特許第6140710号(P6140710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ガーション マシーン リミテッドの特許一覧

特許6140710発電機
この文献は図面が300枚以上あるため,図面を表示できません.
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140710
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
   F02G 1/055 20060101AFI20170522BHJP
   F02G 1/043 20060101ALI20170522BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F02G1/055 E
   F02G1/043 Z
   F01K25/10 C
【請求項の数】30
【全頁数】153
(21)【出願番号】特願2014-535229(P2014-535229)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2014-528556(P2014-528556A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】IL2012050404
(87)【国際公開番号】WO2013054333
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】13/271,385
(32)【優先日】2011年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512264792
【氏名又は名称】ガーション マシーン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハリフ,ガーション
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−052052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0198960(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0059912(US,A1)
【文献】 米国特許第05548957(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0263378(US,A1)
【文献】 米国特許第03830065(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02G 1/043−057
F01K 25/10
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−熱差動式モジュールであって、
業媒体を高温で供給するよう構成された第1の高温源と、
業媒体を低温で供給するよう構成された第2の低温源と、
前記第1の高温源及び前記第2の低温源と流体連通し、
前記第1の高温源で前記作業媒体に熱を供給すること、及び
前記第2の低温源で前記作業媒体から熱を除去すること、
のうち少なくとも1つの方法によって、前記第1の高温源と前記第2の低温源との間の温度差を維持するよう構成された熱機構と、
を備える、熱差動式モジュールと、
−前記第1の高温源からの前記作業媒体と、前記第2の低温源からの前記作業媒体とに選択的に流体連通し、前記高温/低温の作業媒体との熱交換プロセスを交互に行い、その温度を前記それぞれの作業媒体の高温及び低温に対応する最低動作温度と最高動作温度との間で変動させる圧力媒体を備える圧力モジュールと、
−前記圧力媒体と機械的に接続し、前記圧力媒体の温度変動を出力エネルギー生成のために利用するよう構成された変換モジュールと、
−前記熱差動式モジュール及び前記圧力モジュールのうち少なくとも1つと熱連通し、前記熱交換プロセスの間に前記圧力媒体に伝達されなかった前記高温及び低温の作業媒体の熱エネルギーの少なくとも一部を受容し、前記熱エネルギーを前記熱差動式モジュール及び前記圧力モジュールのうちの1つに戻すよう構成された熱回収配置と、
を備える発電機であって、
前記作業媒体への熱の供給が、外部設備からの補助的な高温の流体との熱交換プロセスによって行われる、発電機。
【請求項2】
前記第1の高温源及び前記第2の低温源のうち1つが外部環境と熱連通している、請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記圧力モジュールが1つ以上の圧力容器を備え、その各々が前記熱差動式モジュールと流体連通している、請求項1又は2に記載の発電機。
【請求項4】
前記熱回収配置が、前記圧力モジュールの出口端部と流体連通し、中に同時に含まれる少なくとも2つの作業媒体の量の間の温度差を維持するよう構成された、少なくとも1つの温度勾配タンクを備える、請求項1、2又は3に記載の発電機。
【請求項5】
前記勾配タンクに、前記少なくとも2つの作業媒体の混合を防ぐよう構成された、迷路状の流路が形成されている、請求項4に記載の発電機。
【請求項6】
前記発電機が、前記出力エネルギーの少なくとも一部を貯蔵するよう構成された熱貯蔵ユニットを更に備え、前記貯蔵ユニットが加熱要素と補助ヒートポンプの両方を備え、前記貯蔵ユニットが、外部使用者に対する高温/低温の媒体源として用いられる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発電機を用いた出力エネルギー生成のための方法であって、前記方法が、
0)前記第1の高温源で前記作業媒体の温度を上昇させるため、前記作業媒体と前記補助作業媒体との間の熱交換プロセスを行うことと、
I)Tの温度で高温の作業媒体を前記圧力モジュールに供給し、前記圧力媒体と熱交換プロセスを行わせることによって、前記圧力媒体の温度を最高動作温度TPMAXに上げ、その結果、前記高温の作業媒体の温度をTH−COOLEDに下げることと、
II)TH−COOLEDの温度の前記高温の作業媒体を戻して、元のTの温度に上げるために工程(0)を行わせることと、
III)温度がTの低温の作業媒体を前記圧力モジュールに供給し、前記圧力媒体と熱交換プロセスを行うことによって、前記圧力媒体の温度を最低動作温度TPMINに下げ、その結果、前記低温の作業媒体の温度をTL−HEATEDに上げることと、
IV)TL−HEATEDの温度の前記低温の作業媒体を前記第2の低温源に戻し、その一方で、前記低温の作業媒体から放熱し、その温度を下げてTに戻すことと、
の工程を少なくとも備え、T≦TPMAX、TPMIN≦Tである、方法。
【請求項8】
工程(IV)における放熱が、外部環境への熱の放出によって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発電機が、少なくとも1つの勾配タンクを更に備え、前記方法が、
前記方法の工程(III)と(IV)との間に行われ、この間、前記圧力モジュールを出た後、前記低温の作業媒体が前記勾配タンクに供給され、そこで蓄積される(III´)と、
前記方法の工程(V)と(I)との間に行われ、この間、前記勾配タンクに蓄積された前記加熱された低温の作業媒体が前記圧力モジュールに供給されて前記圧力媒体との熱交換プロセスを行い、これによって前記圧力媒体の温度が中間の動作温度TPINTERに上がり、その結果、前記蓄積された低温の作業媒体の温度がTにより近い温度に下がる(V´´)と、
の工程を更に備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記発電機が、少なくとも1つの勾配タンクを更に備え、前記方法が、
前記方法の工程(I)と(II)との間に行われ、この間、前記圧力モジュールを出た後、前記高温の作業媒体が前記勾配タンクに供給され、そこで蓄積される(I´´)と、
前記方法の工程(II)と(III)との間に行われ、この間、前記勾配タンクに蓄積された前記冷却された高温の作業媒体が前記圧力モジュールに供給されて前記圧力媒体との熱交換プロセスを行い、これによって前記圧力媒体の温度が中間の動作温度TPINTERに下がり、その結果、前記蓄積された低温の作業媒体の温度がTにより近い温度に上がる(II´´)と、
の工程を更に備える、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記外部設備が、以下のもの:発電所であって、前記高温の流体が前記発電所によって排出された残りの加熱された水及び/又は蒸気である、発電所と、前記発電機に高温の流体を供給するために構成されたソーラー設備と、のうちいずれか1つである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項12】
前記圧力容器のうち1つ以上が、サブ構造と、周囲のグリルとを備えているコアを備え、それにより、前記サブ構造の内部スペースによって画定される第1のスペースと、前記グリルと前記サブ構造との間で画定される第2のスペースとが形成され、前記第1のスペースと前記第2のスペースとが互いに流体連通しているため、前記作業流体が前記第1のスペース及び前記第2のスペースの両方に含まれるよう構成されている、請求項3に記載の発電機。
【請求項13】
前記発電機の運転中、前記第2のスペース内に含まれる前記作業流体、前記第1のスペース内に含まれる前記作業流体よりも速い軸流速度を得るよう構成されている、請求項12に記載の発電機。
【請求項14】
前記発電機が、前記圧力モジュールの出口端部と流体連通し、中に同時に含まれる少なくとも2つの作業媒体の量の間の温度差を維持するよう構成されている勾配タンクを備え、前記発電機が、外部環境との熱交換プロセスを介して前記勾配タンク内に含まれる流体を冷却するよう構成された放熱器を更に備える、請求項11に記載の発電機。
【請求項15】
前記熱交換プロセスが周囲の空気と前記勾配タンク内に含まれる流体との間で行われ、前記放熱器が前記燃焼チャンバと連動し、前記熱交換プロセスによって加熱された周囲の空気を前記燃焼チャンバに供給するよう構成されたベントを備える、請求項14に記載の発電機。
【請求項16】
前記燃焼チャンバが、高温の排気を生産するために燃料を燃焼し、加熱された気体を前記少なくとも1つの加熱容器に供給するよう構成され、前記排気と熱交換プロセスを行うため、前記作業流体が前記コア内を通過するよう構成されている、請求項14に記載の発電機。
【請求項17】
前記外部設備が、高温の排気を生産するために燃料を燃焼するよう構成された燃焼チャンバであり、前記発電機が、前記排気と前記作業流体との間の熱交換を容易にするよう構成された少なくとも1つの加熱容器と、前記熱交換プロセスの後に前記気体を排出するよう構成された煙突配置とを備え、前記発電機が、前記勾配タンクを前記煙突配置に関連づける加熱サイクルを備える、請求項1乃至6及び11乃至16のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項18】
前記圧力容器が、第1の、直径がD1の内部コアと、第2の、直径がD2>D1である外部コアとを中に収容するハウジングを備え、前記コアが前記ハウジングの前記スペースを、前記第1の内部コア内で画定される内部スペースと、前記第2の外部コアの外面と前記ハウジングとの間で画定される外部スペースと、前記第1の内部コアの外面と前記第2の外部コアの内面との間で画定されるギャップスペースの、3つのサブスペースに分割し、前記コアの各々がその中心軸の周りで個々に回転するよう構成されている、請求項3又は12に記載の発電機。
【請求項19】
前記圧力容器がシリンダ状の形状であり、前記圧力容器の縦向きの断面において前記圧力容器をT字型にする追加的な延長部が形成され、前記圧力容器が、前記圧力媒体を前記延長部から引き出し、それを前記圧力容器内で循環させ、それを前記延長部に戻すよう構成された回転するコアを備える、請求項3、12及び18のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項20】
第1の高温の作業媒体が流体の媒体であり、前記圧力媒体が気体の媒体であり、前記作業媒体が、他の気体媒体との熱交換を介して高温になるよう構成されている、請求項1乃至6及び11乃至19のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項21】
−熱差動式モジュールであって、
業媒体を高温で供給するよう構成された第1の高温源と、
業媒体を低温で供給するよう構成された第2の低温源と、
記第の高温源及び前記第2の低温源と流体連通し、
前記第1の高温源で前記作業媒体に熱を供給すること、及び
前記第2の低温源で前記作業媒体から熱を除去すること、
のうち少なくとも1つの方法によって、前記第1の高温源と前記第2の低温源との間の温度差を維持するよう構成された熱機構と、
を備える、熱差動式モジュールと、
−前記第1の高温源からの前記作業媒体と、前記第2の低温源からの前記作業媒体とに選択的に流体連通し、前記高温/低温の作業媒体との熱交換プロセスを交互に行い、その温度を前記それぞれの作業媒体の高温及び低温に対応する最低動作温度と最高動作温度との間で変動させる圧力媒体を備える圧力モジュールと、
−前記圧力媒体と機械的に接続し、前記圧力媒体の温度変動を出力エネルギー生産のために利用するよう構成された変換モジュールと、
−前記熱差動式モジュール及び前記圧力モジュールのうち少なくとも1つと熱連通し、前記熱交換プロセスの間に前記圧力媒体に伝達されなかった前記高温及び低温の作業媒体の熱エネルギーの少なくとも一部を受容し、前記熱エネルギーを前記熱差動式モジュール及び前記圧力モジュールのうちの1つに戻すよう構成された熱回収配置と、
を備える発電機であって、
第1の高温の作業媒体が液体の媒体であり、前記圧力媒体が気体の媒体であり、前記作業媒体が他の気体媒体との熱交換を介して高温になるよう構成されている、発電機。
【請求項22】
前記熱回収配置が、前記圧力モジュールの出口端部と流体連通し、中に同時に含まれる少なくとも2つの作業媒体の量の間の温度差を維持するよう構成されている少なくとも1つの温度勾配タンクを備える、請求項21に記載の発電機。
【請求項23】
前記勾配タンクに、前記少なくとも2つの作業媒体が混ざり合うのを防ぐよう構成された迷路状の流路が形成されている、請求項22に記載の発電機。
【請求項24】
前記発電機が、
−高温の補助作業媒体を生産するための加熱配置と、
−前記補助作業媒体と前記作業媒体との間で熱交換プロセスを行うよう構成された熱交換器と、
−第1の圧力モジュール及び第2の圧力モジュールと、
−各々が前記第1の圧力モジュールと関連する、第1の主勾配コンテナ及び第1の補助勾配コンテナと、
−各々が前記第2の圧力モジュールと関連する、第2の主勾配コンテナ及び第2の補助勾配コンテナと、
−各々が前記熱交換器と流体連通している、前記第1補助勾配コンテナ及び前記第2補助勾配コンテナと、
−前記第1の補助勾配コンテナ及び前記第2の補助勾配コンテナのうち少なくとも1つと関連してそこから熱を放出する少なくとも1つの熱回収配置であって、放出された熱を前記加熱配置に供給するために前記加熱配置と更に関連する前記熱回収配置と、
−中心導管と前記第1の主勾配コンテナ及び前記第2の主勾配コンテナと関連する分配ポイントと、
を備える、請求項1及び21のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項25】
前記発電機が、
−前記加熱配置と前記熱交換器とを除いたすべての構成要素によって構成される周辺のフローサークルと、
−前記加熱配置と、前記熱交換器と、前記第1の主勾配コンテナと、前記第1の圧力モジュールと、前記第1補助勾配コンテナとによって構成される第1のフローサークルと、
−前記加熱配置と、前記熱交換器と、前記第2の主勾配コンテナと、前記第2の圧力モジュールと、前記第2の補助勾配コンテナとによって構成される第2のフローサークルと、
の3つの流体サークルを備える、請求項24に記載の発電機。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の発電機を用いて出力エネルギーを生成する方法であって、前記方法は、
−第1の主工程−前記第1の高温源を阻害し、作業流体を反時計回りに周辺のサークルでのみ通過させることと、
−第1の補助工程−前記第1のフローサークルを阻害し、作業媒体を反時計回りに前記第1の流れで循環させることと、
−第2の主工程−前記第1の高温源を阻害し、作業流体を時計回りに前記周辺のサークルでのみ通過させることと、
−第2の補助工程−前記第2のフローサークルを阻害し、作業媒体を時計回りに前記第2のフローサークルで循環させることと、
を備え、
前記主工程の各々において、前記補助工程中よりも多量の作業媒体が前記圧力容器を循環する、方法。
【請求項27】
前記主工程の間に前記圧力媒体を通過する作業媒体の量が、前記補助工程の間に前記圧力容器を循環する作業媒体の量の1.5倍である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記補助工程の間に勾配温度の作業媒体を最も高温の部分から最も低温の部分に供給することによって、前記圧力容器内で前記圧力媒体の冷却が行われる、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記各主工程の間、前記周辺のサークルに高温の作業媒体が追加される、請求項2627又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の低温源が、前記回収配置による作業媒体の冷却によって提供される、請求項26乃至29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の対象はエネルギー生成システムに関し、より詳細には、物質の加熱/冷却、及びそれに応じた膨張/圧縮を利用する電気エネルギーの生成に適合されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の生成とは、エネルギーの一形態が電気に変換されるプロセスであり、今日では、これと同じことを行うための極めて多数のプロセスが知られ、使用されている。これらのプロセスには、エネルギーの一形態を機械的エネルギーに変換し、電気を生成するため、機械要素を磁場の中で運動/回転させるものもある。
【0003】
これらのプロセスには、以下のようなものがある。
−水を蒸気に転換するため石炭を燃焼し、タービン内で蒸気を膨張させてタービンを回転させる、そのタービンが機械要素である
−太陽エネルギーを用いて水を蒸気に転換し、同じことを行う
−滝の力を用いてタービンを駆動する
−燃焼チャンバ内で気体を燃焼し、ピストンを駆動する(例えば内燃機関において)
【0004】
加えて、媒体の圧力/膨張によって機械要素を往復運動/運動させ、電気を生成するプロセスも存在する。これらのプロセスの中には、媒体の圧縮/膨張がその加熱/冷却によって行われるものもある。
【0005】
このようなシステムは、例えば、次の出願において開示されている。英国特許第1536437号、国際公開第2009064378A2号、米国特許第2008236166A1号、米国特許第2005198960A1号、米国特許第2006059912A1号など。
【発明の概要】
【0006】
本出願の対象によれば、熱を媒体から抽出し、この熱を電気エネルギー生成のためのプロセスに利用するよう構成された発電機が提供される。詳細には、この熱は、この電気の生成のため、機械要素の往復運動/回転に利用されうる。
【0007】
本出願の対象の一側面によれば、両者の間に温度差を有する第1タンク及び第2タンクを提供するよう構成された熱差動式モジュール(heat dIfferentIal module)と、熱差動式モジュールの両タンクと交互に熱交換プロセスを行い、その温度を変動させるよう構成された圧力媒体を含む圧力モジュールと、圧力モジュールの変動をエネルギー生成のために利用するよう構成された変換モジュールとを備える発電機が提供される。
【0008】
詳細には、この発電機は以下のものを備えうる。
−少なくとも以下のものを備える熱差動式モジュール
高温の作業媒体を含み、上記の圧力モジュールの圧力媒体と選択的に熱連通されるよう構成された第1の高温のタンクと、
低温の作業媒体を含み、上記の圧力モジュールの圧力媒体と選択的に熱連通されるよう構成された第2の低温のタンクと、
これらのタンクの間の温度差を維持するよう構成された熱機構
−高温/低温の作業媒体と熱交換プロセスを交互に行い、両タンクの高温と低温に応じた最低動作温度と最高動作温度との間で温度を変動させるよう構成された圧力媒体を備える圧力モジュールで、その圧力媒体は変換モジュールと機械的に接続され、これを稼働する
−圧力媒体の温度変動を出力エネルギーに変換するよう構成された変換モジュール
−圧力モジュールから熱差動式モジュール又は圧力モジュールへと戻って熱を伝達するよう構成された熱回収配置。
【0009】
なお、「媒体」という用語は、本明細書では、固体、流体、すなわち液体及び気体、のいずれをも説明するために用いられる。例えば、圧力媒体は固体であってもよく、また、例えば、圧力が加わると凝固する物質でさえあってもよい。
【0010】
また、「高」温及び「低」温という用語は、T及びT(本明細書ではTとも述べることがある)という2つの異なる温度を指し、T>Tであることを理解されたい。様々な例によれば、温度T及びTは、次のように変化しうる。
−TとTのいずれも、周囲の温度を上回る
−TとTのいずれも、周囲の温度を下回る
−Tは周囲の温度を上回り、Tは周囲の温度を下回る。
【0011】
「周囲」という用語は、本明細書では、少なくとも発電機の熱差動式モジュールが位置する外部環境の平均温度を定義するために用いられる。詳細には、この環境とは一般的には単に周囲の空気のことであるが、発電機は任意の所望の媒体に浸されるよう構成されてもよく、この場合の「周囲」という用語は、その媒体の平均温度を指すことになる。
【0012】
熱差動式モジュールは、高温タンクと低温タンクとを備える作業媒体サブシステムで構成されてもよい。詳細には、高温/低温タンクの各々には、タンクと圧力モジュールの入口端部との間を選択的に流体連通させるよう構成された入口ラインと、圧力モジュールの出口端部とタンクとの間を選択的に流体連通させるよう構成された出口ラインとが設けられてもよい。
【0013】
熱差動式モジュールの入口/出口のそれぞれのラインは、高温/低温の作業媒体を圧力モジュールに交互に提供し、圧力媒体との熱交換プロセスを行うよう構成される。
【0014】
作業媒体サブシステムは、蒸発器端部とコンデンサ端部とを有するヒートポンプを備えてもよく、このヒートポンプは、入力電力Wが供給されると、蒸発器端部からコンデンサ端部へと熱量Qを引き出すよう構成されている。ヒートポンプが運転された結果、コンデンサ端部には絶えず熱が供給され、コンデンサ端部の温度は蒸発器端部の温度を上回る。
【0015】
配置は、高温タンクと低温タンクのうちの少なくとも1つが、ヒートポンプの上記蒸発器端部とコンデンサ端部のうち1つと熱的に関連するようになされる。例えば、高温タンクがヒートポンプのコンデンサ端部と熱的に関連していてもよく、及び/又は低温タンクがヒートポンプの蒸発器端部と関連していてもよい。したがって、ヒートポンプは、低温タンクを所望の「低」温に維持するための冷却ユニットとして運転することができ、その一方で、冷却中にエアヒートポンプから放出される熱は、高温タンクを所望の「高」温に維持するために用いられる。
【0016】
ヒートポンプの蒸発器/コンデンサ端部と高温/低温タンクとの間の熱は、ヒートポンプの蒸発器/コンデンサ端部と高温/低温タンクに含まれる作業媒体との間の直接/間接的な接触によって関連させることが可能であり、これによって前者と後者との間の熱交換プロセスが可能となる。特定の一例によれば、ヒートポンプの蒸発器/コンデンサ端部が高温/低温の作業媒体内にあることで、このような接触が達成される。
【0017】
特定の一設計によれば、高温タンクはヒートポンプのコンデンサ側と直接的に熱連通しており、その一方で、低温タンクは外部環境と関連している(すなわち、周囲の温度にさらされている)。また、この設計の特定の一例によれば、低温タンクは、外部環境にさらされているにもかかわらず、低温タンクにヒートポンプの蒸発器端部と熱連通させる要素を装着しうる。
【0018】
他の設計によれば、高温タンクはヒートポンプのコンデンサ側と直接的に熱連通し、その一方、低温タンクはヒートポンプの蒸発器側と直接的に熱連通している。
【0019】
圧力モジュールは、圧力媒体と、入口端部と出口端部を有する少なくとも1つの導管(本明細書では「導管」又は「コア」とよぶ)とを含む容器を備えてもよく、これらの端部は圧力モジュールのそれぞれの入口と出口付近の端部を構成する。したがって、上記の導管は、高温/低温の作業媒体にその中を通過させるため、上記の高温/低温タンクと選択的に流体連通されるよう構成されてもよい。
【0020】
発電機は、圧力媒体と熱交換プロセスを行うよう、(タンクとの選択的な流体連通を用いて)高温/低温の作業媒体が容器の導管の中を交互に通過しうるように構成される。したがって、高温の作業媒体は、圧力媒体を上記の最高動作温度にするために用いられ、上記の低温の作業媒体は、上記の圧力媒体を上記の最低動作温度にするために用いられる。
【0021】
その結果、圧力媒体は、その最高動作温度と最低動作温度との間を変動するよう構成され、この変動によって、上記の圧力媒体の体積はそれぞれ増加/減少し、これが変換モジュールによってエネルギー生産のために利用されうる。
【0022】
圧力モジュールに関しては、次の特性を(個々に、或いは互いに組み合わせて)用いてもよい。
・容器は、高圧の媒体を構成するため、既にその中で圧力媒体が予圧されている圧力容器であってもよい。圧力媒体を予圧する利点は、発電機の運転について更に詳細に論じる際に明らかになる
・容器は、その内部を通過する1つ以上のコアを備えてもよく、各コアは、熱差動式モジュールのタンクと選択的に流体連通されるよう構成されている
・コアが作業媒体のための長い単一の流路を形成する第1の直線形状と、その内部の作業媒体が同時に流れるようにコアが構成されている第2の平行形状とを少なくともとることができるよう、コアは互いに選択的に流体連通していてもよい
・1つ/複数のコアは、圧縮/圧力に対する耐性が高く、熱容量が低くかつ熱伝達率の高い材料で作られてもよい。例えば、このような材料は、炭化ケイ素、タングステン、カーバイド、チタンなどであってもよい
・圧力容器の長さLは、その直径Dよりもかなり長くてもよく、このとき、圧力容器内には、その中を通るコアを支えるための幾つかの支持体が必要な場合がある
・圧力容器は、並んで配列され、支持体部分に接続点を有する、1つ又は複数のコアを備えてもよい
・コアのうち少なくとも1つは放熱配置に取り付けられてもよく、この放熱配置は、圧力媒体と接触し、圧力媒体への熱伝達効率を上げ、その結果、作業媒体と圧力媒体との間の熱交換プロセスの効率を上げるよう構成されている
・放熱配置はコアと一体的であってもよく、或いは、コアと連結された別個の配置であってもよい。前者の場合、コアの表面積は、リブ/スパイクなどの形で増大されて形成されていてもよく、後者の場合、コアの表面に少なくとも1つの放熱部材(例えばリブ/ウィング/ブレードなど)を取り付けてもよい
・1つ又は複数のコアは自軸で回転するよう構成されてもよく、また、すべてのコアがある共通の軸(例えば圧力容器の中心軸)で回転するよう構成されてもよい
・別個の放熱配置は、それが取り付けられているコアの周りを回転するよう構成されてもよい
・別個の放熱配置は、モータで駆動するよう構成されてもよい。またこの配置は、いくつかのコアの放熱配置が単一のモータで同時に駆動するような配置であってもよい
・放熱配置を駆動するモータは、圧力容器の外側に位置してもよい
・モータの駆動シャフトは、圧力容器の両側から延長するよう構成されてもよく、また、1つが駆動シャフトとその各端部で係合する、2つのモータで駆動可能でさえあってもよい。なお、駆動シャフトは圧力容器の一端部から突出するのみである、すなわち、その第2の端部は圧力容器内にあり、容器内の圧力によって、圧力容器から押し出ようとする駆動シャフトに多大な負荷がかかりうる。この影響は甚大であることがあり、駆動シャフトは圧力容器から「射出」される危険がある
・それぞれのコアには、作業媒体内での熱伝達を上げるよう構成された内部配置を取り付けることもでき、このことによって、圧力媒体と作業媒体との間の熱交換プロセスの効率が向上する
・一例によれば、内部配置は静的な配置であってもよく、すなわち、ただ単にコア内部にあってもよい。他の例によれば、内部配置は、コア内部で移動/回転し、コアを通過する作業媒体を循環させるよう構成された動的な配置であってもよい
・また、内部配置は、(例えばアルキメディアン・スクリューのように)作業媒体をコアに沿って盛んに移動させるよう構成されてもよい
・比較的長い圧力容器の場合、圧力容器は2つ又はそれ以上のコアを備えてもよく、これらのコアは、互いに直線状に接続され、また2つの隣り合うコアの間の接合点にはシールされた支持体が設けられてもよい
・上記の容器内の圧力媒体は予圧されていてもよく、また、2000〜8000atm、より詳細には3000〜7500atm、更に詳細には4000〜7000atm、更に詳細には5000〜6500atmの範囲の圧力下にあってもよい。なお、圧力容器を製造する材料が適切であれば、圧力媒体をより高圧で予圧することも可能である
・圧力媒体の熱膨張率は、100〜1200、より詳細には250〜1100、更に詳細には500〜1000、更に詳細には600〜900の範囲であってもよい
・圧力媒体は、臭化エチル、水、n−ペンタン、エチルエーテル、メタノール、エタノール、水銀及び酸からなる群から選択されてもよい。
【0023】
加えて、熱交換プロセスが発生する発電機の少なくとも1つ又は複数の構成要素(例えばシリンダ、チューブ、面など)には、増大した表面積を有する伝熱面が形成されてもよい。具体的には、この面は、その表面積を増大させる複数の要素、例えばバルジ、突起などで構成されてもよい。特定の一例によれば、この要素は、立方体、ピラミッド、円錐などの幾何学的な形状を有するミクロ構造であってもよい。他の例によれば、この要素は(平行又は螺旋状の)リッジであってもよい。
【0024】
後者の場合、このようなリッジ要素は、その中心軸に沿って切り取ったパイプの断面においては、面が(頂上と溝との間の)波状になって現れる。リッジがパイプの内面と外面の両方に形成される場合、配置は、内面の頂上が外面の溝に面し、そのまた逆も同様であり、これによって、その中心軸に垂直な各断面で、材料の厚さを概ね一定に維持するような配置でありうる。
【0025】
(上述のような)シリンダ状の構成要素の外面に上述のミクロ構造を予め形成することはかなり容易である一方、上述のシリンダ状の構成要素の内面を予め形成することは、より複雑な問題を孕んでいることがわかっている。このために、シリンダ状の構成要素の内面にミクロ構造を予め形成するための工程を以下に示す。
(a)第1面と、反対側の第2面とを有する、概ね平らな板を用意する
(b)上述のミクロ構造を、上述の第1面に予め形成する
(c)大きさと形状が上述の板と対応する非貫通の空洞が形成された型を用意する、この空洞は、底面を有し、また、型の表面は開口部を有する
(d)上述の板を上述の空洞に配置するが、その際、上述の第2面が上述の底面に一致し、上述の第1面が空洞の開口部の方向を向き、上述の第1面と上述の開口部との間に空間が残るようにする
(e)空洞に充填剤を導入し、ミクロ構造の間に形成された空間も含め、上述の空間を充填する
(f)上述の充填剤を凝固し、上述の板と凝固した充填剤とによって構成される単一の板を形成する、この板は、上述の充填剤によって構成された第1面と、元の板の第2面によって構成された第2面とを有する
(g)上述の単一の板を変形し、少なくとも部分的にシリンダ状の形状を得て、上述の単一板の第2面が上述のシリンダの外面を構成し、上述の単一板の第1面が上述のシリンダの内面を構成するようにする
