特許第6140382号(P6140382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140382
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】海中付着生物忌避組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 47/40 20060101AFI20170522BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   A01N47/40 A
   A01P17/00
【請求項の数】2
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-509797(P2017-509797)
(86)(22)【出願日】2016年6月14日
(86)【国際出願番号】JP2016067605
(87)【国際公開番号】WO2016204127
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2015/067180
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303028147
【氏名又は名称】バッセル化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】江口 健一
(72)【発明者】
【氏名】大平 朗
(72)【発明者】
【氏名】北野 克和
(72)【発明者】
【氏名】倉又 一成
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−370907(JP,A)
【文献】 特開2007−100001(JP,A)
【文献】 特開平09−124586(JP,A)
【文献】 特開2015−042622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 291/10
A01N 47/40
A01P 17/00
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物:
【化3】

(式中、Rは、ハロゲンである)
及び塗膜形成剤を含む、ヒドロ虫類忌避組成物。
【請求項2】
さらに、親水性親油性バランス(HLB)が2〜12のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含む、請求項に記載のヒドロ虫類忌避組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋有害付着生物による海中汚損を防除するための、特にヒドロ虫類に対して顕著な防汚効果を発揮する、海中付着生物忌避組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
汚損生物として知られているフジツボ類、ヒドロ虫類、イガイ類、コケムシ類、藻類などの海洋有害付着生物は、船底、養殖用漁網、定置網、ブイ、海底油田リグ等の海中構築物、火力発電所等の臨海工場の冷却水取水路、熱交換器冷却水配管系、水族館、栽培漁業センター等の海水取水施設に付着して多大な損害を与えている。これら生物の防除には、従来tributyltin oxide(TBTO)などの有機スズ化合物や亜酸化銅などの重金属を含む防汚剤が主に使われてきた。
【0003】
有機スズ系防汚塗料は優れた防汚効果を有する塗料で船底塗料として広く用いられてきたが、使用量が増大するにつれて巻貝の不妊化や他の海産生物に対して影響を及ぼすことが分かってきた。そのため、2008年から世界的に全面的な使用の規制に至っている。亜酸化銅は多量に使用されているヨットハーバーなどの場所では海底に蓄積され、海洋生物に影響をおよぼす懸念が生じる濃度に達している例が報告されている。現在、経済的で無公害の付着生物対策が緊急な課題であり、その中で天然の生体間作用物質(フェロモンやアレロケミカルなど他個体に影響を及ぼす生体物質)を利用して付着を制御する方法などが考えられている。
【0004】
また特許文献1には、海洋有害付着生物に対する防汚剤が提案されている。しかしインキュベータ内でのタテジマフジツボのキプリス幼生に対する忌避活性試験をし、防汚剤の付着阻害率と死亡率が示されているが、所詮インキュベータ内での試験であり、この防汚剤を含有してなる防汚剤組成物の防汚効果に関しては一切の示唆はなく、さらにはタテジマフジツボ以外のヒドロ虫類、イガイ類、コケムシ類、藻類に対しての効果は何ら検討もされてはいない。また、この技術分野においては、インビトロでの評価が高いからといって、海流や他生物の介在等の多様なパラメーターが実際の海洋試験においては、所望の効果が奏されないことが少なからずあることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−370907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来使用されてきた有機スズ化合物とは異なり、魚介類または人体にも安全性が高いと考えられ、また比較的容易に化学合成可能な、さらにはフジツボ類以外の海洋有害付着生物、特にヒドロ虫類に対して顕著な防汚効果を発揮する化合物を含有する海中付着生物忌避組成物を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者は、所定の化合物と塗膜形成剤を含む組成物が、フジツボ類以外の海洋有害付着生物、特にヒドロ虫類に対して、実際の海洋中で顕著な防汚効果を発揮することができることを初めて見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記式
【化1】

(式中、Rは、ベンジル、C3〜11のアルキル、C3〜11のアルケニル、C2〜9の分岐アルケニル、C3〜9の分岐アルキル及び−CHOAcからなる群から選択される)で表される化合物。
[2]
【化2】

で表される、[1]に記載の化合物。
[3]

