(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
漆10〜85質量%と、植物繊維10〜85質量%と、成形補助材5〜50質量%とを含む原料を、加熱しながら3次元的に混練することにより、前記漆の主成分を部分的に熱重合させて得られる混練物である粉末状の成形用材料であって、10〜120メッシュ篩を通過する粉末を含む、成形用材料。
前記熱伝導材が、カーボン類、ダイヤモンド粉体、銀、銅、金、アルミニウム、シリコン、真鍮、鉄、白金、酸化チタニウム及びステンレス鋼からなる群より選ばれる1種以上である、請求項4に記載の成形用材料。
ウルシオール、ラッコール及びチチオールからなる群より選ばれる1種以上のモノマーの重合体を含む漆成分10〜85質量%と、植物繊維10〜85質量%と、成形補助材5〜50質量%とを含有する混練物である粉末状の成形用材料であって、10〜300メッシュ篩を通過する粉末である、成形用材料。
漆10〜85質量%と、植物繊維10〜85質量%と、成形補助材5〜50質量%とを含む原料を、加熱しながら3次元的に混練することにより、前記漆の主成分を部分的に熱重合させる工程を含む、粉末状の成形用材料の製造方法。
【背景技術】
【0002】
漆は漆の木から滲出した樹脂液であり、その主成分であるウルシオール(カテコール誘導体)は漆の中に含まれる微量の酵素(ラッカーゼ)の作用により常温/高湿度(15〜25℃)/65〜85%RH)で酸化重合して硬化する。また、日本及び中国などで育成される漆の木では、漆の主成分は上述のウルシオールであるが、台湾及びベトナムなどで育成される漆の木では、漆の主成分がラッコールであり、タイ及びミャンマーなどで育成される漆の木では、漆の主成分がチチオールである。これらのラッコール及びチチオールも、ウルシオールと同様に酸化重合して硬化する。漆塗工品である漆器においては、主として木質素材の表面にこのように硬化形成された漆被膜が素地を保護しかつ固有の深みのある色調を呈するので、食器や家具・調度等の什器や工芸品等に用いられている。
【0003】
しかし、漆塗工品の製造工程は、例えば、素材としての木地に対する下地処理を含めて下塗り、中塗り、上塗り等多数の工程と乾燥時間を要しかつ高度の熟練を必要とする作業である上、原料の漆自体が高価である。また漆器の素材として用いられている木はたとえば食器等の場合必ずしもその加工形態が量産に適しておらず、漆器の生産規模およびそれらの用途が限定されている。さらに、漆の塗工作業は作業者に対してウルシオールによるアレルギー反応に起因する皮膚疾患(漆かぶれ)を生じさせるおそれもある。
【0004】
一方、近年量産品としての一般の食器の素材には圧縮成形加工に適したフェノール樹脂やユリア樹脂、ポリカーボネート等の石油合成材料が用いられているが、これらの材料には人体に有毒な成分を放出したり、又は環境ホルモンを溶出させる疑いのあるものもあり、その使用が社会的問題となっている。
【0005】
したがって、これら食器等の素材としてはやはり天然資源である漆および木材その他の植物繊維材料を用いることが望ましく、天然資源を成型用材料とした場合にも外観や品質の点で従来の漆器に相当する量産品を得ることのできる加工技術の開発が漆の用途の拡大および関連産業の発達に有用であると考えられる。
【0006】
天然資源を原料として用いた成形用材料として、例えば、特許文献1には、本発明者らによる、石油に由来する化学物質をまったく使用せずに、漆、植物繊維といった天然資源のみを原料として用いても、量産可能かつ安定で取扱いの容易な成形用材料及び成形体が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、漆と磁性材粉末または磁性流体からなる木質系磁性材、および、漆、木粉および磁性材とが混合成型されてなる木質材が記載されている。
【0008】
さらに、特許文献3には、植物繊維等の100%天然素材を微細化した主材と、ウルシ等の100%天然素材からなるバインダーとを水を介して混合し、所定形状に乾燥固化して構成した生分解性プラスチックが記載されている。
【0009】
またさらに、特許文献4には、酸化チタン10〜40wt%に、含有水分量を0.5wt%以内とし平均粒径15〜200μmの木粉等セルロース系破砕物10〜60wt%に樹脂を20〜80wt%の割合で配合して成ることを特徴とする光触媒木質合成材組成物が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0023】
≪成形用材料≫
本実施形態の成形用材料は、漆10〜85質量%と、植物繊維10〜85質量%と、成形補助材5〜50質量%とを含む原料を、加熱しながら3次元的に混練することにより、前記漆の主成分を部分的に熱重合させて得られる粉末状の成形用材料である。
【0024】
