【文献】
S. Luryi,"Polarization oscillations in coupled quantum wells--A scheme for the generation of submillimeter electromagnetic waves",IEEE Journal of Quantum Electronics,1991年 1月,Vol.27, No.1,p.54-60
【文献】
H.-P.Schlenvoigt, et al.,"Synchrotron radiation from laser-accelerated monoenergetic electrons",IEEE Transactions on Plasma Science,2008年 8月,Vol.36, No.4,p.1773-1781
【文献】
S. Luryi,"Polarization oscillations in coupled quantum wells--A scheme for the generation of submillimeter electromagnetic waves",IEEE Jouenal of Quantum Electronics,1991年 1月,Vol.27, No.1,p.54-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャンバ内部の空間に、前記帯電可能粒子が配され、前記チャンバの両端で、前記第1電極及び前記第2電極が、前記チャンバ内部の空間を密閉し、前記チャンバの内部空間が、真空状態であるか、または不活性ガスで充填されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波発生器。
前記チャンバが、前記第1電極及び前記第2電極が電気的に互いに分離されるように、絶縁性材料からなり、前記帯電可能粒子の運動によって発生する電磁波に対して透過性であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電磁波発生器。
前記帯電可能粒子が、前記第1電極及び前記第2電極に対する電圧の印加と係わりなく、すでに帯電されており、帯電された状態を維持する粒子、または前記第1電極及び前記第2電極に電圧が印加されるときにのみ帯電され、電圧印加の中断時に放電される粒子のうち一つであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波発生器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、出力電磁波の波長制御が可能な広域電磁波発生器を提供するものである。
【0005】
本発明はまた、高速開閉が可能な光シャッタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一類型によれば、互いに離隔されて対面するように配された第1電極及び第2電極と、第1電極と第2電極との間に配された少なくとも1つの帯電可能粒子と、第1電極と第2電極との間で、帯電可能粒子を取り囲むように配されたチャンバと、を含む電磁波発生器が提供される。このような電磁波発生器の構造で、第1電極及び第2電極に電圧を印加するとき、帯電可能粒子が第1電極と第2電極との間を往復しつつ電磁波が発生しうる。
【0007】
一実施例によれば、チャンバ内部の空間に、帯電可能粒子が配され、チャンバの両端で、第1電極及び第2電極は、チャンバ内部の空間を密閉させ、チャンバの内部空間は、真空状態であるか、または不活性ガスで充填されてもよい。
【0008】
電磁波発生器は、チャンバの外部を取り囲むハウジングをさらに含んでもよい。
【0009】
一実施例によれば、チャンバとハウジングとの間の空間は、真空状態になっていてもよい。
【0010】
また、チャンバは、第1電極及び第2電極が電気的に互いに分離されるように、絶縁性材料からなり、帯電可能粒子の運動によって発生する電磁波に対して、透過性を有してもよい。
【0011】
例えば、第1電極に第1直流(DC)電圧が印加され、第2電極に第1直流電圧と異なる第2直流電圧が印加されてもよい。
【0012】
一実施例で、第1電極及び第2電極は、平板型であり、第1電極及び第2電極の直径が、チャンバの直径より大きくてもよい。
【0013】
他の実施例で、第1電極及び第2電極は、凹型の放物面を有し、第1電極及び第2電極の放物面は、互いに対向するように配されてもよい。
【0014】
さらに他の実施例で、第1電極及び第2電極のうちいずれか一つは、平板型であり、他の一つは、帯電可能粒子に向かって配された凹型の放物面を有してもよい。
【0015】
例えば、帯電可能粒子は、電気的に帯電される伝導体材料からなってもよい。
【0016】
一実施例で、帯電可能粒子は、電気的に帯電される伝導体コアと、伝導体コアを取り囲む絶縁性シェルと、を含んでもよい。
【0017】
一実施例で、帯電可能粒子は、第1電極及び第2電極に対する電圧の印加と係わりなく、すでに帯電されており、帯電された状態を維持する粒子、または第1電極及び第2電極に電圧が印加されるときにのみ帯電され、電圧印加の中断時に放電される粒子のうち一つであってもよい。
【0018】
一実施例によれば、第1電極及び第2電極に電圧が印加されるとき、第1電極及び第2電極と帯電可能粒子との間に引力が発生しうる。
【0019】
例えば、第1電極及び第2電極と帯電可能粒子との間に作用する全体力の電気的強度Fは、
【数1】
であり、ここで、
【数2】
であり、Q