(h)上述の単一板から上述の充填剤を除去することで、元の板の内面上にミクロ構想を形成する
(I)ミクロ構造を有する内面上に最終仕上げを行う。
【0026】
発電機の変換モジュールは、圧力媒体と機械的に接続された動的配置を備え、これによって駆動してもよい。詳細には、この動的配置は、上述の最高動作温度から上述の最低動作温度への圧力媒体の変動に応じて往復運動するよう構成された可動部材を備えてもよい。
【0027】
特定の一例によれば、動的配置は、その内部に位置するピストンを有するハウジングを備えたピストンアセンブリによって構成されてもよく、このピストンによってシールされたまま、ハウジングは、圧力媒体と機械的に接続された第1の入力チャンバと、出力エネルギーを生成するよう構成されたモータアセンブリと機械的に接続された第2の出力チャンバとに分割される。
【0028】
変換モジュールのピストンは、ハウジング内で圧力媒体の体積の変動に応じて往復運動するよう構成されてもよい。具体的には、圧力媒体の温度が上昇すると、それに応じて体積が増すことでピストンが動き、入力チャンバの容積は増加し、出力チャンバの容積は減少する。また、圧力媒体の温度が低下すると、それに応じてその体積が下がることでピストンが動き、入力チャンバの容積は減少し、出力チャンバの容積は増加する。この往復運動は、出力エネルギー生産のため、モータアセンブリによって用いられてもよい。
【0029】
一例によれば、モータアセンブリはクランクシャフト配置を備えるため、ピストンの往復運動によってクランクシャフトがその軸の部分で回転するよう構成される。この回転は、既知の手段によって、出力エネルギー生産のために変換可能である。
【0030】
他の例によれば、ピストンは、歯車アセンブリとかみ合うよう構成された直線状の軸と関連してもよく、そしてこの歯車アセンブリは、シャフトの直線状の往復運動を回転状の動きに変換するよう構成される。この回転運度は、既知の手段によって、出力エネルギー生産のために変換可能である。
【0031】
特定の一設計の実施形態によれば、ピストンとモータとの間に中間装置が設けられてもよく、例えば、ピストンは、油のような中間物質への圧力を介して汎用ピストンを駆動するよう適合されてもよい。
【0032】
本出願の発電機は、高温タンクと低温タンクの少なくとも1つの出口ラインと熱連通している少なくとも1つの補助熱交換器を更に備えてもよい。この熱交換器は、上記の出口ライン内の作業媒体と外部環境及び/又は熱交換器が浸されている媒体との間で熱交換プロセスを行うよう構成されてもよい。
【0033】
このように、熱交換器は、作業媒体が圧力容器から出た後、圧力モジュールの圧力媒体との熱交換プロセスの間に、加熱/冷却された作業媒体をそれぞれ冷却/加熱するよう構成されてもよい。
【0034】
発電機の様々な構成形状の幾つかの例、及び各形状の運転方法をこれより説明するが、形状の幾つかにおいては、発電機は、追加的な要素、部材、モジュール及び/又は配置を備えてもよい。各形状は独立して用いられてもよいが、様々な形状の異なる特長は、発電機の新たな形状を作り出すため、組み合わせ可能でもあることを理解されたい。
基本形状
【0035】
上述の発電機の基本形状によれば、熱差動式モジュールは、ヒートポンプのコンデンサン端部と熱連通している高温タンクと、外部環境と熱連通している低温タンクとを備える。
【0036】
この形状では、ヒートポンプの蒸発器端部も外部環境にさらされているため、運転時には、蒸発器端部は絶えず外部環境から熱を引き出し、ヒートポンプは、蒸発器端部からコンデンサ端部へと絶えず熱を引き出すことがわかっている。
【0037】
圧力モジュールは、高圧(約6000atm)に予圧された圧力媒体をその内部に含み、その内部を通る少なくとも1つの導管を有する、単一の圧力容器を備える。圧力容器には、導管の入口端部と関連する入口弁と、導管の出口端部と関連する出口弁とが更に設けられている。また、圧力容器には、変換モジュールの動的配置と流体連通している出力ラインが備えられてもよい。
【0038】
高温/低温タンクの各々は、タンクと入口弁との間を選択的に流体連通させる入口ラインと、タンクと出口弁との間を選択的に流体連通させる出口ラインとを備える。
【0039】
このように、上記の例の発電機を用いた出力エネルギーの生成法が提供され、この方法は、以下の工程を備える。
a)入口弁と出口弁を選択して開き、高温タンクと圧力容器との間を流体連通させ、高温の作業媒体が、導管を通って高温タンクから入口弁へ入り、出口弁を出て高温タンクへと戻る。高温の作業媒体と圧力媒体との間の熱交換プロセスの結果、前者は冷却され、その一方で後者はその最高動作温度に加熱される。加熱時には、圧力媒体の体積が増加し、一方向にピストンを移動させる
b)入口弁と出口弁を選択して開き、低温タンクと圧力容器との間を流体連通させ、低温の作業媒体が、導管を通って低温タンクから入口弁へ入り、出口弁を出て低温タンクへと戻る。低温の作業媒体と圧力媒体との間の熱交換プロセスの結果、前者は加熱され、その一方で後者はその最低動作温度に冷却される。冷却時には、圧力媒体の体積が減少し、逆の方向にピストンを移動させる。
【0040】
上記の工程を繰り返し行うことによって、ピストンが前後に往復運動し、これにより発電機による電気の生成が可能となる。
【0041】
高圧の媒体の圧力が高いほど、発電機の熱力学上の運転は(発電機の機械的一体性が維持されていれば)より効率的になることが指摘される。より具体的には、ピストンには所定の抵抗力があり、この抵抗力を克服してピストンを動かすためには、高圧の媒体が所定の閾値圧力に達することが必要である。低圧の媒体が用いられる場合、その加熱によって、まず低圧の媒体の圧力がその閾値圧力まで上昇し、その後に初めてピストンが動く。
【0042】
上記に照らせば、媒体を圧力容器内で高圧に予圧する(閾値圧力の圧力を超過させる)ことにより、確実に、圧力媒体の加熱後直ちにピストンが動く結果となり、媒体を閾値圧力に加圧することが無駄にならない。
【0043】
以下のことにも留意しなければならない。
−高温タンクに戻る際、冷却された高温の作業媒体は、ヒートポンプのコンデンサ端部から更なる熱を自由に吸収することができ、媒体を元の高温に戻すことができる
−低温タンクに戻る際、加熱された低温の作業媒体は、外部環境に少なくともいくらかの熱を放出することができ、その温度を下げて元の低温に戻すことができる
−工程(a)から工程(b)に切り換える際に、導管の長さに応じて、低温タンクと流体連通させるために入口弁の位置を選択的に切り換えた後に、低温タンクと流体連通させるために出口弁の位置を選択的に切り換えることを遅らせることは有益でありうる。この方法により、工程(b)の開始後、導管内に含まれる高温の作業媒体がまず出口ラインを通って高温タンクに押し出され、その後に初めて出口弁が選択的に切り換えられ、低温タンクと流体連通しうる。同じことは、工程(b)から工程(a)に切り換えるときにも当てはまる。
【0044】
上記の方法は、加熱された低温の作業媒体から外部環境への熱の放出をより効率的にするため、この作業媒体が補助熱交換器を通過する追加的な工程(c)を更に含みうる。
直接回収形状
【0045】
上記の形状によれば、低温タンクの出口ラインは、圧力容器を出た後、低温タンクに直接的には戻されず、むしろまずはヒートポンプの蒸発器端部を通過する。この方法により、熱が外部環境に放出され、蒸発器端部でヒートポンプによって再吸収される代わりに、ヒートポンプの蒸発器端部に直接戻されることによって、発電機の運転効率を上げる。
被冷却タンク形状
【0046】
発電機の上記の形状によれば、第1の高温タンクが(先の例のように)ヒートポンプのコンデンサ端部と熱連通し、その一方で、低温タンクがヒートポンプの蒸発器端部と熱連通している被冷却タンク配置が示される。
【0047】
上記の配置では、低温の作業媒体は、圧力媒体との熱交換プロセスにより、圧力媒体から熱量の一部を回収し、残りの熱量を外部環境から回収して、ヒートポンプHPの蒸発器端部からコンデンサ端部に全体の熱量を供給する。
二重運転
【0048】
発電機は2つの圧力容器を備えることができ、その各々は、対応する入口/出口弁を介して、高温タンクと低温タンクに接続されている。加えて、各圧力容器の圧力媒体は、それぞれのピストンと機械的に流体連通している。
【0049】
2つの圧力容器を用いることによって、発電機の運転のうち少なくとも以下の2つのモードが可能となる。
a)同時サイクル−両方の圧力容器が上記の工程(a)及び(b)の両方を並行して行う。換言すれば、発電機サイクルのどの時点でも、一方の圧力容器の圧力媒体の温度が他方の圧力容器の圧力媒体の温度と類似している、すなわち、両方の圧力媒体は同時に加熱され、同時に冷却される。この配置では、発電機は2つのモータアセンブリを備えてもよく、その各々は、それぞれのピストンによって駆動される
b)交互サイクル−圧力容器は、工程(a)及び(b)をオフセットで行う、例えば、一方の圧力容器がサイクルの工程(a)を行うとき、他方の圧力容器は、サイクルの工程(b)を行う。換言すれば、一方の圧力容器の圧力媒体が加熱されるとき、他方の圧力容器の圧力媒体は冷却され、その逆もまた同じである。この配置では、発電機は1つのモータアセンブリを備えてもよく、モータアセンブリは2つのピストンによって駆動される(すなわち、両ピストンは互いに同期して往復運動しうる)。
中温タンク形状
【0050】
上記の形状では、発電機は3つのタンク、すなわち高温タンクと、低温タンクと、中温タンクとを備えうる。この配置は、中温の作業媒体を含む中温タンクが追加的に付加される被冷却タンク形状に基づいている。中温タンクは、中温の作業媒体を含むよう構成されており、「中温」という用語は、上記の高温と上記の低温の間の温度を指している。高温/中温/低温タンクの各々は、圧力容器と選択的に流体連通している。
【0051】
この配置では、基本形状に関して説明した工程(a)及び(b)に加えて、2つの追加的な工程(a´)及び(b´)が次のように行われる。
(a´)[工程(a)の後]中温の作業媒体が中温タンクから圧力容器の導管を通過することによって、(その間の熱交換プロセスを介して)圧力媒体の温度を、最高動作温度から(最高動作温度と最低動作温度との間の)中間動作温度まで低下させる
(b´)[工程(b)の後]中温の作業媒体が中温タンクから圧力容器の導管を通過することによって、(その間の熱交換プロセスを介して)圧力媒体の温度を、最低動作温度から(最高動作温度と最低動作温度との間の)中間動作温度まで上昇させる。
【0052】
具体的には、上記の工程(a´)と(b´)が行われる間に、中温の作業媒体が、高温/低温の作業媒体によってそれぞれ冷却/加熱の間で圧力媒体を冷却/加熱するために用いられる。このように、冷却/加熱工程の各々は2工程に分割され、第1の工程は中温の作業媒体によって行われ、第2の工程は高温/低温の作業媒体によって行われる。
【0053】
上記の配置では、高温/低温の作業媒体は、実際には温度を下げた範囲内で(すなわち、中温と高温の間、及び/又は中温と低温との間で)加熱/冷却を行うため用いられ、これによって発電機の運転をより効率的にすることがわかっている。
【0054】
上記の配置に関して、中温タンクは外部環境と熱連通してもよく、その一方で高温/低温タンクは、ヒートポンプのコンデンサ/蒸発器端部とそれぞれ熱連通している。
【0055】
加えて、高温/中温/低温タンクの出口ラインのいずれか1つは、圧力容器を出た後、補助熱交換器を通過してもよい。この配置の特別な一例によれば、中温の出口ラインは補助熱交換器を通過し、そのタンクに戻る前に圧力媒体との熱交換プロセスの間に得た/失った所要の熱量を周囲にそれぞれ伝達/周囲から吸収してもよい。対照的に、高温/低温タンクの出口ラインは、必ずしも熱交換器を通過せずに作業媒体をそれぞれのタンクに直接戻してもよい。
交差形状
【0056】
上記の形状によると、発電機は(二重運転配置と類似して)2つの圧力容器を備えてもよく、各々の出口弁は、入口弁とも選択的に流体連通している。
【0057】
具体的には、各出口弁Oには、一方の圧力容器の出口弁と他方の圧力容器の入口弁との間を流体連通させる交差ラインCOLも設けられている。この配置では、次に説明するような追加の交差工程を行うことができる。
(a´´)[工程(a´)の後]中温の作業媒体WMは、一方の圧力容器PVの導管を出た後、交差ラインCOLを経由して、他方の圧力容器PVの入口弁に供給され、その内部で圧力媒体を加熱し始め、その後にはじめてもう1つの出口弁を経由して中温タンクへと戻る
(b´´)[工程(b´)の後]中温の作業媒体WMは、一方の圧力容器PVの導管を出た後、交差ラインCOLを経由して、他方の圧力容器PVの入口弁に供給され、その内部で圧力媒体を冷却し始め、その後にはじめてもう1つの出口弁を経由して中温タンクへと戻る。
【0058】
上記の配置によって、圧力媒体からより多くの熱回収を行うことができる。より具体的には、中温タンクへと戻る間に一定の熱量を外部環境へと放出する/外部環境から引き出す代わりに、中温の作業媒体は、もう圧力媒体との熱交換で、その熱量の一部を放出する/引き出すことによって発電機の効率性を上げる。
熱勾配回収形状
【0059】
上記の形状では、発電機は(基本配置と類似して)1つの圧力容器と、出口弁と関連する少なくとも1つの勾配タンクをも備える。
【0060】
勾配タンクは、中に含まれる作業媒体の各部分が混ざり合うのを防ぎ、これによって各部の間の熱伝達及びこれらの部分が熱平衡に達する速度を大幅に低減するよう構成された配置を備えてもよい。詳細には、勾配タンクを本発電機に用いると、勾配タンクは、温度T1の作業媒体の第1の部分と、温度T2の作業媒体の第2の部分と、その他とを含んでもよく、T1≠T2≠その他である。
【0061】
具体的には、これから説明する発電機の運転下では、勾配タンクによって内部の作業媒体をT1>T2>...>Tn、又はT1<T2<...<Tnとなるような温度勾配に維持することができる。
【0062】
このように、勾配タンクに入る加熱/冷却された中温の作業媒体の各部分の温度は異なり、後に詳細に説明するように、勾配タンク内のこれらの部分の間で温度を勾配に維持することは有益でありうる。このために、勾配タンクは、作業媒体の異なる部分が互いに混ざり合うのを防ぐことによってタンク内で温度を勾配に維持するよう構成された非混合機構を更に備えてもよい。換言すれば、非混合機構は、勾配タンク内で受容された作業媒体が均一温度に達する速度を低下するよう構成されている。
【0063】
非混合機構は、勾配タンクに入る作業媒体の連続する部分間での熱伝達のための断面積が熱伝達速度を大幅に低下するのに十分な程度に小さい流路が形成されている任意の機構であってもよい。「十分な程度に小さい」とは、呼び寸法Dによって画定される断面積を指し、これは、経路の長さLよりも大幅に小さい。
【0064】
このような非混合機構の例は、
−長さがLであって、断面がD<<Lであるチューブ
−類似の特徴を有する螺旋状のチューブ
−上記の性質の流路を形成するような、タンク内に位置する螺旋状の面
−各々が上記の性質を有する複数の流路が形成された閉じ込め型の迷路
でありうる。
【0065】
上記の例のすべてにおいて、流路は、絶縁性を有する材料、すなわち熱伝達性が低い材料で作られてもよい。このような材料の一例は、プラスチックでありうる。
【0066】
運転時には、基本形状に関して説明したような基本的な運転工程(a)及び(b)に、以下のようないくつかの追加的な工程が付加される。
(b´´´)[工程(b)の前に行われる]低温の作業媒体が、圧力容器の導管を通って圧力媒体との熱交換プロセスによって加熱されるが、低温タンクに戻る代わりに、勾配タンクに導入される。圧力容器を出る低温の作業媒体の最初の部分は、(圧力媒体がこの熱交換プロセスの間に次第に冷却されるため)最後の部分よりも高い温度で勾配に到達することがわかっている。勾配タンクの設計によって、これらの部分をそれぞれの温度に維持することができるため、最終的には勾配タンク内の最上部分の温度が最も高く、勾配タンク内の最下部分の温度が最も低い。
(b´´´´)[工程(b)の後に行われる]勾配タンクの作業媒体は圧力容器を通ってLIFO(後入先出)の順序で再循環し直されることにより、圧力媒体を次第に中温に加熱し、その後に初めて運転工程(a)を始める。
【0067】
基本的には、発電機のこれらの運転工程は「留め置き」運転ともいうべきものであり、勾配タンク内の作業媒体WMは適切な時までその中に保たれ(留め置かれ)、その後に発電機の配管に放出されて必要な熱交換プロセスを行う。
【0068】
加熱/冷却された圧力容器を通る中温の作業媒体の各部分は、異なる温度でそこから放出されることがわかっている。例えば、システムの運転を定量化された方法で見るならば、TINTERMEDIATEの温度の中温の作業媒体がTHOT>TINTERMEDIATEの高温の圧力媒体を含む加熱された圧力容器を通って循環し始めたとき、中温の作業媒体の第1の部分は、圧力容器からTINTERMEDIATE<THOT´<THOTのようなTHOT´の温度で放出され、作業媒体の第2の部分は、圧力容器からTINTERMEDIATE<THOT´´<THOT´<THOTのような温度THOT´´で放出される等になる。同様のプロセスは、冷却された圧力容器を通る中温の作業媒体にも発生するが、ただし温度はTINTERMEDIATE>TCOLD´´>TCOLD´>TCOLDである。THOT、TINTERMEDIATE、TCOLDの温度は、それぞれ高温/中温/低温タンク内の作業媒体の高温/中温/低温に対応する。
【0069】
上記の配置は、発電機内で熱回収を行う他の方法を提示し、これによってその効率を更に上げる。LIFO形状を用いることによって、作業媒体の各部分の熱量をより有効に利用し、圧力媒体を(まずは最低温度の部分から)徐々に加熱できることもわかっている。
【0070】
勾配タンクは、加熱された低温の作業媒体にも、冷却された高温の作業媒体にも用いられうることもわかっている。後に詳細に説明する特定の例によれば、発電機は1つ以上の勾配タンクを備えてもよい。例えば、各圧力容器は、その自らの勾配タンクを備えてもよく、及び/又は高温/低温の作業媒体のために勾配タンクが提供される。
【0071】
特定の一配置によれば、熱勾配回収形状は、二重運転形状と組み合わせてもよく、このときの発電機の運転は次のように説明することができる。
第1段階では、先に説明した(勾配タンクがない)例と同様に、温度がTHOTの高温の作業媒体が一方の圧力容器を通過して、その内部に含まれる圧力媒体を加熱し、その一方で同時に、TCOLDの温度の低温の作業媒体がもう一方の圧力容器を通過して、その内部に含まれる圧力媒体を冷却する。この段階の後、一方の圧力容器内の圧力媒体はTHOT´<THOTの温度に加熱され、もう一方の圧力容器内の圧力媒体はTCOLD´>TCOLDの温度に冷却される。
【0072】
この後、温度がTINTERMEDIATEの中温の作業媒体が両方の圧力容器を通過して、その中の圧力媒体を冷却/加熱する戻り工程が行われる。具体的には、加熱された圧力容器を通過する中温の作業媒体は、後者との熱伝達プロセスを行ってこれをTINTERMEDIATEにより近い温度に冷却し、その一方、冷却された圧力容器を通過する中温の作業媒体は、後者との熱伝達プロセスを行ってこれをTINTERMEDIATEにより近い温度に加熱する(しかし、TINTERMEDIATEには達しない)。
【0073】
しかしながら、中温の作業媒体が、圧力容器を通過した後、放熱器を経由して中温タンクに戻された先の例とは対照的に、この例では、中温の作業媒体は2つのビート(beat)の順序で勾配タンクへと流れこむ。
【0074】
順序の第1のビートの間、圧力容器を出る加熱された中温の作業媒体の第1の部分の温度は、TINTERMEDIATE<THEATED´<THEATED<THOT´のような温度THEATEDであり、作業媒体の第2の部分は、TINTERMEDIATE<THEATED<THOT´のようなTHOT´の温度で圧力容器から放出される等になる。加熱された作業媒体は、それぞれの圧力容器の勾配タンクへと運ばれるため、勾配タンクの内部には加熱された作業媒体の様々な部分が含まれ、これらの間の温度勾配が維持される。
【0075】
同時に、圧力容器を出る冷却された中温の作業媒体の第1の部分の温度は、TINTERMEDIATE>TCOOLED>TCOOL´のような温度TCOOLEDであり、その作業媒体の第2の部分は、TINTERMEDIATE>TCOOLED´>TCOOLED>TCOOL´のようなTCOOLED´の温度で圧力容器から放出される等になる。冷却された作業媒体は、それぞれの圧力容器の勾配タンクへと運ばれるため、勾配タンクの内部には冷却された作業媒体の様々な部分が含まれ、これらの間の温度勾配が維持される。
【0076】
いずれの場合でも、加熱された圧力容器内の加熱された圧力媒体がこの工程の間にTINTERMEDIATEに達することは決してないため、そこを通る中温の作業媒体がTINTERMEDIATEの温度で圧力容器を出ることも決してなく、むしろ常にこれよりもわずかに高い温度であることに留意することが重要である。換言すれば、加熱された中温の作業媒体の各部分の温度は、TINTERMEDIATE<THEATED<THOTのようなTHEATEDである。同時に、冷却された圧力容器内の冷却された圧力媒体がこの工程の間にTINTERMEDIATEに達することは決してないため、そこを通る中温の作業媒体がTINTERMEDIATEの温度で圧力容器を出ることも決してなく、むしろ常にこれよりもわずかに低い温度である。換言すれば、冷却された中温の作業媒体の各部分の温度は、TINTERMEDIATE>TCOOLED>TCOOLのようなTCOOLEDである。
【0077】
各勾配タンク内の非混合機構のため、各勾配タンク内の作業媒体は勾配の温度に維持され、加熱/冷却された中温の作業媒体の様々な部分の間の混合速度を低下させる。
【0078】
順序の第1のビートが完了すると、各勾配タンクの大部分は、タンクの上から下まで、様々な温度の加熱/冷却された中温の作業媒体で満たされた状態である。この時点で、交差工程とも呼ばれる順序の第2のビートが行われる。
加熱された圧力容器の勾配タンク(すなわち、第1のビートの間に用いられた、加熱された中温の作業媒体を含む勾配タンク)からの作業媒体が、低温の作業媒体によってTCOLD´の温度に予め冷却された圧力媒体を含む反対の(冷却された)圧力容器を通過し、冷却された圧力容器の勾配タンク(すなわち、第1のビートの間に用いられた、冷却された中温の作業媒体を含む勾配タンク)からの作業媒体が、高温の作業媒体によってTHOT´の温度に予め加熱された圧力媒体を含む反対の圧力容器を通過する。
【0079】
加えて、勾配タンクからの作業媒体は、先入後出(FILO)の順序で反対の圧力容器に流れる、すなわち、勾配タンクに入る加熱された中温の作業媒体の最後の部分(加熱された中温の作業媒体の最も低温部分でもある)が反対の圧力容器を通過する最初の部分になる。この方法により、今では低温/高温となっている圧力容器を通る作業媒体の温度は、交差工程の間に、絶えず徐々に上昇/低下する。
【0080】
加熱された作業媒体の最も低温の部分でさえTHOT>TINTERMEDIATE>TCOLD´の温度であり、冷却された中温の作業媒体の最も高温の部分でさえTCOLD<TINTERMEDIATE<THOT´の温度であることが特筆される。このため、冷却/加熱された圧力媒体TCOLD´/THOT´と、加熱/冷却された中温の作業媒体THOT/TCOLDの最も低温/高温の部分との間の温度差は、前者と温度がTINTERMEDIATEである中温の作業媒体との間の先の温度差よりもはるかに大きいことがわかる。
【0081】
交差工程をLIFOの順序で行う理由の一つは、先入先出(FIFO)の順序を用いた場合、加熱/冷却された中温の作業媒体の最も高温/最も低温の部分が、圧力媒体とあまりに集中的に熱伝達プロセスを行うことになり、加熱/冷却された中温の作業媒体の最も低温/最も高温の部分が熱伝達プロセスにほとんど影響を与えなくなってしまうためであることも特筆される。LIFO順序を用いることによって、作業媒体の各部分をより有効に利用することが可能となる。
【0082】
上記の工程(切換工程)の間、加熱された中温の作業媒体と冷却された圧力媒体との間に熱伝達が発生し、その結果、冷却された圧力媒体は概ねTAV_C=(TCOLD´+THEATED)/2という平均温度になる。同時に、冷却された中温の作業媒体と加熱された圧力媒体との間に熱伝達が発生し、その結果、冷却された圧力媒体は概ねTAV_H=(THOT´+TCOOLED)/2という平均温度になる。
【0083】
上記で論じた温度差(すなわち、TINTERMEDIATE<THEATED<THOT´及びTINTERMEDIATE>TCOOLED>TCOLD´)があるため、温度TAV_C及びTAV_Hは、それらに対応し、圧力媒体を冷却/加熱するためにTINTERMEDIATEの中温の作業媒体が用いられる場合にのみ得られたであろう平均温度TAV_C´及びTAV_H´よりも高温/低温であることに留意されたい。
【0084】
両方の圧力容器の圧力媒体が熱伝達プロセスを終え、TAV_C及びTAV_Hの温度に達した後、主サイクル(工程(I)及び(III))が繰り返されるが、このとき高温の作業媒体が先ほど冷却された圧力容器に流れ、低温の作業媒体が先ほど加熱された圧力容器に流れる。
【0085】
このように、切換工程は、先に説明した発電機の例を改良し、圧力媒体との熱伝達プロセスをより効率的に行うことができるため、加熱/冷却された圧力媒体は、加熱/冷却した後、TINTERMEDIATEに極めて近い温度に戻り、またTINTERMEDIATEよりも低い/高い温度に達することさえ可能である。
【0086】
この順序のいずれのビートでも、(必ずしもTINTERMEDIATEの温度である必要はないが)中温の作業媒体は放熱器を通過し、外部環境(通常は周囲の空気であるが、放熱器が浸されている他の任意の媒体でもよい)との熱伝達プロセスを行う。
【0087】
発電機の運転全体にわたって、作業媒体と圧力媒体の熱力学上の性能のため、発電機は常に熱を生成し、そして、この熱は放熱器を通って周囲環境に放出される。より詳細には、その配置は、加熱された中温の作業媒体の温度上昇が、冷却された中温の作業媒体の温度低下よりもわずかに大きいようになっている。上昇/低下におけるこの差は、中温の作業媒体のわずかな過熱、すなわち、余熱の生成よって表される。しかしながら、これは、放熱器を介した余熱の排除によって相殺される。
【0088】
発電機全体が、より詳細には、高温/低温/中温の作業媒体が通過するよう構成された発電機の配管すべてに、常に圧力がかかっている(すなわち、パイプのどの部分にも、循環の有無にかかわらず、作業媒体が常に存在している)ことも留意されたい。このように、システムの初期状態では、勾配タンクはその内部に中温水(すなわち、温度TINTERMEDIATEの水)を含む。順序の第1のビートの間、加熱/冷却された中温の作業媒体が勾配タンクに入ると、その中に先に含まれていた作業媒体は放出され、TINTERMEDIATEの温度の中温の作業媒体を含む補助貯蔵タンクへと再循環される。
【0089】
切換工程(順序の第2のビート)の間、勾配タンクに含まれる作業媒体を適切な圧力容器へと押し出すため、中温の作業媒体が勾配タンクに循環され、こうして、加熱/冷却された中温の作業媒体をタンクから所望の圧力容器へと押し出す。順序の第2ビートの間、タンク(高温/低温/中温)は循環する流体から遮断され、事実上、中温の作業媒体のみが発電機の配管を循環されることが特筆される。
【0090】
また、発電機は、高温/低温/中温の作業媒体及び加熱/冷却された圧力媒体を制御するよう構成された1つ又は複数のサーモスタットを備えてもよい。例えば、1つ/複数のサーモスタットは、中温の作業媒体を、発電機を取り囲む周囲の環境(空気、水など)の温度と概ね等しい温度に維持するよう構成されてもよい。
アキュムレータ形状
【0091】
上記の形状によれば、発電機は、貯蔵作業媒体を含むアキュムレータユニットを更に備えてもよい。アキュムレータユニットには、発電機によって供給される出力電力で運転するよう構成された加熱配置が備えられている。
【0092】
アキュムレータユニットは、入口弁及び出口弁とそれぞれ接続された対応する入口ライン及び出口ラインを介して、圧力容器と選択的に流体連通されてもよい。
【0093】
運転時には、発電機の出力電力の一部は加熱配置の運転に用いられてもよく、その結果、加熱配置は、アキュムレータユニット内に含まれる作業媒体を加熱する。このようにして、高温タンクは必要な時に停止され、アキュムレータユニットは必要な高温の作業媒体を供給することができる。この配置では、使用されないいかなる超過分の出力電力をもアキュムレータユニットに供給することができ、これによって事実上アキュムレータとして運転する。
【0094】
特定の一例によれば、加熱要素は、貯蔵作業媒体を加熱するために加熱されるよう構成された加熱コイル又は他の任意の要素であってもよい。或いは、加熱配置に補助ヒートポンプ(図示せず)を備えてもよく、そのアキュムレータユニットは、1つは補助ヒートポンプの蒸発器側と熱連通し、もう1つは補助ヒートポンプのコンデンサ側と熱連通している、2つの区画を備えうる。
【0095】
詳細には、各区画はそれぞれ、対応する入口ラインと出口ラインがそれぞれ設置されている入口を有してもよい。この配置は、出口が高温区画の上端部に位置し、その一方で入口が高温区画の下端部に位置するようなものであってもよい。対照的に、低温区画の出口は区画の下端部に位置し、その一方、その入口は区画の上端部に位置してもよい。
【0096】
上記の配置により、高温区画の高温域から高温の作業媒体を引き出し、その作業媒体を高温区画の低温域に戻すことが可能となる。これに対応して、この配置により、低温区画の低温域から低温の作業媒体を引き出し、その作業媒体を低温区画の高温域に戻すことが可能となる。
【0097】
運転時には、区画の補助作業媒体が、高温/低温タンクの温度とそれぞれ類似する温度に達すると、主ヒートポンプが一時的に運転を停止する間、この補助作業媒体を発電機の運転に用いることができる。
【0098】
アキュムレータは、ヒートポンプと直接的な加熱要素(例えばコイル)の両方を備えてもよく、また、その両方との組み合わせで稼働してもよいことがわかっている。具体的には、区画内に含まれる貯蔵流体を直接加熱するよう構成されたヒータを高温区画に設けてもよい。補助ヒートポンプの運転中、高温/低温区画内の貯蔵媒体は加熱/冷却限界に達しうる(すなわち、最高/最低温度限界に達する)ことがわかっている。このような場合、補助ヒートポンプの運転が阻害されることがあり、この後、高温区画の貯蔵媒体を更に加熱するためにヒータが用いられる。
【0099】
上記の配置では、補助ヒートポンプのはたらきが阻害されると、高温区画の作業媒体を高温の作業媒体として用いてもよく、その一方、低温区画の作業媒体は、低温/中温の作業媒体として用いられる。
【0100】
本出願の対象である上記側面のすべてにおいて、それぞれの高温/低温タンクの加熱/冷却源を生成するために用いられるA/Cユニットは、いくつかの段階を備え、その各々が基本的なA/Cの圧縮/膨張様式として稼働するカスケード配置形状であってもよい。
【0101】
詳細には、カスケード配置は、高温タンクのための熱を供給するよう構成された第1端部段階と、低温タンクのために必要な冷気を供給するよう構成された第2端部段階とを備えてもよい。
【0102】
各段階は、蒸発器部と、コンプレッサと、膨張部材と、コンデンサ部とを備え、それ自体既知であるように、コンデンサで高温源を、また、蒸発器で低温源を供給するため、それぞれに応じた圧縮及び膨張を行うよう構成された流体(気体又は液体)を含む。
【0103】
具体的には、各段階内の流体は、蒸発器温度TEVAP(n)と、コンデンサ温度TCOND(n)とを有するよう構成され、このときTCOND(n)>TEVAP(n)であり、nは段階の数を表す。
【0104】