従来、本発明者らは特許文献1にて漆と植物繊維とを混練することで天然資源のみを原料として用いた成形用材料及び成形体を既に提案しているが、漆と植物繊維との混練物は、通常、漆が本来持つ粘性に起因して、食物繊維に十分に重合せずに凝集してしまい固まりとなる傾向があったために、さらに混練物の固まりを粉砕する工程を行っている。
【0025】
これに対し、本実施形態では、混練による混合物の動きの中で3次元的(立体的とも呼べる)な動きが支配的になる3次元的な混練方法を採用しているので、得られる漆と植物繊維との混合物が、成形用材料として適切な粒度を有する粉末となるため、粉砕工程を行う必要がない。
【0026】
すなわち、本実施形態において、「3次元的に混練」とは、混合物の平面的とも呼べる2次元的な動きが支配的になる混練ではなく、縦、横、斜め等の多方向、つまり立体的な動きが支配的になる混練のことをいう。このような3次元的に混練することが可能となる混合機としては、例えば、流動式混合機(ヘンシェルミキサー)、高速流動型ミキサー、シュギーミキサー等が挙げられる。漆と植物繊維との混合物を3次元的に混練することにより、得られる成形用材料が、粉砕工程を経なくても適切な粒度を有する粉末になる要因としては、おおよそ下記のことが考えられる。ただし、要因はこれに限定されない。すなわち、混合物を3次元的に混練することにより、混練物に対して、強力な対流、拡散及び剪断混合作用を及ぼし、混練物を破断したり結合したり丸めたりすることにより、適切な粒度を有する粉末を形成することができると考えられる。
【0027】
また、本実施形態に用いる混合機(例えば、流動式混合機)は、好ましくは混合槽がジャケット構造になっており、また、ジャケット内を高温のオイルまたは水蒸気が循環する構造であることが好ましい。こうすることで、3次元的に混練するだけではなく、混合槽の側面からも混合物を加熱することが可能となるため、適切な粒度を有する粉末の形成に優れた効果を奏する。
【0028】
さらに、本実施形態では、原料として、漆及び植物繊維以外に、成形補助材を特定量配合することにより、上述した3次元的な混練工程において、各原料混合物の流動性を向上させ、混合機に原料が焼き付くことを防止している。その結果、前記混練工程における造粒性がさらに向上し、常温で乾燥状態であり、良好な粒度を有する粉末状の成形用材料を得ることができる。さらに該成形用材料を用いて成形体を製造する際の効率(成形性)を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態の成形用材料は、混合機に設けられた1つ又は複数の回転羽根により漆と植物繊維とを3次元的に混練した成形用材料であることが好ましい。回転羽根の回転に伴う作用(対流、拡散、剪断混合)により、良好な粒度を有する粉末状の成形用材料をより効率的に得ることができる。また、前記混合機は、2つ以上の前記回転羽根を備えることがより好ましい。混合機が2つ以上の回転羽根を備えると、混合物の3次元的な混練をより確実に行うことが可能になるので、良好な粒度を有する粉末状の成形用材料をより確実に得ることができる。同様の観点から、2つ以上の回転羽根が同じ回転軸を有するように設けられると更に好ましい。このような混合機としては、例えば、流動式混合機(ヘンシェルミキサー;三井鉱山株式会社製の三井FMミキサーなど)、高速流動型ミキサー(株式会社カワタ製の混合機など)、シュギーミキサー(関東混合機工業株式会社製の縦型ミキサーなど)が挙げられる。
【0030】
前記回転羽根の回転数は、それが備えられる混合機の種類及びスケールによって適宜に変更することができる。その回転数は特に限定されないが、例えば、100〜1000rpmとすることができる。回転羽根の回転数が前記範囲内であると、漆と植物繊維と成形補助材との3次元的な混練がより適切に行われ、良好な粒度を有する粉末状の成形用材料を得ることができる。これは、回転羽根による対流及び拡散作用をより十分に行うことができ、しかも混練物の流動抵抗を抑制することができるためと考えられるが、要因はこれに限定されない。
【0031】
本実施形態の成型用材料は、加熱温度90〜180℃で混練したものであることが好ましく、加熱温度120〜160℃で混練したものであることがより好ましい。加熱温度が前記範囲内であると、漆成分中の重合モノマーが適切に熱重合し、高品質の成形用材料を得ることができる。
【0032】
前記混練における処理時間は、前記加熱温度等に依存し、30〜120分の範囲で適宜設定することが好ましい。
【0033】
本実施形態の成型用材料は、回転羽根を駆動するために供給される電力を測定し、該電力の値の経時変化に基づいて混練を停止して得られることが好ましい。これにより、良好な粒度を有する好適な成形用材料をより確実に得ることができる。下記にこの点について詳述する。
【0034】
