【実施例】
【0016】
(実施例1)
本発明の溶着検査システムに係る実施例について、
図1〜
図11を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例の溶着検査システム1は、正側スイッチ2aと負側スイッチ2bとの、2つのスイッチ2について、溶着の検査を行う。正側スイッチ2aは、直流電源10の正電極11と電気機器3との間に設けられている。また、負側スイッチ2bは、直流電源10の負電極12と電気機器3との間に設けられている。
【0017】
溶着検査システム1は、交流電流Iを発生する交流電流発生部4と、交流電流Iを検出する交流電流検出部5とを備える。また、溶着検査システム1は、2つのスイッチ2a,2bのうち少なくとも一方が溶着しているか否かを判断する溶着判断部6と、電気伝導性を有する
隣接導電部材7
(以下、単に「導電部材7」とも記す)とを備える。
【0018】
図9、
図10に示すごとく、2つのスイッチ2(2a,2b)は、電磁コイル20への通電の有無により、電流が流れるオン状態と、電流が流れないオフ状態とが切り替わるよう構成されている。
図4に示すごとく、正側スイッチ2aが溶着したときには、交流電流Iが、正側スイッチ2aと交流電流検出部5と導電部材7とを含む第1ループL1を流れる。また、
図5に示すごとく、負側スイッチ2bが溶着したときには、交流電流Iが、負側スイッチ2bと交流電流検出部5と導電部材7とを含む第2ループL2を流れるよう構成されている。
【0019】
溶着判断部6は、
図4、
図5に示すごとく、2つのスイッチ2a,2bが両方ともオフ状態になるよう制御された状態、すなわち電磁コイル20への通電を停止した状態において、交流電流発生部4から発生した交流電流Iが第1ループL1又は第2ループL2を流れ、交流電流検出部5によって所定の振幅以上の交流電流Iが検出されたときには、2つのスイッチ2a,2bのうち少なくとも一方が溶着していると判断する。また、溶着判断部6は、交流電流検出部5によって上記所定の振幅以上の交流電流Iが検出されないとき(
図1参照)には、2つのスイッチ2a,2bがいずれも溶着していないと判断する。
【0020】
2つのスイッチ2a,2bがいずれも溶着していない場合、交流電流Iはスイッチ2a,2bを流れないため、交流電流検出部5によって交流電流Iが検出されない。そのため、交流電流検出部5の検出値は、例えば
図2のグラフのようになり、変動値が小さい。
【0021】
これに対して、2つのスイッチ2a,2bのうち少なくとも一方が溶着した場合、交流電流Iがスイッチ2a,2bを流れ、これが交流電流検出部5によって検出される。そのため、交流電流検出部5の検出値は、例えば
図3のグラフのようになり、所定の周期で変化する。このように、交流電流検出部5の検出値が所定の周期で変化したときに、溶着判断部6は、スイッチ2a,2bが溶着していると判断する。
【0022】
なお、本例の交流電流検出部5は、後述する接続点A(
図1参照)と導電部材7との間の電位差を検出することにより、交流電流Iを検出している。
【0023】
また、
図1に示すごとく、本例では、2個のスイッチ2a,2bと1個の電磁コイル20とにより、1つのリレー21を構成してある。後述するように、1個の電磁コイル20に通電すると、2個のスイッチ2a,2bが両方ともオン状態になり、電磁コイル20への通電を停止すると、2個のスイッチ2a,2bが両方ともオフ状態になるよう構成されている。
【0024】
本例の電気機器3は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための双方向DC−DCコンバータ3aである。
図1に示すごとく、双方向DC−DCコンバータ3aには、平滑コンデンサ13が並列接続されている。双方向DC−DCコンバータ3aは、直流電源10の直流電圧を降圧して補助電源16(バッテリー)を充電する動作と、補助電源16の電力を利用して平滑コンデンサ13を充電する動作とを行う。
【0025】
すなわち、スイッチ2a,2bを暫くオフ状態にしておくと、平滑コンデンサ13の電荷が徐々に放電するため、この状態で2つのスイッチ2a,2bを両方ともオンすると、平滑コンデンサ13に突入電流が流れてしまう。そのため、スイッチ2a,2bが溶着するおそれが生じる。したがって、スイッチ2a,2bをオンする前に、双方向DC−DCコンバータ3aを使って平滑コンデンサ13を充電するようにしている。平滑コンデンサ13を充電しておけば、スイッチ2a,2bをオンしても突入電流は流れない。
