(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体が通る内部流路を有しており接続対象の管を径内から支持する管支持部と、前記管支持部の径外に管を挿入できる間隔を空けて位置するスリーブ部と、前記管支持部に、挿入された管の内面を向くように取り付けられるパッキンとを備え、
前記管支持部は前記パッキンを収納する凹部を有し、
前記凹部の内面には、前記管支持部の前記内部流路から径外側へと貫通する内外貫通孔が形成されており、
前記スリーブ部は、径外からかしめられることにより、当該かしめられた箇所が径内方向へと塑性変形するものであり、
前記かしめ前の状態では、前記内部流路から前記内外貫通孔及び前記凹部を介して外部に流体が漏出する漏出流路が形成されており、
前記かしめ後の状態では、前記径内方向へと塑性変形した前記スリーブ部によって変形させられた前記パッキンが、前記内外貫通孔に密着することにより前記漏出通路が閉じられる管継手。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン管等の樹脂管、薄肉ステンレス鋼管等の薄肉の金属管、または、金属層を樹脂層で挟んで構成された多層管等の管を接続するために、かしめにより管を接続できる管継手が用いられている。この管継手は基本的に、接続対象の管を径内から支持する管支持部と、前記管支持部の径外に管を挿入できる間隔を空けて位置するスリーブ部と、前記管支持部に取り付けられ、挿入された管の内面に対して水密に密着できるパッキンとを備えている。スリーブ部は例えば金属製であり、管を管継手に挿入した状態で、当該スリーブ部をかしめ工具等を用いて径外から圧縮してかしめ、当該かしめられた箇所が径内方向へと塑性変形することにより、スリーブ部と管とを水密に密着させて管の接続を行うよう構成されている。この管継手の一例として、特許文献1に記載された「圧縮かしめ管継手」がある。
【0003】
ここで、従来の管継手は、かしめ施工不良(例えばかしめ作業を忘れたり、かしめ作業を行ったもののかしめが不十分であったりした場合)でも、管継手に管を挿入しただけで管とパッキンとの間は一応密着した状態となっていた。このため、管継手に接続された管に通水して行う初期水圧テスト時には水漏れが発生しないことが多く、かしめ施工不良が見逃されることがあった。そして、管継手の使用(通水)を開始した後になって、パッキンの経年劣化に伴い前記「一応密着した状態」が緩み、かつ、かしめ施工不良部分に水圧がある程度の時間かかり続けることによって管が管継手から抜けたり、管継手からの水漏れが発生したりするという問題があった。管継手の使用を開始した後で前記の問題が発生すると、管継手から漏れた水により建物に被害が及ぶことがある。また、管継手が壁や床に埋め込まれた状態となっていると、水漏れ箇所を特定することが大変である。また、かしめ施工不良を修正するために壁材や床材を取り外して管継手を露出させることが必要となり、修正作業に大きな手間と費用がかかる。
【0004】
特許文献1に係る発明は、前記問題を解決するためになされたものであって、パッキンを収納する溝の高さ(溝底面から径外方向への高さ)よりもパッキン高さを低くしている。特許文献1の記載によると、この構成により、管とパッキンとは、かしめを確実に行うことではじめて水密に密着し、かしめ施工不良の場合には管とパッキンとが密着することがなく隙間が存在する。このため、初期水圧テスト時には、管を流れる水の一部が管内面とパッキンとの間の前記隙間を通り、その後、管端面、管外面に沿って流れることにより、管継手の外部で確実に水漏れが発生するため、かしめ施工不良を容易に発見できる。
【0005】
しかし、前記のように初期水圧テスト時に水漏れを発生させるためには、特許文献1の