(式中、Rは、C1〜6のアルキル、C2〜6のアルケニル、ハロゲン、−C(=O)O−CC1〜6のアルキル、ニトロ及び−O−C1〜6のアルキルからなる群から選択される)で表される化合物。
[4]
で表される、[3]に記載の化合物。
[5]
[1]〜[4]に記載の化合物及び塗膜形成剤を含む、海中付着生物忌避組成物。
[6]
化合物が、
【化3】
で表される、[5]に記載の海中付着生物忌避組成物。
[7]
海中付着生物が、ヒドロ虫類である、[6]に記載の海中付着生物忌避組成物。
[8]
さらに、親水性親油性バランス(HLB)が2〜12のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含む、[5]〜[7]に記載の海中付着生物忌避組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の海中付着生物忌避組成物は、フジツボ類以外の海洋有害付着生物、特にヒドロ虫類に対して顕著な防汚効果を発揮する。
【0009】
本発明の塗膜形成剤には、樹脂ビヒクルを含むことができる。樹脂ビヒクルとしては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、ロジンエステル、ロジン系石鹸、塩化ビニル系樹脂、塩化ゴム樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリアミド樹脂、石油系樹脂、油系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂ビヒクルは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。樹脂ビヒクルの分子量は、通常重量平均分子量で100万以下であり、好ましくは200〜200,000である。
【0010】
また、本発明の塗膜形成剤には、通常溶剤を含むことができる。溶剤としては、特に限定されるものではなく種々の溶剤が使用でき、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族系炭化水素溶剤、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
また、本発明の塗膜形成剤には、ジターシャリーノニルポリサルファイド、ポリブデン、流動パラフィンや、α−オレフィン共重合体、トリクレジルフォスフェートなどの可塑剤も加えることができる。
【0012】
また、本発明の塗膜形成剤には、顔料、その他の添加剤、例えばポリアマイド燐酸系、ポリアマイド系、不飽和ポリカルボン酸系などの分散剤、消泡剤、タレ止め剤などを添加することができる。
【0013】
また、本発明の塗膜形成剤には、シリコーンオイルを添加することができる。これらのシリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、フロロシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、その他各種官能基による変性シリコーンオイルなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのシリコーンオイルのうち、特に好ましいものは、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである。特に好ましいポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、親水性親油性バランス(HLB)が、好ましくは、1〜15、より好ましくは、2〜12のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである。これらのシリコーンオイルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せても良い。
【0014】
更に、本発明の海中付着生物忌避組成物には、防汚薬剤を添加しても良い。これらの薬剤としては、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、トリフェニル(n−オクタデシルアミン)ボロン、トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロン、ピリジン−トリフェニルボラン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、銅、亜酸化銅、チオシアン酸第一銅、ビス−2−ピリジンチオール銅塩、ビス(2−メルカプトピリジン−N−オキシド)亜鉛II、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルフォニル]フルオロ−N−(P−トリル)メタンスルフェンアミド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどが挙げられる。
【0015】
本発明の組成物は、塗料、溶液、乳剤、カプセル剤等の形に調製して使用される。これらの調製は通常行われる一般的な処方を採用して実施できる。例えば、塗料として使用する場合は、本発明の組成物を調製し、これを船底、水中構築物、冷却用取水路等に塗布することができる。この際使用される塗膜形成剤としては、例えば油ワニス、合成樹脂、人造ゴム等が挙げられる。組成物には所望に応じ更に溶剤、体質顔料等を加えることができる。この場合、本発明の組成物は塗料の重量に基づき0.1〜50%、好ましくは1〜30%の割合で配合される。
【0016】
本発明の組成物を溶媒に溶解した溶液とし、これを水中生物の付着繁殖を防止する目的で養殖漁網、定置漁網等に塗布することができる。塗膜形成剤としては、例えば天然樹脂、合成樹脂、人造ゴム等が使用され、溶媒としてはトルエン、キシレン、クメン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、メタノール等が使用される。この溶液には必要に応じ、可塑剤等の添加剤を加えることができる。溶液として使用する場合、本発明の組成物は溶液の重量に基づき0.1〜100%、好ましくは0.1〜30%の割合で配合される。乳剤として使用する場合は、溶媒中に本発明の組成物を溶解し、更に界面活性剤を添加して常法により乳剤を調製する。界面活性剤としては、普通一般のものが用いられる。乳剤として用いる場合、本発明の組成物は乳剤の重量に基づき0.1〜80%、好ましくは0.1〜30%の割合で配合される。カプセル剤として使用する場合は、カプセルの中にmMオーダーの組成物を包含させ、少しずつ放出、拡散するようにして漁網等に取り付ける。また本発明の組成物は、養殖漁網、定置網等水中使用物素材の高分子樹脂に練りこんで用いてもよい。