また、本例では、このようにスイッチ2a,2bをオンした後、双方向DC−DCコンバータ3aを使って直流電源10の電圧を降圧し、補助電源16を充電する。
【0026】
また、本例では
図1に示すごとく、電気機器3(双方向DC−DCコンバータ3a)を交流電流発生部4として利用している。すなわち、電気機器3には後述する半導体スイッチング素子30(
図8参照)が含まれており、この半導体スイッチング素子30のスイッチング動作に伴ってノイズ電流が発生する。このノイズ電流を、上記交流電流Iとして利用している。
【0027】
また、本例では、交流電流検出部5は漏電検知部8を兼ねている。すなわち、スイッチ2a,2bの溶着チェックを行うときは、電気機器3(交流電流発生部4)から発生した交流電流Iを交流電流検出部5において検出し、溶着チェックが完了してスイッチ2a,2bをオンした後は、電気機器3を稼働しつつ、交流電流検出部5を使って、直流電源10の電流が導電部材7に漏電していないか検査する。漏電の検査方法については、後述する。
【0028】
次に、
図11を用いて、電気機器3を稼働するときの全体のフローチャートについて説明する。同図に示すごとく、電気機器3を稼働させるときには、まず、双方向DC−DCコンバータ3aを用いて、平滑コンデンサ13を充電する(ステップS1)。
【0029】
充電中には、上記半導体スイッチング素子30のスイッチング動作によって、交流電流I(ノイズ電流)が発生する。ステップS2では、この交流電流Iを交流電流検出部5が検出したか否かを判断する。ここでは、所定の振幅以上の交流電流Iが検出されたか否かを判断基準とする。ステップS2においてYesと判断したとき、すなわちスイッチ2a,2bが溶着していると判断したときは、ステップS3に移動する。ステップS3では、スイッチ2a,2bをオンしないように制御すると共に、車両のECUに異常発生信号を送信する。また、ステップS2においてNoと判断したとき、すなわちスイッチ2a,2bが溶着していないと判断したときは、ステップS4に移動し、スイッチ2a,2bをオンする。
【0030】
その後、ステップS5に移動し、電気機器3(双方向DC−DCコンバータ3a)を稼働して、補助電源16を充電する。また、ステップS6において、補助電源16の充電中に、上記漏電検知部8によって漏電が検知されたか否かを判断する。ステップS6においてYes、すなわち漏電が検知されたと判断した場合は、ステップS7に移動し、スイッチ2a,2bをオフにすると共に、車両のECUに異常発生信号を送信する。
【0031】
一方、
図1に示すごとく、本例では、上記導電部材7をグランドに接続してある。上記導電部材7は車両のボディである。また、交流電流検出部5は導電部材7に接続している。電気機器3のケース35と導電部材7との間には浮遊容量C
f1が存在している。
図4、
図5に示すごとく、浮遊容量C
f1は、交流電流Iが流れるループL1,L2の一部をなしている。
【0032】
図4に示すごとく、正側スイッチ2aが溶着した場合、交流電流Iは第1ループL1を流れる。第1ループL1は、正側スイッチ2aと、直流電源10と、カップリングコンデンサ14と、交流電流検出部5と、導電部材7と、浮遊容量C
f1と、電気機器3とを含むループである。また、
図5に示すごとく、負側スイッチ2aが溶着した場合、交流電流Iは第2ループL2を流れる。第2ループL2は、負側スイッチ2bと、カップリングコンデンサ14と、交流電流検出部5と、導電部材7と、浮遊容量C
f1と、電気機器3とを含むループである。
【0033】
次に、
図8を用いて、電気機器3(双方向DC−DCコンバータ3a)の説明をする。同図に示すごとく、双方向DC−DCコンバータ3aは、複数個の半導体スイッチング素子30と、トランス31と、フィルタ用のコンデンサ33とを備える。半導体スイッチン素子30によって2つのブリッジ回路301,302を構成してある。個々の半導体スイッチング素子30には、ダイオード32が逆並列接続している。一次側ブリッジ回路301の接続端子305,306は、直流電源10(
図1参照)の正電極11及び負電極12に電気接続している。また、二次側ブリッジ回路302の端子307は、上記電源16に電気接続している。
【0034】
上述したように、本例では、スイッチ2a,2b(
図1参照)をオンする前に、平滑コンデンサ13を充電する。このときには、二次側ブリッジ回路302の半導体スイッチング素子30bをスイッチング動作させて、補助電源16の直流電圧を交流電圧に変換し、これをトランス31の二次コイル312に加える。そして、一次コイル311から発生する一次電圧を、一次側のダイオード32aを用いて整流する。これによって得られた直流電圧を用いて、平滑コンデンサ13を充電する。
