(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような技術では、たとえば一般道と高速道路のように、標高の異なる経路が上下に並行して複数存在する場合、どの経路をユーザが移動したかを、位置情報という平面的な情報から特定するのは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、ユーザの立体的な位置を判別可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、標高の異なる複数の経路のうち、ユーザが通過した経路を判定する情報処理装置であって、ユーザが、複数の経路のいずれか1つを移動した時に基づき所定期間を決定し、所定期間において、複数の経路上で複数のユーザから測定された気圧情報を、気圧値に基づいて複数のグループに分類するグループ分類手段と、分類されたグループのうちの1つのグループの気圧値と他のグループの気圧値との相対的な関係と、複数の経路のうちの1つの経路の標高と他の経路の標高との相対的な関係とを比較して、複数のグループそれぞれと複数の経路それぞれとの対応関係を判定する対応関係判定手段と、ユーザについて複数の経路のいずれか1つを移動中に測定された気圧情報を取得する取得手段と、ユーザについて取得した気圧情報を気圧値に基づいて、複数のグループのいずれかに分類するユーザ分類手段と、対応関係を参照し、分類したグループに対応する経路を、ユーザが移動した経路と判定する経路判定手段とを備える。
【0008】
また、上記情報処理装置は、標高の異なるNつ(0<N)の経路のうち、ユーザが通過した経路を判定するものであって、上記分類手段は、気圧情報をNつのグループに分類するものであり、上記判定手段は、気圧情報の気圧値がK(0<K≦N)番目に低いグループは、標高がK番目に高い経路と対応すると判定することが望ましい。
【0009】
また、上記情報処理装置は、さらに、経路を複数のエリアに分割するエリア分割手段を備え、上記分類手段は、分類されたエリアごとに気圧情報を分類するものであってもよい。
【0010】
上記エリア分割手段は、経路をこれらの経路が交差して高低が入れ替わる地点で分割してエリアを形成するものであってもよい。また、上記エリア分割手段は、経路を所定の距離で分割してエリアを形成するものであってもよい。
【0011】
また、本発明に係る情報処理方法は、制御部を備える情報処理装置において実施される、位置情報を有する、標高の異なる複数の経路のうち、ユーザが通過した経路を判定する方法であって、ユーザが複数の経路のいずれか1つを移動した時に基づき所定期間を決定し、所定期間において、複数の経路上で複数のユーザから測定された気圧情報を、気圧値に基づいて複数のグループに分類するステップと、分類されたグループのうちの1つのグループの気圧値と他のグループの気圧値との相対的な関係と、複数の経路のうちの1つの経路の標高と他の経路の標高との相対的な関係とを比較して、複数のグループそれぞれと複数の経路それぞれとの対応関係を判定するステップと、ユーザについて複数の経路のいずれか1つを移動中に測定された気圧情報を取得するステップと、ユーザについて取得した気圧情報を気圧に基づいて、複数のグループのいずれかに分類するステップと、対応関係を参照し、分類したグループに対応する経路を、ユーザが移動した経路と判定するステップとを実行する。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、位置情報を有する、標高の異なる複数の経路のうち、ユーザが通過した経路を判定するプログラムであって、コンピュータに、ユーザが、複数の経路のいずれか1つを移動した時に基づき所定期間を決定し、所定期間において、複数の経路上で複数のユーザから測定された気圧情報を、気圧値に基づいて複数のグループに分類する手段と、分類されたグループのうちの1つのグループの気圧値と他のグループの気圧値との相対的な関係と、複数の経路のうちの1つの経路の標高と他の経路の標高との相対的な関係とを比較して、複数のグループそれぞれと複数の経路それぞれとの対応関係を判定する手段と、ユーザについて複数の経路のいずれか1つを移動中に測定された気圧情報を取得する取得手段と、ユーザについて取得した気圧情報を気圧値に基づいて、複数のグループのいずれかに分類する手段と、対応関係を参照し、分類したグループに対応する経路を、ユーザが移動した経路と判定する手段とを実現させる。
【0013】
