特許第6140346号(P6140346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6140346
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】粉塵回収体と集塵装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/10 20060101AFI20170522BHJP
   B01D 41/04 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B01D46/10 B
   B01D46/10 A
   B01D41/04
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-154176(P2016-154176)
(22)【出願日】2016年8月5日
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】特願2016-145051(P2016-145051)
(32)【優先日】2016年7月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592086798
【氏名又は名称】福井 仁孝
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】福井 仁孝
【審査官】 天野 皓己
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−228213(JP,A)
【文献】 特開2003−024732(JP,A)
【文献】 特開2014−046249(JP,A)
【文献】 特開平07−232146(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0061743(KR,A)
【文献】 特開2007−289797(JP,A)
【文献】 特開平09−318120(JP,A)
【文献】 特開平07−241421(JP,A)
【文献】 特開平09−234326(JP,A)
【文献】 実開昭48−102671(JP,U)
【文献】 特開2002−332995(JP,A)
【文献】 特開2013−202474(JP,A)
【文献】 特開2004−069223(JP,A)
【文献】 特開2015−120138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/02
B01D 46/00−46/54
B01D 49/00−51/10
F04D 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル型送風機の排気側に取り付けて使用する粉塵回収体であって、
前記ポータブル型送風機は、外形が円筒状の胴体と、当該胴体に設けられた取っ手を備え、前記取っ手を持って持ち運び可能であり、鋼管内に持ち込み可能なサイズであり、
前記粉塵回収体は、入口及び出口を備えた中空の本体と、前記送風機の送風により当該本体内を通過する粉塵を捕集する集塵体を備え、
前記本体は、その入口側が筒状であり、入口側から出口側に向けて内径が次第に広がる先広がりの筒状で出口側の口径が入口側の口径よりも大きく、
前記入口側に、前記ポータブル型送風機の胴体の外側に被せる円筒状の装着部が設けられ、
前記装着部は前記本体の内部空間が前記送風機の円筒状の胴体の排気側と連通するように胴体の排出側の外側に嵌合可能であり、嵌合した排出側に止め具により取り付けることができ、
前記ポータブル型送風機の胴体の排出側に装着された粉塵回収体は、当該ポータブル型送風機の胴体の排出側の端部よりも外側に突出し、当該ポータブル型送風機の胴体内を通過した粉塵を当該ポータブル型送風機の胴体外に位置する集塵体で捕捉可能であり、
前記集塵体は、前記送風機で吸引された粉塵を捕集できるフィルタが、その排気流入側と排気流出側から多数の通孔を備えた変形防止材で挟まれて当該変形防止材に取り付けられたものであり、
前記集塵体が本体の出口側に脱着可能である、
ことを特徴とする粉塵回収体。
【請求項2】
請求項1記載の粉塵回収体において、
集塵体の内側を支持する内側支持材と集塵体の外側を支持する外側支持材の双方又はいずれか一方を備え、
前記内側支持材と外側支持材は共に通孔を備えた、
ことを特徴とする粉塵回収体。
【請求項3】
