(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1の2液吐出製品10は、耐圧容器11と、その耐圧容器内に収容される可撓性を有する中容器12と、その中容器内に収容されるパウチ13と、耐圧容器11、中容器12およびパウチ13を閉じるバルブアッセンブリ14と、パウチ13内に充填される第1内容物A1と、耐圧容器11と中容器12との間の第1空間S1に充填される第2内容物A2と、中容器12とパウチとの間の第2空間S2に充填される噴射剤Pとを備えている。
【0012】
耐圧容器11は、
図1に示すように、底部11a、筒状の胴部11b、テーパー状の肩部11c、筒状の首部11dおよびその上端に肉厚のフランジ部11eを備えた合成樹脂製の容器である。首部11dまたはフランジ部11eの内面には、下方に向かって縮径する段部16が形成されている。また、首部11dおよびフランジ部11eの内面には、上下に延びる内溝17が複数環状に形成されている。
この耐圧容器11は、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの透光性を有する合成樹脂からなる有底筒状のパリソンを軸方向に伸ばしながら内部に空気を吹き込んで膨らます2軸延伸ブロー成形によって成形されている。しかし、筒状のパリソンをダイレクトブロー成形で成形されてもよい。耐圧容器11が透光性を有する場合は、内容物の残量、状態を確認できるので好ましい。また、耐圧容器11は着色してもよく、紫外線吸収剤を合成樹脂に含有させることで内容物の安定性を向上させることができる。しかし、アルミニウム、ブリキ、ステンレススチール等の金属より成形してもよい。
【0013】
中容器12は、第2内容物A2を充填する前の状態では耐圧容器11の内面と当接する形状、つまり、耐圧容器の内面と実質的に同一形状(略同一の形状)を呈している。そして、第2内容物A2が充填されることにより中容器12は圧縮される。
図1の中容器12は、若干潰されたものである。中容器12は、底部12a、筒状の胴部12b、テーパー状の肩部12c、筒状の首部12dおよび首部より若干拡径した口部12eを備えた合成樹脂製の可撓性を有する容器である。中容器12も耐圧容器11と同様に、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン等の合成樹脂からなる有底筒状のパリソンを2軸延伸ブロー成形によって成形することができ、特に、耐圧容器のパリソンの中に中容器のパリソンを入れて同時にブロー成形することもできる。ここで首部12dおよび口部12eは、胴部12bより肉厚としている。中容器12の口部12eの上端には、前記耐圧容器の内溝17と後述する連通溝28cとを連通するように切欠き12gが形成されている。なお、中容器の首部12dおよび口部12eの外周面に上下に伸びる溝を設け、耐圧容器の首部11dおよびフランジ部11eとの間で外溝を形成してもよい。また中容器の首部12dおよび口部12eの内周面は、後述するバルブアッセンブリ14のハウジングの外周と密に嵌合するように寸法が設計されている。
【0014】
パウチ13は、可撓性の袋体18と、その開口部に取り付けられる連結部材19とからなる。袋体18は、2枚のシートを重ねあわせ、または、1枚のシートを折り合わせた後、周縁部を熱溶着や接着などにより貼り合わせて形成される。袋体18は、透光性を持たせてもよい。パウチに充填される内容物に応じて、あるいは、その使用に応じて適宜決定される。
袋体18のシートとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)、エバール(EVOH)などからなる単層または積層した樹脂シート、前記樹脂シートを着色した着色樹脂シート、前記樹脂シートにシリカ(Si)やアルミナ(Al
2O