また、本発明のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ等の各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワーク等を介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0014】
また、本明細書等において、「部」とは、単に物理的構成を意味するものではなく、その構成が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、2つ以上の構成の機能が1つの物理的構成により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の情報処理装置が、標高の異なる複数の経路のうち、ユーザが通過した経路を判定する情報処理装置であって、ユーザが、複数の経路のいずれか1つを移動した時に基づき所定期間を決定し、所定期間において、複数の経路上で複数のユーザから測定された気圧情報を、気圧値に基づいて複数のグループに分類するグループ分類手段と、分類されたグループのうちの1つのグループの気圧値と他のグループの気圧値との相対的な関係と、複数の経路のうちの1つの経路の標高と他の経路の標高との相対的な関係とを比較して、複数のグループそれぞれと複数の経路それぞれとの対応関係を判定する対応関係判定手段と、ユーザについて複数の経路のいずれか1つを移動中に測定された気圧情報を取得する取得手段と、ユーザについて取得した気圧情報を気圧値に基づいて、複数のグループのいずれかに分類するユーザ分類手段と、対応関係を参照し、分類したグループに対応する経路を、ユーザが移動した経路と判定する経路判定手段とを備えることによって、複数のユーザの気圧情報から、ユーザ同士の位置関係を相対的に判定することで、ユーザの立体的な位置を判別可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態における情報処理装置を含む通信システムのシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における情報処理装置のブロック図である。
【
図3(A)】本発明の第1の実施形態におけるユーザ情報テーブルを示す図である。
【
図3(B)】本発明の第1の実施形態におけるネットワーク情報テーブルを示す図である。
【
図3(C)】本発明の第1の実施形態における気圧情報テーブルを示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における処理フローを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施形態における判定対象経路を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態におけるグループを模式的に示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態における情報処理装置のブロック図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態における判定対象経路を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態における処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2の実施形態における判定対象経路を模式的に示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態におけるグループを模式的に示す図である。
【
図12】本発明のその他の実施形態におけるグループを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を
図1乃至
図6を用いて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置100を備える通信システムのシステム構成図を示している。
図1に示すように情報処理装置100は、インターネットや専用線等のネットワーク300に接続されたサーバ用コンピュータである。また、この情報処理装置100と同じく、ネットワーク300に有線または無線で接続された携帯端末200(携帯端末200A〜200Dを総称して、携帯端末200という)が、互いに通信可能に設定されることにより通信システムが構成される。
【0019】
まず、通信システムの概要について説明する。
