏名又は名称原語表記】RYAN,Edwin
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】110000132
【氏名又は名称】大菅内外国特許事務所特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ライアン,エドウィン
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0033309(US,A1)
【文献】
特表2006−522648(JP,A)
【文献】
特表平10−502566(JP,A)
【文献】
特公昭61−009851(JP,B2)
【文献】
特開2009−225989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61F 9/011
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
途切れのない把持側面を有するベース・ユニットであって、どの側面上にも突出するものがない、ベース・ユニットと、
前記ベース・ユニットから延び、ある長さを有する小径器具と、
前記ベース・ユニットの内部を経由し前記小径器具に達する1つ以上の供給ラインと、
前記長さに沿ってスライド可能に前記小径器具に連結された支持フレームと、
前記小径器具に2つ以上の異なるレベルの横方向の支持を提供するための、前記支持フレーム用の調整機構と、
を備え、
前記支持フレームが、前記1つ以上の供給ラインから離隔しており、かつ、前記把持側面の中に含まれる、眼科用器具。
【請求項2】
前記調整機構が、前記ベース・ユニット内のホールの中でスライドする1つ以上のロッドを含む、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項3】
前記調整機構が、前記異なるレベルの横方向の支持を示すための目盛りをロッドの側面上に含む、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項4】
前記調整機構が、前記横方向の支持のレベルを調整するためのねじ式ノブを含む、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項5】
前記調整機構が、前記ねじ式ノブと前記1つ以上のロッドとの間に柔軟ケーブルを含む、請求項4に記載の眼科用器具。
【請求項6】
前記1つ以上の供給ラインが、光ファイバ、媒体注入、吸引、薬剤からなる群から選択される供給ライン、または他の流体送達を含む、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項7】
前記1つ以上の供給ラインが、切削ツール、鉗子、鋏からなる群から選択される器具を送達させるための供給ラインを含む、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項8】
前記支持フレームが、前記小径器具の周囲に密着してフィットする円筒を含む、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項9】
前記小径器具の直径が、約23ゲージであるか又はこれよりも小さい、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項10】
前記小径器具の直径が、約25ゲージである、請求項1に記載の眼科用器具。
【請求項11】
前記小径器具の直径が、約27ゲージである、請求項1に記載の眼科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日2011年9月27日、名称「SMALL GAUGE SURGICAL INSTRUMENT WITH ADJUSTABLE SUPPORT」、米国特許仮出願第61/539,655号の優先権の利益を主張する。同出願全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、
一般に、眼の手術などの外科的
処置のため
に使用する小ゲージ器具に関する。
【背景技術】
【0003】
眼科手術は、より小さな切り口を作る、より小型の器具へと前進し続けている。現在最も一般的な切り口サイズは、20ゲージ(直径約1.0mm)であるが、わずか27ゲージ(直径約0.41mm)のより新規な器具が利用されており、将来は、器具はより小型化される可能性がある。切り口をより小さくすることの利点は多数あるが、それには、損傷が軽減されること、治癒がより急速になること、(縫合のない)創傷管理がより高速になること、患者の快適性が増大されることが含まれる。
【0004】