Tは、帯電可能粒子の有効電荷であり、sは、第1電極と帯電可能粒子との間の距離であり、hは、第1電極と第2電極との間の間隔であり、aは、伝導体コアの半径であり、bは、絶縁性シェルの半径であり、E
Pは、第1電極と第2電極との間に発生した電場の強度であり、σ
1は、伝導体コアの電荷密度であり、σ
2は、絶縁性シェルの電荷密度であり、ε
0は、自由空間での誘電率であり、κ
2は、絶縁性シェルの誘電定数であり、κ
3は、チャンバ内での帯電可能粒子の外側領域の誘電定数である。
【0020】
一実施例で、チャンバは、円筒形または多角筒形であってもよい。
【0021】
他の類型によれば、前述の電磁波発生器を複数含む電磁波発生器アレイが提供される。
【0022】
例えば、複数の電磁波発生器は、同一半径に沿ってリング形に配列されてもよい。
【0023】
ここで、電磁波発生器アレイは、リング形アレイの内部に配された電磁波遮蔽膜をさらに含んでもよい。
【0024】
一実施例で、複数の電磁波発生器が同期して動作しうる。
【0025】
他の類型によれば、互いに離隔されて対面するように配された第1電極及び第2電極と、第1電極と第2電極との間に配された少なくとも1つの帯電可能粒子と、第1電極と第2電極との間で、帯電可能粒子を取り囲むように配されたチャンバと、第1電極の中心部に光が通過するように形成された開口と、を含む光シャッタが提供される。ここで、光シャッタは、第1電極及び第2電極に電圧を印加するとき、帯電可能粒子が、第1電極と第2電極との間を往復しつつ、反復的に入射光を断続させるように動作しうる。
【0026】
一実施例で、第1電極は、不透明な導電体からなり、第2電極は、透明な導電体からなってもよい。
【0027】
例えば、開口の半径は、帯電可能粒子の半径より小さくてもよい。
【0028】
光シャッタは、開口に充填された透明ウインドウをさらに含んでもよい。
【0029】
一実施例で、第1電極は、帯電可能粒子が、開口上に載置されるように、凹型の表面を有してもよい。
【0030】
例えば、チャンバの内壁は、反射性材料でコーティングされたり、チャンバ自体が反射性材料からなってもよい。
【0031】
また、チャンバは、第1電極及び第2電極が電気的に互いに分離されるように、絶縁性材料からなってもよい。
【0032】
一実施例で、開口は、円形または多角形であってもよい。
【0033】
さらに他の類型によれば、前述の光シャッタを複数含む光シャッタ・アレイが提供される。
【0034】
例えば、複数の光シャッタは、行と列とをなしてマトリックス・アレイ状に配列されてもよい。
【0035】
一実施例で、第2電極は、あらゆる光シャッタに対する共通電極であり、第1電極は、それぞれの光シャッタごとに独立して配されてもよい。
【0036】
光シャッタ・アレイは、それぞれの光シャッタの第1電極間に配された不透明絶縁体をさらに含んでもよい。
【0037】
さらに他の類型による光シャッタは、互いに離隔されて対面するように配された第1電極及び第2電極と、第1電極と第2電極との間に配された少なくとも1つの帯電可能粒子と、第1電極と第2電極との間で、帯電可能粒子を取り囲むように配されたチャンバと、を含み、ここで、第1電極及び第2電極は、平板状の透明な導電性材料からなり、チャンバの内壁は、反射性を有し、第1電極及び第2電極に印加される電圧を調節し、帯電可能粒子が、第1電極と第2電極との間を往復する周期を制御することによって、透過する光の強度を制御できる。ここで、透過する光の強度は、帯電可能粒子の往復周期によって変化しうる。
【0038】
一実施例で、チャンバは、反射性金属からなり、光シャッタは、チャンバと第1電極との間に配された第1絶縁体と、チャンバと第2電極との間に配された第2絶縁体と、をさらに含んでもよい。
【0039】
他の実施例で、チャンバは、反射性誘電体からなるか、あるいはチャンバの内壁に反射性コーティング膜が形成されてもよい。
【0040】
また、帯電可能粒子の表面が反射性を有してもよい。
【0041】
また、光シャッタは、第1電極が配される透明な第1基板と、第2電極が配される透明な第2基板と、をさらに含んでもよい。
【0042】
一実施例で、光シャッタは、第2基板上に配されるカラーフィルタをさらに含んでもよい。
【0043】
他の実施例で、光シャッタは、第2電極上に配されるカラーフィルタをさらに含んでもよい。
【0044】
例えば、反射性を有するチャンバの内壁が、放物面の形状を有してもよい。
【0045】
一方、他の類型による光シャッタは、互いに離隔されて対面するように配された第1電極及び第2電極と、第1電極と第2電極との間に配された少なくとも1つの帯電可能粒子と、第1電極と第2電極との間で、帯電可能粒子を取り囲むように配されたチャンバと、を含み、ここで、第1電極は、中心部に光が通過するように形成された開口を有する平板状の不透明な導電性材料からなり、第2電極は、平板状の透明な導電性材料からなり、チャンバの内壁は、反射性を有し、第1電極及び第2電極に印加される電圧を調節し、帯電可能粒子が、第1電極と第2電極との間を往復する周期を制御することによって、透過する光の強度を制御することができる。ここで、透過する光の強度は、帯電可能粒子の往復周期によって変化しうる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付された図面を参照しつつ、電磁波発生器及びそれを利用した光シャッタについて詳細に説明する。以下の図面で同じ参照符号は、同じ構成要素を指し、図面上で各構成要素の大きさは、説明の明瞭さ及び便宜性のために、誇張されていることがある。
