特許第6140420号(P6140420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6140420付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140420
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20170522BHJP
   A61C 19/06 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   A61M5/315 502
   A61C19/06 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-231904(P2012-231904)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-83083(P2014-83083A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】592093578
【氏名又は名称】サンメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 顕
(72)【発明者】
【氏名】三浦 善広
(72)【発明者】
【氏名】服部 学
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6319002(US,B1)
【文献】 特開平8−243160(JP,A)
【文献】 特表2010−531278(JP,A)
【文献】 米国特許第4950163(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61C 19/06
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に細孔(1a)を有し、その後部に内容物収納可能な筒部(1c)を有し、最後端に開口部(1d)を有する付け替え型筒状ピペット(1)を操作する操作用具であり、
該操作用具は、少なくとも筒体(2)と留め具(3)と押し棒(4)とを有し、
前記筒体(2)は、少なくとも略前部に、前記付け替え型筒状ピペット(1)中に挿入可能な外径を有する挿入部分(2a)を有しており、前記挿入部分(2a)の長軸方向の一部の範囲において外周の少なくとも一部の範囲において前記筒体の外径が前部よりも後部のほうが小さくなって元細り状態になっている細部(2b)を有し、
前記留め具(3)は略筒形であり、前記挿入部分(2a)に嵌合されて少なくともその一部の範囲において自由に褶動可能な内径を有し、摺動することにより前記細部(2b)と挟合して前記付け替え型筒状ピペット(1)を挟み込んで固定することが可能であり、
前記押し棒(4)は、前記筒体(2)内を貫通していて、前記筒部(1c)の内部に褶動可能であり、かつ、前記押し棒(4)の長軸上の少なくとも一部の範囲は前記筒部(1c)の内面および/または前記筒体(2)の内面に気密であり、前記ピペット(1)の内容物を排出吸引自在に操作可能であることを特徴とする付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具。
【請求項2】
前記筒体(2)の前記細部(2b)を有する部分を長軸に垂直に切った断面に細部より元細り状態の程度が小さい隣細部(2b1)があることを特徴とする請求項1に記載の付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具。
【請求項3】
前記細部(2b)の少なくとも一部が前記筒体(2)の内面に到達して貫通していることを特徴とする請求項1または2に記載の付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具。
【請求項4】
前記筒体(2)の該細部(2b)が全周に亘っていることを特徴とする請求項1に記載の付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具。
【請求項5】
前記押し棒(4)の略先端部には、前記ピペット(1)の内面に対して気密に褶動可能な、先端気密部(4a)があり、前記先端気密部(4a)の略後続部分である後部摺動部(4b)は、前記先端気密部(4a)よりも径が小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具。
【請求項6】
前記留め具(3)が弾性材(5)により前方に圧着されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に歯科治療等に使用されるシリンジ容器(筒状ピペット)に関するものであり、詳しくは、この付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシリンジ容器として、比較的硬質な合成樹脂材料により、先端にノズルを有するシリンジ筒を一体成形し、該シリンジ筒内に収納された薬液を、ピストンの押込みにより、ノズルから注出して口腔内の患部に投与、注入するようにしたものが知られている。
【0003】
