特許第6140257号(P6140257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6140257
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】漏れ防止具
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/179 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   F16L55/179
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-238264(P2015-238264)
(22)【出願日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221638
【氏名又は名称】東尾メック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】福山 潤
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−173474(JP,A)
【文献】 特開2009−257544(JP,A)
【文献】 特表2013−534594(JP,A)
【文献】 特表2010−501813(JP,A)
【文献】 特表2009−501303(JP,A)
【文献】 特開2009−127686(JP,A)
【文献】 特開2014−074458(JP,A)
【文献】 特開2014−020474(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0199234(US,A1)
【文献】 米国特許第3944260(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/00−7/02
F16L 41/06
F16L 55/16−55/179
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継手(K)を介して2本以上のパイプ端部(Pa)(Pa)を相互に接続した配管接続部(J)を包囲する一対のカバー半体(10)(10)から成る包囲カバー(1)と、上記カバー半体(10)(10)の各々に配設される閉環状のパッキン(2)(2)と、を備え、
上記カバー半体(10)は、2本以上の上記パイプ端部(Pa)(Pa)の軸心(Lp)(Lp)を含む平面(S)に沿った合わせ面(11)と、チーズ型の管継手(K)に接続した3本の上記パイプ端部(Pa)(Pa)(Pa)に夫々対応する3つの半円弧状凹部(12)(12)(12)と、を有し、
記パッキン(2)は、上記合わせ面(11)に対応する平板状シール部(21)と、3つの上記半円弧状凹部(12)に夫々対応する3つの半円弧状シール部(22)と、を有し、
記パッキン(2)の平板状シール部(21)が相互に当接すると共に上記半円弧状シール部(22)が上記パイプ端部(Pa)に当接して、チーズ型の管継手(K)を有する上記配管接続部(J)を、密封包囲可能に構成した漏れ防止具に於て、
エルボ型の管継手(K)又はソケット型の管継手(K)に接続されている上記パイプ端部(Pa)に非対応の上記半円弧状シール部(22)に密着可能な擬似パイプ部(31)を有する閉塞栓(3)を具備し、上記非対応の半円弧状シール部(22)に上記閉塞栓(3)を対応させて、2本の上記パイプ端部(Pa)(Pa)を相互に接続するエルボ型の管継手(K)又はソケット型の管継手(K)を有する上記配管接続部(J)を、密封包囲可能に構成し、
さらに、上記半円弧状シール部(22)と上記パイプ端部(Pa)の間に介装されるシール内径調節用の半円弧型のパッキン片(5)を具備し、相互に異なる外径の上記パイプ端部(Pa)(Pa)の内の小径側に一対の上記パッキン片(5)(5)を配設して、相互に異なる外径の上記パイプ端部(Pa)同士を接続する異径型の管継手(K)を有する上記配管接続部(J)を、密封包囲可能に構成したことを特徴とする漏れ防止具。
【請求項2】
上記カバー半体(10)は、上記パッキン(2)が配設される凹溝部(15)を、有し、
