(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来技術においては、登山口から下山口の経路のみを案内する。このため、別途、出発地(例えば、自宅)から登山口の経路および下山口から到着地(例えば、自宅)までの経路の検索を行う必要があった。このため、出発地から到着地までの経路探索を一括して行う技術が望まれていた。そのほか、従来の経路探索システムにおいては、その操作の簡便化や、使い勝手の向上、処理速度の向上、低コスト化、省資源化等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、経路探索システムが提供される。この経路探索システムは、経由地と、出発地と、到着地とを含む指定情報を受け取る入力部と;前記経由地に基づいて、登山口と下山口を選択する選択部と;前記出発地から、前記登山口と、前記経由地と、前記下山口とを経由して到着地に至る経路を決定し、さらに、前記経路に基づいて、前記経路の移動スケジュールを決定する決定部と;を備える。このような形態の経路探索システムであれば、予め登山口と下山口とを設定する必要が無い。また、このような形態の経路探索システムであれば、登山口から下山口までの経路のみでなく、出発地から到着地までの経路探索を一括して行うことができる。
【0007】
(2)上記形態の経路探索システムにおいて、前記決定部は、前記登山口から前記下山口までの経路を、基準時間内に移動するように、前記経路および前記移動スケジュールを決定してもよい。この形態の経路探索システムによれば、基準時間内に登山口から下山口まで移動可能か否かに応じて経路の変更を行うことができるため、利便性の高い経路探索を行うことができる。
【0008】
(3)上記形態の経路探索システムにおいて、前記決定部は、(i)宿泊をしないと仮定して、前記出発地から、前記登山口と、前記経由地と、前記下山口とを経由して到着地に至る仮経路を決定し、さらに、前記仮経路に基づいて、前記仮経路の仮移動スケジュールを決定し、(ii)前記仮経路と、前記仮移動スケジュールと、前記基準時間とに基づいて、宿泊地を決定し、(iii)前記出発地と、前記登山口と、前記経由地と、前記下山口と、前記到着地と、前記宿泊地とに基づいて、経路を決定し、さらに、前記経路に基づいて、前記経路の移動スケジュールを決定してもよい。この形態の経路探索システムによれば、基準時間内に登山口から下山口まで到着できない場合であっても、宿泊地を経由した経路を探索することができる。このため、利便性の高い経路探索を行うことができる。
【0009】
(4)上記形態の経路探索システムにおいて、前記入力部は、さらに、前記経由地に滞在する時間の情報を受け取ることができ、前記決定部は、前記登山口から前記下山口までの経路を、前記基準時間内に移動できないと判断した場合に、前記経由地に滞在する時間を短縮した移動スケジュールを決定してもよい。この経路探索システムによれば、基準時間内に、登山口から下山口まで到着できない場合に、経由地に滞在する時間を短縮することができる。このため、利便性の高い経路探索を行うことができる。
【0010】
(5)上記形態の経路探索システムにおいて、前記基準時間とは、山中で安全に行動できるとされている時間としてもよい。この形態の経路探索システムによれば、安全性の高い経路を探索することができる。
【0011】
(6)上記形態の経路探索システムにおいて、前記決定部は、日時情報に基づいて、少なくとも一部の経路を利用できるか否かを検索し、利用できる経路のみから構成される経路を決定してもよい。この形態の経路探索システムによれば、日時情報に基づいて経路を探索できる。このため、例えば、冬季は通行止めである経路がある場合に、このような事情を勘案した経路を探索でき、利便性の高い経路探索を行うことができる。
【0012】
(7)上記形態の経路探索システムにおいて、前記入力部は、さらに、移動手段の情報を受け取ることができ、前記移動手段が車の場合に、前記決定部は、前記登山口もしくは下山口の少なくとも一方に基づいて駐車場を決定し、前記駐車場を前記登山口の前と、前記下山口の後に経由する経路を決定してもよい。この形態の経路探索システムによれば、駐車場を考慮した経路を探索できる。このため、利便性の高い経路探索を行うことができる。
【0013】