カスケード配置は、1つの段階のコンデンサ部が、次の段階の蒸発器部と熱交換プロセスを行うよう構成された設計になっている。詳細には、その設計は、1つの段階のコンデンサで圧縮された流体の温度が、次の段階の蒸発器で膨張され、熱交換プロセスを行う相手となる流体の温度よりも高い設計であってもよい。
【0105】
各段階は閉鎖ループで運転してもよく、すなわち、各段階の流体は次の段階の流体と接触しない。具体的には、2つの連続する段階の間の熱交換プロセスは、中間部材、例えば熱伝導面を介して行われてもよい。
【0106】
特定の一例によれば、2つの連続する段階の間の熱交換プロセスは、直径がDであり、直径D<Dの外側チューブを通過する内側チューブを備える熱交換器で発生する。内側チューブは、1つの段階のコンデンサを構成し、その一方、外側チューブは、次の段階の蒸発器を構成する。
【0107】
このように、運転時には、1つの段階の圧縮された流体であって、その段階での圧縮で温度TCOND(n)に加熱された流体が、内側チューブを通って流れ、また、次の段階の膨張した流体であって、その段階での膨張のために温度TEVAP(n+1)<TCOND(n)に冷却された流体が、外側チューブを通って(内側チューブの周りを流れるように)流れる。その結果、内側チューブの壁を介して、つまり、内側チューブの内面と接触する加熱された流体と、内側チューブの外面と接触する冷却された流体との間で熱交換プロセスが発生する。この熱交換プロセスにおいて、内側チューブ内を流れる流体から外側チューブを流れる流体へと、熱が放出される。
【0108】
熱交換器は、内側チューブによって画定される容積が、内側チューブの外面と外側チューブの内面との間で画定される容積よりも小さいように設計されてもよいことに留意されたい。詳細には、外側チューブの内面はチューブの縦軸に垂直な断面において基本的に円形である一方、内側チューブの内面及び/又は外面は同じ断面においてより回旋状の形状であってもよい。
【0109】
コンデンサ部と蒸発器部内での流れの方向は、平行、すなわち、圧縮流体と膨張流体のいずれもが(平行型熱交換器でのように)同じ方向に流れてもよい。或いは、流れの方向は逆、すなわち、圧縮流体と膨張流体は(向流型熱交換器でのように)逆の方向に流れてもよい。
【0110】
各段階は異なる流体を含んでもよく、異なる温度範囲で稼働するよう構成される。詳細には、同一の段階内では、コンデンサの流体の高温TCONDと蒸発器の流体の低温TEVAPとの差は、全段階間で概ね同様であってもよい。例えば、この温度差は約30℃であってもよい。
【0111】
特定の一例によれば、カスケード配置は7つの段階を備えてもよく、その各々は約30℃の温度範囲Δで稼働し、第1段階の蒸発器での流体温度TEVAP(1)はほぼ0℃で、第7段階のコンデンサでの流体温度TEVAP(7)はほぼ245℃である。
【0112】
すべての段階において、1つの段階の蒸発器内での膨張流体の温度は、次の段階のコンデンサ内の圧縮流体の凝縮温度よりも常に低いことが特筆される。換言すれば、TEVAP(n)<TCOND(n+1)である。
【0113】
また、発電機は、各段階の圧縮弁及び/又は膨張弁の動作を調整し、1つの段階の流体の圧縮温度と次の段階の流体の膨張温度との間の所望の差を維持するよう構成されたコントローラを備えてもよい。
【0114】
先に説明したように、各段階は、蒸発器とコンデンサとの間を進む間にその段階を循環する流体を圧縮するよう構成されたコンプレッサを備えてもよい。各段階においてコンデンサと蒸発器との間で概ね同様の温度範囲を維持するため、それらの段階のコンプレッサの電力消費は異なってもよく、このため各段階は異なるCOPで稼働するよう構成される。
【0115】
この理由は、加熱/冷却のためのCOPは、高温/低温で割った温度差として計算されるためである。このため、コンデンサ/蒸発器の温度差が27℃と57℃との間の30℃である段階のCOPは、コンデンサ/蒸発器の温度差が90℃と120℃との間の30℃である段階のCOPとは異なる。
【0116】
或いは、各段階には同じ(すなわち、同じ強さの)コンプレッサが取り付けられてもよい。しかしながら、この配置では、(低所から高所になるにつれ)各段階のコンデンサ/蒸発器の間の温度差は、次第に小さくなる。例えば、Δは、第1段階では30℃、第2段階では24℃、第3段階では20℃などでありうる。
【0117】
幾つかの段階を有するカスケード配置を用いることによって、その各々の段階が、高温タンクのTHOTと低温タンクのTCOLDとの間の全般的な温度差に貢献することがわかっている。上記の例でのように、7つの段階の各々が約30℃を提供することができ、これによって240℃の温度差を作り出すことができる。
【0118】
240℃の温度差を有する単一の圧縮/膨張サイクルのCOPは、それぞれがそれ自身の圧縮/膨張サイクルに有用である7つのコンプレッサのCOPよりもはるかに低いことを理解されたい。その結果、単一の圧縮/膨張サイクルで無駄になるエネルギーは、カスケード配置において無駄になるエネルギーよりも大きく、ここで説明する発電機にとって後者をより効率的にする。
【0119】
先に説明したように、発電機は、圧力容器内で圧力流体を加熱/冷却した後、作業媒体が外部環境との熱交換プロセスを行うよう構成された放熱器を備えてもよい。
【0120】
特別な一設計によれば、高作業媒体は、圧力流体を加熱した後(続いて温度を下げながら)、高温タンクに直接供給され戻され、その一方、低温の作業媒体は、圧力流体を冷却した後(続いて温度を上げながら)、外部環境によって冷却されるために放熱器を通過する。
【0121】
放熱器ユニットは、低温の作業媒体が概ね一定かつ所定の温度で放熱器ユニットを出るよう、外部環境の温度及びその結果生じる低温の作業媒体の温度に応じて制御されるよう構成されてもよい。
【0122】
より詳細には、放熱器ユニットは、放熱器による冷却速度を決定するよう構成された制御要素と、一方では、放熱器ユニットを出る低温の作業媒体の温度を計測し、他方では、制御ユニットにデータを供給するよう構成された検知ユニットとを備えてもよい。
【0123】
例えば、低温の作業媒体が放熱器ユニットを出て、所定の温度Tで低温タンクに入ることが望ましい場合、検知ユニットは、放熱器ユニットを出る低温の作業媒体の温度T´を計測し、
(a)T´>Tならば、検知ユニットはこの数値を制御ユニットに提供し、そして制御ユニットは(例えば冷却ファンの回転速度を上げることによって)放熱器ユニットの冷却速度を上げ、温度T´を下げる
(b)T´<Tならば、検知ユニットはこの数値を制御ユニットに提供し、そして制御ユニットは(例えば冷却ファンの回転速度を下げることによって)放熱器ユニットの冷却速度を下げ、温度T´を上げる。
【0124】
上記に関して、カスケード配置を用いると、その形状は、低温タンクに関連したカスケード配置の第1段階に入る低温の作業媒体との熱交換プロセスが放熱器内で発生するようになる。詳細には、この熱交換プロセスによって、(圧力容器を通過した後の今では加熱された)低温の作業媒体は、TCOND>TENV>TEVAPの間のT´≒TENVの温度になり、その際、TCONDは第1段階のコンデンサで圧縮された流体の高温であり、TEVAPは第1段階の蒸発器で膨張された流体の低温である。
【0125】
各段階は(そのコンプレッサに応じて)所定の温度範囲に設計されている、すなわち、所定の熱量を冷端部(蒸発器)から除去するよう構成されていることに留意されたい。その段階の圧縮/膨張サイクルにおいてコンプレッサが引き出すことができるよりも多くの熱を提供する外部環境に蒸発器が位置していれば、その段階の効率はより低くなる(すなわち、コンプレッサは蒸発器から熱を除去することができない)。
【0126】
このようにカスケード配置は、外部環境の温度に応じて、その稼働と、温度範囲全体を調節するよう更に構成されてもよい。より詳細には、外部環境の温度がTENV>TCOND>TEVAPのように上昇し、カスケード配置の第1段階の効率が(上述のように)より低くなれば、カスケード配置は、第1段階を迂回し、低温タンクを第2段階に接続するよう構成されてもよい。
【0127】
上述の配置では、低温TEVAP(1)と高温TCOND(7)との間で稼働する代わりに、カスケード配置は、このとき低温TEVAP(2)と高温TCOND(7)との間で稼働する。このように、高温タンクと低温タンクとの間の温度差全体は下がるが、カスケード配置の効率は概ね同じままである。
【0128】
上記の調整を行うため、カスケード配置は、第2段階に関連し、低温タンク内に位置する蒸発器を備えたバイパスモジュールを有してもよい。バイパスモジュールは、第1段階を完全に停止させ、第2段階の圧縮された流体を第2段階の本来の蒸発器の中ではなく、バイパスモジュールの蒸発器内で膨張させる弁を更に備えてもよい。
【0129】
発電機の特定の一設計によれば、次のような特徴を含んでもよい。
複数の圧力容器−発電機の各側(左/右)に4つの圧力容器が備えられ、その各々の構造は、先の例に関して説明した圧力容器の構造と類似している
直線状のコア接続−各容器は6つのコアを備えるが、先の例とは対照的に、これらのコアは、作業媒体の流路を長く(先に開示したような平行接続と比べて6倍の長さに)形成するよう、互いに直線状に接続される
直線状の容器接続(作業媒体)−各側の4つの圧力容器のコアは、作業媒体の流路を更に長く形成するよう、互いに直線状に接続される
直線状の容器接続(圧力媒体)−各側の4つの圧力容器の高圧の媒体を含む区画も、高圧接続によって互いに流体連通され、これによって長い圧力媒体の流路を形成する
外部の低温タンク−A/Cユニットの蒸発器で構成される低温タンクは、外部環境にさらされ、その中を通っての作業媒体の循環には用いられない。
【0130】
運転時には、発電機の1つの側の全サイクルは、次の工程を含みうる(反対側は、タイミングが異なるのみで、同じ工程を経るものと考える)。
a)高温の作業媒体がA/Cユニットのコンデンサ端部から24のコア(4つの圧力容器それぞれに6つのコア)の長さに沿って運ばれ、これによって圧力媒体の温度をその最高動作温度に上げ、同時により低い温度に冷却される
b)冷却された高温の作業媒体は、4つめの圧力容器の最後のコアを出て、内部に残ったままの熱の少なくとも余分な部分をそこから放出するために放熱器を通過した後、A/Cユニットのコンデンサ端部へと戻される
c)室温である中温の作業媒体は、中温タンクから4つの圧力容器の24のコアすべてを通過し、これによって圧力媒体の温度を最高動作温度を下回る温度に更に下げ、同時により高い温度に加熱される
d)中温の作業媒体は、最後のコアから勾配タンクへと流れてそこで蓄積されるため、勾配タンクに入る中温の作業媒体の最初の部分の温度が最も高く、勾配タンクに入る最後の部分の温度は最も低い
e)室温である中温の作業媒体は、中温タンクから4つの圧力容器の24のコアすべてを通過し、これによって更に圧力媒体の温度を最低動作温度に下げ、同時により高い温度に加熱される
f)中温の作業媒体は、最後のコアを出て、いかなる余分な熱をも外部環境に放出するために放熱器を通過しながら、中温の作業タンクへと戻る
g)加熱された中温の作業媒体は、勾配タンクから4つの圧力容器のコアを通過し、これによって圧力媒体を最低動作温度を上回る温度に徐々に加熱するが、温度はそれでもなお最高動作温度を下回る。段階的な加熱は、勾配タンクに入る(最も低い温度でもある)最後の部分が最初にコアを流れるLIFO配置を用いることによって達成される
h)中温の作業媒体は、最後のコアを出て、いかなる余分な熱をも外部環境に放出するために放熱ユニットを通過しながら、中温タンクへと流れる
I)工程(a)から繰り返し。
【0131】
詳細には、工程(a)及び(b)並びに(e)及び(f)は第1期の間継続することができ、工程(c)及び(d)並びに(g)及び(h)は、第1期よりも長い第2期の間継続することができる。具体的には、第2期は第1期の長さの2倍であってもよい。特別な一例では、第1期の長さは約5秒であってもよく、第2期の長さは約10秒であってもよい。
【0132】
発電機は、電力を要する多様なシステム、例えば家庭、車両(例えば車、ボート、飛行機、潜水艇など)、工業システムなどに用いることができる。詳細には、周囲の空気以外の媒体に少なくとも部分的に浸されたときに運転するよう構成されたシステムの例において、発電機は、この特別な媒体を作業媒体として用いるよう構成されてもよい。例えば、発電機が海を航行するボートに用いられる場合、作業媒体は海水であってもよい。
【0133】
圧力媒体に関して、次のことに留意されたい。
−圧力媒体を予圧すると、その熱伝達率は上がる
−圧力媒体を予圧すると、圧力媒体の体積の膨張率は下がる
−圧力媒体を予圧すると、圧力媒体の密度は上がる
−圧力媒体の密度が高いほど、圧力下での体積変化に対する感受率は低くなる
−圧力媒体を予圧すると、圧力媒体の密度は上がる
−圧力媒体を予圧すると、その熱容量は下がる
−圧力媒体を予圧すると、圧力媒体の粘性は増す。
【0134】
上記に加え、本出願の発電機に次のような特徴を組み入れてもよい。
−発電機の運転中、1つの運転工程から次の工程へと移るとき、入口弁を選択的に開くことよりも出口弁を選択的に開くことを遅らせることが有益でありうる。例えば、工程(a)の間、高温の作業媒体がコアを通過するため、入口弁と出口弁がいずれも高温タンクと流体連通され、工程(b)の間、低温の作業媒体がコアを通過し、入口弁と出口弁がいずれも低温タンクと流体連通される。(a)から(b)に移行するとき、出口弁の選択的な切り換えを遅らせ、まずは、コアに含まれるすべての高温の作業媒体が完全に高温タンクに戻るまで出口弁が高温タンクと流体連通した状態を保ち、その後に初めて出口弁を低温タンクと流体連通した状態に切り換えることが有益でありうる
−コア内部での静止螺旋は、作業媒体から熱を吸収しないように、熱伝達率が極めて低い材料で作られてもよい。このような材料の例は、熱伝達率が約0.1であるガラス繊維でありうる
−発電機は幾つかの勾配タンクを備えてもよく、そのうちいくつかは高温の作業媒体とともにのみ使用され、その他のものは低温の作業媒体とともにのみ使用されるよう設計される
−コアには補強リブが形成されてもよく、これにより圧力に対するコアの抵抗力が増す。抵抗力の増大によって、コアの壁の厚さを薄くし、これにより作業媒体と圧力媒体との間の熱伝達を増大することができる
−アキュムレータは、中に含まれる作業媒体の沸点を上げるよう予圧されてもよく、これによってより多くの熱を吸収することができる
−アキュムレータ自体は、作業媒体サブシステムのためのバックアップとして用いられてもよい
−発電機は、コンプレッサの制御とこれによる空気調整ユニットのCOP、弁の動作などの制御を含め、発電機の運転を最適化するよう構成されたコントローラを備えてもよい
−アキュムレータは2つの区画を備えてもよく、1つは高温の貯蔵媒体を含み、もう1つは低温の貯蔵媒体を含む
−アキュムレータの区画は、勾配タンクと同様にその内部において熱勾配を維持するため、垂直方向に並べてもよい
−約1MWを生産する発電機の重さは、約30トンであってもよい。また、約100平方メートルの広さを占める
−アキュムレータは、湯/冷水を家庭/オフィス/工場などに供給するための直接の供給源として用いられてもよい
−アキュムレータユニットの使用によって、(アキュムレータがヒートポンプを用いて稼働すると)発電機の総電力容量をほぼ66%低減することができ、これによって発電機システムの大きさをほぼ2/3低減することが可能である。
【0135】
本出願の他の側面によれば、発電機の圧力容器に組み込むためのコアが提供され、このコアは内側チューブと外側チューブとを備え、その各々は個々に回転可能であり、この圧力容器内でこのコアの位置がずれると、第1の媒体が内側チューブと外側チューブとの間に含まれ、第2の媒体が内側チューブ内並びに外側チューブとこの圧力容器との間に含まれるよう構成されている。
【0136】
本発明を理解し、実際にそれがどのように実行されるかを理解するため、これから、非限定的な例のみによって、添付図面に関して実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0137】
図1A】開示された対象の発電機の概略等角図である。
図1B】開示された対象の発電機の概略正面図である。
図1C】開示された対象の発電機の概略側面図である。
図1D】開示された対象の発電機の概略断面図である。
図2A図1Aに示す発電機の、機械電力ユニットとエネルギー生成ユニットを持たない概略等角図である。
図2B図2Aに示す細部Aの概略拡大図である。
図3A図1Aの発電機の圧力容器とエネルギー生成ユニットの概略等角図である。
図3B図3Aに示す圧力容器の概略断面図である。
図3C図3Bに示す細部Bの概略拡大図である。
図3D図3Bに示す細部Cの概略拡大図である。
図3E図3Bに示す断面の概略正面図である。
図4A図1Aに示す発電機の圧力容器の概略等角図である。
図4B図4Aに示す細部Dの概略拡大図である。
図4C】圧力容器の殻を取り去った、図4Aに示す細部Dの概略等角図である。
図4D】殻を取り去った図4Aに示す圧力容器の概略等角図である。
図4E】他の幾つかの構成要素を取り去った細部Eの概略拡大図である。
図4F図4Aに示す細部Fの概略拡大図である。
図5A】圧力容器の概略等角断面図である。
図5B】圧力容器のコア部分の概略等角図である。
図5C】圧力容器の追加的な等角断面図である。
図6A-6C】それぞれ、図1Aに示す発電機の電力生成ユニットの概略等角図である。
図7A-7C】それぞれ、圧力容器に用いられる放熱ユニットの概略正面図である。
図8A】発電機の運転を解析した概略図である。
図8A1】発電機の運転を解析した概略図である。
図8B】発電機の運転を解析した概略図である。
図8B1】発電機の運転を解析した概略図である。
図8C】発電機の運転を解析した概略図である。
図8C1】発電機の運転を解析した概略図である。
図8D】発電機の運転を解析した概略図である。
図8D1】発電機の運転を解析した概略図である。
図8E】発電機の運転を解析した概略図である。
図8E1】発電機の運転を解析した概略図である。
図8F】発電機の運転を解析した概略図である。
図9】アキュムレータ配置とともに用いられるときの図1Aの発電機の概略等角図である。
図10】発電機の運転を解析した追加的な概略図である。
図11A図1A〜1Dに示す発電機の他の例の正面概略等角図である。
図11B図11Aに示す発電機の概略背面等角図である。
図12A図11A及び11Bに示す発電機に用いられる勾配システムの概略等角図である。
図12B図12Aに示す勾配システムの概略拡大図である。
図12C】いくつかの構成要素が取り除かれた図12Aに示す勾配システムの概略等角図である。
図12D図12Cに示す発電機の概略側面図である。
図13A図11A及び11Bに示す発電機に用いられる放熱器部の概略等角図である。
図13B図11A及び11Bに示す発電機で用いられ、そのケーシングが透明である作業媒体タンクの概略等角図である。
図14A図11A及び11Bに示す発電機に用いられる混合機構の概略等角図である。
図14B】発電機のいくつかの構成要素が取り除かれた、図14Aに示す混合機構の概略等角図である。
図14C図14Bに示す細部Gの概略拡大図である。
図14D】圧力容器の中心軸に垂直な面に沿った、図11A及び11Bに示す発電機に用いられる圧力容器の概略断面図である。
図14E-14F】それぞれ、図11A及び11Bに示す発電機に用いられる打込みねじの概略等角図及び概略等角断面図である。
図15A図11A及び11Bに示す発電機に用いられる流量調整器の概略等角図である。
図15B】カバーが透明な、図15Aに示す調整器の概略拡大図である。
図15C図15Bに示す流れ制御器の概略図である。
図16A図11A及び11Bに示す発電機に用いられるアキュムレータ配置の概略等角図である。
図16B図16Aに示すアキュムレータ配置の概略背面等角図である。
図17A-17D】それぞれ、図11A及び11Bに示す発電機の配管接合部の概略等角図である。
図17E図11A及び11Bに示す発電機の作業媒体の温度の概略図である。
図17E1図11A及び11Bに示す発電機の作業媒体の温度の概略図である。
図18A図11A及び11Bに示す発電機を備える車両の概略等角図である。
図18B】いくつかの構成要素が除去された、図18Aに示す車両の概略等角図である。
図18C】更にいくつかの構成要素が除去された、図18Bに示す車両の概略等角図である。
図18D-18E】それぞれ、図18Cに示す車両の概略上面図及び概略底面図である。
図18F-18G】それぞれ、図18Cにそれぞれ示す細部H及びIの概略拡大図である。
図19A図11A及び11Bに示す発電機を備える船舶の概略等角図である。
図19B】いくつかの構成要素が除去された、図19Aに示す船舶の概略等角図である。
図19C】更にいくつかの構成要素が除去された、図19Bに示す船舶の概略等角図である。
図19D-19F】それぞれ、図19Cに示す細部J、K及びLの概略拡大図である。
図20A図11A及び11Bに示す発電機のシリンダ状の構成要素の概略断面図である。
図20B図11A及び11Bに示す発電機のシリンダ状の構成要素の概略断面図である。
図20C】内部に螺旋要素がある、図20Aに示すシリンダ状の構成要素の部分的な概略等角断面図である。
図20D】本出願の発電機に用いられるシリンダ状の構成要素の他の例の概略等角図である。
図20E】その中心軸に沿った、図20Dに示すシリンダ状の構成要素の概略断面図である。
図21A-21G】それぞれ、図20A及び20Bに示すシリンダ状の構成要素を生成する様々な段階の概略等角図である。
図22A】本出願の他の例による発電機の概略正面等角図である。
図22B】本出願の他の例による発電機の概略背面等角図である。
図22C図22Aに示す細部Mの概略拡大図である。
図22D図22Bに示す細部Nの概略拡大図である。
図23A図22Aに示す発電機に用いられる作業媒体サブシステムの概略等角図である。
図23B】より見やすくするためにハウジングを除去した、図23Aに示す作業媒体サブシステムの概略等角図である。
図23C図23Bに示す作業媒体サブシステムの概略右側面図である。
図23D図23Bに示す面I−Iに沿った、図23Aに示す作業媒体サブシステムの概略断面図である。
図23E図23Dに示す細部Oの概略拡大図である。
図23F図23Bに示す面II−IIに沿った、図23Aに示す作業媒体サブシステムの概略断面図である。
図24A-24B】それぞれ、本出願の対象の発電機に用いられる作業媒体サブシステムの他の例の概略正面図及び概略背面図である。
図24C-24D】それぞれ、図24A及び24Bにそれぞれ示す細部P及びQの概略拡大図である。
図25A】本出願の対象の発電機に用いられる作業媒体サブシステムの他の例の概略等角図である。
図25B図25Aの細部Rの概略拡大図である。
図26A】上記の図に示した発電機の製造に用いられうる2つの材料の性質を示す略表である。
図26B】上記の図に示した発電機の製造に用いられうる2つの材料の性質を示す略表である。
図27A】本出願の対象の他の例による発電機の概略等角図である。
図27B】より見やすくするために支持構造を除去した、図27Aに示す発電機の概略等角図である。
図27C図27Bに示す発電機の概略正面図である。
図27D図27Bに示す発電機の概略背面図である。
図27E図27Bに示す発電機の概略側面図である。
図28A図27A〜27Eに示す発電機の正面の配管接合部の概略等角図である。
図28B図28Aに示す配管接合部の概略拡大図である。
図29A図27A〜27Eに示す発電機に用いられる圧力システムの概略等角図である。
図29B-29C】それぞれ、図29Aに示す圧力システムの単一のシリンダの正面部分の概略等角図及び概略正面図である。
図30A-30C】それぞれ、図29Aに示す圧力システムの中間部分の概略上面等角図、概略底面等角図及び概略側面図である。
図31A-31B】それぞれ、より見やすくするためにシリンダの幾つかを除去した、図29Aに示す圧力システムの概略背面等角図及び概略側面図である。
図32A-32B】図27A〜27Eに示す発電機に用いられる勾配タンクの2つの概略等角図である。
図33A】発電機のタンクに接続された時の、図27A〜27Eに示す発電機に用いられるアキュムレータ配置の概略等角図である。
図33B図33Bに示すアキュムレータ配置の概略等角図である。
図33C図33Bに示すアキュムレータ配置の概略等角図である。
図34図27A〜27Eに示す発電機に用いられるヒートポンプの概略等角図である。
図35A図27A〜27Eに示す発電機に用いられる歯車アセンブリの概略等角図である。
図35B】ケーシングを除去した、図35Aに示す歯車アセンブリの概略等角図である。
図35C-35E】それぞれ、図35A及び35Bに示す歯車アセンブリの機構の概略拡大図、概略側面図、概略上面図である。
図36A-36B】それぞれ、本出願の対象のなお他の例による発電機の概略等角図及び概略側面図である。
図36C図36A及び36Bに示す発電機の概略拡大図である。
図36D】より見やすくするために圧力容器を除去した、図36A及び36Bに示す発電機の概略等角図である。
図37A図36Dに示す配管接合部の概略拡大等角図である。
図37B図37Aに示す配管接合部の正面右側を更に拡大した概略等角図である。
図37C図37Aに示す配管接合部の正面左側を更に拡大した概略等角図である。
図37D図36A及び36Bに示す発電機の背面端部の概略等角図である。
図37E図37Cに示す配管接合部の概略拡大等角図である。
図38図36A及び36Bに示す発電機に用いられる圧力システムの概略等角図である。
図39図36A及び36Bに示す発電機に用いられるヒートポンプの概略等角図である。
図40A図36A〜36Dに示す発電機に用いられるアキュムレータ配置の概略等角図である。
図40B図40Aに示すアキュムレータ配置の配管システムの拡大図である。
図40C-40D】図40Aに示すアキュムレータ配置の構成要素の概略拡大等角図である。
図41A図36A及び36Bに示す発電機に用いられる単一のシリンダの概略等角図である。
図41B図41Aに示すシリンダの正面端部の概略等角拡大図である。
図41C】ハウジングを除去した、図41Aに示す単一のシリンダの概略等角図である。
図41D図41Cに示すシリンダの正面端部の概略等角拡大図である。
図41E図41Cに示すシリンダの中間部分の概略等角拡大図である。
図42A】本出願の対象の他の例による、図36A及び36Bに示す発電機の圧力容器に用いられるコア部分の概略等角図である。
図42B図42Aに示すコアの正面部分の概略拡大等角図である。
図42C図42Aに示すコアの背面部分の概略拡大等角図である。
図42D図42Aに示すコアの概略背面図である。
図42E図42Cに示すコアの背面部分の概略拡大等角図である。
図43】本出願の対象のなお他の例による、図36A及び36Bに示す発電機の圧力容器に用いられるコア部分の概略等角図である。
図44A】本出願の対象の更に他の例による、図36A及び36Bに示す発電機の圧力容器に用いられるコア部分の概略等角図である。
図44B図44Aに示すコアの正面部分の概略拡大等角図である。
図44C図44Aに示すコアの背面部分の概略拡大等角図である。
図45A】本出願の対象の更に他の例による、図36A及び36Bに示す発電機の圧力容器に用いられるコア部分の概略等角図である。
図45B図44Aに示すコアの背面部分の概略拡大等角図である。
図45C図44Aに示すコアの正面部分の概略拡大等角図である。
図46A図36A及び36Bに示す発電機に用いられる圧力容器の概略等角分解図である。
図46B-46D】図46Aに示す圧力容器の部分の概略拡大等角図である。
図47】本出願の対象の他の例による、図36A及び36Bに示す発電機に用いられる歯車配置の機構の概略等角図である。
図48A】本出願の対象の発電機に用いられる作業媒体サブシステムの概略等角図である。
図48B-48C】それぞれ、図49Aに示すサブシステムの、それぞれ面A−A及びB−Bに沿って横向き及び縦向きの概略等角断面図である。
図49A図36A〜36Dに示す発電機に用いられる圧力容器の概略等角図である。
図49B-49E】図49Aに示す細部の概略拡大図である。
図49F図49Aに示す圧力容器に用いられ、単一のコアを支える筋交配置の概略等角図である。
図49G図49Fに示す筋交配置の概略等角図である。
図49H図49Gに示す細部の概略等角拡大図である。
図50A】本出願の対象による他の例による発電機を備える発電機システムの概略等角図である。
図50B図50Aに示す発電機の概略等角図である。
図51図50に示す発電機の圧力容器の一部の概略等角断面図である。
図52A】配管と勾配タンクを補完した、図51に示す圧力容器の概略等角図である。
図52B図52Aに示す細部の概略拡大図である。
図52C図50A及び50Bに示す発電機に用いられる勾配タンクの概略断面等角図である。
図53A図51に示す細部の概略拡大図である。
図53B】図示の目的でハウジングを除去した、図53Aに示す圧力容器の概略図である。
図53C図53Bに示す細部の概略拡大図である。
図53D】圧力容器の中心軸に垂直な面から見た、図51に示す圧力容器の概略断面図である。
図53E図53Eに示す圧力容器のコアの一部の概略拡大断面図である。
図54A】本出願の対象のなお更なる例による発電機の概略等角図である。
図54B図54Aに示す発電機に用いられる加熱サイクルの概略等角図である。
図55A】本出願の対象のなお更なる例による発電機の概略等角図である。
図55B図55Aに示す発電機に用いられる加熱サイクルの概略等角図である。
図55C図55Aに示す発電機に用いられる空気加熱サイクルの概略等角図である。
図55D図55Aに示す発電機に用いられる残りの加熱サイクルの概略等角図である。
図56A】本出願の対象の追加的な例による発電機の概略等角図である。
図56B図55Aに示す発電機に用いられる加熱サイクルの概略等角図である。
図56C-56E】図56Bに示す加熱サイクルの部分の概略等角拡大図である。
図57A図56C〜56Eに示す加熱サイクルに用いられる加熱容器の概略等角図である。
図57B図57Aに示す加熱容器の概略等角断面図である。
図57C-57D】図57Bに示す加熱容器の最上部と底部の概略等角拡大図である。
図57E】本出願の対象の他の例による加熱容器に用いられるコアの概略等角図である。
図58図57Aに示す発電機に用いられる残りの加熱サイクルの概略等角図である。
図59A】本出願の対象による発電機に用いられる圧力容器とコアの断面の概略等角図である。
図59B図59Aに示すコアの概略等角図である。
図59C図59Bに示す細部M1の概略拡大図である。
図59D図59Cに示す細部M2の概略拡大図である。
図59E図59Dに示す細部M2の概略正面図である。
図60A】本出願の対象の他の例による発電機に用いられる圧力容器とコアの断面の概略等角図である。
図60B図60Aに示すコアの概略等角図である。
図60C図60Bに示す細部M3の概略拡大図である。
図60D図60Cに示す細部M4の概略拡大図である。
図60E図60Dに示す細部M4の概略正面図である。
図61A】ソーラー分野に関連した本出願の対象による発電機システムの他の例の概略等角図である。
図61B図61Aに示す発電機システムの概略等角図である。
図61C図61Aに示す発電機システムの部分の概略図である。
図62A図61A〜61Cに示す発電機に用いられる圧力モジュールの概略等角図である。
図62B図62Aに示す圧力モジュールの概略等角断面図である。
図62C-62D】図62Bに示す細部の概略拡大図である。
図63A図62Bに示す圧力モジュールの概略正面図である。
図63B図63Aに示す圧力モジュールの一部の概略等角図である。
図64図62A〜63Bに示す圧力容器に用いられるコアの一部の概略拡大図である。
図65A】本出願の対象による発電機システムの他の例の概略等角図である。
図65B図65Aに示す細部の概略等角拡大図である。
図66A図65A及び65Bに示す発電機に用いられる圧力容器の概略等角図である。
図66B図66Aに示す圧力容器の概略断面図である。
図66C図66Bに示す容器の概略正面図である。
図66D図66Cに示す容器の細部の概略拡大図である。
