(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
白板紙の表面に機能性被膜が取り付けられたブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、互いに平行に連接され筒体に組み立てられる側面と、前記側面の一つに折罫線を介して連接され前記箱体形成片の一部に糊付けされて前記側面の筒体の開口部を閉鎖する蓋部と、前記蓋部に折罫線を介して連接され前記蓋部に折り返して接着される折返片が設けられ、前記蓋部に前記折返片が折り重ねられて前記折返片の白板紙の状態の裏面が露出し、前記蓋部とともに前記折返片の裏面が前記箱体形成片の一部に糊付けされていることを特徴とする包装用箱。
前記折返片は、前記蓋部に対して裏面同士が対向する正折りにされて前記蓋部に糊づけられ、前記蓋部には前記折返片の白板紙の状態の裏面が露出する透孔が設けられている請求項1記載の包装用箱。
前記蓋部には、前記側面の筒体に交差して開口部を閉鎖する内蓋片と、前記内蓋片が設けられている一側面に開口する側面に連接して設けられ前記内蓋片の外側に重ねて糊付けされる外蓋片が設けられ、前記折返片は、前記内蓋片に連接して設けられている請求項2又は3記載の包装用箱。
前記蓋部には、前記側面の筒体に交差して開口部を閉鎖する蓋片と、前記蓋片に折罫線を介して設けられ前記蓋片が設けられている一側面に対向する側面の裏面に差し込まれる差込片が設けられ、前記折返片は前記差込片に連接して設けられている請求項2又は3記載の包装用箱。
前記折返片は、前記蓋部に対して表面同士が対向する逆折りにされて前記蓋部に糊付けされ、前記蓋部に前記折返片が折り重ねられて前記折返片の白板紙の状態の裏面が露出し、前記蓋部とともに前記折返片の裏面が前記箱体形成片の一部に糊付けされている請求項1記載の包装用箱。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウムを蒸発させて付着させたPETフィルムからなるアルミ蒸着層を白板紙に貼り付けたアルミ蒸着紙は、表面が平滑でアルミニウムの持つ光沢があり、独特の輝きや高級感を有するためデザイン性が高く、化粧品等を入れる包装用箱等に使用されている。このようなアルミ蒸着紙を使用した包装用箱は、アルミ蒸着紙であるブランクシートから箱体形成片を打ち抜いて形成し、箱体形成片は、4つの側面が互いに連接されて設けられ、端部に位置する側面の側縁部には、包装用箱の組み立て状態で他方の側面に糊付けされる糊付片が設けられている。そして、側面の連接方向に対して直角な方向の一対の端部には、4枚の側面を筒状に組み立てた時に両端の開口を閉鎖する蓋片やフラップが設けられている。このような包装用箱の製造工場では、箱体形成片の糊付片に糊を塗布して一側面に糊付けして筒状とし、これを折り畳んだ状態で出荷する。そして、収容物を収容し包装する工場等において、4枚の側面を筒状に起こし、一方の蓋片をフラップ等にホットメルトで糊付けして底部を形成し、収容物を入れ、他方の蓋片をフラップ等にホットメルトで糊付けして上面を形成し閉鎖し、商品として出荷するものであった。
【0003】
しかし、アルミ蒸着紙の表面は平滑なためホットメルトによる接着性が良くないものであり、ホットメルトの種類を接着性が高いものに変える必要がある。しかし、通常は蒸着紙以外の白板紙等を接着しているラインにおいてアルミ蒸着紙を接着するたびにホットメルトの種類を変えることは切替工数が多くかかり、時間とコストがかかるものである。そこで、ホットメルトの種類を変えずに、接着性を向上させるいろいろな工夫がされている。例えば、ホットメルトの塗布量を増やしたり、アルミ蒸着層の表面にハーフカットの破線等を複数本形成してホットメルトが付きやすくしたり、エンボスを形成して圧力がかかりやすくする方法等が行われているが、十分な接着性を得ることができないものであった。
【0004】
一方、包装用箱の開口を閉鎖する蓋片の接着工程を簡単にする方法も提案されている。例えば、特許文献1に開示されている紙容器は、箱体の1つの開口を囲む各辺から延接された内フラップと中フラップと外フラップをその順に重ねて互いに接着し、箱体の開口を閉鎖するものである。中フラップには複数個の切欠部が設けられ、中フラップを内フラップに重ねると切欠部から内フラップの一部が露出し、この状態で中フラップに接着剤を塗布して外フラップを折り重ねて接着すると、内フラップと中フラップが同時に外フラップに接着されるものである。
