特許第6140535号(P6140535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140535
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】デスクの配線受け装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20170522BHJP
   A47B 21/06 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   A47B13/00 B
   A47B21/06
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-116538(P2013-116538)
(22)【出願日】2013年6月1日
(65)【公開番号】特開2014-233456(P2014-233456A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000125990
【氏名又は名称】株式会社くろがね工作所
(72)【発明者】
【氏名】松井 和弘
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−017455(JP,A)
【文献】 特開平08−098719(JP,A)
【文献】 特開2002−136344(JP,A)
【文献】 特開2013−000449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デスクの幕板上端部に左右方向に渡って設けられた係合部と、係合部に係脱自在な係止部を備えた配線受けとからなる配線受け装置において、係合部は、配線受けの係止部に形成された係止突片が後方側から係止する係合突片を有し、係止部は、配線受けの上端部に設けられ、前記係合突片に係止突片が係止した状態で、幕板の基板前面に弾性的に当接し、常に、係止突片の係止状態が維持される方向の付勢力を配線受けに付与する弾性脚部を有する事を特徴とするデスクの配線受け装置。
【請求項2】
弾性脚部は係止突片の後方側で、上端部が係止突片の上方に突出して形成され、幕板の上面板間に所定の間隙を有する事を特徴とする請求項1に記載のデスクの配線受け装置。
【請求項3】
配線受けは、前記係合突片として機能する係合孔と、係止突片と弾性脚部が下方から嵌入可能な係止突片嵌入孔と弾性脚部嵌入孔を、下端後端部に有する事を特徴とする請求項2に記載のデスクの配線受け装置。
【請求項4】
係止突片と係合突片を係脱させるため、指先の感覚で認識可能な操作位置表示部が、係止突片の所定寸法下方に設けられている事を特徴とする請求項に記載のデスクの配線受け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OA機器を使用するデスクに係り、特にデスクにおいて使用するOA機器の配線を処理するデスクの配線受け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デスクの天板上にOA機器を載置して使用する場合、床に導かれる電源ケーブルや、機器間を継ぐLANケーブル等、多数のケーブル類が必要となる。
そして、これらのケーブルが、天板上、あるいはデスクまわりに錯綜して美感を損ねるだけでなく、通行の邪魔になるなど、執務環境を悪くしていた。
このような、ケーブル類を整然と配線できるよう配線処理機能が付いたデスクとして、デスクの天板下方に配線受けを設け、この配線受けに余長ケーブルやコンセント類を載置するようにしたものが知られている。(例えば特許文献1、特許文献2)
【0003】
特許文献1に記載のものは、デスクの左右の脚間または脚間を継ぐ幕板に該幕板とは別体に構成された受枠を設置し、この受枠に断面略U字形の桶状の配線受けを係着させるようにしたものである。さらに配線受けを着脱自在、移動自在に施すことにより、配線受けの数を増減させることが可能となり、ケーブル量や配線パターンに応じて柔軟に対応することができる。
しかしながら、このような構造の場合、配線受けに下方からの外力が加わったとき上方に外れやすく、デスクの使用者が誤って配線受けを蹴り上げたりすると簡単に外れてしまい、配線の整理をし直す必要が生じて煩わしいうえ、デスクの幕板とは別体の受け枠を幕板に取り付ける必要があるので、コストアップとなるなどの問題がある。
【0004】
又、特許文献2に記載のものは、幕板の両端部に平面視L形状をなして固設される垂直な取付板を有する取付部を設け、この取付部の取付板に樹脂製の配線受けを係合させて上下動不能に取り付け、配線受けに下方からの外力が加わっても外れることがないようにしたものである。
しかし、この構造によるものでは、前記特許文献1のケーブル量や配線パターンに柔軟に対応し得るという利点は失われ、使いにくいものになるという弊害をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭平7−73539号公報
【特許文献2】特許第2906324号公報(図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、通常の使用状態では外れることがなく、それでいて、配線受けの着脱が簡単容易で、しかも、配線処理の自由度を確保する、デスクの配線受け装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、デスクの幕板上端部に左右方向に渡って設けられた係合部と、係合部に係脱自在な係止部を備えた配線受けとからなる配線受け装置において、係合部は、配線受けの係止部に形成された係止突片が後方側から係止する係合突片を有し、係止部は、配線受けの上端部に設けられ、前記係合突片に係止突片が係止した状態で、幕板の基板前面に弾性的に当接し、常に、係止突片の係止状態が維持される方向の付勢力を配線受けに付与する弾性脚部を有するものである。