図3に示されたような特殊な形状のパッキンを用いることとされている。また、管内面とパッキンとの間の前記隙間は全周にわたって存在するため、初期水圧テスト時に多量の水が漏れ、管継手周辺が水浸しになることで、水濡れを嫌う設備(例えば電気設備等)を故障させてしまうおそれもある。これらの事情に鑑みると、かしめ施工不良を容易に発見できる管継手については更に改良の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、初期水圧テスト時にかしめ施工不良を確実に発見できる管継手を低コストで提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、流体が通る内部流路を有しており接続対象の管を径内から支持する管支持部と、前記管支持部の径外に管を挿入できる間隔を空けて位置するスリーブ部と、前記管支持部に、挿入された管の内面を向くように取り付けられるパッキンとを備え、前記管支持部は前記パッキンを収納する凹部を有し、前記凹部の内面には、前記管支持部の前記内部流路から径外側へと貫通する内外貫通孔が形成されており、前記スリーブ部は、径外からかしめられることにより、当該かしめられた箇所が径内方向へと塑性変形するものであり、前記かしめ前の状態では、前記内部流路から前記内外貫通孔及び前記凹部を介して外部に流体が漏出する漏出流路が形成されており、前記かしめ後の状態では、前記径内方向へと塑性変形した前記スリーブ部によって変形させられた前記パッキンが、前記内外貫通孔に密着することにより前記漏出通路が閉じられる管継手である。
【0009】
前記構成によると、前記かしめ前の状態では、前記内部流路から前記内外貫通孔及び前記凹部を介して外部に流体が漏出する漏出流路が形成されている。このため、前記漏出流路に対し、例えば初期水圧テスト時に管継手に通された水等の流体が通ることにより確実に流体の漏れが発生する。また、前記管支持部に内外貫通孔を形成するだけで前記漏出流路を形成することが可能である。
【0010】
また、前記パッキンの外径寸法は、前記管支持部の外径寸法よりも大きいものとできる。この構成によると、パッキンの外径寸法が管支持部の外径寸法よりも小さいものに比べ、かしめの施工位置がパッキンの径外位置である基準位置から多少前後にずれたとしても、かしめにより塑性変形した前記スリーブ部によって前記パッキンを変形させることができ、この変形したパッキンが前記内外貫通孔に密着することにより前記漏出通路を閉じることができる。
【0011】
また、前記パッキンは、幅方向の端面のうち少なくともひとつの端面に、径方向に延びる溝を備えるものとできる。この構成によると、前記凹部と前記パッキンとの間に前記溝の分の空間を確保でき、この空間を前記漏出流路の一部とできる。
【0012】
また、前記凹部の幅寸法は、前記凹部に収納される前記パッキンの幅寸法よりも大きいものとできる。この構成によると、前記凹部と前記パッキンとの間に前記幅寸法の差に対応する空間を確保でき、この空間を前記漏出流路の一部とできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の管継手は、例えば初期水圧テスト時に管継手に通された水等の流体が通ることにより確実に漏れが発生する。このため、例えば初期水圧テスト時にかしめ施工不良を確実に発見できる。また、前記管支持部に内外貫通孔を形成するだけで前記漏出流路を形成することが可能である。このため、特殊な形状のパッキンを必ずしも必要とせず、低コストで管継手を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。下記では、
図1(A)(B)に示された右方を「前方」、同左方を「後方」として説明する。また、「内、外」の表現は、管継手1または管Pの中心軸を基準とし、中心軸に近い側を「内側」または「径内側」、中心軸から遠い側を「外側」または「径外側」として説明する。
【0016】
本実施形態の管継手1は、
図1(A)(B)に示すように、胴部2、スリーブ部3、後方パッキン4、前方パッキン5、絶縁リング6を備えている。
【0017】
胴部2は金属製とされている。本実施形態の胴部2は銅合金製であるが、その他種々の金属で形成することができる。この胴部2は基部21を有している。そして、この基部21から前方には管支持部22が突出している。一方、基部21から後方には後方接続部23が突出している。胴部2の内部には前後に貫通した空間が設けられており、この空間を、取り付けられた管Pからの水が通る。なお、本実施形態の管継手1は軸方向が一直線である直管状であるが、これに限定されず、エルボ状やチーズ状であってもよい。また、基部21の後方に後方接続部23を設けず、その代わりに管支持部22を設けてもよい(つまり、基部21を挟んで前後に管支持部22,22を設けた形態である)。
【0018】