上記凹溝部(15)は、溝幅寸法(W15)を、上記パッキン(2)の横断面幅寸法(W2)の1.2倍以上1.9倍以下に設定し、
上記パッキン(2)は、上記凹溝部(15)のカバー外方側の溝側壁面(15a)に寄せて配設している請求項1記載の漏れ防止具。
【請求項3】
上記パッキン(2)は、上記半円弧状シール部(22)の頂部(22d)から上記半円弧状シール部(22)の裾部(22e)に向かってシール肉厚寸法が増加するように設定している請求項1又は2記載の漏れ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏れ防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管継手を介して2本以上のパイプ端部を相互に接続した配管接続部から、水や湯等の被密封液体の漏洩が発生したとき、断水して管継手を交換するが、病院やホテル等の配管においては、直ぐに断水を行うことができないため、漏洩が発生したとき、又は、発生する以前に、上記配管接続部に、止水用粘着テープ(例えば、特許文献1参照)を巻着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−132173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、配管接続部の凹凸部や弯曲部に、粘着テープを密に巻着する作業は、手間と時間がかかるといった問題や、作業者の技能(熟練度)によって漏れ防止効果(止水性)が安定しないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、配管接続部から被密封液体の漏洩が発生したとき、又は、発生する以前に、漏れ対策を容易かつ迅速に行え、しかも、熟練した技能が無くとも安定した漏れ防止効果(止水性)を確実に得ることが可能な漏れ防止具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の漏れ防止具は、管継手を介して2本以上のパイプ端部を相互に接続した配管接続部を包囲する一対のカバー半体から成る包囲カバーと、上記カバー半体の各々に配設される閉環状のパッキンと、を備え、上記カバー半体は、2本以上の上記パイプ端部の軸心を含む平面に沿った合わせ面と、チーズ型の管継手に接続した3本の上記パイプ端部に夫々対応する3つの半円弧状凹部と、を有し、記パッキンは、上記合わせ面に対応する平板状シール部と、3つの上記半円弧状凹部に夫々対応する3つの半円弧状シール部と、を有し、上記パッキンの平板状シール部が相互に当接すると共に上記半円弧状シール部が上記パイプ端部に当接して、チーズ型の管継手を有する上記配管接続部を、密封包囲可能に構成した漏れ防止具に於て、エルボ型の管継手又はソケット型の管継手に接続されている上記パイプ端部に非対応の上記半円弧状シール部に密着可能な擬似パイプ部を有する閉塞栓を具備し、上記非対応の半円弧状シール部に上記閉塞栓を対応させて、2本の上記パイプ端部を相互に接続するエルボ型の管継手又はソケット型の管継手を有する上記配管接続部を、密封包囲可能に構成し、さらに、上記半円弧状シール部と上記パイプ端部の間に介装されるシール内径調節用の半円弧型のパッキン片を具備し、相互に異なる外径の上記パイプ端部の内の小径側に一対の上記パッキン片を配設して、相互に異なる外径の上記パイプ端部同士を接続する異径型の管継手を有する上記配管接続部を、密封包囲可能に構成したものである。
【0007】
また、上記カバー半体は、上記パッキンが配設される凹溝部を、有し、上記凹溝部は、溝幅寸法を、上記パッキンの横断面幅寸法の1.2倍以上1.9倍以下に設定し、上記パッキンは、上記凹溝部のカバー外方側の溝側壁面に寄せて配設しているものである。
また、上記パッキンは、上記半円弧状シール部の頂部から上記半円弧状シール部の裾部に向かってシール肉厚寸法が増加するように設定している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配管接続部から水や湯等の被密封液体の漏れが発生したとき、又は、発生する以前、のいずれにおいても、断水を行うことなく、漏れ対策を行うことができる。漏れ対策を容易かつ迅速に行うことができる。熟練した技能がなくとも確実に漏れを防止できると共に、安定したシール性(止水性)を得ることができる。特に、病院やホテル等で、被密封流体を24時間年中送流させる必要がある循環型給湯配管の配管接続部に対して、漏れ対策を行うのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態を示し、密封包囲状態の一例を示す正面図である。