【実施例1】
【0017】
各化合物の調製
[AF−149]
文献(SYNTHESIS、2011、No.20、pp3225−3234)の方法に従い合成した。
【0018】
[AF−153]
4−アミノフェノール25gをギ酸エチル250mLに懸濁し、p−トルエンスルホン酸・一水和物4.36gを加え、24時間加熱還流した後、溶媒を減圧化留去し、N−(4−ヒドロキシフェニル)ホルムアミドの混合物(A)を32g得た。(A)18gをDMF250mLに溶解し、炭酸カリウム36g、酢酸2−ブロモエチルエステル33gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、酢酸2−(4−フォルムアミドフェノキシ)エチルエステル14gを得た。酢酸2−(4−フォルムアミドフェノキシ)エチルエステル14gを塩化メチレン100mLに溶解し、トリエチルアミン100mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル16gを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、酢酸2−(4−イソシアノフェノキシ)エチルエステル[AF−153]を9.2g得た。
【0019】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.29(2H、d、J=8.1Hz)、6.85(2H、d、J=8.1Hz)、4.46−4.40(4H、m)、2.04(3H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:170.1、162.7(br)、159.3、127.5、119.4(t、J=12.4Hz)、114.9、66.7、64.0
【0020】
[AF−154]
(A)18gをDMF250mLに溶解し、炭酸カリウム36g、1−ブロモヘキサン32.5gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、N−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)ホルムアミド21.5gを得た。N−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)ホルムアミド15gを塩化メチレン100mLに溶解し、トリエチルアミン100mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル17gを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−(ヘキシルオキシ)−4−イソシアノベンゼン[AF−154]を10g得た。
【0021】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.29(2H、d、J=8.1Hz)、6.85(2H、d、J=8.1Hz)、3.95(2H、t、J=6.6Hz)、1.78(2H、quint、J=6.6Hz)、1.50−1.33(6H、m)、0.89(3H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.4、159.4、127.6、119.1(t、J=12.4Hz)、114.9、68.3、31.7、29.2、25.6、22.7、14.1
【0022】
[AF−155]
(A)15gをDMF200mLに溶解し、炭酸カリウム30g、1−ブロモ−3−メチルブタン25gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、N−(4−(イソペンチルオキシ)フェニル)ホルムアミド19gを得た。N−(4−(イソペンチルオキシ)フェニル)ホルムアミド15gを塩化メチレン100mLに溶解し、トリエチルアミン100mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル18gを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−(イソペンチルオキシ)ベンゼン[AF−155]を11.2g得た。
【0023】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.29(2H、d、J=8.1Hz)、6.85(2H、d、J=8.1Hz)、3.98(2H、t、J=6.6Hz)、1.82(1H、septet、J=6.6Hz)、1.68(1H、q、J=6.6Hz)、0.96(6H、d、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.5、159.4、127.5、119.1(t、J=12.4Hz)、114.9、66.7、37.6、24.9、22.4
【0024】
[AF−158]
(A)12gをDMF180mLに溶解し、炭酸カリウム24g、シトロネリルクロリド18gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、N−(4−((3、7−ジメチル−6−オクテン−1−イル)オキシ)フェニルホルムアミド14.5gを得た。N−(4−((3、7−ジメチル−−6−オクテン−1−イル)オキシ)フェニルホルムアミド14gを塩化メチレン100mLに溶解し、トリエチルアミン100mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル12.8gを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−((3、7−ジメチル−6−オクテン−1−イル)オキシ)−4−イソシアノベンゼン[AF−158]を10g得た。
