(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140479
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】無線端末装置および無線基地局装置
(51)【国際特許分類】
H04W 72/08 20090101AFI20170522BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20170522BHJP
【FI】
H04W72/08
H04W72/04 110
H04W72/04 132
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-42065(P2013-42065)
(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-171112(P2014-171112A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】王 暁秋
(72)【発明者】
【氏名】秋元 陽介
【審査官】
三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/053550(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/149559(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/001650(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局装置の使用可能な全周波数帯域のうち一部の周波数帯域を無線通信に使用する無線端末装置において、
前記全周波数帯域のうちから任意の一部の周波数帯域を選択して無線通信に使用可能な無線部と、
前記無線基地局装置から無線通信に使用する通信周波数帯域を示す情報を受信する通信制御部と、を備え、
前記無線部は、前記無線基地局装置から通知された通信周波数帯域を使用して前記無線基地局装置と無線通信し、
通信周波数帯域の初期値は、前記無線基地局装置が使用可能な複数のコンポーネントキャリアのうちの特定コンポーネントキャリアであり、
前記特定コンポーネントキャリアにおける通信品質を測定する測定部を備え、
前記通信制御部は、前記通信品質の測定結果を前記無線基地局装置へ通知し、該通知した通信品質の測定結果に基づいた通信周波数帯域を示す情報を前記無線基地局装置から受信し、
前記通信品質の測定結果に基づいた通信周波数帯域は、前記無線基地局装置が使用可能なコンポーネントキャリアの中心周波数とは異なる周波数が中心周波数である周波数帯域であり、
前記無線部は、前記無線基地局装置から通知された、前記無線基地局装置が使用可能なコンポーネントキャリアの中心周波数とは異なる周波数が中心周波数である通信周波数帯域、を使用して前記無線基地局装置と無線通信する、
ことを特徴とする無線端末装置。
【請求項2】
前記特定コンポーネントキャリアは、前記全周波数帯域中の中心部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線端末装置。
【請求項3】
前記通信周波数帯域を示す情報は、通信周波数帯域の中心周波数を示す情報であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項4】
自無線基地局装置の使用可能な全周波数帯域のうち一部の周波数帯域のみを無線通信に使用する無線端末装置と無線通信する無線基地局装置において、
使用可能な複数のコンポーネントキャリアのうちの特定コンポーネントキャリアにおける通信品質の測定結果を前記無線端末装置から受信する通信制御部と、
前記受信された通信品質の測定結果に基づいて、前記全周波数帯域のうちから、自無線基地局装置が使用可能なコンポーネントキャリアの中心周波数とは異なる周波数が中心周波数である周波数帯域を、前記無線端末装置との無線通信に使用する通信周波数帯域に選択する通信周波数帯域選択部と、を備え、
前記選択された通信周波数帯域を示す情報を前記無線端末装置へ送信することを特徴とする無線基地局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末装置および無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化作業が進められているLTE(Long Term Evolution)−Advanced以降の無線通信規格では、従来のLTE規格よりも広帯域化が図られている(例えば非特許文献1参照)。その広帯域化技術の一つとして、キャリアアグリゲーション(Carrier aggregation)技術が知られている。キャリアアグリゲーション技術では、無線通信に使用する周波数帯域の単位であるコンポーネントキャリア(Component Carrier)を複数束ねて使用することにより、広帯域化を図る。
