特許第6140265号(P6140265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6140265逆止弁ベントされる殺菌可能な電動式外科用ハンドピース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140265
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】逆止弁ベントされる殺菌可能な電動式外科用ハンドピース
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   A61B17/32
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-500522(P2015-500522)
(86)(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公表番号】特表2015-511863(P2015-511863A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】US2013030556
(87)【国際公開番号】WO2013138355
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】13/419,129
(32)【優先日】2012年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118083
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝美
(72)【発明者】
【氏名】コルツ,マイケル・エル
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−546503(JP,A)
【文献】 特開2001−070226(JP,A)
【文献】 特表2008−537901(JP,A)
【文献】 特表2008−514324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ハンドピースであって、
内部キャビティーを画定するハウジングと、
前記内部キャビティーの中に配設されているモーターアッセンブリと、
前記ハウジングに連結されているアダプターであって、前記アダプターは、外科用ツールを前記ハンドピースに連結するように構成されている、アダプターと、
逆止弁カートリッジと逆止弁を有する逆止弁の組立体であって、前記逆止弁カートリッジが前記内部キャビティーの中に延び、弁のキャビティを画定する壁部を有し、前記逆止弁カートリッジはハウジングに結合され、ハウジング内に配置され、前記逆止弁は前記逆止弁カートリッジ内に配置され、前記逆止弁は、殺菌条件にさらされるときに前記内部キャビティーからの凝縮物の退出のためのベントを提供するために開状態となるように構成されており、
前記ハウジングが、前記弁のキャビティに流体が連通するように開放した通路を画定し、前記ハウジングの外側の周囲空気に流体が連通するように開放されている、外科用ハンドピース。
【請求項2】
前記逆止弁が、弁メカニズムを含む、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項3】
前記弁メカニズムが、ボール、スプリング、傘状体、カモノハシ状体、ダイヤフラム、スイング、傾斜ディスク、リフト、および遮断逆止メカニズムからなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の外科用ハンドピース。
【請求項4】
前記逆止弁が、開状態および閉状態となるように構成されており、前記開状態であるときに、前記内部キャビティーが大気に開放され、空気の排出フローが、前記逆止弁を通って前記内部キャビティーから出る方向に進行することを許容されるように、前記逆止弁が構成されている、請求項3に記載の外科用ハンドピース。
【請求項5】
前記閉状態のときに、前記逆止弁が前記内部キャビティーを大気から実質的にシールするように、前記逆止弁が構成されている、請求項4に記載の外科用ハンドピース。
【請求項6】
前記ハウジングの外部から前記内部キャビティーへ延在する駆動シャフトを含み、前記駆動シャフトは、前記外科用ツールに回転力を供給するように構成されている、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項7】
前記外科用ツールが、カッティング部材、タップ、ドリル、スクリュードライバー、および、セットスクリュー破断器具のうちの1つを含む、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項8】