【0048】
図1及び
図2は、一実施例による電磁波発生器10の構造をそれぞれ概略的に図示する斜視図及び断面図である。
図1及び
図2を参照すれば、一実施例による電磁波発生器10は、互いに離隔されて対面するように配された下部電極11及び上部電極12、下部電極11と上部電極12との間に配された帯電可能粒子(chargeable particle)14、及び下部電極11と上部電極12との間で、帯電可能粒子14を取り囲むように配されたチャンバ13を含む。従って、チャンバ13内部の空間20に、帯電可能粒子14が配され、チャンバ13の下部及び上部に、それぞれ下部電極11と上部電極12とが配され、チャンバ13の内部空間20を密閉させることができる。
【0049】
チャンバ13の内部空間20内で、帯電可能粒子14以外には、電荷を有した粒子やガスが存在しないことが有利である。このために、内部空間20を真空状態に維持する。その代わりに、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)のような希ガス(noble gas)や、六フッ化硫黄(SF
6)のように、帯電可能粒子14の電気的放電を抑制するガスで内部空間20を充填することも可能である。チャンバ13内部の空間20を、真空や不活性ガスで確実に維持するために、電磁波発生器10は、チャンバ13の外部を取り囲むハウジング15をさらに含む。ハウジング15とチャンバ13との間の空間30は、真空に維持されてもよい。
【0050】
チャンバ13は、下部電極11及び上部電極12が電気的に分離されるように、絶縁性材料からなってもよい。また、チャンバ13は、帯電可能粒子14の運動によって発生する電磁波が透過できる材料からなってもよい。該2つの条件を満たすいかなる材料も、チャンバ13として使われる。
図1には、チャンバ13が円筒形であると例示されているが、これに限定されるものではない。例えば、チャンバ13は、三角筒、四角筒のような多角筒形の形状を有することもできる。また、
図1には、チャンバ13内に、1つの帯電可能粒子14があると例示されているが、これに限定されるものではなく、複数の帯電可能粒子14がチャンバ13内に配されもする。
【0051】
下部電極11及び上部電極12は、チャンバ13内部の空間20に電場を提供する役割を行うように配される。例えば、上部電極12にV
Tの電圧を印加し、下部電極11にV
Lの電圧を印加するとき、V
T>V
Lであるならば、上部電極12から下部電極11の方向に電場が発生する。帯電可能粒子14が帯電されれば、電場に沿って動くが、このとき、帯電可能粒子14が、チャンバ13の内壁にぶつからずに、安定して上下動するためには、チャンバ13内部の空間20に、チャンバ13の壁に対して平行な電場(すなわち、図面では、垂直方向に平行な電場)が形成されることが有利である。このために、下部電極11及び上部電極12の直径は、チャンバ13の直径よりより大きいことが望ましい。
図3に図示されているように、平行な2枚の平板の下部電極11及び上部電極12間に形成される電場は、下部電極11及び上部電極12のエッジへ行くほど平行ではなくなり、下部電極11及び上部電極12の中心部へ行くほど平行になる。従って、チャンバ13の直径は、電場が平行である領域の直径Dと一致するように選択されてもよい。それにより、帯電可能粒子14をチャンバ13の中心領域に閉じ込めることができる。しかし、帯電可能粒子14を、チャンバ13の中心領域に閉じることができる他の手段が存在する場合には、下部電極11及び上部電極12の直径が、チャンバ13の直径と同じであってもよい。
【0052】
図1ないし
図3には、下部電極11及び上部電極12が平行な平板の形態であると図示されているが、帯電可能粒子14が、チャンバ13の内壁に衝突することを防止するために、下部電極11及び上部電極12は、他の形態を有することもできる。例えば、
図4に図示されているように、他の実施例による電磁波発生器10は、放物面の形態を有する下部電極11及び上部電極12を含む。下部電極11及び上部電極12は、凹型の放物面が互いに対向するように配される。この場合、チャンバ13の内部には、
図5に図示されているように、中心に向かって曲がった形態の電場が形成される。このように、内側に曲がった電場によって、チャンバ13の中心領域に配された帯電可能粒子14は、外側にほぼ移動しなくなる。従って、帯電可能粒子14が、チャンバ13の壁に移動して衝突することは、ほぼ発生しない。
【0053】
また、
図6に図示されているように、下部電極11及び上部電極12のうち一つは、平板状を有し、他の一つは、放物面形態を有することもできる。
図6には、下部電極11が放物面形態を有し、上部電極12が平板状を有すると図示されているが、それと反対に配されることも可能である。すなわち、下部電極11が平板状を有し、上部電極12が放物面形態を有することもできる。下部電極11及び上部電極12のうち放物面形態を有する電極は、放物面が帯電可能粒子14に向かうように配される。
【0054】
一方、帯電可能粒子14は、正(+)または負(−)の電荷によって、容易に電気的に帯電される伝導体材料からなってもよい。例えば、帯電可能粒子14は、アルミニウム(Al)のような金属材料からなってもよい。帯電可能粒子14は、帯電された状態を常に維持することができるが、下部電極11及び上部電極12に、電圧が印加された間にのみ帯電された状態を維持しても差し支えない。このような帯電可能粒子14は、球状を有する1つの単一材料から形成されてもよい。例えば、帯電可能粒子14として、帯電可能金属球を使用することができ、さらにまた、イオン化された原子(ionized atom)も使用可能である。また、帯電可能粒子14は、