しかし、器具を小型化していくことには問題が存在する。器具の直径が小さいと器具が非常に柔軟になるが、このことは、外科医には不都合である。器具の直径をより大きくすると、「遊び」がほとんどなくなるので、器具の先端が、正確に外科医の望む位置に達する。直径を小さくした器具では、微細なワイヤ様器具の屈曲または撓曲に起因して、意図した位置から先端が移動することがあり、これにより、外科医は、制御を失ったように感じる。
【0005】
小型器具の屈曲または撓曲は、たとえば周辺硝子体の除去などのいくつかの
処置において、外科医による視認を可能にするために眼の向きを変えなければならない場合に、特に懸念される。眼の向きを変えることは、眼の一部分に器具の一部分を挿入したまま、患者の頭に対して器具を動かすことにより実現される。器具の撓曲の量は、相対的に大きく、外科医には予測不可能なので、眼の位置を正確に動かすことがより困難になる。さらに、器具が柔軟すぎることにより、動きの不正確性がもたらされると、網膜表面からの膜の剥離などの繊細な手技が更に著しく困難になる。
【0006】
ますます小さくなる直径に適応し、望まれない撓曲なしに正確な制御をなお実現する器具設計が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本器具および関連方法は、眼科手術用器具などの非常に小型で柔軟な器具の「遊び」を減少させる手段を提供する。記載する実施形態には、剛性などの特性を外科医が調整可能な設計が含まれる。記載する実施形態には、硝子体腔の全ての部分へのアクセスを可能にする調整手段も含まれる。記載する実施形態には、調整機構も含まれるが、この機構では、ベース・ユニットの中心部内にいくつかの供給ラインを残したままで、小径器具の支持のレベルを変動させることが可能であり、支持フレームが、ベース・ユニットの実質的に途切れのない把持面の中に含まれる。
【0008】
本器具および本明細書に開示する関連方法をより良好に説明するために、非限定的な例の一覧を以下に示す。
【0009】
例1では、眼科用器具が、把持側面を有するベース・ユニットと、ベース・ユニットから延び、ある全長を有する小径器具と、ベース・ユニットの内部を経由し小径器具に達する1つまたは複数の供給ラインと、小型器具の全長に沿ってスライド可能に小径器具に連結された支持フレームと、2以上の様々なレベルの横方向の支持を小径器具に提供するための支持フレーム用調整機構とを含み、支持フレームは、1つまたは複数の供給ラインから離隔しており、把持側面の中に含まれる。
【0010】
例2では、例1の眼科用器具が、ベース・ユニット内のホールの中でスライドする1つまたは複数のロッドを調整機構が含むように、任意選択で構成される。
【0011】
例3では、例1〜2のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、様々なレベルの横方向の支持を示すための
目盛りを調整機構がロッドの側面上に有するように、任意選択で構成される。
【0012】
例4では、例1〜3のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、横方向の支持のレベルを調整するためのねじ式ノブを調整機構が含むように、任意選択で構成される。
【0013】
例5では、例1〜4のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、ねじ式ノブと1つまたは複数のロッドとの間に柔軟ケーブルを調整機構が含むように、任意選択で構成される。
【0014】
例6では、例1〜5のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、光ファイバ、媒体注入、吸引、薬剤からなる群から選択される供給ライン、または他の流体送達を1つまたは複数の供給ラインが含むように、任意選択で構成される。
【0015】
例7では、例1〜6のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、切削ツール、鉗子、鋏からなる群から選択される器具を送達させるための供給ラインを1つまたは複数の供給ラインが含むように、任意選択で構成される。
【0016】
例8では、例1〜7のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、小径器具の周囲に密接してフィットする円筒を支持フレームが含むように、任意選択で構成される。
【0017】
例9では、例1〜8のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、小径器具の直径が約23ゲージまたはこれよりも小さくなるように、任意選択で構成される。
【0018】
例10では、例1〜9のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、小径器具の直径が約25ゲージになるように、任意選択で構成される。
【0019】
例11では、例1〜10のうちのいずれか1つまたはその任意の組み合わせの眼科用器具が、小径器具の直径が約27ゲージになるように、任意選択で構成される。