通信システムは、ユーザから送信されてくる位置情報を活用したサービスを提供するシステムである。具体的には、この通信システムに含まれる情報処理装置100は、ユーザの位置情報を用いてユーザの移動経路を判定し、判定した結果である経路情報を、ユーザの携帯端末200上に表示される地図に出力する。情報処理装置100は、この移動経路を、平面的にだけでなく、たとえば一般道と高速道路などの複数の経路が上下に並行して走っている箇所(以下、判定対象区間という)などにおいて、ユーザが通過したのがどちらの経路であるのかを立体的に判定するために、携帯端末200から測定される気圧値を表すデータである気圧情報を利用する。
【0020】
携帯端末200は、現在位置を測位した位置情報および気圧情報を所定時間間隔で、またはユーザの入力に基づいてアップロードする機能を備えた、ユーザが持ち運び可能な可搬性の端末装置である。具体的には、たとえば、携帯電話やスマートフォン、ノートPC、PDA等が挙げられる。
図1には図示しないが、携帯端末200は、CPUおよびメモリ113を含む主制御部、ネットワーク300と接続するための通信部、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネル等の入力部、画面を表示する表示部、現在の位置情報を測位するGPS機能等の測位部、および現在の気圧情報を測位する圧力センサ等を備えている。なお、本実施形態において、ユーザは携帯端末200を用いて情報処理装置100にアクセスするものとして説明するが、ユーザが利用する端末は必ずしも可搬性を備える必要はなく、たとえば車載端末などであってもよい。
【0021】
図2を用いて情報処理装置100の各構成について説明する。
図2は、情報処理装置100のブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、制御部110と、入力部120と、記憶部130と、通信部140とを備えている。
【0022】
制御部110は、CPUやMPU等の演算処理部111、画像処理部112およびRAM等のメモリ113を備えている。演算処理部111は、各種入力に基づき、記憶部130に記録されたプログラムを実行することで、各種機能部を動作させる。このプログラムは、CD−ROM等の記憶媒体に記憶され、もしくはネットワーク300を介して配布され、コンピュータにインストールされるものであってもよい。メモリ113は、サーバ用プログラムおよびゲームプログラム、ならびに、これらのプログラムにおいて処理の実行中に、演算等に必要な各種データを、一時的に記憶するためのものである。
【0023】
画像処理部112は、ユーザの携帯端末200に送信する画像を生成するものである。画像処理部112は、携帯端末200に表示される地図およびその地図上に表示する移動経路に関する画像を作成するものであることが望ましい。これらの画像の作成には既存の技術を用いることが可能である。
【0024】
入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等のことを指し、情報処理装置100の管理者からの操作を受け付けるものである。
【0025】
記憶部130は、ハードディスク等の記憶装置によって構成され、制御部110における処理の実行に必要な各種プログラムや、各種プログラムの実行に必要なデータ等を記録しておくものである。具体的には、記憶部130は、ユーザ情報テーブル130A、ネットワーク情報テーブル130Bおよび気圧情報テーブル130C、を有していることが望ましい。
図3(A)は、ユーザ情報テーブル130Aを示す図、
図3(B)はネットワーク情報テーブル130Bを示す図である。また、
図3(C)は気圧情報テーブル130Cを示す図である。たとえば、ユーザ情報テーブル130Aには、
図3(A)に示すように、ユーザID、気圧情報ID、ユーザの位置情報、位置情報および気圧情報を取得した時間(取得時間)が対応付けられて格納されていることが望ましい。また、ネットワーク情報テーブル130Bには、道路に関する情報が経路単位で格納されていることが望ましい。
図3(B)に示すように、ネットワーク情報テーブル130Bには、経路IDと経路の範囲を示す位置情報、標高、後述する気圧のグループの識別子(グループID)および、各グループに分類される気圧情報が取得された期間(所定期間)が対応づけられて格納されているものとしてもよい。さらに、
図3(C)に示すように、気圧情報テーブル130Cには、気圧情報ID、気圧値、気圧のグループIDが対応付けられて格納されているものとしてもよい。
【0026】
図2に戻り、情報処理装置100の構成の続きを説明する。通信部140は、情報処理装置100をネットワーク300に接続するためのものである。たとえば、通信部140は、LANカード、アナログモデム、ISDNモデム等、および、これらをシステムバス等の伝送路を介して処理部と接続するためのインタフェースから構成されるものとしてもよい。