【0025】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.29(2H、d、J=8.1Hz)、6.85(2H、d、J=8.1Hz)、5.21−5.19(1H、m)、3.97(2H、t、J=6.6Hz)、1.96−1.92(2H、m)、1.82(3H、s)、1.70(3H、s)、1.66−1.36(5H、m)、0.95(3H、d、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.5、159.4、131.3、127.5、124.7、119.1(t、J=12.4Hz)、114.9、66.2、38.1、37.4、30.8、24.6、24.4、21.1、18.5
【0026】
[AF−159]
(A)20gをDMF230mLに溶解し、炭酸カリウム40g、1−ブロモ−3−メチル−2−ブテン34gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、N−(4−((3−メチル−2−ブテン−1−イル)オキシ)フェニル)ホルムアミド13.3gを得た。N−(4−((3−メチル−2−ブテン−1−イル)オキシ)フェニル)ホルムアミド13gを塩化メチレン100mLに溶解し、トリエチルアミン100mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル16.4gを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−((3−メチル−2−ブテン−1−イル)オキシ)ベンゼン[AF−159]を10g得た。
【0027】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.16(2H、d、J=8.1Hz)、6.78(2H、d、J=8.1Hz)、5.41−5.37(1H、m)、4.70−4.66(2H、m)、1.82(3H、s)、1.70(3H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.5、159.4、138.4、127.9、119.8(t、J=12.4Hz)、119.6、114.6、65.7、24.6、18.6
【0028】
[AF−169]
(A)16gをDMF250mLに溶解し、炭酸カリウム35g、(2−ブロモエチル)ベンゼン25gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、N−(4−フェネトキシフェニル)ホルムアミド20gを得た。N−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)ホルムアミド13.8gを塩化メチレン100mLに溶解し、トリエチルアミン100mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル14.4gを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−フェネトキシベンゼン[AF−169]を11g得た。
【0029】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.35−7.23(7H、m)、6.85(2H、d、J=8.1Hz)、4.17(2H、t、J=6.6Hz)、3.10(2H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.7、158.9、158.3、129.5、127.7、121.2、119.6(t、J=12.4Hz)、115.2、114.6、66.8、66.1
【0030】
[AF−170]
(A)15gをDMF200mLに溶解し、炭酸カリウム30g、1−ブロオクタン24.8gを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)により精製し、N−(4−(オクチルオキシ)フェニル)ホルムアミド20gを得た。N−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)ホルムアミド15gを塩化メチレン100mLに溶解し、トリエチルアミン100mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル16.5gを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−(オクチルオキシ)ベンゼン[AF−170]を10.8g得た。
【0031】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.29(2H、d、J=8.1Hz)、6.85(2H、d、J=8.1Hz)、3.95(2H、t、J=6.6Hz)、1.78(1H、quint、J=6.6Hz)、1.50−1.30(10H、m)、0.89(3H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.4、159.4、127.6、119.1(t、J=12.4Hz)、114.9、68.3、31.7、29.2、29.1、29.0、25.8、22.5、14.0
【0032】
AF−173
(A)26.9gをDMF250mLに溶解し、炭酸カリウム52g、1−ブロモノナン25mLを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、N−(4−(ノニルオキシ)フェニル)ホルムアミド26.1gを得た。N−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)ホルムアミド26.1gをテトラヒドロフラン250mLに溶解し、トリエチルアミン42mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル20mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−(ノニルオキシ)ベンゼン[AF−173]を15.7g得た。