図66E図66Dに示す細部の概略等角図である。
図67A図66Aに示す容器に用いられるコアユニットの概略等角断面図である。
図67B図67Aに示すコアの概略拡大図である。
図67C図67Bに示す細部の概略拡大図である。
図68A図65Aに示す発電機システムの配管及び接合部の概略等角図である。
図69図65Aに示す発電機に用いられるピストンの概略等角断面図である。
図70A】本出願のなお他の例による発電機システムの概略等角図である。
図70B図70Aに示すシステムの概略上面図である。
図70C図70Aに示す発電機の一部の概略等角図である。
図70D図70Cに示す発電機の細部の概略拡大図である。
図70E図70Cに示す発電機の他の細部の概略拡大図である。
図71A図70Aに示すシステムの第1の加熱配置の概略等角図である。
図71B】わかりやすくするために燃料チャンバを除去した、図71Aに示す第1の加熱システムの概略等角図である。
図72A図70Aに示すシステムに用いられる加熱コアの概略断面図である。
図72B図72Aに示すコアの細部の概略拡大図である。
図72C図72Aに示すコアの一部の概略等角図である。
図72D図72Cに示すコアの細部の概略拡大図である。
図73A図70Aに示す発電機に用いられる第2の加熱システムの概略断面図である。
図73B図73Aに示す加熱システムの細部の概略拡大図である。
図73C-73F】図70Aに示すシステムの運転の様々な段階を示す、システムの概略平面上面図である。
図74A図70A〜73Fに示す発電機システムの変形形態の概略等角図である。
図74B図74Aに示す発電機の細部の概略拡大図である。
図75A-75B】発電機の2段階の運転を示す、図74A及び74Bに示す発電機の概略背面図である。
図76A】本出願のなお他の例による発電機システムの概略等角図である。
図76B図76Aに示す発電機の概略背面等角図である。
図76C図76A及び76Bに示す発電機の改造形態の概略拡大図である。
図76D図76A〜76Cに示す発電機に用いられるコンデンサ配置の一部の概略等角図である。
図77A-77B】本出願の発電機の例において行われうる熱交換プロセスの概略図である。
図78A】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
図78B】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
図78C】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
図78D】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
図78E】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
図78F】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
図78G】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
図78H】本出願の対象に従った発電機の様々な変形形態の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0138】
図78Aに関し、熱差動式モジュール、圧力モジュール及び変換モジュールを備える本発明の発電機の基本的な配置を表す概略図が示されている。
【0139】
熱差動式モジュールは、第1の高温タンクと、第2の低温タンクとを備え、各々の内部に作業媒体WM(図示せず)をそれぞれ高温/低温で含んでいる。第1の高温タンクは、ヒートポンプHPのコンデンサ端部CEと熱的に関連しているため、(電力Wの供給下での)ヒートポンプHPの稼働により、コンデンサ端部に熱Qを供給し、作業媒体WMを第1タンクに高温で維持する。第2の低温タンクは、外部環境と熱的に関連している。
【0140】
各タンクには、入口弁Iを介して圧力モジュールの圧力容器PVの入口と選択的に流体連通している入口ラインILと、出口弁Oを介して圧力容器PVの出口と選択的に流体連通している出口ラインOLとが設けられている。
【0141】
圧力容器PVは、内部に圧力媒体PMを含み、この圧力容器を通り抜け、かつ、入口弁I及び出口弁Oと流体連通している中心導管Cが形成されており、これによってタンクからの作業媒体WMがその中を通過することを可能にしている。
【0142】
圧力容器PVには、圧力媒体PMと流体連通された圧力ラインPLが設けられており、変換モジュールと流体連通している。そして、変換モジュールは、圧力ラインPL及び発電機と流体連通しているピストンPを備えている。ピストンは往復運動を行うよう構成されており、この運動は出力電力Wを生成するために発電機によって活用される。
【0143】
運転時には、高温/低温の作業媒体WMが選択的に圧力容器に供給され、これに伴い圧力媒体PMは膨張、縮小し、その結果ピストンPが往復運動を行う。具体的には、以下の工程が行われる。
a)高温の作業媒体WMが高温タンクから入口弁Iへと送られ、導管Cを通って、出口弁Oから出て高温タンクへと戻る。高温の作業媒体WMと圧力媒体PMとの間での熱交換プロセスの結果、後者が最高動作温度まで加熱される一方で、前者は冷却される。加熱の際、圧力媒体PMの体積は増加し、ピストンPの右方向への位置ずれを起こす
b)低温の作業媒体WMが低温タンクから入口弁Iへと送られ、導管Cを通って、出口弁Oから出て低温タンクへと戻る。低温の作業媒体WMと圧力媒体PMとの間での熱交換プロセスの結果、後者が最低動作温度まで冷却される一方で、前者は加熱される。冷却の際、圧力媒体PMの体積は減少し、ピストンPの左方向への位置ずれを起こす。
【0144】
上記の工程を繰り返し行うことによって、ピストンPが前後に往復運動を行い、これによって発電機が電気を生成することが可能となる。
【0145】
以下のことを留意されたい。
−高温タンクに戻る際、冷却された高温の作業媒体WMは、元の高温に戻るため、ヒートポンプのコンデンサ端部から更なる熱を自由に吸収する
−低温タンクに戻る際、加熱された低温の作業媒体WMは、温度を下げて元の低温に戻るため、外部環境へと少なくとも多少の熱を放出する
−導管Cの長さに応じて、低温タンクと流体連通させるために入口弁Iの位置を選択的に切り換えた後に、低温タンクと流体連通させるための出口弁Oの位置の選択的切り換えを遅らせることは有益でありうる。この方法では、工程(b)の開始後、導管Cの中にある高温の作業媒体WMがまずその出口ラインOLを通って高温タンクへと押し流され、その後にはじめて、低温タンクと流体連通させるため、出口弁Oが選択的に切り換えられる。同様のことは、工程(b)から工程(a)に切り換える際にも当てはまる。
【0146】
熱力学的な運転の観点から、ヒートポンプHPは、熱量Q´(蒸発器が熱連通している外部環境から吸収された熱)を、作業量Wを適用することによって、その蒸発器端部からコンデンサ端部へと引き出す。このように、高温タンクの高温の作業媒体WM内に含まれる熱量Q=Q´+Wである。
【0147】
運転時には、熱量Qは熱交換プロセスを介して圧力媒体PMに供給され、このようにして熱量Qの一部QはピストンPの位置ずれに用いられ、そして少なくとも熱量Qの一部は圧力媒体PMとの熱交換を介して低温の作業媒体WMによって吸収される。
【0148】
熱量Qは、加熱された低温の作業媒体WMが出口ラインOLを経由して通過する間に放出されて外部環境へと戻り、外部環境からヒートポンプHPの蒸発器端部へと再び自由に引き入れられる。このような配置によって、一定の熱量Qを発電機によって回収することができる(これはすなわち回収配置である)。
【0149】
熱量Qは、ヒートポンプHPの熱力学プロセスに関わっている熱量Q´よりも小さいため、ヒートポンプは絶えず外部環境から(Q2に加え)追加的な熱を引き出してQ´の全量をコンデンサ端部に供給する。
【0150】
変換ユニットの発電機によって供給される出力作業量Wは、発電機によってエネルギーに変換される熱量Qにより決定される。熱量QがQ´+Wの量よりも大きい配置であるため、生成される出力エネルギーWはWよりも大きい。
【0151】
具体的には、ヒートポンプHPは発電機内で熱を循環させるために用いられるため、入力作業量Wは、ヒートポンプのCOP(成績係数)に応じて熱量Q´>Wを達成するのに十分である。例えば、COP=3のとき、ヒートポンプは、W=1KWの適用下で、Q´=2KWの熱を蒸発器からコンデンサへと引き出すことになる。このように、熱量QはWよりも大きくなることがあり、これにより出力エネルギーW>Wを生成する。
【0152】
今度は図78Bに移ると、直接熱回収の配置をあらわす代替的な配置が示されている。この配置では、低温タンクの出口ラインLOは、圧力容器を出た後、低温タンクへと直接的には戻らず、むしろ最初にヒートポンプHPの蒸発器端部を通り抜ける。この方法では、外部環境に放出され、ヒートポンプによって蒸発器端部から再吸収される熱Qの代わりに、ヒートポンプHPの蒸発器端部に直接戻ることで、発電機の運転効率を向上させる。
【0153】
今度は図78Cに移ると、被冷却タンクの配置をあらわす、発電機の更なる他の代替的な配置が示されており、本明細書では、第1の高温タンクがヒートポンプHPのコンデンサ端部と熱連通し(前述の例のように)、その一方で、低温タンクがヒートポンプHPの蒸発器端部と熱連通している。
【0154】
上述の配置では、低温の作業媒体WMは、圧力媒体PMから、これらとの熱交換プロセスによって熱量Qの一部を回収し、また、外部環境から残りの熱量qを回収して、熱量Q´をヒートポンプHPの蒸発器端部からコンデンサ端部に供給する。
【0155】
今度は図78Dに移ると、圧力容器の二重運転をあらわす、発電機の他の配置が示されている。詳細には、圧力モジュールに2つの圧力容器が備えられ、各々の圧力容器は、一方では高温/低温タンクと選択的に流体連通し、もう一方ではそれぞれに配置されたピストンと流体連通していることが見て取れる。更にこの配置では、各々のピストンが発電機と機械的に接続しているため、両ピストンの往復運動は、出力電力の生成のため発電機によって用いられる。
【0156】
上述の配置では、一方の圧力容器が高温タンクと流体連通しているとき、他方の圧力容器は低温タンクと流体連通しており、その逆もまた同じである。このように、一方の圧力容器の圧力媒体PMが加熱されるとき、他方の圧力容器の圧力媒体PMは冷却され、その逆もまた同じである。
【0157】
上述の配置では、両ピストンの往復運動が調整され、両ピストンは総じて同時に、総じて同方向に動く。換言すれば、下部圧力容器の圧力媒体PMの体積が増加してピストンを右方向に押すとき、上部圧力容器の圧力媒体PMの体積は減少してピストンを左方向にずらすことになり、その逆もまた同じである。「上部」及び「下部」という用語は、単に説明のためにのみ用いられるものであることが特筆され、後述の配置に示されるように、ピストンは並列にも配置することができる。上述の配置では、互いに相互接続される(2つのみでなく)複数の圧力容器が使用されることもわかる。
【0158】
今度は図78Eに注目すると、中温タンクの配置をあらわす発電機の更に他の例が示されており、この配置では発電機は3つのタンク、すなわち高温/中温/低温タンクを備える。この配置は、図Cに示す被冷却タンクの配置の組み合わせであり、ここでは、中温の作業媒体を含む追加的な中温タンクが付加されている。高温/中温/低温タンクの各々は、圧力容器と選択的に流体連通している。
【0159】
この配置では、図78Aに関して説明した工程(a)及び(b)に加え、2つの追加的な工程(a´)及び(b´)が次のように行われる。
(a´)[工程(a)の後]中温の作業媒体WMが中温タンクから圧力容器の導管を通過することによって、(その間の熱交換プロセスを介して)圧力媒体PMの温度を、最高動作温度から(最高動作温度と最低動作温度との間の)中間動作温度に低下させる
(b´)[工程(b)の後]中温の作業媒体WMが中温タンクから圧力容器の導管を通過することによって、(その間の熱交換プロセスを介して)圧力媒体PMの温度を、最低動作温度から(最高動作温度と最低動作温度との間の)中間動作温度に上昇させる。
【0160】
上述の配置に関して、高温/低温タンクはヒートポンプHPのコンデンサ/蒸発器の端部とそれぞれ熱連通しているのに対し、中温タンクは、外部環境と熱連通しうることがわかる。
【0161】
今度は図78Fに移ると、交差配置をあらわす、発電機の更なる他の例が示されており、ここでは、発電機は2つの(二重運転配置と類似した)圧力容器を備え、出口弁の各々は両方の入口弁とも選択的に流体連通している。
【0162】
具体的には、それぞれの出口弁Oは交差ラインCOLが備えられ、このCOLによって、一方の圧力容器の出口弁と他方の圧力容器の入口弁とを流体連通する。この配置では、以下に説明するように追加的な交差工程を行うことも可能である。
(a´´)[工程(a´)の後]中温の作業媒体WMは一方の圧力容器PVの導管を出た後、交差ラインCOLを経由して、他方の圧力容器PVの入口弁へと向かい、その中の圧力媒体を加熱し始め、その後にはじめてもう1つの出口弁を経由して中温タンクへと戻る
(b´´)[工程(b´)の後]中温の作業媒体WMは一方の圧力容器PVの導管を出た後、交差ラインCOLを経由して、他方の圧力容器PVの入口弁へと向かい、その中の圧力媒体を冷却し始め、その後にはじめてもう1つの出口弁を経由して中温タンクへと戻る。
【0163】
上述の配置によって、圧力媒体PMからより多くの熱回収が行われる。より具体的には、中温タンクに戻る間に一定の熱量を外部環境に/から、放出する/引き出す代わりに、中温の作業媒体WMは、このとき圧力媒体PMとの熱交換においてその熱量の一部を放出する/引き出すことによって、発電機の効率を向上させる。
【0164】
今度は図78Gに移ると、熱勾配配置をあらわす、発電機のなお更なる例が示されており、ここでは発電機は(基本配置と類似する)1つの圧力容器と、出口弁Oと関連する勾配タンクとを備えている。
【0165】
勾配タンクは、中に含まれる作業媒体の各部分が混ざり合うのを防止するよう構成された配置を備え、これによりそれらの部分の間の熱伝達と、それらの部分が熱平衡に達する速度を大幅に低減する。詳細には、勾配タンクは、本発電機に用いるとき、作業媒体の第1の部分を温度T1に、作業媒体の第2の部分を温度T2にといった具合に含むことができ、したがってT1≠T2≠などとなる。
【0166】
具体的には、発電機がこれから説明するように運転するとき、勾配タンクは中に含まれる作業媒体を温度勾配がT1>T2....>Tnとなるよう、或いは代替的にT1<T2<....<Tnとなるよう維持する。
【0167】
運転時には、図78Aに関して説明した基本的な運転工程(a)及び(b)に、次のようにいくつかの追加的な工程が付加される。
(b´´´)[工程(b)の前に行われる]低温の作業媒体WMが、圧力容器PVの導管を通り抜けて圧力媒体との熱交換プロセスを介して加熱されるが、低温タンクに戻る代わりに、勾配タンクに導入される。圧力容器を出る低温の作業媒体の最初の部分は、(圧力媒体PMがこの熱交換プロセスの間に次第に冷却されるため)最後の部分よりも高い温度で勾配に到達することになることがわかる。勾配タンクの設計によって、これらの部分をそれぞれの温度に維持することができるため、最終的には勾配タンクの最上部に温度が最も高い部分が、勾配タンクの最下部に温度が最も低い部分があることになる
(b´´´´)[工程(b)の後に行われる]勾配タンクの作業媒体は、LIFO(後入先出)の順序で圧力容器を通って再循環されることにより、圧力媒体を次第に中温に加熱し、その後に初めて運転工程(a)を始める。
【0168】
基本的には、発電機のこれらの運転工程は「留め置き」運転ともいうべきものであり、勾配タンク内の作業媒体WMは適切な時までその中に保たれ(留め置かれ)、その後に発電機の配管に放出されて必要な熱交換プロセスを行う。
【0169】
上述の配置により、発電機で熱回収を行う他の方法が提供され、これにより発電機の効率は更に増す。また、LIFO形状を利用することにより、作業媒体の各部分の熱量をより有効に利用しながら、圧力媒体が(まずは最低温度の部分から始まって)次第に加熱されていくこともわかっている。
【0170】
勾配タンクは、加熱された低温の作業媒体WMと、冷却された高温の作業媒体WMとのいずれにも利用されうることもわかっている。後に詳細に説明するような特定の例によれば、発電機は、1つよりも多数の勾配タンクを備えうる。例えば、各圧力容器にはそれ自身の勾配タンクを備えることができ、及び/又は複数の勾配タンクが高温/低温の作業媒体用に備えられる。
【0171】
今度は図78Hに移ると、アキュムレータ(グリーンバッテリー)の配置をあらわす、発電機のなお更なる例が示されており、ここでは、発電機は、貯蔵作業媒体を含んだアキュムレータユニットを更に備える。アキュムレータユニットには、発電機によって供給される出力電力Wで運転するよう構成された加熱配置が備えられている。
【0172】
アキュムレータユニットは、入口弁及び出口弁とそれぞれ接続した、対応する入口ライン及び出口ラインを介して、圧力容器PVと選択的に流体連通している。
【0173】
運転時には、発電機の出力電力の一部は加熱配置の運転に用いられ、その結果、加熱配置は、アキュムレータユニット内に含まれる作業媒体を加熱する。このようにして、高温タンクは必要な時に停止され、アキュムレータユニットが必要な高温の作業媒体を供給することができる。
【0174】
上述の配置では、使用されない任意の余剰の出力電力をアキュムレータユニットに供給することができ、これによって事実上、アキュムレータとして稼働する。
【0175】
特定の例によれば、加熱要素は、貯蔵作業媒体を加熱するためにそれ自身が加熱されるよう構成された加熱コイル又は他の任意の要素であってもよい。或いは、加熱配置を補助ヒートポンプ(図示せず)で構成することもでき、アキュムレータユニットは、1つは補助ヒートポンプの蒸発器側と熱連通し、もう1つは補助ヒートポンプのコンデンサ側と熱連通している、2つの区画を備えうる。
【0176】
図1Aに関し、ここでは、作業媒体のサブシステム100に接続された空気調節ユニット10と、2つの圧力容器200と、機械動力アセンブリ300と、放熱器ユニット400と、発電装置ユニット500と、アキュムレータユニット50と、出力部とを備える、一般的に1と表される発電機1が示されている。
【0177】
一般的に、容器200の各々は加圧流体を含み、発電機は、ピストンの位置を前後に機械的に動かして電気を生成するために用いられる加圧された液体の容量が、周期的に増加/減少する原理によって運転する。
【0178】
更に図3Cに関し、圧力容器200は中空のシリンダ体210と、その中を通る中空の中心コア240とを有しており、中心コア240の外面242とシリンダ体210の内面214との間に加圧流体を含むよう適合された空洞が形成される。中空の中心コア240の内側スペース243は、加圧流体の温度を操作するため、作業媒体サブシステム100からの高温/中温/低温の作業媒体を受け入れるよう適合されている。
【0179】
図1A〜1Dに関し、作業媒体サブシステム100は、高温タンク110と、低温タンク120と、室温の中間温度の水が入ったタンク130とを備える。「高温」、「低温」及び「中温」という用語は、この特定の例において、それぞれに対応する温度として約40℃、約10℃及び約25℃を指す。作業媒体サブシステムは、一方では空気調節ユニット10と、他方では圧力容器200と流体連通している。
【0180】
各タンク110、120及び130は、分配弁140を介して両方の圧力容器200と接続されている。発電機1は2つの圧力容器200を備えているため、また、縦向きの中心面に対して一般的に左右対照であるため、該当箇所には左(L)と右(R)の表示が用いられる。作業媒体サブシステム100と右圧力容器200Rとの間の接続方法を今から詳細に説明する(第2の圧力容器200への接続方法は基本的に類似していることに留意されたい)。
【0181】
高温タンク110は、入口111Rを介して分配弁140Rに、またライン112Rを介して圧力容器200Rの出口に接続される。これに対応して、低温タンク120は、入口121Rを介して分配弁140Rに、またライン112Rを介して圧力容器200Rの出口に接続される。タンク130は、入口131Rを介して分配弁140Rに、またライン132Rを介して圧力容器200Rの出口に接続される。ライン132Rはこの後、放熱器ユニット400の冷却要素410Rに接続され、冷却要素410の出口はライン133Rを介してタンク130に戻るように接続される。
【0182】
タンク110及び120並びにこれらを圧力容器200L、200R及び放熱器ユニット400に接続する配管には、配管自体への熱損失を防止するよう、断熱材を適用してもよい。同様に、分配弁140L、140Rもまた、低導電性材料(例えばチタン又は合成樹脂)で作られるか、又は断熱材で覆われてもよい。
【0183】
逆に、タンク130を圧力容器200L、200R及び放熱器ユニット400に接続する配管は、熱伝達率の高い材料(例えば銅)で形成されてもよく、また、「中間」水の温度が周囲環境の温度とできる限り同じになるように外部環境にさらされてもよい。
【0184】
一般的には、上記で説明した配管は、元から水圧を有するように(無気に)作られることが可能で、発電機1の運転全体にわたってこの状態が維持される。更には、中温水タンク130は、給水栓135(図1C)を介して家庭用の水圧(消費者圧力)に接続することができ、このようにしてシステム内で圧力が低下する場合、圧力を再構築するため、システムに水が追加供給されうる。
【0185】
これより発電機1の一般的な運転を説明する(ここでは容器200Rについての運転を説明するが、類似の運転が容器200Lにも同時に起こることに留意されたい)。
【0186】
初期状態では、容器200は圧力媒体で満たされており、約5000Atmに加圧されている。コア240及び上述の接続ラインは、標準的な家庭用の圧力(消費者圧力)の作業媒体で満たされている。この状態では、圧力媒体の温度は室温(例えば約25℃)に等しく、これに対応してモータのピストンは中間の位置にある。
【0187】
運転の第1段階では、分配弁140Rがライン111Rのポートを開き、高温タンクから高温水が容器200Rのコア240を通って循環し始める。コア240を通過する間に、高温水(約40℃)と圧力媒体(約25℃)との間で熱交換プロセスが発生し、圧力媒体が加熱される。加熱された結果、圧力媒体の体積が増し(膨張し)、その結果ピストンがその第1端部へ向かって動く。
【0188】
高温水は、今や上記を受けてわずかに温度が低くなった状態で、ライン112Rを経由して圧力容器200Rを出て、高温タンクへと戻される。このプロセスは、圧力媒体が所望の/十分な量に加熱される(そして膨張する)まで、すなわちピストンがその所望の第1端部に動くまで続く。典型的には、圧力媒体は高温水と同じ温度にまでは加熱されず、これを数℃下回る、例えば32〜35℃に加熱される。
【0189】
その後、分配弁140Rは、高温水の入口ポートを閉じ、中温水タンクのライン131Rのポートを開く。中温水(すなわち25℃)はこの後、圧力容器200Rを流れ、加熱された圧力媒体(約32〜35℃)が中温水に熱を発散させるという、逆の熱伝達プロセスを発生させる。その結果、圧力媒体は冷却され、中温水は加熱される。
【0190】
圧力媒体の冷却によって、その体積は結果的に減少し、必然的にピストンは初期の位置へ向かって機械的に移動する。このプロセスは、圧力媒体が所望の/十分な量に冷却されるまで、すなわちピストンが初期の(中間の)位置に戻るまで継続する。
【0191】
加熱された中温水は、ライン132R経由で圧力容器200Rを出て、放熱器ユニット400の冷却要素410Rへ流入する。冷却要素410Rでは、加熱された中温水は、加熱された圧力媒体から吸収した熱を周囲の大気に放出するという別の熱交換プロセスを受ける。このように、中温水は、タンク内の初期の温度(約25℃)に近い温度で、ライン133Rを経由して中温水タンク130へと戻る。
【0192】
上記で発電機サイクルの第1部が完了する。
【0193】
サイクルの第1部の後には第2部が続き、ここでは類似の運転が低温水を用いて次のように行われる。分配弁140Rが、中温水タンク130からの水を遮断し、低温タンクから入ってくるライン121Rと流体連通するために開く。次に低温水が容器200Rのコア240を流れる。コア240を流れる間に、低温水(約10℃)と(サイクルの第1部を経た結果、約25℃に戻った)圧力媒体との間で熱交換プロセスが発生し、圧力媒体が冷却される。冷却された結果、圧力媒体の体積は減少(圧縮)し、結果的にピストンはその第2端部へ向かって動く。
【0194】
低温水は、上記を受けてわずかに温度が高くなった状態で、ライン122Rを経由して圧力容器200Rを出て、低温タンクへと戻される。このプロセスは、圧力媒体が所望の/十分な量に冷却される(そして収縮する)まで、すなわちピストンがその所望の第2端部に動くまで続く。典型的には、圧力媒体は低温水と同じ温度にまでは冷却されず、これを数℃下回る、例えば15〜18℃に冷却される。
【0195】
その後、分配弁140Rは、低温水の入口ポートを閉じ、中温水タンクのライン131Rのポートを再び開く。中温水(すなわち25℃)はこの後、圧力容器200Rを流れ、冷却された圧力媒体(約15〜18℃)が中温水から熱を吸収するという逆の熱伝達プロセスを発生させる。その結果、圧力媒体は加熱され、中温水は冷却される。
【0196】
圧力媒体の加熱によって、結果その体積は増加し、必然的にピストンは初期の位置へ向かって機械的に移動する。このプロセスは、圧力媒体が所望の/十分な量に加熱されるまで、すなわちピストンが初期の(中間の)位置に戻るまで継続する。
【0197】
冷却された中温水は、ライン132R経由で圧力容器200Rを出て、放熱器ユニット400の冷却要素410Rへ流入する。冷却要素410Rでは、冷却された中温水は、加熱された圧力媒体へと失った熱を周囲の大気から吸収するという別の熱交換プロセスを受ける。このように、中温水は、タンク内の初期の温度(約25℃)に近い温度で、ライン133Rを経由して中温水タンク130へと戻る。
【0198】
上記で発電機サイクルの第2部が完了する。
【0199】
要約すると、発電機の全サイクルは次のように説明される。
I)まず圧力媒体が(高温タンク110からの高温水によって)約25℃から約32〜35℃に加熱され、ピストンが初期の位置から第1端部の位置に移動する
II)圧力媒体が(中温水タンク130からの中温水によって)32〜35℃から約25℃に冷却され、ピストンは初期の位置に戻る
III)圧力媒体が(低温タンク120からの低温水によって)約25℃から約15〜18℃に冷却され、ピストンが初期の位置から第2端部の位置に移動する
IV)圧力媒体が(中温水タンク130からの中温水によって)15〜18℃から約25℃に加熱され、ピストンは初期の位置に戻る。
【0200】
低温水/高温水は、圧力容器200Rを通過した後、それぞれのタンク120、110に直接戻されるが、中温水は、圧力容器200Rを通過した後、圧力媒体との熱交換プロセスの間に得られた/失われた必要な熱量をそれぞれ大気へ放出する/大気から吸収するために、放熱器ユニット400の冷却要素410を通過することに留意されたい。
【0201】
構造上、図1Dからわかるように、高温タンク110及び低温タンク120は空気調節ユニット10部分を構成する。タンク110、120の各々の内部には、空気調節ユニット10の作動流体、例えばフロンガスを受容するよう適合された管列が完全に収納されている。
【0202】
詳細には、空気調節ユニット10は、フロンガスをライン12を介して高温タンク110のチューブに圧縮注入するよう適合されたコンプレッサ(図示せず)を有しており、このようにして加熱されたフロンガスは、高温タンクの水へと熱を運ぶ。次に、冷却されたフロンガスは高温タンク110を出て、ライン14経由で空気調節ユニット10へと戻る。この後、冷却されたフロンガスは、入口22経由で低温タンク120へと供給され、そのチューブの中で膨張することによって低温タンク120の水を冷却し、このタンクを出てライン24経由で空気調節ユニット10へと戻る。高温タンク110に高温水タンクを供給し、低温タンク120に低温水タンクを供給するため、このプロセスは繰り返し行われる。
【0203】
なお、上述の稼働は、右圧力容器200Rのみに関して説明されたが、類似の稼働は左圧力容器200Lでも同時に行われる。こうして、2つの主な運転サイクルは、次のように行われうる。
a)同時サイクル−左右の圧力容器200L、200Rがともに、上記の工程(I)〜(IV)を並行して行う。換言すれば、発電機サイクルのいかなるときにも、右圧力容器200Rの圧力媒体の温度は、左圧力容器200Lの圧力媒体の温度と類似であり、すなわち両圧力媒体は同時に加熱され、同時に冷却される
b)交替サイクル−圧力容器200L、200Rは、工程(I)〜(IV)をオフセットで行う、例えば、右圧力容器200Rがサイクルの工程(I)を行うとき、左圧力容器200Lはサイクルの工程(III)を行う。換言すれば、右圧力容器200Rの圧力媒体が加熱されるとき、左圧力容器200Lの圧力媒体は冷却され、その逆もまた同様である。
【0204】
一般的に、圧力容器200L、200R内の加圧流体には、熱膨張性に優れ(加熱すると著しく膨張する)、同時に十分な熱伝達性を有する流体が選択されなければならない。加圧流体に用いられる材料の例は(これらに限定されないが)、水、n−ペンタン、ジエチルエーテル、臭化エチル、メタノール、エタノール、水銀、酸類その他でありうる。加圧流体は液状媒体に限定されず、気体材料からも構成されうることも理解されたい。
【0205】
コア240を通過する作業媒体は、十分な熱伝達性と、発電機1内を作業媒体が容易に推進することを可能とする密度とを有するものが選択されなければならない。加圧流体に用いられる材料の例は(これらに限定されないが)、水、水銀、フロンその他である。作業媒体は液状媒体に限定されず、気体材料(例えば気体状のフロン)によっても構成されうることも理解されたい。
【0206】
今度は図2A〜4A〜4Fに移って、圧力容器200及びコア240の独特の構造を詳細に説明する。
【0207】
圧力容器200L、200Rの各々は、すなわち約5000atmの加圧流体の圧力に十分に耐えうる強固かつ厚みのある材料で作られた外板210を備える。このような材料の一例は、鋼鉄でありうる。
【0208】
圧力容器200L、200R内をコア240が通り、作業媒体はこのコアを通るよう適合されている。コア240は、一方では圧力容器200L、200R内の高圧に耐えうる材料で作られてもよく、他方では、作業媒体と加圧流体との間で効果的な熱伝達プロセスを提供するため、十分な熱特性と熱伝達性を有する材料で作られてもよい。このような材料の例は、ベリリウム銅、4340鋼鉄などでありうる。
【0209】
図4Bに関して特に言及すると、ここでは、コア240の一部分が示されている。コアの内面と外面には、表面要素247がピラミッド状に形成されていることが見て取れる。表面要素247の目的は、作業媒体と加圧流体との接触領域を広げることであり、これによってコア240と作業媒体/加圧流体との間の熱伝達効率が増す。要素247は、外面に段階的に砂を吹き付け、内面には所定の仕上げ用ヘッド(図示せず)を用いることによって形成することができる。この方法では、コア240の表面域は(なめらかな内面/外面と比較して)ほぼ20倍に増大しうる。
【0210】
図4Fに関して特に言及すると、その効率を上げるため、発電機の運転中に加圧流体を混合するよう適合された混合ユニット220がコア上に取り付けられている。混合ユニット220は、コア240の方向に延長する中心軸Xを有し、中心軸Xの周りに広がり、リング225を用いて互いに接続された複数のファンブレード224を備えている。混合ユニット220は、各側でリミットリング223によって区切られている。ファンブレード224は、ブレード224自体への熱損失を低減するために十分な絶縁性を有し、熱吸収を低減するため低熱性であり、必要な駆動力を最小化するため軽量である材料で作られうる。このような材料は、例えばチタンでありうる。