図2】密封包囲状態の側面図である。
図3】合体準備状態の一例を示す正面図である。
図4】カバー半体の一例を示す全体図であって、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
図5】パッキンの一例を示す全体図であって、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
図6】要部拡大断面図である。
図7】要部拡大断面図である。
図8】管継手がエルボ型の場合の密封包囲状態を示す正面図である。
図9】管継手がエルボ型の場合の合体準備状態を示す正面図である。
図10】管継手がソケット型の場合の合体準備状態を示す正面図である。
図11】要部拡大正面図である。
図12】要部拡大斜視図である。
図13】管継手が異径のソケット型の場合の合体準備状態を示す正面図である。
図14】要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る漏れ防止具は、図1乃至図3に示すように、管継手Kを介して2本以上のパイプ端部Paを相互に接続した配管接続部Jを包囲する一対のカバー半体10,10から成る包囲カバー1と、カバー半体10,10の各々に配設される閉環状のパッキン2,2と、一対のカバー半体10,10を合体させると共に一対のパッキン2,2を一対のカバー半体10,10にて挟持状に保持するための締め付け手段8と、を備えている。
言い換えると、包囲カバー1は、2本以上のパイプ端部Pa,Paの軸心Lp,Lpを含む平面S(以下、基準平面Sと呼ぶ場合がある)に沿って2分割される一対のカバー半体10,10を備えている。
【0011】
図1及び図2に示すように、一対のカバー半体10,10で一対のパッキン2,2を挟持状に保持しつつ、締め付け手段8で一対のカバー半体10,10を合体させて包囲カバー1を形成して、配管接続部Jを密封包囲した状態を、密封包囲状態又は合体状態と呼ぶ場合がある。
図3に示すように、一対のカバー半体10,10の一方に配管接続部Jを対応させた状態を、合体準備状態と呼ぶ場合がある。
なお、図3図9乃至図13において、パッキン2は、他部材との判別を容易にするために格子状の網掛け模様を付与して図示している。
【0012】
図1乃至図4に示すように、基準平面Sに沿った(平行状の)合わせ面11と、パイプ端部Paに対応する半円弧状凹部12と、管継手K及びパイプ端部Paに対応し主として管継手Kを収容(対応)するための横断面半円弧状の収容凹部13と、を有している。
【0013】
図例において、カバー半体10は、チーズ型の管継手K(チーズ継手Kt)に接続した3本のパイプPa,Pa,Paに夫々対応可能な3つの半円弧状凹部12,12,12と、チーズ継手Kt及びパイプ端部Paに対応する平面視(正面視)T字状の収容凹部13と、を有している。
つまり、包囲カバー1(合体状態の一対のカバー半体10,10)は、一対のカバー半体10,10の半円弧状凹部12,12で形成されるパイプ挿通用のカバー開口部1gを3つ有し、さらに、一対のカバー半体10,10の収容凹部13,13で形成されるチーズ継手型内部空間部を有する形状(チーズ継手形状)である。
【0014】
さらに、カバー半体10は、合わせ面11及び半円弧状凹部12に、パッキン2が配設される凹溝部15を有している。
凹溝部15は、カバー外方側の溝側壁面15aと、カバー内方側の溝側壁面15bと、溝底面15cと、を有する横断面コの字状である。
図6に示すように、凹溝部15の溝幅寸法W15は、パッキン2の横断面幅寸法W2よりも大きく形成している。より具体的には、溝幅寸法W15を、横断面幅寸法W2の1.2倍以上1.9倍以下に設定している。
そして、パッキン2を、凹溝部15のカバー外方側の溝側壁面15aに寄せて配設している。