【0003】
また、LTE規格において、「Machine-Type Communications;MTC)をサポートするために、使用可能帯域が狭いMTC端末が検討されている。MTC端末では、構成を簡単にするために、使用可能な全周波数帯域のうち中心部分の周波数帯域のみをサポートする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ベンジャブールアナス,岸山祥久,石井啓之,中村武宏,“Conceptual Views and Radio Access Technologies for Future Evolution of LTE-A”,信学技報,vol. 112,no. 192,RCS2012-100,pp. 25-30,2012年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したキャリアアグリゲーション技術をサポートしておらず、一コンポーネントキャリアのみを使用して無線通信する端末では、周波数帯域がそれぞれ定義された複数のコンポーネントキャリアのうち、いずれか一つのコンポーネントキャリアを使用する。したがって、当該端末は、コンポーネントキャリア単位で、無線通信に使用する周波数帯域を変更可能である。しかしながら、コンポーネントキャリア単位での周波数帯域の変更では、無線リンク通信品質の周波数変動に対して十分に対応することが難しく、端末のスループットが低下する可能性がある。
【0006】
また、MTC端末では、使用可能な全周波数帯域のうち中心部分の周波数帯域しか使用できないので、無線リンク通信品質の周波数変動に対応することができず、端末のスループットが低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、無線端末装置が無線基地局装置の使用可能な全周波数帯域のうち一部の周波数帯域を無線通信に使用する際に、無線リンク通信品質の周波数変動に対応できる無線端末装置および無線基地局装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る無線端末装置は、無線基地局装置の使用可能な全周波数帯域のうち一部の周波数帯域を無線通信に使用する無線端末装置において、前記全周波数帯域のうちから任意の一部の周波数帯域を選択して無線通信に使用可能な無線部と、前記無線基地局装置から無線通信に使用する通信周波数帯域を示す情報を受信する通信制御部と、を備え、前記無線部は、前記無線基地局装置から通知された通信周波数帯域を使用して前記無線基地局装置と無線通信する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る無線端末装置において、通信周波数帯域の初期値は、前記無線基地局装置が使用可能な複数のコンポーネントキャリアのうちの特定コンポーネントキャリアであり、前記特定コンポーネントキャリアにおける通信品質を測定する測定部を備え、前記通信制御部は、前記通信品質の測定結果を前記無線基地局装置へ通知し、該通知した通信品質の測定結果に基づいた通信周波数帯域を示す情報を前記無線基地局装置から受信する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る無線端末装置において、前記特定コンポーネントキャリアは、前記全周波数帯域中の中心部分を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る無線端末装置において、前記通信周波数帯域を示す情報は、通信周波数帯域の中心周波数を示す情報であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る無線基地局装置は、自無線基地局装置の使用可能な全周波数帯域のうち一部の周波数帯域のみを無線通信に使用する無線端末装置と無線通信する無線基地局装置において、使用可能な複数のコンポーネントキャリアのうちの特定コンポーネントキャリアにおける通信品質の測定結果を前記無線端末装置から受信する通信制御部と、前記受信された通信品質の測定結果に基づいて、前記全周波数帯域のうちから任意の一部の周波数帯域を、前記無線端末装置との無線通信に使用する通信周波数帯域に選択する通信周波数帯域選択部と、を備え、前記選択された通信周波数帯域を示す情報を前記無線端末装置へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線端末装置が無線基地局装置の使用可能な全周波数帯域のうち一部の周波数帯域を無線通信に使用する際に、無線リンク通信品質の周波数変動に対応できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る端末(無線端末装置)1の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る基地局(無線基地局装置)2の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る無線通信制御処理のシーケンスチャートである。