請求項2記載の粉塵回収体において、
前記外側支持材が本体の出口側に開閉可能に取り付けられている、
ことを特徴とする粉塵回収体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の粉塵回収体において、
本体が入口側から出口側まで連続して次第に先広がりの筒状である、
ことを特徴とする粉塵回収体。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の粉塵回収体において、
フィルタは変形防止材で保護された状態で洗浄可能である、
ことを特徴とする粉塵回収体。
【請求項6】
集塵体で粉塵を捕捉して回収する集塵装置において、
ポータブル型送風機の排気側に請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の粉塵回収体が設けられ、
前記ポータブル型送風機は、外形が円筒状の胴体と、当該胴体に設けられた取っ手を備え、前記取っ手を持って持ち運び可能であり、鋼管内に持ち込み可能なサイズであり、
前記集塵回収体の装着部が前記送風機の円筒状の胴体の排出側に嵌合して止め具により取り付けられて、集塵回収体の筒状の本体の内部空間が前記送風機の円筒状の胴体の排気側と連通している、
ことを特徴とする集塵装置。
【請求項7】
請求項6記載の集塵装置において、
送風機と粉塵回収体の双方又はいずれか一方に、送風機と粉塵回収体を水平又は略水平に支持する脚が設けられた、
ことを特徴とする集塵装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の集塵装置において、
送風機と粉塵回収体が台座上に配置され、
前記台座は、前記送風機と粉塵回収体の双方又はいずれか一方を保持可能な保持体を備えた、
ことを特徴とする集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アーク溶接時に生じる排気中の溶接ヒュームや隧道等の土木工事現場で発生する塵芥、塗装工事で発生して気化した溶剤等(以下、これらをまとめて「粉塵」という)の捕集に用いる粉塵回収体と、その粉塵回収体を備えた集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小さな土埃や金属の粒などの無機物又は鉱物性の粉塵が発生する環境で仕事をしている労働者が患う病気として、「じん肺」が知られている。じん肺は、無機物や鉱物性の粉塵を多量に吸い込むことによって、肺の組織が線維化し、硬くなって弾力性を失う病気である。じん肺は、息切れ、咳、痰のほか、気管支炎や肺がん、気胸といった合併症も引き起こすことがあることから、厚生労働省では、対策を講じることを推進している(「厚生労働省ホームページ 第8次粉塵障害防止総合対策について」参照)。
【0003】
じん肺の一因となる物質として溶接ヒュームがある。溶接ヒュームは、溶接(アーク溶接)作業時に生じるミクロン単位の金属粉塵であり、肺の奥深くの肺胞にまで入り込んで沈降することによって、咳、痰、喘鳴、息切れといった呼吸器の異常を引き起こす。従来、このような溶接ヒュームの吸引による人体への悪影響を防止するための装置として、溶接ヒュームを液体で捕集する溶接ヒューム湿式捕集装置(特許文献1)や、溶接排煙集塵装置(特許文献2)などが提案されている。また、本件出願人も微細気泡によって粉塵を捕捉する粉塵捕集装置(特許文献3)等を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−292970号公報
【特許文献2】特開平7−040055号公報
【特許文献3】特開2014−237108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の「溶接ヒューム湿式捕集装置」は、処理液を揺動泡状とするための装置が必要であり、構造が複雑であるという難点がある。構造が複雑であると、製造やメンテナンスに費用も手間もかかる。また、構造の複雑化によって装置の小型化が困難になり、現場の広さによっては設置できないという難点もある。
【0006】
前記特許文献2記載の「溶接排煙集塵装置」は、吸気室内に取り込んだ排気をそのまま液体に接触させるため、排気と液体との接触面積が小さく、捕集効率に改善の余地がある。
【0007】
前記特許文献3記載の粉塵捕集装置は、効果的に粉塵を回収することができるが、鋼管内のような狭隘な現場には設置しにくいという難点がある。