このように構成することで、パッキン2,2がカバー半体10から圧縮力を受けた場合に、主としてカバー内方側へ広がるように弾性変形し、水や湯等の被密封液体からの液圧(水圧)を受け止めやすくすると共に、カバー外方側へ飛び出すのを防止する。
【0015】
図5に示すように、パッキン2は、横断面一文字状の細帯閉環状であって、合わせ面11に対応する(基準平面Sに平行状の)平板状シール部21と、3つの半円弧状凹部12に夫々対応する3つの半円弧状シール部22と、を有している。
また、密封包囲状態で、一対のパッキン2,2は、一方の半円弧状シール部22と他方の半円弧状シール部22で、パイプシール用の円形状の開口パッキン部2g(図2参照)を3つ形成する。
【0016】
半円弧状シール部22は、頂部肉厚寸法t22を、平板状シール部21の板厚寸法t21と同等に設定している。同等に設定しているとは、頂部肉厚寸法t22を板厚寸法t21の0.8倍以上1.2倍以下に設定することをいう。
半円弧状シール部22の内周面22bの曲率半径Rbの内周中心点Qbに対して、半円弧状シール部22の外周面22aの曲率半径Raの外周中心点Qaを、頂部22dから離間するラジアル外方向Yへ所定寸法Zだけ平行移動状に偏心させて、半円弧状シール部22の頂部22dから半円弧状シール部22の裾部22eに向ってシール肉厚寸法が増加するように設定している。このように設定することで、密封包囲状態において、半円弧状シール部22の頂部22d側の圧縮率と裾部22e側の圧縮率を同等にでき略均一にパイプ端部Paに密着して、確実かつ安定して所定のシール性能を発揮できる。
さらに、半円弧状シール部22の外周面22aと、平板状シール部21の背面21aとが接するシール隅部26が肉厚となるようにR状に設けている。
【0017】
そして、図7に示すように、密封包囲状態において、パッキン2は、平板状シール部21の表て面21b同士が相互に当接(圧接)し、半円弧状シール部22の内周面22bがパイプ端部Paに当接(圧接)し、平板状シール部21の背面21aが合わせ面11の溝底面15cに圧接し、半円弧状シール部22の外周面22aが半円弧状凹部12の溝底面15cに圧接して、シール作用を発揮する。
【0018】
さらに、平板状シール部21に対応する(合わせ面11に設けられた)凹溝部15の溝底面15cと、半円弧状シール部22に対応する(半円弧状凹部12に設けられた)凹溝部15の溝底面15cと、が接する(面取状乃至R状の)溝角部15eが、R状のシール隅部26を、平板状シール部21の表て面21b及び半円弧状シール部22の内周面22b側へ押圧するように食い込む。なお、参考例として、この図7に溝角部15eが食い込まない場合のシール隅部26を二点鎖線で図示している。
このように、密封包囲状態において、シール隅部26に溝角部15eが食い込むように構成することで、シール隅部26近傍とパイプ端部Paとの密着力や、一方のパッキン2のシール隅部26近傍と他方のパッキン2のシール隅部26近傍との密着力を向上できる。また、カバー内方からの液圧(水圧)に耐えられる密着力(圧接力)が得られる。
【0019】
ここで、密封包囲状態で半円弧状シール部22の内周面22b(開口パッキン部2g)が密着可能な外径寸法を有するパイプ端部Paを第1外径パイプ端部Paと呼ぶと、一対のカバー半体10,10及び一対のパッキン2,2は、チーズ継手Ktを介して3本の第1外径パイプ端部Paが相互に接続された配管接続部Jを密封包囲して漏れを防止する。
【0020】
なお、本発明において「漏れ防止」や「漏れを防止」とは、配管接続部Jから漏れる被密封液体を配管接続部Jの近傍(包囲カバー1の内部)に留めて、配管接続部Jの周囲にある床面、壁面、天井面、機械や電気系設備、他の配管部等に、被密封液体がかからないようにする(包囲カバー1の外部に拡散させない)ことである。したがって、本発明の漏れ防止具は、配管接続部Jから被密封液体が漏れる以前、又は、漏れた後、いずれのタイミングで配管接続部Jを密封包囲(配管接続部Jに外嵌状に取着)して用いても良い。
【0021】