【0027】
さらに、
図2に示すように、演算処理部111は、機能部として、気圧情報取得部111Aと、分類部111Bと、経路判定部111Cと、出力部111Dとを有している。
【0028】
気圧情報取得部111Aは、ユーザから気圧情報を取得するものである。具体的には、気圧情報取得部111Aは、位置情報から判定対象区間周辺を通過したと判断されるユーザの気圧情報を取得し、この気圧情報のIDを、記憶部130のユーザ情報テーブル130Aに位置情報と、取得元のユーザIDと取得時間とを対応づけて記憶させ、気圧情報テーブル130Cにこの気圧情報IDと気圧値とを対応づけて記憶させる。気圧情報取得部111Aは、一定速度以上の速さで移動しているユーザから気圧情報を取得するものであることが望ましい。これにより、車で移動中のユーザからの気圧情報に取得対象を絞ることができる。つまり、判定対象区間周辺を徒歩で移動中のユーザを取得対象から除外することができるため、判定対象となる経路が車専用の道路である場合に、経路判定の精度を向上させることが可能となる。
【0029】
分類部111Bは、グループ分類機能と、対応関係決定機能を有している。グループ分類機能は、気圧情報テーブル130Cに記憶された気圧情報を複数のグループに分類する機能である。具体的には、ユーザ情報テーブル130Aを参照し、移動経路の判定対象となるユーザが判定対象区間周辺を通過した時刻に基づき所定期間を決定し、この所定期間に判定対象区間周辺を通過した複数のユーザの気圧情報を、気圧情報テーブル130Cから取得し、分類する機能をいう。たとえば、ユーザが、判定対象となる経路を2013年2月10日の午前9時頃に通過した場合、分類部111Bはグループ分類機能により、同日である2013年2月10日の午前8時から午前9時59分59秒までに判定対象区間周辺を通過した複数のユーザの気圧情報を分類するものとしてもよい。このときの分類対象とする期間は、たとえば、過去数年の同日同時刻のものとしたり、同じ年の同じ季節の同時刻のものとしたりしてもよい。
【0030】
また、たとえば、判定対象区間が2つの経路が上下に並行しているものである場合、分類部111Bは、気圧情報を気圧値の高低に基づいて2つのグループに分類し、また、5つの道路が並行する場合、5つのグループに分類する、というように、分類部111Bは、立体的に並行している経路数分のグループに気圧情報を分類することが望ましい。この分類には気圧値に基づいたクラスタリングの技術を用いることができる。
【0031】
分類部111Bは、判定対象区間周辺のユーザの気圧情報を分類対象としてもよいが、判定対象となる経路上を通過した複数のユーザから取得した気圧情報のみを分類対象とすることで、経路判定の精度を向上させることが可能となる。
【0032】
分類部111Bの対応関係決定機能は、各グループの気圧値の相対的な関係と、判定対象区間の各経路の標高の相対的な関係から、各グループと各経路とを対応づける機能である。たとえば、上述のように、5つの道路が並行する場合、標高が高い順に、気圧値が低いグループを対応づけ対応関係を決定する。このとき記憶部130のネットワーク情報テーブル130Bには所定期間に各経路に対応するグループが記憶されることが望ましい。
【0033】
経路判定部111Cは、経路判定の対象となるユーザから取得した気圧情報に基づいて、このユーザの気圧情報がどのグループに分類されるかを判定し、各グループと各経路との対応関係を参照して、経路判定の対象となるユーザの移動経路を判定するものである。
【0034】
出力部111Dは、判定した経路情報を出力するものである。このときの出力先は、携帯端末200であってもよいし、他のシステムであってもよい。
【0035】
次に、経路を判定する際の情報処理装置100の処理フローを、
図4を用いて説明する。このとき判定対象区間では、
図5に示すように標高が相対的に低い一般道501と標高が相対的に高い高速道路502との2つの経路が並行している。この例において、経路判定の対象となるユーザU1は、2013年3月4日の15時にこの判定対象区間を通過しているとする。なお、以下に説明する処理のフローに含まれる各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0036】