【0033】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.28(2H、d、J=8.1Hz)、6.84(2H、d、J=8.1Hz)、3.94(2H、t、J=6.6Hz)、1.77(2H、quint、J=6.6Hz)、1.47−1.15(12H、m)、0.87(3H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.9、159.5、127.7、119.3(t、J=12.4Hz)、114.8、68.5、31.9、29.6、29.4、29.3、29.1、26.0、22.7、14.2
【0034】
AF−174
(A)21.2gをDMF250mLに溶解し、炭酸カリウム43g、1−ブロモウンデカン21mLを加え、60℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、N−(4−(ウンデシルオキシ)フェニル)ホルムアミド18.3gを得た。N−(4−(ウンデシルオキシ)フェニル)ホルムアミド18.3gをテトラヒドロフラン250mLに溶解し、トリエチルアミン25mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル12mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−(ウンデシルオキシ)ベンゼン[AF−174]を12.4g得た。
【0035】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.30(2H、d、J=8.1Hz)、6.84(2H、d、J=8.1Hz)、3.94(2H、t、J=6.6Hz)、1.77(2H、quint、J=6.6Hz)、1.48−1.18(16H、m)、0.87(3H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.9、159.6、127.7、119.3(t、J=12.4Hz)、115.1、68.5、32.0、29.72、29.70、29.65、29.5、29.4、29.2、26.2、22.8、14.2
【0036】
AF−175
(A)11.2gをDMF250mLに溶解し、炭酸カリウム16.7g、11−ブロモ−1−ウンデセン20.7gを加え、80℃で18時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、N−(4−(10−ウンデセニルオキシ)フェニル)ホルムアミド11.9gを得た。N−(4−(10−ウンデセニルオキシ)フェニル)ホルムアミド11.9gをテトラヒドロフラン100mLに溶解し、トリエチルアミン18mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル8.3mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−(10−ウンデセニルオキシ)ベンゼン[AF−175]を7.5g得た。
【0037】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.30(2H、d、J=8.1Hz)、6.85(2H、d、J=8.1Hz)、5.85−5.78(1H、m)、5.01−4.98(1H、m)、4.94−4.92(1H、m)、3.95(2H、t、J=6.6Hz)、2.04(2H、q、J=7.3Hz)、1.77(2H、quint、J=6.6Hz)、1.48−1.18(16H、m)、0.87(3H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.6、159.5、139.2、127.7、119.3(t、J=12.4Hz)、115.1、114.2、68.5、33.8、29.5、29.4、29.2、29.1、29.0、26.0
【0038】
AF−176
2−アミノフェノール25gをギ酸エチル350mLに懸濁し、p−トルエンスルホン酸・一水和物4.35gを加え、24時間加熱還流した後、溶媒を減圧化留去し、N−(2−ヒドロキシフェニル)ホルムアミドの混合物(B)を46.2g得た。(B)46.2gをDMF250mLに溶解し、炭酸カリウム48g、1−ブロオクタン58mLを加え、80℃で22時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、N−(2−(オクチルオキシ)フェニル)ホルムアミド34.7gを得た。N−(2−(ヘキシルオキシ)フェニル)ホルムアミド17.9gをテトラヒドロフラン100mLに溶解し、トリエチルアミン30mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル14mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−2−(オクチルオキシ)ベンゼン[AF−176]を11.4g得た。
【0039】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.33−7.28(2H、m)、6.93−6.87(2H、m)、4.04(2H、t、J=6.6Hz)、1.80−1.82(2H、m)、1.49(1H、quint、J=6.6Hz)、1.39−1.23(8H、m)、0.88(3H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:167.2、154.7、130.4、127.7、120.3(t、J=12.4Hz)、116.5、112.8、69.1、31.9、29.4、29.3、29.1、26.0、22.7、14.2
【0040】
AF−177