【0008】
次に本発明が第2の手段として構成したところは、第1の手段に加え、弾性脚部は係止突片の後方側で、上端部が係止突片の上方に突出して形成され、幕板の上面板間に所定の間隙を有するものである。
【0009】
次に本発明が第3の手段として構成したところは、第2の手段に加え、配線受けは、前記係合突片として機能する係合孔と、係止突片と弾性脚部が下方から嵌入可能な係止突片嵌入孔と弾性脚部嵌入孔を、下端後端部に有するものである。
【0010】
次に本発明が第4の手段として構成したところは、第3の手段に加え、係止突片と係合突片を係脱させるため、指先の感覚で認識可能な操作位置表示部が、係止突片の所定寸法下方に設けられているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の手段として構成したところによると、係合突片に係止突片が係止した状態で、弾性脚部が幕板の基板前面に弾性的に当接し、常に、係止突片の係止状態が維持される方向に付勢力を付与しているので、通常の使用状態では容易に外れることがない。又、弾性脚部を幕板の基板前面に強制的押し付けて、弾性変形させた状態で上方に移動させ、強制力を解除すれば、係止突片は自然に係合突片に係止するので、配線受けの取り付け作業が簡単容易である。又、前述と逆の操作をすれば、配線受けを簡単に取り外すこともできる。
【0012】
本発明の第2の手段として構成したところによると、弾性脚部は係止突片の後方側で、上端部が係止突片の上方に突出して形成され、幕板の上面板間に所定の間隙を有しているので、配線受けを取り付ける作業に置いて、所定位置まで持ち上げれば、幕板の上面板の下面に弾性脚部の上端面が当接するので、必要以上に配線受けを持ち上げる必要がなく、この状態で指先の負荷を解除すれば、係止突片は自然に係合突片に係止するので、配線受けの取り付け作業が容易である。
又、デスクの使用者が誤って配線受けを蹴り上げたりしても、弾性脚部の上端面が幕板の上面板の下面に当接するので、配線受けが幕板から簡単に脱落することがない。
【0013】
本発明の第3の手段として構成したところによると、配線受けは、前記係合突片として機能する係合孔と、係止突片と弾性脚部が下方から嵌入可能な係止突片嵌入孔と弾性脚部嵌入孔を下端後端部に有しているので、幕板に取り付けられた配線受けの下側に別の配線受けを簡単に取り付けることができる。
【0014】
本発明の第4の手段として構成したところによると、指先の感覚で認識可能な操作位置表示部を設けているので、照明の光が届きにくい場所、時間であっても、指先の間隔だけで配線受けを取り外すことが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】配線受けの正面図である。
図2】配線受けの右側面図である。
図3】配線受けの平面図である。
図4】配線受けの底面図である。
図5図1のA−A線拡大断面図である。
図6図1のB−B線拡大断面図である。
図7】配線受けを幕板に取り付けた状態の要部拡大断面図である。
図8】上下2段に配線受けを幕板に取り付けた状態の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
デスクの幕板上端部に、左右方向に渡って配線受けの係合部を設け、係合部に係脱自在な係止部を配線受けの上端部に設けたデスクの配線受け装置において、係合部は、配線受けの係止部に形成された係止突片が後方側から係止する係合突片を有し、係止部は、係合突片に係止突片が係止した状態で、幕板の基板前面に弾性的に当接し、常に、係止突片の係止状態が維持される方向の付勢力を配線受けに付与する弾性脚部を有し、弾性脚部は係止突片の後方側で、上端面が係止突片の上方に突出して形成され、幕板の上面板間に所定の間隙を有し、配線受けは、前記係合突片として機能する係合孔と、係止突片と弾性脚部が下方から嵌入可能な係止突片嵌入孔と弾性脚部嵌入孔を、下端後端部に有し、係止突片と係合突片を係脱させるため、指先の感覚で認識可能な操作位置表示部が、係止突片の所定寸法下方に設けられているものである。
【実施例】
【0017】
以下、実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図6図7において符号1は、所定寸法の高さと幅を有し、デスクの左右脚体の後端部間で、天板の下方に位置して配設された幕板を示し、符号2は幕板1に着脱自在に設けられた配線受けを示している。
幕板1は、所定寸法の高さと幅を有する基板11と、基板11の上端に連設され、配線受け2が着脱自在に係合する係合部30と、基板11の左右端部に前方に突出して連設され、左右脚体の内面と連結される連結片部(図示せず。)等より構成されている。
【0018】
係合部30は、基板11の上端から前方に所定寸法突出する上面板12と、上面板12の前端から下方に所定寸法突出する下向き前面板13と、下向き前面板13の下端から基板11方向に所定寸法突出し、後端と基板13の前面間に係合用挿入溝15が形成された係合突片14より形成されている。
【0019】
