(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パウダーファンデーションや白粉の様な粉体化粧料においては、塗布時の伸び拡がりや滑らかさ、肌への付着性、密着性といった使用感が良いこと、カバー力や色調といった化粧効果に優れ、肌が綺麗に見えること、更には経時で汗や皮脂による膜抜けや色沈みがないといった化粧持ちに優れたことが従来より求められ続けている。そこで、これらを具現化するために下記のような技術が用いられている。
(1)、吸水性や吸油性を有する無水ケイ酸や様々な有機樹脂粉末を配合することによって汗や皮脂を吸収して化粧膜の持続性を高める技術は広く一般的に用いられている。また、これらの粉体形状として球状のものを多用することが上記使用感の実現において効果的であることも一般的である。
吸水性物質としてデンプンを配合する技術としてはエタノールのような低級アルコールを配合した乳液状化粧料に配合して清涼感を向上する技術(例えば、特許文献1参照)がある。
また、化粧持ち向上技術に関しては他に様々な方法が提案されており、(2)、フッ素系の化合物等で粉体を処理した撥水撥油性を有する粉体を配合した化粧料の提案がある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、(3)、親水性の有機粉末であるデンプンと疎水化した変性デンプンを組み合わせて毛穴や小皺等の肌の凹凸を隠蔽した自然な化粧膜と良好な使用感を具現化する技術(例えば、特許文献3参照)、(4)、疎水化した変性デンプンとシリコーン樹脂粉末を組み合わせて肌への密着性向上と良好な使用感を具現化する技術(例えば、特許文献4参照)等がある。
更にまた、変性デンプンとしてはアクリル酸とグラフト重合して保湿用パウダーとして化粧料に配合する例や、吸収剤として使用している例(例えば、特許文献5、6参照)が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(a)のリン酸変性デンプンは、デンプン分子の水酸基にリン酸基がエステル結合している化合物であり、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されないが、デンプン分子間のいくつかの水酸基がリン酸で架橋されているものが、デンプンの膨潤が抑制されるため好ましい。
また、デンプンは変性デンプンを用いることができ、例えば、ヒドロキシアルキル変性デンプンやアシル化変性デンプン等を用いることができる。
【0010】
成分(a)のリン酸変性デンプンに用いられるデンプンの由来は特に限定されないが、例えば、小麦デンプン、とうもろこしデンプン、コメデンプン、サゴデンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン等の植物由来のものが好ましい。
中でもデンプンのアミロペクチン含量が少なくとも約70質量%(以下単に「%」で示す。)であることが好ましく、85%以上であれば更に好ましく、約90%以上であれば特に好ましく、由来は、とうもろこしデンプンが好ましい。
【0011】
成分(a)のリン酸変性デンプンのリン酸基とエステル結合させるリン酸は、オルトリン酸、オルトリン酸カリウム、オルトリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等によりエステル化することができ、更に、架橋する場合は二官能化合物を用いることができ、例えば、オキシ塩化リン、トリメタリン酸ナトリウム、五酸化リン等をあげることができる。
また、デンプンのリン酸化の形態やリン酸化率は、特に限定されず、例えば、モノデンプンリン酸、ジデンプンリン酸、トリデンプンリン酸等が例示でき、デンプン、アシル化変性デンプン、ヒドロキシアルキル変性デンプン等のデンプン誘導体あたりのリン酸化率は、1%以下であることが効果を向上させる点において好ましい
【0012】
更に、本発明の成分(a)のリン酸変性デンプンに使用されるデンプンは、変性デンプンを用いることができる。
例えば炭素数2〜5のヒドロキシアルキル変性デンプンが挙げられる。2個ないし5個の炭素原子を有するアルキル基を介してデンプンの骨格に結合するヒドロキシ基が形成されることによって、デンプンの親水性−親油性の好適なバランスを得ることができるため好ましい。デンプンの水酸基に対するヒドロキシアルキルの置換位置は特に限定されず、ヒドロキシアルキル化の置換の度合は、およそ0.08ないし0.3であることが好ましい。置換の度合とは、アンヒドログルコース一単位当りの、デンプン分子の水酸基の平均置換数である。天然デンプンのヒドロキシアルキル化は、天然デンプンを、炭素原子を適切な数だけ有するアルケン酸化物と反応させることによって得ることができる。デンプンをエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと反応させて得られるヒドロキシエチル変性デンプンやヒドロキシプロピル変性デンプンを用いることもでき、ヒドロキシプロピル変性デンプンは特に好ましい。
また、他の変性デンプンの例としては炭素数2〜18のアシル化変性デンプンが挙げられる。アシル化は、例えば一般式(R−C(O))
2Oで表される酸無水物との反応によって得ることができる。ただし、上式でRはメチルまたはエチルなどのアルキル基である。すなわち、無水コハク酸または無水マレイン酸またはそれらのアルキル化誘導体との反応によって得ることができる。
【0013】