3−アミノフェノール25gをギ酸エチル250mLに懸濁し、p−トルエンスルホン酸・一水和物4.37gを加え、24時間加熱還流した後、溶媒を減圧化留去し、N−(3−ヒドロキシフェニル)ホルムアミドの混合物(C)を38.8g得た。(C)38.8gをDMF300mLに溶解し、炭酸カリウム50g、1−ブロオクタン73mLを加え、80℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、N−(3−(オクチルオキシ)フェニル)ホルムアミド23.6gを得た。N−(3−(ヘキシルオキシ)フェニル)ホルムアミド17.9gをテトラヒドロフラン150mLに溶解し、トリエチルアミン40mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル18mLを加え、室温に戻しながら3時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−3−(オクチルオキシ)ベンゼン[AF−176]を13.2g得た。
【0041】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.28−7.23(1H、m)、6.94−6.90(2H、m)、6.87−6.86(1H、m)、3.93(2H、t、J=6.6Hz)、1.79−1.74(2H、m)、1.43(1H、quint、J=6.6Hz)、1.36−1.23(8H、m)、0.88(3H、t、J=6.6Hz)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:164.1、159.7、130.2、127.4、118.4(t、J=12.4Hz)、116.1、112.4、68.5、31.9、29.4、29.3、29.1、26.1、22.8、14.2
【0042】
AF−178
(A)11.2gをDMF100mLに溶解し、炭酸カリウム22.6g、α−クロロ−p−キシレン12.9mL、テトラブチルアンモニウムヨージド530mgを加え、80℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、N−(4−((4−メチルベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド10.7gを得た。N−(4−((4−メチルベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド13.7gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、トリエチルアミン24mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル10mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−((4−メチルベンジル)オキシ)ベンゼン[AF−178]を9.8g得た。
【0043】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.31−7.27(4H、m)、7.20(2H、d、J=8.2Hz)、6.92(2H、d、J=8.9Hz)、5.02(2H、s)、2.36(3H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.5、158.9、138.1、132.8、129.3、127.7、127.5、119.5(t、J=12.4Hz)、115.3、70.2、21.2
【0044】
AF−179
(A)13.7gをDMF100mLに溶解し、炭酸カリウム27.6g、4−クロロスチレン16.9mL、テトラブチルアンモニウムヨージド370mgを加え、80℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、N−(4−((4−ビニルベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド18.3gを得た。N−(4−((4−ビニルベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド18.3gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、トリエチルアミン30mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル14mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−イソシアノ−4−((4−ビニルベンジル)オキシ)ベンゼン[AF−179]を13.1g得た。
【0045】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.43(2H、d、J=8.2Hz)、7.36(2H、d、J=8.2Hz)、7.30(2H、d、J=8.9Hz)、6.93(2H、d、J=8.9Hz)、6.72(1H、dd、J=17.9、11.0Hz)、5.77(1H、d、J=17.9Hz)、5.27(1H、d、J=17.9、11.0Hz)、5.06(2H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.6、158.9、137.6、136.2、135.4、127.6、127.6、126.5、119.7(t、J=12.4Hz)、115.5、114.4、70.1
【0046】
AF−180
(A)16.3gをDMF100mLに溶解し、炭酸カリウム33.8g、4−クロロベンジルクロリド16.9mL、テトラブチルアンモニウムヨージド450mgを加え、80℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、N−(4−((4−クロロベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド27.0gを得た。N−(4−((4−クロロベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド14.0gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、トリエチルアミン22.4mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル10.4mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−クロロ−4−((4−イソシアノフェノキシ)メチル)ベンゼン[AF−180]を12g得た。