3)、炭素(C)などを蒸着した蒸着樹脂シート、アルミニウム(Al箔)などの金属箔シート、あるいは、樹脂シート、着色樹脂シート、蒸着樹脂シート、金属箔シートから選ばれる少なくとも2つのシートを積層した積層シートが挙げられる。特に、金属箔シートや、金属箔シートを備えた積層シートが内容物を安定に保存することができて好ましい。このような金属箔シートを備えた積層シートとしては、PE/Al箔/PE、PE/Al箔/PET、PE/Al箔/PET/PEなど、金属箔シートを樹脂シートや蒸着樹脂シートで積層したものが好ましい。
【0015】
バルブアッセンブリ14は、それぞれ第1空間S1およびパウチ13内を独立して外部と連通させるバルブ機構を備えており、かつ、第2空間S2を密封する。詳しくは、
図2に示すように、筒状のハウジング21と、そのハウジング21内に上下動自在に挿入され、上下に2つの独立した下ステム孔22aおよび上ステム孔22bを有するステム22と、そのステムの下ステム孔22aを閉じる第1ステムラバー23と、そのステムの上ステム孔22bを閉じる第2ステムラバー24と、ステム22を常時上方に付勢するバネ25と、ハウジング21の全体を覆い、ハウジング21を耐圧容器11に固定するカバー26とを有している。
【0016】
ハウジング21は、筒状の下部体27と、その上端に同軸状に連結される筒状の上部体28と、下部体27に保持されるO−リング29と、上部体28に保持されるガスケット30とから構成される。下部体27には、バネ25を支持する底部27aと、内周面に形成される第1ステムラバー23を保持する第1段部27bと、底部27aを貫通する連通路27cと、底部27aから下方に突出した筒状の連結部27dとを備えている。連結部27dの内部には、パウチ13内に延びるディップチューブ30aが挿入して連結され、パウチ13の連結部材19が外周に連結される。これにより連通路27cは、下部体27の内部とパウチ13内とを連通する。
また、下部体27の外周には、第2空間S2をシールするO−リング29を保持する環状溝27eが形成されている。中容器12の首部12dを肉厚に設けているため、O−リング29によるシールを確実に奏することができる。
【0017】
上部体28は、下部体27の上面に同軸上にして連結されるものであり、上端外周に形成される半径方向外側に突出したフランジ部28aと、内周面に形成される第2ステムラバー24を保持する第2段部28bと、下面に形成される内外を連通する連通溝28cとを備えている。連通溝28cは、複数環状に設けてもよい。ガスケット30は、フランジ部28aの下面と当接するようにして保持される。なお、ハウジング21は
図7に示すハウジング73のように、上部体28と下部体27を一体にすることもできる。
【0018】
ステム22は、上下に2つの独立した下ステム孔22aおよび上ステム孔22bを有しており、それぞれのステム孔22a、22bと外部とを第1ステム内通路31a、第2ステム内通路31bで連通する。
第1ステムラバー23および第2ステムラバー24は、ステム22を通すものであり、それぞれ上下のステム孔22a、bを塞ぐ位置に設けられるリング状のシール材である。
カバー26は、ハウジング21を覆う円筒状のカバー部26aと、ハウジング21のフランジ部28aと耐圧容器11のフランジ部11eを挟むようにして、耐圧容器11のフランジ部11eの下面に対してカシメる固定部26bとを有する。カバー部26aの天面には、ステム22を通す中心孔26cが形成されている。
【0019】
バルブアッセンブリ14は、ハウジング21の下部体27および第1ステムラバー23によってバルブ内第1空間H1が形成され、ハウジング21の上部体28、第1ステムラバー23および第2ステムラバー24によってバルブ内第2空間H2が形成される。バルブアッセンブリ14のステム22を下方に押下げることにより、ステム22の下ステム孔22a、上ステム孔22bが開放される。それにより、パウチ13内の第1内容物A1がディップチューブ30a、連通路27cを介して第1空間H1に供給され、下ステム孔22a、第1ステム内通路31aを通って外部に吐出される。一方、第1空間S1に充填される第2内容物A2は、耐圧容器11の内溝17、中容器12の切欠き12g、連通溝28cを介してバルブ内第2空間H2に供給され、上ステム孔22b、第2ステム内通路31bを通って外部に吐出される。このバルブアッセンブリ14は、一つの操作、つまり、ステム22を下降させる操作で、別々に収容されている第1内容物A1及び第2内容物A2を同時に独立して吐出させることができるものである。しかし、バルブアッセンブリ内で2つの内容物が混合するように構成してもよい。また、