【0008】
本発明の解決課題は、構造が簡潔であり、製造やメンテナンスが容易であり、小型化を図ることができ、狭隘な現場にも設置することができ、維持コストの低減に資する集塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[粉塵回収体]
本発明の粉塵回収体は、ポータブル型送風機の排気側に取り付けて使用する粉塵回収体であって、前記ポータブル型送風機は、外形が円筒状の胴体と、当該胴体に設けられた取っ手を備え、前記取っ手を持って持ち運び可能であり、鋼管内に持ち込み可能なサイズであり、前記粉塵回収体は、入口及び出口を備えた中空の本体と、前記送風機の送風により当該本体内を通過する粉塵を捕集する集塵体を備え、前記本体は、その入口側が筒状であり、入口側から出口側に向けて内径が次第に広がる先広がりの筒状で出口側の口径が入口側の口径よりも大きく、前記入口側に、前記ポータブル型送風機の胴体の外側に被せる円筒状の装着部が設けられ、前記装着部は前記本体の内部空間が前記送風機の筒状の胴体の排気側と連通するように胴体の排出側の外側に嵌合可能であり、嵌合した排出側に止め具により取り付けることができ、前記ポータブル型送風機の胴体の排出側に装着された粉塵回収体は、当該ポータブル型送風機の胴体の排出側の端部よりも外側に突出し、当該ポータブル型送風機の胴体内を通過した粉塵を当該ポータブル型送風機の胴体外に位置する集塵体で捕捉可能であり、前記集塵体は、前記送風機で吸引された粉塵を捕集できるフィルタが、その排気流入側と排気流出側から多数の通孔を備えた変形防止材で挟まれて当該変形防止材に取り付けられたものであり、前記集塵体が本体の出口側に脱着可能なものである。
【0010】
前記集塵体の内側を支持する内側支持と集塵体の外側を支持する外側支持の双方又はいずれか一方を備え、前記内側支持材と外側支持材は共に通孔を備えたものとすることもできる。本体は、入口側から出口側まで連続して次第に先広がりの筒状とすることもできる。外側支持材は本体の出口側に開閉可能に取り付けることもできる。フィルタは変形防止材で保護された状態で洗浄可能とすることもできる。
【0011】
[集塵装置]

本発明の集塵装置は、集塵体で粉塵を捕捉して回収するものであって、ポータブル型送風機の排気側に前記いずれかの粉塵回収体が設けられたものである。前記ポータブル型送風機は、外形が円筒状の胴体と、当該胴体に設けられた取っ手を備え、前記取っ手を持って持ち運び可能であり、鋼管内に持ち込み可能なサイズであり外形が円筒状のポータブル型送風機であり、前記集塵回収体の装着部が前記送風機の筒状の胴体の排出側に嵌合して止め具により取り付けられて、集塵回収体の筒状の本体の内部空間が前記送風機の筒状の胴体の排気側と連通したものである。送風機と粉塵回収体の双方又はいずれか一方に、送風機と粉塵回収体を水平又は略水平に支持する脚を設けることもできる。送風機と粉塵回収体を台座上に配置し、それら送風機と粉塵回収体の双方又はいずれか一方を台座に設けられた保持体で保持できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
[粉塵回収体]
本発明の粉塵回収体は、その構成に応じて、例えば次のような効果を奏する。
(1)送風機の排気側に直接取り付けられるため、送風機に取り付けたときに大型化せず、狭隘な作業現場にも設置しやすい。
(2)入口側から出口側に向けて次第に広がる先広がりの筒状とした場合、排気側に粉塵回収体を取り付けても、送風機の本来の性能(換気能力)を損ないにくい。
(3)出口側を広くした場合、集塵体の取替えが容易である。
(4)集塵体をフィルタと変形防止材を備えたものとした場合、風力によるフィルタの変形やそれに伴う粉塵の漏れを防止することができる。
(5)フィルタを変形防止材で保護された状態のまま洗浄できるようにした場合、洗浄作業が楽である。また、構造上フィルタの揉み洗いができないため、揉み洗いによるフィルタの破損や変形等も防止することができる。
【0013】
[集塵装置]
本発明の集塵装置は、その構成に応じて、例えば次のような効果を奏する。
(1)送風機に前記いずれかの粉塵回収体を設けてあるため、前記粉塵回収体と同様の効果を奏する。
(2)送風機と粉塵回収体の双方又はいずれか一方に脚を設けて、送風機や粉塵回収体を水平又は略水平に支持できるようにした場合、使用中に傾いたり倒れたりしにくいため、安定した集塵が可能である。