しかし、上記シリンジ容器は、衛生上の観点から一回の使用毎に使い捨てるものであるため、容器自体は勿論、内部に相当量残存している薬液も一回毎に捨てざるを得ず、不経済であった。
【0004】
このような問題を解決すべく、特許文献1には、先端にノズル(チューブ)を屈曲形成したチップを、シリンダ本体の先端に着脱可能に螺着して構成され、一回の使用毎に上記チップのみを交換するようにした注入用具が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、ごく少量の一投与分のみが必要な場合には対応することが困難であった。また、前記チップ自体もその廃棄コストも含めて、十分安価とは言い難く、資源の有効利用の観点からも問題があった。
【0006】
これに対して、細孔を有する管状の内腔体積が1ml程度の合成樹脂よりなる使い捨て型の一孔式のスポイト乃至はピペットは、少量に対応でき、製造コストや廃棄コストが節約でき、資源の有効利用において、優れた効果が発揮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−243160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これは、小さいために手で持ち難く、操作が難しいという難点を有していた。
また、当該スポイト乃至はピペットの外壁を手指にて圧迫・解放する手法では微細な容量を定量的に精度よく適用することも困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、前記使い捨て型筒状ピペットを取り扱い易くかつ精度よく利用可能となる操作用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するための本発明に係る付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具は、
前端に細孔1aを有し、その後端に内容物収納可能な筒部1cを有し、最後端に開口部1dを有する付け替え型筒状ピペット1を操作する操作用具であり、
該操作用具は、少なくとも筒体2と留め具3と押し棒4とを有し、
前記筒体2は、少なくとも略前部に、前記付け替え型筒状該ピペット1中に挿入可能な外径を有する挿入部分2aを有しており、前記挿入部分2aの長軸方向の一部の範囲において外周の少なくとも一部の範囲において前記筒体の外径が前部よりも後部のほうが小さくなって元細り状態になっている部分である細部2bを有し、
前記留め具3は略筒形であり、前記挿入部分2aに嵌合されて少なくともその一部の範囲において自由に褶動可能な内径を有し、摺動することにより前記細部2bと挟合して前記付け替え型筒状ピペット1を挟み込んで固定することが可能であり、
前記押し棒4は、前記筒体2内を貫通していて、前記筒部1c中の内部に褶動可能であり、かつ、前記押し棒4の長軸上の少なくとも一部の範囲は前記筒部1cの内面および/または前記筒体2の内面に気密であり、前記ピペット1の内容物を排出吸引自在に操作可能であることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、
前記筒体2の前記細部2bを有する部分を長軸に垂直に切った断面に細部より元細り状態の程度が小さい隣細部2b1があることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明は、
前記細部2bの少なくとも一部が前記筒体2の内面に到達して貫通していることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、
前記筒体2の該細部2bが全周に亘っていることが好ましい。
さらに、本発明は、
前記押し棒4の略先端部には、前記ピペット1の内面に対して気密に褶動可能な、先端気密部4aがあり、前記先端気密部4aの略後続部分である後部摺動部4bは、前記先端気密部4aよりも径が小さいことが好ましい。
【0014】
また、本発明は、
前記留め具3が弾性材5により前方に圧着されることが好ましい
【発明の効果】
【0015】
本発明の付け替え型筒状ピペットを操作する操作用具にて、流動性医療材を取り扱うことにより、少量の医療材を容易に精密な容量を患部への適用が可能となる。更に前記適用により、付け替え型筒状ピペットが汚染されても、それを付け替えることにて、前記汚染が除去可能であり、汚染されたピペットはそのまま使い捨てても良いし、同一汚染源にすぐさま再使用することにより、他への汚染拡散を防止することも出来るし、場合によっては、清浄に滅菌除染して、再使用可能な場合も有り得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例を示す全体断面図である。
図2図1に示した実施例の部分拡大断面図である。
図3図2に示した実施例の留め具を前方に摺動させた状態での断面図である。
図4】隣細部を有する場合の部分拡大断面図である。
図5図4に示した実施例の留め具を前方に摺動させた状態での断面図である。
図6】留め具の内腔を図示した正面図と断面図である。
図7】留め具の別の実施例の正面図である。
図8】後部摺動部を図示した正面図と断面図である。
図9】押し棒の別の実施例である。
図10】押し棒の別の実施例である。