【0211】
リミットリング223は、駆動ロッド226に取り付けられた歯車228aとかみ合うように適合された平歯車229と嵌合する。駆動ロッド226は、外部モータ205L、250Rによって駆動され、駆動ロッド226に取り付けられた歯車228bと、駆動モータ250Rのこれに対応する歯車254との間は接続されている。
【0212】
特別な一設計によれば、モータは、必ずしも圧力容器の外側にではなく、圧力容器内に置くこともでき、その場合、シャフトの動作抵抗、及びシールとともに作用する力を克服するのに必要なエネルギーを節約することに留意されたい。他には、磁気機構を用いてシャフトを回転させ、運動用シールを複雑にさせない選択肢もある。
【0213】
上記で説明した混合ユニット220の代替法として、図7A〜7Cに注目すると、ここでは、受動型放熱ユニット280、290及び290´の3つの変形形態が示されている。放熱ユニット280は、複数の放熱要素284が放射状に延びているスリーブ282の形状であり、コア240と加圧流体との間で熱伝達を増すよう適合されている。放熱ユニット290は中心スリーブ292を有し、このスリーブから放射状の放熱要素294が延びている。放熱ユニット290´は、熱伝達性を向上させるため各放熱要素294´が追加的な延長部分296´とともに形成されている相違型と概ね類似している。
【0214】
放熱ユニット280、290及び290´は、接触面が最大となるようコア240に強固に取り付けられており、これにより熱伝達性を向上させている。
【0215】
図5Aに関して特に言及すると、圧力容器200L、200Rは、板210の内面214の直径よりも小さく、混合ユニット220の直径よりも大きい直径を有する内板230を更に備える。このように、板230は、圧力容器200L、200Rの内部空間を、板230と混合ユニット220との間の内部チャンバ232と、板230と圧力容器200L、200Rの内面214との間の外部チャンバ234とに分割する。板230は、板230自体への熱損失を低減するよう十分な絶縁性を有する材料、例えばチタンで作られてもよい。
【0216】
内部チャンバ232及び外部チャンバ234は、板230が両端部で開いているため、互いに流体連通していることに留意されたい。発電機1の運転時には、内部チャンバ232と外部チャンバ234とが分離していることにより、外部チャンバ234の加圧流体による内部チャンバ232の加圧流体の絶縁は(これらが互いに流体連通しているにもかかわらず)容易である。加圧流体の絶縁によって、外部鋼鉄板210への熱損失が低減するため、発電機1の効率は向上する。混合ユニット240によって作り出される循環は、板230と板210の内面との間に含まれる加圧流体にほとんど影響を与えないことにも留意されたい。
【0217】
図4Fに戻ると、コア240は内部で、作業媒体にコア240の中を進ませるため、それ自体を中心軸として回転するよう適合された打込みねじ248と嵌合している(アルキメディアン・スクリューと類似の原理に基づく働き)。打込みねじ248は、外部モータ260L、260Rによって駆動され、歯車246とモータ260L、260Rの歯車264とのかみ合いを介してこれらに接続されている。打込みねじ248は、打込みねじ248自体への熱損失を低減させるために十分な絶縁性を有する材料で作られうる。そのような材料の例は、チタン又は高強度のプラスチックでありうる。後に考察する図14F及び14Gにより明らかであるように、打込みねじ248の変形形態が用いられうることが特筆される。
【0218】
図3C及び4Eに関して、圧力容器200R、200Lの各々には、その両端部に、ボルトで固定されたヘッドシール272と、3つのシール部材274が上に取り付けられた主シール体273と、補助シールアセンブリ276と、ソフトシール部材278とを備えるシーリングアセンブリ270とが取り付けられている。更に、(図3Cに示す)類似の設計の2つのシール276´、278´が、主シール体273とコア240との間の空間のシールに用いられるために設けられている。
【0219】
今度は図3A〜3Eに移って、機械動力アセンブリ300及び発電機ユニット500についてこれより詳細に説明する。各圧力容器200L、200Rには、その1つの端部に機械動力アセンブリ300L、300Rが取り付けられている。両機械動力アセンブリ300L、300Rは基本的には類似であるため、説明はもう1つのアセンブリについてもあてはまるとの理解で、2つのうち1つのみについてこれより詳細に説明する。
【0220】
機械動力アセンブリ300Rは、出口ポート216Rを介して圧力容器200Rと流体連通した状態に維持されている。機械動力アセンブリ300Rは、ピストンユニット320Rと、圧力レギュレータ340Rとを備える。
【0221】
ピストンユニット320Rは、中空のハウジング322と、圧力容器200Rのポート216に繋がれた首部324とを有している。首部324には、圧力容器200Rと首部324との間を流体連通させる入口オリフィス326が形成されている。
【0222】
ハウジング322内には、ハウジング322内でOリング333によって密接に受容される頭部332と、上記の首部324内で密接に受容される首部334とを有する移動可能なピストン330が含まれている。このように、ハウジング322は、中に圧力媒体を受容するために圧力容器200Rと流体連通している入口チャンバ323と、出口チャンバ323とに分割されており、これらのチャンバは頭部332によって互いに分離されている。
【0223】
ピストンユニット320は、入口チャンバ323がその中にいくらかの圧力媒体を含み、出口チャンバ323がその中に発電機ユニット500を運転するよう適合された補助的な作業媒体を含むよう設計されている。このような流体は、例えば、機械油やそれに類するものでありうる。ハウジング322には更に出口ポート325が形成され、このポートを通って補助流体がピストンユニットを出て、発電機ユニット500へと流れることができる。
【0224】
運転時には、発電機サイクルの工程(I)の間に、圧力媒体は加熱してその体積が増加し、これによって入口チャンバ323へと流れ込み、ピストン330の頭部332をハウジング322の底部328に向かって押す。その結果、出口チャンバ323内に含まれる補助作業媒体は加圧され、出口ポート325を通ってライン302へと押し出される。
【0225】
サイクルの工程(II)及び(III)の間に、圧力媒体は冷却してその体積が減少し、これによって入口チャンバ323から圧力容器200Rへと逆流し、ピストン330の頭部332をハウジング322の首部324に向かって引く。その結果、補助作業媒体は出口チャンバ323へと吸い戻される。
【0226】
ピストン330は、頭部322の断面積が首部324の断面積の20倍の大きさになるよう設計されており、これによって出口チャンバ323の圧力を5000atmから約250atmに低減させる。補助流体が前後に移動する動きは、モータ520のピストンを作動するために用いられ(図6A及び6B)、これが次に電気生成のために用いられる。
【0227】
加えて、補助作業媒体は、ピストンユニット320と発電機ユニット500との間に位置する圧力レギュレータ340と流体連通している。圧力レギュレータ340には、内部に圧縮ばね360によって付勢されたピストン350を有するハウジング342が形成される。代替的な例によれば、ピストン350は圧縮気体、例えば窒素によって付勢することもできる。圧力レギュレータ340には、ライン302を受容するよう適合された入口ポート345と、ハウジング入口346と、ライン304に接続された出口ポート347とを有するT字型接合部材343が形成される。
【0228】
運転時には、ライン302を経由してピストンユニット320の出口チャンバ323を出る補助流体のほとんどが、T字型接合部343を通って出口345を経由しライン304へと直接流れこみ、一方で残りの補助流体が圧力レギュレータ340へと流れ込む。このように、所望しない圧力の増加が生じた場合、圧力レギュレータ340のピストン350はばね360の付勢力に反して押され、これにより、発電機ユニット500へとつながるライン304内の補助流体の圧力は望ましい圧力に維持される。
【0229】
また、圧力レギュレータは、次のように、ピストンの動きのシンクロナイザとしても機能する。一方の圧力容器の圧力媒体が膨張しすぎて、他方の圧力容器のピストンに「退却する」スペースがなくなると、気体ピストンが余分な圧力を吸収して、機構の往復運動によりピストンを戻すことになる。より詳細には、一方のピストンにもたらされる余分な圧力であって、他方のピストンの動きにあらわれるべきではないものはいずれも、気体ピストン340によって吸収される、また、圧力が不足している場合には、気体ピストン340は上記の不足を補う。
【0230】
今度は図6A及び6Cに移って、発電機ユニット500について詳細に説明する。発電機ユニット500は、運動変換器520と、電力ユニット540とを備える。運動変換器520は、ベースハウジング510と、2つのピストンハウジング522R、522Lとを備え、この各々のピストンハウジングは、一方の端部において主変換ユニットと、もう一方の端部においてライン304と接続されている。
【0231】
ベースハウジングは、上部部材512と(類似に設計された)下部部材514で形成されており、各々の部材にはチャンネル516が形成されているため、その2つの部材を接着すると、空間518(図示せず)が形成され、その中に中心板513が往復運動するよう適合されている。
【0232】
中心板513は、スタッド515を介してカムフォロワ517と嵌合されている。カムフォロワ517は、中心板513が往復運動を行うとき、第2スタッド519を中心に回転するよう適合されている。カムフォロワ517は板511に固着されているため、カムフォロワ517がスタッド519を中心に回転することによって、必然的に板511はその中心軸Xで回転することになる。上部/下部の「死点」対策のため、歯車と発電機との間に1つのフライホイール(図示せず)を設けてもよい。
【0233】
ハウジング522Rは(両ハウジングとも類似の設計であるため、1つのみについて説明する)、内部で往復運動を行うよう適合されたピストン530Rを備え、ハウジング522R内で入口チャンバ524Rを形成する。ハウジング522Rには、入口チャンバ524Rとライン304から流入する補助作業媒体との間の流体連通を提供する入口526Rが形成される。ピストン530R及び530Lは、その一方の端部において、それぞれ入口526R、526L付近に位置する頭部532R、532Lが形成され、もう一方の反対側の端部において中心板513と一体的に形成されている。
【0234】
運転時には、例えば上述のような交互サイクル下では、サイクルの工程Iの間に、右チャンバ200Rの加圧流体が加熱して体積を増し、左チャンバ200Lの加圧流体は冷却して体積が減る。その結果、右ピストンユニット320Rの補助作業媒体はピストン530R方向に促されてそのピストンを押し、一方で左ピストンユニット320Rの補助作業媒体は、ピストン530Lを引きながら吸入される。この工程の間、ピストン530R、530Lの動きによって、中心板513が一方向に動かされる。
【0235】
その後、サイクルの工程II及びIIIの間、逆の動作が発生する、すなわち左チャンバ200Lの加圧流体が加熱して体積を増し、右チャンバ200Rの加圧流体は冷却して体積が減る。その結果、左ピストンユニット320Rの補助作業媒体はピストン530L方向に促されてそのピストンを押す。ピストン530R、530Lの動きによって、図6B及び6Cに見られるように、中心板513がもう一方の方向に動かされる。
【0236】
中心板513の往復運動によって必然的にカムフォロワ517が回転し、その結果、板511が中心軸で回転することになる。この回転の動きは、電力ユニット540によって電気エネルギーに変換される。
【0237】
図1Bに戻ると、電力ユニット540によって生成される電力の一部は出力部に、一部は空気調節ユニット10に、そして残りはバッテリ50に供給される。バッテリ50は、システムをジャンプスタートさせるために用いることができる。
【0238】
上述のシステム1は、そのシステムの運転のために用いる電気量の少なくとも4倍まで生成することができる、すなわち、発電機1の運転に必要な電気量が1kwh(キロワット時)であれば、その発電機は少なくとも4kwhまでの電気を生成することができることがわかっている。この電気という形の利益は、外部環境と熱交換プロセスを行うこと、すなわち放熱器400を流れる水へと熱を吸収する/放出するために周囲の媒体(空気、水)を用いることによって得られることも理解されたい。
【0239】
詳細には、空気調整ユニット10を使用することによって、電気生成量を大幅に増やすことが可能となる。スペース(例えば空間)を冷却する間に生成される熱が外部環境に排出される(空気調整システムによって空間の外に熱が放出される)中間空気調整システムとは反対に、本発明の発電機では、この熱は無駄にならず、高温タンクの水の加熱に用いられる。
【0240】
様々なサイクルの時点での作業媒体と加圧流体の温度変動の図表を示す図8A〜8Fにおいて、発電機1の実験解析が開示されている。
【0241】
図9に移ると、発電機1は、例えば水などの貯蔵媒体で満たされたアキュムレータ配置590をも備えることができ、この配置では、発電機1によって過剰な電気量が生成されると、この過剰分はアキュムレータ配置590内で水の加熱に用いられる加熱体に送られる。この方法では、アキュムレータ配置590はバッテリとして機能することが可能である。
【0242】
例えば、アキュムレータ配置590の水が所望の温度、例えば高温タンク110の温度と類似の温度に加熱されると、高温タンク110ではなくアキュムレータ配置590が発電機1の運転用の高温水を供給することができる。この結果、空気調整ユニット10の運転を抑えることができ(或いは完全に中断することさえ可能であり)、これによって電力消費を抑制することが可能となる。
【0243】
発電機1によって生成される電気量が所望の消費量と同量になると、空気調整ユニット10は通常運転に戻り、アキュムレータ配置590の水は次第に冷却される。加えて、アキュムレータ配置内で圧力が増すことによって、作業媒体水の沸点を上回って加熱することができ、より多くの熱を蓄積する。例えば、5atmの水(標準的な家庭用水の水圧)は、150℃で沸騰しうる。
【0244】
更には、アキュムレータ配置590は、その内部で所望の温度を維持するため、アキュムレータ配置の水を直接加熱するよう構成された加熱要素を備えうる。
【0245】
また、発電機1は、加圧流体の温度、作業媒体、アキュムレータ配置590の水温、ピストン330R、330L、530R、530Lの移動、圧力レギュレータ340内の圧力、中心板513の移動などをモニタするよう適合されたコントローラ(図示せず)を備えうる。コントローラは、分配弁140の動作、モータ250、260の動作、ピストンの移動などを制御するために用いることができる。
【0246】
図11A及び11Bを見ると、一般的に1´として表され、作業媒体サブシステム100´、2つの圧力容器200´、機械動力アセンブリ300、放熱器ユニット400、発電機ユニット500、勾配アセンブリ600、アキュムレータユニット50及び出力部に接続された空気調整ユニット10を備える発電機の他の例が示されている。
【0247】
原則として、発電機1´の設計は、先に説明した発電機1と類似しているが、圧力容器200´を通るコアの設計と数、放熱器ユニット400´の設計、追加的な勾配アセンブリ600、及び発電機の様々な構成要素が互いに関連する対応する弁と配管において相違している。
【0248】
まず、図12A〜12Dに関して、勾配アセンブリ600及び発電機1´におけるその利用を詳細に説明する。
【0249】
発電機の配管は、(発電機の停止時に)発電機の初期状態では、所定圧力の作業媒体で満たされおり、その作業媒体は中温である。その結果、圧力媒体も中温である。
【0250】
発電機の運転の第1段階の間に、空気調整ユニットACが稼働し、高温タンク110´の作業媒体を加熱し、低温タンク120´の作業媒体を冷却する。中温タンク130´は中温のままの作業媒体を含む。高温/低温タンク110´、120´のそれぞれの作業媒体が所望の温度に到達すると、駆動機構250´、260´が次のように稼働する。
(a)(I)高温タンク110´から出た高温の作業媒体が圧力媒体を加熱すべく右圧力容器200Rを通過し、ラインPRを通って再び高温タンク110´へと循環される(ラインL、L
(II)同時に、高温タンク120´から出た低温の作業媒体が圧力媒体を冷却すべく左圧力容器200Lを通過し、ラインPRを通って再び低温タンク120´へと循環される(ラインL、L
(III)各圧力容器200R´、200L´の圧力媒体がそれぞれ所望の高温THOT/TCOLDに到達するまで、工程(a)が継続する
(b)(I)中温タンク130´から出た中温の作業媒体は、高温の圧力媒体によって加熱されるべく圧力容器200R´を通過し、これによって高温の圧力媒体から熱を取り除く
(II)同時に、中温タンク130´から出た中温の作業媒体は、低温の圧力媒体によって冷却されるべく圧力容器200L´を通過し、これによって低温の圧力媒体に熱を与える
(c)(I)加熱された中温の作業媒体は、内部に温度勾配を有する勾配タンク600Rへと運ばれるため(ラインL、L)、勾配タンク600Rの上部は、勾配タンク600Rの下部よりも高い温度に加熱された中温の作業媒体を含む
(II)同時に、冷却された中温の作業媒体は、内部に温度勾配を有する勾配タンク600Lへと運ばれるため(ラインL、L)、勾配タンク600Rの上部は、勾配タンク600Lの下部よりも低い温度に冷却された中温の作業媒体を含む
(III)この工程は、中温の作業媒体が各勾配タンク600R、600Lの中において所望の温度に到達するまで継続する
(d)(I)加熱された中温の作業媒体は、勾配タンク600Rから発電機の前部へと運ばれ、そこで左圧力容器200L´に再び入り(図17AのラインL6H、L7Cを参照)、これによって、低温の圧力媒体に更に熱を与え、TINTERMEDIATEに近い温度に戻るまで加熱する
(II)同時に、冷却された中温の作業媒体は、勾配タンク600Lから発電機の前部へと運ばれ、そこで右圧力容器200R´に再び入り(図17AのラインL6C、L7Hを参照)、これによって、高温の圧力媒体から更に熱を取り除き、TINTERMEDIATEに近い温度に戻るまで冷却する
(III)この工程は、両圧力容器200R´及び200L´の圧力媒体がTINTERMEDIATEの温度になるまで継続する
【0251】
この後工程(a)〜(d)が繰り返されるが、その方法は逆である、すなわち今度は高温の作業媒体が左圧力容器200L´を通って運ばれ、低温の作業媒体が右圧力容器200R´を通って運ばれる等である。
【0252】
勾配タンク600Rに入る加熱された中温の作業媒体の最初の部分は、勾配タンク600Rへと入る中温の作業媒体の次の部分よりも高温であり、或いは勾配タンク600Lに入る冷却された中温の作業媒体の最初の部分は、勾配タンク600Lへと入る中温の作業媒体の次の部分よりも低温であることがわかっている。
【0253】
この交差工程は多くの利点を提供するが、このうちの1つは、圧力媒体との熱伝達プロセスがより良好に行われることである。詳細には、各容器において、圧力媒体はまず温度がTINTERMEDIATEの中温の作業媒体と熱伝達プロセスを行い(工程(b)(I)及び(b)(II))、その後加熱/冷却された中温の作業媒体と追加的な熱伝達プロセスを行う(工程(c)(I)及び(c)(II))ことが特筆される。
【0254】
工程(b)(I)及び(b)(II)の間に、勾配タンク600R、600Lに含まれる中温の作業媒体は、ラインL5R、L5L及びL5を通って放熱器へと流れ、そこで外部環境との熱伝達プロセスを介して蓄積された発電機の熱が除去されうることが特筆される。
【0255】
図12Cに特に言及すると、勾配タンク600R、600Lは、加熱/冷却された中温の作業媒体の様々な部分にそれらの間で熱交換プロセスを行うのを防ぐよう構成された螺旋構造620R、620Lが形成され、これによりタンク600R、600L内で温度勾配が維持される。
【0256】
図13Aを見ると、発電機の更なる配管配置が、詳細には以下のように示されている。
−圧力容器を通った低温水を低温タンク120´へと戻す
´、L5R´、L5L´−放熱器を通過した中温水を中温タンク130´へと戻す
−中温の作業媒体を中温タンク130へと戻す
−中温水を勾配タンク600R、600Lに向かって発電機の後部に戻す
【0257】
図13Bに関し、低温タンク120´は、空気調整ユニットACのコンデンサを設置することでタンク120´内の作業媒体を冷却するよう構成された熱伝達要素124´を備えていることが見て取れる。タンク120´は、外部モータ126´によって駆動されるファン128´を更に備え、タンク120´内で均一の温度を維持するよう構成されている。
【0258】
今度は図14A〜14Dに移って、作業媒体の駆動機構と圧力容器200R´、200L´のコアについて説明する。
【0259】
先に説明した発電機1は圧力容器毎に1つのコア240のみを有していたが、ここで説明する発電機1´は圧力容器毎に6つのコア240´を有し、その各々の設計は先に説明したコア240の設計に類似していることが見て取れる。
【0260】
作業媒体を全てのコア240を通って同時に循環させるために、歯車256´と噛み合う歯車254´を駆動するよう構成されたモータ250´が設けられ、それによってコア240の各々にあるそれぞれの歯車242´と噛み合っている相互歯車259´が駆動される。歯車242´は、発電機の配管システム全体を通って作業媒体を進ませる打込みねじ(図示せず)の回転を司っている。
【0261】
加えて、コア240´が各コア240´のファン配置220´をコアの軸で回転させるよう構成された第2の駆動モータ260´が設けられている(いくつかの用途では、コアそのものでさえも、その軸で回転可能であることが特筆される)。駆動モータ260´は、相互駆動ホイール269´と噛み合うよう構成され、それはまた、ファン配置220´の歯車222´と噛み合っている。
【0262】
発電機は、発電機の後部、すなわち圧力容器200R´、200L´の他の端部に位置する駆動モータ250´、260´の追加的な配列を更に備えることが特筆される。この方法では、モータの前部配列と後部配列との間に駆動負荷が配置される。
【0263】
図14E及び14Fに特に言及すると、ここで説明する発電機に用いられる打込みねじは、ねじのピッチ角(70度)が異なる設計のものであってもよく、そうすることで作業媒体がコア240´を通って循環し、また、作業媒体がコア240´の内面に向かって押し進むことが促される。
【0264】
今度は図15A〜15Cに移ると、発電機1´のコントローラが示されており、これは一般的に700と表される。コントローラ700は、圧力容器200´を出るラインLと弁140´につながるラインLとの間に挟まるように位置している。コントローラ700の目的は、作業媒体が通る断面積を制御することによって、圧力容器200´からの流量Qを調節することである。
【0265】
図15Cに特に言及すると、コントローラ700は、ラインLと流体連通している入口孔722と、ラインLと流体連通している出口孔724が形成されたケーシング720とを備える。コントローラ700は、上部742が形成されたプランジャ740、首部744及びメインブロック746を更に備える。メインブロック746に通路748が形成され、また首部744にはばねが取り付けられており、このばねはプランジャ740を下方に付勢するようにケーシングを押す。
【0266】
こうして通路748が入口/出口孔722、744と一列に並ぶと、流路断面積が最大になる。プランジャが動いて通路748が位置ずれをおこすと、流路断面積が低減する。例えばねじ(図示せず)などの通常の手段によってばねの負荷を制御することで、発電機1´を流れる流量を調節することが可能でありうる。
【0267】
今度は図16A及び16Bに移ると、上述の発電機1´で使用される場合のアキュムレータ配置590が示されている。タンク590は、そこにつながる2つのラインL10を有し、それらは各圧力容器200´から1本ずつ出ている。加えて、アキュムレータ配置590は、発電機1´の後部から出てそこにつながるラインL11を更に有する。また、貯蔵タンクは、ユーザポート(図示せず)につながる出口ライン592を有する。先に説明したように、アキュムレータ配置590は、中に含まれる作業媒体を加熱するよう構成された加熱要素を内部に備えてもよい。
【0268】
一般的に、アキュムレータ配置590は、発電機1´によって生成される過剰エネルギーを蓄積するために用いることができる。より具体的には、発電機1´によって生成される余分なエネルギー(すなわち、ユーザに消費されないエネルギー)を、アキュムレータ配置590に含まれる作業媒体を加熱するために転用することができる。アキュムレータ配置590の加熱された作業媒体は、空気調整ユニットACによって高温タンク110´で生成される高温の作業媒体に代えて後で用いることができ、これによってACの電力消費を抑える。
【0269】
或いは、アキュムレータ配置590の作業媒体の圧力を(ライン592のエンドユーザに必要な圧力以上に)高めることも可能であり、この場合、作業媒体の沸点が高くなり、これによってアキュムレータ配置内の作業媒体がより多くのエネルギーを吸収することが可能になる。
【0270】
今度は図17A〜17Dに移ると、発電機1´の弁と配管システムが以下のように示されている。
−以下のラインへの入口/出口を有する主前方弁
−高温タンク110´からの出口パイプ
−低温タンク120´からの出口パイプ
10−アキュムレータ配置590につながる出口パイプ
L−作業媒体を圧力容器200´へと導く主コアライン
6C、L6H−作業媒体を勾配タンク600から反対の圧力容器200´へと導く交差ライン
−以下のラインへの入口/出口を有する補助前方弁
5L´、L5R´(L´から分岐)−中温の作業媒体を中温で勾配タンク600から導くライン
−中温の作業媒体を中温タンク130´へと戻す
−中温の作業媒体を発電機1´の後部へと導き圧力を供給する
−以下のラインへの入口/出口を有する主後方弁
−圧力容器200´のコアから作業媒体を導く
−高温の作業媒体を高温タンク110´へと戻す
−低温の作業媒体を低温タンク120´へと戻す
−中温の作業媒体を勾配タンク600へと導く
−中温の作業媒体を発電機1´の後部へと導き圧力を供給する
−以下のラインへの入口/出口を有する補助後方弁
−中温の作業媒体を勾配タンク600へと導く
−中温の作業媒体を勾配タンク600へと導く
6C、6H−作業媒体を勾配タンク600から反対の圧力容器200´へと導く交差ライン
【0271】
今度は図17Eに移ると、コアを通過する作業媒体の温度の概略図が、圧力容器200R´、200L´の各々について1つずつ示されている。この図は、次の部分に分けることができる。
−上述のサイクル前半の工程(a)(I)と同じ−15℃の温度THOTの高温の作業媒体がコアをt≒10秒からt=15秒まで通過する
−上述のサイクル前半の工程(b)(I)と同じ−温度がTINTERMEDIATEの中温の作業媒体がコアをt=15秒からt≒20秒まで通過する
−上述のサイクル前半の工程(d)(I)と同じ−反対の圧力容器200´の勾配タンク600からの勾配温度の冷却された中温の作業媒体がコアをt≒20秒からt≒25秒まで通過する
−圧力容器の役割が入れ替わる上述のサイクル後半の工程(a)(I)と同じ−TCOLDの低温の作業媒体がコアをt≒25秒からt≒30秒まで通過する
−上述のサイクル後半の工程(b)(I)と同じ−TINTERMEDIATEの中温の作業媒体が圧力容器200´をt≒30秒からt≒35秒まで通過する
−上述のサイクル後半の工程(d)(I)と同じ−反対の圧力容器200´の勾配タンク600からの勾配温度の加熱された中温の作業媒体が、コアをt≒35秒からt≒40秒まで通過する
【0272】
ここで発電機1´の全サイクルが完了する。なお、下のチャートは、反対の圧力容器のコアを通る作業媒体の温度を示している。このように、上記の工程は、表示(I)を(II)に変更すること、例えば工程(b)(I)の代わりに工程(b)(II)とすることで下の図に適用可能である。
【0273】
今度は図18A〜18Gに移ると、一般的に800と表される車両が示されており、ここでは一般的に1´´と表される発電機1´の改造型が用いられる。作業媒体の容器が車両800の前部Fに配置される一方、あらゆる動作の生成機構は車両800の後部Rに位置していることが見て取れる。圧力容器200´は、前部Fと後部Rとの間を接続しながら、車両のシャーシ820に沿って水平に配置されている。
【0274】
上述の発電機1´とは異なり、本発電機では、勾配タンク600が作業媒体タンク110´、120´及び130´と同じ圧力容器200´の側に位置している。
【0275】
圧力容器200´のこの配置によって、圧力容器200´の重さゆえに、車両800に更に安定性が加えられることもわかる。また、車両800は通常、発電機1´が運転しているときは動いているため、放熱器400の稼働効率は、動いている車両800と外気との間の熱伝達係数が上がることにより、著しく向上することもわかる。
【0276】
図19A〜19Fを見ると、一般的に1´´´と表される先に説明した発電機1´の改造型を備える、一般的に900と表される船舶が示されている。
【0277】
発電機1´´´には中温タンク130´が欠けていることが特筆される。これは、発電機1´´´が、その中に沈んでいる水を主な作業媒体として用いるためであり、このため、それが沈んでいる水がたまっている貯水池(湖、海、プール)がタンク130´の代わりをする。媒体を利用するため2つのラインL´が設けられ、これにより発電機が上述の媒体から発電機1´´´へと水を引き出すことが可能となる。
【0278】
今度は図20A及び20Bに移ると、圧力がないとき、及び圧力が容器に加えられているときのそれぞれの圧力容器200´のコアの断面が示されている。コアの内面は、そこに形成されたミクロ構造1100のために表面積が大きくなった内層1000と並んでいることが見て取れる。表面積の増大は、内層とコアを通過する作業媒体との間の熱伝達率の向上にとって望ましい。
【0279】
図20Cは、内部を通る螺旋240´を備える容器200´のコアを示しており、作業媒体が圧力容器200´及び発電機システム1全体を通って前進するよう構成されている。
【0280】
今度は図21A〜21Gに移ると、次の工程を含んだ内層を作るための方法が示されている。
(a)第1面Fと反対側の第2面Fとを有する一般的に平らな板1000´を設ける
(b)2つのうち1つにはミクロ構造1100形成のための対応する表面MSが形成された2つの押輪W、Wを用いて、第1面F上にミクロ構造1100を予め形成する
(c)大きさと形が板1000´と対応し、非通過の空洞Cが形成された型Mを設ける、その空洞Cは型Mの表面上に基底面と開口部とを有する
(d)第2面Fが基底面に対して一致し、第1面Fが空洞Cの開口部を向くよう空洞に板1000´を置き、第1面Fと開口部との間に空間が残るようにする
(e)ミクロ構造MSの間に形成された空間を含め、溶加材Fを空洞Cに導入して空間を充填する
(f)溶加材Fを凝固させて、板1000´及び凝固した溶加材Fで構成され、溶加材によって構成される第1面と、元の板1000´の第2面で構成される第2面Fとを有する単板を形成する
(g)圧力ブロックPBと変形鋳型Dによって単板を変形させ、単一板1000´の第2面Fがシリンダの外面を、また単一板の第1面がシリンダの内面を形成するような径Dmを有する、少なくとも部分的には円筒状の形を得る
(h)溶加材Fを単板1000´から除去し、これによって元の板1000が、その内面上に形成されるミクロ構造MSを有する
(I)ミクロ構造を有する内面に最後の仕上げを行う。