(3)台座に送風機や粉塵回収体を保持可能な保持体を備えた場合、送風機や粉塵回収体がより安定しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の粉塵回収体及び集塵装置の一例を示す斜視図。
図2図1に示す粉塵回収体及び集塵装置の分解説明図。
図3図1に示す粉塵回収体及び集塵装置の説明図。
図4】本発明の粉塵回収体及び集塵装置の他例を示す説明図。
図5】本発明の粉塵回収体及び集塵装置の他例を示す斜視図。
図6】本発明の集塵装置の使用例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
本発明の粉塵回収体30及び集塵装置10の一例を、図面を参照して説明する。一例として図1図3に示す集塵装置10は、送風機20と粉塵回収体30を備えている。
【0016】
送風機20は、既存の送排気用のものであり、例えば、株式会社スイデンのポータブル型送排風機(品番:SJF−300RS)等を用いることができる。送風機20はこれ以外のものであってもよいが、持ち運びできる程度にコンパクトなもの(ポータブルサイズのもの)を用いるのが好ましい。
【0017】
前記粉塵回収体30は、送風機20の排気側に取り付けて使用するものであって、図2及び図3に示すように、入口1a及び出口1bを備えた中空の本体1と、当該本体1の内部に配置された集塵体2を備えている。この実施形態では、集塵体2の内側に内側支持材3が、外側に外側支持材4が設けられている。
【0018】
前記本体1は、入口1a側から出口1b側に向けて次第に内径が広がる先広がりの形状としてある。本体1をこのような形状とすることで、送風機20の排気側に本発明の粉塵回収体30を取り付けても、送風機20のもつ本来の換気能力を維持することができる。
【0019】
本体1の入口1a側には、送風機20の排気側に被せる円筒状の装着部1cが設けられている。装着部1cには多数本の止め具(蝶ネジ)5がその周方向に間隔をあけて設けられ、装着部1cを送風機20の排気側に被せた後にこれら止め具5を締め付けることによって、粉塵回収体30を送風機20に固定できるようにしてある。図示する装着部1cの構造は一例であり、送風機20の排気側に取り付けられるものであれば、排気側に被せる構造以外の構造であってもよい。なお、止め具5は送風機1側に設けてもよい。
【0020】
本体1の出口1b側の端部には、集塵体2が傾いたり倒れたりするのを防止するための内側支持材3が設けられている。一例として図2に示す内側支持材3は本体1の出口1bの内径と略同じ面積の円形の金網であり、本体1の内周に溶接して固定してある。内側支持材3には、エキスパンドメタルやパンチングメタル等を用いることができる。図示する内側支持材3の形状は一例であり、集塵体2を内側から支持できる形状であれば、これ以外の形状であってもよい。例えば、本体1の内周面から内向きに突設するリングや、本体1の内周面から内向きに突設する一又は二以上の突片などであってもよい。内側支持材3をリングや突片とした場合、集塵体2の捕捉面のほとんどが露出する(空気が遮られない)ため、空気の流れがスムーズになり、粉塵の捕捉効率の向上が期待できる。なお、内側支持3は必要に応じて設ければよく、集塵体2自体にこれに代わるものを設けて省略することもできる。
【0021】
前記集塵体2は、本体1内に吸引された粉塵を捕集するものである。一例として図2に示す集塵体2は、円形のフィルタ2aと、当該フィルタ2aの両面に配置される変形防止材2bを備えている。
【0022】
前記フィルタ2aは粉塵を捕集する部材であり、既存の不織布などを用いることができる。フィルタ2aには、洗浄して繰り返し使用可能なものを用いるのが好ましい。前記変形防止材2bは送風機20による風力などによってフィルタ2aが変形しないように保護するものである。この実施形態では、変形防止材2bとして内側支持材3と同様の金網を用いている。変形防止材2bには、エキスパンドメタルやパンチングメタル等を用いることもできる。フィルタ2aを保護できる程度の強度を備えていれば、金属製に限らずプラスチック製やその他の材質製の網材(メッシュ材)を用いることもできる。フィルタ2aとその両面側の変形防止材2bは縫い付けなどによって一体化してある。
【0023】
前記外側支持材4は、集塵体2が送風機20から送り込まれる風によって、集塵体2が外へ倒れたり吹き飛んだりしないようにするためのものである。一例として図2に示す外側支持材4は本体1の出口1bの内径と略同じ面積の円形の網材4aと、当該網材4aの外周縁から立設するリング状の周壁4bを備えている。この実施形態の外側支持材4は、周壁4bに取り付けた蝶番6によって本体1に取り付けられている。