【0005】
また、特許文献2、特許文献3に開示されているカートンは、箱体の1つの開口を囲む各辺から延接されたサイドフラップと内側フラップと外側フラップをその順に重ねて互いに接着し、箱体の開口を閉鎖するものである。内側フラップには複数個の貫通孔が設けられ、内側フラップをサイドフラップに重ねると貫通孔からサイドフラップの一部が露出し、この状態で、内側フラップまたは外側フラップに接着剤を塗布して外側フラップを折り重ねて接着すると、サイドフラップと内側フラップが同時に外側フラップに接着されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記背景技術の場合、アルミ蒸着紙のホットメルトによる接着性を向上させるための方法は、十分な接着性を得ることができないものである。さらに、包装用箱を組み立てた状態では、内部に商品があるので、接着のためにホットメルト層を強く押圧できないことから、接着性を高めることができないものである。特に、カートナーを用いた包装用箱の組み立てにおいては、商品を包装後に圧着するので、蓋片等を強く押圧できず圧着条件の良くない場合が多く、接着不良が発生するおそれがある。また、特許文献1〜3に開示されている紙容器とカートンは、開口を閉鎖する蓋片の接着工程を簡単にするものであるが、アルミ蒸着紙で作られた包装用箱の蓋片のホットメルトによる接着性を向上させることは考えられていないものである。
【0008】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、デザイン性に優れたアルミ蒸着紙等の機能性被膜が設けられた箱体形成片を使用し、作業工程が簡単でコストが安価であり、高い接着強度により蓋部を閉鎖することができる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、白板紙の表面に機能性被膜が取り付けられたブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、互いに平行に連接され筒体に組み立てられる側面と、前記側面の一つに折罫線を介して連接され前記箱体形成片の一部に糊付けされて前記側面の筒体の開口部を閉鎖する蓋部と、前記蓋部に折罫線を介して連接され前記蓋部に折り返して接着される折返片が設けられ、前記蓋部に前記折返片が折り重ねられて前記折返片の白板紙の状態の裏面が露出し、前記蓋部とともに前記折返片の裏面が前記箱体形成片の一部に糊付けされている包装用箱である。
【0010】
前記折返片は、前記蓋部に対して裏面同士が対向する正折りにされて前記蓋部に糊づけられ、前記蓋部には前記折返片の白板紙の状態の裏面が露出する透孔が設けられているものである。さらに、前記折返片には前記蓋部の前記透孔に嵌合され前記蓋部の表面と面一になるように突出するエンボス部が設けられているとよい。
【0011】
前記蓋部には、前記側面の筒体に交差して開口部を閉鎖する内蓋片と、前記内蓋片が設けられている一側面に開口する側面に連接して設けられ前記内蓋片の外側に重ねて糊付けされる外蓋片が設けられ、前記折返片は、前記内蓋片に連接して設けられている。
【0012】
前記蓋部には、前記側面の筒体に交差して開口部を閉鎖する蓋片と、前記蓋片に折罫線を介して設けられ前記蓋片が設けられている一側面に対向する側面の裏面に差し込まれる差込片が設けられ、前記折返片は前記差込片に連接して設けられている。
【0013】
前記折返片は、前記蓋部に対して表面同士が対向する逆折りにされて前記蓋部に糊付けされ、前記蓋部に前記折返片が折り重ねられて前記折返片の白板紙の状態の裏面が露出し、前記蓋部とともに前記折返片の裏面が前記箱体形成片の一部に糊付けされているものである。
【0014】
前記機能性被膜は、金属や合成樹脂で作られ、例えば、アルミニウムを蒸発させて付着させたPETフィルムからなるアルミ蒸着膜である。前記透孔は、例えば円形、三角形、四角形、六角形、星形等、自由に変更可能であり、1個でもよく、複数個でもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装用箱は、デザイン性に優れたアルミ蒸着紙等の機能性被膜が設けられた箱体形成片を使用し、作業工程が簡単でコストが安価であり、高い接着強度により蓋部を閉鎖することができる。蓋部を接着により閉鎖する際に、アルミ蒸着紙等の機能性被膜を有した用紙以外の、白板紙等で作られた包装用箱を閉鎖する時に使用する包装製造工程で、白板紙用と同じ種類のホットメルトで同じ塗布量で確実に蓋片を接着することができ、時間とコストをかけずに容易に製品を包装することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜
図4はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の包装用箱10は、アルミ蒸着紙である一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片12を組み立てることによって形成されている。ここで、能性被膜が設けられた箱体形成片12であるアルミ蒸着紙について説明をする。アルミ蒸着紙は、PET樹脂やPVA樹脂のフィルムにアルミニウムを蒸着させたアルミ蒸着層13を通常のパルプ紙である白板紙に貼り合わせたものである。表面の平滑性やアルミニウムの持つ光沢により、独特の輝きや高級感を持ち、デザイン性が高い。
【0018】
図4は、箱体形成片12を表面から見た展開図であり、表面にはアルミ蒸着膜13が設けられている。箱体形成片12は、側面14,16,18,20が順に連接されている。側面14,16,18,20は、連接している幅方向は同じ長さであり、連接方向の長さは側面16,20が長くて互いにほぼ等しく、側面14,18がそれより短くて互いにほぼ等しい。側面20の側縁部には、包装用箱10の組立状態で側面14の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。側面14,16,18,20、糊付片22は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0019】
側面14の、側面どうしの連接方向に対して直角な方向の一対の端部には、矩形のフラップ32が折罫線34で区切られて各々設けられている。側面16の、側面14の折罫線34に隣接する一対の端部には、矩形の外蓋片36が折罫線38で区切られて各々設けられている。さらに、側面18の、側面16の折罫線38に隣接する一対の端部にも、矩形のフラップ40が折罫線42で区切られて各々設けられている。
【0020】
側面20の、折罫線42に隣接する一方の端部には、包装用箱10の組み立て状態で側面14,16,18,20で作られた筒体の開口部を閉鎖する蓋部である内蓋片44がジッパ−線46で区切られて設けられている。内蓋片44は、ジッパ−線46に接する幅が側面20と等しく、先端側の幅がそれより狭くなる台形状に形成されている。内蓋片44には、表裏面に貫通する透孔48が設けられている。透孔48は、円形であり、3個がジッパ−線46の近傍に、ジッパ−線46に沿って互いに等間隔に設けられている。透孔48の直径は、内蓋片44の短辺方向の幅の1/2以下であって、後述するエンボス部54の接着強度が得られる程度、例えば7mmである。内蓋片44のジッパ−線46と反対側の端部には、折返片50が折罫線52で区切られて設けられている。折返片50には、裏面に凸となるエンボス部54が3個設けられている。エンボス部54は、内蓋片44の透孔48に嵌合されるもので透孔48よりも小さい円形に形成され、折返片50を折罫線52により内蓋片44の裏面に折り重ねた時に透孔48に対向する位置に各々設けられている。側面20の、ジッパ−線46と一致する端部の中心には、開封用破断線56が設けられている。開封用破断線56は、側面20の端部の中心に設けられ側面20の中央に向かってコの字形に膨出して端部から離れて設けられている。開封用破断線56で囲まれた部分は、ジッパ−線46が設けられず、ジッパ−線46の延長線上に折罫線58が設けられている。
【0021】
側面20の、ジッパ−線46と反対側の端部には、他方の端部と同様に、蓋部である内蓋片60、ジッパ−線62、折返片66、折罫線68が設けられている。内蓋片60には、表裏面に貫通する透孔64が設けられ、透孔64は、ジッパ−線62に対して直角方向に長い長円であり、3個がジッパ−線62に沿って互いに等間隔に設けられている。透孔64は、内蓋片60の短辺方向の幅の1/2程度であって、後述するエンボス部70の接着強度が得られる程度に適宜設定される。折返片66には、裏面に凸となるエンボス部70が3個設けられ、エンボス部70は、内蓋片60の透孔64に嵌合されるものであり、透孔64よりも小さい長円に形成され、折返片66を折罫線68により内蓋片60の裏面に折り重ねた時に透孔64に対向する位置に各々設けられている。側面20の、ジッパ−線62と一致する端部には、開封用破断線56と同形の開封用破断線72が設けられ、開封用破断線72で囲まれた部分はジッパ−線62が設けられず、ジッパ−線62の延長線上に折罫線74が設けられている。