図7に図示されているように、伝導体コア14aと絶縁性シェル14bとを有するコア−シェル(core−shell)構造を有することもできる。例えば、コア14aは、アルミニウムのように容易に帯電される伝導性金属からなり、コア14aを取り囲むシェル14bは、Al
2O
3やSiO
2のような絶縁性材料からなってもよい。帯電可能粒子14が、このようなコア−シェル構造からなる場合、運動する帯電可能粒子14が、下部電極11及び上部電極12に近接するとき、導電性を有するコア14aの代わりに、絶縁性を有するシェル14bが、下部電極11及び上部電極12に直接接触するので、電気的漏れを防止することができる。従って、電磁波発生器10の電力を低減させることができる。
【0055】
以下、前述の電磁波発生器10の動作について詳細に説明する。
【0056】
電磁波発生器10の下部電極11及び上部電極12に電圧を印加する前には、帯電可能粒子14が、重力によって下部電極11の表面上に置かれている。このとき、帯電可能粒子14は、電気的に帯電していない状態でもある。従って、電磁波発生器10の動作初期に、帯電可能粒子14を帯電させるために、下部電極11及び上部電極12に初期電圧を印加する。例えば、帯電可能粒子14のコア14aがアルミニウムであるならば、下部電極11と上部電極12との電位差が約700V以上になるように、下部電極11及び上部電極12に電圧を印加する。例えば、下部電極11に印加される電圧V
Lが0Vであるならば、上部電極12に印加される電圧V
Tは、約700V以上である。それにより、アルミニウムコア14a内のそれぞれのアルミニウム原子から、電子が一つずつ飛び出してきて、上部電極12を介して流れ出る。従って、帯電可能粒子14は、正(+)に帯電される。もし帯電可能粒子14が、下部電極11及び上部電極12に対する電圧の印加と係わりなく、すでに帯電されており、帯電された状態を維持できるならば、このような初期化過程は、要求されるものではない。しかし、下部電極11及び上部電極12に電圧が印加されるときにのみ帯電可能粒子14が帯電され、電圧印加の中断時に放電されるならば、前述の初期化過程が要求される。
【0057】
その後、下部電極11及び上部電極12には、出力電磁波の所望する波長によって、それぞれ適切なDC(direct current)電圧を印加する。例えば、下部電極11及び上部電極12に印加される電圧の関係は、V
T>V
Lであってもよい。それにより、上部電極12から下部電極11の方向に電場が発生しつつ、帯電された帯電可能粒子14は、下部電極11と上部電極12との間を往復しつつ振動することができる。このように、帯電可能粒子14が下部電極11と上部電極12との間で振動する原理は、以下のように数学的に説明することができる。
【0058】
まず、下部電極11及び上部電極12は、互いに平行するように配された平板型電極であり、下部電極11と上部電極12との間には、コア−シェル構造の帯電可能粒子14が配されていると仮定する。帯電可能粒子14のコア14aは、半径がaであり、σ
1の電荷密度を有し、シェル14bは、半径がbであり、σ
2の電荷密度を有すると仮定する。また、下部電極11と上部電極12との間隔はhであり、帯電可能粒子14は、上部電極12からsほどの高さに位置すると仮定する。そして、上部電極12には、V
Tの電圧が印加され、下部電極11には、V
Lの電圧が印加され、ここで、便宜上V
T>V
L、V
L>0であると仮定する(しかし、実際には、V
L≦0でもよい)。このとき、上部電極12と下部電極11との間には、E
pの電場が発生すると仮定する。
【0059】
では、ラプラス方程式∇
2V=0と境界条件とを利用し、コア14a内部の領域(r≦a)での正電位V
1、シェル14b内部の領域(a<r≦b)での正電位V
2、帯電可能粒子14の外側領域(r>b)での正電位V
3を、次の通り求めることができる。
【数3】
【数4】
【数5】
【0060】
数式1ないし3で、α、β、γ、λ及びνは、次の通りである。
【数6】
【0061】
上記数式1ないし4は、帯電可能粒子14の中心を原点とする球面座標系として表現されている。従って、数式1ないし4でrは、帯電可能粒子14の中心から半径方向の距離であり、θは、垂直軸(z軸)からの高度角である。数式3でCは、境界条件を満足するための任意の定数である。数式4でε
0は、自由空間(free space)での誘電率であり、κ
2は、シェル14bの誘電定数であり、κ
3は、チャンバ13の内部空間20、すなわち、帯電可能粒子14の外側領域の誘電定数である。
【0062】
また、帯電可能粒子14の外側領域での正電位V
3を利用すれば、帯電可能粒子14の外側領域での電気変位(electric displacement)D
3を、次の通り得ることができる。
【数7】
【0063】
さて、電気変位D
3によって誘発される上部電極12の表面での電荷密度σ
iupと、下部電極11の表面での電荷密度σ
ilpとを、次の数式6及び数式7のように得ることができる。数式6及び数式7は、極座標系で表現され、
【数8】
である。
【数9】
【数10】
【0064】
下部電極11の表面と、上部電極12の表面とにそれぞれ誘発された総電荷Q
iTは、Q
iT=Q
iup+Q
ilpで表現され、ここでQ
iupは、上部電極12に誘発された総電荷であり、Q
ilpは、下部電極11に誘発された総電荷である。Q