漆と植物繊維と成形補助材とを回転羽根を備えた混合機内で加熱しながら3次元的に混練した場合、混合機内の漆と植物繊維と成形補助材との混合物の流動性(粘度)の変化に伴い、回転羽根を駆動するために供給される電力の値も変化する。そして、当該電力の値の経時変化を観察することにより、漆と植物繊維と成形補助材との混合物が適切な粉末状態になった時点、すなわち混練の停止時点を判断することができる。
【0035】
当該電力の値の経時変化の一例について、以下説明する。まず、植物繊維と成形補助材とを含む混合機内に徐々に漆を投入すると、漆が植物繊維に混合し始めたことにより、混合物の流動性が低下(粘度が上昇)し、電力の値が上昇する。漆の植物繊維への混合が終わると、混合物の流動性は上昇(粘度は低下)し、電力の値が低下する。これは漆中の水分の蒸発や混合機内の温度の上昇によるものと考えられる。その後、加熱により漆成分中のウルシオール等の重合モノマーの重合が進み、該重合体の分子量が増大することで、混合物の流動性は低下(粘度が上昇)し、電力の値が上昇する。更に混練を続けると、ある時点(極大点)を過ぎたところから、再び混合物の流動性は上昇(粘度は低下)し、電力の値が低下する。このときの極大点が漆と植物繊維と成形補助材との混合物が粉末化する時点であると考えられる。その後、混合物の流動性は上昇(粘度は低下)し、電力は低下し続けるが、この分岐点以降に混練の停止時点を設定することが好ましい。
【0036】
本実施形態の成形用材料は、アセトン溶解分を9〜15質量%含むことが好ましく、10.5〜13質量%含むことがより好ましい。なお、アセトン溶解分は、ウルシオール等の重合性モノマーの指標となるものと考えられていた(例えば、特許第3779290号公報参照)が、本発明者等によって、重合性モノマーが熱重合により減少して重合体が増加することにより、アセトン溶解分が少なくなり、本実施形態の成形用材料の生産性とこのアセトン溶解分との関係性が明確になるとともに、この関係性から本実施形態の成形用材料を効率よく生産することができるようになった。前記範囲内でアセトン溶解分を含む成形用材料を用いることにより、一層曲げ強度に優れた成形体を安定して得ることができる。
【0037】
本実施形態において、アセトン溶解分は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0038】
前記回転羽根を駆動するために供給される電力の値は、得られる成形用材料のアセトン溶解分と相関関係があると考えられる。例えば、同一ロットで入手した各国の生漆に関して、一次回帰式で示す相関関係があると考えられる。ここで、流動式混合機を用いた場合の、漆と植物繊維との成形用材料を製造した時の回転羽根を駆動するために供給される電力とアセトン溶解分との関係(プロット図)の一例を、
図1に示す。この
図1によると、両者の相関性は、相関関数で0.970となり、非常に良好であることが分かる。
【0039】
したがって、成形用材料の製造時に前記回転羽根を駆動するために供給される電力の値を管理することにより、適切な範囲のアセトン溶解分を有する成形用材料を安定的に得ることができる。
【0040】
本実施形態において、粉末の粒度は、同程度の径を有する粉末が多いほど良好(適切)である。これは、粉末状の成形用材料を金型に充填して成形する場合、本来成形用材料を充填すべきでない金型の隙間(例えば、金型が複数の型部材を有する場合に、各型部材間に生じる隙間)に、少量の成形用材料を入り込ませ、あえてバリを生じさせて成形性を高める観点に基づく。例えば、本実施形態の成形用材料は、本実施形態の成形用材料は、10〜300メッシュ篩を通過する粉末が好ましく、10〜120メッシュ篩を通過する粉末が好ましく、成形性を加味すると60〜100メッシュ篩を通過する粉末がより好ましい。このような粒度の粉末の成形用材料は、成形性が良好、すなわち少量の成形用材料を金型の隙間に入り込ませることができるので、適度なバリができ後述の圧縮成形体を形成する材料として好適である。なお、このバリは金型から取り出し後に取り除くことができる。
【0041】
本実施形態の成形用材料は、ウルシオール、ラッコール及びチチオールからなる群より選ばれる1種以上のモノマーの重合体を含む漆成分10〜85質量%と、植物繊維10〜85質量%と、成形補助材5〜50質量%とを含有する粉末状の成形用材料であって、10〜300メッシュ篩を通過する粉末が好ましい。このような成形用材料は良好な粒度を有するので、金型の隙間に入り込むのがより十分抑制される。このような成形用材料は、例えば、上述した製造方法により得ることができる。
【0042】
本実施形態において、成形用材料の構造及び粒度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0043】