【0020】
例12では、1つの方法が、器具のベース・ユニットの実質的に途切れのない側面を把持することと、横方向の支持のレベルを選択するために、直径が23ゲージまたはこれよりも小さい中空器具の全長に沿って支持デバイスを調整することと、小径器具を用いて横力を加えることとを含み、支持デバイスが、小径器具の横剛性を強化する。
【0021】
例13では、直径が23ゲージまたはこれよりも小さい中空器具の全長に沿って支持デバイスを調整することが、直径約25ゲージの中空器具の全長に沿って支持デバイスを調整することを含むように、例12の方法が任意選択で提供される。
【0022】
本器具の上記および他の例、本器具の上記および他の特徴、ならびに関連する方法、それらのいくらかを、以下の詳細な説明で述べる。この概要は、本主題の非限定的例を提供することを意図しており、排他的または網羅的な説明を提供することを意図しない。下記の詳細な説明は、本器具および方法についての更なる情報を提供するために含めている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態による器具の側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による
図1の器具の上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による他の器具の図である。
【
図4】本発明の一実施形態による器具を使用する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の詳細な説明では、説明の一部分を形成する添付の図面への言及を行うが、図面では、本発明を実施することのできる具体的な実施形態を例証として示している。様々な図面を通して、同様の番号は、実質的に類似した構成部品を表している。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することが可能になるように十分に詳細に説明している。他の実施形態も利用することができ、本発明の範囲を逸脱することなく、構造的な変化または論理的な変化などを加えることもできる。
【0025】
図1は、小径器具110および支持デバイス120を含む器具100を示す。小径器具110は、遠位端112および近位端114を含む。一例では、小径器具110が、中空管を含む。一例では、小径器具110の直径は、20ゲージよりも小さい。一例では、小径器具110の直径は、23ゲージか、またはこれよりも小さくなる。一例では、小径器具110の直径は、約25ゲージである。
【0026】
図示の小径器具110は、ベース・ユニット101から延びている。ベース・ユニット101は、把持側面102を含む。
処置中は、突出物、すなわち、ベース・ユニット101の外科医による握りを妨害することのある制御手段が把持
側面102に存在しないことが望ましい。一例では、ベース・ユニット101が、既存の眼科用デバイス内のベース・ユニットの寸法および形状と同じになるように構成される。本開示内容のベース・ユニット101が、調整可能な支持などの追加の特徴を伴って、既存のベース・ユニットと同じ動きをし、同じ感触になることが望ましい。
【0027】
ベース・ユニット101内に延び
且つベース・ユニット101の内部を経由する
1つ以上の供給ライン106が図示
されている。一例では、供給ライン106のうちの1つ
以上が、全般照明などの光ファイバ供給ライン、または、薬剤活性化、焼灼、切除などのためのレーザを含む。一例では、供給ライン106のうちの1つ
以上が、液体や気体などの媒体の注入もしくは薬剤の供給のための通路、または、材料吸入のための通路を含む。一例では、供給ライン106のうちの1つ
以上が、切削ツール(例、鋏、ブレード)などの器具、または、鉗子やプローブなどの他のツールのための導入器を含む。
【0028】
一例では、作製および使用を容易にするために、ベース・ユニット101のほぼ中心に供給線を通すことが望ましい。下記の構成では、供給線106の位置に影響をあたえることなく、または、把持面102の外への突出なしに、器具100の調整可能な特性が外科医に提供される。
【0029】
小径器具110および支持デバイス120は互いに対して調整可能であり、これにより、外科医が、小径器具110の
長さに沿っ
た様々な位置に支持を選択的に提供することが可能になる。小径器具の寸法を規定するのに「ゲージ」を使用しているが、本発明は、円形断面の器具に限定されない。非円形の小径器具について言及する場合、ゲージを規定するために、平均直径を使用することも可能である。
【0030】
一例では、小径器具110(25ゲージ等)のシャフトに沿って、適切な剛性の支持デバイス120を配置する。支持デバイス120が器具を安定させるので、目の内側にある先端の位置について、器具を使用する外科医の安心感が増す。終わりの作業のために、小径器具110の全長を選択的に眼に挿入することができるように、支持デバイス120を調整可能である。一般に終わりの作業では、外科医による捻る動きは最小限必要とされるので、安定化の必要性は低くなる。