図11】弾性体を用いた実施例の透視図を含んだ断面図である。
図12図11の実施例の留め具を前方に摺動させた状態での透視図を含んだ断面図である。
図13】付け替えピペットの実施例を示した断面図である。
図14】先端気密部の別の形態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
図1は本発明の一実施例に係る操作用具とピペットとを示したものである。
【0019】
本実施例に係る操作用具は、前端に細孔1aを有し、その後端に内容物収納可能な筒部1cを有し、最後端に開口部1dを有する付け替え型筒状ピペット1を操作する操作用具であり、
該操作用具は、少なくとも筒体2と留め具3と押し棒4とを有し、
前記筒体2は、少なくとも略前部に、前記付け替え型筒状ピペット1中に挿入可能な外径を有する挿入部分2aを有しており、前記挿入部分2aの長軸方向の一部の範囲において外周の少なくとも一部の範囲において前記筒体の外径が前部よりも後部のほうが小さくなって元細り状態になっている細部2bを有し、
前記留め具3は略筒形であり、前記挿入部分2aに嵌合されて少なくともその一部の範囲において自由に褶動可能な内径を有し、摺動することにより前記細部2bと挟合して前記付け替え型筒状ピペット1を挟み込んで固定することが可能であり、
前記押し棒4は、該筒体2内を貫通していて、前記筒部1c中の内部に褶動可能であり、かつ、前記押し棒4の長軸上の少なくとも一部の範囲は前記筒部1cの内面および/または前記筒体2の内面に気密であり、前記ピペット1の内容物を排出吸引自在に操作可能である、付け替え型筒状ピペット1を操作する操作用具である。
【0020】
なお、気密とは、注射器のピストンとシリンジのように、表面同士が密着して、流体が侵入出来ない状態を指す。そして、以下の説明では、例えば、部分的などと特に断らない限り、原則として、環状乃至は筒状の形状物においては、全周に亘って、密着することによって、流体が互いに交じり合う事がない領域に分断される状態となるものとする。
【0021】
本発明の操作用具においては、長軸方向乃至は押し棒の摺動方向に沿って、ピペットが接続される側が前方(または先)であり、その反対が後方(または元)とするものである。又、以下に記載の図面は基本的には断面図(図2の2b'、図6のAA'BB'および図7は正面図)であるが、一部の部分については透視図を併用している部分があり、それらについては点線の輪郭線のみにて図示している。
【0022】
さて、図1の例では細部2bの断面が観察される断面図の場合である。
図1の例では、付け替え型筒状ピペット1の前端に細孔1aとその後端の筒部1cとの間には、先細りしている細孔テーパー部1bを有している。
【0023】
更に、図1の例では、該筒体2の挿入部分2aの後端には、筒体のジャケット部2cがあり、その前端部であるジャケット部前端部2c1に留め具3が突き当たるように位置している。
【0024】
図1の例では、ジャケット部の後端には指掛引き部2c2を有する。
尚、図1では、前記ジャケット部2cは、筒体2に別部材として合体した構成となっているが、両者を一体のものとして成形されたものであっても良い。ジャケット部2cは、手で保持しやすい太さを確保するなどの役割を有している。
【0025】
図1の例では、留め具Oリング部3bを有しており、滑り止め機能と気密性保持の働きをしている。
又、図1の例では、押し棒4の略先端部には、ピペット1の内面に対して気密に褶動可能な先端気密部4aがあり、該先端気密部4aの略後続部分である後部摺動部4bは、該先端気密部4aよりも径が小さい。更に押し棒4の後端部には、指掛押し部4cを有する。
【0026】
本発明にて用いられる、前端に細孔1aを有し、その後部に内容物収納可能な筒部1cを有し、最後端に開口部1dを有する付け替え型筒状ピペット1としては、その内腔に歯科材料を保持して人の口腔にて用いられるのに適しているならば、特に限定されるものではない。
【0027】
付け替え型筒状ピペット1は、前端の細孔1aにて、歯科用材を出し入れし、その後端の筒部1cにて内容物を収納し、最後端の開口部1dにて、本発明の操作用具が接続され、内容物の出し入れが操作されるものである。
【0028】
前記の細孔1a、筒部1cの断面、開口部1dのいずれも、通常は略円形でなるが特に限定されるものではない。
図1又は図2では、筒体2の前端からジャケット部前端部2c1までは、筒体の外径としては、ピペット1中に挿入可能な挿入部分2aではあるが、実際には留め具3があるので、ピペット1をジャケット部前端部2c1まで挿入することは無理である。また、ジャケット部前端部2c1は、これ以上後方に留め具3が移動することを抑制する後退防止部としても機能するが、かかる後退防止部を有することにより、留め具3の余計な摺動を抑制して好ましいものである。
【0029】
図1又は図2の通り、挿入部分2aの長軸方向の一部の範囲Zにおいて該筒体2の外径が前部よりも後部のほうが小さくなっている状態である元細り状態になっている部分である細部2bを有するものである。本発明においては、この細部2bは筒体2の外周の少なくとも一部の範囲において有しているものであるので、細部2bを有する部分を長軸に垂直に切った断面に細部とは異なり元細り状態ではない隣細部2b1が有る場合もあるし、細部2bを有する部分を長軸に垂直に切った断面に隣細部2b1が無い場合、即ち細部2bが筒体2の全周に亘っている場合もある。後者の場合ならば、全周に亘って図1又は図2の通りの断面となる場合もある。