前記アダプターが、クイックコネクトアダプターである、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項9】
前記逆止弁が、カートリッジをさらに含む、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項10】
前記カートリッジが、前記ハウジングと一体である、請求項に記載の外科用ハンドピース。
【請求項11】
前記逆止弁が交換可能である、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項12】
前記ハンドピースが、外部電源に連結するように構成されている電力ケーブルを含む、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項13】
前記ハンドピースが、バッテリー式のデバイスを含む、請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項14】
壁部を含むハウジングであって、前記壁部は、内部キャビティーを画定している、ハウジングと、
前記ハウジング壁部の一部分を通って配設されている駆動シャフトであって、前記駆動シャフトは、外科用ツールを受け入れるように構成されている、駆動シャフトと、
前記内部キャビティー内に配設されている逆止弁の組立体であって、前記逆止弁の組立体逆止弁と、壁と通路を含む逆止弁ハウジング
を含み、前記逆止弁は、前記逆止弁ハウジングの壁の一つでシールを形成するようになっており、
前記逆止弁が開状態であるときに、前記内部キャビティーが前記通路と流体連通し、前記ハウジングの外部にある空気に開放され、殺菌条件にさらされるときに前記内部キャビティーからの凝縮物の退出のためのベントを提供するように、前記逆止弁は構成されている、電動式外科用ドライバー。
【請求項15】
殺菌条件にさらされるときに前記開状態となるように前記逆止弁が構成されており、前記殺菌条件によって、内部キャビティー圧力は、前記ハウジングに作用する外部圧力を超える、請求項14に記載の電動式外科用ドライバー。
【請求項16】
前記開状態にある前記逆止弁は、多くの汚染物質を含む空気の排出フローが、前記通路を通って前記内部キャビティーから出る方向に進行することを可能にするように構成されている、請求項15に記載の電動式外科用ドライバー。
【請求項17】
前記逆止弁は、前記外部圧力が前記内部キャビティー圧力よりも大きいときに、閉状態となるように構成されている、請求項15に記載の電動式外科用ドライバー。
【請求項18】
前記ハウジングが、エンドキャップを含み、前記逆止弁が、前記エンドキャップの中に配設されている、請求項14に記載の電動式外科用ドライバー。
【請求項19】
前記駆動シャフトを前記ハウジング壁部と密封係合させるために、少なくとも1つのシールをさらに含む、請求項14に記載の電動式外科用ドライバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用ツールを駆動するための電動式ハンドピースに関する。より具体的には、本開示は、逆止弁ベントされる殺菌可能な電動式外科用ハンドピースに関する。
【背景技術】
【0002】
電動式外科用ハンドピースは、一般に、多くの医療専門分野で使用され、多種多様な機能を実施するための外科用ツールを駆動する。多くのハンドピースは、再使用可能であり、手動のまたは自動化された洗浄または蒸気殺菌などのような様々な技法によって、清浄化または再処理することが可能である。蒸気殺菌は、オートクレーブの中にハンドピースを設置することを必要とすることが多く、それによって、ハンドピースは、高圧の蒸気にさらされ、一方、手動のまたは自動化された洗浄は、デバイスを水ですすぐこと、デバイスを水に浸漬すること、または、デバイスを水でスプレーすることを必要とし、洗浄剤または消毒剤の使用を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