次に、図8乃至図10に示すように、エルボ型の管継手K(エルボ継手Ke)又はソケット型の管継手K(ソケット継手Ks)に接続されている2本パイプ端部Pa,Paに非対応となる半円弧状凹部12(12B)に半円弧状シール部22(22B)を介して配設される閉塞栓3を備えている。つまり、閉塞栓3は、パイプ端部Paに非対応となる半円弧状シール部22Bに対応して配設される。
【0022】
閉塞栓3は、カバー外方側に開口する有底筒状であって、パイプ端部Paに非対応の半円弧状シール部22Bに密着可能な横断面円形の擬似パイプ部31と、収容凹部13においてパイプ端部Paに非対応の半円弧状凹部12B近傍に配設される補てん部32と、パイプ端部Paに非対応となる半円弧状凹部12B近傍のカバー内方側壁面16に対面状に配設される抜け防止用の第1ストッパ面33と、パイプ端部Paに非対応となる半円弧状凹部12B近傍のカバー外方側壁面17に対面状に配設される没入防止用の第2ストッパ面34と、を有している。
【0023】
言い換えると、図8に示すように、閉塞栓3は、密封包囲状態で、パイプ端部Paが対応していないカバー開口部1gに開口パッキン部2gを介して配設され、パイプ端部Paに非対応の開口パッキン部2gと密着して、カバー開口部1gを閉塞する。
【0024】
つまり、一対のカバー半体10,10と、一対のパッキン2,2と、1つの閉塞栓3とで、2本の第1外径パイプ端部Pa,Paを相互に接続するエルボ継手Ke又はソケット継手Ksを有する配管接続部Jを密封包囲して漏れを防止する。
【0025】
また、閉塞栓3の補てん部32は、収容凹部13において、エルボ継手Ke又はソケット継手Ksと、パイプ端部Paと、に非対応の部位(空間)に対応する(配設される)。
つまり、配管接続部Jから被密封液体が漏れている場合に、密封包囲状態の包囲カバー1の内部空間部に貯液される被密封液体(死水)の貯液量を減少させる(死水の貯まる虞のある容積を減少させる)。
【0026】
閉塞栓3は、補てん部32が円筒形状の擬似パイプ部31よりも大径の有底円筒形状であって、擬似パイプ部31と補てん部32との段差端面を第1ストッパ面33とし、擬似パイプ部31のカバー外方側端部(先端部)に設けた外鍔状面を第2ストッパ面34としている。
【0027】
次に、図11乃至図14に示すように、パッキン2の半円弧状シール部22に対応する半円弧型のパッキン片5を備えている。
パッキン片5は、半円弧状シール部22の内周面曲率半径Rb(図5参照)よりも小さい曲率半径を有する内周面5bを有している。
【0028】
ここで、第1外径パイプ端部Paよりも小径のパイプ端部Paを第2外径パイプ端部Pa´と呼ぶと、密封包囲状態において、パッキン片5の内周面5bは、第2外径パイプ端部Pa´に密着可能に設定している。
また、密封包囲状態で半円弧状シール部22の内周面22bに密着可能な外周面5a(図14参照)を有している。
つまり、パッキン片5は、パッキン2の半円弧状シール部22で対応できない小径のパイプ端部Pa´をシールするためのシール内径調整用の部品である。
【0029】
例えば、図13に示すように異径ソケット型の管継手K(異径ソケット継手Ks´)を介して第1外径パイプ端部Paと第2外径パイプ端部Pa´を相互に接続した配管接続部Jを密封包囲する場合に、第2外径パイプ端部Pa´に対応する半円弧状凹部12(12C)に半円弧状シール部22(22C)を介してパッキン片5を配設して、シール内径寸法を調節することが可能となる。
【0030】
言い換えると、図14に示すように、密封包囲状態で、一対のパッキン片5,5は、第2外径パイプ端部Pa´に対応するカバー開口部1gに開口パッキン部2gを介して配設され、開口パッキン部2gよりも小径の円形状の開口シール部5gを形成して、第2外径パイプ端部Pa´に密着して、第2外径パイプ端部Paと開口パッキン部2gの間を密封する。
【0031】
また、図11及び図12に示すように、パッキン片5は、半円弧状シール部22のカバー外方側面22fに係止してパッキン片5がカバー内方側へ移動する阻止するための(位置決め用の)半円外鍔状の係止部51を有している。
また、パッキン片5は、合体準備状態(半円弧状シール部22の内周面22bに配設した状態)で、基準平面Sに沿った、一対の円弧終端部5d,5dが平板状シール部21の表て面21bから突出するように形成している。