ユーザU1は携帯端末200Aを所持しており所定間隔で、またはユーザやアプリケーションからの入力によって、情報処理装置100に随時位置情報および気圧情報を送信している。演算処理部111は、送信されてくる位置情報によって、ユーザU1が判定対象経路を通過しているか否かを判定する(S101)。ユーザU1が判定対象経路を通過していると判断した場合(S101:YES)、分類部111Bは、位置情報を取得した時から所定期間を決定する(S102)。ここでは、所定期間を同日の13時〜15時として説明するが、所定期間は、システムの設計思想に基づいて、自由に設定することが可能である。
【0037】
分類部111Bは、所定期間である2013年3月4日の13時〜15時の間に、判定対象区間を通過した他のユーザの気圧情報を、ユーザ情報テーブル130Aから参照し、気圧値に基づいて、2つのグループに分類する(S103)。
図6は、クラスタリングによって、気圧情報を2つに分類した様子を模式的に示した図である。
図6のグループAは、気圧値が高いグループを、グループBは気圧値が低いグループを示している。記憶部130の気圧情報テーブル130Cには、この分類の結果に基づいて、各気圧情報が所属するグループのIDが記録される。
【0038】
次に、分類部111Bは、グループA、Bの気圧値の相対的な関係と、高速道路502と一般道路501の標高の相対的な関係を比較し、相対的に気圧値の低いグループと相対的に標高が高い経路とを対応づける。具体的には、分類部111Bは、グループBと高速道路502、グループAと一般道501を対応づけ対応関係を決定する(S104)。このとき、ネットワーク情報テーブルには、所定期間において各経路と対応関係を有するグループのIDが記憶される。
【0039】
対応関係が決定されると、経路判定部111Cは、気圧情報取得部111Aが取得した、ユーザU1の気圧情報が、グループAとグループBのどちらのグループに含まれるか、ユーザU1の気圧情報の気圧値に基づいて判定する(S105)。判定した結果、ユーザU1の気圧情報が、グループBに含まれると判断した場合は、ユーザU1は高速道路502を通過していると判断する(S106)。一方、ユーザU1の気圧情報がグループAに含まれると判断した場合は、判定対象ユーザは一般道501を通過していると判断する(S107)。
【0040】
この判断結果に基づき、出力部111Dは、ユーザU1の経路情報を携帯端末200Aに出力する(S108)。
【0041】
このように、本発明は、移動経路を判定する際に、複数のユーザから取得した気圧情報の相対的な関係を用いるため、たとえば気圧計で高度を判定する手法とは異なり、基準となる気圧を用いることなく、ユーザの移動経路を割り出すことができる。
【0042】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態を
図7乃至
図11を用いて説明する。
図7は、第2の実施形態における、情報処理装置100のブロック図である。
図7に示すように本実施形態では、演算処理部111は、さらにエリア分割部111Eを有していることが望ましい。
【0043】
エリア分割部111Eは、判定対象区間に含まれる経路を所定のエリアごとに分割するものをいう。エリア分割部111Eは、この経路が交差して高低が入れ替わる地点で分割してエリアを形成するものとしてもよいし、所定の距離で分割してエリアを形成するものとしてもよい。たとえば、
図8に示すように、判定対象区間において、各経路が立体的に交差し、標高が入れ替わるような場合には、エリア分割部111Eは、この標高が入れ替わる点でエリアを分割し、形成することが望ましい。これによって、たとえば、判定対象区間で各経路の標高が入れ替わる場合、エリアごとにユーザがどちらの経路を通過したのか判定することが可能となる。
【0044】
分割されたエリアの情報(緯度経度など)は、記憶部130のネットワーク情報テーブル130Bに格納される。このとき分類部111Bは、第2の実施形態では、エリア単位で気圧情報を分類するものであることが望ましい。分類部111Bが、分割されたエリア単位で気圧値を比較し、気圧情報を分類することで、経路とグループとの対応づけの精度を向上させることが可能となる。
【0045】
次に
図9を用いて、ユーザU1が
図10に示す経路を通過する際の本実施形態における情報処理装置100の処理のフローを説明する。
図10では、判定対象区間において、各経路の標高は入れ替わらないため、各経路は、所定の距離で、エリア601〜603の3つのエリアに分割されている。
図10に示すように判定対象区間には、相対的に最も標高が高い高速道路503と、相対的に中間の標高である高速道路502と、相対的に最も標高が低い一般道501との3つの経路が含まれている。3つの経路はそれぞれ傾斜している。高速道路503は、エリア602での標高が、高速道路502のエリア601での標高に相当し、エリア603では、高速道路502のエリア602での標高に相当している。また、高速道路502は、エリア602での標高が、一般道501のエリア601の標高に、エリア603での標高が、一般道501のエリア602での標高に相当している。