長い時間をかけて、ハンドピース性能は劣化される可能性があり、および/または、ハンドピースは、繰り返される洗浄および/または蒸気殺菌サイクルに起因して最終的に故障する可能性がある。性能劣化およびハンドピース故障は、ハンドピースシールに起因する可能性があり、ハンドピースシールは、蒸気または水の侵入を防止することを意図しているが、徐々に劣化し、または、損傷もしくは弱化されるようになり、それによって、ガスもしくは液体(洗浄もしくは殺菌プロセスからの蒸気もしくは復水など)がハンドピースの中に収集されることを許容する。したがって、洗浄または殺菌サイクルの間に水または蒸気の侵入を防止することが意図されたシールは、ハンドピースの内部から凝縮物または他の汚染物質の退出を防止する役割を果たしている。長い時間をかけて、水、蒸気、凝縮物、または他の汚染物質は、内部ハンドピースコンポーネントの腐食を加速させる可能性があり、および/または、内部の電子的なコンポーネントのエレクトロマイグレーションを加速させる可能性がある。したがって、とりわけ、殺菌サイクルの間に、ハンドピースの中に含有されるガス、液体、または他の汚染物質をベントする手段に対する要求が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態によれば、ハンドピースの内部キャビティーの中に収集された蒸気、復水、または汚染物質をベントするために、逆止弁が、外科用ハンドピースまたはドライバーの中に組み込まれている。逆止弁は、ハンドピースの内部キャビティーと大気との間に流体連通を提供するように構成されている。逆止弁は、開状態(それによって、空気の排出フローが逆止弁を通って内部キャビティーから出る方向に進行することを許容される)、および、閉状態(それによって、逆止弁が、内部キャビティーを大気から実質的にシールする)となるようにさらに構成されている。
【0005】
他の実施形態によれば、逆止弁は、電動式外科用ハンドピースまたはドライバーの中へ組み込まれており、開状態のときに、外科用ドライバーの内部キャビティーが、逆止弁の通路と流体連通し、外科用ドライバーのハウジングの外部にある空気に開放されるように構成することが可能である。逆止弁は、殺菌条件にさらされるときに開状態となるように構成されている逆止弁を含むことが可能であり、殺菌条件によって、内部キャビティー圧力は、外科用ドライバーのハウジングに作用する外部圧力を超える。
【0006】
本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に述べられている。本開示の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに、特許請求の範囲から明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態による逆止弁を有するハンドピースの断面図である。
図2図2Aは実施形態によるハンドピースとともに使用するための逆止弁の断面図である。図2Bは実施形態によるハンドピースとともに使用するための逆止弁の断面図である。図2Cは実施形態によるハンドピースとともに使用するための逆止弁の断面図である。図2Dは実施形態によるハンドピースとともに使用するための逆止弁の断面図である。
図3】実施形態による電動式外科用ハンドピースの斜視図である。
図4図4A図3の電動式外科用ハンドピースの断面図である。図4B図4の電動式外科用ハンドピースの後面図である。
図5】逆止弁を有するハンドピースのサンプル、および、逆止弁を有さないハンドピースのサンプルに関して、故障までの殺菌サイクルの数をリストアップしている表を示す図である。
図6】逆止弁を有するハンドピース、および、逆止弁を有さないハンドピースに関して、故障パーセンテージ−対−殺菌サイクルの数を示している生存率(survivability)プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の態様は、概して、ハンドピースの内部キャビティーから、水、蒸気、復水、または汚染物質をベントするために、逆止弁を備える殺菌可能な外科用ハンドピースを提供し、ここで、ベントされることとなるエレメントは、殺菌または洗浄サイクルの結果である。以下でさらに詳細に説明されることとなるように、本開示のいくつかの態様による逆止弁は、ハンドピースに作用する外部圧力がハンドピースの内部圧力よりも大きいときに(そのような条件は、蒸気または汚染物質がハンドピースに進入するための主要な手段である)閉じるように、および、それによって、ハンドピースの内部キャビティーをシールするように構成することが可能である。逆止弁は、さらに、内部ハンドピース圧力がハンドピースに作用する外部圧力よりも大きいときに、ガスおよび/もしくは液体(例えば、蒸気および/もしくは復水)、ならびに/または、他の汚染物質が、ハンドピースを出ていくことを可能にするように、開放するように構成することが可能である。認識されることとなるように、本明細書で説明されている外科用ハンドピースとともに使用されることが考えられるような蒸気殺菌サイクルの固有の熱力学的プロセスは、逆止弁を介するハンドピースベントにとって好ましい条件を作り出す。
【0009】