【0022】
次に、この実施形態の包装用箱10の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは
図4が包装用箱10の箱体形成片12の表面を見たものであり、表面にはアルミ蒸着膜13が設けられている。箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0023】
まず、折返片50,66の裏面に糊73,75を塗布し、折罫線52,68を正折りして内蓋片44,60の裏面に糊付けする。糊73,75は、エンボス部54,70を避けて塗布し、また内蓋片44,60の裏面に塗布してもよい。折返片50,66のエンボス部54,70が内蓋片44,60の透孔48,64に嵌合されて
図3に示すように内蓋片44,60の表面にほぼ面一の状態で折返片50,66のエンボス部54,70が露出する。次に、糊付片22の表面にアルミ蒸着膜13用の糊76を塗布する。そして折罫線28を正折りし、折罫線24を正折りする。これにより、側面14の裏面は糊76により糊付片22の表面に糊付けされ、折り畳み状態となり、この状態で箱体形成片12による折り畳み状態の包装用箱10が出荷される。糊76は、アルミ蒸着膜13用であり、平滑なアルミ蒸着膜13に、強い圧力をかけて接着することができ、高い接着強度で糊付けされる。
【0024】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90°に正折りして四角形の箱体にする。箱体の内蓋片60側の端部の、折罫線34,42でフラップ32,40を90°に正折りする。そして、内蓋片60の表面に透孔64を含む範囲にホットメルトの糊78を塗布し、透孔64から露出する折返片66にも糊78が塗布される。そして、内蓋片60をジッパ−線62と折罫線74で90°に正折りし、折罫線38で外蓋片36を90°に正折りする。これにより外蓋片36の裏面は糊78により内蓋片60の表面に糊付けされ、包装用箱10の底部が形成される。内蓋片60の表面はアルミ蒸着膜13が設けられてホットメルトの糊78による接着性が悪いが、透孔64に露出する折返片66の、白板紙の状態の裏面も接着されるため、接着性が高くなり良好な接着状態となる。さらに、折返片66の裏面は、エンボス部70となり内蓋片60と面一になっているため、糊78が確実にエンボス部70に塗布され、また接着の際の圧力が良くかかり、接着強度が高いものとなる。
【0025】
次に、組み立てられた側面14,16,18,20と底部から成る箱体の内側に収容物を入れ、箱体の内蓋片44側の端部の、折罫線34,42でフラップ32,40を90°に正折りする。そして、内蓋片44の表面に透孔48を含む範囲にホットメルトの糊80を塗布し、エンボス部54から露出する折返片50にも糊80が塗布される。そして、内蓋片44をジッパ−線46と折罫線58で90°に正折りし、折罫線38で外蓋片36を90°に正折りする。これにより外蓋片36の裏面は糊80により内蓋片44の表面に糊付けされ、上面を形成し閉鎖する。内蓋片44の表面はアルミ蒸着膜13が設けられてホットメルトの糊80による接着性が悪いが、透孔48に露出する折返片50の裏面の、白板紙の状態のエンボス部54も接着されるため、接着性が高くなり良好な接着状態となり、接着強度が高い。
【0026】
包装用箱10を開封する時は、側面20の開封用破断線56,72の片方または両方の内側を押し、開封用破断線56,72を切断し、外蓋片36を内蓋片44,60ごと側面20から開いて開封する。
【0027】