【0030】
なお、前者の全周の亘らない場合は、細部による周長縮小が抑えられるので、その結果、ピペットに皺が寄ることによる気密性の低下を抑制し易く、又、細部が筒体を貫通して設けられる場合には、その貫通孔の前後を繋ぐ働きが発揮されるなどの利点がある。一方、後者の全周に渡る場合では、特に円形であれば、留め具の周方向の向きに関係なく、ピペットを固定することが可能となり、操作性に優れる利点がある。
【0031】
まずは、前者の場合を中心にして更に詳細に説明する。
則ち、前者の場合では、図2では、細部2bの断面に対して長軸に直角の方向から見た細部の正面概観2b'の通り、筒体2の外周の範囲Yだけである。図2では、隣細部2b1を有する場合、断面図の左右併せて2つの細部2bを有する構成と想定しているので、実際の範囲はY×2となる。図2で隣細部2b1を有する場合は併せて、全周の1/3を占めるように範囲Yを設定している。
【0032】
図2においては、細部の深さXはほぼピペット1の肉厚と等く、留め具3はほぼ筒体2に密着した形状としているので、留め具3を前方に摺動させると、図3の通り、ピペット1は細部2bの窪みに収まり、この細部2bの形状に対応して留め具3の内腔が内部に突き出た形状部分が合わさり、細部2bの前部にて筒体2と留め具3が筒部1を挟合して固定する。尚、図2などの例では、スムーズにピペット1が細部2bの窪みに収まっていくように留め具3の前端で細部2bに対応する部分には細部側傾斜部3c1が設けられている。
【0033】
なお、細部2bの前部にも、傾斜部やR部を有していると、これによりピペット1が筒体に気密に密着しやすくなる。細部2bの後端が留め具3の摺動可能範囲内にある場合も傾斜部やR部を設けておくことは、留め具3の円滑な摺動に資するものであり、好ましい。又、このように細部2bの前後端のみでなく横端にもR部を設けておくと、ピペット1が筒体に気密に密着しやすくなるという効果も発揮されるので好ましい。
【0034】
前記の細部2bの深さX(前方の外径が均一な円筒部分の半径と比較しての比高)は好ましくは0.08〜0.8mm、より好ましくは0.11〜0.5mm、更に好ましくは0.14〜0.37mmである。これらの数値範囲の下限値を下回ると、ピペットを固定する保持力は低くなり発明の効果を奏することができなくなり、一方、上限値を上回ると、ピペットは無理に曲げられて皺が寄るか、押さえつける圧力が十分得られないことにより、気密性が悪くなり、何れも好ましくない。筒体2の外周のうち細部2bが占める範囲Yは好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは60%以上である。これらの数値範囲の下限値を下回ると、ピペットを固定する保持力は低くなり発明の効果を奏することができなくなり、好ましくない。尚、上限値は隣細部の下限値に対応する。長軸方向での細部2bが存在する範囲Zは好ましくは10〜160mmより好ましくは30〜100mm、更に好ましくは40〜80mmである。これらの数値範囲の下限値を下回ると、ピペットを固定する保持力は低くなり発明の効果を奏することができなくなり、一方、上限値を上回ると、非実用的乃至は非現実的となり、何れも好ましくない。但し、前記深さXとは、前方の外径が均一な円筒部分の半径と比較してのことであり、長軸方向に外径が変わる傾斜部等は除く。
【0035】
隣細部は実質上元細り状態ではなく、留め具3との形状に整合性があるならば、細部2aとは逆に先細りの状態であっても良いが、その高さ(前方の外径が均一な円筒部分の半径と比較しての比高)は好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.4mm以下、更に好ましくは0.2mm以下である。前記数値範囲の上限値を上回るとピペットに過度の応力をかけることとなり、好ましくない。一方、隣細部は低すぎるとその効果が発揮されなくなるので、その高さは好ましくは−0.13mm以上、より好ましくは−0.10mm以上、更に好ましくは−0.07mm以上である。筒体2の外周のうち隣細部が占める範囲は好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは60%以上である。尚、上限値は細部の下限値に対応する。
【0036】
一方、図2の断面に対して長軸周りに垂直な断面となる図4では、細部2bが見られないが、この断面ではそれに合わせて、筒体2と留め具3との間にはピペット1の肉厚にほぼ等しいクリアランスを設けているので、図5の通り留め具3を前方にスライドしても問題ない。
【0037】
前記のように、図2,3の断面形状と図4,5の断面形状が両立可能な留め具3の形状を図6にて説明する。図2,3の断面を平面A−A'、図4,5の断面を平面B−B'とすると、図6の通りとなる。図6では、平面A−A'での断面AA'、平面B−B' での断面BB'、平面A−A'と平面B−B'に垂直な正面AA'BB'を配している。断面AA'BB'の内腔形状は前方から順番に最初は円形であるが、傾斜部途中から小判型に変わり、そのまま真っすぐ行って、断面図BB'でのOリング手前の垂直段差より後方では、前方の小判型に内接する形で、円形内腔が続く形状である。製作順に説明すれば、まず、前方から断面AA'の傾斜部3c1を切削したのち、断面AA'BB'に見られる小判型円筒形に切削して、最後端には、断面AA'BB'に見られる最小円の断面の円筒形に切削して形成できる。