図1は、本開示の外科用ハンドピースまたはドライバー100の断面図を示している。外科用ハンドピース100は、ハンドル124および内部キャビティー130を画定するハウジング120を含む。ハウジング120は、当技術分野で殺菌可能および/またはオートクレーバブル(autoclavable)であるとして知られている材料を含むことが可能である。ハンドピース100は、ハウジング120の中に設けられている駆動シャフト140を含む。駆動シャフト140は、ハウジング壁部122の一部分を通って延在しており、駆動シャフト140がハウジング120の外部まで延在するようになっている。駆動シャフト140は、外科用ツール(図示せず)を駆動するように構成することが可能である。駆動シャフト140は、外科用ツール(図示せず)をハンドピース100に連結するためのアダプター160を含むことが可能である。アダプター160は、図4を参照して説明されているように、クイックコネクトアダプター460とすることが可能である。本開示のハンドピースと一体になって有用な外科用ツール(図示せず)のいくつかの非限定的な例は、切削器具、ドリリング器具、タップ、スクリュードライバー、およびセットスクリュー破断器具である。
【0010】
引き続き図1を参照すると、外科用ハンドピース100は、内部キャビティーの中に配設されているモーターアッセンブリ170およびプリント基板(PCB)190を含む。電気的な相互接続部185が、モーターアッセンブリ170および/またはPCB190を電力ケーブル180に連結している。電力ケーブル180は、ハウジング壁部124を通して設けられ、モーターアッセンブリ170および/またはPCB190を外部電源(図示せず)に連結するように構成されており、外部電源は、統合パワーコンソール(integrated power console)(図示せず)を含むことが可能である。代替的に、外科用ハンドピース100は、ハンドピース100に電力供給するためのバッテリー(図示せず)を含むことが可能である。この代替的なバッテリー式の実施形態では、ハンドピース100は、電力ケーブル180を含まないこととなる。本開示と一体になって有用なバッテリー式のハンドピースの例は、Bealeらによる米国特許出願公開第20090264940号に説明されている。
【0011】
図1に示されているように、ハンドピース100は、大気Aから、または、ハウジング120の外部にある空気から、内部キャビティー130をシールするためのシール150を含む。シール150は、当技術分野で知られているようなOリングシールまたは任意の他のシールを含むことが可能である。シール150は、ハウジング120に沿って設けることが可能であり、例えば、シール150は、ハンドピース100のコンポーネント(例えば、電力ケーブル180、駆動シャフト140)がハウジング120を通して設けられている場所に配設することが可能である。例として、シール150は、シャフト140およびケーブル180をハウジング120と密封係合させるために、駆動シャフト140および/または電力ケーブル180に隣接する場所に設けることが可能である。このように、シール150は、ハウジング120の外部にある物質(例えば、ガス、液体、汚染物質)から内部キャビティー130をシールする役割を果たしている。シール150は、ハンドピース内部キャビティー130をシールするために、ハウジング120に沿って、または、ハウジング120の中で、他の様々な場所に設置することが可能であり、ハンドピース100の内部コンポーネント(モーターアッセンブリ170、PCB190、および/または、電気的な相互接続部185など)を、ハウジング120の外側から内部キャビティー130に進入する物質(ガス、液体、または汚染物質など)から保護することを助ける。その後の議論でさらに解明されることとなるような洗浄または殺菌プロセスの間に発生させられるような水、蒸気、復水、または他の汚染物質は、内部コンポーネントの腐食および/またはエレクトロマイグレーションを加速させる可能性がある。したがって、シール150は、洗浄または殺菌プロセスの間に内部コンポーネント(例えば、170、190など)を保護することを助けるように設けることが可能である。代替的に、コンポーネント(例えば、140、170、180)は、ハウジングを通して圧入様式で設けることが可能であり、1つまたは複数のシール150が必要とならないようになっている。
【0012】