【0047】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.36(2H、d、J=8.9Hz)、7.34(2H、d、J=8.9Hz)、7.30(2H、d、J=8.9Hz)、6.92(2H、d、J=8.9Hz)、5.03(2H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.7、158.7、134.4、134.1、128.9、128.7、127.8、119.8(t、J=12.4Hz)、115.4、69.5
【0048】
AF−181
(A)11.0gをDMF100mLに溶解し、炭酸カリウム22.1g、4−ブロモベンジルブロミド24.0g、テトラブチルアンモニウムヨージド300mgを加え、80℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、N−(4−((4−ブロモベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド15.9gを得た。N−(4−((4−ブロモベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド5.14gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、トリエチルアミン7.0mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル3.3mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、1−ブロモ−4−((4−イソシアノフェノキシ)メチル)ベンゼン[AF−181]を3.0g得た。
【0049】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.52(2H、d、J=8.9Hz)、7.31(2H、d、J=8.9Hz)、7.28(2H、d、J=8.9Hz)、6.91(2H、d、J=8.9Hz)、5.02(2H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.7、158.6、135.0、131.8、129.0、127.8、122.2、119.9(t、J=12.4Hz)、115.4、69.5
【0050】
AF−182
(A)13.8gをアセトニトリル200mLに溶解し、炭酸カリウム27.6g、(4−クロロメチル)安息香酸メチル22.3g、テトラブチルアンモニウムヨージド395mgを加え、80℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、4−((4−ホルムアミドフェノキシ)メチル)安息香酸メチル27.4gを得た。4−((4−ホルムアミドフェノキシ)メチル)安息香酸メチル6.9gをジクロロメタン200mLに溶解し、トリエチルアミン10.0mLを加えた後、氷浴冷却下、オキシ塩化リン3.0mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、4−((4−イソシアノフェノキシ)メチル)安息香酸メチル[AF−182]を3.5g得た。
【0051】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:8.06(2H、d、J=8.2Hz)、7.48(2H、d、J=8.2Hz)、7.31(2H、d、J=8.9Hz)、6.93(2H、d、J=8.9Hz)、5.14(2H、s)、3.93(3H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:166.6、162.9、158.6、141.1、130.0、129.9、127.8、126.9、120.0(t、J=12.4Hz)、115.4、69.6、52.2
【0052】
AF−183
(A)2.75gをアセトニトリル30mLに溶解し、炭酸カリウム5.52g、4−メトキシベンジルクロリド3.25mL、テトラブチルアンモニウムヨージド73.8mgを加え、80℃で48時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去し、N−(4−((4−メトキシベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド6.9gを得た。N−(4−((4−メトキシベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド6.9gをジクロロメタン200mLに溶解し、トリエチルアミン10.0mLを加えた後、氷浴冷却下、オキシ塩化リン3.0mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン100%)により精製し、1−イソシアノ−4−((4−メトキシベンジル)オキシ)ベンゼン[AF−183]を600mg得た。
【0053】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:7.33(2H、d、J=8.9Hz)、7.30(2H、d、J=8.9Hz)、6.92(2H、d、J=8.9Hz)、6.91(2H、d、J=8.9Hz)、4.99(2H、s)、3.82(3H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:162.5、159.6、159.0、129.2、127.9、127.7、、119.6(t、J=12.4Hz)、115.4、114.1、70.1、55.3
【0054】
AF−184