iTを解釈すれば、次の通り誘導される。
【数11】
【0065】
上部電極12の表面と、下部電極11の表面とに誘発された電荷は、帯電されている帯電可能粒子14と相互作用し、帯電可能粒子14に力を加えることができる。上部電極12の表面S
1に誘発された電荷によって、帯電可能粒子14に作用する力をF
1、下部電極11の表面S
2に誘発された電荷によって、帯電可能粒子14に作用する力をF
2とするとき、帯電可能粒子14に作用する全体力Fは、次の通り表現される。
【数12】
【0066】
ここで、E
1は、上部電極12での電場であり、E
2は、下部電極11での電場であり、Q
Tは、帯電可能粒子14の有効電荷であって、Q
T=−Q
iTの関係を有する。数式9を解釈すれば、次の数式10ないし12のような結果を得ることができる。
【数13】
【数14】
【数15】
【0067】
数式10ないし12でe
zは、z方向の単位ベクトルである。数式12の結果は、帯電可能粒子14に作用する電磁力のみを考慮したものである。帯電可能粒子14に作用する重力をさらに考慮すれば、帯電可能粒子14に作用する全体力FTを、次の通り得ることができる。
【数16】
【0068】
数式6,7及び13を参照すれば、帯電可能粒子14の位置によって、上部電極12と下部電極11との表面に誘導される電荷密度が変化しつつ、帯電可能粒子14に対して引力が優勢に作用したり、あるいは斥力が優勢に作用するということが分かる。例えば、電場E
pの方向が上部電極12から下部電極11に向かい、帯電可能粒子14が(+)に帯電していると仮定する。偏極消去場(depolarization field)により、帯電可能粒子14の左側半球には、負電荷が分布し、下側半球には、正電荷が分布することになるが、両半球の電荷の総計は、(+)になる。また、上部電極12の表面にも、負電荷が分布するが、帯電可能粒子14が上部電極12から遠ざかれば、上部電極12の表面に誘導される電荷密度が低くなり、帯電可能粒子14が上部電極12に近づけば、上部電極12の表面に誘導される電荷密度が高くなる。
【0069】
従って、帯電可能粒子14が上部電極12から一定距離以上遠ざかれば(領域A)、
図8Aに図示されているように、帯電可能粒子14の全体電荷(q>0)と上部電極12との間に引力が優勢となる。その結果、帯電可能粒子14は、上部電極12に向かって移動する。しかし、帯電可能粒子14が上部電極12に一定距離以下に接近すれば(領域B)、上部電極12の表面に誘導される負電荷の密度が上昇し、
図8Bに図示されているように、上部電極12の表面に誘導された負電荷と、帯電可能粒子14の左側半球に分布する負電荷とによる反発力が優勢になる。その結果、帯電可能粒子14は、上部電極12から遠ざかる。かような原理により、帯電可能粒子14は、領域Aと領域Bとの間を往復しつつ振動する。このように、電荷を帯びる帯電可能粒子14が振動すれば、、
図9に図示されているように、電磁波が発生することになる。
【0070】
前述の数学的結果を基に、コンピュータを利用して帯電可能粒子14の運動についての模擬実験を行った。模擬実験で、コア14aは、アルミニウムであり、シェル14bは、アルミニウム酸化物(Al
2O
3)であると仮定した。また、上部電極12と下部電極11との間、すなわち、チャンバ13の内部は、真空状態であると仮定した。それ以外にも、下記のような設計値を仮定した。
シェル14bの誘電定数=6
コア14aの半径a=25nm
シェル14bの厚み(b−a)=2nm
上部電極12と下部電極11との間隔h=10μm
下部電極11に印加された電圧V
L=0V
上部電極12に印加された電圧V
T=16kV及び32kV
コア14aの電荷密度σ
1=100C/m
2(ここで、CはCoulomb)
シェル14bの電荷密度σ
2=0nC/m
2
コア14aの質量密度=2700kg/m
2
シェル14bの質量密度=3800kg/m
2
【0071】
図10ないし
図12は、模擬実験の結果を示すグラフである。まず、
図10は、帯電可能粒子14の経時的な位置変化を示すグラフであり、
図11は、帯電可能粒子14の経時的な速度変化を示すグラフである。
図10及び
図11のグラフを介して分かるように、帯電可能粒子14は、下部電極11と上部電極12との間を往復する振動運動を行うことができる。
図10及び
図11で、E
p=1.6GV/mは、V
T=16kVと対応し、Ep=3.2GV/mは、V
T=32kVと対応する。
図10及び
図11から分かるように、上部電極12に印加される電圧が増加すれば、帯電可能粒子14の振動周波数が増加し、移動速度が速まる。
【0072】
前述のように、帯電された帯電可能粒子14が、下部電極11と上部電極12との間を往復しつつ振動すれば、帯電可能粒子14から電磁波が発生しうる。このように発生した電磁波は、帯電可能粒子14の運動方向に垂直な方向に進みうる。帯電可能粒子14が、下部電極11と上部電極12との間を一回往復する間、電磁波が2回発生するので、発生する電磁波の周波数は、帯電可能粒子14の振動周波数の2倍になる。
図12は、 V
T=32kVであるとき、帯電可能粒子14から発生する電磁波の強度プロファイルを例示的に図示している。
【0073】
