特許第6140417号(P6140417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ベネッセコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6140417-防犯ブザー 図000002
  • 特許6140417-防犯ブザー 図000003
  • 特許6140417-防犯ブザー 図000004
  • 特許6140417-防犯ブザー 図000005
  • 特許6140417-防犯ブザー 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140417
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】防犯ブザー
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20170522BHJP
   G08B 3/10 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G08B23/00 520D
   G08B3/10
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-226734(P2012-226734)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-78192(P2014-78192A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】709006024
【氏名又は名称】株式会社ベネッセコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 桂一朗
(72)【発明者】
【氏名】宮村 勇起
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−334766(JP,A)
【文献】 特開2006−235777(JP,A)
【文献】 実開昭57−99289(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B23/00
G08B3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に危険な状態であることを知らせる音を出力する音声出力部と、
作動することにより前記音声出力部に前記音を出力させる出力スイッチと、
前記音声出力部から出力される音量を下げる小音量回路と、
作動することにより、前記小音量回路を導通させるテストスイッチと、を備え
前記出力スイッチは、操作されることによって作動状態と非作動状態とが切替可能であり、
前記テストスイッチは、操作されることによって前記出力スイッチとは独立して作動状態と非作動状態とが切替可能であり、
前記音声出力部は、前記テストスイッチが作動状態である際に前記出力スイッチが作動した際の方が、前記テストスイッチが非作動状態である際に前記出力スイッチが作動した際よりも小さな音量で音を出力する
犯ブザー。
【請求項2】
請求項1に記載の防犯ブザーであって、
前記テストスイッチを非作動状態に付勢する付勢部材を更に備える、ことを特徴とする防犯ブザー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の防犯ブザーであって、
前記テストスイッチの作動は、前記小音量回路への導通動作のみであり、他の回路の切断動作は伴わない、ことを特徴とする防犯ブザー。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防犯ブザーであって、
前記テストスイッチは、押下されることにより作動し
前記押下される面は、非作動状態で筐体面と連続的な面又は前記連続的な面より内側にある面である、ことを特徴とする防犯ブザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯ブザーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外出時における犯罪から身を守るために防犯ブザーを身につけることが一般化してきている。特に、親や教師の目の届かないところを通学する小学生などは、自ら周囲に対して危険な状態であることを報知することが困難なため、身につけさせている父母は多い。このような防犯ブザーは、共に通学する子供のうちの複数の子供が身につけていることにより、犯罪の抑止にもつながっている。
【0003】
特許文献1は、注意警告音声である音声1と、音声1及び救援を求める音声2の組み合わせの音声とのいずれかを選択できる携帯警報器について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−105836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防犯ブザーは、身に危険を感じた際に、一度の操作で確実にブザー音を出力する必要がある。そのため、定期的に防犯ブザーのテストを行うことが望ましい。このテストの際には、単に電池切れ等の確認だけでなく、回路の破損等を確認するため、実際に防犯ブザーにブザー音を出力させることが望ましい。
【0006】
しかしながら、実際に使用した際に鳴る大音量でチェックを行うと、危険を知らせているものと周囲に勘違いさせてしまう恐れがある。また、大音量で何度もテストを行うことにより周囲がブザー音に聞き慣れてしまうと、周囲が危険な状態を知らせているブザー音であるという認識が低くなり、防犯ブザーの効果を低下させてしまう恐れもある。
【0007】
一方、防犯ブザーを所持する人は、防犯ブザーが機能するかどうかの不安を感じた際にいつでもテストできるものであること望んでいる。特に、小学生等は鞄に付けられた防犯ブザーを日頃から物にぶつけている恐れもあるため、回路や音声出力部が破損することも考えられる。したがって、毎日定期的に、また気づいたときにいつでもテストできる防犯ブザーが望まれている。
【0008】
本発明は、上述の事情を鑑みてしたものであり、日常的にテストすることのできる防犯ブザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の防犯ブザーは、周囲に危険な状態であることを知らせる音を出力する音声出力部と、作動することにより前記音声出力部に前記音を出力させる出力スイッチと、前記音声出力部から出力される音量を下げる小音量回路と、作動することにより、前記小音量回路を導通させるテストスイッチと、を備える防犯ブザーである。
【0010】
また、本発明の防犯ブザーにおいては、前記テストスイッチを非作動状態に付勢する付勢部材を更に備えていてもよい。
【0011】
また、本発明の防犯ブザーにおいて、前記テストスイッチの作動は、前記小音量回路への導通動作のみであり、他の回路の切断動作は伴わないこととしてもよい。