(8)本発明の他の形態によれば、経路案内システムが提供される。経路案内システムは、上記の経路探索システムを備え、現在位置を取得する取得部と;前記現在位置と、前記経路とに基づいて、案内経路を表示する表示部と、を備える。この形態の経路案内システムによれば、登山口から下山口までの経路のみでなく、出発地から到着地までの経路案内を一括して行うことができる。
【0014】
(9)上記形態の経路案内システムにおいて、さらに、前記現在位置が前記登山口から前記下山口の間の経路にある場合であって、所定の指示が入力された場合に、前記現在位置から最も近い下山口に到着できる経路に前記経路を変更する変更部、を備えてもよい。この形態の経路案内システムによれば、例えば、緊急事態が発生した場合に、速やかに下山口に到着する経路を案内できる。このため、利便性の高い経路案内を行うことができる。
【0015】
本発明は、経路探索システム以外の種々の態様で実現することが可能である。例えば、経路探索装置や、経路探索方法、その方法を実現するためのコンピュータプログラムや、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.実施形態:
A1.全体構成:
図1は、本発明の実施形態である経路探索システムのハードウェア構成を示す図である。実施形態の経路探索システムは、地図サーバ150と、経路探索サーバ100と、携帯電話200と、を含む。
【0018】
携帯電話200は、GPSユニット201と、表示パネル202と、音声出力部203と、振動機構204と、通信部205と、コマンド入力部206と、時計部209と、主制御部210と、通話制御部220とを有している。
【0019】
GPSユニット201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)の衛星からの電波を受信するためのアンテナを含むユニットである。GPSのアンテナが受信する電波に基づいて、GPSユニット201は、携帯電話200の現在位置を表す現在位置情報を生成することができる。
【0020】
表示パネル202は、画像を表示することができる液晶ディスプレイである。音声出力部203は、スピーカを含む装置であって、経路案内などのユーザへのメッセージやメロディなどを音声で出力できる装置である。振動機構204は、所定のパターンの振動でユーザの注意を促すことができる装置である。本明細書においては、画像、音声、振動を出力する装置202〜204を、まとめて「出力部」と呼ぶことがある。
【0021】
通信部205は、インターネットINTを介して経路探索サーバ100や、地図サーバ150と通信を行い、情報を送受信することができる。コマンド入力部206は、テンキー206aとカーソルキー206bとを含む。ユーザは、テンキー206aとカーソルキー206bを介して携帯電話200に情報を入力する。時計部209は、主制御部210からの要求に応じて、現在時刻を表す現在時刻情報を出力する。通話制御部220は、通話のための着信呼出、音声/電気信号の変換などを行う回路である。
【0022】
主制御部210は、携帯電話200の各部を制御するための制御ユニットである。主制御部210は、それらの制御に使用されるCPU、RAM、ROMを備えている。たとえば、主制御部210は、CPUでアプリケーションソフトウェア212を実行することによって携帯電話200の各部を制御し、出発場所から到着場所までの経路を表す経路データを入手して、その経路を表示パネル202に表示することができる。
【0023】
経路探索サーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶部106とを有している。通信部102は、インターネットINTを介して地図サーバ150、および携帯電話200と通信を行うことができる。記憶部106は、経路探索のための経路ネットワークデータを格納している。
【0024】
経路ネットワークデータは、異なる種類の経路データが格納されている。具体的には、経路ネットワークデータは、車経路データと、公共交通手段の経路データと、歩行経路データを含んでいる。車経路データは、車が通行可能な経路(車道)に関する経路データである。公共交通手段の経路データは、公共交通手段(例えば、電車)が通行可能な経路(例えば、線路)に関する経路データである。歩行経路データは、歩行者が通行可能な経路(歩行者道や登山道など)に関する経路データである。記憶部106は、さらに、地図サーバ150、および携帯電話200から受け取ったデータ、およびそれらに基づいて生成されたデータを格納する。