【0281】
図20Dと20Eに関し、一般的に240´´と表されるコアの他の例が示されており、その内面及びその外面の両方にそれぞれリッジ246´´及び247´´が形成される。このコア240´´は、タングステン又は他の材料(図26A、26Bを参照)で作られてもよく、その設計によってより強固なコア240´´が提供される。
【0282】
リッジ246´´、247´´は、このうち1つの頂点がもう1つの溝に相対するように、またその逆も同様になるように設計されているため、中心軸Xに沿った各々の点の厚さは概して同じ(N)であることが特筆される。
【0283】
リッジ246´´、247´´は本例のように平行でありうる、或いはその代わりに、1つの螺旋状のリッジ(糸のような)形状でありうる。後者の例の利点は製造の容易さである、すなわち、外側のリッジ247´´は旋削によって作られてもよく、また内側のリッジ246´´は、雌ねじ切りで形成されてもよい。
【0284】
今度は図22A及び22Bに移ると、一般的に2000と表される、発電機の別の例が示されており、これは、先に説明した発電機1と一般的に構造が類似しているが、主に作業媒体サブシステム2100の設計が(作業媒体サブシステム100に対して)異なっている。
【0285】
作業媒体サブシステム2100は、高温タンク2110と低温タンク2120とを備えたカスケード配置2150の形状であり、先の例のように中温の作業媒体タンクはない。
【0286】
各圧力容器2200R、2200Lには、その入口端部において、それぞれの弁2140B及び2140Aによって制御されるそれぞれの入口ライン2136R、2136Lが設けられ、その出口端部において、それぞれの弁2140D及び2140Cよって制御されるそれぞれの入口ライン2146R、2146Lが設けられている。
【0287】
高温タンク2110の出口端部は、それぞれのライン2134R、2134Lを介して弁2140B及び2140Aと接続され、高温タンク2110の入口端部は、それぞれのライン2144R、2144Lを介して弁2140D及び2140Cと接続されている。
【0288】
低温タンク2120の出口端部は、それぞれのライン2132R、2132Lを介して弁2140B及び2140Aと接続され、低温タンク2120の入口端部は、それぞれのライン2142R、2142Lを介して弁2140D及び2140Cと接続されている。
【0289】
本発電機では、(先に説明した例のように)初期状態では、圧力容器内の圧力流体は、概ね外部環境の温度である温度TENVである。ここで説明する発電機の運転サイクルの初期工程は、次のように説明されうる。
(a)高温タンク2110から高温水が出て、温度Tで圧力容器を通過し、そこに含まれる圧力流体を加熱する。この結果、圧力流体はThot>TENV(しかしThot<T)の温度に加熱され、同時に高温の作業媒体はTH−Cooled<Tの温度に冷却される
(b)低温タンク2120から低温の作業媒体が出て、T<TENVの温度で圧力容器を通過し、そこに含まれる加熱された圧力流体を冷却する。この結果、圧力流体はThotの温度からTcold>Tの温度に冷却され、同時に低温水をTC−Heated>Tに加熱する。
【0290】
この後工程(a)と(b)は繰り返されるが、今度は圧力流体が温度ThotとTcoldとの間で絶えず変動する点が異なる。
【0291】
工程(a)が行われると同時に、今ではTC−Heated>Tの温度に加熱された低温の作業媒体は、TENV<TC−Heatedの温度である外部環境と熱交換プロセスを行うことによって冷却される。このプロセスは、放熱器ユニット2400によって制御される(図22A、22Bに図示)。加えて、工程(b)が行われると同時に、今ではTH−Cooled<Tの温度に冷却された高温の作業媒体は、A/Cシステムによって加熱され、温度をTに戻す。
【0292】
1つの圧力容器(例えば容器2200R)で工程(a)が起こる一方、第2の圧力容器2200Lでは工程(b)が起こることがわかっている。このように、圧力容器は交互に機能し続ける、すなわち、一方の圧力容器の圧力流体が加熱される間に、他方の圧力流体は冷却され、その逆もまた同様である。
【0293】
今度は図23A〜23Fに移ると、作業媒体サブシステム2100の設計の主な相違は、高温/低温タンクをA/Cのそれぞれのコンデンサ/蒸発器部に設けるため先に用いられたA/Cが、ここでは、いくつかの段階G〜Gを有するカスケード配置2150に置き換えられていることであり、その段階の各々は、これから説明するように基本的なA/Cの圧縮/膨張機構として稼働する。この配置は、カスケード2150が低温タンク2120のための「低温」をもたらす第1端部段階Gと、高温タンク2110のための熱をもたらす第2端部段階Gとを有する配置である。
【0294】
段階G(n)の各々は、コンプレッサC(n)と、コンデンサ部2152(n)と、膨張弁2154(n)と、蒸発器部2156(n)と、コンプレッサC(n)への戻りパイプ2158(n)とを備え、ここでの(n)は段階Gの数を表す。
【0295】
〜Gの各段階は、圧縮可能な流体(気体または液体)を備え、それぞれのコンデンサ部2152(n)での高温の流体温度TH(n)と、それぞれの蒸発器部2156(n)での低温TC(n)との間で稼働するよう設計されている。
【0296】
この配置では、1つの段階G(n)のコンデンサ部2152(n)及びその次の段階G(n+1)の蒸発器部2156(n)は、熱交換プロセスを提供するため、熱的に連結されている。具体的には、この配置は同心の管からなり、コンデンサ部2152(n)は内管によって、蒸発器部2156(n)は外管によって構成される。
【0297】
この配置では、1つの段階G(n)からの圧縮された流体が内管の中を流れ、外管の内面と内管の外面との間を流れる次の段階G(n+1)からの膨張した流体と熱交換プロセスを行う(図23Eを参照)。
【0298】
カスケード配置2150は、1つの段階G(n)の蒸発器部2156(n)の流体の温度TC(n)が次の段階G(n+1)を流れる流体の凝縮温度よりも低く、必然的にその段階G(n+1)のコンデンサ部2152(n+1)の流体温度TH(n+1)よりも低いように設計される。その結果、1つの段階G(n)の膨張した流体がその次の段階G(n+1)の圧縮した流体から熱を受け取る熱交換プロセスが発生する。
【0299】
しかしながら、次の段階G(n+1)の冷却された流体の温度TC(n+1)がわかっている。
【0300】
C(n)、TH(n)及びTCONDの温度の一例を以下に示す。
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0301】
実際には、第1段階Gの蒸発器部2156は、低温タンク2120内に沈みこんでいて低温水を約3℃の温度にし、第7段階のコンデンサ部2152は、高温タンク2110内に沈みこんでいて高温水を約242℃の温度にする。高温/低温タンク2110、2120の高温/低温は、それぞれコンデンサ/蒸発器部2152、2156の温度に決して到達することはなく、それぞれ常にわずかに低い/高いことがわかっている。
【0302】
図22A及び22Bから、発電機2000には、圧力容器2200のコアを駆動するよう構成された前部駆動モータ2250F及び後部駆動モータ2250Rがそれぞれに取り付けられ、また、発電機2000内で作業媒体を循環させるための螺旋を駆動するよう構成された前部駆動モータ2260F及び後部駆動モータ2260Rが取り付けられていることが見て取れる。
【0303】
同じ要素を駆動させるために前部モータと後部モータを使用することにより、高圧の環境内に位置する回転要素(コア又は螺旋)に働く負荷を低くすることが促進される。1つのモータのみを用いる場合、コア及び/又は螺旋は圧力容器内で曲がりやすくなり、システムの機械的完全性に損傷を与える場合がある。
【0304】
図22Dに戻ると、圧力容器2200R、2200Lから低温タンク2120へとつながるライン2146R、2146Lに沿って位置する放熱器ユニット2400が示されている。放熱器ユニット2400の目的は、これらのラインを流れる加熱された(TC−Heatedの温度の)低温水と、外部環境の空気との間の熱交換プロセスを提供することである。
【0305】
放熱器ユニットには、ファン(図示せず)、及びファンの運転を調整するよう構成された制御ユニット(図示せず)が取り付けられており、これによって放熱器を出る低温水の温度は基本的に一定さを保つ。例えば、TC−Heatedが約50℃であれば、第1段階Gが効率的に働くためには、この温度を約20℃に下げることが必要である。このように、制御ユニットは、放熱器を出る低温水を約20℃の温度に維持するために用いられる。
【0306】
制御ユニットは、放熱器から出る低温水のライン2149と関連し、その温度を測定するよう構成されたセンサを備えうる。この温度が所定の温度(この特定の例では20℃)を超えると、制御ユニットは、放熱器ユニット2400内での熱交換率を向上させるため、ファンの回転をより速くする。或いは、この温度が所定の温度(この特定の例では20℃)より低くなると、制御ユニットは、放熱器ユニット2400内での熱交換率を下げるため、ファンの回転をより遅くする。
【0307】
今度は図24A〜24Dに移ると、一般的に2150´と表され、その運転モードを外部の環境温度に合わせて調整するよう構成されたカスケード配置の他の例が示されている。
【0308】
ここで説明するカスケード配置2150´と、図23A〜23Fに関して先に説明したカスケード配置2150との間の違いは、第1段階G及び第2段階Gの設計、特にこれらに関連するバイパス配置2170にある。
【0309】
一般的には、様々な時に、周囲の環境温度が第2段階Gのコンデンサ部2152の圧縮された流体の温度を超えると、それはある程度上昇することがある。このような場合、これらの間で熱交換プロセスを行った後に放熱器ユニットから出る低温水もまた、第2段階Gのコンデンサ部2152の圧縮された流体の温度を超える温度になる。
【0310】
結果として、第1段階Gの蒸発器部2156は、極めて高温の環境に浸されることになる。各段階には所定電力のコンプレッサが取り付けられ、所定の温度差Δ用に設計されているため、コンプレッサCでは、第1段階Gの稼働を非効率的にするほど多くの熱を蒸発器部2156から除去することは到底できない。
【0311】
このことを克服するため、第1段階Gを迂回し、低温タンク2120を第2段階Gの蒸発器と接続するよう構成されたバイパス配置2170が用いられる。
【0312】
具体的には、バイパス配置2170は、第2段階Gの蒸発器部及び第2段階のコンプレッサCとそれぞれ関連する2つの弁2172、2172を備える。バイパス配置2170は、低温タンク2120へと導くチューブ形状の蒸発器部2176へと導く膨張弁2174と、低温タンク2120から出る出口ライン2178とを有する。
【0313】
通常の運転モードでは、外部環境の温度が第2段階Gの圧縮された流体の温度よりも低いとき、ポートAとBが開かれ、ポートAとBが閉じられ、カスケード配置2150がカスケード配置2150と同じ方法で稼働する。
【0314】
外部環境の気温が第2段階Gの圧縮された流体の温度を超えて上昇すると、ポートAとBが閉じられ、ポートAとBが開かれ、以下のことを可能にする。
【0315】
第2段階Gのコンデンサ部2152から出た圧縮流体は、流体を膨張させて冷却する膨張弁2174へと運ばれる。膨張弁2174を通過した後、膨張した流体は、ライン2176に沿って低温タンク2120へと進み、そこで水を冷却し、コンプレッサCへと導くライン2178を通って(わずかに加熱されて)放出される。
【0316】
通常の運転モードでは、低温タンク2120と高温タンク2110との間の温度差は約240℃(第1段階の蒸発器2156の0℃によりもたらされる3℃と、第7段階のコンデンサ2152の242℃によりもたらされる242℃との間)であった一方、今の温度差は、第2段階の蒸発器2156の27℃によりもたらされる30℃と、第7段階のコンデンサ2152の242℃によりもたらされる242℃との間の約210℃であることがわかっている。
【0317】
換言すれば、カスケード配置2150´の全体の温度差を低減する一方、プロセスからカスケード配置2150´の第1段階G1の稼働を除去することにより、効率は概して同じままである。
【0318】
図25A及び25Bを見ると、一般的に2150´´と表されるカスケード配置の別の例が示されており、この配置は、先に説明したカスケード配置2150と類似しているが、各段階の熱交換器における流体の流れが(先に説明した例では平行な流れであるのに対し)逆方向である点で相違している。
【0319】
具体的には、第1段階Gの圧縮された流体は、それぞれのコンデンサ部2152´´を一方向に流れ、その一方で第2段階Gの膨張した流体は、それぞれの蒸発器部2156´´を逆方向に流れる。よく知られているように、向流熱交換器は熱交換器の効率をより高め、その結果、カスケード配置2150´´のより効率的な稼働が可能となる。
【0320】
カスケード配置2150´´の本例は、カスケード配置2150´の先の例にあったようなバイパス配置2170(図24A〜24D参照)の無い状態で示されているが、このようなバイパス配置2170は、ここで説明するカスケード配置2150´´に取り付けられうることも特筆される。
【0321】
今度は図27A〜27Eに移ると、一般的に3000と表される発電機のなお別の例が示されている。一般的に、発電機3000の構造は、先に説明した発電機の構造と概ね類似しているが、次の相違点を有する。
複数の圧力容器−発電機の各側(左/右)に4つの圧力容器が備えられ、その各々の構造は、先の例に関して説明した圧力容器の構造と類似している
直線状のコア接続−各容器は6つのコアを備えるが、先の例とは対照的に、これらのコアは、作業媒体の流路を長く(先に開示した平行接続と比べて6倍の長さに)形成するよう、互いに直線状に接続される
直線状の容器接続(作業媒体)−各側の4つの圧力容器のコアは、作業媒体の流路を更に長く形成するよう、互いに直線状に接続される
直線状の容器接続(圧力媒体)−各側の4つの圧力容器の高圧の媒体を含む区画も、高圧接続によって互いに流体連通され、これによって長い圧力媒体の流路を形成する
外部の低温タンク−A/Cユニットの蒸発器で構成される低温タンクは、外部環境にさらされており、その中を通っての作業媒体の循環には用いられない。
【0322】
運転時には、発電機の1つの側の全サイクルは、次の工程を含みうる(反対側は、タイミングが異なるのみで、同じ工程を経るものと考える)。
a)高温の作業媒体がA/Cユニットのコンデンサ端部から24のコア(4つの圧力容器それぞれに6つのコア)の長さに沿って運ばれ、これによって圧力媒体の温度をその最高動作温度に上げ、同時により低い温度に冷却される
b)冷却された高温の作業媒体は、4つめの圧力容器の最後のコアを出て、内部に残ったままの熱の少なくとも余分な部分をそこから放出するために放熱器を通過した後、A/Cユニットのコンデンサ端部へと戻される
c)室温である中温の作業媒体は、中温タンクから4つの圧力容器の24のコアすべてを通過し、これによって圧力媒体の温度を最高動作温度を下回る温度に下げ、同時により高い温度に加熱される
d)中温の作業媒体は、最後のコアから勾配タンクへと流れてそこで蓄積されるため、勾配タンクに入る中温の作業媒体の最初の部分の温度が最も高く、勾配タンクに入る最後の部分の温度は最も低い
e)室温である中温の作業媒体は、中温タンクから4つの圧力容器の24のコアすべてを通過し、これによって圧力媒体の温度を最低動作温度に更に下げ、同時により高い温度に加熱される
f)中温の作業媒体は、最後のコアを出て、いかなる余分な熱をも外部環境に放出するために放熱器を通過しながら、中温の作業タンクへと戻る
g)加熱された中温の作業媒体は、勾配タンクから4つの圧力容器のコアを通過し、これによって圧力媒体を最低動作温度を上回る温度に徐々に加熱するが、温度はそれでもなお最高動作温度を下回る。段階的な加熱は、勾配タンクに入る(最も低い温度でもある)最後の部分がまず最初にコアを流れるLIFO配置を用いることによって達成される
h)中温の作業媒体は、最後のコアを出て、いかなる余分な熱をも外部環境に放出するために放熱器ユニットを通過しながら、中温タンクへと流れる
I)工程(a)から繰り返し。
【0323】
詳細には、工程(a)及び(b)並びに(e)及び(f)は第1期の間継続することができ、工程(c)及び(d)並びに(g)及び(h)は、第1期よりも長い第2期の間継続することができる。具体的には、第2期は第1期の長さの2倍であってもよい。特別な一例では、第1期の長さは約5秒であってもよく、第2期の長さは約10秒であってもよい。
【0324】
図28A及び28Bに特に言及すると、工程は以下のように行われる。
工程(a)と(b):高温の作業媒体が高温タンクから弁Eへと流れる:E2を経由して入り、EとラインLを経由して出る⇒ラインLB2を弁Bへ:B2を経由して入り、BとラインLRを経由して出る⇒ラインLRを経由してコアを出て、弁Dへ:Dを経由して入り、D3とラインLD3を経由して出る⇒ラインLを弁Fへ:Fを経由して入り、F1及びラインLF1を経由して出て高温水タンクへと戻る。
工程(c)と(d):中温の作業媒体が中温タンクからラインLを経由して弁Bへと流れる:B3を経由して入り、BとラインLRを経由して出る⇒ラインLRを経由してコアを出て弁Dへ:Dを経由して入り、D1とラインLD1を経由して出る⇒ラインLを弁Hへ:H1を経由して入り、Hを経由して出て勾配タンクへと入る。予め勾配タンクに蓄積された水は、ラインL図27Aに図示)と放熱器3400を通って押し流され、中温タンクへと戻る。
工程(e)と(f):中温の作業媒体が中温タンクからラインLを経由して弁Bへと流れる:B3を経由して入り、BとラインLRを経由して出る⇒ラインLRを経由してコアを出て弁Dへ:Dを経由して入り、D2とラインLD2を経由して出る⇒ラインLを放熱器ユニット3400へと流れ、中温タンクへと戻る。
工程(g)と(h):中温の作業媒体が勾配タンクから弁Hへと流れる:Hを経由して入り、H2とラインLB1を経由して出て弁Bへ:B1を経由して入り、BとLRを経由して出る⇒ラインLRを経由してコアを出て弁Dへ:Dを経由して入り、D2とラインLD2を経由して出る⇒ラインLを放熱器ユニット3400へと流れ、中温タンクへと戻る。
【0325】
弁Aは弁Bと同じ働きをし、弁Cは弁Dと同じ働きをし、弁Gは弁Hと同じ働きをすることがわかっている。弁E及び弁Fの働きは同じではなく、それぞれ別のタンクを、すなわち弁Eは高温の作業媒体タンクを、弁Fは中温の作業媒体タンクを担う。
【0326】
図29A〜29Cに言及すると、発電機3000は4つの圧力容器3200を備え、その各々は6つのコアCからCまでを備えることが見て取れる。また、単一の流路を形成するよう、コアは相互に接続されていることも特筆される。詳細には、コアは以下のように接続されている。
−圧力容器3200の前方端部では、コネクタCC1−2を介してコアCとCが流体連通し、コネクタCC3−4を介してコアCとCが流体連通し、コネクタCC5−6を介してコアCとCが流体連通している
−圧力容器3200の後方端部では、コアは逆に接続されている。すなわち、コネクタCC2−3を介してコアCとCが流体連通し、コネクタCC4−5を介してコアCとCが流体連通し、コネクタCC6−1を介してコアCとCが流体連通している(図30Aに図示)。
【0327】
今度は図30A〜30Cに移ると、中間に供給部を有する発電機3000、すなわち、先に説明した例でのように第1の圧力容器3000の前部ではなく、2つの並んだ圧力容器3200の間の領域で作業媒体が圧力容器に入る発電機3000が示されている。4つのコア3200〜3200IVのすべてが、パイプW1−2、W2−3及びW3−4を介して相互に接続していることも見て取れる。
【0328】
詳細には、ラインLRIは、第1の圧力容器3200の第1のコアCと接続している。その結果、作業媒体の流路は次のようになる。
−第1の圧力容器3200の第1のコアC1に入り、その圧力容器のすべてのコアCからCを通過し、第6のコアCを出てコネクタ管W1−2へ入る
−第2の圧力容器3200IIの第1のコアC1に入り、その圧力容器のすべてのコアCからCを通過し、第6のコアCを出てコネクタ管W2−3へ入る
−第3の圧力容器3200IIIの第1のコアCに入り、その圧力容器のすべてのコアCからCを通過し、第6のコアCを出てコネクタ管W3−4へ入る
−第4の圧力容器3200IVの第1のコアCに入り、圧力容器のすべてのコアCからCを通過し、第6のコアCを出てラインLROに入る。
【0329】
上述の配置では、圧力容器3200〜3200IVの24のコアすべてが、長い流路を形成しながら、互いに流体連通している。
【0330】
今度は図31A及び31Bに移ると、圧力容器3200〜3200IVも互いに流体連通している、すなわち、各容器の中の圧力流体は他の容器の圧力流体と流体連通していることが見て取れる。流体連通は、高圧のコネクタP1−2、P2−3及びP4−1により提供される。4つの圧力容器のうち1つには、出口高圧コネクタPENDが取り付けられており、ここを通って高圧の媒体がピストンユニット3270R、3270Lにもたらされる。
【0331】
今度は図32A及び32Bに移ると、2つの勾配タンク3600L、3600Rを備える発電機3000が示され、これらのタンクはそれぞれ、適切な配管を介して圧力容器3200と流体連通している。詳細には、各勾配タンク3600R、3600Lには、上記の工程(c)及び(d)に関して先に説明したように、勾配タンク3600R、3600Lに加熱/冷却された作業媒体を供給するよう構成された、対応する弁H、Gがそれぞれ取り付けられている。
【0332】
各勾配タンク3600L、3600Rの構造は、先に説明した勾配タンク600、1600及び2600と概ね類似している。詳細には、タンクには、勾配タンクに入っていく作業媒体の連続する各部分の間の温度差を維持するよう構成されたフローラビリンス3610が形成されている。
【0333】
加えて、各勾配タンク3600R、3600Lは、その上部において、弁H及びGを経由して作業媒体が勾配タンクに入るときに勾配タンク内に含まれる媒体を押し出すよう構成された経路LGOと接続されていることが見て取れる。
【0334】
図33A及び33Bに関して、一般的に3900と表される、上述の発電機によって生成されるエネルギーのいくらかを蓄積するよう構成されたアキュムレータ配置が開示されている。アキュムレータ配置3900は、貯蔵媒体(図示せず)を含んだケーシング3910を備え、この貯蔵媒体は、ケーシング3910内に位置する加熱要素3920によって加熱されるよう構成されている。具体的には、加熱要素3920は、発電機3000によって生成される電力のうち幾らかを用いて運転され、貯蔵媒体を加熱する。
【0335】
この結果、所要の時間全体にわたって、ケーシング3910内の貯蔵媒体は、高温タンク3110内の高温の作業媒体と類似の温度に徐々に加熱される。そうした温度に達すると、発電機3000の弁A〜Gが選択的に切り換えられ、高温タンク3110からの高温の作業媒体の代わりに、ケーシング3910からの高温の貯蔵媒体が発電機3000を循環し、これが補助運転モードを画定する。
【0336】
詳細には、この配置では、補助モードにおいて、工程(a)と(b)が以下のように実行される。
工程(a)と(b):高温の貯蔵媒体がアキュムレータ配置3900のケーシング3910の出口GBOUTから弁Eへと流れる:E1を経由して入り、EとラインLを経由して出る⇒ラインLB2を弁Bへ:B2を経由して入り、BとラインLRを経由して出る⇒ラインLRを経由してコアを出て、弁Dへ:Dを経由して入り、D3とラインLD3を経由して出る⇒ラインLを弁Fへ:Fを経由して入り、F1とラインLF1を経由して出て、GBINを通ってケーシング3910へと戻る。
【0337】
発電機3000が補助モードで運転する間、高温タンク3110は上述の配管によって迂回されるため、発電機3000の運転に関与しないことがわかっている。これにより、A/Cユニットを一時停止させることで、発電機3000の全体的な電力消費を低減させることができる。
【0338】
図34を見ると、A/Cユニットは、コンデンサ端部3112と、蒸発器端部3122と、コンプレッサ配置CPと、膨張弁配置EVとを有する作業媒体サブシステム3100の形状である。蒸発器端部3122は、外部環境にさらされているため、外部環境と熱的に接続し、そこから熱を吸収する。コンデンサ端部3112は、高温の作業媒体(図示せず)を含んだ高温タンク3110を構成するハウジング内に位置している。
【0339】
コンプレッサ配置CPと膨張弁配置EVは、コンデンサ端部3112と蒸発器端部3122の両方と流体連通しており、搬送媒体(図示せず)がコンプレッサ配置CPによって圧縮され、コンデンサ端部3112を通過して膨張弁配置EVによって膨張し、蒸発器端部3122へと入る標準的な冷却サイクルを作り出すよう稼働する。
【0340】
コンプレッサ配置CPは4つのコンプレッサ(CP〜CP)を備え、また、膨張弁配置EVはそれらに対応する4つの膨張弁(EV〜EV)を備え、4つの作業対CP−EV、CP−EV、CP−EV及びCP−EVを形成していることが見て取れる。各コンプレッサCP〜CPの電力消費は異なっており、これらが提供する圧縮率は異なり、膨張弁EV〜EVはそれぞれ、異なる膨張度を提供するよう構成されている。
【0341】
この配置では、作業媒体サブシステム3100が一度に少なくとも1つの対によって稼働され、この対は、高温タンクと冷温タンクとの間の所要の温度差に応じて、及び外部環境の温度に応じて選択されるようになっている。
【0342】
CP−EVの対は、特定の日/年の時間の間、運転するよう構成されてもよい。より具体的には、1つの対は夏の日中に、別の対は夏の夜の間に、3つ目の対は冬の日中に、4つ目の対は冬の夜の間に運転するよう構成され、発電機3000の運転をより効果的にしてもよい。
【0343】
加えて、上述の配置は、4つのコンプレッサの1つが正常に機能しないとき、少なくとも3つの予備コンプレッサを提供する。例えば、夏の夜用のコンプレッサが機能不良を起こした場合、夏の夜用のコンプレッサを修理する間、冬の日中用のコンプレッサを用いることができる。
【0344】
今度は図35A〜35Eに移ると、一般的に3300と表される、先に説明した電力アセンブリ300に代わる直線状の歯車機構が示されている。この直線状の歯車3300はハウジング3310を備え、ハウジング内部では、ラック3320が、歯車機構3300のピニオン配置3340R、3340Lと係合するよう構成されている。
【0345】
各端部3310R、3310Lには、対応する開口部3312R、3312Lがそれぞれ形成され、圧力容器3200R、3200Lに含まれる圧力媒体の圧力変化のため、発電機300の運転中にハウジング3310に注入され又はそこから抽出される補助作業媒体と流体連通している。その結果、圧力が交互に変化する中で、ラック3320はハウジング3310の第1端部3310Rと第2端部3310Lとの間で往復運動することになる。
【0346】
ラック3320のねじ部3324が、ピニオン配置3340R、3340Lのピニオン3348R、3348Lと係合するため、ハウジング3310内でのラック3320の往復運動によってピニオン3348R、3348Lは自軸を中心に必然的に回転することになり、これによって直線的な動きは回転的な動きへと変換して、最終的に駆動シャフト3332に転送される。
【0347】
ピニオン3348R、3348Lを担持するシャフト3342L、3342Rの各々は、その両端部で軸受3345L、3345Rとも嵌合し、これによってピニオン3348R、3348Lの回転を一方向のみにしていることが見て取れる。具体的には、図35Cに特に言及すると、ラック3320が左に動くとき、ピニオン3348Rが取り付けられているシャフト3342Rは自軸を中心に回転し、その結果、ピニオン3348Rが回転する。しかし、同時に、ピニオン3348Lが取り付けられているシャフト3342Lも自軸を中心に回転するが、軸受3345Lがあるため、ピニオン3348L自体は静止したままである。同様に、ラック3320が逆方向に動く間、ピニオン3348Lは回転し、一方でピニオン3348Rは静止したままである。
【0348】
シャフト3342L、3342Rを安定させるため、しかし、ラック3320が動く間にそれらのシャフトを自由に回転させるため、追加の軸受3344L、3344Rがシャフト3342L、3342Rの各々に取り付けられる。
【0349】
このように、両ピニオン3348R、3348Lが発電機シャフトの歯車3338とかみ合っているため、ラック3320が2つの方向のうちいずれの方向に動いても、歯車3338は必然的に回転し、その結果シャフト3332が回転する。シャフト3332の回転は、既知の任意の方法で電気に変換することができる。
【0350】
加えて、ハウジング内での往復運動の際にラック3320を安定させるため、歯車機構3300は、2つの分界ローラ(delImItIng roller)3350R、3350Lを備え、その各々はそれぞれのピニオン配置3340L、3340Rの前部にそれぞれ位置している。ローラ3350R、3350Lはラックを係合するよう構成されているため、その動きを軸方向にのみ限定する。
【0351】
分界ローラ3350R、3350Lの各々はそれぞれシャフト3352R、3352Lを備え、シャフト上にはローラ部材3356R、3356Lが取り付けられている。加えて、シャフト3352R、3352Lの各端部はそれぞれ、ピニオン配置3340R、3340Lの軸受3344L、3344Rと類似の軸受3354R、3354Lと嵌合している。組立てられると、ローラ部材3356R、3356Lはラック3320の非ねじ部3322と係合し、自軸を中心とする動きのみが可能となる。
【0352】
ラック3320がすでに往復運動を停止していても、慣性により駆動シャフトを自由に回転させるため、駆動シャフト3332自体にも軸受3335が備えられていることも特筆される。
【0353】
直線状の歯車アセンブリ3300のラックとピニオン配置によって、以下のいくつかの重要な利点がもたらされることがわかっている。
−一方向へのストロークの長さが逆方向へのストロークの長さと同じでなくとも、ラック3320の移動によって、駆動シャフト3332は必然的に回転する
−駆動シャフト3332の軸受3335によって、ラック3320が一方向に1回ストロークし、ラックがその方向への動きを終えた後、駆動シャフトは更に回転し続け、これによってラックの動きの範囲内においてでさえ電力を追加的に生成させる
−直線状の歯車機構3300は、その構造が単純であり、かつ単一のラック3320を用いるため、先に説明した電力アセンブリよりも正確である
−先に説明した電力アセンブリよりも伝導率が非常に高い。
【0354】
今度は図36A〜36Dに移ると、一般的に4000と表される発電機のなお他の例が示されている。発電機4000は、基本的には先に説明した発電機3000と類似しているが、以下の諸点を含めいくつかの点が相違している。
−(8つではなく)2つの圧力容器4200R、4200Lのみを備え、各々は圧力容器3200よりも長い
−前方の供給部と後方の出口で運転する、すなわち、作業媒体は圧力容器4200R、4200Lにその前方端部から入り、その後方端部で出る
−ポンプによって発電機内で作業媒体を進める
−2つの運転モードを有するよう構成された混合弁4140R、4140Lを備える
−2つの区画に分割され、その間で稼働するヒートポンプを有するアキュムレータ配置4900を備える
−その歯車機構4300は、通常の歯車に代えて、ローラ歯車を備える。
【0355】
図36Aに関し、発電機4000は、作業媒体サブシステム4100と、圧力容器4200と、発電機アセンブリ4300と、放熱器4400と、勾配タンク4600L、4600Rと、アキュムレータ配置4900とを備えることが見て取れる。
【0356】