【0038】
なお、特に傾斜部と小判型形状孔との立体的接続形状がイメージし難いと思われるので、留め具3内腔の形状を、分かり易いように一例として数式で表現すると、例えば以下の通りとなる。
[ x2+y2≦{R1+z・(R2-R1)/S2}2 ∩ 0≦z≦S2 ] ∪
[-(R22-x2)1/2-d≦y≦(R22-x2)1/2+d ∩ S1≦z≦L1 ∩ d=(R1-R2)・(1-S1/S2) ] ∪
[x2+y2≦R22 ∩ L1≦z≦L2 ] ∪
[x2+y2≦(R2+P)2 ∩ {(x2+y2)1/2-(R2+P)}2+(z-L2+P)2≧P2 ∩ L2-P≦z≦L2 ]
(長軸後方をz軸正の方向として小判型断面長軸をy軸として、留め具3前方、後方開口部半径をR1、R2(後方はR部手前での半径)、断面AA'、BB'における傾斜部z方向深さをS2、S1、断面BB'での前方開口部から垂直段差迄のz方向深さをL1、同前方開口部から後方開口部迄のz方向深さをL2、後方開口部のR部半径をPとする。)
【0039】
前記4行よりなる式の各行の[ ]で囲まれた式を順に式(1)〜式(4)とすると、式(1)は、前方開口部の傾斜部、式(2)はそれに続く小判型円筒部、式(3)は更に続く円筒部、式(4)は後方開口部のR部の内腔をそれぞれ示したものであり、これらの空間の和集合が留め具3内腔の形状の一例である。なお、0リング部の形状は無視した。
【0040】
このように、留め具3の内腔表面は、細部2bの配置や形状に適合した形状である事が重要である。
なお、留め具3の内腔表面の細部2bとそれに適合している対応部分等を図7の断面図の通り、直線ではなくて、少し複雑に屈曲させた形状にして、自由な状態でのピペット1の最後端の周長とほぼ一致するように調整すると、無理がなく、密着性がより向上して好ましい。これは、隣細部を有しない全周型細部の場合にも適用可能である。いずれにせよ、筒体2の細部を含んだ、長軸に垂直な断面での外周の周長(細部周長)は、その前方の細部を有さない断面の周長(通常周長)に対する比(細部周長/通常周長)は好ましくは0.92〜1.08、より好ましくは0.94〜1.06、更に好ましくは0.96〜1.04である。前記数値範囲の下限値を下回ると、ピペットの膜壁に過大な圧縮が掛かって皺が寄り、気密性を損なう恐れがあり、上限値を上回ると、逆にピペットの膜壁に過大な引張応力が働き、場合によっては破損したりして、やはり気密性を損なう恐れがあり、何れも好ましくない。
【0041】
又、細部2bの少なくとも一部が筒体2の内面に到達して貫通している方が、加工が容易な場合があるので、そのような態様も好ましい。図2図3図8図9図10の場合、貫通していても良い。但し、図8図10の場合、貫通していると、ピペット膜壁が押し棒に密着して、押棒と筒体の空隙を埋めるので、その点が実際の図示とは相違してくる。
【0042】
以上、隣細部を有する場合の複雑な形状の例を特に詳しく説明したが、隣細部を有しない場合も、単なる略円形だけでなく、隣細部を有する場合と同様な複雑形状を有する留め具3とそれに対応する形状の細部2bを有していても良いし、細部2bの深さYも留め具3と適切に対応して形状をしている限り、全周に亘って均一であっても良いし、不均一であっても良い。
【0043】
図1の通り、押し棒4の略先端部には、該ピペット1の内面に対して気密に褶動可能な、先端気密部4aがあり、該先端気密部4aの略後続部分である後部摺動部4bは、該先端気密部4aよりも径が小さいことが好ましい。更に先端気密部4aの前方にはピペットへの挿入を容易にするための傾斜やR部を有する挿入導入部4a1を設けたり、先端気密部4aと後部摺動部4bの間に、段差の角張りによってピペット内壁に引っかかることを防止するための傾斜やR部を有する段差緩衝傾斜部4a2を設けることも好ましい。
【0044】
なお、押し棒4は、該押し棒4の長軸上の少なくとも一部の範囲は該筒部1cおよび/または該筒体2に気密であれば、ピペット1の内容物を排出吸引自在に操作可能であるので、図8の通り、先端気密部4aにて、ピペットに対して気密を保てるならば、押し棒4と筒体2は気密でなくても良い。寧ろ、押し棒4と筒体2は気密でない方が、円滑に摺動可能で、材料や加工精度の自由度が高くて好ましい。
【0045】
或いは、図9の通り、押し棒4が、ピペット1とではなく、筒体2に対してのみ気密性を有しても、ピペットの内容物は外界との気密性は保つことができなくはないが、押し棒4とピペット1との間隙が、操作効率や汚染防止の低下に繋がる危険性があり、あまり好ましくない。
【0046】
因みに、筒体2と押し棒4との気密性を保つ手段として、Oリング等を設けてもよく、図10の通りOリング2dを、筒体2に設けることが好ましく、特にその前端部近傍が好ましい。
【0047】