【0025】
経路ネットワークデータは、ノード情報と、アーク情報(リンク情報)、属性情報とを含む。ノード情報は、カーブの開始点や終了点、POI(Point of interest)などの地点を表すデータである。「POI」とは、一般的な登山者が興味をいだく特定の場所をいい、例えば、山頂や、景勝地や、休憩所や、交差点や、分岐点をいう。
【0026】
アーク情報は、ノードとノードの間の経路であるアークを表すデータであり、例えば、車道や、線路や、歩行者道や登山道などの経路を表すデータである。各アークには固有のIDが割り当てられている。各アーク情報は、(i)それぞれのアークに含まれる多数の地点の緯度および経度のデータや、(ii)各アークを通過するのに要する時間のデータであって、アークの一端から他端まで移動するのに要する時間のデータと、その逆の方向(他端から一端まで)に移動するのに要する時間のデータを含んでいる。
【0027】
属性情報は、ノードあるいはアークに関連づけられており、その属性を示す情報である。属性情報は、ノードやアークに関する様々なデータを含む。例えば、ノードに関連付けられる属性情報は、ノードの名称(例えば、駅名や山頂名)や、ノードの種類(例えば、休憩所であること)や、その他の情報(例えば、標高)を含んでいる。
【0028】
アークに関連づけられる属性情報は、例えば、アークの名称(例えば、車道の名称や橋の名称)や、アークの種類(例えば、高速道路や有料道路)を含んでいる。1つのノードあるいはアークに関連づけられる属性情報は、1つである場合もあり、複数である場合もある。
【0029】
経路探索サーバ100の制御部104は、記憶部106に格納されている経路ネットワークデータを参照しつつ、出発場所や到着場所その他の探索条件の情報に基づいて、ルートを探索する。そして、制御部104は、出発場所から到着場所に至る経路を表す経路データを生成し、携帯電話200に送信する。経路データは、ノード情報、アーク情報、その他各種の情報を含む。
【0030】
地図サーバ150は、通信部152と、制御部154と、地図データベース156とを有している。通信部152は、インターネットINTを介して経路探索サーバ100や携帯電話200と通信を行うことができる。
【0031】
地図データベース156は、携帯電話200において表示パネル202に地図画像を表示するために携帯電話200に送信される地図画像データを格納している。地図画像データは、経路を表すベクトルデータを含んでいる。制御部154は、携帯電話200から受け取ったデータに基づいて携帯電話200が要求する領域の地図画像であって、予め定められた大きさの地図画像を表す地図画像データを特定し、通信部152を介して携帯電話200に送信する。
【0032】
A2.経路探索:
図2は、実施形態の経路探索処理の流れを示すフローチャートである。ステップS100では、携帯電話200の主制御部210は、コマンド入力部206を介して、ユーザから、検索条件の情報(以下、「指定情報」ともよぶ)を受け取る。
【0033】
図3は、指定情報の入力画面W1の一例を示す図である。入力画面W1は、入力欄C10〜C70と、キャンセルボタンB10と、検索開始ボタンB20と、を備える。
【0034】
入力欄C10は、ユーザにより第1目的地が入力される欄である。本実施形態において、ユーザによる目的地の入力により、入力欄C10に候補名が表示されるため、ユーザは、その候補名の中から意図した目的地を選択できる。このような態様は、以下に説明する入力欄C16、C20、C30においても同じである。入力欄C12は、ユーザにより第1目的地への到着日時が入力される欄である。入力欄C14は、ユーザにより第1目的地での滞在時間が入力される欄である。
【0035】
入力欄C16は、ユーザにより第2目的地が入力される欄である。入力欄C18は、ユーザにより第2目的地への到着日時が入力される欄である。入力欄C19は、ユーザにより第2目的地での滞在時間が入力される欄である。目的地への到着日時は、入力欄C12もしくは入力欄C18の一方に入力される。目的地の滞在時間は入力されていなくてもよい。また、本実施形態において、目的地が入力できる数は二つとしているが、1つ以上であればよい。
【0036】