【0035】
また、補助電源16を充電するときには、一次側ブリッジ回路301の半導体スイッチング素子30aをオンオフ動作し、直流電源10の直流電圧を交流電圧に変換して、これをトランス31の一次コイル311に加える。そして、二次コイル312から出力される二次電圧を、二次側のダイオード32bを用いて整流する。これによって得られた直流電圧を用いて、補助電源16を充電する。
【0036】
次に、交流電流検出部5を用いて漏電の検出を行う方法について説明する。
図1に示すごとく、本例の交流電流検出部5には漏電検査用交流発生源15が接続している。漏電検査用交流発生源15と交流電流検出部5との接続点Aと、直流電源10の負電極12とは、カップリングコンデンサ14を介して電気的に接続されている。
【0037】
図6に示すごとく、直流電源10の電流が導電部材7に漏電していない場合は、漏電検査用交流発生源15から発生した交流電流iは、その殆どが交流電流検出部5および導電部材7を通ってグランドに流れる。また、
図7に示すごとく、直流電源10の電流が導電部材7に漏電する場合は、交流電流iの一部は、カップリングコンデンサ14を介して電流経路19へ流れ、漏電する部位を通って、導電部材7に流れる。そのため、漏電する場合と漏電しない場合とで、接続点Aの電圧が変化する。この電圧の変化を検出することにより、漏電しているか否かを判断するようになっている。
【0038】
次に、上記リレー21の構造について説明する。
図9に示すごとく、本例のリレー21は、上記2個のスイッチ2a,2bと、1個の電磁コイル20と、第1プランジャ23aおよび第2プランジャ23bと、ヨーク22とを備える。個々のスイッチ2は、導体からなる固定接点29及び可動接点28と、固定接点29を支持する固定接点支持部27と、可動接点28を支持する可動接点支持部26とから構成されている。プランジャ23には、プランジャ側ばね部材24が取り付けられている。プランジャ側ばね部材24は、プランジャ23を軸線方向(Z方向)における可動接点支持部26側へ押圧している。また、可動接点支持部26には、接点側ばね部材25が取り付けられている。接点側ばね部材25は、可動接点支持部26をZ方向におけるプランジャ23側へ押圧している。
【0039】
電磁コイル20に通電すると、
図10に示すごとく、磁束Φが発生する。磁束Φの一部Φ1は、第1プランジャ23a及びヨーク23を流れ、他の一部Φ2は、第2プランジャ23b及びヨーク23を流れる。これにより生じた磁力により、2つのプランジャ23a,23bをそれぞれ吸引する。プランジャ23a,23bが吸引されると、接点側ばね部材25の押圧力により、可動接点支持部26が押圧され、スイッチ2a,2bがオン状態になる。
【0040】
また、電磁コイル20への通電を停止すると、プランジャ23a,23bを吸引する磁力が消滅する。そのため
図9に示すごとく、プランジャ側ばね部材24の押圧力により、プランジャ23a,23bはZ方向に押圧される。そして、プランジャ23a,23bは可動接点支持部26に当接し、接点側ばね部材25の押圧力に抗して、可動接点支持部26をZ方向に移動させ、固定接点支持部27から離隔させる。そのため、スイッチ2a,2bがオフ状態になる。
【0041】
なお、
図10に示すごとく、リレー21には、第1磁気回路C1と第2磁気回路C2とが形成されている。第1磁気回路C1には、磁束Φが飽和する磁気飽和部220が形成されている。磁束Φの一部Φ1は、第1磁気回路C1を流れ、磁気飽和部220において磁気飽和する。そのため、他の一部Φ2が第2磁気回路C2を流れるようになっている。
【0042】
以上説明したように、本例では、1個の電磁コイル20への通電の有無により、2つのスイッチ2a,2bを両方とも、オン状態またはオフ状態にするよう構成されている。
【0043】
次に、本例の作用効果について説明する。
図4に示すごとく、本例では、正側スイッチ2aが溶着したときに、交流電流Iが、正側スイッチ2aを含む第1ループL1を流れるよう構成されている。また、本例では
図5に示すごとく、負側スイッチ2bが溶着したときに、交流電流Iが、負側スイッチ2bを含む第2ループL2を流れるよう構成されている。つまり、正側スイッチ2aが溶着したときに交流電流Iが流れるループ(第1ループL1)と、負側スイッチ2bが溶着したときに交流電流Iが流れるループ(第2ループL2)とが、別々になっている。