【0024】
周壁4bは、本体1の出口1b側よりも若干大きめにしてあり、当該周壁4bを本体1の出口1bの外側に被せられるようにしてある。なお、内側支持材3と同様、外側支持材4にも、エキスパンドメタルやパンチングメタル等を用いることができる。また、図示する外側支持材4の形状は一例であり、集塵体2を内側から支持できる形状であれば、これ以外の形状であってもよい。例えば、内側支持材3と同様のリングや突片などであってもよい。なお、外側支持4は必要に応じて設ければよく、集塵体2自体にこれに代わるものを設けて省略することもできる。
【0025】
この実施形態では、送風機20と粉塵回収体30の双方に脚8が設けられ、両者が水平となるようにしてある。脚8は高さ調節可能なアジャスタ機能を備えたものとすることもできる。脚8は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することもできる。なお、脚を備えた送風機20を用いる場合には、当該脚を本件発明における脚8として使用することも、当該脚を取り外して別の脚8を設けることも、もともと装備された脚に他の部材を取り付けて脚8とすることもできる。
【0026】
(実施形態2)
本発明の粉塵回収体30及び集塵装置10の他例を、図4を参照して説明する。この実施形態の粉塵回収体30及び集塵装置10の基本構造は実施形態1と同様である。異なるのは、集塵体2を直接本体1に着脱可能にして、内側支持材3と外側支持材4を省略したことである。ここでは共通する部分の説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0027】
この実施形態の集塵体2は、実施形態1と同様、円形のフィルタ2aと、当該フィルタ2aの両面に配置される変形防止材2bを備えており、それらが縫い付けなどによって一体化してある。図4に示すように、本体1及び集塵体2には連結部材9が設けられ、この連結部材9によって両者を連結できるようにしてある。連結部材9には、既存のものを用いることができる。なお、集塵体2は本体1の内側に設けることも、本体1の外側に設けることもできるが、いずれの場合も、本体1内に吸引された粉塵が本体1の出口1b側から抜けないように、隙間なく取り付けるように留意する。
【0028】
(実施形態3)
本発明の粉塵回収体30及び集塵装置10の他例を、図5を参照して説明する。この実施形態の粉塵回収体30及び集塵装置10の基本構造は実施形態1や実施形態2と同様である。異なるのは、送風機20と粉塵回収体30が台座7上に配置され、その台座7上の送風機20が当該台座7に設けられた保持体7bによって保持されたことである。ここでは共通する部分の説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0029】
図5に示す台座7は、送風機20及び集塵装置10を載せる長方形状の載せ板7aの上面側に、下向きU字状の保持体7bを備えている。この保持体7bは、送風機20の円筒状の胴体部分の外周を保持できる程度の広さを備えている。台座7を設けることで、設置する場所が平坦でない場合でも設置しやすくなるというメリットがある。この実施形態では、台座7に送風機20を保持するための保持体7bが設けられた場合を一例としているが、送風機20を保持するための保持体7bに代えて或いはこれと共に、粉塵回収体30を保持するための保持体7bを設けることもできる。なお、台座7は必要に応じて設ければよく、不要な場合は省略することができる。
【0030】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、本体1が出口1b側に向けて先広がりの円筒状の場合を一例として説明しているが、本体1は出口1b側に向けて先広がりの楕円筒状や角筒状であってもよい。場合によっては、本体1は入口1a側から出口1b側まで太さが一様の(変わらない)円筒状や楕円筒状、角筒状などであってもよい。また、本体1は、装着部1cが細く、それ以外の部分が装着部1cよりも太いもの(装着部1cとそれ以外の部分の太さが異なるもの)とすることもできる。具体的には、装着部1c用とそれ以外の部分用として、太さの異なる筒部材を用意し、後者の入口1a側に貫通孔を備えた平板を固定し、当該平板の貫通孔の周縁に前者の出口1b側を固定するなどして本体1とすることができる。