本実施形態に用いる植物繊維としては、例えば木質繊維の場合、スギ、ヒノキ、ツガ、キリ、マツ、スプルース等の一般的な樹種のセルロースが挙げられ、また木質素材以外にもタケやアシ、綿等の植物性繊維を含むものの使用も考えられる。これらの植物繊維は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、植物繊維は、10〜300メッシュの粒度の粉末であることが好ましい。植物繊維は例えば摩砕機により微細化したものではフィブリル化した繊維となり、混練時に漆が容易に滲透して均一な漆と植物繊維との混合物が得られる。
【0044】
本実施形態に用いる漆としては、例えば、ウルシオール、ラッコール及びチチオールからなる群より選ばれる1種以上のモノマー、及び/又はその重合体を主成分として含む漆が挙げられる。ここで、主成分とは、漆全体の56質量%以上を占める成分であることを意味し、好ましくは60質量%以上を占める成分である。これらの漆は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0045】
本実施形態に用いる成形補助材としては、上述したとおり混練工程における造粒性を向上させる材料であれば特に限定されず、例えば、熱伝導材(熱伝導性を有する材料)、熱可塑性樹脂(加熱時に伸展性を発揮(熱可塑性)する樹脂)が挙げられる。これらの成形補助材は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0046】
熱伝導材としては、例えば、カーボン類(カーボンナノチューブなど)、ダイヤモンド粉体、銀、銅、金、アルミニウム、シリコン、真鍮、鉄、白金、酸化チタニウム及びステンレス鋼などが挙げられる。これらの熱伝導材は、加熱加圧時に加熱されることで、漆成分が植物繊維内に均一に浸透することを促進させる効果を有すると考えられる。したがって、成形補助材として熱伝導材を配合することにより、成形性が向上する。また、熱伝導材のうち金属類(例えば、銀、銅、金、アルミニウム、真鍮、鉄、白金及びステンレス鋼など)は、一般に導電性を有している。このような特性を有する金属類を成形補助材として配合することによって、得られる成形用材料は電波干渉の緩和が期待できる。このような成形用材料は、携帯電話やパソコンなどの電子機器の筐体を形成する材料として活用できる。
【0047】
さらに、酸化チタニウムは、加熱(もしくは紫外線照射など)するとn型半導体様の導電性を発揮する。ゆえに、このような特性を有する酸化チタニウムを成形補助材として配合することによって、得られる成形用材料は上記のような電波干渉の緩和も期待でき、しかも光触媒としての防汚機能や、はっ水効果などをも期待できる。
【0048】
熱可塑性樹脂(加熱時に伸展性(熱可塑性)を有する樹脂)としては、一般的に、例えば、ポリエチレンやポリスチレンなどの高分子樹脂が挙げられる。自然材料を重視する観点やバイオマスを有効に利用する観点から、本実施形態に用いる熱可塑性樹脂としては、生分解性樹脂(バイオプラスチック)が好ましい。生分解性樹脂(バイオプラスチック)としては、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0049】
これらの成形補助材はいずれも、上述したとおり混練工程における造粒性向上に寄与すると考えられる。ここでいう造粒性とは、「混練工程における各原料混合物のさらさら感(流動性)」及び「混練工程における原料の混合槽内壁への焼き付け防止性(耐焼き付け性)」に関連する特性である。つまり、造粒性が良好である場合とは、混練工程において、各原料がさらさらしていて、原料の混合槽内壁への焼き付けが少ない場合のことである。このように造粒性が良好な場合は、粒度の良好な成形体材料の収率が良く、さらに、該成形用材料を用いた成形体の製造効率も良いことが期待できる。
【0050】
熱伝導材による造粒性向上の原理については明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推定している。漆成分と木粉等の植物繊維との混練において、熱伝導材が全体に分散することで、加熱時の熱効果が各成分全体に発揮させることができ、漆成分が、効率よく、かつ、均一に植物繊維内に浸透し、造粒性が向上すると考えられる。その結果、得られる成形用材料は、成形性に優れると考えられる。なお、熱伝導材として酸化チタニウムを用いる場合には、成形用材料の原料におけるその配合量を5〜15質量%にすることが好ましい。これにより、熱伝導材しての上記効果をより有効に発揮できると共に、その光分解性が強く発揮されて成形用材料の特性に影響を与えることを一層有効に抑制することができる。
【0051】