【0012】
また、本発明の防犯ブザーにおいて、前記テストスイッチは、押下されることにより作動し、前記押下される面は、非作動状態で筐体面と連続的な面又は前記連続的な面より内側にある面であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る防犯ブザーについて示す図である。
図2】本体内に組み込まれた回路の構成を概略的に示す回路図である。
図3A図1のIII−III線におけるテストスイッチの断面の例を示す図である。
図3B図1のIII−III線におけるテストスイッチの断面の例を示す図である。
図4図2に示された回路の変形例である回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る防犯ブザー100について示す図である。この図に示されるように、防犯ブザー100は、卵形の形状をした本体101と、引くことによりブザー音を出力させる出力スイッチであるピン103と、ピン103に取り付けられ、ピン103を引くための持ち手となる出力スイッチ用ストラップ104と、防犯ブザー100のブザー音出力のテストの際に用いるテストスイッチ102と、本体101を鞄等に取り付けるための取付用ストラップ105と、を有している。ここで、出力スイッチであるピン103は引かれた状態でブザー音が出力され続け、押し戻すことにより出力を停止するプルスイッチである。また、テストスイッチ102は、押下されていないときはOFF(非作動)状態となるように付勢されており、押し続けている間のみON(作動)状態となる。
【0016】
図2は、本体101内に組み込まれた回路110の構成を概略的に示す回路図である。回路110は、電源111と、一端が電源に接続された出力スイッチであるピン103と、トランジスタ114と、トランジスタ114のコレクタに一端が接続された音声出力部112と、トランジスタ114のベースに一端が接続された抵抗113と、を有し、音声出力部112の他端及び抵抗113の他端は、共にピン103の出力スイッチの他端に接続されている。トランジスタ114のエミッタは接地され、トランジスタ114のベース側には、テストスイッチ102と接地された抵抗115とからなる小音量回路120が形成されている。
【0017】
なお、図1においても説明したように、ピン103は、出力スイッチ用ストラップ104を引くことにONになり、押し戻すことによりOFFになるプルスイッチであり、テストスイッチ102は、押下されたときのみONとなり、通常はOFFとなるように付勢部材であるバネ119により付勢されている。
【0018】
通常のブザー音出力時には、テストスイッチ102はOFFに付勢されたまま、出力スイッチ用ストラップ104が引かれ、ピン103の出力スイッチがONとなる。この状態では、抵抗113を介してトランジスタ114のベース電位が高くなるため、トランジスタ114が導通し、音声出力部112からブザー音が出力される。
【0019】
一方、テストスイッチ102を押しながら、出力スイッチ用ストラップ104を引き、ピン103の出力スイッチがONとなった場合には、回路は通常のブザー音出力時と同様の動作の他、テストスイッチ102により、小音量回路120が導通するため、トランジスタ114のベースが抵抗115を介して接地され、通常のブザー音出力時より低いベース電圧となり、トランジスタ114を流れる電流も少なくなる。このため、音声出力部112を流れる電流が少なくなり、より小さい音によりブザー音が出力される。これにより、テストスイッチ102を押すことにより、通常の危険な状態を知らせるための出力回路をそのまま使用しつつ、音量を小さくしたテストを行うことができる。
【0020】
つまり、防犯ブザー100はテストスイッチ102を有するため、通常の大音量で出力することなく、小音量で防犯ブザー100のテストを行うことができる。また、通常使用する回路は切断されることなく、そのまま利用されるため、電源の確認だけでなく、音声出力部112を含む回路の不具合についてのテストを小音量で行うことができる。したがって、毎日及び必要な時にいつでも、周囲に気遣うことなく防犯ブザー100のテストを行うことができる。また、テストスイッチ102はOFF状態となるように付勢されているため、危険な状態を知らせるための音量で出力をさせたい時に、テスト時の小音量となることなく、通常の音量で出力させることができる。
【0021】
図3A及び3Bには、図1のIII−III線におけるテストスイッチ102の一部断面の例が示されている。図3Aでは、テストスイッチ102の押下される面は、OFF状態で本体101の表面と連続的な面で形成されている。図3Bでは、テストスイッチ102の押下される面は、本体の101の表面と連続的な面より内側になるように形成されている。このようにテストスイッチ102の押下面を、本体101の表面と連続的又はその内側に形成することにより、防犯ブザー100の使用時に、偶発的にテストスイッチ102が押される状態を回避することができ、通常の音量で出力させることができる。
【0022】
図4には、図2に示された回路110の変形例である回路210が示されている。電源111、ピン103、音声出力部112、抵抗113及びトランジスタ114の構成は回路110と変わらないため、説明を省略する。回路210は、回路110の小音量回路120のように、トランジスタ114のベースに流れる電流を逃がすことにより減少させるものでなく、テストスイッチ202により、抵抗215の入った回路に切り替えることにより、ベース電圧を下げ、音量を下げる小音量回路220となっている。図2と同様にテストスイッチ202は、押下されていないときはOFFとなるように付勢部材であるバネ219により付勢されている。このような回路210を用いた場合であっても、通常の大音量で出力させることなく、小音量で防犯ブザーのテストを行うことができる。また、テストスイッチ202はOFF状態となるようにバネ219により付勢されているため、危険な状態を知らせるための出力を行いたい時に、テスト時の小音量となることなく、通常の音量で出力させることができる。
【0023】
本実施形態では、防犯ブザー及びテストスイッチの形状は図1に示されるような形状としたが、この形状はどのような形状であってもよい。また、本実施形態においては、ピン103は本体101から抜けないでON/OFFのスイッチを機能させる構成としたが、ピン103は抜けることにより機能するような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
100 防犯ブザー、101 本体、102 テストスイッチ、103 ピン、104 出力スイッチ用ストラップ、105 取付用ストラップ、110 回路、111 電源、112 音声出力部、113 抵抗、114 トランジスタ、115 抵抗、119 バネ、120 小音量回路、202 テストスイッチ、210 回路、215 抵抗、219 バネ、220 小音量回路。
図1
図2
図3A
図3B
図4