ハンドピース100は、逆止弁110をさらに含む。逆止弁110は、ハウジング120に沿って、または、ハウジング120の中の場所に設けることが可能であり、ハウジング120の中に一体化することが可能であるか、または、ハウジング120に隣接して配設される別々のコンポーネントとすることが可能である。逆止弁110、210、310、410、510は、逆止弁110を具体的に参照して本明細書で説明されている特徴を含むことが可能であり、同様の数字は同様の特徴を表しているということが理解されるべきである。図1を参照すると、逆止弁110は、逆止弁ハウジングまたはカートリッジ113、通路119、および、弁メカニズム(例えば、図2A図2Dおよび図4Aに示されているような、115、215、315、415、515)を含む。以下に本明細書でさらに説明されているように、通路119および空気Eの排出フローの図示を簡単にするために、弁メカニズムは、図1の逆止弁110の中には示されていない。ハンドピース100、400(図4A)、および、逆止弁110、510(図4A)を含むハンドピースのコンポーネントは、金属および金属合金(チタン、アルミニウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、鋼、もしくは、それらの任意の組み合わせなど)、および/または、ポリマー(例えば、ポリウレタン材料、ポリオレフィン材料、ポリエーテル材料、シリコーン材料、もしくは、それらの組み合わせを含む)を含む様々な適切な材料を含むことが可能である。弁カートリッジ113は、圧入を介してハウジング120にシールすることが可能であり、圧入は、金属−ポリマー間または金属−金属間の圧入を含むことが可能であり、または、カートリッジ113の周りに円周方向に配設されているシール150などのようなシールとのスリップフィットを含むことが可能である。逆止弁110は、ハンドピース100の中に、または、ハンドピース100に沿って、位置付けまたは配向されており、図1に示されているように、逆止弁110が開状態であるときに、内部キャビティー130は、ハウジング120の外部にある大気Aおよび/または空気に開放されている。逆に、逆止弁110が閉状態または遮断状態(図1には図示せず)であるときに、逆止弁110は、ハウジング120外部にある大気および/または空気から内部キャビティー130を実質的にシールする。図1に図示されているように、逆止弁110が開状態であるときに、内部キャビティー130は、ハウジング120の外側の大気Aまたは空気にベントされる。この構成によって、空気Eの排出フローは、逆止弁110の通路119を通って、内部キャビティー130からハウジング120の外部へ流れることを許容される。空気Eの排出フローは、多くの汚染物質、および/または、蒸気もしくは復水などのようなガスもしくは液体を含むことが可能である。
【0013】
図2A図2Dは、本開示による様々な逆止弁を示している。逆止弁110は、当技術分野で一般に知られているような任意の弁メカニズムを含むことが可能であり、弁メカニズムは、図2A図2Dに示されているような例に限定されないということが理解されるべきである。説明のために、図2Aは、ハウジングまたはカートリッジ113を含む逆止弁110を示している。逆止弁110は、図1を参照して説明されている外科用ハンドピース100のハウジング120の壁部122の一部分に隣接して示されている。逆止弁110は、カートリッジ113とハウジング120との間にスペースを有するものとして示されているが、しかし、逆止弁110は、逆止弁110がハウジング120に当接または隣接する領域において、弁カートリッジ113とハウジング120との間に開放スペースが本質的に存在しないように、上記に説明されているようにハウジング120に対して圧入することも可能である。逆止弁110は、ボール116およびスプリング117を含む弁メカニズム115を含む。弁メカニズム115は、一般的に、ボール逆止弁として説明することが可能である。ボール116は、遮断位置または閉位置(図示せず)において、カートリッジ113のシート部118に対して当てることが可能である。代替的に、シート部118は、当技術分野で一般に知られているようなOリングまたは他のシールなどのようなシール(図示せず)を含むことが可能である。図2Aに示されているように、ボール116がシート部118から所定の距離に移動させられているときに、逆止弁110は開状態であり、それによって、空気Eの排出フローは、ハンドピース100(図1)の内部キャビティー130を出ていくことを許容される。以下に本明細書でより完全に説明されることとなるように、空気Eの排出フローは、逆止弁110の通路119を通って進行することを許容され、空気Eの排出フローが、大気A、または、ハウジング120の外側にある空気へ出ていくようになっており、例えば、Eは、殺菌チャンバーの中の空気へ出ていくことが可能であり、殺菌チャンバーの中には、ハンドピース100が設置されている。
【0014】