図8のようにバルブアッセンブリに独立した2つのバルブ機構を設け、それぞれの内容物を吐出させるために別々に操作するように構成してもよい。
【0020】
第1内容物A1および第2内容物A2は、特に限定されない。しかし、2つを混合させることにより、その反応による効果を得ることができる2液式染毛剤や2液式パーマ剤等の2液反応型製剤が好ましく挙げられる。特に、2液式染毛剤の場合、第1内容物A1として酸化染料、染毛補助成分、アンモニアや有機アミンなどのアルカリ剤、安定化剤、粘度調整剤、発泡剤(界面活性剤)、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、油性成分などを溶媒に含有させた染毛剤第1剤が用いられる。そして、第2内容物A2として、過酸化水素水などの酸化剤、pH調整剤、安定化剤、粘度調整剤、発泡剤(界面活性剤)、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、油性成分などを溶媒に含有させた染毛剤第2剤が好ましく用いられる。
噴射剤Pとしては、窒素、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素などの圧縮ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスなどがあげられる。
【0021】
この2液吐出製品10の製造方法は、たとえば、耐圧容器と中容器のパリソンをそれぞれ射出成型し、中容器のパリソンを耐圧容器のパリソンに収容して二層構造のパリソンを成形し、それをブロー成型することによって耐圧容器11と中容器12とを一緒に成型する。次いで耐圧容器11のフランジ部11eと中容器12の口部12eの間から内溝17を介して第1空間S1に第2内容物A2を充填する。さらに、パウチ13を装着したバルブアッセンブリ14を中容器12内に挿入しながら、中容器12とバルブアッセンブリ14の間(詳しくは、耐圧容器11とハウジング21の間から中容器12とハウジング21を介して)から第2空間S2に噴射剤Pを充填する。この噴射剤Pの充填と同時あるいは充填直後に、カバー26の固定部26bの下端をカシメて、バルブアッセンブリ14を耐圧容器11に固定し、第1空間S1および第2空間S2を密封する。さらに第2ステム内通路31bをシールしながらパウチ13内の空気を排出し、その後、パウチ13内に第1内容物A1を充填する。なお、耐圧容器11を先にブロー成型し、その内部に中容器のパリソンを収容してブロー成型することによって、耐圧容器11および中容器12を成型してもよい。
他の製造方法としては、二層構造のパリソンからブロー成型することによって耐圧容器11と中容器12とを一緒に成型し、次いで、パウチ13を装着したバルブアッセンブリ14を中容器12内に挿入する。このとき中容器12とバルブアッセンブリ14の間(詳しくは、耐圧容器11とハウジング21の間から中容器12とハウジング21を介して)から第2空間S2に噴射剤Pを充填し、この噴射剤Pの充填と同時あるいは充填直後に、カバー26の固定部26bの下端をカシメて、バルブアッセンブリ14を耐圧容器11に固定し、第1空間S1および第2空間S2を密封する。その後、ステム22を下降させ、第1空間S1およびパウチ13の空気を排出する。最後に、第1空間S1に連通する第2ステム内通路31bから第2内容物A2を充填し、パウチ13に連通する第1ステム内通路31aステム22の通路から第1内容物A1を充填する。
【0022】