入力欄C20は、ユーザにより出発場所が入力される欄である。ユーザは、入力欄C20へ、駅の名称や、住所などを入力することができる。入力欄C25は、出発場所を現在位置に指定する場合にチェックを入れるためのチェックボックスである。入力欄C25が選択された場合、主制御部210は、携帯電話200のGPSユニット201により生成された現在位置情報を、出発場所と指定する。入力欄C27は、ユーザにより出発日時が入力される欄である。
【0037】
入力欄C30は、ユーザにより到着場所が入力される欄である。ユーザは、入力欄C30へ、駅の名称や、住所などを入力することができる。入力欄C35は、到着場所を現在位置に指定する場合にチェックを入れるためのチェックボックスである。入力欄C35が選択された場合、主制御部210は、携帯電話200のGPSユニット201により生成された現在位置情報を、到着場所と指定する。入力欄C37は、ユーザにより到着日時が入力される欄である。
【0038】
入力欄C40は、登山時が山中行動可能時間帯でなくてもよいという場合にチェックを入れるためのチェックボックスである。入力欄C40がチェックされない場合、登山時は、山中行動可能時間帯となるように経路が決定される。なお、山中行動可能時間とは、山中で安全に行動できるとされている時間をいう。
【0039】
入力欄C50は、経路の途中で宿泊してもよいという場合にチェックを入れるためのチェックボックスである。また、入力欄C60は、テント場で宿泊してもよいという場合にチェックを入れるためのチェックボックスである。入力欄C70は、車を利用する場合にチェックを入れるためのチェックボックスである。なお、入力欄C40からC70は、選択がされていなくもよい。
【0040】
図2のステップS100において、携帯電話200の主制御部210は、検索開始ボタンB20が押下されることにより、ユーザの入力した指定情報を、通信部205を通じて経路探索サーバ100に送信する。ここでは、指定情報の内容は以下の内容とする。(i)
図3の入力欄C10からC14において、第1目的地を「A山山頂」、第1目的地への到着日時を「10月10日12時」、第1目的地での滞在時間を「30分」と入力され、(ii)入力欄C16において、第2目的地を「E展望台」と入力され、(iii)入力欄C20および入力欄C30において、出発場所および到着場所を「Z駅」と入力されたものとする。
【0041】
図4は、登山経路の一例を示す図である。C口およびF口は、登山口もしくは下山口である。C口は、C駅と直結しており、F口は、F駅と直結している。1号路は、C口―E展望台間の経路をいう。2号路は、C口―B寺―E展望台間の経路をいう。3号路は、E展望台―A山山頂間の経路をいう。4号路は、C口―D滝―A山山頂間の経路をいう。5号路は、F口―D滝間の経路をいう。
【0042】
図2のステップS110において、経路探索サーバ100の制御部104は、携帯電話200から受け取った指定情報に基づいて、登山口および下山口の選択を行う。本実施形態において、制御部104は、記憶部106に格納されている各アーク間を通過するのに要する時間に基づいて、A山山頂に至る登山口のうち、そこから最初の目的地であるA山山頂に到着するための所要時間が最も短い登山口(F口)を選択し、最後の目的地であるE展望台から最も所要時間が短い下山口(C口)を選択する。なお、ステップS110の処理を行う制御部104の機能部を、選択部112として、
図1に示す。
【0043】
ステップS120において、制御部104は、経路を決定し、その経路に基づいて移動スケジュールを決定する。経路は、(i)指定情報に含まれる出発場所(Z駅)と、目的地(A山山頂、E展望台)と、到着場所(Z駅)と、(ii)ステップS110において決定した登山口(F口)と、下山口(C口)とに基づいて決定される。制御部104による経路および移動スケジュールの決定方法を以下に示す。なお、ステップS120の処理を行う制御部104の機能部を、決定部114として、
図1に示す。
【0044】
本実施形態において、経路は、所要時間が最短となる経路とする。経路を決定する際の順番は、(i)登山口(F口)―第1目的地(A山山頂)間の経路、(ii)登山口(F口)―出発場所(Z駅)間の経路、(iii)第1目的地(A山山頂)―第2目的地(E展望台)間の経路、(iv)第2目的地(E展望台)―下山口(C口)間の経路、(v)下山口(C口)―到着場所(Z駅)間の経路、の順番である。本実施形態において制御部104が決定した経路は、