図2B図2Dを参照すると、本開示による逆止弁の例が、ハンドピース100のハウジング120から離して示されている。図2Bは、逆止弁の代替的な実施形態を示しており、すなわち、ポペット216、Oリング218、およびスプリング217を含む弁メカニズム215を含む逆止弁210を示している。逆止弁210は、閉位置または遮断位置に示されており、それによって、通路219をシールしている。図2Cは、傘状部材316を含む弁メカニズム315を含む逆止弁310の代替的な実施形態を示している。図2Dは、さらなる実施形態を示しており、カモノハシのような部材416を含む逆止弁410を示している。逆止弁110、210、310、410は、例示目的のために示されており、本開示と一体になって有用な逆止弁のタイプの構造を限定することは意図されていない。弁メカニズムは、カモノハシのような部材416の他、ボール、スプリング、傘状体、ダイヤフラム、スイング、傾斜ディスク、リフト、および遮断逆止メカニズムからなる群のうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
図3は、本開示による外科用ハンドピースまたはドライバーの別の実施形態の斜視図を示している。ハンドピース400は、ハンドル424を画定するハウジング420を含む。アダプター460は、ハンドピース400に連結することが可能であり、ハンドピース400と一体にする(すなわち、取り外し不可能である)ことが可能である。クイックコネクトアダプター460は、外科用ツール(図示せず)をハンドピース400に連結するように構成されている。クイックコネクトアダプター460の他の構成も考えられるが、ハンドピース100、400と一体になって有用なクイックコネクトアダプター460の1つの例が、Bealeらによる米国特許出願公開第20090261536号に説明されている。図3図4Aとの間を参照すると、電力ケーブル480が、ハンドル424から延在している。電力ケーブル480は、モーターアッセンブリ470を、統合パワーコンソール(図示せず)を含み得る外部電源(図示せず)に連結するように構成されている。電力ケーブル480は、ハウジング壁部420を通して設けられており、ケーブルシール部材483を含むことが可能であり、ケーブルシール部材483は、ハウジング120に対して電力ケーブル480をシールするために、電力ケーブル480の一部分の周りに配設されている。
【0016】
具体的に図4Aを参照すると、図3の外科用ハンドピースの断面図が示されている。外科用ハンドピースまたはドライバー100と同様に、外科用ハンドピースまたはドライバー400は、ハンドピース内部キャビティー430およびハンドル424を画定するハウジング420を含む。モーター470が、ハンドピース400の中に含有され、具体的には、ハンドル424の中に含有され得る。駆動シャフト440が、ハンドピース400を通して配設されており、ハウジング420の外部へ延在することが可能である。トリガー490が、ハンドル424に連結されており、モーターアッセンブリ470を作動させるように構成されている。アダプター460が、駆動シャフト440に連結されており、上記に説明されているように、外科用ツール(図示せず)をハンドピース400に連結するように構成されている。ハンドピース100、400と一体になって有用な外科用ツールのいくつかの例は、Bealeらによる米国特許出願公開第20090264887号、および、Bealeらによる米国特許出願公開第20090264893号に説明されている。ハンドピース400は、1つまたは複数のシール450を含むことが可能であり、シール450は、ハウジング120の外部にある大気Aまたは空気から内部キャビティー430をシールするために、駆動シャフト440および/または電力ケーブル480に隣接して配設されている。シール450は、ハンドピース100のシール150を参照して説明されているように構成することが可能である。例えば、1つまたは複数のシール450は、本明細書で以下により完全に説明されている弁カートリッジ513に隣接して設けることが可能である。
【0017】