この2液吐出製品10は、第2空間S2内に充填される噴射剤Pが、第1空間S1を圧縮し(中容器12は拡がり)、パウチ13を圧縮するため、バルブアッセンブリ14を開くことにより、それぞれに充填された内容物を同時に吐出することができる。特に、中容器12が耐圧容器の内面と実質的に同一形状(略同一の形状)を呈しているため、第1空間S1の第2内容物A2を無駄なく吐出することができる。一方、パウチ13は、もともとシートを二枚重ね合わせているため、圧縮により内部空間を効率よく圧縮することができ、第1内容物A1も無駄なく吐出することができる。特に、噴射剤Pが第1空間とパウチを直接圧縮するため、第1内容物と第2内容物に噴射剤の圧力が均等に加わりやすく、両者の吐出量の割合が安定する。
【0023】
図3の2液吐出製品40は、耐圧容器41と、その耐圧容器内に収容される可撓性を有する中容器42と、その耐圧容器内に収容されるパウチ43と、耐圧容器41、中容器42およびパウチ43を閉じるバルブアッセンブリ44と、パウチ内に充填される第1内容物A1と、耐圧容器41と中容器42との間の第1空間S1に充填される第2内容物A2と、中容器42とパウチとの間の第2空間S2に充填される噴射剤Pとを備えている。
【0024】
耐圧容器41は、
図1の耐圧容器11と同様に底部、胴部、肩部、首部およびそのフランジ部を備えた合成樹脂製の容器であり、フランジ部11eの上面から首部11dの内面に上下に延びる上溝41aおよび内溝17が複数環状に形成されている。そして、首部またはフランジ部に段部を有さない点で
図1の耐圧容器11と異なり、他の構成は、
図1の耐圧容器11と実質的に同じである。
【0025】
中容器42は、
図1の中容器12と同様に第2内容物A2を充填する前の状態では耐圧容器11の内面と当接する形状、つまり、耐圧容器の内面と実質的に同一形状(略同一の形状)を呈し、第2内容物A2が充填されることにより圧縮される。中容器42は、底部、胴部、肩部、首部および首部の上端に半径方向外側に突出したフランジ部42aを有している。そして、フランジ部42aの一部外縁にスリット42bが複数環状に形成されている。このスリット42bは、耐圧容器11の内溝17と同じ位置に配置される。しかし、フランジ部42aの外縁が耐圧容器のフランジ部11eの外縁より若干内側となるように設計してもよい。この中容器42は、
図1の中容器12とは、口部を備えていない点、および、フランジ部42aを有している点で異なる。なお、中容器の首部の外周面およびフランジ部42aの下面にそれぞれ溝を設け、耐圧容器の首部の内周面およびフランジ部11eとの間で外溝を形成してもよい。
パウチ43は、
図1のパウチ13と実質的に同じものである。
【0026】
バルブアッセンブリ44は、
図1のバルブアッセンブリ14と同様に、それぞれ第1空間S1およびパウチ内を独立して外部と連通させるバルブ機構を備えており、かつ、第2空間S2を密封する。バルブアッセンブリ44は、
図4に示すように、バルブホルダー46と、そのバルブホルダーに保持されるバルブ47とからなる。
【0027】
バルブホルダー46は、
図4に示すように、円筒状の環状壁46aと、その上端に形成された半径方向外側に突出したフランジ部46bと、環状壁46aより縮径で環状壁46aと同軸に設けられた円筒状のバルブ保持壁46cと、環状壁46aとバルブ保持壁46cとを連結する連結部46dとからなる。環状壁46aは、耐圧容器41内に中容器42の首部を挟むようにして挿入される部位であり、その外周には、第2空間S2をシールするO−リング50を保持する環状凹部46eが形成されている。また、フランジ部46bの一部外縁に、切欠き46fが形成されており、それと連続してフランジ部46bの上面に半径方向に延びる連通溝46hが形成されている。この切欠き46fは、中容器のフランジ部42aのスリット42bと上下に延びる通路を形成するように配置される。バルブ保持壁46cは円筒状の内部に後述するハウジングを挿入して保持する。
【0028】