本実施形態では、基部21の外形形状が六角筒状(ナット状)とされており、スパナ、レンチ等の締結工具が係合できる。また、基部21の前方側の内部であり、管支持部22の外周よりも径外の位置には、接続される管Pの後端部が位置する管配置溝211が形成されている。この管配置溝211には、スリーブ部3の後端部31が嵌め込まれることで固定されている。またこの管配置溝211には、後述する絶縁リング6が位置している。
【0019】
この基部21における前端面212には、
図2(A)に示すように、3条の凸条を有するかしめ工具Tの後端面T1が当接する。かしめ工具Tが備えるダイス(金型)は、内面が軸方向に直交する断面にて略半円状とされており、図示のように、軸方向に平行に位置する3本の凸条T2が径内方向に突出している。
この状態でかしめ施工を行った場合、
図2(B)に示すように、後方パッキン4の径外位置及び2箇所のかしめ用凹部224の径外位置でスリーブ部3が径内方向へと塑性変形し、
図2(C)に示すように、スリーブ部3の表面には、ダイス(金型)の凸条T2に対応した3本の圧縮痕溝34が形成される。
【0020】
管支持部22はその外観から「タケノコ」とも呼ばれる部分である。この管支持部22は、水が漏れないように、周方向に連続して設けられたものであり、外径寸法が接続対象である管Pの内径寸法よりもわずかに小さい(例えば0.4mm未満の差)略円筒状とされている。これにより、管支持部22は内部に軸方向に通水可能な内部流路22aを備え、管Pを径内から支持できる。この管支持部22の外周面には、後方パッキン4を収納できる、周方向に形成された溝部である後方パッキン取付凹部221と、前方パッキン5を収納できる、周方向に形成された溝部である前方パッキン取付凹部222とが周方向に連続して設けられている。後方パッキン取付凹部221及び前方パッキン取付凹部222の幅寸法(前後方向寸法)は、前記各凹部に収納される後方パッキン4及び前方パッキン5の幅寸法よりも大きい。これにより、管配置部24へ管Pが挿入されることに伴う前記各パッキン4,5の圧縮変形による幅方向への寸法拡大を吸収できる。
【0021】
後方パッキン取付凹部221の底部には、管支持部22の内面に貫通する内外貫通孔223が開口している。この内外貫通孔223は、管支持部22の内部流路22aから径外側へと貫通する円形断面の孔である。本実施形態の内外貫通孔223は1箇所であるが、一つの後方パッキン取付凹部221に複数の内外貫通孔223を設けることもできる。また、管支持部22には、かしめにより径内方向に変形した管内面を位置させることができる、周方向に形成された溝部であるかしめ用凹部224等、
図2(B)に示すようにかしめ後に変形した管Pが引っ掛かることで、水圧により管Pが前方に抜けないようにするための凹凸が設けられている。
【0022】
スリーブ部3は管支持部22の径外側に設けられている。このスリーブ部3は、管支持部22の径外に、管Pを挿入できる間隔を空けて位置する。これにより、管支持部22とスリーブ部3との間に管配置部24が形成される。この管配置部24は、後端が閉鎖された空間を有し、この空間へ管Pを前方から挿入できる。
図1(A)に示すように、管支持部22はスリーブ部3から前方に突出している。このため、管支持部22に管Pの後端部を一致させることで、管Pの管配置部24への挿入を容易にできる。
【0023】
このスリーブ部3も管支持部22と同様、水が漏れないように周方向に連続して設けられており、内径寸法が管Pの外径寸法よりも大きい略円筒状とされている。このスリーブ部3はステンレス合金製であり、管配置部24へ管Pを挿入した後においてはスリーブ部3の内面と管Pの外面との間に通水可能な隙間(後述する漏出流路Fの一部)が存在し、かしめ工具T等によって径外からかしめられることにより、スリーブ部3における前記かしめ工具T等が当てられた箇所が径内方向へと塑性変形し、この塑性変形により管Pを水密に固定できるよう構成されている。このため、スリーブ部3の内径寸法は、かしめ前の状態では、スリーブ部3の内周面と管Pの外周面との間に通水可能な隙間(空間)が存在できる寸法とされている。また、スリーブ部3の後端部31は径内側に折り曲げられており、この後端部31が管配置溝211に位置している。なお、スリーブ部3の前端部32は若干径外側に折り曲げられている。このため、管Pを管支持部22とスリーブ部3との間に導きやすい。また、この前端部32は、かしめ工具Tのダイス(金型)が引っ掛かることでかしめ工具Tが前方へずれることを抑制する作用も奏する。
【0024】