引き続き図4Aを参照すると、ハンドピース400は、ハウジング420に隣接した場所に配設されている逆止弁510を含み、図1を参照して説明されている逆止弁110と同様に構成することが可能である。具体的には、逆止弁510は、逆止弁ハウジングまたはカートリッジ513、通路519、および、ボール516を含む弁メカニズム515を含む。弁カートリッジ513は、ステンレス鋼を含み、金属−ポリマー間の圧入を介してハウジング420にシールされており、ここで、以下に説明されているエンドキャップ425は、ポリマーを含む。代替的に、カートリッジ513およびハウジング420は、図1を参照して上記に説明されているような任意の他の適切な金属、金属合金、またはポリマーから構築することが可能であり、カートリッジ513は、金属−金属間の圧入を介して、または、カートリッジ513の周りに円周方向に配設されているシール450などのようなシールとのスリップフィットを介して、ハウジングにシールされ得るようになっている。逆止弁510は、ハンドピース400の中に、または、ハンドピース400に沿って、位置付けまたは配向され得り、逆止弁510が開状態であるときに、内部キャビティー430は、ハウジング420の外部にある大気Aおよび/または空気に開放されているようになっている。逆に、逆止弁510が閉状態または遮断状態であるときに、逆止弁510は、ハウジング420の外部にある大気Aおよび/または空気から内部キャビティー430を実質的にシールすることが可能である。図1を参照して説明されているように、逆止弁510が開状態であるときに、内部キャビティー430は、ハウジング420の外側の大気Aまたは空気(例えば、本明細書で以下により完全に説明されているように殺菌チャンバーの中の空気)にベントされる。この構成により、空気Eの排出フロー(図4には図示せず)は、逆止弁510の通路519を通って、内部キャビティー530からハウジング420の外部へ流れることを許容される。空気Eの排出フローは、多くの汚染物質を含むことが可能であり、および/または、蒸気もしくは復水などのようなガスもしくは液体を含むことが可能である。
【0018】
図4Bは、図4Aのハンドピースの後面図であり、エンドキャップ425を示している。エンドキャップ425は、ハウジング420の中に設けられ、ハンドピースハウジング420の一部分を画定することが可能であり、逆止弁カートリッジ513をその中に受け入れるためのチャネル512を含む。エンドキャップ425は、ポリマー材料、具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含むが、しかし、エンドキャップ425は、本明細書で上記に説明されているような金属および/または他の適切なポリマーを含む様々な他の材料を含むことが可能である。
【0019】
図1および図4Aを参照すると、外科用ハンドピースまたはドライバー100、400は、再使用可能なまたは再処理可能なデバイスとすることが可能である。多くの場合、デバイスが手術セッティングにおいて後続の使用のために十分に殺菌されているということを確実にするために、再使用または再処理することは、殺菌を必要とする。多くの殺菌技法が、当技術分野で知られている(単に1つの例として、蒸気殺菌)。蒸気殺菌は、殺菌されることとなるデバイスをオートクレーブチャンバーの中に設置することを必要とし得る。次いで、蒸気は、高い圧力でオートクレーブチャンバーの中で循環させられる。オートクレーブ蒸気殺菌サイクルの固有の熱力学的プロセスが、ハンドピース(すなわち、100、400)ベントのために好ましい条件を作り出す。例えば、ベントは、2つの手段による殺菌の間に起こることが可能である。第1に、真空がプレバキューム殺菌サイクルの中で発生させられるときであり、第2に、すべてのオートクレーブ殺菌サイクルの間のハンドピース加熱の間に、捕えられた凝縮物が蒸気へと蒸発するときである。
【0020】
様々な外科用ハンドピースが、上記に説明されている逆止弁110から利益を得る可能性があり、特定の構成のハンドピース100は、上記に説明されている特徴に限定されない。例えば、ハンドピース100は、ハンドル124なしで構成することが可能であり、ここで、モーター170は、ハンドピース100の別の部分に位置付けされることとなる。一般的に、本開示の逆止弁110から利益を得ることが可能なハンドピースは、内部キャビティー(例えば、130)の中に以下の特徴のいずれかを含むハンドピースを含む。その特徴は、蒸気殺菌を定格としていない(not rated)電気モーター、プリント基板、制御電子機器、1つまたは複数の電気センサーである。
【0021】
図5および図6を見てみると、逆止弁を外科用ハンドピースに加えたときのハンドピースの信頼性への影響を評価するために試験が実施された。図5は、逆止弁510を含むハンドピース400のサンプル(逆止弁サンプル)、および、逆止弁なしのハンドピース400のサンプル(逆止弁なしサンプル)に関して、故障までの殺菌サイクルの数をリストアップした表を示す図である。逆止弁サンプルに関して、3つの外科用ハンドピース400が、図4Aの実施形態に実質的にしたがって構築され、1つの例外は、試験されたハンドピースの中にケーブルシール部材483が存在しないということであった。逆止弁サンプルハンドピースは、シリアル番号(SN)BT−30、BT−29、およびBT−28として、図5にリストアップされている。逆止弁なしサンプルに関して、3つの外科用ハンドピース400は、逆止弁510を除いて、逆止弁サンプルの外科用ハンドピースと同一に構築された。逆止弁なしは、図5においてシリアル番号BT−25、BT−24、およびBT−23として特定されている逆止弁なしサンプルハンドピースの中へ組み込まれた。