図4における5号路、4号路、3号路、1号路をその順に通過する経路である。なお、経路の順番について、制御部104が第1目的地の前後から決定している理由は、ユーザにより到着日時(
図3の入力欄C12)が入力されているためである。このため、他の日時がユーザにより指定された場合、指定された日時と関連する場所を基点として、制御部104は経路を決定する。例えば、第2の目的地の到着日時がユーザにより指定された場合、第2の目的地を基点として、制御部104は経路を決定する。
【0045】
経路を決定する際、制御部104は、入力画面W1に入力された日時情報に基づいて、各経路を利用できるかどうかを確認する。具体的には、記憶部106に格納されている経路データに基づいて、制御部104は、決定した経路の中に通行ができない経路が含まれていないかどうか確認する。制御部104により、決定した経路の中に通行ができない経路が含まれていると判断した場合、制御部104は、通行できない経路を含まない経路に再決定する。このようにすることにより、例えば、冬季は通行できない登山道があった場合に冬季においてその登山道を含まない経路を決定できるため、利便性の高い経路案内を行うことができる。
【0046】
また、入力画面W1により入力欄C70にチェックがされている場合(車を利用する場合)、制御部104は、出発場所と登山口との間、および、下山口と到着場所との間に、同一の駐車場を経由する経路を決定する。具体的には、制御部104は、記憶部106に格納されている経路データに基づいて、登山口または下山口に最も近い駐車場を経由地に決定する。また、制御部104は、出発場所から駐車場までの経路および駐車場から到着場所までの経路について、車両の通行可能な経路を決定する。このようにすることにより、駐車場を考慮した経路を探索できる。このため、利便性の高い経路探索を行うことができる。
【0047】
ステップS130において、制御部104は、決定した経路および移動スケジュールについて通信部102を介して携帯電話200に送信され、携帯電話200の主制御部210は、決定した経路および移動スケジュールを表示パネル202に表示する。
【0048】
図5は、表示パネル202に表示される移動スケジュール画像W2の一例を示す図である。移動スケジュールは、経路および記憶部106に格納されている各アーク間を通過するのに要する時間に基づいて、制御部104により決定される。
【0049】
なお、経路および移動スケジュールが決定した場合、制御部104は、登山口への到着時間から下山口への到着時間までの時間帯(以下、「山中行動時間」ともよぶ)が、山中行動可能時間帯であるか否かを判断する。本実施形態において、山中行動可能時間帯は、5時から15時とする。なお、入力画面W1において入力欄C40がチェックされている場合、制御部104は、山中行動時間が、山中行動可能時間帯であるか否かの判断は行わない。
【0050】
山中行動時間が山中行動可能時間帯である場合、制御部104は、決定した経路および移動スケジュールを携帯電話200に送信する。このようにすることにより、登山口や下山口を予め設定しておく必要が無い。また、このようにすることにより、出発地から到着地までの経路探索を一括して行うことができる。
【0051】
一方、制御部104により、山中行動時間が山中行動可能時間帯ではないと判断した場合、制御部104は、下記の探索方法により経路および移動スケジュールの再決定を行う。つまり、再決定を行なう前の経路および移動スケジュールを、仮経路および仮移動スケジュールとした上で、新たな経路および移動スケジュールを決定する。探索方法としては、以下の順で探索を行う。具体的には、(i)第1目的地(A山山頂)での滞在時間を短縮した経路の探索、(ii)第1目的地(A山山頂)への到着時間を変更した経路の探索、(iii)宿泊地を経由した経路の探索である。
【0052】
上記(i)、(ii)を優先して探索することにより、制御部104は、経路の変更を伴わず、移動スケジュールの再決定のみを行う。このようにすることにより、探索時間が短縮でき、迅速にユーザに通知することができる。
【0053】
(i)第1目的地(A山山頂)での滞在時間を短縮した経路の探索:
制御部104は、第1目的地(A山山頂)での滞在時間を短縮した経路の探索を行う。具体的には、制御部104は、第1目的地(A山山頂)での滞在時間を5分の1短縮させた移動スケジュールの調整を行う。移動スケジュールの調整により、山中行動時間が、山中行動可能時間帯となった場合、制御部104は、調整後の移動スケジュールを、移動スケジュールとして決定する。