一方、熱可塑性樹脂(例えば、バイオプラスチック)による造粒性向上の原理については明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推定している。熱可塑性樹脂は、その熱可塑性により、伸展性の低い成形用材料(粉体状)の伸展性向上の補助となると考えられる。その結果、得られる成形用材料は、成形性に優れると考えられる。
【0052】
成形補助材の粒度としては、5〜150メッシュであることが好ましく、より好ましくは植物繊維の粒度と同程度以下とする。当該粒度範囲の成形補助材を用いることにより、漆成分の浸潤性が向上する。
【0053】
原料中の成形補助材の配合量は、5〜50質量%であり、10〜40質量%であることが好ましい。原料中の成形補助材の配合量が前記範囲内であると、前記混練工程における造粒性が向上し、常温で乾燥状態であり、良好な粒度を有する粉末状の成形用材料を得ることができる。さらに該成形用材料を用いて成形体を製造する際の効率(成形性)を向上させることができる。
【0054】
原料中の漆の配合量は、10〜85質量%であり、30〜70質量%であることが好ましい。
【0055】
原料中の植物繊維の配合量は、10〜85質量%であり、30〜70質量%であることが好ましい。
【0056】
漆と植物繊維との配合比は重量比で1:9〜9:1であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましい。漆及び植物繊維の配合比が前記範囲であると、適切な粒度を有し、成形性に優れた粉末状の成形用材料が得られる傾向にあり、該成形用材料を圧縮成形して得られた成形体は曲げ強度に優れる傾向にある。
【0057】
本実施形態において、前記3次元的な混練に先立って、漆と植物繊維と成形補助材とを混合機に投入してもよい。漆と植物繊維と成形補助材との混合機への投入時期は同時であってもよく、別々であってもよい。植物繊維を先に混合機に投入し、次に漆を投入することが好ましい。植物繊維を先に混合機に投入することにより、適切な粒度を有する粉末状の成形用材料が得られる傾向にある。植物繊維を先に混合機に投入する場合、成形補助材の投入時期は、特に限定されない。
【0058】
植物繊維を先に混合機に投入した場合、植物繊維を加熱しながら3次元的に予備混練する工程を行うことが好ましい。該予備混練する工程における加熱温度は、50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることがより好ましい。また、混合機が回転羽根を備える場合、前記予備混練する工程における回転羽根の回転速度は、前記混練する工程における回転羽根の回転速度よりも小さいことが好ましい。
【0059】
植物繊維を先に混合機に投入し、次に漆を投入し、上述のような条件で製造すると、より適切な粒度を有し、成形性に優れた粉末状の成形用材料が得られる傾向にあり、該成形用材料を圧縮成形して得られた成形体は曲げ強度に優れる傾向にある。
【0060】
本実施形態の成形用材料は、漆、植物繊維といった天然資源を原料として用いても、製造時の原料混合物の流動性が良好で、各原料が混合機に焼き付くことを防止でき、良好な粒度を有し、成形性に優れた粉末状の成形用材料である。主成分がウルシオールである漆だけでなく、主成分がラッコール又はチチオールである漆を用いた成形用材料が原料であっても、該成形用材料を圧縮成形して成形体を得ることができる。
【0061】
≪成形用材料の製造方法≫
本実施形態の粉末状の成形用材料の製造方法は、漆10〜85質量%と、植物繊維10〜85質量%と、成形補助材5〜50質量%とを含む原料を、加熱しながら3次元的に混練することにより、前記漆の主成分を部分的に熱重合させる工程を含むものであれば、特に限定されない。本実施形態の製造方法によれば、粉砕工程を行うことなく、固まりの段階を経ることなく、製造時の原料混合物の流動性が良好で、各原料が混合機に焼き付くことを防止でき、適切な粒度を有し、成形性により一層優れた粉末状の成形用材料が得られる。つまり、本実施形態の製造方法によれば、漆、植物繊維といった天然資源を原料として用いた成形用材料であっても、製造時の原料混合物の流動性が良好で、各原料が混合機に焼き付くことを防止でき、良好な粒度を有し、成形性により一層優れた粉末状の成形用材料を効率的に得ることができる。その結果、成形体を製造する際の効率(成形性)を向上させることができる。また、本実施形態の製造方法で得られる成形用材料を用いることにより、その成形用材料が、主成分がウルシオールである漆だけでなく、主成分がラッコール又はチチオールである漆を用いた場合であっても、成形体を得ることができる。
【0062】
なお、本実施形態の成形用材料の製造方法における混合機や各条件等は、上記≪成形用材料≫の段落で述べたものと同様である。
【0063】