バルブ47は、筒状のハウジング51と、そのハウジング51内に上下動自在に挿入され、上下に2つの独立した下ステム孔52aおよび上ステム孔52bを有するステム52と、そのステムの下ステム孔を閉じる第1ステムラバー53と、そのステムの上ステム孔52bを閉じる第2ステムラバー54と、第1ステムラバー53と第2ステムラバー54とを保持する保持部材55と、ステム52を常時上方に付勢するバネ56と、ハウジング51の全体を覆い、ハウジング51をバルブホルダー46に固定するカバー57とを有している。カバー57は、バルブ47およびバルブホルダー46を耐圧容器41にも固定する。
【0029】
ハウジング51は、バネ56を支持する底部51aと、内周面に形成される第1ステムラバー53を保持する第1段部51bと、底部51aを貫通する連通路51cと、底部51aから下方に突出した筒状の連結部51dと、内周面に形成される第2ステムラバー54を保持する第2段部51eと、上部側面にハウジング内外を連通する側連通孔51fが形成されている。連結部51dの内部には、パウチ13内に延びるディップチューブ30aが挿入して連結され、パウチ13の連結部材19が外周に連結される。これにより連通路51cは、ハウジング51とパウチ13内とを連通する。また、底部51aと連結部51dの間には、第2空間S2をシールするO−リング59が保持できるように環状段部51gが形成されている。
ステム52、第1ステムラバー53、第2ステムラバー54、バネ56は、
図1のバルブアッセンブリ14と実質的に同じものである。
保持部材55は、筒状のものであり、第1ステムラバー53と第2ステムラバー54との間に設けられ、ステム52を押し下げたときに第1ステムラバー53と第2ステムラバー54が安定した形状に撓むように保持するものである。また、側連通孔51fと保持部材55内とを連通するように側面には、貫通孔55aが形成されている。
カバー57は、バルブ保持部57a、バルブホルダーを覆う円筒状のカバー部57bと、バルブホルダーのフランジ部46bと耐圧容器11のフランジ部11eを挟むようにして、耐圧容器11のフランジ部11eの下面に対してカシメる固定部57cとを有する。バルブ保持部57aの天面には、ステム52を通す中心孔が形成されている。なお、この形態ではカバーの内面が第2内容物A2と接触して腐食される恐れがあるため、カバーの内面にポリエチレンテレフタレートやナイロンなどの合成樹脂シートをラミネートしたり、ポリアミドイミドやエポキシフェノールなどの合成樹脂溶液を塗布して乾燥させた合成樹脂塗膜を設けることが好ましい。
【0030】
バルブアッセンブリ44のバルブ47は、ハウジング51および第1ステムラバー53によってバルブ内第1空間H1を形成し、ハウジング51、第1ステムラバー53および第2ステムラバー54によってバルブ内第2空間H2を形成する。バルブアッセンブリ44のステム52を下方に押下げることにより、ステム52の下ステム孔52a、上ステム孔52bが開放される。そして、パウチ13内の第1内容物A1がディップチューブ30a、連通路51cを介して第1空間H1に供給され、下ステム孔52a、第1ステム内通路31aを通って外部に吐出される。一方、第1空間S1に充填される第2内容物A2は、耐圧容器11の内溝17、上溝41a、中容器のスリット42b、バルブホルダーの切欠き46f、連通溝46h、バルブ47の側連通孔51fを介してバルブ内第2空間H2に供給され、上ステム孔52b、第2ステム内通路31bを通って外部に吐出される。
【0031】
第1内容物A1、第2内容物A2および噴射剤Pは、
図1の2液吐出製品10と実質的に同じものが用いられる。
このように構成されているため、
図1の2液吐出製品10と同様に、第1内容物A1および第2内容物A2の両方が噴射剤Pと隣接しており、噴射剤Pから均等な圧力を受けることができる。また、第1内容物A1と第2内容物A2とは、第2空間S2(噴射剤P)を介さないと他方に移動できず耐久性が高い。また第1内容物A1および第2内容物A2の残量を小さくすることができる。
【0032】
図5の2液吐出製品60は、耐圧容器61と、中容器42と、パウチ13と、バルブアッセンブリ62と、パウチ内に充填される第1内容物A1と、耐圧容器61と中容器42との間の第1空間S1に充填される第2内容物A2と、中容器42とパウチとの間の第2空間S2に充填される噴射剤Pとを備えている。