【0031】
前記実施形態では、本体1の入口1a側と出口1b側の双方が同形状(相似形)の場合を一例としているが、入口1a側と出口1b側を異なる形状とすることもできる。例えば、入口1a側が円形で出口1b側が楕円形、入口1a側が円形で出口1b側が矩形(例えば、四角形)などとすることもできる。この場合、出口1b側に向けて次第に先広がりの両端開口の楕円筒や角筒の入口側に貫通孔を備えた平板を固定し、その貫通孔の周縁に円筒状の装着部1cを固定するなどして本体1とすることができる。
【0032】
前記実施形態では、集塵体2を本体1の内側に一つ設ける場合を一例としているが、集塵体2は二以上設けることもできる。この場合、同じ構造の集塵体2を二以上設けることも、異なる構造の集塵体2を二以上設けることもできる。異なるものを配置する場合、一方の集塵体2のフィルタ2aを、他方の集塵体2のフィルタ2aよりも目の粗いものを用いることができる。集塵体2を二以上設ける場合、集塵体2は間隔をあけて又は間隔をあけずに設けることができる。
【0033】
前記実施形態では、集塵体2を本体1の出口1b側に設けた場合を一例としているが、集塵体2は本体1の中央部や中央部よりも入口1a側等、出口1b側以外の場所に設けることもできる。場合によっては、集塵体2の出口1bの外側に設けて、本体1に連結するようにしてもよい。
【0034】
前記実施形態では、変形防止材2bとして二枚の金網等を用いる場合を一例としているが、変形防止材2bは、一枚の金網等を折り曲げてフィルタ2aの両面を保持できるようにしたものであってもよい。
【0035】
(使用例:粉塵の捕集)
本発明の集塵装置10の使用例を、図6を参照して説明する。ここでは、鋼管Y内で溶接作業をする際に生じる、溶接ヒュームXを捕集する場合を一例として説明する。
(1)鋼管Y内に、本発明の集塵装置10を配置する。
(2)集塵装置10の送風機20の電源を入れ、溶接作業を行う。
(3)溶接作業によって発生した溶接ヒュームXは、送風機20の吸引力によって送風機20内へ引き込まれ送風機20を通過し、空気とともに粉塵回収体30に送られる。
(4)粉塵回収体30に到達した溶接ヒュームXは出口側へ送られ、出口1b側に配置された集塵体2で捕集される。このとき、空気は集塵体2を通過して粉塵回収体30の外に排出される。
【0036】
(使用例:フィルタの洗浄)
溶接ヒュームXを捕集した集塵体2は、本体1から取り外して、変形防止材2bで挟まれたフィルタ2aをそのまま(変形防止材2bに挟まれたまま)洗浄液につけることで、変形することなく洗浄することができる。洗浄後には集塵体2を本体1にセットし、粉塵のないところで送風機20をONにすることで集塵体2を乾燥させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の粉塵回収体30及び集塵装置10は、各種作業現場で発生する粉塵の捕集に用いることができるが、特に、鋼管Y内のような狭隘な作業現場での粉塵の捕集に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 本体
1a 入口
1b 出口
1c 装着部
2 集塵体
2a フィルタ
2b 変形防止材
3 内側支持材
4 外側支持材
4a 網材
4b 周壁
5 止め具(蝶ネジ)
6 蝶番
7 台座
7a 載せ板
7b 保持体
8 脚
9 連結部材
10 集塵装置
20 送風機
30 粉塵回収体
X 溶接ヒューム
Y 鋼管
【要約】
【課題】 狭隘な現場にも設置できる粉塵回収体及び集塵装置を提供する。
【解決手段】 本発明の粉塵回収体は、送風機の排気側に取り付けて使用する粉塵回収体であって、入口及び出口を備えた中空の本体と、当該本体を通過する粉塵を捕集する集塵体を備えたものである。本体は、入口側から出口側に向けて次第に広がる先広がりの筒状とした。集塵体は本体から取外し可能とした。集塵体はフィルタと変形防止材を備えたものとした。本発明の集塵装置は、送風機の排気側に前記粉塵回収体が設けられたものであある。送風機と粉塵回収体の双方又はいずれか一方に、送風機と粉塵回収体を水平又は略水平に支持する脚を設けることもできる。送風機と粉塵回収体を台座上に配置し、それら送風機と粉塵回収体の双方又はいずれか一方を台座に設けられた保持体で保持できるようにしてもよい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6