【0022】
次いで、逆止弁サンプルハンドピース、および、逆止弁なしサンプルハンドピースのそれぞれは、模擬された使用プロトコルを受け、模擬された使用プロトコルは、それぞれのハンドピースを用いて実施される一連の作業を含み、その後にクリーニングおよび殺菌サイクルが続いた。一連の作業は、適当な外科用ツール(例えば、ドリル、タップ、ドライバー、ロッドカッター、ポストカッター、またはセットスクリュー破断器具)をハンドピースに連結することを含み、その後に、フォームブロックの上でハンドピースを用いて以下の作業(すなわち、ドリル、タップ、ドライブ、ロッドカット、セットスクリュー破断、ポストカット)を実施することが続いた。それぞれの一連の作業の後には、手動の洗浄または自動化された洗浄、および、ハンドピースだけのオートクレーブ蒸気殺菌サイクルが続いた(すなわち、外科用ツールは、洗浄および殺菌の前にハンドピースから切り離された)。手動クリーニングは、モーターおよびケーブルのすべての外部表面を酵素洗浄剤で湿らせた布で手動で拭くこと、モーター、クイックコネクト、および、トリガー領域の下を、洗浄剤で湿らせたナイロンブラシでブラッシングすること、ならびに、クイックコネクト端部を下向きにして、流水の下でハンドピースをすすぐことを含んでいた。自動化されたクリーニング方法は、2分間にわたり冷たい水道水でハンドピースを事前洗浄すること、その後に、ENZOL(登録商標)ブランドの酵素洗浄剤を使用して、66℃で5分間の自動化された洗浄サイクルをすること、および、最後に熱い水道水で1分間にわたりハンドピースをすすぐことを含んでいた。オートクレーブサイクルは、乾燥サイクルを有するオートクレーブ、および、乾燥サイクルを有さないオートクレーブの両方を含む。乾燥を有するオートクレーブサイクルに関して、ハンドピースは、18分間にわたり137℃でオートクレーブの中に設置された。乾燥サイクルを有するオートクレーブに関して、ハンドピースは、18分間にわたり137℃でオートクレーブの中に設置され、その後に、42分間の乾燥時間が続いた。それぞれのハンドピースに関して、75%のオートクレーブサイクルは、乾燥時間を含んでおらず、25%の乾燥サイクルは、乾燥時間を含んでいた。図5の表のサイクルの列は、それぞれのハンドピースに関して、模擬された使用プロトコルの数(それによって、殺菌サイクルの数)を示している。ハードデバイス故障(それは、外科的な仕事(例えば、ドリリング、カッティング、タッピング、セットスクリューの破断など)を実施する代替的な手段が、そのデバイスを用いて継続するよりも効率的である点に至るまでの、ハンドピースの本質的機能の永久的な劣化として定義される)の指示があると、ハンドピースは、それ以上、模擬された使用サイクルを受けなかった。それぞれのデバイスハンドピースに関する模擬された使用(したがって、殺菌)サイクルの数は、図5の表に記録された。
【0023】
図6のプロットに示されているように、図5のそれぞれのサンプルに関して、故障までの殺菌サイクルの数は、95%信頼区間を考慮して分析された。プロットから見ることができるように、逆止弁サンプルハンドピースは、ハードデバイス故障(620で指示されている推定値)まで、141殺菌サイクルの90%信頼性を有しており、一方、逆止弁なしサンプルハンドピースは、60殺菌サイクルの90%信頼性を有するように示されている(610で指示されている推定値)。したがって、本明細書で開示されているような外科用ハンドピースの中へ逆止弁を組み込むことは、ハンドピース信頼性において著しい135%の改善を結果として生じる。下側90%信頼性限界を考慮する場合でも、逆止弁なしサンプルのハンドピースに関する40サイクル(640で指示されている推定値)に対して、逆止弁サンプルハンドピースは、デバイス故障(630で指示されている推定値)まで、75殺菌サイクルの90%信頼性を有している。これは、ハンドピース信頼性の88%の改善を表している。
【0024】
本開示は、好適な実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、形式的および詳細に変形をすることが可能であるということが認識されることとなる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5
図6