耐圧容器61の開口部が
図1の耐圧容器11より径が小さい点、バルブアッセンブリ62のバルブホルダー63の円筒状の環状壁63aが内面でバルブ47のハウジング51を保持してバルブ保持壁として作用している点、耐圧容器61のフランジ部11eの外周に形成された環状凹部11gにO−リング64が設けられている点で
図3の2液吐出製品40と異なる。他の構成は、2液吐出製品40と実質的に同じであり、同様の効果が得られる。なお、バルブホルダーの環状壁の幅やバルブ保持壁との間隔を調整することで、耐圧容器61および中容器42の首部の内径に応じて用いることができる。
図6の2液吐出製品65は、耐圧容器61と、中容器42と、パウチ13と、バルブアッセンブリ62と、パウチ内に充填される第1内容物A1と、耐圧容器61と中容器42との間の第1空間S1に充填される第2内容物A2と、中容器42とパウチとの間の第2空間S2に充填される噴射剤Pとを備えている。
図6の2液吐出製品65は、バルブホルダー63とバルブ47のハウジング51のシール構造が
図5の2液吐出製品60と異なる。シール構造は、バルブ47のハウジング51の外周面に下方に向かって縮径する段部66が形成されており、その段部66が環状のガスケット67を介してバルブホルダー63の上面と係合している。他の構成は、2液吐出製品60と実質的に同じであり、同様の効果が得られる。
【0033】
図7の2液吐出製品70は、耐圧容器71と、中容器42と、パウチ13と、耐圧容器71、中容器42およびパウチ13を閉じるバルブアッセンブリ72と、パウチ内に充填される第1内容物A1と、耐圧容器71と中容器42との間の第1空間S1に充填される第2内容物A2と、中容器42とパウチとの間の第2空間S2に充填される噴射剤Pとを備えている。パウチ13、第1内容物A1、第2内容物A2、噴射剤Pは、
図1のものと実質的に同じであり、中容器42は、
図3のものと実質的に同じである。
耐圧容器71は、口部71eの外周に雄ネジが形成されたものであり、他の構成は、
図1の耐圧容器11と実質的に同じものである。
【0034】
バルブアッセンブリ72は、筒状のハウジング73と、ステム22と、第1ステムラバー23と、第2ステムラバー24と、バネ25と、第1ステムラバー23と第2ステムラバー24との間に設けられ、それらのステムラバーをハウジング73内で固定する保持部材55と、ハウジング73の全体を覆い、ハウジング73を耐圧容器71に固定する蓋部材74とを有している。ステム22、第1ステムラバー23、第2ステムラバー24およびバネ25は、
図1のバルブアッセンブリ14と実質的に同じであり、保持部材55は
図4の保持部材55と実質的に同じである。
【0035】
ハウジング73は、筒状の本体73aと、その上端に形成されるフランジ部73bとからなる。本体73aの上部外周に、本体の内外を連通する連通孔73cが形成されている。この連通孔73cは、第1ステムラバー23と第2ステムラバー24との間のバルブ内第2空間H2を、中容器のフランジ部42aのスリット42bと連通するように形成されている。つまり、耐圧容器71の内溝17、耐圧容器71の上溝41a、中容器のスリット42b、ハウジング73の連通孔73cによって、第1空間S1とバルブ内第2空間H2とが連通している。
【0036】
蓋部材74は、下端内面に耐圧容器71の雄ネジと螺合する雌ネジが形成されており、内面には上底を有する筒状のシール材75が設けられている。このシール材75は、ハウジング73の上面、ハウジング73の外周面および耐圧容器71の口部71eの上端外周面と当接する。しかし、シール材75は、上底を備えず、ハウジング73の上面と当接しなくてもよい。
【0037】