今度は図37A〜37Dに移ると、発電機4000は4つのコア分配配置4140L、4140R(それぞれ2つずつ)を備え、各圧力容器4200は、そのそれぞれの端部で、コア分配配置4140L、4140Rと嵌合している。各圧力容器4200L、4200Rは5つのコア4220を備え、弁4140L、4140Rの各々は、5つの分配ライン(例えば、図37Bに示すような左圧力容器4200Lの前方端部用のLA6〜LA10及びそれらに対応する5つの制御弁(例えばA〜A10)を介してコア4220と接続していることが特筆される。
【0357】
各圧力容器4200L、4200Rのコア4220は、コネクタ(例えば、図37Bに示すような左圧力容器4200Lの前方端部用のLAC7−8及びLAC9−10並びに左圧力容器4200Lの後方端部用のLDC8−9及びLDC10−6)を介して単一の流路を形成するために相互に接続されていることも特筆される。
【0358】
分配配置4140L、4140R及び制御弁は、コア4220を通る流れについて平行/直線状を選択できるよう設計されている。換言すれば、コア4200は、平行に、すなわちすべてのコア4220を通過する作業媒体の流れを圧力容器4200の一方の端部から他方の端部へと一方向に操作することができ、或いはまた、単一の(かつかなり長い)作業媒体の進行流路を形成することもできる。
【0359】
発電機4000の運転に関して明らかになるように、その運転の特定の段階では平行に流れる形状を用い、その一方で他の段階では直線状に流れる形状を用いることは有益でありうる。
【0360】
図37A〜37Dに関して、発電機の運転の様々な段階をこれより説明する。工程は、右圧力容器4200R内の圧力媒体がその最大温度(例えば42.5℃)に達し、その一方で左圧力容器4200L内の圧力媒体がその最低温度(例えば7.5℃)に達している圧力容器4200L、4200Rの初期状態から開始され、以下のとおり説明される。右圧力容器4200Rに関して、工程を以下に説明するが、同じ工程は左圧力容器4200Lにも段階をずらして適用されるものと理解される。
高温のエネルギーの吸収及び蓄積:中温の作業媒体(例えば25℃)は、中温タンクからラインLIIを経由して弁Bへ流れる:B2を経由して入り、Bを経由して出てポンプ4150Rへと入り、そこを通って分配配置4140Rへと向かいラインLB6へ⇒すべてのコアを(直線状に流れる形状で)通過する⇒ラインLC10経由でコアを出て弁Cへ:Cを経由して入り、C1とラインLC1を経由して出る⇒弁Gへ:G2を経由して勾配タンクへと入る。先に勾配タンクに蓄積された水は、ラインLHGL図37Dに図示)を通って押し出され、放熱器4400を通って中温タンク4130へと戻る。この時点で、勾配タンク4600Rにある中温の作業媒体の最も高温の部分(タンク上部)は、約40℃であってもよく、勾配タンク4600Rにある中温の作業媒体の最も低温の部分(タンク下部)は、約27.5℃であってもよい。圧力媒体の温度は、この時点で約30℃であってもよい。
高温のエネルギーの回収:中温の作業媒体は、勾配タンク4600Rから弁Gへ流れる:Gを経由して入り、G1とラインLG1(LA1)を経由して出て弁Aへ:A1を経由して入り、Aを経由して出てポンプ4150Lへ入り、そこを通って分配配置4140Lへと向かいラインLA6へ⇒すべてのコアを(直線状に流れる形状で)通過する⇒ラインLD10経由でコアを出て弁Dへ:Dを経由して入り、D2とラインLD2を経由して出る⇒放熱器ユニットへと入り、勾配タンク4600Lへと戻る。この工程の間、右勾配タンク4600Rにある作業媒体は、左圧力容器4200Lにある圧力媒体を次第に加熱し、その一方で左勾配タンク4600Lにある(約22.5℃〜10℃の範囲の)中温の作業媒体は、右圧力容器4200Rにある圧力媒体を約15℃に徐々に冷却する。
大幅な冷却:低温の作業媒体(例えば0℃)は、低温タンクからラインLCIを経由して弁Bへと流れる:B4を経由して入り、Bを経由して出てポンプ4150Rへ入り、そこを通って分配配置4140Rへと向かいラインLB6へ⇒すべてのコアを同時に(平行に流れる形状で)通過する⇒すべてのラインLC6−10経由でコアを出て弁Cへ:Cを経由して入り、C3とラインLC3を経由して出る⇒低温タンク4120へと戻る、その際、放熱器4400を(部分的にでも)通過させてもよい。これによって、右圧力容器4200Rの圧力媒体の温度を約7.5℃に下げることができる。
低温のエネルギーの吸収及び蓄積:中温の作業媒体(例えば25℃)は、中温タンクからラインLIIを経由して弁Bへ流れる:B2を経由して入り、Bを経由して出てポンプ4150Rへと入り、そこを通って分配配置4140Rへと向かいラインLB6へ⇒すべてのコアを(直線状に流れる形状で)通過する⇒ラインLC10経由でコアを出て弁Cへ:Cを経由して入り、C1とラインLC1を経由して出る⇒弁Gへ:G2を経由して勾配タンクへと入る。予め勾配タンクに蓄積された水は、ラインLHGL図37Cに図示)を通って押し出され、放熱器4400を通って中温タンク4130へと戻る。この時点で、勾配タンク4600Rにある中温の作業媒体の最も低温の部分(タンク上部)は、約10℃であってもよく、勾配タンク4600Rにある中温の作業媒体の最も高温の部分(タンク下部)は、約22.5℃であってもよい。圧力媒体の温度は、この時点で約20℃であってもよい。
低温のエネルギーの回収:中温の作業媒体は、勾配タンク4600Rから弁Gへと流れる:Gを経由して入り、G1とラインLG1(LA1)を経由して出て弁Aへ:A1を経由して入り、Aを経由して出てポンプ4150Lへ入り、そこを通って分配配置4140Lへと向かいラインLA6へ⇒すべてのコアを(直線状に流れる形状で)通過する⇒ラインLD6−10経由でコアを出て弁Dへ:Dを経由して入り、D2とラインLD2を経由して出る⇒ラインLIOを放熱器ユニットへと入り、勾配タンク4600Lへと戻る。この工程の間、左勾配タンク4600Lにある作業媒体は、右圧力容器4200Rにある圧力媒体を次第に35℃に加熱し、その一方で右勾配タンク4600Rにある(約22.5℃〜10℃の範囲の)中温の作業媒体は、左圧力容器4200Lにある圧力媒体を約15℃に徐々に冷却する。
大幅な加熱:高温の作業媒体(例えば50℃)は、高温タンク4110からラインLHIを経由して弁Bへと流れる:B3を経由して入り、Bを経由して出てポンプ4150Rへ入り、そこを通って分配配置4140Rへと向かいラインLB6へ⇒すべてのコアを同時に(平行に流れる形状で)通過する⇒ラインLC10経由でコアを出て弁Cへ:Cを経由して入り、C4とラインLC4を経由して出る⇒高温タンク4110へと戻る、その際、放熱器4400を(部分的にでも)通過させてもよい。これによって、右圧力容器4200Rの圧力媒体の温度を約42.5℃に上げることができる。
【0361】
上述の6つの工程の各々を所定の時間、例えば5秒間続けてもよい。しかし、他の配置では、各工程の継続時間が異なることが有益であることもある。
【0362】
発電機の運転を制御するため、以下のうちいずれか1つをモニタするよう構成されたコントローラを備えてもよい。
−発電機4000の配管を流れる割合
−弁の動作モード(開/閉、平行/直線状の形状など)
−各工程の継続時間。
【0363】
図38に関して、発電機4000は、発電機3000に関して先に説明したものと類似の圧力システムを備える。各圧力容器4200L、4200Rには、作業ピストン4270L、4270R、及び補償ピストン4280L、4280Rがそれぞれ取り付けられている。各作業ピストン4270L、4270Rは、ライン4274L、4274Rを介して歯車機構4300のハウジングに設置されており、このようにして最終的にその内部でラック4320(図47に図示)の往復運動を発生させる。
【0364】
図39に移ると、ヒートポンプの形状である作業媒体サブシステム4100が示されており、このシステムは先に説明したサブシステム3100と概ね類似しているが、このシステムでは4つの異なるコンプレッサを用いず、むしろ圧縮率と電力消費を変更して運転可能なスクリュー圧縮機を1つのみ用い、このようにして環境条件に合わせてその運転を調節できる点で、先に説明したシステムとは異なっている。
【0365】
図40A〜40Dに移ると、発電機4200は、先に説明したアキュムレータ配置3900とその目的において類似しているアキュムレータ配置4900を更に備える。しかし、アキュムレータ配置4900は、高温の区画4910と低温の区画4910とを備え、補助ヒートポンプ4930に接続され、そのポンプのコンデンサ端部4932は第1区画4910に位置し、蒸発器端部4934は第1区画4910に位置していることが見て取れる。
【0366】
詳細には、各区画4910、4910はそれぞれ入口GHI、GCI及び出口GHO、GCOを有し、これらに対応する入口ライン及び出口ラインLGHI、LGCI、LGHO、LGCOがそれぞれ設置されている。出口GHOは、区画4910の上端部に位置し、その一方で入口GHIは区画4910の下端部に位置していることが見て取れる。逆に、出口GCOは区画4910の下端部に位置し、その一方で入口GCIは区画4910の上端部に位置している。
【0367】
上述の配置により、高温区画4910の高温領域に高温の作業媒体を引き出し、高温区画4910の低温領域から作業媒体を戻すことが可能となる。これに対応して、この配置では、低温区画4910の低温領域から低温の作業媒体を引き出し、低温区画4910の高温領域に温度の作業媒体を戻すことが可能となる。
【0368】
このように、発電機によって生成されるエネルギーのうちのいくらかを(先に説明した例のような)シンプルな加熱器にではなく、補助ヒートポンプ4930に選択的に供給することが可能であり、このことによって補助高温タンクを4910に設けるだけでなく、低温タンクを4910に備えることができる。
【0369】
運転時には、区画4910及び4910の補助作業媒体が、それぞれ高温/低温タンクの温度と類似の温度に達すると、主ヒートポンプが運転を一時停止する間、補助作業媒体が発電機の運転に用いられうる。
【0370】
加えて、高温区画4910には、区画4910の中に含まれる貯蔵流体を直接加熱するよう構成された加熱器が備えられる。補助ヒートポンプ4930の運転中、高温/低温区画の中の貯蔵媒体は加熱/冷却限界に達しうる(すなわち、最高/最低温度限界に到達する)ことがわかっている。このような場合、補助ヒートポンプ4930の運転が中断されることがあり、そうなれば、高温区画4910の貯蔵媒体を更に加熱するために加熱器が用いられる。
【0371】
上述の配置では、補助ヒートポンプ4930の働きが中断されると、高温区画4910の作業媒体を高温の作業媒体として用いることができ、その一方で低温区画4910の作業媒体は低温/中温の作業媒体として用いられる。
【0372】
今度は図41A〜41Eに移って、圧力容器4200とその内部のコアの構造を説明する。圧力容器4200は、その内部に5つのコア4220を収容する外部ハウジング4222を備える。また、圧力容器4200には、圧力容器4200からの漏れを防ぎ、圧力媒体の高圧を維持するよう構成されたシール4242、4244及び4246を備えるシーリング配置も設けられている。
【0373】
各コア4220には、圧力容器4200の内部に、圧力媒体をより良好に混合し、これによって、圧力媒体と、発電機4200の運転中にコア4220内を流れる作業媒体との間の熱伝達効率を上げるため、コア4220で回転するよう構成された撹拌アセンブリ4230が取り付けられている。
【0374】
撹拌アセンブリ4230は、先に説明したものと概ね類似しており、中心シャフト4235に取り付けられた中心歯車4232と係合し、外部モータによって駆動される駆動歯車4234を備える。
【0375】
圧力容器4200がかなり長い(その長さは呼び径よりもはるかに長い)ため、コア4220を支持するよう構成された支持配置4290が圧力容器4200に沿って設けられていることも見て取れる。これらの支持配置4290は、基本的には、そこを通ってコア4220を受容する孔が形成された支持ディスク4293を備える。また、このような支持配置4290の各々は、いかなる望ましくない漏れをも防ぐため、シール部材4295、4297と嵌合している。
【0376】
図42A〜45Cに関しては、コアの様々な構造の例が示されている。これらの例は、コアの前方端部の構造を示していることが特筆される。
【0377】
図42A〜42Eに特に言及すると、コア本体4221´と静的な流軸(flow axle)を収容する中心のコア空洞4222´とを備えるコア4220´が示されている。
【0378】
前方端部により近い流軸の第1部4223´は滑らかであり、空洞4222´の全断面を占めていないことが見て取れる。加えて、前部のコア本体4221´には、その内面にのみ粗面4226´が形成されていることが見て取れる。その反対に、流軸の第2部4224´は、空洞4222´の全断面を占める螺旋として形成されている。加えて、第2部のコア本体4221´には、その内面及び外面の両方に粗面4226´が形成されていることが見て取れる。流軸の中は空洞で、内部チャンネル4223が形成されていることも見て取れる。
【0379】
その内面及び外面の両方に粗面4226´が形成されたリッジは、外面のリッジの頂点が内面の溝と向かい合うように互いに並んでいることが特筆される。このことによって、コアの厚さは、コアの軸に垂直などの断面においても同一である。
【0380】
上述の設計を行う理由の1つは、圧力容器内の第1部の位置にある。図41A〜41Eから見て取れるように、コアの第1部は、シール4242、4244、4246の領域に位置し、このとき圧力媒体との熱交換プロセスは発生していない。したがって、第2部と同じ構造を有する必要はなく、示されるような簡素化した設計に維持することによって、コストを抑えることができる。
【0381】
図42Dに特に言及すると、粗面4226´は、コアの中心から完全な放射状には延長していない歯形状であることが見て取れる。むしろ、歯はわずかな角度で延びているため、コア4220を流れる作業媒体が歯の方向によって渦を巻き、歯の間にしみこんで、熱交換プロセスをより良好にする。
【0382】
今度は図43に注目すると、コア4220´´が示されており、このコアは図42A〜42Eに示すものと類似の設計であるが、コア4220´´の第1部が遮断スリーブ4227´´を用いて遮断されているため、第1部を通過する作業媒体が、熱交換プロセスに関与しないコア部分の加熱/冷却のためにエネルギーを浪費しないようになっている点で相違している。
【0383】
今度は図44A〜45Cに移ると、2つの追加的なコア4220´´´と4220IVが示されており、これらの設計は、先に説明したコア4220´及び4220´´と類似している(同様の要素は、対応するプライム記号を追加して同様の図示番号で表されている)。コア4220´´及び4220IVと先に説明したコアとの主な違いは、円錐/ピラミッド状に突出した形状よりもむしろ輪の形状をした粗面の設計にある。このような設計は、製造がわずかに容易であり、コストもより低い。
【0384】
今度は図46A〜46Dに移ると、圧力容器4200の組み立てが示されている。コア4220とそれに関連するすべての機械的要素(ファン配置、歯車、駆動シャフトなど、本明細書では「コアアセンブリ」と呼ぶ)が、すべてスリーブ部材4200に覆われていることが見受けられる。スリーブ部材4200は強固な素材で形成され、コアアセンブリ全体を機械的に支持するのに十分な厚さを有している。例えば、スリーブ部材4200は鋼鉄製であってもよく、数ミリの厚さであってもよい。
【0385】
上述の配置では、コアアセンブリ全体をまず完全に組み立て、スリーブ部材4200で覆った後に初めて、覆われたアセンブリを圧力容器ケーシング4200にスライドして入れ込むことが可能である。加えて、保守点検及びメンテナンスのため、覆われたコアアセンブリを圧力容器4200から(例えばアセンブリをスライドして引き出すことによって)取り除き、適切なスリーブ部材4200を除去し、必要なメンテナンスを行うことが可能である。
【0386】
スリーブ部材4200の断面は半円形(すなわち、半管形)であり、2つのそのような部材がコアアセンブリの1つの部を覆うと、その間にギャップGが残る(図46C、46D参照)ことも見て取れる。ギャップGは、スリーブ部材4200Sとコアアセンブリとの間で画定される内域と、スリーブ部材4200Sと圧力容器4200のケーシング4222との間の外域との間で圧力媒体を流体連通させる。
【0387】
シール配置はシール4244を備えていることも特筆され、このシールは、基本的に3つの別個の部品で作られており、スリーブ4200に挿入され、コア4220に取り付けられると、これらは互いに近接して圧力が加わり、圧力容器4200に必要なシールを提供する。
【0388】
今度は図47に移ると、歯車機構4300の改良版が示されており、ここでは、歯車装置4300は、ラック4320と係合しているローラピンピニオン4348R、4348Lと、駆動シャフト4332と係合している歯車3349R、3349Lとを備える。ローラピンピニオン3348R、3348Lは、接触面が増し、歯の形状が簡素化されているため、通常の歯車のかみ合いよりも効率性がはるかに高い。他のすべての側面においては、歯車機構4300はほぼ同様に動く。
【0389】
しかしながら、ローラピンピニオン4348R、4348Lはそれら自身の軸で自由に回転するため、ローラピンピニオン4348R、4348Lを用いることによって、歯車の摩擦が低減するという利点が得られる。
【0390】
今度は図48A〜48Cに移ると、作業媒体サブシステム4100´の他の例が示されており、ここでは、高温/低温タンク4110、4120の各々がそれぞれ、いくつかの区画に分割されている。これらの区画は互いに流体連通しているが、それにもかかわらずサブシステム4100を出て圧力容器4200L、4200Rに向かう作業媒体と、熱交換プロセスを行った後、サブシステム4100に入る作業媒体との間の混合を遅らせる。このような配置によって、発電機のより効率的な形状が提供されうる。
【0391】
今度は図49A〜49Hに移ると、圧力容器4200´が示されており、この圧力容器は、その縦の長さLがその直径Dよりもはるかに長い。圧力容器4200´は、図41A〜41Dに関して先に説明したような支持アセンブリ4920´をも備えるが、それとは対照的に、本例では、各コア4220´は単体のコアではなく、むしろいくつかのコア部分で形成されている。2つの連続する部分のそれぞれが、これらの間に位置する支持アセンブリ4290´で互いに接合されている。
【0392】
2つのコア部分を接合するため、これらの部分の間に挿入体を導入し、この挿入体がそれぞれコアの内部に受容されてこれらの部分を流体連通させる。図49Bから、コア部分は完全に圧力容器内に含まれ、圧力容器の端部では挿入体のみが突出していることも見て取れる。挿入体4299´自体は、高い熱伝達率を必要としない素材、例えばプラスチックで作られてもよい。
【0393】
2つの連続するコア部分が挿入体によって支持アセンブリ4290´の箇所で接合されると、これらのコア部分には、互いに対して動くある程度の自由度が生じる。互いに対するコアの動きを少なくするため、支持アセンブリ4290´は、コアのファン配置が自身を中心にコア部分で自由に回転することを可能にする軸受4293´を備える。
【0394】
図49Dに特に言及すると、軸受4293´は、ベアリングボール4295´のハウジング4294´が曲線形状で、コア及びコアの上に取り付けられたファン配置に一定の、しかし制御可能な自由度を与える自動調整型である。
【0395】
図49F及び49Gに関しては、いくつかの開口部が形成され、その開口部の数がコアと駆動シャフトDSの数に対応している円板形の支持アセンブリ4290´がより明確に示されている。
【0396】
図49Hに注目すると、ここでは、開口部4287を介してボルト4285によってコアアセンブリに設置されたスリーブ部材4200´が示されている。開口部4287は円形ではなく、むしろわずかに長円形であることが見て取れる。覆われたコアアセンブリは、まず圧力容器4200´に導入され、そののちに初めて高圧(例えば6000atm)で圧力容器が予圧されることを理解されたい。このような圧力下では、圧力容器がわずかに伸長する可能性があるため、ボルトを保持する開口部は一定の自由度を備える必要がある。この配置は、スリーブ部材4200´のボルトのみでなく、圧力容器内の他のボルト締めされた要素にも当てはまる。
【0397】
加えて、圧力容器内のボルト取り付け箇所(すなわちねじ孔にねじ入れたボルト又はねじを有する取り付け箇所)の少なくとも大部分に関しては、ボルトがねじ込まれていないねじ孔部の間を流体連通させる孔を形成し、せん断力を低減するため、ボルトの(頭側と端部の)両側にかかる負荷を均等にすることが有益でありうる。
【0398】
本出願の発電機のすべての上述の例、形状及び配置に関して、以下の計算を適用しうる。
基本データ:
−一般に、発電機4000は、入力電力の約2.24倍、すなわちWOUTPUT=2.24WINPUTを提供するよう構成されうる。当然ながら、出力電力のうちの幾らかが発電機の運転に供給され返されると、正味の出力電力は約1.24WINPUT(2.24WINPUT−WINPUT)である
−標準的なヒートポンプの平均効率は50〜70%の範囲内でありうる、すなわち、理論的にはWOUTPUT=10WINPUTであるCOP10の場合、実際の出力は5〜7WINPUTの範囲内である。この計算は、効率が55%であると仮定されることになる
−この計算のために選択されるCOPは8であり、高温の作業媒体と低温の作業媒体との間の温度差は約40℃である
−発電機は、圧力媒体に与えられる熱の約30%を、モータアセンブリを経由して出力エネルギーに変換することができる、すなわち、圧力媒体に供給される熱量がQである場合、約0.3Qが実際の出力に変換される(約6000atmの予圧下の臭化エチルの特性に基づく)
−エネルギー回収配置によって、圧力媒体内に残った熱量の約50〜66%が回収される。
【0399】
上述のパラメータにおいて、発電機は次のように運転しうる。
(高温タンクと低温タンクとの間に40℃の温度差を作り出すために)発電機のヒートポンプに1.00kWhの電気エネルギーを供給することは、4.40kWhの熱エネルギーを供給することになり、これは圧力媒体に供給される熱量である。理論的には、適温での40℃という温度範囲とCOP8であれば更に多くのエネルギーを生み出すはずであるが、ヒートポンプの効率が55%であるため、出力は1kWh×8×55%=4.40kWhとなる。
【0400】
圧力媒体に供給される熱のわずか30%のみが最終的に出力エネルギーに変換されるため、上述の計算では約1.32kWhの電気エネルギーが得られる。このことから、圧力媒体内の残りの熱は約4.40−1.40=3.00kWhということになる(システム内での様々な熱損失を考慮に入れ、1.32ではなく1.4を用いる)。
【0401】
圧力媒体内の残熱量のうち60%を回収することによって、1.80kWhの回収が得られる(3.00×0.6=1.80kWh)。このため、圧力媒体に供給される4.40kWhから1.80が回収され、このことから、発電機の各運転サイクルで圧力媒体に供給されるべき追加的な熱は、4.40−1.80=2.60ということになる。
【0402】
換言すれば、各サイクルでは、熱差動式モジュールによって約2.60kWhの熱量が供給され、また約1.80の熱量が回収配置によって供給され、発電機が1.32kWhを生成するための運転に必要な4.40kWhの熱量が得られる。
【0403】
上述の配置では、必要な2.60kWhの熱を供給するためには、上記で示されるようにCOP=8のとき、熱差動式モジュールのヒートポンプに必要なのは(1kWhではなく)わずか0.59kWhである。このことから、発電機の運転開始時、すなわち、発電機の運転の最初のサイクルで、1kWhが入力電力として供給されるが、回収配置の効果が現れると、発電機の連続運転中に、素早く0.59kWhに減るということになる。
【0404】
つまり、発電機の連続運転中(始動後)、1.32kWhの出力エネルギーを供給するため、発電機に0.59kWhを絶えず供給することが必要であり、これによって1.32/0.59=2.24:1の入力/出力率が得られる。
【0405】
より低温の範囲で、例えば40℃ではなく30℃で発電機を運転することが可能であり、これによって発電機の各運転サイクルで正味出力が増すことがある(1.32kWhではなく1.67kWh)ことに留意されたい。しかしながら、この場合、1時間ごとのサイクル数が少なくなり、これによって発電機のエネルギー総生成量が低減することもある。
【0406】
上述の計算は、材料、COP、温度範囲などに依存する特定のパラメータに関して、また様々な損失、熱漏れ、補償係数などを考慮して行われる。これらのパラメータは、発電機の運転による様々な最終結果を得るために変えてもよく、その最終結果は上に示す結果を超える可能性がある(又はそれよりも下回る可能性もある)。
【0407】
今度は図50Aと50Bに移ると、一般的に5000と表される発電機のやはり他の例が示され、高温の流体を供給するよう構成されたソーラー設備に関して示されている。先に説明した発電機(1、2000、3000及び4000)とは対照的に、この発電機は、熱差動式モジュールとして運転する外部源から高温流体を受容するよう構成されている。この例では、温度差モジュールはソーラー設備であるが、発電装置や石炭焚き設備などであってもよいことがわかっている。
【0408】
発電機5000は、先に説明した発電機と同様に、2つの圧力容器5200と、発電機ユニット5500と、変換ユニット5300と、勾配タンク5600と、放熱器5400と、貯蔵タンク5900とを備える。しかしながら、先に説明した発電機とは対照的に、発電機5000は熱差動式モジュール(例えば4100)を備えていない。これは、発電機5000が、例えば太陽光で加熱された流体、発電装置で加熱された流体などの所与の熱源で運転するよう構成されているためである。
【0409】
発電機5000と先に説明した発電機との他の違いは、圧力容器5200内に含まれる圧力流体が(液体ではなく)気体であり、(先に説明した例での6000atmと対照的に)約100atmの圧力で維持されないことである。
【0410】
このように(液体から気体に)変えることによる1つの効果は、先に説明した例で用いられる、液体の圧縮不可能な性質を相殺するために用いられるピストンを使用しなくて済むことである。
【0411】
今度は図52Aと52Bを見ると、勾配タンク5600と貯蔵タンク5900が、適切な配管ラインLA2及びLF1を介して圧力容器と流体連通している。勾配タンク5600は、パイプラインLを介して放熱器ユニット5400と流体連通していることも特筆されるが、これは、これから説明するように、その内部に含まれる流体を絶えず冷却することが必要なためである。
【0412】
発電機5000の運転をこれより説明する。
−初期状態では、圧力容器5200の気体が完全に加熱される、すなわち約225℃の最高温度に達する
−外部環境の温度は約25℃である
−貯蔵タンク5900の高温流体の温度は約250℃である
−低温流体の温度は約30℃である。
【0413】
初期状態において、低温流体は勾配タンク5600から放熱器5400を通過し、弁Kを経由してラインKへと流れる。この段階の間、低温流体は、それよりもわずかに温度が低い外部環境との熱交換プロセスを介して更に多少冷却されるため、流体は確実に圧力容器5200に低温の状態で流入する。
【0414】
流体は、そこから、圧力容器5200のコア5240に入って高温気体と熱交換プロセスを行うため、ポートB2に入る。この熱交換プロセスの結果、気体は低温流体へとその熱を伝達し、その後低温流体が加熱される。このようにして気体は約50℃に冷却される。
【0415】
加熱された低温流体は、圧力容器5200から弁Aを経由して流され、ポートAを経由してポートFへと流れ込む。加熱された低温流体は、そこから弁F及びポートF2を介して、勾配タンク5600へと戻される。詳細には、加熱された低温流体の最初の部分は圧力容器5200から約200℃の比較的高温の状態で放出され、その一方で加熱された低温流体の最後の部分は圧力容器5200からより低温の状態で放出されるため、勾配タンク5600内には、タンク5600の下部5612の50℃から勾配螺旋5620の上部の200℃までの範囲の温度勾配を有する加熱された低温流体が含まれる。しかしながら、タンク5600には、勾配螺旋5620上にあるタンク上部5614に、元の低温の状態にある低温流体をまだなお含んでいる幾分かの追加的な空間があることに留意することが重要である。
【0416】
圧力容器5200を通過する低温流体の各部分は様々な温度に加熱されるため、低温流体の循環が終わったとき、勾配タンクは、タンク5600上部に最も高温の流体を、またタンクの下部に最も低温の流体を含むように、流体部分を含むことが特筆される。
【0417】
貯蔵タンク5900からの高温流体が通過する前に圧力容器5200の加熱が行われると、勾配タンク5600の勾配流体は圧力容器5200を通過するが、流体部分の順序は逆になっている、すなわち、ラインLA2及び分配器Aを介して流れ込む。この方法では、圧力容器5200に入る勾配流体の最初の部分が最も低温で、(通過する各部分がわずかにより高温であるため)圧力容器5200の気体を徐々に加熱させる。この段階のサイクル時間は、例えば約30〜60秒であってよい。
【0418】
上述の運転中、流体の循環は高速の流れに制限されず、遅い速度で行われてもよい。しかしながら、この最終段階では、気体の温度が低温に近づくと、より効果的に冷却するため、循環は加速されうる。具体的には、容器5200内の気体から低温流体に熱を吸収させるため、循環速度を高速にする必要はない。
【0419】
運転の第2段階では、勾配タンク5600内の加熱された低温流体を用いて圧力容器5200´´内で気体の予備加熱が発生する(この考え方は、先に論じた熱勾配回収形状と類似している)。
【0420】
この段階中、タンク5600の下部にある最後の部分(すなわち最も低温の部分)から始まり、勾配螺旋5620の上部にある最も高温の部分で終わるように、加熱された低温流体が勾配タンク5600から圧力容器5200に供給される。その結果、容器5200内の冷却された気体は、勾配温度を有する低温流体と段階的に熱交換プロセスが行われるため、徐々に加熱される。
【0421】
冷却された低温流体は、更に冷却すべく放熱器5400を流進し、勾配タンク5600の上端部に戻る。
【0422】
上述の段階の最後に、圧力容器5200内の気体は、約175℃の中温に再び加熱され、これにより、貯蔵タンク5900内の高温流体によって加熱される第3段階のための準備が整う。
【0423】
その後、圧力容器5200内の気体が高温流体によって更に加熱される第3段階が始まる。具体的には、高温流体はタンク5900の上部から弁B及びポートBを経由して容器5200´´へと流れる。容器内では、気体が約225℃に加熱される一方、高温流体は冷却される熱交換プロセスが発生する。冷却された高温流体は、弁A及びポートAを経由して貯蔵タンク5900の下部に戻される。
【0424】
流体と気体との間の熱伝達を絶えず供給するよう、この段階は、高温流体の流速を徐々に増す間に行われるべきであることに留意することが重要である。
【0425】
この発電機5000と先に説明した発電機との違いの1つは、第3の加熱段階中、勾配タンク5600内の流体すべてが、実際に次の運転段階(第1段階)中に必要とされる低温であることを確かなものとするため、低温流体が勾配タンクから閉ループで放熱器を通って循環されることである。これは、弁Kと弁F及びポートK1とF1とF2のそれぞれを経由して行われる。
【0426】
今度は図51及び53A〜53Eに移ると、中心導管5242及び放射支持体5241を有するサブ構造を備えた、圧力容器5200のコア5240が示されている。放射支持体5241は、導管5242と支持体5241を取り囲むリング5249を超えて延長する延長部5246を更に有する。サブ構造全体は、グリル5243の中に含まれている。
【0427】