図11の通り、留め具3の後端にバネなどの弾性体5を設置して、図12のように、留め具3が弾性材5により前方に圧着される態様も好ましい。この場合、筒体2外表面と留め具3の内表面に、互いに係留し得る形状である筒体側突起2eと留め具側突起3dを設けて、ストッパーと成すと、留め具3が筒体2から外れることや、挟合したピペットに過度の圧迫をかけることなどを抑制できて好ましい。このようなストッパーを有する場合には、当該弾性体5は、留め具3や筒体2と機械的に接合されている必要はなく、単に当接しているだけで、バラバラに別れる恐れはなく、留め具を筒体に係留可能である。或いは、留め具を筒体に係留するのに、弾性体にて筒体2と留め具3を繋ぐことでも達成可能である。なお、留め具3が弾性体にて圧着されて固定される場合、留め具3が緩んでピペット操作中に内容物が漏洩ないしは噴出する危険性は極めて低いので、留め具3にはOリングはなくても良い。
【0048】
本発明の操作用具は、以上の通りの機構を有しているので、人の指の力だけの僅かな力で極めて容易に安全かつ正確な操作が出来る、機械的動力や他の特別な締結用具(ペンチやスパナ等)の補助を必要としない手動式の操作用具である。
【0049】
さて、ピペット1においては、少なくとも前記開口部1d近傍は、手動式の操作用具にて圧着されることにより変形させて、気密に密着固定でき、前記ピペット1の内容物を自在に出し入れしても前記ピペット1がその用具から脱落したり、用具との間から内容物が漏洩したりしない程度に、気密に密着固定できる柔軟性を有するものである。従って、開口部1d近傍のみをかかる柔軟材料にて構成しても良いが、全体を同一材料にて一体成形する方が、製造の手間がかからず、品質も安定的であり、好ましい。
【0050】
更に、ピペットを長めに作成したり、ピペットの途中に瘤室や遠回り経路を設けて、操作用具自体に付け替えピペットの内容物が付着するのを防ぐことが可能である。
当該ピペットの材質は特に限定されるものではないが、開口部1d乃至はその近傍にて本発明の操作用具で固定されるのに際して適度に変形する程度の柔軟性を有していることが好ましい。従って指で容易の曲がる程度の柔軟さがあれば良い。しかし、台所用ラッピング材ほどの柔らかさでは、取り扱いも悪いので、筒状に形成した際には、自重に耐えて、内腔空間を保持出来る程度の剛性を有することが好ましい。又、ゴムのようにゴム弾性を有すると内容物の排出吸引操作に支障を来す恐れがあり好ましくない。そういうことで、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル等の重合体やそれらの共重合体、ポリマーアロイ等の高分子材料が好ましい。特に安価で変質し難く、比較的安全であるポリエチレンやポリプロピレン等がより好ましいものである。
【0051】
筒部1cは、押し棒が自由に摺動可能なように、原則として、内部断面の大きさ・形が長軸方向に一定であり、一方、外面は特にそのような制約はない。尚、前記内部断面は、円形が最も好ましいが、用具の押し棒と形状的に適合するならば、楕円形や多角形や星型等であってもよい。
【0052】
又、図13の通り、筒部1cの前端部に押し棒の先端部分の形状に合わせた先端当接部1c1を設けておくと、ピペットに無理な応力が付加されることが少なくなり好ましい。また、筒部1cの後端部にテーパーや図13の通り、段差を設けておくと筒体2や押し棒4を挿入しやすくなる。
【0053】
筒体2の長さは、当該付け替えピペットの大きさに適合していて、歯科用途等で口腔にて使用するのに不便でない限り特に限定されるものではないが、筒体2の長さは好ましくは20〜150mm、より好ましくは40〜100mm、更に好ましくは50〜80mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると十分な内容積が確保できなくなり、上限値を上回ると操作性が低下して、何れも好ましくない。
【0054】
筒体2の挿入部分2aの長さは好ましくは10〜45mm、より好ましくは15〜35mm、更に好ましくは20〜30mmである。前記数値範囲の下限値を下回るとピペットの固定が不十分となる恐れがあり、上限値を上回ると取り扱いが難しくなり、いずれも好ましくない。なお、留め具3の可動範囲も同様の理由にて前記数値範囲程度が好ましい。
【0055】
又、筒体2の挿入部分2aの外径は、好ましくは1〜5.5mm、より好ましくは2〜4mm、更に好ましくは2.5〜3mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると十分な内容積を確保できず作業効率が悪くなり、上限値を上回ると太すぎて操作性が低下し、いずれも好ましくない。
【0056】
一方、筒体2の挿入部分2aの内径は好ましくは0.8〜5mm、より好ましくは1.3〜3.5mm、更に好ましくは1.8〜2.5mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると十分な内容積を確保できず作業効率が悪くなり、上限値を上回ると太すぎて操作性が低下し、いずれも好ましくない。
【0057】
なお、筒体2の挿入部分2a以外の内径は、筒体2の挿入部分2aと同様である。