帯電可能粒子14の振動周波数は、下部電極11及び上部電極12に印加される電圧で調節自在であるので、本実施例による電磁波発生器10は、テラヘルツの帯域を含む非常に広い帯域にわたって、出力電磁波の波長を容易に制御することができる。もし帯電可能粒子14が、原子や電子のように非常に小さくて軽い粒子である場合、帯電可能粒子14は、非常に早く振動することができるので、電磁波発生器10は、電磁波だけではなく、光を放出することも可能である。この場合、電磁波発生器10は、レーザ装置の役割も行うことができる。例えば、チャンバ13内に、複数の帯電可能であり、かつ/または帯電された気体原子を充填してレーザ装置を製作することができる。チャンバ13内には、必ずしも1つの帯電可能粒子14が存在する必要はなく、複数の帯電可能な粒子14が存在することも可能である。チャンバ13内に、帯電可能な粒子14が過度に多くないならば、それぞれの帯電可能粒子14から発生する電磁波または光の位相を、所定の誤差範囲内で一致させ、可干渉性を有する(coherent)電磁波または光を提供することが可能である。
【0074】
また、下部電極11と上部電極12との間に高電圧が印加されたとしても、下部電極11及び上部電極12を介して流れる電流は、非常に微弱であるために、本実施例による電磁波発生器10は、消費電力が小さい。特に、帯電可能粒子14が、コア−シェル構造からなる場合、電流の漏れをさらに減らすことができ、電磁波発生器10の消費電力がさらに低減する。
【0075】
このような電磁波発生器10は、単独で使われもするが、複数の電磁波発生器10を共に配列して使用することもできる。
図13は、複数の電磁波発生器10からなる電磁波発生器アレイ100を例示的に示している。
図13で電磁波発生器アレイ100は、同一半径に沿ってリング形に配列された複数の電磁波発生器10を有してもよい。しかし、
図13に図示された配列形態は、単に例示的なものであり、目的によって、複数の電磁波発生器10を他の多様な形態に配列させることもできる。電磁波発生器アレイ100の複数の電磁波発生器10を、同期(synchronization)して動作させれば、大きい出力を有する電磁波を提供することができる。または、複数の電磁波発生器10を同期させずに、独立して動作させることによって、位相と周波数とがそれぞれ異なる多様な電磁波を同時に発生させることもできる。
【0076】
図13に図示された電磁波発生器アレイ100で、電磁波発生器10のリング形アレイ内部に進む電磁波は、他の電磁波発生器10で発生した電磁波と干渉を起こすこともある。従って、リング形アレイの内部には、
図13に図示されているように、円筒形の電磁波遮蔽膜110を配することもある。その場合、電磁波発生器アレイ100のリング形アレイの内部に進む電磁波は、遮蔽膜110によって遮断される。それにより、リング形アレイの外側の方向に進む電磁波のみ残り、複数の電磁波発生器10で発生した電磁波間に干渉が起こることを防止することができる。
【0077】
以上、電磁波発生器10の上部電極12と下部電極11とに直流電圧を印加する場合について説明した。しかし、上部電極12と下部電極11とに交流電流を印加し、帯電可能粒子14をさらに複雑に運動させることもできる。例えば、下部電極11及び上部電極12に直流電圧を印加する場合、帯電可能粒子14は、上部電極12と下部電極11との間を単純往復する。しかし、交流電圧を、下部電極11及び上部電極12に印加する場合には、帯電可能粒子14は、瞬時に変化する電圧によって、複雑な運動を行う。その結果、電磁波発生器10から出力される電磁波の強度と周波数とが経時的に複雑に変わりもする。従って、所定の周波数を有する交流電圧の印加を介して、瞬時に周波数が変化する電磁波を出力することができる。
【0078】
前述の帯電可能粒子14の運動原理は、電磁波発生器10だけではなく、高速開閉が可能な光シャッタの製作にも適用することができる。
図14A及び
図14Bは、一実施例による光シャッタ50の構造及び動作を概略的に図示している。
図14A及び
図14Bを参照すれば、光シャッタ50は、互いに離隔されて対面するように配された下部電極51及び上部電極52、下部電極51と上部電極52との間に配された帯電可能粒子54、及び下部電極51と上部電極52との間で、帯電可能粒子54を取り囲むように配されたチャンバ53を含む。下部電極51、上部電極52、チャンバ53及び帯電可能粒子54は、前述の電磁波発生器10の下部電極11、上部電極12、チャンバ13及び帯電可能粒子14について説明したところと同一である。以下、光シャッタ50を構成するための追加的な特徴についてのみ説明する。
【0079】
光シャッタ50の下部電極51は、不透明な導電体からなり、中心部に光が通過するための開口55が形成されている。開口55の半径は、帯電可能粒子51の半径より小さく、光が透過できるほどに十分に大きい。例えば、開口55の半径は、光の波長より大きいことが望ましい。図面には、開口55が円形であると図示されているが、これは、例示的なものであり、開口55は、多角形状を有することもできる。開口55は、チャンバ53の内部空間を密閉させるために、例えば、透明ウインドウで充填される。下部電極51は、帯電可能粒子54が開口55上に載置されやすいように、凹型の半球面または放物面を有してもよい。上部電極52は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、AZO(aluminium zinc oxide)または酸化インジウム亜鉛(IZO)のように透明な導電体からなってもよい。チャンバ53の内壁は、光を反射する材料でコーティングされている。または、チャンバ53自体が光を反射する材料からなっている。
【0080】
このような構造で、下部電極51及び上部電極52に電圧が印加されれば、帯電可能粒子54は、下部電極51と上部電極52との間を往復する。このとき、