本実施形態の粉末状の成形用材料の製造装置は、漆と植物繊維とを収容するための容器、及び前記容器内に設けられた1つ又は複数の回転羽根を備え、漆と植物繊維とを加熱しながら3次元的に混練する混合機と、前記回転羽根を駆動するために供給される電力を測定する電力計と、前記電力の値に基づいて、前記回転羽根の回転速度を制御するコントローラーと、を備えることが好ましい。当該製造装置により、適切な粒度を有し、成形性に優れた粉末状の成形用材料を安定的に効率良く得ることができるのは、上述で説明したとおりである。ここで、このコントローラーは、得られた電力の値から適切な回転羽根の回転速度を算出して、これに基づいて回転速度を手動または自動で制御する。この製造装置において、混合機は、前記容器と回転羽根とを備えているものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。また、電力計も、回転羽根を駆動するために供給される電力を測定できるように、混合機に接続されているものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。さらに、コントローラーも回転羽根の回転速度を制御できるものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
【0064】
≪成形体≫
本実施形態の圧縮成形体は、上述の成形用材料を圧縮成形して得られる。このようにして得られる成形体は、主成分がウルシオールである漆だけでなく、主成分がラッコール又はチチオールである漆を用いた場合であっても、各用途に好適に用いることができる。本実施形態の成形体は、例えば植物繊維として木質繊維を用いた場合木質素材の感触を備えたものとなり、そのままでも例えば什器や各種の工業材料として用いることができるが、美観や耐水性の向上が必要な用途によってはさらにその表面に漆の塗装加工を施すことが好ましい。この場合、成形体の原料としての上述の成形用材料の主成分が漆であるため、漆塗りの際のコンパウンド素材とのなじみが極めて良好で従来の塗装加工における種々の下地工程を省略することができる。
【0065】
さらにこのようにして得られた成形体に最終的な加熱処理を施すと、漆の主成分が完全硬化して下地との密着性が向上し、さらに例えばウルシオール、ラッコール又はチチオールの活性基が消失してユーザに対する漆かぶれのおそれがほとんどなくなるものと考えられる。得られた成形体は、実際の使用に充分なものである。
【0066】
なお、混合機として、たとえば株式会社カワタ製の高速流動型ミキサーを用いる場合、回転羽根の回転によって生じる流動運動と混合容器を振動させながら攪拌させることとにより、3次元的な混練が可能である。したがって、これらの混合機を用いた場合であっても、漆、植物繊維といった天然資源(バイオマス)を原料として用い、良好な粒度を有する粉末状の成形用材料を得ることができる。そして、そのような成形用材料が原料であれば、主成分がウルシオールである漆だけでなく、主成分がラッコール又はチチオールである漆を用いた場合であっても、成形体を得ることができる。
【0067】
≪成形体の製造方法≫
本実施形態の成形体の製造方法としては、圧縮成形法を用いることができる。成形体が食品容器(食器)、携帯電話やパソコン等の筐体、特に食品容器である場合、成形体の製造方法としては、成形用材料を金型により圧縮成形して成形体を得る工程を含み、前記金型が、上型と、前記上型に対向配置された下型と、の少なくとも2つの部位を備え、前記上型と前記下型とがガス抜き構造を有し、前記圧縮成形において、加圧操作とガス抜き操作とを行うこと好ましい。以下、当該製造方法について詳細に説明する。
【0068】
〈金型〉
本実施形態に用いる金型は、食品容器(食器)用金型、携帯電話やパソコン等の筐体用金型などが挙げられ、特に限定されない。該食品容器用金型としては、例えば、ぐい呑み用金型、お椀用金型、お皿用金型などが挙げられる。
【0069】
本実施形態に用いる金型は、上型と、前記上型に対向配置された下型と、の少なくとも2つの部位を備え、前記上型と前記下型とがガス抜き構造を有する。当該金型としては、上型と、前記上型に対向配置された下型と、前記上型と前記下型との間に挟持される中型との少なくとも3つの部位を備えるものが好ましく、前記上型と前記中型との間及び前記下型と前記中型との間の少なくとも2箇所にガス抜き構造を有するものが好ましい。該金型の一例の概略的な断面図を
図2に示す。
【0070】
図2に示す金型10は、ぐい呑みを製造するための金型であり、上型12と、上型12に対向配置された下型16と、上型12と下型16との間に挟持される中型14とを備える。上型12は、中型14と共にぐい呑みの器部分(口縁、胴、腰、高台脇、底部)を形成するための部位(型部材)であり、成形の際にぐい呑みの器部分を内側から押し込むのに適した形状を有している。中型14は、上型12と共にぐい呑みの器部分((口縁、胴、腰、高台脇)を、下型16と共にぐい呑みの底部及び高台を、それぞれ形成するための部位(型部材)であり、成形の際にぐい呑みの器部分及び高台を外側で受けるのに適した形状を有している。下型16は、中型14と共にぐい呑みの高台及び底部を形成するための部材(型部材)であり、それらを形成するのに適した形状を有している。