本発明の成分(a)のリン酸変性デンプンは、ヒドロキシアルキル変性デンプンとデンプン、又はヒドロキシアルキル変性デンプン同士を、アシル化変性デンプンとデンプン、アシル化変性デンプン同士を、ヒドロキシアルキル変性デンプンとアシル化変性デンプン、ヒドロキシアルキル変性デンプンとアシル化変性デンプンとデンプンとを、リン酸架橋して得られるものが、膨潤を抑え、効果を向上させる点で好ましい。また、これらの一種又は二種以上を用いることができ、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、アセチル化デンプンリン酸等をあげることができる。
例えば市販品としては、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸である、AkzoNobel株式会社製のSTRUCTURE(登録商標) XLなどが挙げられる。
【0014】
本発明に用いられる成分(a)の含有量は、肌への付着性や密着感、使用感や化粧もちの点において、0.05〜15%が好ましく、更に0.1〜10%が好ましく、特に0.5〜7%が好ましい。
また、リン酸変性デンプンは粉体化粧料中にそのまま含有する他、精製水やエタノールもしくはその混合物といった水系溶媒中に分散・膨潤後、各種粉体と混合し、過熱や減圧等の手段によって溶媒を除去し、粉体の表面処理剤として使用しても構わない。
【0015】
本発明における(b)撥水性を有する粉体は、粉体表面が撥水性を示すものであればよく、それ自体が撥水性である粉体、親水性粉体の表面を通常公知の疎水化剤により処理し、表面を撥水性にした粉体、撥水性をより高めるために撥水性を有する粉体を更に疎水化剤により処理した粉体等が挙げられる。
本発明においては、粉体が撥水性を有するか否かは、粉末を25℃の水に分散することにより判断され、デスパーを用いて1000rpmで5分間撹拌した場合、沈降したり分散したりせず、水に浮いているものを撥水性を有する粉体とした。
【0016】
このうち、それ自体が撥水性である撥水性を有する粉体としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。例えば、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、オルガノポリシロキサンエラストマー、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレン等の有機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。尚、これら撥水性を有する粉体は、必要に応じて、下記撥水化処理する処理剤により撥水化処理して用いても良い。
【0017】
撥水化処理を施される粉体としては通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。具体的には、無機粉体としては酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダー、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等が挙げられる。有機粉体としては、結晶セルロース、N−アシルリジン等が挙げられ、また色材としては有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等が挙げられる。これらはその使用目的に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
【0018】
成分(b)における、前記粉体を撥水化処理する処理剤(疎水化剤)としては、例えば、種々のトリアルキルシリル化剤、トリアルコキシアルキルシリル化剤、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高粘度シリコーン、架橋型シリコーン、フッ素変性シリコーン、アクリルーシリコーングラフト共重合体、シリコーン樹脂等のシリコーン化合物、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等の界面活性剤、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、ポリイソブチレン、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール等の油剤、N−アシルアミノ酸等のアミノ酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸及びこの塩、パーフルオロポリエーテル、フルオロアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸及びこの塩、パーフルオロアルキルシラン等のフッ素化合物、ポリビニルピロリドン−ヘキサデセンのコポリマー等のポリビニルピロリドン変性ポリマー化合物等が挙げられる。
この中でも、シリコーン化合物やフッ素化合物で処理されているものが、化粧持ちの点で好ましい。
更に、肌への付着性・密着性、化粧持ちの点においてシリコーン化合物で処理されているものが好ましい。
シリコーン化合物としては、具体的には、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で表すと、ジメチコン、メチコン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、トリエトキシカプリリルシランが挙げられ、これらの一種又は二種以上用いることができる。