なお、ピペットを確実に固定するためには、留め具3自体の大きさだけでなく、実際にどれほどの長さにてピペットの開口部1d近傍の膜壁が気密に密着されて固定されるかが重要である。つまり、挿入部分2a、留め具3の構造や、留め具の摺動可能範囲等を総合して、挿入部分2a、ピペット1及び留め具3の3つが重なることが可能な範囲において、膜壁を十分に固定できるように、挿入部分2aと留め具3との間の適切なクリアランスが、十分な面積にて実現されていることが肝要である。前記のクリアランスは好ましくは0.3〜0.75mm、より好ましくは0.35〜0.6mm、更に好ましくは0.4〜0.5mmである。又、前記面積は好ましくは20〜85mm2、より好ましくは30〜65mm2、更に好ましくは35〜55mm2である。あるいは、簡便には、当該クリアランスが実現されている範囲の長軸方向長さは好ましくは1.8〜8mm、より好ましくは2.5〜6mm、更に好ましくは3〜5mmである。クリアランスについて前記数値範囲の下限値を下回るとピペットの膜壁が展開された範囲へ留め具3を摺動することが困難となり、上限値を上回るとピペットの膜壁を十分に固定することが困難となり、いずれも好ましくない。前記面積又は長さについて前記数値範囲の下限値を下回るとピペットの膜壁を十分に固定することが困難となり、上限値を上回ると過大な大きさの留め具3が必要となって操作用具のコンパクト性が損なわれるので、いずれも好ましくない。尚、前記のクリアランスは、筒体2の挿入部分2aの対応する部位の外径と留め具3の対応する部位の内径により規定されるものである。
【0058】
或いは、ピペットの固定力は、筒体2の挿入部分2aと細部2b、特にその前端部にてピペット1が剪断的に挟合されることによる効果が大きいと考えられるので、細部の前端側の境界の長さで規定されると考えられ、長いほうが好ましいが、一方、長すぎるとピペットや用具が好ましいサイズに収まらなくなるので、両者の兼ね合いにより、その境界の長さは、好ましくは1〜5.5mm、より好ましくは2〜4mm、更に好ましくは2.5〜3mmである。これは境界の長さの長軸方向成分の寄与は無視すれば、簡便には、外周に占める細部2bの比率(全周型ならば100%)の長軸上での最大値と外周長の積で得られる。
【0059】
又、押し棒4の長さは好ましくは60〜250mm、より好ましくは80〜180mm、更に好ましくは90〜130mmである。或いは、押し棒4は筒体2よりも好ましくは20〜90mm、より好ましくは30〜75mm、更に好ましくは40〜60mm長い。前記数値範囲の下限値を下回るとワンストロークの容量が少なすぎて作業効率が低下し、上限値を上回ると取扱し辛くなり、いずれも好ましくない。
【0060】
押し棒4の先端気密部4aにて気密されている場合には、その直径は好ましくは1〜5.5mm、より好ましくは2〜4mm、更に好ましくは2.4〜3mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると適合するピペット1は十分な内容積を確保できず作業効率が悪くなり、内容物が詰まる危険性が高まり、上限値を上回ると太すぎて操作性が低下し、いずれも好ましくない。又、先端気密部の最大外径から使用するピペット1の内径を引いた差は、好ましくは0.01〜0.19mm、より好ましくは0.03〜0.12mm、更に好ましくは0.04〜0.09mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると気密が十分に保てなくなり、上限値を上回るとピペット内を円滑に摺動することが困難となり、いずれも好ましくない。
【0061】
押し棒4が先端気密部4aにて気密されていない場合には、押し棒4の直径は、前記先端気密部4aと同様範囲が、やはり同様の理由にて好適である。押し棒4が先端気密部4aにて気密されている場合には筒体2の内径と押し棒4の後部摺動部4bの直径とのクリアランスは、気密性は要求されないので、好ましくは0.01〜0.2mm、より好ましくは0.02〜0.15mm、更に好ましくは0.03〜0.1mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると摺動が円滑にならず、上限値を上回ると押し棒がグラつきが大きくなって精密な操作が困難となり、いずれも好ましくない。
【0062】
又、押し棒4の先端気密部4aの長さは好ましくは1〜25mm、より好ましくは2〜15mm、更に好ましくは3〜10mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると気密性が不安定となり、上限値を上回ると摺動抵抗が大きくなり過ぎて、いずれも好ましくない。
【0063】
尚、図1などのように、押し棒4の先端気密部4aが、略円筒側面形状にて、付け替え型筒状ピペット1の内壁に全面的に密着しているよりも、図14の通り、先端気密部4aの中部などが凹んでいて、付け替え型筒状ピペット1の内壁に部分的に接触しない形態は、過度な滑り摩擦を低減して好ましい。図14の例では、先端気密部4aの前端部と後端部の2箇所で付け替え型筒状ピペット1の内壁に接触する形態となっているが、これに限定されるものではなく、1箇所でも3箇所以上でも良い。言い換えれば、先端気密部4aの気密部分1つ以上の非気密部分を挟むことが好ましい。この非気密部分の長さは好ましくは0.01〜20mm、より好ましくは0.3〜8mm、さらに好ましくは1〜4mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると滑り摩擦低減効果が低下する恐れがあり、一方、上限値を上回ると先端気密部4aが長くなりすぎて無駄が生じる恐れがあり、何れも好ましくない。