したがって、2つのスイッチ2(2a,2b)のうち一方のスイッチ2が溶着した場合、他方のスイッチ2が溶着していても溶着していなくてもループに必ず交流電流Iが流れ、これを交流電流検出部5によって検出することができる。そのため、2つのスイッチ2が両方ともオフになるよう制御した状態(電磁コイル20への通電を停止した状態)で、交流電流Iが検出されれば、2つのスイッチ2a,2bのうち少なくとも一方が溶着していると判断でき、交流電流Iが検出されなければ、2つのスイッチ2a,2bがいずれも溶着していないと判断することが可能になる。したがって、従来のようにスイッチ2a,2bの切り替えを行わなくても(
図16、
図17参照)、2つのスイッチ2a,2bの溶着チェックを一度に行うことができる。そのため、溶着の検査を短時間で行うことが可能になる。
【0044】
すなわち、仮に
図16に示すごとく、交流電流Iを用いず、直流電源910の電流を用いてスイッチ92a,92bの溶着チェックを行おうとすると、例えば、まず負側スイッチ92bのみをオンし、正側スイッチ92aがオフになるよう制御した状態で、正側スイッチ92aに電流が流れるか否かを確認する必要がある。正側スイッチ92aが溶着している場合、平滑コンデンサ913が瞬間的に充電されるため、直流電源10から突入電流が、正側スイッチ92aと、平滑コンデンサ913と、負側スイッチ92bとを流れる。この突入電流が電流センサ99によって検出される。
【0045】
正側スイッチ92aの溶着チェックを行った後、負側スイッチ92bの溶着チェックを行う。すなわち、
図17に示すごとく、正側スイッチ92aをオンし、負側スイッチ92bがオフになるよう制御した状態で、負側スイッチ92bに電流が流れるか否かを確認する。負側スイッチ92bが溶着している場合、直流電源910から突入電流が流れるため、これが電流センサ99によって検出される。
【0046】
このように、直流電源910の電流を用いてスイッチ92a,92bの溶着チェックを行おうとすると、正側スイッチ92aのみがオンになるよう制御し(
図16参照)、その後、負側スイッチ92bのみがオンになるよう制御する(
図17参照)必要がある。そのため、スイッチ92の切り替えを行う必要が生じ、溶着チェックに時間がかかりやすくなる。
【0047】
これに対して本発明では、
図4、
図5に示すごとく、2つのスイッチ2a,2bが両方ともオフになるよう制御した状態で、これら2つのスイッチ2a,2bについて、溶着しているか否かを一度に検査することができる。そのため、スイッチ2a,2bの切り替えを行う必要がなく、溶着の検査を短時間で行うことができる。
【0048】
また、本例では
図9、
図10に示すごとく、電磁コイル20を1個しか設けていない。そして、この1個の電磁コイル20を用いて、2個のスイッチ2a,2bをオンオフ動作するよう構成されている。
そのため、電磁コイル20の数を低減することができ、リレー21の製造コストを低減することが可能になる。また、上記リレー21は、2個のスイッチ2a,2bのうち、いずれか一方のみをオン状態にすることができず、両方ともオン状態にするか、又は両方ともオフ状態にせざるを得ないが、本例では、2個のスイッチ2a,2bが両方ともオフ状態になっていても溶着チェックを行うことができるため、このようなリレー21を採用することができる。
【0049】
また、本例では
図1に示すごとく、電気機器3が交流電流発生部4を兼ねている。そのため、専用の交流電流発生部4を設ける必要がなくなり、溶着検査システム1を安価に構築することが可能になる。
【0050】
また、本例では
図1に示すごとく、漏電検知部8が交流電流検出部5を兼ねている。そのため、専用の交流電流検出部5を設ける必要がなくなり、溶着検査システム1を安価に構築することが可能になる。
【0051】
以上のごとく、本例によれば、2つのスイッチについて、溶着の検査を短時間で行うことができる溶着検査システムを提供することができる。
【0052】
なお、本例では、1個の電磁コイル20を用いて、2つのスイッチ2a,2bを両方ともオン状態またはオフ状態にするよう構成したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、2個の電磁コイル20を設けておき、個々のスイッチ2a,2bをそれぞれ別の電磁コイル20によってオンオフ動作させるよう構成してもよい。
【0053】
また、本例の交流電流検出部5は、上記接続点Aと導電部材7との間の電圧を検出することにより、交流電流Iを検出しているが、本発明はこれに限るものではなく、交流電流Iを電流のまま検出してもよい。つまり、本発明では、交流電流Iを、交流電圧に変換して検出してもよく、交流電流Iのまま検出してもよい。
【0054】