これらの表面処理は、単独または二種以上を組合せてもよく、複合化した処理でもかまわない。またこれらの処理粉体を一種又は二種以上用いることができる。
【0019】
成分(b)において、前記処理剤を前記粉体に処理する方法は通常公知の方法が用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、溶媒を用いた湿式法、気相中で処理する乾式法等を用いることができる。例えば、処理剤と、イソプロピルアルコール等の揮発性有機溶媒の混合溶液を体質粉末に添加し、ヘンシェルミキサー等の混合機で均一に攪拌し、加熱工程で溶媒除去することにより得ることができる。
また、成分(b)における前記処理剤と前記粉体との処理比は、特に限定されないが、肌への付着性・密着性、化粧持ちの点において質量比として、0.05〜30:99.95〜70が好ましく、更に、0.1〜20:99.9〜80が好ましい。
【0020】
また、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体処理においては、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粉体を混練するチップ化処理を施すこともできる。チップ化処理を施すことでより粉体の表面活性抑制効果や分散性が更に向上する。チップ化処理には、特開平06−009332号公報に記載の方法で行うことができるが、例えば、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中と粉体を混合して加熱下、高剪断力条件下で混練する方法、より好ましくは、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を揮発性溶剤に溶解したものに粉体を混合し、加熱下、高剪断力条件下で混練し、揮発性溶剤を揮散する方法がある。高剪断力条件下での混練は、例えばロールミル等を用いて混練することができる。チップ化処理の場合のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体と粉体との処理比は特に限定されないが、肌への付着性・密着性、化粧持ちの点において、質量比として、5〜70:30〜95が好ましく、更に10〜50:50〜90が好ましい。
【0021】
成分(b)撥水性を有する粉体は、その一種又は二種以上用いることができ、本発明の粉体化粧料中の含有量は特に限定されないが、肌への付着性・密着性、化粧持ちの点において、5〜99.9%が好ましく、更に、7〜99%が好ましく、特に10〜99%が好ましい。
【0022】
本発明の粉体化粧料には、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、成分(a)及び成分(b)以外の撥水性を有さない粉体成分、油剤、油ゲル化剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子やアルコール、多価アルコール等の水性成分、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有することができる。
【0023】
例えば、油性成分としては、通常化粧料に使用される原料であれば特に限定されず、用いることができる。例えば、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、高級アルコール類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の動植物油類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ、モクロウ等のロウ類、モンタンワックス、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン系油等、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。これらの油剤は必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
【0024】
界面活性剤としては、分散剤、乳化助剤、感触調整剤等の目的で用いられるものであり、具体的にはグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0025】
油ゲル化剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0026】
有機紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;2−{4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル}安息香酸ヘキシル、パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパン−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(別名;オクチルトリアゾン)、2,4−ビス[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン、2−2‘−メチレンビス{6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)フェノール}、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸等があげられ、更に、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げら、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0027】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられ、水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で各種粉体の表面処理剤として用いることも可能である。