【0071】
金型10は、上型12と中型14との間であって、ぐい呑みを形成する部分以外にも隙間S1を有し、好ましくは、その隙間S1は成形用材料が入り込まないような寸法を有する。この隙間から、成形の際の加熱及び加圧に伴い生じるガスが外部に容易に抜けるようになっている。また、金型10は、中型14と下型16との間であって、ぐい呑みを形成する部分以外にも隙間S2を有し、好ましくは、その隙間S2は成形用材料が入り込まないような寸法を有する。この隙間からも、成形の際の加熱及び加圧に伴い生じるガスが外部に容易に抜けるようになっている。また、金型10は、上型12を取り付けて固定すると共に、上型12、中型14及び下型16を上から押圧するための上型取付版22、下型16を取り付けて固定すると共に、上型12、中型14及び下型16を下から押圧するための下型取付版24、並びに中型14を所定の高さに保持するよう支持するスペーサーブロック26を備える。
【0072】
このような構造を有する金型10を用いることにより、例えば、漆と植物繊維と成形補助材とから得られる成形用材料を原料とした場合であっても、ガスが金型10内に残留し難いことに起因して、ひけの発生が抑制され、表面が均一で外観に優れる成形体を得ることができる。
【0073】
〈圧縮成形条件〉
本実施形態の成形体の製造方法では、前記圧縮成形において、加圧操作とガス抜き操作とを行うことが好ましく、加圧操作とガス抜き操作とを交互に複数回繰り返すことがより好ましい。当該複数回の繰り返し操作により、所定の圧力に達するまで徐々に圧力を上げていくことが好ましい。ここで複数回とは、2回以上であることを意味し、好ましくは3回以上である。
【0074】
複数回の加圧操作では、最初の加圧操作から最後の加圧操作までの各加圧操作で、順次、圧力を高くすることが好ましい。これにより、機械的強度のより高い成形体を、更に高い歩留まりで製造することが可能となる。
【0075】
最後の加圧操作時の圧力としては、例えば10〜70MPaであることが好ましい。
【0076】
最後の加圧操作時の時間としては、例えば10〜120分であることが好ましい。
【0077】
圧縮成形時における温度としては、例えば100〜180℃であることが好ましい。
【0078】
このような圧縮成形条件とすることにより、例えば、漆と植物繊維と成形補助材とから得られる成形用材料を原料とした場合であっても、ひけの発生が抑制され、表面が均一で外観に優れる成形体を得ることができる。
【0079】
なお、圧縮成形の手順及び操作自体は、上記金型を用い、上記圧縮成形条件を好ましくは採用する以外は、特に限定されず、従来と同様の手順及び操作であってもよい。
【実施例】
【0080】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明がこれらの例によって限定されるものではない。実施例及び比較例において使用した成分は以下のものである。
【0081】
1)漆
(a)漆の種類:中国産生漆
漆の組成:ウルシオール 75.6質量%、水分 13.5質量%、含窒素分 9.0質量%、ゴム質 1.9質量%
(b)漆の種類:ベトナム産生漆
漆の組成:ラッコール 79.4質量%、水分 3.0質量%、含窒素分 2.5質量%、ゴム質 13.9質量%
なお、漆の組成は、漆液組成分析方法(物質工学連合部会塗装工学分科会作成)に準拠して測定した。
【0082】
2)植物繊維
植物繊維の種類:スギ木粉(富山県砺波森林組合産、100%間伐材から製造、100メッシュパス品)
(i)粒度:330メッシュ超 19.7質量%、330〜200メッシュ 22.6質量%、200〜150メッシュ 25.4質量%、150〜100メッシュ 25.9質量%、100〜80メッシュ 5.6質量%、80メッシュ未満 0.8質量%
(ii)含水率:7.0質量%
(iii)かさ比重 1000cm
3/180g
なお、上記(i)〜(iii)は、砺波森林組合のデータによる値である。
【0083】
3)成形補助材
(a)銅粉(関東化学社製)
(b)酸化チタン(関東化学社製)
(c)ポリ乳酸(帝人社製)
【0084】
〔各特性の測定方法〕
〈アセトン溶解分〉
成形用材料中のアセトン溶解分(質量%)の測定は、以下のとおり行った。
【0085】
25mLアセトンを入れたガラス容器中に成形用材料を1g入れ一晩放置した。その後濾過し、濾過残物をさらにアセトン25mLに入れ2時間放置した後、濾過した。計2回濾過したアセトン溶解物を5日間自然放置して揮発成分を取り除いた。揮発成分を取り除いたアセトン溶解物の重量を測定して、該測定値と元の成形用材料の重量(1g)とから成形用材料中のアセトン溶解分(質量%)を算出した。