(A)13.7gをアセトニトリル200mLに溶解し、炭酸カリウム27.9g、4−ニトロベンジルブロミド21.7g、テトラブチルアンモニウムヨージド405mgを加え、80℃で24時間撹拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物を再結晶(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、N−(4−((4−ニトロベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド22.6gを得た。N−(4−((4−ニトロベンジル)オキシ)フェニル)ホルムアミド22.6gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、トリエチルアミン34.7mLを加えた後、氷浴冷却下、ジクロロリン酸フェニル16.1mLを加え、室温に戻しながら2時間撹拌した。氷浴冷却下、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン100%)により精製し、1−イソシアノ−4−((4−ニトロベンジル)オキシ)ベンゼン[AF−184]を2.9g得た。
【0055】
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS)δ:8.26(2H、d、J=8.9Hz)、7.59(2H、d、J=8.9Hz)、7.34(2H、d、J=8.9Hz)、6.94(2H、d、J=8.9Hz)、5.18(2H、s)
13C−NMR(150.8MHz、CDCl、TMS)δ:163.1、158.2、147.7、143.3、128.0、127.6、123.9、120.3(t、J=12.4Hz)、115.4、68.9
【0056】
AF−024
特許文献(特開2002−370907号公報)の方法に従い合成した。
【0057】
AF−035
特許文献(特開2002−370907号公報)の方法に従い合成した。
【0058】
AF−034
特許文献(特開2002−370907号公報)の方法に従い合成した。
【0059】
AF−048
文献(BIOFOULING、2004、Vol.20、No.2、pp93−100)の方法に従い合成した。
【実施例2】
【0060】
【表1】

【0061】
上記化合物の中で、AF−024,AF−034,AF−035,AF−048は、特許文献1において、フジツボに対する50%付着疎外率(EC50)が、それぞれ、0.054、0.0084、0.03、0,019μg/mlであることが報告されている。残りの化合物のEC50は、いまだ知られていない。AF−034,AF−035,AF−048は、AF−024に比べてより低いEC50値を有していることから、実際の海洋試験での効果を示すための比較例として用いた。以下の実施例から明らかなとおり、AF−024は、AF−034、AF−035及びAF−048に対して格別に優れた忌避効果を示した。
【0062】
漁網での試験
下表の組成物を、ポリエチレン無結節網(6節、400デニール、60本)に浸漬塗布して風乾した後に35cm×45cmの鉄枠に固定し、北海道根室市落石湾内筏の海面下3mに2015年4月14日より2015年12月15日まで浸漬保持した。
【0063】
【表2-1】

【表2-2】

(注)
*1 シルコーンオイルKF−6020(商品名):ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(HBL=4)、信越化学工業(株)製
*2 アクリル樹脂:イソブチルメタクリレート・ブチルアクリレート共重合体、Tg=20℃
*3 ポリブデン0H(商品名):出光興産(株)製
【0064】
試験結果
【表3】

(注)S:付着が全くない
A:付着がごくわずかにあり
B:付着が少しあり
C:付着がやや多い
D:付着がかなり多い
E:付着が非常に多い
【0065】
下表の組成物を10cm×30cmの試験板に塗布乾燥し、長崎県平戸市木ケ津湾内筏の海面下1.5mに2015年3月24日より2016年4月26日まで浸漬保持した。
【0066】
【表4-1】

【表4-2】

(注)
*1 シルコーンオイルKF−6020(商品名):ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(HBL=4)、信越化学工業(株)製
*2 アクリル樹脂:イソブチルメタクリレート、Tg=48℃
*3 ポリブデン0H(商品名):出光興産(株)製
【0067】
試験結果
【表5】

(注)S:付着が全くない
A:付着がごくわずかにあり
B:付着が少しあり
C:付着がやや多い
D:付着がかなり多い
E:付着が非常に多い
【0068】
漁網での試験
下表の組成物を、ポリエチレン無結節網(6節、400デニール、60本)に浸漬塗布して風乾した後に35cm×45cmの鉄枠に固定し、北海道函館市臼尻町南かやべ漁業協同組合前漁港内筏の海面下3mに2015年5月28日より2015年9月8日まで浸漬保持した。
【0069】
【表6】

(注)
※1 シリコーンオイルKF−6020(商品名):ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、信越化学工業(株)製 HLB=4
※2 シリコーンオイルKF−354L(商品名):ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、信越化学工業(株)製 HLB=16
※3 シリコーンオイルKF−96(商品名):ジメチルシリコーンオイル信越化学工業(株)製 HLB=0
※4 アクリル樹脂:イソブチルメタクリレート・ブチルアクリレート共重合体。Tg=20℃
※5 ポリブデン0H(商品名):出光興産(株)製
【0070】
試験結果
【表7】

(注)S:付着が全くない
A:付着がごくわずかにあり
B:付着が少しあり
C:付着がやや多い
D:付着がかなり多い
E:付着が非常に多い
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、海中付着生物の忌避のために用いることができる。