図14Bに図示されているように、帯電可能粒子54が、下部電極51の開口55を塞げば、光は、光シャッタ50を通過できない。光は、半波長より小さい間隙からは、ほとんど通過できないため、帯電可能粒子54が開口55と完壁に合わせる必要はない。また、
図14Aに図示されているように、帯電可能粒子54が、下部電極51から離れていれば、光は、光シャッタ50を通過する。帯電可能粒子54が、上部電極52に近づくほど通過する光の量は増加しうる。帯電可能粒子54が光路上に位置しても、光は、回折を介してチャンバ53の内壁と帯電可能粒子54との間を通過しうる。前述のように、帯電可能粒子54は、下部電極51と上部電極52との間を非常に早く往復でき、その往復速度は、下部電極51及び上部電極52に印加される電圧で制御することができる。従って、帯電可能粒子54の移動速度を調節し、光シャッタ50を所望の周波数で、高速開閉することが可能である。このような光シャッタ50は、例えば、高速駆動が要求される三次元(3D)映像装置の高速光変調器として利用されもする。
【0081】
本実施例で、帯電可能粒子54の往復速度を調節し、光シャッタ50を透過する光の強度を調節することもできる。人間の視角体系(human vision system)は、制限された時間解像度(limited temporal resolution)を有しているために、帯電可能粒子54の往復速度によって、肉眼が知覚する光の強度が変わる。例えば、0.1秒間の間、帯電可能粒子54が開口55を1回塞いだときと、100回塞いだときとを比較すれば、0.1秒に1回塞いだとき、肉眼が知覚する光の強度がさらに強い。このような原理により、カラーディスプレイを具現することができる。例えば、赤色、緑色、青色の光を、それぞれ順次に光シャッタ50を通過させつつ、それぞれの光に対して、帯電可能粒子54の往復速度を調節すれば、所望の色が現れる。ここで、順次ということは、時間Δtの間、赤色光が光シャッタ50を通過し、次に、時間Δtの間、緑色光が光シャッタ50を透過し、次に、Δtの間、青色光が光シャッタ50を透過するようにした後、再び反復して赤色、緑色、青色の光をして光シャッタ50をそれぞれ透過させることを意味する。赤色、緑色、青色の光は、例えば、各色に対応するそれぞれのバックライト・ユニット(図示せず)を、時間Δtの間、順にON/OFFさせることによって提供される。特定の色の光が、Δtの間、光シャッタ50を通過するとき、開口55が塞がれる回数によって、特定の色の強度が制御される。例えば、バックライト・ユニットが、緑色光をΔtの間、提供するとき、開口55が1回だけ塞がったとするならば、緑色光の強度は、相対的に大きく、開口55が100回塞がったならば、緑色光の強度は、相対的に小さいのである。
【0082】
このような光シャッタ50を複数配列し、光シャッタ・アレイを構成することもできる。
図15A及び
図15Bは、複数の光シャッタ50を有する光シャッタ・アレイ200の構造を概略的に図示する平面図及び断面図である。
図15Aに図示されているように、光シャッタ・アレイ200は、行と列とをなし、マトリックス・アレイ状に配列された複数の光シャッタ50を含む。1つの光シャッタ50は、1つの画素に対応する光を開閉または変調することができる。
【0083】
図15Aの光シャッタ・アレイ200を、ラインA−A’に沿って切開した
図15Bの断面図を参照すれば、上部電極52は、あらゆる光シャッタ50に対する共通電極であってもよい。一方、下部電極51は、それぞれの光シャッタ50ごとに独立して配されてもよい。そして、隣接した2つの下部電極51間には、不透明な絶縁体56がさらに配されてもよい。この場合、光シャッタ・アレイ200のそれぞれの光シャッタ50は、独立して開閉されてもよい。しかし、下部電極51も、1つの共通電極であってもよい。または、
図15Bに図示された複数の下部電極51が、1つの共通電源に連結されてもよい。その場合、光シャッタ・アレイ200のあらゆる光シャッタ50が同時に開閉されもする。
【0084】
前述の電磁波発生器と同様に、光シャッタも、複数の帯電可能粒子を含む。
図16は、複数の帯電可能粒子を含む他の実施例による光シャッタ60の構造を概略的に図示している。
図16を参照すれば、光シャッタ60は、互いに離隔されて対面するように配された下部電極62及び上部電極64、下部電極62と上部電極64との間に配された複数の帯電可能粒子67、及び下部電極62と上部電極64との間で、複数の帯電可能粒子67を取り囲むように配されたチャンバ65を含む。ここで、下部電極62と上部電極64は、例えば、ITO、AZOまたはIZOのような透明な導電性材料からなる透明電極であってもよい。また、下部電極62は、透明な下部基板61上に、平板状に形成され、上部電極64は、透明な上部基板63の底面に、平板状に形成されてもよい。しかし、下部基板61と上部基板63は、省略されもする。
【0085】
チャンバ65は、反射性を有する材料からなってもよい。例えば、チャンバ65は、反射性金属からなる。その場合、下部電極62と上部電極64との間を電気的に絶縁させるために、チャンバ65と下部電極62との間に、絶縁体66aが配され、チャンバ65と上部電極64との間にも、絶縁体66bが配されてもよい。しかし、チャンバ65が反射性誘電体からなる場合には、絶縁体66a,66bが省略されもする。または、絶縁性材料からなるチャンバ65の内壁に、反射性コーティング膜を形成することもできる。
【0086】