【0031】
周辺硝子体切除術など、支持を増すことから恩恵を受けることとなる手技については、小径器具110のシャフトに沿って支持デバイス120を下げて、支持を増やすことが可能である。支持デバイス120を遠位端112に近づけるほど、外科医が眼を捻り、向きを変えた時の、小径器具110の遠位端112での遊びが少なくなる。
【0032】
一例では、支持デバイス120設計は、スライディング部分122を含むが、これは、支持の調整を可能にし、スライディング部分122内での小径器具110の横方向の動きを最小限に抑えるように、小径器具110に密着許容嵌合(close tolerance fit)している。一例では、スライディング部分122として、20ゲージの円筒が使用される。スライディング部分122は、小径器具111を囲むように、ステンレススチールなどの強固な材料から構築してもよい。小径器具110に並行する1つまたは複数のロッド126を含めた調整機構に、スライディング部分122を取り付ける。一例では、連結部材124を使用して、ロッド126にスライディング部分122を取り付ける。
図1は、ロッド126がベース・ユニット101中のホール104内をスライドして移動している様子を示す。横方向の支持のレベルを調整するために、1つまたは複数のロッド126に連結された制御手段130を押し引きして、小径器具110の全長に沿ってスライディング部分122を動かす。
【0033】
一例では、小径器具110の全長に対するスライディング部分122の相対位置を示すために、段階的に配列した線などの目盛り128または他の表示を含める。目盛り128を含めた例では、小径器具110にもたらされる様々なレベルの横方向の支持の表示が提供される。
【0034】
一例では、1つまたは複数のロッド126が、小径器具110に対しての選択位置に支持デバイス120を保持するレベルの摩擦を提供するホール104内の干渉公差(interference tolerance)になる。支持のレベルを選択すると、この干渉公差によりもたらされる摩擦は、支持デバイス120を定位置に保持するのに十分に高いが、摩擦のレベルは、外科医が次の支持調整を行うために摩擦に反して操作を行うことが可能であるほどに十分に低いものである。
【0035】
一例では、調整機構が、
互いに噛み合うデテント
(戻り止め)やラチェットなどの位置決めシステム108を含むが、これは、小径器具110に対する支持デバイス120の位置づけによる支持レベルの選択をもたらす。デテントやラチェットなどのシステムは、外科医に感触フィードバックを提供するが、これは、目盛り128とともに、動作するのが容易であり、調整がいつ行われたかを容易に知ることができる。
【0036】
図2は、
図1の器具100の端面図を示す。スライディング部分122を伴う小径器具110は、ベース・ユニット101のほぼ中心に示されている。図示のロッド126は、連結部材124によりスライディング部分122に連結されていることが示されている。
図2の例は、
中実ディスク形状の連結部材124を示しているが、本開示内容の恩恵を有する当業者は、ストラット形状や複雑形状の連結部材124などの他の構成が本発明の範囲に含まれることを理解するであろう。
【0037】
ほぼ等しく互いから離隔した3つのロッド126を
図2に示しているが、他の数のロッド126が本発明の範囲に含まれる。ほぼ等しく互いから離隔した3つのロッドは、安定した構成であり、これが、3つの軸への支持を提供して、安定性および制御性を増大させる。
【0038】
図3は、器具200の他の実施形態を示す。器具200の選択した特徴のみ詳細に議論する。選択した例では、器具100について先に記載した特徴も、器具200に組み込むことが可能である。
図3では、小径器具210および支持デバイス220を示している。小径器具210は、ベース・ユニット201から延びるように図示している。ベース・ユニット101は、把持側面202を含む。
【0039】
小径器具210は、遠位端212および近位端214を含む。
図1、2の器具100と同様に、一例では、小径器具110が中空管を含む。一例では、小径器具210の直径は、20ゲージよりも小さい。一例では、小径器具210の直径は、23ゲージか、またはこれよりも小さくなる。一例では、小径器具210の直径は、約25ゲージである。
【0040】
図3の器具200の支持デバイス220は、スライディング部分222を含むが、これは、支持の調整を可能にし、スライディング部分222内での小径器具210の横方向の動きを最小限に抑えるように、小径器具210に密着許容嵌合している。小径器具210に並行する1つまたは複数のロッド226を含めた調整機構に、スライディング部分222を取り付ける。一例では、連結部材224を使用して、ロッド226にスライディング部分222を取り付ける。