この実施形態の包装用箱10によれば、デザイン性に優れたアルミ蒸着紙を使用し、作業工程が簡単でコストが安価であり、高い接着強度により外蓋片36と内蓋片44,60を接着して閉鎖することができる。外蓋片36と内蓋片44,60を接着により閉鎖する際に、アルミ蒸着紙以外の白板紙等で作られた包装用箱を閉鎖する時に使用する製造ラインで、白板紙用と同じ種類のホットメルトの糊78,80を使用して、同じ塗布量で確実に蓋片を接着することができ、時間とコストをかけずに容易に製品を包装することができる。糊付片22の接着は、包装用箱10の製造工場で行われアルミ蒸着膜13に適した糊76を使用して、強い圧力をかけて大量に生産することができるが、外蓋片36の接着は収容物の製造工場で必要な量のみを行うため、アルミ蒸着膜13のない白板紙の包装用箱の蓋片を接着するラインで、白板紙と同じ条件で接着可能なことは、包装用箱の種類の変更に際しても段取り替えを省くことができ、生産効率を向上させることができる。また、底部となる内蓋片60の透孔64は、上面となる内蓋片44の透孔48よりも面積が大きく形成され、接着力が高く収容物の重量を確実に支えることができる。
【0028】
なお、この実施形態の包装用箱10の透孔48,64の形状は自由に変更可能である。例えば、
図5(a)に示す透孔144は正三角形、
図5(b)の透孔146は四角形、
図5(c)に示す透孔148は六角形のように形成しても良い。さらに、
図6(a)〜(c)に示すような適宜の意匠形状の透孔150,152,154に形成しても良く、いろいろな種類の形状を設定し得るものである。さらに、透孔の角の数を増やすことでホットメルトとの食いつきを良好にして、接着性能を向上させることができる。エンボス部54,70の形状は、透孔48,64の内側に嵌合されるものであればよい。
【0029】
次に、この発明の第二実施形態について
図7、
図8に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の包装用箱82は、アルミ蒸着紙である一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片84を組み立てて設けられている。
【0030】
図8は、箱体形成片84を表面から見た展開図であり、表面にはアルミ蒸着膜13が設けられている。箱体形成片84は、側面14,16,18,20、糊付片22が互いに平行に連接して設けられ、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0031】
側面16の、側面14の折罫線34に隣接する一方の端部には、矩形の蓋部である蓋片86が折罫線88で区切られて設けられている。蓋片86の折罫線88と反対側の端部には、蓋部である差込片90が折罫線92で区切られて設けられている。差込片90は、折罫線92に接する幅が蓋片86と等しく、先端側の幅がそれより狭くなる台形状に形成されている。差込片90には、表裏面に貫通する透孔94が設けられている。透孔94は、折罫線92に対して平行方向に長い長円であり、折罫線92近傍に設けられている。差込片90の折罫線92と反対側の端部には、矩形の折返片96が折罫線98で区切られて設けられている。折返片96には、裏面に凸となるエンボス部100が設けられている。エンボス部100は、差込片90の透孔94に嵌合されるものであり透孔94よりも小さい長円に形成され、折返片96を折罫線98により差込片90の裏面に折り重ねた時に透孔94に対向する位置に設けられている。
【0032】
側面16の、折罫線88と反対側の端部には、他方の端部と同様に、同形の蓋部である蓋片102、折罫線104、蓋部である差込片106、折罫線108、折返片110、折罫線112が設けられている。差込片106には、表裏面に貫通する透孔114が1個設けられ、透孔114は、折罫線108に近い部分は折罫線108に対して平行な直線であり、折罫線112に近い部分は鈍角の角部が形成されて略五角形状に形成されている。折返片110には、裏面に凸となるエンボス部116が設けられ、エンボス部116は、差込片106の透孔114に嵌合されるものであり、透孔114よりも小さい略五角形状に形成され、差込片106の裏面に折り重ねた時に透孔114に対向する位置に設けられている。
【0033】
側面20の、側面どうしの連接方向に対して直角な方向の一対の端部には、開封用破断線118が設けられている。開封用破断線118は、側面20の中央に向かってコの字形に膨出して端部から離れて設けられている。
【0034】
なお、この実施形態の包装用箱82の透孔94,114の形状は自由に変更可能であり、例えば、上記実施形態の
図5、
図6に示す透孔144〜透孔154等のように形成してもよい。
