特許第6140515号(P6140515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140515
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】容器用包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20170522BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20170522BHJP
   B65D 5/52 20060101ALN20170522BHJP
【FI】
   B65D5/50 C
   B65D5/54 301Z
   !B65D5/52 L
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-91946(P2013-91946)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-213882(P2014-213882A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(73)【特許権者】
【識別番号】000202154
【氏名又は名称】相互印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 恵
(72)【発明者】
【氏名】高橋 映司
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−002521(JP,A)
【文献】 特開平10−077027(JP,A)
【文献】 特表2003−506266(JP,A)
【文献】 実開昭54−058334(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のシート状の素材より箱体に形成された容器用包装箱であって、周壁には蓋部が連設され、該蓋部の先端には蓋部側から順次折り曲げ可能に連設された第一片部、第二片部、第三片部からなる抑え部材が延設され、該第三片部は前記蓋部が連設された周壁の裏側に固定され、前記蓋部を閉じたときに前記第二片部が前記蓋部との間に空間を有する箱内天井を形成し、さらに、前記第二片部には包装箱内に収納される製品容器の上部を嵌挿可能な開口を形成する一組の開閉部が設けられ、該一組の開閉部は、互いの先端部が破断可能に連設されるとともに該易破断部を破断することにより開閉可能に形成され、該易破断部は前記第二片部の左右いずれかの端部より垂直方向に延伸して形成されていることを特徴とする容器用包装箱。
【請求項2】
前記易破断部の両側には一対の折線が並行して形成され、該易破断部と該折線の先端を結ぶように切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器用包装箱。
【請求項3】
前記易破断部は前記第二片部の中央よりもやや前記第一片部寄りに形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器用包装箱。
【請求項4】
前記一組の開閉部の一方の基端部が、前記第二片部と前記第一片部の連設部である折線であることを特徴とする請求項1に記載の容器用包装箱。
【請求項5】
前記易破断部は前記第二片部の左右いずれかの端部より垂直方向に形成され、該易破断部と並行して前記第三片部側に1本の折線が形成され、該易破断部と該折線の先端を結ぶように切り込みが形成されるとともに、易破断部から第二片部と第一片部との連設部である折線まで達する2本の切り込み線が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の容器用包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品等の製品を収納する容器用包装箱に関し、更に詳細には、1枚のシート素材より一体的に成形することができ、それぞれ異なる高さや形状を有する複数の容器を安定的に収納可能な容器用包装箱の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種類の異なる化粧料や食品等の製品を複数組み合わせたものを、いわゆるお試しセットやトラベラーズセット、ギフトセット等として提供することが一般的に行われているが、種類の異なる製品は、それぞれの種類や目的・用途の違いにより、当然ながらその性質(液状・クリーム状・ジェル状・固形状等)や内容量も異なり、したがって、容器の寸法・形状もまちまちであることが多い。
【0003】