【
図4】本発明に係る通信周波数帯域設定方法の実施例1を説明するための説明図である。
【
図5】本発明に係る通信周波数帯域設定方法の実施例2を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る端末(無線端末装置)1の構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る基地局(無線基地局装置)2の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1を参照して端末1を説明する。
図1において、端末1は、無線部10と測定部11と通信制御部12を備える。無線部10は通信周波数帯域設定部13を有する。無線部10は、基地局2との間で無線通信を行う。無線部10は、基地局2の使用可能な全周波数帯域のうち一部の周波数帯域を無線通信に使用する。無線部10は、全周波数帯域のうちから任意の一部の周波数帯域を選択して無線通信に使用可能である。通信周波数帯域設定部13は、無線通信に使用する通信周波数帯域の設定を行う。
【0017】
測定部11は、無線部10で受信された受信信号を用いて通信品質の測定を行う。通信品質としては、例えば、SINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)が挙げられる。通信制御部12は、無線部10を介して、基地局2との間でデータを送受する。
【0018】
図2を参照して基地局2を説明する。
図2において、基地局2は、無線部20と通信制御部21と通信周波数帯域選択部22を備える。無線部20は、端末1との間で無線通信を行う。無線部20は、基地局2の使用可能な全周波数帯域を無線通信に使用可能である。通信制御部21は、無線部20を介して、端末1との間でデータを送受する。通信周波数帯域選択部22は、ある端末1と自基地局2との無線通信に使用する通信周波数帯域を選択する。
【0019】
図3は、本実施形態に係る無線通信制御処理のシーケンスチャートである。以下、
図3を参照して
図1の端末1および
図2の基地局2の動作を説明する。
【0020】
(ステップS1)端末1の無線部10は、ある通信周波数帯域を使用して基地局2と無線通信し、基地局2への所属(attach)を行う。所属に使用される通信周波数帯域としては、例えば、複数のコンポーネントキャリアのうち、同期チャネルを有するコンポーネントキャリアが挙げられる。又は、複数のコンポーネントキャリアが同期チャネルを有する場合において、受信信号の強度が最大であるコンポーネントキャリアが、所属に使用される通信周波数帯域として利用可能である。
【0021】
(ステップS2)基地局2の通信制御部21は、所属された端末1に対して、通信品質の測定を指示する。
【0022】
(ステップS3)端末1の測定部11は、無線部10で受信された受信信号を用いて、基地局2と無線通信しているチャネルの通信品質(チャネル通信品質)を測定する。端末1の測定部11は、無線部10を介して、該チャネル通信品質の測定結果を基地局2へ通知する。
【0023】
(ステップS4)基地局2の通信制御部21は、端末1から受信したチャネル通信品質の測定結果を通信周波数帯域選択部22へ出力する。通信周波数帯域選択部22は、そのチャネル通信品質の測定結果に基づいて、自基地局2の使用可能な全周波数帯域のうちから任意の一部の周波数帯域を、当該端末1と自基地局2との無線通信に使用する通信周波数帯域に選択する。通信周波数帯域選択部22は、該選択した通信周波数帯域の中心周波数を通信制御部21へ通知する。具体的には、通信周波数帯域選択部22は、チャネル通信品質の測定結果に基づいてどの周波数帯域が当該端末1に最適であるかを判定し、この判定結果の周波数帯域の中心周波数を通信制御部21へ通知する。
【0024】
(ステップS5)基地局2の通信制御部21は、通信周波数帯域選択部22から通知された中心周波数を、無線部20を介して端末1へ通知する。端末1の通信制御部12は、無線部10を介して、基地局2から中心周波数を示す情報を受信する。通信制御部12は、該中心周波数を通信周波数帯域設定部13へ通知する。通信周波数帯域設定部13は、通信制御部12から通知された中心周波数を、通信周波数帯域の中心周波数に設定する。これにより、無線部10は、該設定された中心周波数を有する通信周波数帯域を使用して、基地局2との無線通信を行う。