配線受け2は、前後方向に所定の寸法を有する底片部21と、底片部21の前端部で所定寸法上方に突出する左右前片部22、22と、底片部21の左右端部で所定寸法やや上方に突出する左右前後片部23、23、24、24と、底片部21の後端部に形成された後端突出片部25の前端から上方に起立する後片部26と、後片部26左右上端部に位置する係止部3、3より、合成樹脂材にて一体に構成されている。
【0020】
底片部21は、左右端部側の前後方向中央部に、前記左前後片部23、23間、右前後片部24、24間側が開口し、上下方向に貫通する余剰ケーブルの左右巻きつけ孔27、27と、前端部側の左右方向中央部に前記左右前片部22、22間側が開口し、上下方向に貫通する余剰ケーブルの前巻きつけ孔28を有している。
符号211・・・は材料の削減と、部材の軽量化のために設けられた抜き孔を示し、符号212は、底片部21を補強するための補強リブを示している。
【0021】
係止部3、3は、左右同形に構成されているので一方側についてのみ説明する。係止部3は、後片部26の上端に連設されて上方に突出する起立片31と、起立片31の上端に連設され、所定寸法前方に突出して前記係合突片14に後方から係止する係止突片32と、起立片31の左右に近接し、かつ、起立片31と独立して弾性変位可能に形成された弾性脚部33、33を有している。
【0022】
弾性脚部33は、起立片31の後方側に所定寸法(係止突片32の前端と弾性脚部33の後端面間の寸法が、少なくとも、前記係合用挿入溝15の前後寸法より大きい寸法)突出し、係合突片14に係止突片32が係止した状態で、後面が幕板1の基板11前面に弾性的に当接し、常に、係止突片32の係止状態が維持される方向の付勢力を配線受け2に付与すると共に、上端面が係止突片32の上方に突出し、幕板1の上面板12間に所定の間隙を有するものである。
【0023】
後片部26は、起立片31が位置する下方の下端部で、底片部21と接する箇所に、左右方向及び高さ方向で係止突片32よりやや大き目で、後方から係止突片32が係合可能な係合孔261を有し、係合孔261の上方で、起立片31が位置するやや下方に、係止突片32を弾性脚部33の弾性に抗して、後方に移動させ、係合突片14から逸脱させるための前後方向に貫通する操作位置表示部262を有している。
尚、操作位置表示部262は、実施例では前後方向に貫通する長孔としているが、突起状の段部であっても良く、指先の感覚で操作位置が認識でき、操作に支障をきたさない形状であれば良い。
【0024】
後端突出片部25は、後片部26に形成された係合孔261と左右方向の同一位置に、別の配線受け2の係止突片32が下方から嵌入可能で、係合孔261に連続する係止突片嵌入孔251と、係止嵌入孔251の左右側に、下方から弾性脚部33、33が嵌入する弾性脚部嵌入孔252、252を有している。
尚、符号253・・・は、後端突出部25を補強するための補強側壁を示している。
【0025】
本発明は以上の如く構成され、配線受け2を幕板1に取り付けるときは、弾性脚部33・・・の弾性に抗して、配線受け2の後片部26を幕板1の基板11の前面に押し付けながら、係合部3の係合用挿入溝15内を弾性脚部33・・・と係止突片32、32(係止部3、3)を通過させ、弾性脚部33、33の上端を上面板12の下面に当接するまで上方に移動させる。そして、当接した状態で押し付け力を解除すると、弾性脚部33、33の弾性復帰によって、配線受け部2は前側に移動し、係止突片32、32は係合突片14に係止し、前方に付勢されているので、不用意に係止状態を逸脱することはない。
【0026】
上記のように幕板1に取り付けられた配線受け2の下方にさらに別の配線受け2を取り付けるときは、取り付けられた配線受け2の弾性脚部嵌入孔252・・・に弾性脚部33
・・・を下方より差し入れ、次に、上記同様、弾性脚部33・・・の弾性に抗して、配線受け2の後片部26を幕板1の基板11の前面方向に押し付けながら、上方に移動させたのち、押し付け力を解除すると、係止突片32、32は、前側に移動し係止嵌入孔251から係合孔261,261に係合し、弾性脚部33・・・によって、前方に付勢されているので、不用意に係合状態を逸脱することはない。
【0027】
一方、幕板1から配線受け2を取り外す時、あるいは、幕板1に取り付けられた配線受け2の下方から別の配線受け2を取り外すときは、指先で操作位置表示部262,262を探り、其の位置で後片部26を幕板1側に押しやり、係合突片14、係合孔261、261から係止突片32、32を逸脱させ、疎に状態を維持しながら、配線受け2を下方に引き下げて取り外す。
【0028】
天板上の機器に配線処理が行われたケーブルは、天板上から配線受け2に導かれ、さらに、隣の配線受け2から、天板上の機器に配線処理が行われるなどしてケーブルが散乱しないよう処理される。
又、余剰ケーブルは、左右巻きつけ孔27、27間、あるいは、前巻きつけ孔28と左右巻きつけ孔27、27間に巻きつけて適当な長さとした後、天板上、他の配線受け2等に導かれる
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明は、配線処理を行ったあとの余剰ケーブルの収納、あるいは床面からの給電、あるいは他の機器への横配線だけでなく、収納家具、ラック等への適用も可能であり、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 幕板
11 基板
12 上面板
14 係合突片
2 配線受け
25 後端突出部
251 係止嵌入孔
252 弾性脚部嵌入孔
26 後片部
261 係合孔
262 操作位置表示部
3 係止部
30 係合部
32 係止突片
33 弾性脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8