更に、接触する角の部分にはRをつけて丸めておくことが好ましい。又、長軸方向に連続して接触する長さは好ましくは、特に、複数箇所にてピペットに接触する構成の場合には、0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.7mm、更に好ましくは0.3〜0.5mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると気密性が低下する恐れがあり、一方、上限値を上回ると付け替え型筒状ピペット1の内壁との滑り摩擦が増大して円滑な操作が困難となる恐れがあり、何れも好ましくない。
【0064】
尚、気密であるか否かは、当該部位の外径が、付け替え型筒状ピペット1の内壁の内径を超えるか否かにて判断すれば良い。
付け替え型筒状ピペット1の全長は好ましくは30〜100mm、より好ましくは40〜85mm、更に好ましくは45〜70mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると十分な内容積を確保できず作業効率が悪くなり、上限値を上回ると長すぎて操作性が低下し、いずれも好ましくない。
【0065】
付け替え型筒状ピペット1の細孔1aの内径は好ましくは0.55〜7.8mm、より好ましくは0.61〜0.72mm、更に好ましくは0.64〜0.68mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると内容物が排出し難くなり、上限値を上回ると内容物が液漏れを起こし、好ましくない。
【0066】
付け替え型筒状ピペット1の筒部1cの内径は好ましくは1〜5.5mm、より好ましくは2〜4mm、更に好ましくは2.4〜3mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると十分な内容積を確保できず作業効率が悪くなり、内容物が詰まる危険性が高まり、上限値を上回ると太すぎて操作性が低下し、いずれも好ましくない。
【0067】
なお、本発明においては、筒部1cの内径とは、前端の細孔1a乃至はその近傍や、後述の後端段差1c2等が有る場合には、開口部1d近傍を除いた、付け替え型筒状ピペット1の全長の過半を占め、かつ、太さが一定である略円筒形の部分の内径を専ら指すものとする。
【0068】
付け替え型筒状ピペット1の筒部1cの内径は好ましくは1〜6.5mm、より好ましくは2〜5mm、更に好ましくは2.3〜3mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると十分な内容積を確保できず作業効率が悪くなり、上限値を上回ると太すぎて操作性が低下し、いずれも好ましくない。
【0069】
付け替え型筒状ピペット1の筒部1cの肉厚は好ましくは0.15〜1mm、より好ましくは0.25〜0.7mm、更に好ましくは0.35〜0.5mmである。前記数値範囲の下限値を下回ると薄すぎて強度が低下する恐れがあり、上限値を上回ると操作用具との密着固定性が低下して、いずれも好ましくない。
【0070】
開口部1dの直径も前記筒部1cとほぼ同様であるが、本発明の操作用具との接続を容易にするために後端に向けて筒部1cの内径が太くなる、図13の通りの後端段差1c2を設けることが好ましいので、若干大きくなることもあり得る。この段差は直角段差出会っても良いし、直線的な又は曲線的な傾斜であっても良い。
【0071】
前記後端段差1c2の位置から後端部までの距離は、好ましくは4〜20mm、より好ましくは6〜15mm、更に好ましくは8〜12mmである。
又、段差の大きさは好ましくは0.04〜0.16mm、より好ましくは0.06〜0.14mm、更に好ましくは0.08〜0.12mmである。それ以外に固定するために構造的工夫はピペット側には特に必要なく、例えば、ネジ構造や蝶番構造、複雑なはめ込み式固定機構等を要するものではない。
【0072】
付け替え型筒状ピペット1の内容積は特に限定されるものではないが、好ましくは0.05〜0.8ml、より好ましくは0.1〜0.6ml、更に好ましくは0.2〜0.4mlである。前記数値範囲の下限値を下回ると容積が少なすぎて不便となり、上限値を上回ると、そのしわ寄せでピペットの長さや太さが過剰に大きくする必要が生じて、操作に不便や支障を来す恐れがあり、何れも好ましくない。
【符号の説明】
【0073】
1 ;ピペット
1a ;細孔
1b ;細孔テーパー部
1c ;筒部
1c1;先端当接部
1c2;後端段差
1d ;開口部
2 ;筒体
2a ;挿入部分
2b ;細部
2b’;細部の正面概観2b’
2c ;ジャケット部
2c1;前端部
2c2;指掛引き部
2d ;筒体0−リング部
2e ;筒体側突起
3 ;留め具
3a1;細部側内面
3a2;隣細部側内面
3b ;留め具Oリング部
3c1;細部側傾斜部
3c2;隣細部側傾斜部
3d ;留め具側突起
4 ;押し棒
4a ;先端気密部
4a1;挿入導入部
4a2;段差緩衝傾斜部
4b ;後部摺動部
4c ;指掛押し部
5 ;バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14