【0028】
本発明の粉体化粧料は、成分(a)及び成分(b)の粉体を混合し、必要に応じて他の成分、例えば紫外線吸収剤を含む油性成分等を添加混合して調製することができる。また、必要に応じて粉砕、整粒、分級等の工程を経て、ルースパウダーとして容器に充填したり、プレスや溶剤混合後溶剤を除去する等の一般的な製法によって成型加工することができる。
本発明の粉体化粧料は固形粉末状、ルース状、ペースト状、クリーム状等、種々の形態にて実施することができるが、好ましい形態としては固形粉末状、ルース状が挙げられる。また、本発明の粉体化粧料は、ファンデーション、白粉、頬紅、コンシーラー、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ等の製品にて実施することができ、特にファンデーション、白粉等の全顔に使用するものが好ましい。
【0029】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0030】
実施例1〜4及び比較例1〜4
表1に示す組成の粉体化粧料を下記製造方法により調製し、半透明テープに塗布し、塗布直後と流水中で暴露した後の膜残存率、更にはそれを塗擦した後の膜残存率を比較し、耐汗性の指標とし、結果を併せて表1に示した。
【表1】
【0031】
*1:STRUCTURE XL(AkzoNobel社製)
*2:サンフレッシュ ST−500MPSC(三洋化成工業社製)
*3:SA−チタンCR−50(三好化成株式会社製)
*4:SA-タルク ハイフィラーK−5(三好化成株式会社製)
*5:TIPAQUE CR−50(石原産業株式会社製)
*6:ハイフィラー K−5(松村産業株式会社製)
*7:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸/シリコーン処理酸化チタン
(製造方法)ヒドロキシプロピルデンプンリン酸(*1) 1部を、精製水 100部及びエタノール 10部にディスパーミキサーを用いて分散する。これに、酸化チタン(*5) 20部を加えて均一分散後、乾燥機にて溶媒を除去する。これを砕いた後、粉砕処理を2回実施し、表面処理酸化チタンを得た。
【0032】
(製造方法):実施例1〜4及び比較例1〜4
成分(1)〜(7)を混合後、粉砕する。
【0033】
〔評価方法1:膜の持続性〕
各試料1gを半透明シート(3M社製)上に、指で均一に塗布し、3cm×3cmの大きさにし、色差計(日本電色株式会社製SE-2000)を用いて測色した。
前記シートに塗布した試料を、流水下にて5分間暴露し、乾燥後再び測色をした。
再度、流水下に暴露しながら指で軽く表面を3回なぞり(塗擦)、乾燥後に同様に側色した。
膜の残存率は下記の式に従い、塗擦後の残存率を以下の判定基準に従って判定した。
流水暴露後の膜残存率(%)=流水後の測色値(L値)/最初の測色値(L値) × 100
塗擦後の膜残存率(%)=塗擦後の測色値(L値)/最初の測色値(L値) × 100
評価基準:
[残存率 ] :[判定]
90%以上 :◎
89〜90%未満 :〇
88〜89%未満 :△
89%未満 :×
【0034】
〔評価方法2:官能評価〕
化粧料評価専門パネル10名に、表1記載の実施例及び比較例の粉体化粧料を使用してもらい、「伸び広がりの良さ」、「化粧膜の均一性」、「肌への付着性・密着感の有無」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し粉体化粧料毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 :5点
良好 :4点
普通 :3点
やや不良 :2点
不良 :1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 :◎
3.5以上〜4.5未満:〇
1.5以上〜3.5未満:△
1.5未満 :×
【0035】
表1より明らかなように、本発明の実施例1〜4の粉体化粧料は、「膜の持続性」、「伸び広がりの良さ」、「化粧膜の均一性」、「肌への付着性・密着感」の全て項目において優れたものであった。
これに対して成分(b)の撥水性を有する粉体のかわりに未処理の粉体を含有した比較例1は、肌への付着性は評価が高かったものの「膜の持続性」、「伸び広がりの良さ」、「化粧膜の均一性」においては劣り、特に「伸び広がりの良さ」については顕著に劣っていた。未処理の酸化チタンの肌への付着性が強すぎるために伸び広がりや均一性にも劣るものであった。
また、成分(a)のリン酸変性デンプンのかわりに同様の吸水効果を有するアクリル酸誘導体を含有した比較例2は塗布時にざらつき感があり使用感に劣るものであり、膜の均一性、付着性・密着感、更には膜の持続性にも劣るものであった。更に、成分(b)の撥水化粉体を含有しなかった比較例3は、未処理の酸化チタンの肌への付着性は向上するものの、伸び広がりが悪く化粧膜の均一性は劣るものとなった。