帯電可能粒子67も、反射性を有してもよい。例えば、帯電可能粒子67は、反射性を有する金属粒子であってもよい。または、帯電可能粒子67は、伝導体コアと絶縁性シェルとを有するコア−シェル構造の粒子であってもよい。その場合、絶縁性シェルが反射性材料からなったり、絶縁性シェルの表面に反射性コーティング膜が形成されてもよい。帯電可能粒子67は、光を吸収する性質を有しても差し支えない。
【0087】
図16に図示された光シャッタ60で、下部電極62及び上部電極64に電圧が印加されれば、
図17に図示されているように、帯電可能粒子67は、下部電極62と上部電極64との間を往復しつつ振動する。このとき、チャンバ65を透過する光の強度は、帯電可能粒子67の振動周期によって変化し、帯電可能粒子67の振動周期は、下部電極62及び上部電極64の電圧差によって制御される。例えば、バックライト・ユニットから提供された光は、透明な下部基板61と下部電極62とを介してチャンバ65内に入射した後、反射性を有するチャンバ65の内壁と、複数の帯電可能粒子67の表面とで反射されつつ、透明な上部電極64と上部基板63とを介して、チャンバ65の上部に放出される。ここで、帯電可能粒子67の振動周波数、すなわち、下部電極62と上部電極64との電位差が大きくなるほど、チャンバ65を通過する光の強度が増加しうる。
【0088】
また、
図16に図示された光シャッタ60は、バックライト・ユニットの光を透過/遮断する透過型として動作することも可能であるが、他の外部光(例えば、太陽光または室内電灯の光)を反射/遮断する反射型としても動作しうる。例えば、帯電可能粒子67の振動周波数が大きくなるほど、チャンバ65の上部から入射した後、帯電可能粒子67とチャンバ65の内壁とで反射され、再びチャンバ65の上部に反射される光が増加しうる。この場合、下部基板61または下部電極62は、反射性材料からなりもする。
【0089】
図16に図示された光シャッタ60は、バックライト・ユニットが特定の色を有する光を放出することによってカラーを具現することができる。白色光を放出する一般的なバックライト・ユニットを使用する場合、カラーフィルタを有する
図18に図示された光シャッタ60’を利用して、カラーを具現することができる。
図18を参照すれば、光シャッタ60’は、上部基板63上に配されたカラーフィルタ68を含む。カラーフィルタ68以外の光シャッタ60’の構成と動作は、
図16に図示された光シャッタ60と同一である。
図18には、カラーフィルタ68が上部基板63上に配されると図示されているが、上部基板63が省略され、上部電極63上にカラーフィルタ68が配されもする。
【0090】
図19は、さらに他の実施例による光シャッタ70の構造を概略的に図示している。
図19に図示された光シャッタ70は、
図16に図示された光シャッタ60と全体的に類似した構造を有するが、単に1つの帯電可能粒子77を有するという点で違いがある。また、帯電可能粒子77の位置によって、光を透過/遮断させることができるように、中心部に開口72aを有する不透明な導電性材料で、下部電極72がなるという点でも、
図19に図示された光シャッタ70は、
図16に図示された光シャッタ60と違いがある。それ以外に、下部基板71、上部基板73、上部電極74、チャンバ75、絶縁体76a,76b及びカラーフィルタ78の構成及び動作は、
図16及び
図17で説明した下部基板61、上部基板63、上部電極64、チャンバ65、絶縁体66a,66b及びカラーフィルタ68の構成及び動作とそれぞれ同一である。
図22に図示された光シャッタ70の場合にも、帯電可能粒子77の振動周波数が大きくなるほど、チャンバ75を通過する光の強度が増加しうる。
【0091】
図20は、さらに他の実施例による光シャッタ80の構造を概略的に図示している。以上で説明した光シャッタでは、反射性を有するチャンバの内壁が直交して形成されたが、
図20に図示された光シャッタ80の場合、チャンバ85の内壁が、放物面の形態に形成されている。従って、チャンバ85の厚みは、下部側がさらに厚くなり、チャンバ85の内部空間は、下部が狭くて上部が広く形成されている。それ以外、光シャッタ80の下部基板81、下部電極82、上部基板83、上部電極84、絶縁体86a,86b、帯電可能粒子87及びカラーフィルタ88の構成及び動作は、
図19に図示された光シャッタ70の下部基板71、下部電極72、上部基板73、上部電極74、絶縁体76a,76b、帯電可能粒子77及びカラーフィルタ78の構成及び動作と、それぞれ同一である。
【0092】
図20に図示された実施例の場合、下部のバックライト・ユニット(図示せず)から、帯電可能粒子77に入射した光は、帯電可能粒子87の表面で反射されてチャンバ85の内壁に入射する。その後、光は、放物面状を有するチャンバ85の内壁で反射された後、チャンバ85の上部に直交して放出される。従って、ほとんどの光が無秩序な方向に放出される実施例に比べ、
図20に図示された光シャッタ80は、透過光のほとんどが前方に向かって進む。このような放物面状の内壁は、
図16及び
図18に図示されたチャンバ65にも適用される。
【0093】
以上、本発明の理解を助けるために、電磁波発生器及びそれを利用した光シャッタに係わる例示的な実施例について説明し、添付された図面に図示した。しかし、このような実施例は、単に本発明を例示するためのものであり、それらを制限するものではないという点を理解せねばならない。そして、本発明は、図示されて説明された説明に限定されるものではないという点を知らなければならない。これは、多様な他の変形が本技術分野で当業者に可能であるためである。