このように形成することで、密封包囲状態において、パッキン片5の円弧終端部5d近傍が十分に圧縮され、他方のパッキン片5の円弧終端部5dと、第2外径パイプ端部Pa´と、半円弧状シール部22の内周面22bと、が相互に圧接して所定のシール性能が確実に発揮される。
【0032】
そして、図13に示すように、一対のカバー半体10,10と、一対のパッキン2,2と、一対のパッキン片5,5と、1つの閉塞栓3とで、第1外径パイプ端部Paと第2外径パイプ端部Pa´とを相互に接続する異径のソケット型の管継手K(異径ソケット継手Ks´)を有する配管接続部Jに対応できる。
また、図示省略するが、異径のエルボ型の管継手Kを有する配管接続部Jにも対応できる。
また、図示省略するが、一対のカバー半体10,10と、一対のパッキン2,2と、一対のパッキン片5,5とで、2本の第1外径パイプ端部Paと1本の第2外径パイプ端部Pa´とを接続する異径のチーズ型の管継手Kを有する配管接続部Jに対応可能である。
また、図示省略するが、一対のカバー半体10,10と、一対のパッキン2,2と、4つのパッキン片5,5と、1つの閉塞栓3とで、第2外径パイプ端部Pa´同士を相互に接続する小径用のソケット継手Ks又は小径用のエルボ継手Keを有する配管接続部Jに対応できる。
また、一対のカバー半体10,10と、一対のパッキン2,2と、6つのパッキン片5,5とで、3本の第2外径パイプ端部Pa´を相互に接続する小径用のチーズ継手Ktを有する配管接続部Jに対応可能である。
【0033】
また、図11乃至図13に示すように、第2外径パイプ端部Pa´に対応する半円弧状凹部12C(半円弧状シール部22C)近傍のカバー外方側壁面17に、ネジ部材91にて着脱自在に取着される板状の抜け止め部材6を備えている。
抜け止め部材6は、カバー半体10に取着状態で、第2外径パイプ端部Pa´に接触しないように形成された半円弧状逃がし部60と、半円弧状シール部22Cに配設されたパッキン片5の表て面(カバー外方面)52に対面状に配設されるパッキン片抜け防止用の規制面61と、を有している。
また、図2及び図4に示すように、カバー半体10は、半円弧状凹部12近傍に、ネジ部材91が螺着するネジ孔19を有している。
【0034】
また、図1乃至図3図8乃至図10図13に示すように、一方のカバー半体10と他方のカバー半体10は、連結手段7によって、揺動開閉自在連結されている。
図1乃至図3に於て、連結手段7は、カバー半体10において凹溝部15よりもカバー外方側に設けた通し孔71と、一対のカバー半体10,10の通し孔71,71を挿通する環状連結部材72と、を備えている。
環状連結部材72は、樹脂製の線状結束バンドを環状に自己係合させたもの、或いは、金属製リング部材である。
このように、連結することで、高所での作業において、一対のカバー半体10,10の一方を落下させてしまうような事故を防止できると共に、作業者が一人でも容易かつ迅速に一対のカバー半体10,10を合体できる。
【0035】
締め付け手段8は、カバー半体10において凹溝部15よりもカバー外方側に設けた複数の貫孔18,18に夫々挿通する複数のボルト部材81と、複数のボルト部材81に夫々螺着する複数のナット部材82と、を備えたボルト・ナット結合である。
締め付け手段8の締め付け力によって、一対のカバー半体10,10を、相互に引き寄せて、配管接続部Jに、一対のパッキン2,2を介して外嵌状(挟持状)に取着可能である。
【0036】
カバー半体10及び抜け止め部材6は、金属製であって、特に、耐腐蝕性や防錆性に優れるSCS13等のステンレス鋳鋼が望ましい。
また、パッキン2及びパッキン片5は、ゴム製であって、特に、耐塩素性(耐塩素水性)に優れるエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)が好ましい。
閉塞栓3は、金属製であって、特に、耐腐蝕性や耐圧性に優れるCAC406等の青銅鋳物が望ましい。
【0037】
なお、本発明は、設計変更可能であって、閉塞栓3は、有底円筒状に限らず中実形状(円柱状)であっても良い。閉塞栓3の材質は自由であって、金属製に限らず、樹脂製、ゴム製とするも良い。締め付け手段8は、一対のカバー半体10,10の一方に貫孔18を設け、他方に、ナット部(雌ネジ孔)を設けた、ボルト・ナット結合とするも良い。図例において、3つの半円弧状シール部22の内周面22bの曲率半径Rbは同じ(同等)に設定にしているが、例えば、3つの内の1つを小径に設定して(相違させて)、パッキン片5を用いずに、異径チーズ型の管継手Kを密封包囲可能にしても良い。