【0054】
(ii)第1目的地(A山山頂)への到着時間を変更した経路の探索:
制御部104は、第1目的地(A山山頂)への到着時間を変更した経路の探索を行う。具体的には、移動スケジュールに基づいて、登山口への到着時間が山中行動可能時間帯を外れていると制御部104が判断した場合、制御部104は、登山口への到着時間が山中可能時間帯となるように移動スケジュールを再調整する。一方、移動スケジュールに基づいて、下山口への到着時間が山中行動可能時間帯を外れていると制御部104が判断した場合、制御部104は、下山口への到着時間が山中可能時間帯となるように移動スケジュールを再調整する。移動スケジュールの調整により、山中行動時間が、山中行動可能時間帯となった場合、制御部104は、調整後の移動スケジュールを、移動スケジュールとして決定する。
【0055】
(iii)宿泊地を経由した経路の探索:
制御部104は、宿泊地を経由した経路および移動スケジュールへの決定を行う。具体的には、制御部104は、山中行動時間が終わる時間に最も近い宿泊場所を検索し、その宿泊場所を経由地とする。なお、宿泊場所に宿泊するとした移動スケジュールの宿泊地からの出発時刻は、翌日の山中行動可能時間帯の開始時刻とする。この経路探索は、入力画面W1における入力欄C50(宿泊してもよい場合にチェックする欄(
図3参照))にチェックがなされている場合にのみ行う。入力欄C60(テント場で宿泊してもよい場合にチェックする欄(
図3))にチェックがなされている場合、宿泊地の候補としてキャンプ場も含まれる。
【0056】
そのようにしてステップS120で決定された経路および移動スケジュールが、ステップS130において表示パネル202に表示される。
【0057】
A3.経路案内:
図6は、経路案内処理の流れを示すフローチャートである。表示パネル202により登山経路案内指示を受けた場合(
図5における「登山ナビ開始ボタンB30」がユーザにより押下された場合)、ステップS200において、主制御部210はGPSユニット201より現在位置を取得し、ステップS210において、携帯電話200の主制御部210は、登山経路を表示し、経路案内を開始する。
【0058】
図7は、表示パネル202に経路が表示された画像W3の一例を示す図である。画像W3には、決定された経路と、現在位置K1と、緊急ボタンB50と、ナビ終了ボタンB60とが表示されている。緊急ボタンB50は、緊急事態が発生した際に、ユーザにより押下されるボタンである。ナビ終了ボタンB60は、経路案内を終了する際に、ユーザにより押下されるボタンである。
【0059】
登山経路は、以下の方法により表示される。経路探索サーバ100の制御部104は、経路データを、通信部102を介して携帯電話200に送信する。携帯電話200の主制御部210は、表示パネル202への表示範囲に応じた地図画像データを地図サーバ150へ通信部205を介して要求し、地図サーバ150の制御部154は、主制御部210の要求に応じた地図画像データを、地図データベース156から選択した後、通信部152を介して携帯電話200に送信する。携帯電話200の主制御部210は、表示パネル202を制御して、表示パネル202に経路周辺の地図などの画像を表示する。
【0060】
ステップS220において、主制御部210は、緊急ボタンB50が押下されたかどうか判断する。緊急ボタンB50が押下されたと主制御部210が判断した場合(ステップS220:Yes)、経路探索サーバ100の制御部104が、現在位置から最短距離の下山口への経路探索を行う。なお、ステップS220の処理を行う制御部104の機能部を、変更部116として、
図1に示す。
【0061】
具体的には、主制御部210は、通信部205を介して経路探索サーバ100へ緊急事態である旨および現在位置を送信する。経路探索サーバ100の制御部104は、記憶部106に格納されている経路データに基づいて、携帯電話200から受信した現在位置に最も近い下山口を決定し、現在位置から決定した下山口への経路を決定する。制御部104は、経路データを、通信部102を介して携帯電話200に送信する。携帯電話200の主制御部210は、表示パネル202への表示範囲に応じた地図画像データを地図サーバ150へ通信部205を介して要求し、地図サーバ150の制御部154は、主制御部210の要求に応じた地図画像データを、地図データベース156から選択した後、通信部152を介して携帯電話200に送信する。携帯電話200の主制御部210は、表示パネル202を制御して、表示パネル202に出力経路周辺の地図などの画像を表示し、処理はステップS200に戻る。