図1(A)に示すように、スリーブ部3の後部には円形のインジケータ孔33が貫通して形成されている。このインジケータ孔33により、胴部2の管配置溝211に挿入された管Pの後端部が管継手1の外部から視認できる。このため、管配置部24へ確実に管Pを挿入できる。
【0025】
後方接続部23は、外周面に雄ねじが形成されており、胴部2の後方に各種の管や、継手、エルボ等を接続できる。なお、この後方接続部23は、種々の接続方式に対応するため、例えば雌ねじ、袋ナット、フランジ等、種々の接続手段を形成することができる。
【0026】
後方パッキン4は、管支持部22に取り付けられ、管継手1に挿入された管Pの内面に対して水の通過を阻止できるよう、水密に密着することにより、管Pを通る水を管外へ漏出させないために設けられる。この後方パッキン4は合成ゴム製(硬度80度)のリング状であり、管支持部22の後方パッキン取付凹部221に取り付けられる。この後方パッキン4は、後方パッキン取付凹部221に収納された状態での外径寸法が管Pの内径寸法とほぼ同じになるよう、管支持部22の外径寸法よりも、後方パッキン4の外径寸法の方が大きくなるように形成されている。このため、管配置部24へ管Pが挿入された際に、後方パッキン4と管Pの内周面との間を水密にシールできる。よって、後方パッキン4よりも前方の位置と後方の位置との間で、管Pの内周面に沿って水が通り抜けることを阻止できる。このため後述のように、管外に漏れようとする水は全て内外貫通孔223を通ることになる。
【0027】
後方パッキン4は、
図3(A)〜(C)に示すように、幅方向の端面、つまり前端部及び後端部に、径方向に延びる溝部41を備えている。この溝部41は、後方パッキン4が後方パッキン取付凹部221に収納された状態であり、かつ、管配置部24へ管Pが挿入されることで後方パッキン4が圧縮変形した際でも、パッキン取付凹部221の幅方向における内面と後方パッキン4との間に通水可能な空間が確保されるために形成されている。
【0028】
本実施形態における溝部41は前記各端部において90°毎に4箇所形成されている。また、前端部の溝部41と後端部の溝部41とは、45°ずれて形成されている。このため、後方パッキン取付凹部221に対する後方パッキン4の周方向における取付位置が限定されることがない。なお、この溝部41は、後方パッキン4の前端部または後端部の一方のみに形成されていてもよい。ただし、溝部41が前端部または後端部の一方のみに形成された場合には、溝部41の形成された端部を後方に位置させる必要がある。初期水圧テスト時に内部流路22aから漏れようとする水は、パッキン取付凹部221の後方内壁と後方パッキン4との間を通るからである。
【0029】
前方パッキン5は、後方パッキン4と同様に管支持部22に取り付けられ、管継手1に挿入された管Pの内面に対して水の通過を阻止できるよう、水密に密着することにより、管Pを通る水を管外へ漏出させないために設けられる。この前方パッキン5は、一般的な形状である合成ゴム製のOリングとされている。後方パッキン4と同様、この前方パッキン5も、前方パッキン取付凹部222に収納された状態での外径寸法が管Pの内径寸法よりも大きくなるよう、管支持部22の外径寸法よりも、前方パッキン5の外径寸法の方が大きくなるように形成されている。このため、胴部2に管Pが取り付けられた際に、前方パッキン5と管Pの内周面との間を水密にシールできる。この前方パッキン5は、後方パッキン4による止水をバックアップするものである。
【0030】
絶縁リング6は、管配置部24の後端部に挿入されたリングである。本実施形態の絶縁リング6は、絶縁体である発泡ポリエチレン製のリングである。この絶縁リング6は胴部2の管配置溝211に挿入された管Pの後端部によって押されることにより、前後方向に圧縮変形する。この絶縁リング6は管Pが金属層を樹脂層で挟んで形成された多層管である場合に絶縁作用を奏するもので、管Pが樹脂管である場合は必須でない。なお、この絶縁リング6は全体が絶縁体からなるものに限られず、少なくとも、胴部2及び多層管である管Pの管端に当接する面に絶縁体が露出していれば良い。このように管配置部24に絶縁リング6が設けられたことにより、管Pを管配置部24の後端まで挿入した際には、胴部2と管Pの管端との間に絶縁リング6が位置することになる。このため、多層管である管Pの金属層と金属製である胴部2との間を絶縁することができ、両者の間に電位差を生じさせないようにできる。よって、金属層及び胴部2が腐食することを防止できる。