そして、成分(a)のリン酸変性デンプンを含有しない比較例4については、使用感や均一性は良好であったが、肌への付着性・密着感には劣り、持続効果は顕著に劣るものであった。
【0036】
実施例5:パウダーファンデーション
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.フルオロエトキシシラン3%処理セリサイト 20
3.フッ素金雲母 30
4.トリエトキシカプリリルシラン5%処理
酸化チタン 10
5.酸化チタン・酸化鉄焼結物 3
6.酸化亜鉛 2
7.板状硫酸バリウム 5
8.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー *8 3
9.ナイロン粉末 2
10.ベンガラ 0.3
11.黄酸化鉄 1
12.黒酸化鉄 0.2
13.二酸化ケイ素・ベンガラ処理アルミニウム 2
14.ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 *1 5
15.メチルフェニルポリシロキサン *9 3
16.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 3
17.重質流動イソパラフィン 2
18.コハク酸ジオクチル 2
*8:KSP−100(信越化学工業社製)
*9:シリコンKF−54(信越化学工業社製)
【0037】
(製造方法)
A:成分1〜14を混合分散する。
B:Aに、60℃で加温した成分15〜18を添加し、混合分散する。
C:Bを金皿にプレス成型し固型粉末状パウダーファンデーションを得た。
本発明の実施品である実施例5のパウダーファンデーションは、「膜の持続性」、「使用時の伸び、広がりのよさ」「化粧膜の均一性と綺麗さ」、「肌への付着性・密着感」の全ての項目に優れた化粧料であった。尚、膜の持続性については、化粧料塗布後6時間通常の生活をしてもらい、化粧効果が持続しているかどうかを評価した。
【0038】
実施例6:フェイスパウダー
(成分) (%)
1.タルク 残量
2.ラウリン酸亜鉛7%処理セリサイト 10
3.フッ素金雲母 50
4.ジメチコン2%処理フッ素金雲母鉄 10
5.酸化亜鉛 2
6.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン
/シルセスキオキサン)クロスポリマー 5
7.ヒドロキシプロピルデンプンリン酸 *1 3
8.無水ケイ酸(球状5μ) 2
9.赤色226号 0.3
10.ジメチコン/ハイドロゲンジメチコン4%処理
ベンガラ被覆雲母チタン 5
11.酸化チタン被覆ガラス末 5
12.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.3
13.パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル 3
14.ペンタフェニルトリメチルトリシロキサン 3
15.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)
クロスポリマー 0.5
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
【0039】
(製造方法)
A:成分1〜11を混合分散する。
B:Aに、均一混合した成分12〜16を添加し、混合分散する。
C:Bを容器に充填しし粉末状フェイスパウダーを得た。
本発明の実施品である実施例6のパウダーファンデーションは、「膜の持続性」、「使用時の伸び、広がりのよさ」「化粧膜の均一性と綺麗さ」、「肌への付着性・密着感」の全ての項目に優れた化粧料であった。尚、「膜の持続性」は実施例3と同様に評価した。
【0040】
実施例7:アイカラー
(成分) (%)
1.ヒドロキシプロピルデンプンリン酸被覆
酸化チタン *7 2
2.フッ素四ケイ素雲母 残量
3.球状ポリメタクリル酸メチル粉末 5
4.無水ケイ酸(球状2μ) 2
5.(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸
トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)
コポリマー10%処理黄酸化鉄 1.5
6.群青 1.5
7.黒酸化鉄 0.2
8.雲母チタン 15
9.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
10.ペンタフェニルトリメチルトリシロキサン 10
11.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 3
12.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
13.ジメチルポリシロキサン 3
14.セレシンワックス 4
15.ポリエチレンワックス 5
16.マイクロクリスタリンワックス 3
【0041】
(製造方法)
A:成分10〜16を85℃に加熱し混合溶解する。
B:Aに、成分1〜9を添加し、均一分散する。
C:Bを再度85℃に加熱し、金皿に充填成形し、アイカラーを得た。
【0042】
本発明の実施品である実施例7のアイカラーは、「膜の持続性」、「使用時の伸び、広がりのよさ」「化粧膜の均一性と綺麗さ」、「肌への付着性・密着感」、「経時での化粧効果の持続」の全ての項目に優れた化粧料であった。尚、「膜の持続性」は実施例5と同様に評価した。