【0035】
次に、この実施形態の包装用箱82の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは
図12が包装用箱82の箱体形成片84の表面を見たものであり、箱体形成片84の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0036】
まず、折返片96,110の裏面に糊97,111を塗布し、折罫線98,112を正折りして差込片90,106の裏面に糊付けする。糊97,111は、エンボス部100,116を避けて塗布し、また差込片90,106の裏面に塗布してもよい。折返片96,110のエンボス部100,116が差込片90,106の透孔94,114に嵌合されて差込片90,106の表面に面一に近い状態で折返片96,110のエンボス部100,116が露出する。次に、糊付片22の表面に糊76を塗布する。そして折罫線28を正折りし、折罫線24を正折りする。これにより、側面14の裏面は糊76により糊付片22の表面に糊付けされ、折り畳み状態となり、この状態で箱体形成片12による折り畳み状態の包装用箱82が出荷される。
【0037】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90°に正折りして四角形の箱体にし、箱体の蓋片102側の端部の、折罫線34,42でフラップ32,40を90°に正折りする。そして、差込片106の表面に透孔114を含み側面20の開封用破断線118の内側に入る範囲にホットメルトの糊120を塗布し、透孔114から露出する折返片110にも糊120が塗布される。折罫線104で蓋片102を90°に正折りし、差込片106を折罫線108で90°に正折りする。この時、差込片106は側面20の裏面に差し込まれ、差込片106の表面は糊120により側面20の裏面に糊付けされ、包装用箱82の底部が形成される。差込片106の表面はアルミ蒸着膜13が設けられてホットメルトの糊120による接着性が悪いが、透孔114に露出する折返片110の裏面の、白板紙の状態のエンボス部116も接着されるため、接着性が良好となり、接着強度が高い。
【0038】
次に、組み立てられた側面14,16,18,20と底部から成る箱体の内側に収容物を入れ、箱体の蓋片86側の端部の、折罫線34,42でフラップ32,40を90°に正折りする。そして、差込片90の表面に透孔94を含み側面20の開封用破断線118の内側に入る範囲にホットメルトの糊122を塗布し、透孔94から露出する折返片96にも糊122が塗布される。折罫線88で蓋片86を90°を正折りし、差込片90を折罫線92で差込片90°に正折りする。この時、差込片90は側面20の裏面に差し込まれ、差込片90の表面は糊122により側面20の裏面に糊付けされ、上面を形成し閉鎖する。差込片90の表面はアルミ蒸着膜13が設けられて糊122による接着性が悪いが、透孔94かに露出する折返片96の裏面の、白板紙の状態のエンボス部100も接着されるため、接着性が良好となり、接着強度が高い。
【0039】
この実施形態の包装用箱82によれば、上記実施形態と同様の効果を有するものである。差込片90を側面20の裏面に差し込んで蓋片86を閉鎖するタイプでも、高い接着強度を得ることができる。差込片106,90は、開封用破断線118の内側に糊付けされているため、開封用破断線118を切断して容易に開封することができる。底部に位置する差込片106の透孔114は、上面に位置する差込片90の透孔94よりも面積が大きく形成され、接着力が高く収容物の重量を確実に支えることができる。
【0040】
次に、この発明の第三実施形態について
図9、
図10に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の包装用箱124は、アルミ蒸着紙である一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片126を組み立てて設けられている。
【0041】
図10は、箱体形成片126を表面から見た展開図であり、側面14,16,18,20、糊付片22が互いに平行に連接して設けられ、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0042】