一般的には、このように寸法・形状の異なる複数の容器をひとつの包装箱に収納する場合、包装箱内で製品容器がガタつかないように、緩衝材を隙間に詰めたり、あるいは、容器を押さえるための専用の固定部材を別途設けたりしていた。しかしながら、かかる容器の場合、緩衝材や固定部材の分だけコスト高となるうえ、廃棄する際のゴミが増えるなどの問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、包装箱の開口に折り込まれる折込片を有し、該折込片には商品の押さえをなす商品固定部が形成された商品包装箱が開示されている。また、特許文献2には、包装箱内へ互いに異なる高さに凸出して容器の上部に接する少なくとも2つの凸出面を備えた容器用包装箱が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの包装箱の場合、予め収納される容器の寸法・形状に合わせて包装箱が形成されており、収納される予定の製品とは異なる寸法・形状のものを収納しようとした場合、容器の高さと容器上部の形状の違いによっては包装箱との間に隙間が生じたり、あるいは寸法的に収納できず、汎用性に欠けるという課題を有していた。
【0006】
【特許文献1】特開平9−328119
【特許文献2】特開2009−62079
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、従来の容器用包装箱のかかる欠点を克服し、蓋板の閉止時に、容器の高さや上部形状に合わせて容器の上部を嵌挿可能な開口を形成する抑え部材を備えることにより、寸法・形状が異なる複数の容器を安定的に収納可能な容器用包装箱の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、1枚のシート状の素材より箱体に形成された容器用包装箱であって、周壁には蓋部が連設され、該蓋部の先端には蓋部側から順次折り曲げ可能に連設された第一片部、第二片部、第三片部からなる抑え部材が延設され、該第三片部は前記蓋部が連設された周壁の裏側に固定され、前記蓋部を閉じたときに前記第二片部が前記蓋部との間に空間を有する箱内天井を形成し、さらに、前記第二片部には包装箱内に収納される製品容器の上部を嵌挿可能な開口を形成する一組の開閉部が設けられている容器用包装箱である。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる容器用包装箱は、蓋部を閉じたときに蓋部との間に空間を有する箱内天井を形成する抑え部材を備え、該抑え部材に製品容器の上部を嵌挿可能な開口を形成する一組の開閉部が設けられていることにより、高さや上部形状が異なる容器を確実に固定・保持することができ、物流段階での物品の振動やガタツキ等を防止することができる。
【0010】
このように、異なる形状・寸法の容器を同一の包装箱にて包装することができるため、店頭では単一の包装箱を用意しておけばよく、また、商品を梱包する店員は同じ動作で簡易に包装作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る容器用包装箱の展開図。
図2】(a)本発明に係る容器用包装箱の蓋部を開いた状態での一部拡大断面図、(b)本発明に係る容器用包装箱の蓋部を閉じる途中の状態での一部拡大断面図、(c)本発明に係る容器用包装箱の蓋部を閉じた状態での一部拡大断面図
図3】本発明に係る容器用包装箱で異なる実施態様の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の容器用包装箱の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0013】
図1は本発明の容器用包装箱の展開図である。本発明の容器用包装箱は、1枚のシート状の素材より箱体に形成され、周壁のひとつを構成する前板1の上部には内蓋11が折線101で折り曲げ可能に連接され、また、内蓋11の先端には抑え部材13が折線111で折り曲げ可能に連接されている。
【0014】
抑え部材13は、内蓋11側から順次折り曲げ可能に連接された第一片部13a、第二片部13b、および第三片部13cにより構成され、内蓋11を閉じた状態では、第二片部13bが内蓋部11との間に空間を有する箱内天井を形成する。かかる第二片部13bには、互いの先端部が破断可能に連設された一組の開閉部13dが形成されている。これら一組の開閉部13dは、易破断部135を破断することにより開閉可能になり、包装箱内に収納される製品容器の上部を嵌挿可能な開口を第二片部13bに形成する。
【0015】
具体的には、第二片部13bの左右いずれかの端部より垂直方向に延伸する1本の易破断部135が形成され、易破断部135と並行してその両側に一対の折線133が形成され、かかる易破断部134と折線133の先端を結ぶように切り込み線134が形成されている。こうして、折線133を基端部、易破断部135を先端部、切り込み線134および第二片部13bの左右いずれかの端部を側端部とする一対の開閉部13dが形成される。なお、本実施態様の開閉部13dは第二片部13bの長手方向に幅広に形成されており、幅広で且つ薄いチューブ容器の上部(シール側)を嵌挿するのに好適な開口を形成する。
【0016】