【0031】
前記のように各部が構成された管継手1には、かしめ前の状態では、つまり、かしめ工具T等によってスリーブ部3の塑性変形がなされるまでの状態では、内外貫通孔223及び後方パッキン取付凹部221を介して外部に流体が漏出する漏出流路Fが形成される。より具体的に、この漏出流路Fは、前記内外貫通孔223、後方パッキン取付凹部221、管内面(と管支持部22との間)、管端面(と絶縁リング6との間)、管外面(とスリーブ部3との間)の順に通水できる流路である。この漏出流路Fは、管Pの内部の水圧を受けることで、後方パッキン4の内面と後方パッキン取付凹部221の底面との間が押し広げられることにより通水可能な空間が生まれることで形成される。この漏出流路Fの存在により、初期水圧テスト時には、管Pの内部からこの漏出流路Fを通って、管継手1の外部へと水が通り抜ける。よって、ほぼ確実に水漏れを発生させることができるため、かしめ施工不良を確実に発見できる。しかも、後方パッキン取付凹部221に内外貫通孔223を形成するだけで、かしめ施工不良を確実に発見できる管継手1を実現できるので、格別特殊な構造を採用することなく(なお、本実施形態のような溝部41を有する後方パッキン4は本発明において必須ではなく、Oリング等、汎用のパッキンを使用できる)、かしめ施工不良を容易に発見できる管継手1を低コストで製造できる。
【0032】
また、初期水圧テスト時における、管Pの内部から管継手1の外部に漏れ出る水は必ず内外貫通孔223を通る。この内外貫通孔223は、横断面積につき、管支持部22と管Pの内面との間の、全周にわたる隙間の断面積よりもはるかに小さく設定できる。このため、従来のように初期水圧テスト時に多量の水が漏れることを抑制でき、少ない漏水でかしめ施工不良の発見が可能である。このため、本実施形態の管継手1では、初期水圧テスト時に水漏れが発生しても、管継手1の周辺が水浸しになることで、水濡れを嫌う設備(例えば電気設備等)を故障させてしまうような可能性も極めて低い。このため、初期水圧テストを安心して行うことができる。
【0033】
前記のように、かしめ施工不良の場合にほぼ確実に水漏れを発生するための、本実施形態における、各部の適切な具体的寸法を以下に列挙する。下記具体的寸法は、管Pの水圧が水道圧(水道法で規定された0.75MPa以下)におけるものであって、樹脂管である管Pの外径が16.0mmで、同内径が12.0mmの場合である。
なお、その他の条件においても、下記具体的寸法を基として計算またはシミュレーションを行うことにより、おおよその寸法を導出することが可能である。
・内外貫通孔223の直径:0.3〜1.0mm
・後方パッキン取付凹部221の幅寸法:3.0〜5.0mm
・後方パッキン4の幅寸法:2.5〜4.5mm
・後方パッキン4の外径寸法:11.7〜12.0mm
・後方パッキン4の管支持部22における最大外径部分からの突出寸法:0.05〜0.15mm
・後方パッキン4の硬度:60〜90度
【0034】
次に、本実施形態の管継手1の現場における施工要領について簡単に説明する。後方接続部23に、ねじ継手を取り付けた管をねじ込む。そして、管配置部24に管(樹脂管)Pを差し込む。なお、管Pの後端部については、あらかじめ管Pの軸線に対して垂直にカットし、内径側の角を面取りしておく。次に、かしめ工具T(
図2(A)にダイス(金型)部分のみを示す)によりスリーブ部3を径外から圧縮することによりスリーブ部3をかしめる。かしめを行う位置は、後方パッキン4の径外位置及び2箇所のかしめ用凹部224の径外位置である。このかしめにより、スリーブ部3と樹脂管である管Pが径内方向に変形する。また、後方パッキン4も前記変形した管Pによって圧縮変形する。これにより、管支持部22と管Pとが水密に固定される。よって、管Pに水圧がかかっても、管継手1から水漏れが発生することがない。
【0035】
前記かしめの施工後に、管継手1に接続された管Pに通水する初期水圧テストが行われ、目視及び触診により水漏れが確認される。この際、もしも、かしめ施工不良(例えばかしめ作業を忘れたり、かしめ作業を行ったものの、かしめが不十分であったりした場合)があった場合、かしめ施工不良であった管継手1からは水漏れが起こる。このため、初期水圧テストで水漏れが発生した管継手1に関してはかしめを行う。そして必要により再度の初期水圧テストを行い、水漏れが認められなかった場合は、テスト合格として施工を完了する。