【0025】
以下、本実施形態に係る通信周波数帯域設定方法の実施例を説明する。
【実施例1】
【0026】
図4は本発明に係る通信周波数帯域設定方法の実施例1を説明するための説明図である。
図4において、基地局2は、3つのコンポーネントキャリア101,102,103を使用可能である。例えば、一コンポーネントキャリアの周波数幅は10MHzである。端末1は、10MHzの周波数幅を有する一通信周波数帯域を使用して基地局2と無線通信する。
【0027】
ここでは、端末1は、周波数軸上で真ん中のコンポーネントキャリア102の同期チャネルを使用して基地局2との同期を取り、基地局2への所属を行うとする。したがって、端末1は、基地局2との同期時には、コンポーネントキャリア102と同じ通信周波数帯域201を使用して基地局2と無線通信する。端末1は、通信周波数帯域201における基地局2との無線通信に係るチャネル通信品質を測定し、該測定結果を基地局2へ通知する。
【0028】
基地局2は、端末1によるチャネル通信品質の測定結果に基づいて、当該端末1に最適の周波数帯域の中心周波数を選択する。
図4の例では、同期後の時刻t1でのチャネル通信品質の測定結果に基づいて、周波数f_aが中心周波数に選択されている。これにより、同期後の時刻t1では、端末1は、中心周波数f_aを有する通信周波数帯域202を使用して基地局2と無線通信する。また、同期後の時刻t2でのチャネル通信品質の測定結果に基づいて、周波数f_bが中心周波数に選択されている。これにより、同期後の時刻t2では、端末1は、中心周波数f_bを有する通信周波数帯域203を使用して基地局2と無線通信する。
【0029】
上述したように実施例1によれば、端末1は、基地局2との同期後に、自己に適した通信周波数帯域を用いて基地局2と無線通信を行うことができる。該通信周波数帯域には、コンポーネントキャリアに限定されず、基地局2の使用可能な全周波数帯域のうちから任意の一部の周波数帯域を選択可能である。これにより、無線リンク通信品質の周波数変動に対応できるという効果が得られる。
【実施例2】
【0030】
図5は本発明に係る通信周波数帯域設定方法の実施例2を説明するための説明図である。
図5において、基地局2は、全周波数帯域110を使用可能である。端末1は、全周波数帯域110のうち所定数の無線リソース単位(リソースブロック:RB)を使用して基地局2と無線通信する。
【0031】
ここでは、端末1は、周波数軸上で真ん中のRBを有する周波数帯域111の同期チャネルを使用して基地局2との同期を取り、基地局2への所属を行うとする。したがって、端末1は、基地局2との同期時には、周波数帯域111と同じ通信周波数帯域211を使用して基地局2と無線通信する。端末1は、通信周波数帯域211における基地局2との無線通信に係るチャネル通信品質を測定し、該測定結果を基地局2へ通知する。
【0032】
基地局2は、端末1によるチャネル通信品質の測定結果に基づいて、当該端末1に最適の周波数帯域の中心周波数を選択する。
図5の例では、同期後の時刻t1でのチャネル通信品質の測定結果に基づいて、周波数f_cが中心周波数に選択されている。これにより、同期後の時刻t1では、端末1は、中心周波数f_cを有する通信周波数帯域212を使用して基地局2と無線通信する。また、同期後の時刻t2でのチャネル通信品質の測定結果に基づいて、周波数f_dが中心周波数に選択されている。これにより、同期後の時刻t2では、端末1は、中心周波数f_dを有する通信周波数帯域213を使用して基地局2と無線通信する。
【0033】
上述したように実施例2によれば、端末1は、基地局2との同期後に、自己に適した通信周波数帯域を用いて基地局2と無線通信を行うことができる。該通信周波数帯域には、コンポーネントキャリアに限定されず、基地局2の使用可能な全周波数帯域のうちから任意の一部の周波数帯域を選択可能である。これにより、無線リンク通信品質の周波数変動に対応できるという効果が得られる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、FDD(Frequency Division Duplex)の場合には、ダウンリンク(基地局から端末に向かう方向の無線リンク)と、アップリンク(端末から基地局に向かう方向の無線リンク)とで、独立に、通信周波数帯域の中心周波数を設定してもよい。
【0035】
また、本発明は、LTE規格の無線通信システム等、様々な無線通信システムに適用可能である。また、MTC端末にも適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1…端末(無線端末装置)、2…基地局(無線基地局装置)、10,20…無線部、11…測定部、12…通信制御部、13…通信周波数帯域設定部、21…通信制御部、22…通信周波数帯域選択部