易破断部135は、切り込み線に対し部分的に連接部を設けることにより、押圧で容易に破断できるように形成されている。そして、易破断部135が破断することにより、開閉部13dの先端部が自由端となり、基端部の折線133を軸にして観音開きのように開閉可能となる。なお、本実施態様では、易破断部135は第二片部13bの中央よりもやや第一片部13a寄りに形成されている。このように第一片部13a寄りに形成することで、製品容器を収納したときに容器を前板1寄りに保持し、窓部103を通して製品のラベル等がよりよく視認できるため好ましい。
【0017】
図2(a)〜(c)は、本発明の容器用包装箱の蓋部を開いた状態から閉じる状態までを表した、包装箱上部の拡大断面図である。図2(a)では、内蓋11および外蓋21はともに開いた状態となっており、かかる状態で、抑え部材13は折線111から折り返されており、その一部が包装箱の開口内へ挿入された状態となっている。そして、この状態で抑え部材13の第三片部13cが前板1の裏側に接着固定されている。なお、第三片部13cは前板1の当該部分に固定されればその固定方法は接着には限定されず、その他の固定方法でも良い。
【0018】
図2(b)は、本発明の容器用包装箱の内蓋11を閉じる途中の状態を表す断面図である。図に示すように、第三片部13cが前板1の裏側に固定されているため、内蓋11を開口側に倒していくと、折線131で第一片部13aと第二片部13bの連設部分が山折りされ、内蓋11と第二片部13bとの間に空間を形成する。
【0019】
図2(c)は、本発明の容器用包装箱の内蓋11を完全に閉じた状態を表す断面図である。なお、この図では、製品容器が包装箱内に収納された状態を表している。図に示すように、内蓋11を完全な閉状態にすると、第一片部13aは後板2の裏側に接し、第二片部13bは内蓋11との間に空間を有する箱内天井を形成する。そして、収納された容器上部(図の場合、チューブ容器のシール部側を上部とする)の先端は、第二片部13bよりも上方に位置するため、内蓋11を閉じる途中で容器上部の先端が易破断部135付近に当接し、そのまま内蓋11の閉作業を継続することで易破断部135を押圧する。これにより、易破断部135は破断され、一対の開閉部13dは開閉可能となるため、さらに内蓋11を閉じることにより容器上部が開閉部13dを押し開いて挿入される。このとき、開閉部13dには元の位置に戻ろうとする復元力が働くため、第二片部13bにより容器上部が挟持される形になる。これにより、容器上部は安定的に保持される。
【0020】
なお、チューブ容器と並んで、開閉部13dが形成されていない部分には、チューブ容器よりも高さが低く、且つ、第二片部13bで形成される箱内天井よりも高さが低いその他の製品容器を収納することができる。そして、完全に蓋部を閉状態にするには、内蓋11を閉めた後、左右のフラップ31、41を閉じて、その上から外蓋21を閉じ、外蓋21の先端に突設された係止片211を折線101に沿って形成された切り込み102内に差し込んで係止すればよい。
【0021】
図3は、本発明の容器用包装箱の異なる態様である。本実施態様では、第二片部13bに設けられた一組の開閉部13e、13fは、互いに異なる寸法に形成されている。具体的には、第二片部13bの左右一方の端部より垂直方向に延伸する1本の易破断部135が形成され、易破断部135と並行して第三片部13c側に1本の折線133が形成され、易破断部135と折線133の先端を結ぶように切り込み線134が形成されるとともに、易破断部135から折線131まで達する2本の切り込み線136が形成されている。これらの折線133、切り込み線134、易破断部135、および切り込み線136により、一組の開閉部13eおよび開閉部13fが形成されている。
【0022】
かかる開閉部13eは、折線133を軸に回動可能であるのに対し、開閉部13fは折線131を軸に回動するため、先の実施態様のものより第二片部13bの短手方向に間口の広い開口を形成することができる。このため、本実施態様のものは、上部にキャップ部を有するボトル容器等、上部が円柱形のものを嵌挿するのに好適である。
【0023】
本発明の容器用包装箱は、一組の第二片部13bにより容器上部が挟持されることで製品容器が包装箱内で振動したり、ガタついたりすることを防ぐことができるが、さらに、包装箱内に容器下部を保持可能な部材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 … … 前板
2 … … 後板
3 … … 側板
4 … … 側板
11 … … 内蓋
12 … … 底板
13 … … 抑え部材
13a … … 第一片部
13b … … 第二片部
13c … … 第三片部
13d … … 開閉部
13e … … 開閉部
13f … … 開閉部
21 … … 外蓋
22 … … 底板
23 … … 接着部
31 … … フラップ
32 … … フラップ
41 … … フラップ
42 … … フラップ
101 … … 折線
102 … … 切り込み
103 … … 窓部
111 … … 折線
112 … … 穴部
131 … … 折線
132 … … 折線
133 … … 折線
134 … … 切り込み
135 … … 易破断部
136 … … 切り込み
201 … … 窓部
211 … … 係止片

図1
図2
図3