【0036】
次に、本願の発明者らが本実施形態に係る管継手1を試作して実験を行ったので説明する。まず、かしめを行わない状態の管継手1の前後に管を接続した。
常温にて、水圧0.02MPaで2分通水したところ、水滴がしたたる程度の水漏れが確認できた。
また、常温にて、水圧0.15MPaで2分通水したところ、水滴がしたたる程度の水漏れが確認できた。
また、常温にて、水圧0.75MPaで2分通水したところ、水が細い線状で直下に流れ落ちる程度の水漏れが確認できた。
また、常温にて、水圧1.75MPaで2分通水したところ、水が噴き出る程度の水漏れが確認できた。
ちなみに、その後かしめを行い、前記各条件の通水を行ったところ、どの条件でも水漏れは確認されなかった。
このように、本実施形態に係る管継手1が、水漏れの発生によりかしめ施工不良を容易に発見できることを実際に確認することができた。
ちなみに、本実験では前記のように「水が噴き出る程度の水漏れ」となる場合があったが、実際にはこのような大きな水漏れに至るまでに管継手1への通水が停止されるため、本実施形態の管継手1から漏れた水により建物に被害が及ぶようなことはない。
【0037】
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下では前記実施形態との相違点のみを説明する。共通点については図に前記実施形態と同一の符号を付しており、重複して説明しない。
【0038】
図5及び
図6に示す実施形態は、後方パッキン4とスリーブ部3の内面とが直接当接し、後方パッキン4の位置まで管Pが挿入されない形態である。このため、基部21は管配置溝211を有さない。ここで、特に樹脂管については、製造ロットにより寸法差があるため、前記実施形態の管継手1では、後方パッキン4と樹脂管である管Pの当接状態がばらつくことがある。これに対し、本実施形態では後方パッキン4とスリーブ部3との間に管Pが介在しないため、当接状態は常に同じである。よって、かしめ施工不良時における水漏れの量が管の寸法によってばらつかず一定にできる。
【0039】
また、この実施形態では、後方パッキン取付凹部221の前方に形成された壁部225の前端面に当接するようにシート状の樹脂からなる絶縁シート7が位置している。管Pは、
図6(A)に示すように、この絶縁シート7よりも前方に挿入される。この絶縁シート7は、前記実施形態の絶縁リング6と同様、管Pが金属層を樹脂層で挟んで形成された多層管である場合に絶縁作用を奏する。
【0040】
また、
図7及び
図8に示す実施形態は、後方パッキン4として一般的な形状である合成ゴム製のOリングを用い、後方パッキン取付凹部221を、径内側を径外側よりも幅広である、あり溝として形成したものである。後方パッキン取付凹部221をこのようなあり溝とすることにより、ごく一般的なOリングを後方パッキン4として用いても、後方パッキン取付凹部221と後方パッキン4との間に空間を確保できることから、漏出流路Fが確保される。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0042】
例えば、本発明の管継手1は、水道用管を接続するもの以外に、冷媒等の各種流体(特に液体)を通す管を接続するものとして用いることができる。
【0043】
また、内外貫通孔223は、管支持部22を径内外に貫通して通水できるよう構成されていればよい。よって、前記各実施形態に限定されず、後方パッキン取付凹部221等の、管支持部22にパッキンを取り付けるための凹部における底面以外の内面に開口することもできる。
【0044】
また、前記各実施形態では、管支持部22における周方向全周にわたって形成された、溝状の後方パッキン取付凹部221に対して、リング状の後方パッキン4が取り付けられるよう構成されていたが、これに限定されない。例えば、後方パッキン取付凹部221を、管支持部22における周方向の一部に、径外方向から見た場合に例えば円形の凹部として形成し、これに対応して後方パッキン4を、前記形状の後方パッキン取付凹部221に嵌まるような、例えば略円柱状に形成することもできる。なお、このように後方パッキン4をリング状としない場合、管Pの内面と管支持部22との間における前後方向の止水は、例えば後方パッキン4よりも前方に別に設けたOリングにより担保される。