このような2液吐出製品70は、耐圧容器11と中容器42とを一緒に成型した後、ハウジング73を保持させた蓋部材74を耐圧容器の口部71eあるいは口部71eの上方で仮装着する。このとき、ハウジングの本体73aは中容器の首部と嵌合させず、シール材75が口部71eの上端外周面と当接させない。そのため、噴射剤を中容器42の首部とハウジング73の間から第2空間S2に充填できる。さらに、噴射剤を充填した後で蓋部材74を螺着することで、ハウジングの本体73aが中容器42の首部と嵌合して第2空間S2をシールすると共に、シール材75が口部71eの上端外周面と当接して耐圧容器71と中容器42との間(第1空間S1)をシールする。また、蓋部材74とハウジングとの間もシールされる。最後に、ステム22を押し下げてパウチ内13および第1空間S1内の空気を排出して、それぞれのステム内通路から第1内容物A1および第2内容物A2を充填することができる。
【0038】
この場合も、第1内容物A1および第2内容物A2の両方が噴射剤Pと隣接しているため、噴射剤Pから均等な圧力を受けることができる。また、第1内容物A1と第2内容物A2とが隣接しないため、いずれかが透過性の高い内容物であっても噴射剤Pを介さないと他方に移動できず耐久性が高い。またパウチを用いているため、押圧されることによりパウチ内の内部空間をほぼ無くすことができ、使用後の残量を減らすことができる。さらに、中容器が耐圧容器の内面と略同一の形状を有しているため、噴射剤によって耐圧容器の内面側に押圧を受け、第1空間をほぼ完全に無くすことができ、第2内容物A2の残量を極力減らすことができる。
【0039】
図8の2液吐出製品80は、独立した2つのバルブ機構を備えたものであり、それぞれのバルブ機構を別々に操作して、第1内容物A1及び第2内容物A2を別々に吐出するものである。
図8の2液吐出製品80は、耐圧容器71と、中容器42と、パウチ81と、耐圧容器71、中容器42およびパウチ81を閉じ、2つのバルブ機構を備えたバルブアッセンブリ82と、パウチ内に充填される第1内容物A1と、耐圧容器71と中容器42との間の第1空間S1に充填される第2内容物A2と、中容器42とパウチとの間の第2空間S2に充填される噴射剤Pとを備えている。2液吐出製品80は、第1内容物A1、第2内容物A2、噴射剤Pは、
図1のものと実質的に同じであり、中容器42は、
図3のものと実質的に同じであり、耐圧容器71は、
図7の耐圧容器71と実質的に同じである。
【0040】
パウチ81は、
図9a、bに示すように、可撓性の袋体18と、その開口部に取り付けられる連結部材83とからなる。袋体18は、
図1の袋体18と実質的に同じものであり、2枚のシートを重ねあわせ、または、1枚のシートを折り合わせた後、周縁部を熱溶着や接着などにより貼り合わせて形成される。
連結部材83は、バルブアッセンブリ82と連結する筒状の上部83aと、袋体18を貼着するための扁平な筒状の下部83bと、中心軸を間隔をもって挟み、かつ、下部83bから下方に延びる2枚の平脚83cとを有する。袋体18は、上部が連結部材の下部83bに貼着している。これにより、2枚の開いた平脚83cがパウチ81内の第1内容物が少なくなったときにシート同士の密着を防止して第1内容物A1の通路を確保できる。
図9cに示すように、平脚83cの縦幅を、例えば連結部材の下部83bと同程度に厚くしてもよい。(少なくとも下部83bの中心孔より厚く)。この場合、第1内容物A1の通路を一層大きく確保できる。また、このように厚くした平脚83cと袋体18とを貼着してもよい。このように平脚83cと袋体18とを貼着することにより、パウチ18内の空間を、上下に延び、下端で連結した3本の並んだ空間に区画でき、中心の空間がバルブアッセンブリ82に連結したものとなる。つまり、中心の空間がディップチューブのような役割となる。そのため、確実にパウチ81内の第1内容物を最後までバルブアッセンブリ81に供給することができる。
【0041】
図8に戻って、バルブアッセンブリ82は、パウチ81と外部とを独立して連通した第1バルブ機構86と、第1空間S1と外部とを独立して連通した第2バルブ機構87とを備えており、かつ、第2空間S2を密封するものである。詳しくは、第1バルブ機構86と、第2バルブ機構87と、第1バルブ機構86と第2バルブ機構87が固定された栓体88と、栓体88の全体を覆い、栓体88を耐圧容器71に固定する蓋部材89とを有している。
【0042】