【0086】
〈粒度分布〉
振動式ふるい機(佐藤式振動ふるい機 CB40−3SH 晃栄産業(株)製)を用いて、成形用材料を分粒し、粒度分布を測定した。
【0087】
[実施例1]
〔成形用材料の製造〕
流動式混合機(三井FM20C/I、三井鉱山(株)製)を用いて成形用材料を以下のとおり製造した。なお、該混合機は、漆と植物繊維と成形補助材とを収容するための容器(混合槽:20L容量)と、前記容器内に同じ回転軸を有するように設けられた2つの回転羽根(羽根の種類:上羽根CK、下羽根AO、回転羽根の寸法:(上側)φ27cm、(下側)26cm)と、を含む混合機と、前記回転羽根を駆動するために供給される電力を測定する電力計(クランプ電力計)と、前記電力の値に基づき、前記回転羽根の回転速度を制御するコントローラーと、を備えていた。
【0088】
前記混合機内の容器を加熱し、容器内の温度が50℃になった時点で植物繊維85質量部を、成形補助材(銅粉)5質量部とともに前記容器に投入し、該容器の蓋を閉めた。前記容器内に設けられた回転羽根を200rpmの速さで回転させ、植物繊維を3次元的に予備混練した。容器内の温度が65℃になった時点で常温(25℃)の漆10質量部を前記容器に2〜15分間かけて徐々に投入した。次に、容器内の温度が100℃になった時点で回転羽根の回転速度を600rpmに上昇させ、漆と植物繊維と成形補助材とを混合機内で130℃の温度で加熱しながら3次元的に混練した。
【0089】
当該混練中、前記回転羽根を駆動するために供給される電力を測定し、前記電力の値を記録した。記録された前記電力の値の経時変化に基づいて、漆と植物繊維との混合物が粉体化し、適切な成形用材料となったと判断した時点からある程度混練を続けた時点で、回転羽根の回転及び混合機内の加熱を停止して、漆と植物繊維との混練を停止した。漆と植物繊維との混練時間は54分20秒間であった。前記混合機の排出口から成形用材料を取出し、直ちに放冷した。
【0090】
得られた成形用材料のアセトン溶解分を測定したところ、12.26質量%であった。また、得られた成形用材料は、ウルシオールの重合体(アセトン溶解分の減少により確認)と植物繊維と成形補助材とを含み、常温で乾燥状態である粉末であった。該成形用材料の詳細な粒度分布は、以下のとおりであった。60メッシュ超:87.2質量%。
【0091】
また、上記混練における造粒性(流動性及び耐焼き付き性)について、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
【0092】
(流動性の評価基準)
粒度が50〜150メッシュのものの含有率により流動性について以下のとおり評価した。なお、「ダマ(固まり)」の大小も考慮した。
【0093】
S:とても良い(70%以上含有、ダマは無し)
A:良い(60%以上70%未満含有、ダマはほとんど無し)
B:やや悪い(50%以上60%未満含有、ダマは少量有り)
C:悪い(50%未満、ダマは有)
(耐焼き付き性の評価基準)
S:とても良い(各原料の混合機への焼き付きが無かった。)
A:良い(各原料の混合機への焼き付きがほとんど無かった。)
B:やや悪い(各原料の混合機への焼き付きが少量あった。)
C:悪い(各原料の混合機への焼き付きが多量にあった。)
[実施例2〜19及び比較例1〜6]
各原料の配合量及び種類を表1〜4に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様に成形用材料を製造し、流動性及び耐焼き付き性について評価した。結果を表1〜4に示す。
【0094】
[参考例1及び2]
(植物繊維)
参考例1及び2においては植物繊維の素材としてスギの平均粒度100メッシュのものを用いた(市販品および摩砕機で微粒子化したもの:以下木質繊維)。
【0095】
(漆)
前記木質繊維と混合して成形用材料を得るための漆としてはウルシオール63.9%、ゴム質9.7%、全窒素物0.7%および水分25.7%の組成を有する中国産生漆を用いた。
【0096】
[成形用材料の製造]
前記漆/木質繊維を、参考例1では50質量部/50質量部、参考例2では10質量部/90質量部で混合し、自動乳鉢中で約20分間充分に混練し、次いで熱風乾燥炉中で120℃で90分間(5〜10分間隔毎で攪拌)加熱乾燥した。乳鉢で微粉化した後ふるい分けにより50〜350μmの成形用材料とした。
【0097】
流動性及び耐焼き付き性について、上記基準により評価した。参考例1及び2とも流動性は良く(A)、焼き付き性はやや悪かった(B)。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】