図3は、ロッド226がベース・ユニット201中のホール204内をスライドして移動している様子を示す。
【0041】
図3の例では、ロッド226は、ベース・ユニット201から突き出していない。図示の調整機構230はノブ240を含むが、これは、小径器具210の全長に沿ってスライディング部分222を動かして横方向の支持のレベルを調整するために、1つまたは複数のロッド226に連結されている。
図3は、ノブ240のねじ部分232を示すが、これは、受けねじポケット234内を動き、小径器具210の全長に沿ってスライディング部分222の位置を正確に制御する。ねじ部分232と1つまたは複数のロッド226との間に、ケーブル236または他の接続要素を提供する。ケーブル236などの柔軟な接続要素を使用すると、
図3に示すように、ノブ240がロッド226から横方向にずれることが可能になる。
【0042】
ノブ240を所望量回転させると、ケーブル236が通路238内を動き、ロッド226を作動する。一例では、ねじ部分232は、10mmの有効な移動範囲を提供し、これは、小径器具210の全長に沿って、ケーブル236およびロッド226から、スライディング部分222の位置までで並進する。一例では、ノブ240とスライディング部分222との間のリンク機構に、ベアリングまたは他の回転ジョイントを含める。一例では、ロッドを押し引きしながら、ベアリングまたは他の回転ジョイントにより、ロッド226に対してケーブルが回転することが可能になるように、位置242でケーブル236を連結して、小径器具210の全長に沿ってのスライディング部分222の調整を可能にする。
【0043】
図1および2の器具100での場合と同様に、一例では、小径器具210の全長に対するスライディング部分222の相対位置を示すために、段階的に配列した線などの目盛り228または他の表示を含める。一例では、ほぼ等しく互いから離隔した3つのロッド226を支持デバイス220中で使用しているが、他の数のロッド226が本発明の範囲に含まれる。ほぼ等しく互いから離隔した3つのロッドは、安定した構成であり、これが、3つの軸への支持を提供して、安定性および制御性を増大させる。
【0044】
例示的器具100および200はともに、調整機構を示しているが、この機構では、ベース・ユニットの中心部内にいくつかの供給ラインを残したままで、小径器具の支持のレベルを変動させることが可能であり、支持フレームが、ベース・ユニットの実質的に途切れのない把持面の中に含まれる。実質的に途切れのない把持面から調整制御手段が突出しない。
【0045】
図4は、先の例で説明したものなどの支持デバイスを動作する例示的方法のフローチャートを示す。オペレーション402は、器具のベース・ユニットの実質的に途切れのない側面を把持することを記載する。オペレーション404は、直径が23ゲージであるか、またはこれよりも小さい中空器具の全長に沿って支持デバイスを調整して、横方向の支持のレベルを選択することを記載する。オペレーション404は、小径器具で横方向の力を加え、支持デバイスが、小径器具の横方向の剛性を高めることを記載する。
【0046】
硝子体手術用器具などの非常に小型で柔軟な器具の「遊び」を減少させる器具を図示している。先に記載した実施形態には、剛性などの特性を外科医が調整可能な設計が含まれる。先に記載した実施形態には、硝子体腔の全ての部分へのアクセスを可能にする調整手段も含まれる。上記の実施形態により、外科的手技をより安全にするための特徴が提供される。また、先に説明した実施形態により、より多くの種類のケースで、小型でより柔軟な器具が使用可能になる。硝子体手術を例示的手技として先に議論したが、先および添付の特許請求の範囲に記載の本発明の実施形態は、そのように限定されない。他の外科的手技も、これらデバイス構成がもたらす優位性からの恩恵を受けるであろう。
【0047】
本明細書に記載した実施形態のいくつかの有利な点を上で掲げたが、それは網羅的なものではない。先に説明した実施形態の他の有利な点が、本開示内容を読んだ当業者には明らかになるであろう。特定の実施形態を図示し、明細書中で説明してきたが、同一の目的を達成するために割り出した任意の構成を、先に示してきた特定の実施形態と置き換えることができることを当業者は理解するであろう。本願は、本発明の任意の適応形態または変形形態を網羅することを意図している。上の記載は、限定を行うものではなく、例証になることを意図することを理解されたい。上記の説明を検討すると、先の実施形態の組合せ、および他の実施形態が、当業者には明らかになるであろう。本発明の範囲には、上記の構造および作製方法が使用される他の任意の応用例が含まれる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に関連して、その特許請求の範囲が付与される全ての範囲の均等物とともに確定されるべきである。