【0046】
経路判定の対象となるユーザU1は、2013年3月4日の15時にこの判定対象区間を通過しているとする。なお、以下に説明する処理のフローに含まれる各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0047】
演算処理部が、ユーザU1が、判定対象区間を通過したと判断する(S201:YES)と、分類部111Bは、所定期間を決定し(S202)、この所定期間内に判定対象経路上で取得した複数の他のユーザの気圧情報をエリア単位でクラスタリングし、3つのグループに分類する(S203)。
【0048】
図11は、分割されたエリアでの分類部111Bが気圧情報を分類する様子を模式的に示す図である。エリア601〜603はそれぞれ
図10のエリア601〜603に対応しておりグループC1〜C3、グループD1〜D3およびグループE1〜E2は分類部111Bによって、気圧値に基づいてクラスタリングされた気圧情報の3つのグループである。
【0049】
この場合、分類部111Bは、気圧値が相対的に最も低いグループE1〜E3は相対的に最も高い標高を有する高速道路503と、気圧値が相対的に中間のグループD1〜D3は相対的に中間の標高を有する高速道路502と、気圧値が相対的に最も高いグループC1〜C3は相対的に最も低い標高を有する一般道501と対応関係を有していると判定する(S204)。このように、分類部111Bが分割されたエリアごとに、各グループの気圧値の相対的な関係と、各経路の標高の相対的な関係とを比較することで、各経路の標高が一定でない場合であっても、グループと経路との対応関係を決定することができる。
【0050】
次に、経路判定部111Cは、ユーザU1の気圧情報がどのグループに最も多く含まれるか判定する(S205)。
図11において、気圧情報U11、U12、U13は、ユーザU1から取得した気圧情報を示している。
図11に示すように、気圧情報U11はグループC1に、気圧情報U12はグループD2に、気圧情報U13はグループC3に含まれている。判定対象区間の3つの経路は、高低が入れ替わらないものであるため、このズレは、気圧情報の誤差によるものだと考えられる。このように携帯端末200が備える圧力センサの精度によっては、取得した気圧情報の気圧値に誤差が生じ、正確に分類できない場合がある。このような場合には、経路判定部111Cは、ユーザU1から取得した気圧情報が分類された回数が多い方の経路を取得したものと推測する。たとえば、ユーザU1から取得した気圧情報がグループCに最も多く含まれる場合は、一般道501を通過したと判断する(S206)。また、グループDの場合は、高速道路502を通過したと判定し(S207)、グループEの場合は、高速道路503を通過したと判定する(S208)。
図11の例では、高速道路503と対応するグループCにより多く含まれているため、経路判定部111Cは、ユーザU1は、一般道501を通過したと判定する。経路判定部111Cが判定した経路に基づいて出力部111Dが経路情報をユーザU1の携帯端末200Aに出力する(S209)。
【0051】
その他の構成、機能は第1の実施形態と同様である。
【0052】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0053】
たとえば、既述の実施形態において、分類部111Bは、ユーザの気圧情報を1つの点としてクラスタリングをし、分類を行う構成となっている。しかし、これに限定されるものではなく、たとえば、ユーザごとに気圧情報の推移を線としてクラスタリングを行うものとしてもよい。
図12は、ユーザU1、U2、U3から取得した気圧情報を表した図である。縦軸は気圧値を、横軸は測位した経路上の位置を表している。
図12に示すように、各ユーザの気圧情報は線で結ばれ、折れ線として表されている。このとき分類部111Bは、各ユーザの折れ線を表す傾き等のパラメータに基づいてクラスタリングすることが望ましい。これによって、各経路に沿って気圧情報がセットとして分類されるので、対応関係を決定する際の精度を向上させることが可能となる。さらに、分類部111Bは気圧情報を分類する対象を、経路判定の対象となるユーザと同一方向に移動中のユーザの気圧情報に限定する構成とすることも可能である。
【0054】
また、判定対象となるのは道路だけでなく、たとえば、歩行者が地上にいるか地下街にいるかを判定することも可能である。