栓体88は、中容器42の開口部に挿入される栓本体91と、その上部外周に半径方向外側に形成されたフランジ部92とを有する。
栓本体91の中心には、栓体88を上下に貫通する筒状の第1ハウジング部93が形成されている。この第1ハウジング部93には、第1ハウジング部93内に上下動自在に挿入されるステム94と、そのステム94のステム孔を塞ぎ、第1ハウジング部93の上部開口を塞ぐステムラバー95と、ステム94を常時上方に付勢する第1バネ96とが設けられる。この第1ハウジング部93、ステム94、ステムラバー95、第1バネ96が第1バルブ機構86を構成する。つまり、第1バルブ機構86は、ステム94を押し下げる
ことにより開放される。第1ハウジング部93とパウチ81とは、第1ハウジング部93の下端の連結部93aと、パウチ81の連結部材83の上部83aとで連結されている。
フランジ部92には、側面外周から栓本体91の外周の位置まで半径方向に延びる筒状の側孔97が形成されており、その側孔97は、フランジ部92の下面から上方に延び、耐圧容器71の内溝17と連通する上下連通孔92aと連通している。側孔97には、
図9dに示すように、上下(図面では左右)の先端が内側に折れ曲げられた筒状の第2ハウジング101と、その第2ハウジング101内に半径方向に移動自在に挿入される弁皿102と、その弁皿を半径方向外側に付勢する第2バネ103とが設けられている。この第2ハウジング101、弁皿102、第2バネ103が第2バルブ機構87を構成する。つまり、第2バルブ機構87は、弁皿102を押し込むことにより開放される。この第2バルブ機構87は、金属筒に弁皿102及び第2バネ103を挿入し、その金属筒の上下端を内側に折り曲げることにより第2ハウジング101を形成し、ユニット化したものである。また第2ハウジング101と第1空間S1とは、上下連通孔92a、内溝17を介して連通している。
【0043】
図8に戻って、蓋部材89は、上底を有する筒状のものであり、第2バルブ機構87の部位に、あるいは、第2ハウジング101と連通するように内外を連通して半径方向外方に突出した貫通筒89aが形成されており、かつ、筒部の下部内面に耐圧容器71の雄ネジと螺合する雌ネジ89bが形成されている。また、筒部の下端と耐圧容器71の肉厚フランジ11eとの間に、空間S1をシールするための環状のシール材89cが設けられている。
【0044】
次に第2バルブ機構87を操作するための吐出部材の説明をする。
吐出部材105は、
図9eに示すように、側面に半径方向外側に突出する吐出筒106aを備えた筒状の本体106と、その本体に挿入される操作部107とからなる。本体106は、一方の開口部を蓋部材89の貫通筒89aに挿入し、他方の開口部に操作部107が挿入される。操作部107は、本体106内の内面とシールするように挿入されるピストン部107aと、そのピストン部107aから前方に突出した操作棒107bと、ピストン部107aから後方に本体106の外部に位置する指押部107cとからなる。つまり、使用者は、指押部107cを指で本体106方向に押すことにより、操作棒107bが第2バルブ機構87の弁皿102を押し、第2バルブ機構87を開放する。これにより空間S1内の第2内容物A2が空間S2内の噴射剤に押圧され、内溝17、上下連通孔92aを通り、第2ハウジング101内に至り、さらに、本体106から吐出筒106aの先端の吐出孔から吐出される。ここでは、第2バルブ機構87に用いられる吐出部材の一例を挙げるが、操作することによって第2バルブ機構87の弁皿を押すことができるものであれば、その構成は特に限定されない。また、ステム94と蓋部材89の貫通筒89aを同じ外径にし、本体106の開口部をステム94および貫通筒89aのいずれにも装着できるようにすることで、吐出部材をそれぞれ吐出したい内容物に応じてステム94あるいは貫通筒89aに装着できる。このように一つの吐出部材でそれぞれのバルブ機構を吐出操作できる。また、第2バルブ機構87としては、第1バルブ機構86のように、ステム、ステムラバーを用いたバルブ機構を用いても良い。