側面20の、折罫線42に隣接する一方の端部には、台形状の蓋部である内蓋片127がジッパ−線46で区切られて設けられている。内蓋片127の、ジッパ−線46と反対側の端部には、矩形の折返片128が折罫線130で区切られて設けられている。側面20の、ジッパ−線46と一致する端部の中心には、開封用破断線56と折罫線58が設けられている。
【0043】
側面20の、ジッパ−線46と反対側の端部には、他方の端部と同様に、同形の蓋部である内蓋片129、ジッパ−線62、折返片132、折罫線134が設けられている。側面20の、ジッパ−線62と一致する端部の中心には、開封用破断線72と折罫線74が設けられている。
【0044】
次に、この実施形態の包装用箱124の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは
図10が包装用箱124の箱体形成片126の表面を見たものであり、箱体形成片126の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0045】
まず、内蓋片127,129の表面にアルミ蒸着膜13用の糊136,138を塗布し、折罫線130,134を逆折りして内蓋片127,129の表面に糊付けし、折返片128,132の裏面が内蓋片127,129の表面に露出する。なお、糊136,138は、折返片128,132の表面に塗布してもよい。次に、糊付片22の表面に糊76を塗布する。そして折罫線28を正折りし、折罫線24を正折りする。これにより、側面14の裏面は糊76により糊付片22の表面に糊付けされ、折り畳み状態となり、この状態で箱体形成片126による折り畳み状態の包装用箱124が出荷される。
【0046】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90°に正折りして四角形の箱体にし、箱体の内蓋片129側の端部の、折罫線34,42でフラップ32,40を90°に正折りする。そして、内蓋片129の表面に接着された折返片132にホットメルトの糊140を塗布し、内蓋片129をジッパ−線62と折罫線74で90°に正折りし、折罫線38で外蓋片36を90°に正折りする。これにより外蓋片36の裏面は糊140により内蓋片129と折返片132に糊付けされ、包装用箱10の底部が形成される。内蓋片129の表面はアルミ蒸着膜13が設けられてホットメルトの糊140による接着性が悪いが、折返片132の白板紙の状態の裏面が接着されるため、接着性が良好となり、接着強度が高い。
【0047】
次に、組み立てられた側面14,16,18,20と底部から成る箱体の内側に収容物を入れ、箱体の内蓋片127側の端部の、折罫線34,42でフラップ32,40を90°に正折りする。そして、内蓋片127の表面に接着された折返片128にホットメルトの糊142を塗布し、内蓋片127をジッパ−線46と折罫線58で90°に正折りし、折罫線38で外蓋片36を90°に正折りする。これにより、外蓋片36の裏面は糊142により内蓋片127と折返片128に糊付けされ、上面を形成し閉鎖する。内蓋片127の表面はアルミ蒸着膜13が設けられてホットメルトの糊142による接着性が悪いが、折返片128の白板紙の状態の裏面が接着されるため、接着性が良好となり、接着強度が高い。
【0048】
この実施形態の包装用箱124によれば、上記実施形態と同様の効果を有するものである。透孔とエンボス部を設ける必要がなく、簡単な構造で、折返片128,132を折罫線130,134で逆折することにより白板紙の状態の裏面を露出して、高い強度で接着することができる。
【0049】
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、各側面の大きさや形状、底部の構造等、自由に変更可能である。透孔とエンボス部の形状や数、位置等は適宜変更可能であり、互いに確実に嵌合し、確実に接着されるものであればよい。また、開封用破断線の形状は自由に変更可能である。箱体形成片の、側面や蓋片、糊付片等の連接する順番は異なるものでもよく、箱体形成片を組み立てる順番も適宜変更可能である。アルミ蒸着紙以外にも利用することができ、白板紙にアルミホイルを張り合わせたホイル紙やPETフィルムやPPフィルムを貼り合わせたもの、白板紙の表面にコーティング剤を塗布したもの等にも利用することができる。蓋部の構造は上記以外でもよく、蓋部を接着する接着剤は、ホットメルト以外でもよい。