【0038】
以上のように本発明の漏れ防止具は、管継手Kを介して2本以上のパイプ端部Paを相互に接続した配管接続部Jを包囲する一対のカバー半体10,10から成る包囲カバー1を備え、カバー半体10は、2本以上のパイプ端部Pa,Paの軸心Lp,Lpを含む平面Sに沿った合わせ面11と、パイプ端部Paに対応する半円弧状凹部12と、を有し、カバー半体10,10の各々に閉環状のパッキン2,2が配設され、パッキン2は、カバー半体10の合わせ面11及び半円弧状凹部12に対応し、合わせ面11においてはパッキン2が相互に当接し、半円弧状凹部12においてはパイプ端部Paに当接して、包囲カバー1が配管接続部Jを密封包囲するので、配管接続部Jから水や湯等の被密封液体の漏れが発生したとき、又は、発生する以前、のいずれにおいても、断水を行うことなく、漏れ対策を行うことができる。漏れ対策を容易かつ迅速に行うことができる。熟練した技能がなくとも確実かつ安定して止水でき、漏れが発生した配管接続部Jの周囲が被密封液体で濡れるのを防止できる。特に、病院やホテル等で、被密封流体を24時間年中送流させる必要がある循環型給湯配管の配管接続部Jに対して、漏れ対策を行うのに好適である。
【0039】
また、カバー半体10は、チーズ型の管継手Kに接続した3本のパイプ端部Pa,Pa,Paに対応可能な3つの半円弧状凹部12,12,12を有し、エルボ型の管継手K又はソケット型の管継手Kに接続されているパイプ端部Paに非対応となる半円弧状凹部12にパッキン2を介して配設される閉塞栓3を具備するので、管継手Kが、チーズ型、エルボ型、ソケット型、のいずれの場合であっても、配管接続部Jを容易かつ確実に密封包囲(シール)でき、漏れを防止できる。漏れ対策を行う現場にて、様々な形状の管継手Kに容易かつ迅速に対応できる。カバー半体10及びパッキン2を多種類製造する必要が無く、金型等のイニシャルコスト(初期費用)を大幅に削減できる。
【0040】
また、パッキン2は、カバー半体10の半円弧状凹部12に対応する半円弧状シール部22を有し、半円弧状シール部22とパイプ端部Paの間に介装されるシール内径調節用の半円弧型のパッキン片5を具備するので、相互に異なる外径のパイプ端部Pa同士を異径型の管継手Kを介して接続した配管接続部Jであっても、容易かつ確実に密封包囲(シール)できる。漏れ対策を行う現場にて、様々な外径寸法のパイプ端部Paに容易かつ迅速に対応できる。カバー半体10及びパッキン2を多種類製造する必要が無く、金型等のイニシャルコスト(初期費用)を大幅に削減できる。
【符号の説明】
【0041】
1 包囲カバー
2 パッキン
3 閉塞栓
5 パッキン片
10 カバー半体
11 合わせ面
12 半円弧状凹部
15 凹溝部
15a 溝側壁面
21 平板状シール部
22 半円弧状シール部
22d 頂部
22e 裾部
J 配管接続部
K 管継手
Pa パイプ端部
S 平面
Lp 軸心
W2 横断面幅寸法
W15 溝幅寸法
【要約】
【課題】配管接続部から被密封液体の漏洩が発生したとき、又は、発生する以前に、漏れ対策を容易かつ迅速に行え、しかも、熟練した技能が無くとも安定した漏れ防止効果を確実に得ることが可能な漏れ防止具を提供する。
【解決手段】管継手を介して2本以上のパイプ端部Paを相互に接続した配管接続部を包囲する一対のカバー半体10,10から成る包囲カバー1を備え、カバー半体10は、2本以上のパイプ端部Pa,Paの軸心Lp,Lpを含む平面Sに沿った合わせ面11と、パイプ端部Paに対応する半円弧状凹部12と、を有し、カバー半体10,10の各々に閉環状のパッキン2,2が配設され、パッキン2は、カバー半体10の合わせ面11及び半円弧状凹部12に対応し、合わせ面11においてはパッキン2が相互に当接し、半円弧状凹部12においてはパイプ端部Paに当接して、包囲カバー1が配管接続部Jを密封包囲する。
【選択図】図2
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