(実施例2)
本例は、電気機器3の構成を変更した例である。
図12に示すごとく、本例では、直流電源10に2つの電気機器3(3a,3b)を接続してある。一方の電気機器3aは双方向DC−DCコンバータである。また、他方の電気機器3bには、
図13に示すごとく、昇圧コンバータ38とインバータ39とが内蔵されている。
【0055】
電気機器3bは、複数の半導体スイッチング素子30と、リアクトル34と、コンデンサ36,37とを備える。昇圧コンバータ38を構成する2つの半導体スイッチング素子30c,30dのうち、下アーム半導体スイッチング素子30dをスイッチング動作することにより、直流電源10の直流電圧を昇圧するよう構成されている。また、インバータ39を構成する複数の半導体スイッチング素子30をスイッチング動作することにより、昇圧した直流電圧を交流電圧に変換している。そして、得られた交流電圧を使って、三相交流モータ390を駆動するよう構成されている。
【0056】
上記半導体スイッチング素子30のスイッチング動作に伴って、実施例1同様に、電気機器3bからノイズ電流が発生する。本例では、このノイズ電流を上記交流電流Iとして利用し、スイッチ2a,2bの溶着チェックを行っている。
【0057】
また、本例の直流電源10と電気機器3は、ハイブリッド車と、プラグインハイブリッド車と、電気自動車とのいずれかに搭載されている。すなわち、本例の溶着検査システム1は、車載用溶着検査システムである。直流電源10は電池セルである。また、電気機器3は、DC−DCコンバータ3aと、昇圧コンバータ38と、インバータ39とのいずれかである。電気機器3は、交流電流発生部4を兼ねている。また、交流電流検出部5は、上述した漏電検知部8を兼ねている。
このようにすると、電気機器3が交流電流発生部4を兼ねており、かつ、交流電流検出部5が漏電検知部8を兼ねているため、専用の交流電流発生部4及び専用の交流電流検出部5を設ける必要がなくなる。そのため、溶着検知システム1を特に安価に構築することができる。
【0058】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0059】
(
参考例
1)
本例は、交流電流発生部4の構成を変更した例である。
図14に示すごとく、本例では、電気機器3が交流電流発生部4を兼ねておらず、電気機器3とは別の、専用の交流電流発生部4を設けてある。また、交流電流発生部4から発生する交流電流Iの周波数は、交流電流検出部5が漏電の検査をするときの周波数と等しい。
【0060】
このようにすると、交流電流検出部5が漏電の検査をするときと、スイッチ2a,2bの溶着の検査を行うときとで、交流電流の周波数を等しくすることができる。そのため、漏電検査時と溶着検査時とで、交流電流検出部5が周波数の切り替えを行う必要がなくなる。
すなわち、漏電の検査を行うときには、漏電の検査に最適な周波数fの交流電流を、漏電検査用交流発生源15から発生する必要がある。この周波数fは、電気機器3から発生する交流電流I(ノイズ電流)の周波数f’とは異なる。そのため、仮に、電気機器3の交流電流Iを用いてスイッチ2a,2bの溶着チェックを行おうとすると、交流電流検出部5は、漏電検査時の周波数fと、溶着検査時の周波数f’とを切り替える必要が生じる。そのため、交流電流検出部5の回路構成が複雑になりやすい。しかしながら、本例のように専用の交流電流発生部4を用いれば、この交流電流発生部4の周波数を、漏電検査用の周波数fと等しくすることができる。そのため、交流電流検出部5は、漏電検査時と溶着検査時とで、周波数の切り替えを行う必要がなくなる。したがって、交流電流検出部5の回路構成を簡素にすることができる。
【0061】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0062】
なお、本例の交流電流発生部4から発生する交流電流Iの波形は、正弦波であってもよく、矩形波や三角波であってもよい。また、交流電流Iは、連続波である必要はなく、単パルス波であってもよい。
【0063】
(実施例
3)
本例は、溶着検査システム1の回路構成を変更した例である。
図15に示すごとく、本例では、交流電流検出部5と、カップリングコンデンサ14と、溶着判断部6と、漏電検査用交流電源15とを、金属製の収容ケース80に収容してある。交流電流検出部5は、グランドに接続されている。また、収容ケース80と導電部材7との間には、浮遊容量C
f3が介在している。
【0064】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。