【0062】
図8は、表示パネル202に緊急時の経路が表示された画像W4の一例を示す図である。
図8には、現在位置から最も近い下山口であるF口への経路が示されている。このようにすることにより、緊急事態が発生した場合に速やかに下山口に到着する経路を案内できる。
【0063】
緊急ボタンB50が押下されていないと主制御部210が判断した場合(ステップS220:No)、
図6のステップS230において、主制御部210は、登山経路の案内を終了するか否かを判断する。現在位置が下山口を含む所定範囲内となった場合や、ユーザによりナビ終了ボタンB60の押下があった場合に、主制御部210は、経路案内終了と判断する(ステップS240:Yes)。
【0064】
主制御部210により登山経路の案内を終了しないと判断した場合(ステップS240:No)、処理はステップS200に戻る。
【0065】
なお、本実施形態における「目的地」が、課題を解決するための手段における「経由地」に相当する。「GPSユニット201」が、「取得部」に相当し、「表示パネル202」が、「表示部」に相当し、「コマンド入力部206」が、「入力部」に相当し、「山中行動可能時間帯」が、「基準時間内」に相当する。「ステップS100」が、「工程(a)」に相当し、「ステップS110」が、「工程(b)」に相当し、「ステップS120」が「工程(c)」に相当する。また、「山中行動可能時間帯」が、「基準時間内」に相当する。
【0066】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0067】
B1.変形例1:
本実施形態において、経路の決定は、所要時間が最短となる経路としたが、本発明は、これに限られない。例えば、決定される経路は、最短の経路としてもよい。また、過去に経路案内に用いた経路を制御部104により記憶部106に記憶させ、決定される経路は、最も多く経路案内された経路としてもよい。
【0068】
B2.変形例2:
本実施形態において、山中行動可能時間帯は、5時から15時としたが、本発明は、これに限られない。山中行動可能時間帯は、その山の特性や気候や規則に応じて個別に決定されてもよく、季節に応じて変更されてもよい。例えば、山中行動可能時間帯は、日の出時刻および日の入時間に基づいて決定されてもよく、その山の天候にもとづいて決定されてもよい。このようにすることにより、より安全な移動スケジュールを決定できる。また、山中行動可能時間帯は、荷物の重量や、年齢、登山経験などのユーザの特性に応じて設定されてもよい。このようにすることにより、ユーザに応じた移動スケジュールを決定できる。また、入力画面W1に入力欄を設けることにより、山中行動時間帯を、ユーザが直接入力できるようにしてもよい。
【0069】
B3.変形例3:
本実施形態において、地図を用いた経路案内は登山中のみとしている。しかし、本発明はこれに限られない。例えば、移動手段として自動車を使用する場合、出発場所から到着場所までの経路について地図を用いて案内してもよい。
【0070】
B4.変形例4:
本実施形態において、経路を決定する際の順番は、(i)登山口(F口)―第1目的地(A山山頂)間の経路、(ii)登山口(F口)―出発場所(Z駅)間の経路、(iii)第1目的地(A山山頂)―第2目的地(E展望台)間の経路、(iv)第2目的地(E展望台)―下山口(C口)間の経路、(v)下山口(C口)―到着場所(Z駅)間の経路、の順番としている。しかし、本発明はこれに限られない。例えば、上記経路(iv)と(v)とを、上記経路(i)と(ii)より前に決定してもよく、上記経路(iii)を最初に決定してもよい。
【0071】
B5.変形例5:
本実施形態において、候補経路として同じ道を通らない道が検索されている。しかし、本発明はこれに限られない。つまり、候補経路として同じ道を通らない道についても検索されてもよく、候補経路として同じ道を通らない道を候補経路として検索するか否かをユーザによって設定できるようにしてもよい。ただし、同じ道を通らないという態様に制限してもよい。
【0072】
B6.変形例6:
上記実施形態では、現在位置情報を得るためにGPSを利用する態様について説明した。しかし、現在位置の情報の生成は、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galile oなどのGPS以外の他の衛星測位システム(Satellite Navigation System)、言い換えれば、世界的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation System)によってもよい。また、たとえば、ユーザが携帯する端末が携帯電話である場合には、位置情報の生成は、携帯電話と基地局の電波の強さに基づいて得られる基地局と携帯電話との距離に基づいて、行ってもよい。そのような態様においては、ユーザが携帯する端末は、世界的航法衛星システムの受信装置を備えない態様とすることができる。さらに、ユーザが携帯する移動端末において位置情報を生成する構成要素は、複数の方式、たとえば、衛星測位システムを利用した方式と、携帯電話の基地局を利用する方式を併用する態様とすることもできる。
【0073】
すなわち、移動端末において位置情報を生成する構成要素は、現在位置の情報を特定できるものであれば、どのような原理に基づくもの、どのような機関が運営するシステムを利用するものであってもよい。
【0074】
B7.変形例7:
本実施形態において、所要時間の計算は、記憶部106に格納されている各アーク間を通過するのに要する時間に基づいて決定される。しかし、本発明はこの態様に限られない。例えば、(i)入力欄C60にチェックがされた場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、テント用品をユーザが持参するため、所要時間を長めに設定してもよく、(ii)ユーザの過去の歩行速度を記憶部106に記憶しておき、過去の歩行速度に基づいて所要時間を計算してもよい。また、(iii)宿泊数から食料や水などの重さを算出した上で所要時間を長めに設定してもよく、(iv)経路内に水場がある場合は、持ち運ぶ水の量を少なくできるため、所要時間を短めに設定してもよい。つまり、指定情報や候補経路などに応じて、所要時間を設定してもよい。このようにすることにより、ユーザに応じた移動スケジュールを決定できる。
【0075】
B8.変形例8:
地図サーバ150の地図データベース156内に格納されている画像データとしての地図画像データは、ラスタデータとして保持されていてもよいし、ベクトルデータとして保持されていてもよい。ユーザが携帯する端末装置としての携帯電話200に送信される地図画像データも、ラスタデータであってもよいし、ベクトルデータであってもよい。さらに、地図データベース156内の地図画像データと、端末装置に送信される地図画像データは、いずれか一方をベクトルデータとし、他方をラスタデータとすることもできる。そして、いずれの地図画像データも、ラスタデータとベクトルデータの両方を含むことができる。
【0076】
B9:変形例9:
本実施形態において、緊急事態が発生した場合の下山口は、経路における登山口であるF口である(
図7参照)。しかし、本発明はこれに限られない。例えば、E展望台で緊急ボタンB50が押下された場合、緊急事態が発生した場合の下山口は、C口となる(
図4参照)。また、決定した経路における登山口や下山口ではない下山口が、緊急事態が発生した場合の下山口となってもよい。
【0077】
B10:変形例10:
本実施形態において、入力欄C60として「テントで宿泊してもよい」との欄をもうけたが、本発明は、これに限られない。入力欄として、「テント指定」との欄を設けてもよい。このようにすることにより、テント場のみを宿泊地と選ぶように移動スケジュールを決定できる。
【0078】
B11:変形例11:
本実施形態において、登山ナビ開始ボタンB30がユーザにより押下されることにより、登山経路が表示され、経路案内が表示される。しかし、本発明はこれに限られない。例えば、移動スケジュール画像W2において経路表示ボタンを設けることにより、登山経路を表示させてもよい。また、登山経路を表示させる際に、登山経路中の各地点における避難経路(各地点から最短距離の下山口への経路)を表示させてもよい。つまり、本発明は、経路探索システムと経路案内システムとを含む。このようにすることにより、リアルタイムに経路案内ができるのみならず、登山経路を予め検索した際に、その経路およびその経路における避難経路を、予めユーザが確認することができる。