図53Bに特に言及すると、運転時には、サブ構造には(板5247に形成されたオリフィスeを介して)流体が充填されているにもかかわらず、サブ構造とグリル5243との間には流体の流れが発生することが見て取れる。換言すれば、流体が実際に流れる断面領域は、サブ構造とグリル5243との間に形成される環状のリングである。しかしながら、サブ構造には流体が充填され、これによりサブ構造に機械的な安定性と一体性がもたらされる。
【0428】
サブ構造内に含まれる流体と、サブ構造とグリル5243との間を流れる流体との間の熱伝達を防ぐため、板5247は絶縁材で作られてもよいことも特筆される。
【0429】
今度は図53A〜53Cに移ると、その内部構造の点で、圧力容器5200は先に説明した容器と異なっている。具体的には、相違点は、圧力容器5200が区画に分割され、コアが回転することにある。
【0430】
図54Bと54Cに特に言及すると、圧力容器5200は主区画5212と補助区画5214とに分割されており、前者はコア5240を含み、後者は、コア5240を回転させるよう構成された駆動モータ5260を含んでいる。
【0431】
容器5200は区画に分割されているにもかかわらず、これらは、気体が両方の区画内に含まれるよう、やはり互いに流体連通されていることに留意されたい。その結果、補助区画内に含まれる流体の温度は高温と低温のと間の平均値、例えば((225+50)/2=137.5℃)であることが期待される。
【0432】
補助区画5214内の気体は、電力生成プロセスの一部として加熱/冷却される必要がないため、このプロセスに用いられる気体の量は、主区画5212内に含まれる量のみであり、このようにして気体の量を低減し、効率を上げていることにも留意されたい。
【0433】
運転時には、駆動モータ5260が、コア5240のグリル5243と関連する第2歯車5264と相互に作用する第1歯車5262を動かす。コア5240全体は、鋼鉄軸5223によって支持される。発電機5000の運転中、グリル5243のみが軸5223の中心軸で回転するよう構成されており、その一方でプラスチックのサブ構造(5241、5246及び5249)は静止したままであることに留意することが重要である。
【0434】
上記の構造の1つの利点は、駆動モータ5260が圧力容器5200内に含まれていることであり、そのことにより、圧力容器内の要素をその外側に位置するモータを用いて駆動するときに必要になるシール手段が不要であることである。
【0435】
シール手段を除去するため、(モータが容器外に位置する場合と比較して)追加の電力を浪費せずにコア5240の回転速度を著しく上げることができることもわかる。
【0436】
上記に加えて、次のことも留意されたい。
−サブ構造は絶縁材で作られるため、熱伝達の大部分は通過する流体とグリル5243との間で発生する
−グリル5243は、その形状のため、コアに流体が充填されていない場合でも、圧力容器5200の気体の圧力に耐えるよう構成される
−コア5243内部の圧力は、圧力容器5200の外部への気体の漏れを低減しやすくするため、気体の圧力よりもわずかに高くてもよい。
【0437】
上記で説明した発電機5000との関連において、次のことが表される。
−貯蔵タンク5900は、例えば発電装置、石炭焚きステーション、原子力施設、ソーラー設備、地熱発電、ダム、水力発電など、外部源からの高温流体を受容するよう構成されてもよい
−貯蔵タンク5900内の流体は、例えば、ソーラー設備、発電所、発電機など外部電源によって加熱されるよう構成されてもよい。このように、実際には、貯蔵タンクはバッテリのように稼働する、すなわち後に(例えば夜の間に)発電機5000によってエネルギーを生成するために用いることができる高温流体の形状で電気を蓄積する
−上記の設備は、高温流体を電力生成のために用いられうる廃流体として放出する。現在のところ、この高温流体は、特定の施設に(例えば、寒冷国における施設の凍結予防のため、或いは施設そのものの稼働に関連した予熱プロセスのため)熱を直に提供するために用いられる
−高温流体を本発電機に用いることによって、追加的な電力を生成することが可能であり、これによって、説明した発電機と関連して稼働する上記に示したような施設の電気生成効率がより高くなるだろう。例えば、化石燃料(石炭)発電所は60%までの効率で稼働し、このときその発電機を用いることで、残りの40%うち追加的に約75%を抽出することができる
−夜間は、高温流体と外部環境との温度差が上がるため、発電機の効率はわずかに上がりうることもわかる
−発電機は、高温流体に熱を供給するため、ソーラー設備と結びついた空間で運転するために用いることさえもできる。このように運転する利点の1つは、外部環境を介して勾配流体を素早く冷却することにある
−(気体は、勾配螺旋の中であっても混合する傾向がより強いため)勾配タンクは液体とともに用いるよう構成されているが、システムでは高温流体として蒸気を利用することもでき、蒸気は圧力容器内の気体との熱交換を介して冷却されると、少なくともそのうちのいくらかは圧縮され、低温流体として発電機内で用いることができる
−高温流体は、温度と圧力において臨界点にあっても用いられうる。この方法では、高温流体に蓄積された潜熱を利用することができる
−コアの直径を大きくし、圧力容器の直径を変えずに圧力を上げることも可能である。このようにして、コアの表面積が効果的に増大されると、発電機の効率がより上がる
−一般的に、発電機は、流体1立方メートルあたり0.5MWの電力を生成するよう構成されてもよい。
【0438】
今度は図54Aに移ると、一般的に6000と表される発電機の他の例が示されている。発電機6000と先に説明した発電機5000との違いは、以下のとおりである。
−外部源からの高温流体は、圧力容器6200自体を通過する代わりに、発電機内に含まれる流体の一部を加熱するために用いられる
−貯蔵タンク5900が除去されている。
【0439】
運転時には、高温流体HInが入口ポート6710を経由して加熱チャンバ6700に入り、発電機6000の配管に含まれる流体の一部と熱交換プロセスを行う。その結果、高温流体は冷却され、出口6714を経由して加熱チャンバ6700から放出される。
【0440】
図54Bに関して特に言及すると、発電機6000のいくつかの配管は、加熱チャンバ6700を通過し、具体的には、ラインLAとポートPを経由して加熱チャンバ6700に入り、高熱流体との熱交換を経てより高い温度でポートPとラインLB2を経由して放出されていることが見て取れる。
【0441】
しかしながら、発電機6000は、圧力容器6200内の気体を加熱するための高温流体として用いられるべき流体部分を含むよう構成されうる貯蔵タンク6900(図示せず)とともに運転するよう構成されてもよい。
【0442】
或いは、外部源(発電所など)からの高温の流体を、発電機6000の高温流体として直接用いることができることもわかる。
【0443】
今度は図55Aを見ると、一般的に6000´として表される発電機のなお他の例が示されている。発電機6000´は、先に説明した発電機6000と類似しているが、次の点が大きく異なる。
−発電機6000´は、貯蔵タンクを備える
−発電機6000´は、燃料又は他の燃焼手段に基づく燃焼チャンバ6700´を備える
−燃焼チャンバ6700´は、貯蔵タンク6900´内に含まれる流体を加熱し、高温流体として用いるためにその温度を上げるために用いられる
−燃焼プロセスの効率を上げるため、燃焼チャンバ6700´に加熱された空気を供給するよう構成されたベント6740´が設けられている。
【0444】
今度は特に図55Bを見ると、それぞれ、貯蔵タンク6900´から燃焼チャンバへと流体を誘導する出口ラインLOUT、及び加熱された流体を燃焼チャンバ6700´から貯蔵タンク6900´へと戻す入口ラインLINを経由して、貯蔵タンク6900´が燃焼チャンバと関連する加熱サイクルが示されている。
【0445】
詳細には、燃焼チャンバ6700´には、入口6710´を介して燃料(或いは他の可燃性/燃焼性の材料で作られた手段)が供給される。その後燃料は燃焼チャンバ6700´内で燃焼され、この燃焼プロセスで放出された熱は、貯蔵タンクからの流体に熱交換器(図示せず)を介して供給される。
【0446】
今度は図55Cに移ると、燃焼チャンバと放熱器ユニット6400´との間で延長して両者を流体連通させるベント6740´を備える空気加熱サイクルが示されている。
【0447】
構造上、適切な配管、詳細には、勾配タンク6600´から放熱器ユニット6400´に、また、放熱器ユニット6400´からポートKにそれぞれ誘導するラインLとLを介して、勾配タンク6600´が放熱器ユニットに接続されている。
【0448】
運転時には、勾配タンク6600´からの加熱された流体が、冷却サイクル(すなわち、加熱された低温流体を外部環境との熱交換によって低温に戻すために行われるサイクル)中に、ラインLK1を通ってポートKへと流れ、その後にラインLを通って放熱器ユニット6400´へと到達する。
【0449】
放熱器ユニットでは、外部環境との熱交換が行われ、加熱された低温流体はその熱交換の間に低温に戻り、一方で外部環境から入る空気は加熱される。この後、冷却された低温流体は、ラインLを経由して勾配タンク6600´に戻り、その一方で、加熱された空気は、燃焼プロセスの効率を上げるため、ベント6740´を経由して燃焼チャンバへと向かう。燃焼チャンバ内でわずかにより高い温度の空気を用いることで、燃料を燃焼するときの効率がより高くなることがわかっている。
【0450】
上述の配置では、外部環境との熱交換プロセスを介した勾配流体の冷却に用いられる同じベント6740´は、加熱された空気を燃焼チャンバ6700´に供給しやすくするベントと同じであり、これによって2重の目的が果たされる。
【0451】
今度は図55Dに移ると、関連する配管を介して、勾配タンク6600´に関連する煙突配置6760´、6770´及び6780´を備える残りの加熱サイクルが示されている。具体的には、勾配タンク6600´は、ラインLP2を介して煙突配置の中間部6770´に入り、ラインLB1を介してそこから出るよう構成されている。
【0452】
運転時には、(高温流体によって加熱される前に)圧力容器6200´内の気体を加熱するために勾配タンク6600´内の加熱された低温流体を用いる場合、加熱された低温流体はまず煙突の中間部6770´へと流れ込み、そこで燃焼チャンバの排気からの熱によって加熱される。このプロセスによって勾配流体に数度の熱を加えることができ、この後、勾配流体はラインLB1を経由して出て、圧力容器6200´に入る。
【0453】
勾配タンク6600´から出る流体部分と排気部分との間の温度差が十分に小さいと、両者の間の熱交換プロセスの効果は小さくなる(時間がかかりすぎる)ため、残りの加熱サイクルを停止し、勾配流体を直接圧力容器6200´内で用いることが有益であることがわかっている。
【0454】
今度は図56Aに移ると、一般的に6000´´と表される発電機のなお他の例が示されており、この発電機は、発電機6000´と類似しているが、発電機6000´´には無い熱交換器の構造が主に異なっている。
【0455】
構造上、発電機6000´´は2つの加熱容器6800´´の形状であり、発電機6000´´に対して垂直方向に向いている熱交換器を備えている。加熱容器6800´´は並べて配置され、燃焼チャンバから出る排気と流体連通されている。また、圧力容器6800´´は貯蔵タンク6900´´へと延び、またそこから延びる適切な配管とも関連する。
【0456】
基本的には、圧力容器6800´´は、燃焼チャンバの排気から熱を取り出し、上述の配管を介してこの熱を貯蔵タンク6900´´内に含まれる流体に供給するすよう構成された配置である。
【0457】
今度は図56B〜56Eに移ると、下方の加熱容器6800´´は入口ベント6762´´を介して燃焼チャンバと、また、出口ベント6764´´を介して上方の加熱容器6800´´と接続される配置になっている。上方の加熱容器6800´´は、(先に説明した煙突6770´、6780´と類似の)煙突6770´´、6780´´にベント6766´´を介して更に接続されている。
【0458】
貯蔵タンク6900´´は、貯蔵タンクから上方の加熱容器6800´´の上部に流体をもたらすよう構成された入口ラインLInに接続され、下方の加熱容器6800´´から貯蔵タンク6900´´に加熱された流体を戻すよう構成された出口ラインLoutに更に接続されていることが見て取れる。
【0459】
運転時には、高温の排気を出しながら、燃焼チャンバ6700´´で燃料が燃やされる。このガスは、加熱容器6800´´を上昇し、貯蔵タンク6900´´からの流体は適切な配管を介して逆方向に通過する。
【0460】
加熱容器6800´´の構造は、圧力容器6200´´の構造と類似していることに留意することは興味深い。加熱されるべき流体は、加熱容器6800´´のコア6840´´内を通過し、一方で排気はコア6840´´と容器6800´´の外殻6820´´との間を通過する。
【0461】
圧力容器6200´´でのように、コア6840´´は適切なモータ6850´´を用いて回転するよう構成されており、このようにして、すでに上記で論じた圧力容器6200´´の構造によってもたらされる熱伝達特性のほとんどを有する。
【0462】
図56Eに関して、煙突6780´´は、加熱容器と燃焼チャンバ6700´´内の圧力を調節するよう構成された調節スロットル6782´´を備えることが見て取れる。
【0463】
スロットル6782´´が煙突からの排気の排出を遮断すれば、それだけ容器6800´´内の圧力が高くなり、排気と通過する流体との間の熱伝達効率が上がることがわかっている。このことによって、加熱容器6800´´の長さをより短くすることができる。しかしながら、スロットル6782´´を閉じて圧力を上げると、燃焼チャンバ6700´´内での圧力も上がるため、燃焼プロセスを効率的にするためには更に強力なベントが必要となる。このように、一方ではまずまずの熱交換プロセスを提供し、他方ではベントに要する過剰な電力使用を無くすため、一定の最適化が行われるべきである。このような最適化は、発電機の他の例に関して先に説明したコントローラによって行ってもよい。
【0464】
図56A〜57Dに関して説明された配置では、排気が自由に動く空間が延長されていることもわかる。換言すれば、加熱容器6800´´はある種の煙突であるとも考えられるが、(コアを介して)ガスから加熱されるべき流体への熱伝達を効率的に行うための配置を備える。
【0465】
容器6800´´が長いほど、熱が良好に伝達されることもわかる。詳細には、容器6800´´を垂直に配置する理由は、熱い空気と気体は上昇するという自然の傾向があるためであり、これによって、発電機6000´´の目的のために気体本来の性質を活用するためである。或いは、加熱容器6800´´は水平方向にも配置されうることに留意されたい。
【0466】
図57Eに関して追加的に言及すると、一般的に6240´´´と表されるコアの他の例が示されており、それは先に説明した例6000、6000´、6000´´やその他とともに用いられうる。コア6240´´´は、上記の例で開示されたものよりかなり長く、このため、放射状の支持体6270´´´と縦向きの支持体6280´´´が提供されている。
【0467】
放射状の支持体6270´´´の各々は錫製のケーシング6272´´´を備え、その内部に支持体の枠6274´´´を含む。縦向きの支持体6274´´´の各々は長い棒6284´´´の形状であり、錫製のケーシング6282´´´内に含まれる。支持体6270´´´及び6280´´´の両方において、錫製のケーシング6272´´´と6282´´´はそれぞれ、コア6240´´´が浸されている圧力流体から支持体を隔離することによって、熱損失の低減に寄与する。
【0468】
図58に特に言及すると、発電機6000´´は、発電機6000´に関して説明したものと類似の残熱配置を備えている。しかしながら、発電機6000´´の構造のため、詳細には容器6800´´の向きのため、煙突がここでははるかに高い位置に設置されていることがわかる。
【0469】
更には、特定の例(ここでは図示せず)によると、スロットル6782´´を収容するため上部6780´´のみを残し、残熱配置全体を除去することもできる。煙突を除去することによって、例えば、追加的な加熱容器のために利用することができる追加的な空間がうまれうる。
【0470】
上述の発電機6000´´は、様々な輸送手段、例えば船舶、自動車、電車などのためのモータとして用いることができる。この関連で、このような発電機の利点の1つは、発電機が連続運転を行うことである(燃料が燃焼チャンバ6700´´内で絶えず燃焼される)。
【0471】
上述の発電機6000´´の他の利点の中には、発電機6000、6000´及び6000´´を既存の発電所とともに使用可能であり、このときその発電所の残熱を発電機の運転に用いることができるというものがある。
【0472】
今度は図59A〜59Eに移ると、圧力容器7200の断面が示されており、それは先に説明した圧力/加熱容器の大部分に用いられうるコア7240を有する。
【0473】
詳細には、コア7240は、先に説明したコア6240、6240´、6240´´と同様に、サブ構造とグリル7243とを備える。サブ構造は、中間導管7242と、放射状支持体7241と、支持リング7249と、支持リング7249を超えて放射状に延長している放射状サブ構造ウィングレット7246とを備える。この例では、ウィングレット7246は放射状支持体7241の延長部分である。
【0474】
加えて、コア7240も、コア7240に対して放射状に延長し、グリル7243の外側に位置する1組の外部フィン7247を備える。
【0475】
図59C〜59Eに関して特に言及すると、第1のギャップG1がウィングレット7246とグリル7243との間で延長し、第2のギャップG2がフィン7247とグリル7243との間で延長していることが特筆される。
【0476】
グリル7243には、その中心軸で輪状に延長している複数のリッジが形成される。これらのリッジによってグリル7243の総面積が大きくなり、これによって、グリルと流体/気体との間の熱交換プロセスがより効率的になることがわかっている。これらの図では、(グリル7243の大きさに比例して)リッジが実際の大きさよりも大きく示されていることも特筆される。これは図示の目的で為されたものであるが、それは、リッジの実際の数や大きさを用いれば(リッジの面密度のため)グリルが真っ黒になってしまうためである。
【0477】
グリル7243は、その中心軸で回転するよう構成され、一方ではウィングレット7246及びフィン7247はいずれも、静止したままであるよう構成されている。この配置では、グリル7243が回転すると、グリルの内面と外面に隣接する流体(気体/液体)の層がそれに伴って運ばれ、これにより流体が循環する。他方では、ウィングレット7246とフィン7247は、グリル7243から遠く離れて循環されている層の部分の循環を防止し、このとき、グリル7243の内面と外面の両方の境界上で、極めて効率的かつ局部的な熱交換プロセスが発生する。
【0478】
今度は図60A〜60Eに移ると、圧力容器7200´の他の断面が示されており、それは先に説明した多数の圧力/加熱容器の大部分にも用いられうるコア7240´を有する。
【0479】
コア7240´と先に説明したコア7240との主な違いは、ウィングレット7246及びフィン7247の向きにあることが見て取れる。具体的には、ウィングレット7246´は反時計回りにわずかに傾いている一方、フィン7247はちょうど逆方向に(時計回りに)傾いている。
【0480】
この配置では、グリル7243´は時計回りの方向に回転するよう構成されている。その結果、圧力容器7200´とグリル7243´との間に含まれる気体の一部がグリル7243´と接触すると、それは、グリル7243´と支持リング7249´との間を循環する流体と熱交換プロセスを行う。この後、グリル7243´の回転のため、その気体の一部はフィン7247´のためグリル7243´から離れるよう促され、これにより気体の加熱された部分はグリル7243´から離れた位置にある残りの気体と熱伝達プロセスを行う。同時に、支持リング7249´とグリル7243´との間に含まれる循環された流体は、ウィングレット7246´によって循環を抑制される。
【0481】
しかしながら、グリル7243´の回転方向は反時計回りの方向に設定してもよく、このとき気体はグリル7243´方向へと促され、一方ではコア7240´内の流体は支持リング7249´から離れるように促されることがわかっている。
【0482】
今度は図61A〜61Cに移ると、一般的に8000と表される他の発電機システムが示されており、この発電機は、発電機システム8000とともに稼働するソーラー設備Sからの高温の作業流体の供給を基礎としている。
【0483】
発電機システム8000は、先のシステムでのように、圧力容器8200と、ピストン8300と、放熱器8400と、歯車機構8500と、勾配タンク8600と、貯蔵ユニット8900とを備える(類似の要素は、先の例と比較して1000だけ数が大きくなって表されている)。
【0484】
図62A〜62Dに移ると、本発電機システム8000の設計の主な違いは、圧力容器8200の設計にある。具体的には、各圧力容器8200は外コア8230と内コア8240とを備え、そのいずれもが、圧力容器8200の外殻8202内に位置している。
【0485】
その配置は、圧力容器8200内部に3つのスペース、すなわち、コア8230、8240の間の中間スペースSPと、内コア8240の内部スペースSPと、外コア8230と殻8202との間の外部スペースSPとが形成され、それらは互いに流体連通しているというものである。流体連通は、SPスペースの間の圧力バランスを取ることが可能な100mmの管又はパイプ(図示せず)を用いて設けることができる。
【0486】
この特定の例では、コア8230、8240の直径は、内コア8240の内部スペースの容量が、外コア8230と殻8202との間の外部スペースの容量とほぼ同じであるように選択される。
【0487】
コア8230と8240との間の中間スペースSPAは極めて小さくてもよく、5mm〜20mmの範囲でもよい。この距離の重要性は、圧力容器8200の稼働と関連して後に論じられる。
【0488】
コア8230、8240の各々には、それぞれのモータ8250、8260が設けられ、これらのモータはそれぞれのコアを逆方向に回転させるよう構成されている、すなわち内コア8240は時計回りに回転するよう構成される一方、外コア8230は反時計回りに回転するよう構成される。
【0489】
このように、運転時には、作業媒体(例えば水)は、スペースSPを通過し、コアの回転中にスペースSPに含まれる圧力媒体(例えばヘリウム)と熱交換作業を行うよう構成される。
【0490】
この点において、コアの間に形成されたスペースSPを画定する小さなギャップGは、圧力容器8200の動作中に、いくつかの利点を提供することがわかっている。
−コアの回転中、狭いギャップによって、ギャップSPを通過している作業媒体内の乱流が増すことで、熱交換プロセスがより効率的になる
−また、狭いギャップによって、コア表面に形成される境界層も少なくなり、効率性が更に増大する。
【0491】
コアの間のギャップが減ることによって境界層は少なくなる一方で、そのことによって流体がギャップを通過するために必要なエネルギー量も増大することがわかっている。したがって、狭いギャップGの効率性と、作業流体を循環させるために必要なエネルギーとの間に一定の最適条件が得られる必要がある。
【0492】
コアが回転する間、作業媒体(水)と圧力媒体(ヘリウム)はコアの表面に接着し、その表面の辺りでスピンする。遠心力が働く結果、媒体は外側の方向に放射状に促され、媒体と各コアの内面との間の対流は、媒体と各コアの外面との間の対流よりも大きくなる。
【0493】
上述のコアの動作に従って熱伝達を増大させるため、コアを次のように配置しうる。
−コアは約1000RMPで回転可能である(直径が約650mmのコアの場合)
−コアは、機械強度が高く、かつ伝導性の高い材料、例えば銅、アルミニウム及びマグネシウムで作られてもよい。また、4340鋼鉄は伝導性が低いにもかかわらず用いることができるが、これは、その機械的特性と構造上の特性から、より速く回転することができ、伝導性能を補うことができるためである。
【0494】
コアの表面には、より増大した表面積が、例えばコア表面に形成された歯形の粗面形状8238、8248で形成されてもよい。
【0495】
しかしながら、この関連で、コア8230、8240の内面と外面との間の伝導性の違いは、各面に異なる面特性を与えることによって補われうる。詳細には、内面はより大きな(2つの隣り合う歯の間の溝がより深い)歯で形成されてもよい。より平坦で小さい歯は、大きい歯よりも製造がより容易であり、またコアにかかる重量をより小さくすることもわかる。
【0496】
或いは、遠心効果は、各コアの回転速度を制御し、例えば、外コアを内コア8240よりわずかに速く回転させることで相殺できる。
【0497】
詳細には、この効果は、外コア8230の外面に関してより明らかである。スペースSPのギャップG内部では、その狭さのため、流体媒体が歯の間から十分に抜け出ることができない。
【0498】
上記との関連で、圧力容器8200内での熱交換プロセスでは、作業媒体からの熱の大部分は圧力媒体に伝達され、その逆もまた起こる。例えば、このことから、再循環されなければコア自体の加熱で浪費されてしまうエネルギーの約75%が再循環されることが説明できる。
【0499】
上述のコアの配置は、特に、一般の放熱器でフィンに依拠した熱交換器と置き換え可能な他の設備で熱交換器として使用することが有益となり得、これによって、放熱器の隣り合うフィンの間の詰まりという共通の問題を克服することができる。
【0500】
今度は図63Aと63Bに注目すると、ここでは、T字型の容器にする延長部8700を含んだ圧力容器8200が示されている。この延長部は、主殻内に含まれるピストンを備え、ピストン8730によって3つのスペース8702、8704(ピストン内部)及び8706(ピストンと圧力容器8200との間)に分割されている。
【0501】
スペース8702は出口8740を介して作業ピストン8300と流体連通し、その一方でスペース8706は圧力容器8200と流体連通している。
【0502】
延長部によって、圧力媒体の総体積は少なくとも約1.5倍に増大し、その結果、(先の例でのような)まっすぐな圧力容器を有するのみの発電機と比較して、発電機によるエネルギーの生成量が増大することがわかっている。このような発電機システムは、例えば20MWの電気を供給することが可能でありうる(が、100MW、200MW或いはそれ以上にもなりうる)。
【0503】
加えて、T字型の圧力容器は圧力媒体(この場合ヘリウム)をより効率的に循環させるが、これは、回転する外コア8230がヘリウムを(回転の方向に応じて)一方の側において容器8200に常に引き入れ、そのヘリウムを逆方向にT字型チャンバ8700へと排出し戻すためである(これは、作業後の圧力媒体が膨張後に同じスペースにとどまる先の例とは逆である)。
【0504】
この循環を増大させるため、換気装置8726がスペース8706に設けられている。この換気装置8726は、スペース8706の中心軸に沿った位置ではなく、むしろ中央線を外れて、回転するコアがスペース8706からヘリウムを引き込む方向に向かって位置することが特筆される。
【0505】
上述の図に追加的に言及すると、この例では先の例のように、圧力媒体の膨張が、中間の圧力媒体(この場合、油)を歯車機構8500へと押し出す作業ピストン8300の動きに変換される。詳細には、T字型延長部8700の直径とピストン8300との間の比率は約5:1で、ピストン8720の移動と比較して、必然的に作業ピストン8300のピストン8320をかなり移動させることになる。
【0506】
例えば、圧力容器のT字型の直径は1250mm(圧力容器と同様)であってもよく、容器そのものの長さは3000mmであってもよい。それぞれ、作業ピストンの直径は250mmであってもよい。
【0507】
加えて、ピストン8730は、ピストン8730のほぼ中央部分に位置するシール(図示せず)を備えているため、T字型延長部8700内部を循環する高温のヘリウムと接触することはほとんどない。
【0508】
上述のすべてに関し、作業流体又は圧力流体と接触するすべての構成要素は、(熱交換プロセスに加わるコア要素を除いて)熱伝達性の低い(約0.1W/m−K)材料を用いて内側及び/又は外側から隔離されうることがわかっている。しかしながら、冷却されるべき流体を誘導する配管は絶縁性がなくてもよく、一方で加熱された流体を誘導する配管は内側から絶縁されてもよい。
【0509】
熱交換プロセスの効率性を向上させるため、次の特性の少なくとも1つが設けられうる。
−1つのコアの歯は、もう1つのコアの歯に対してずれており(リッジと溝が向かいあっている)、これによってコアの間のギャップを小さくする
−1つのコアに時計回りの螺旋を形成し、他方のコアに反時計回りの螺旋を形成する。
【0510】
これより発電機8000システムの運転を説明する。
【0511】
一般的に、運転は3つのパルスで行われ、次の説明のように、全部で約20秒間続く。
冷却−ピストン8730が上向きの位置にある場所から(加熱され膨張したヘリウムによって上方に移動した後)、勾配タンク8600から益々冷却された作業流体を次のように通過させることによって、ヘリウムの冷却が発生する。冷却された作業流体がタンク8600の上部から押し出され放熱器8420を通って接合部Kへと流入し、そこから接合部Bを経由してコアへと流入する。その後、加熱された作業流体は、コア8200を出て接合部A及びFを経由し勾配タンクへと運ばれる。このパルスは約10秒を要する。
第1次加熱−加熱された作業流体は、勾配タンク8600の下部から接合部F及びAを経由してコア8200へと運ばれ、そこから出て接合部B及びKを経由し勾配タンクの上部へと運ばれる。この行程は約7秒続き、ヘリウムの温度を中温に上げる。ヘリウムを元の温度に戻すことはできない(熱交換は無限には行われない)ことが特筆される。
最終加熱−高温の作業流体が貯蔵チャンバ8900の上部から接合部Bを経由してコアへと供給され、そこを出て接合部Aを経由し貯蔵チャンバ8900の下部へと運ばれる。この行程には約3秒を要し、タンク8900からの高温の作業流体の高速での循環が必要である。
【0512】
この間、勾配タンク8600内に含まれる作業流体は、圧力容器8200を含まない循環、例えばタンク8600の下部から接合部Kを経由して放熱器8400へと流れ、接合部Fを経由して勾配タンクへ戻る循環を介して、更に冷却されうることが特筆される。
【0513】
発電機システム8000が一方の側においてこのように運転する間、発電機システムの他方でまさに逆の段階が行われることは留意するまでもない。換言すれば、一方の圧力容器でヘリウムが加熱する間に、他方の圧力容器ではヘリウムは冷却し、またその逆も同じである。
【0514】
この例では、他のすべての説明済みの例でのように、逆の流れを用いること、すなわち作業流体が圧力容器の内部で一方向に沿って進む一方、圧力媒体は逆の方向に進むことが有益でありうる。更には、先に説明し、またこの後に説明する発電機の他の例で上述のコアを用いてもよいことがわかる。
【0515】
図65Aと65Bに注目すると、ここでは、一般的に9000と表される他の発電機の他の例が示されている。発電機9000は、先に説明した発電機8000と概ね類似しているが、次の点が主に異なる。
−ソーラー設備と共に使用するために適した形状
−圧力容器9200及びコアの設計
−歯車9500の直径
−コアから歯車への圧力媒体の移動方法
−運転段階
−熱吸収体として用いられる貯蔵チャンバ9900
【0516】
これらの違いをこれから詳細に説明する。
【0517】
今度は図66〜67Cに注目すると、反対方向に回転する2つのコアの先の設計とは逆に、この設計は、圧力容器9200内に連続して設置される複数のコアユニット9240を備える。
【0518】
各コアユニットは、外殻9242と、内殻2940と、穿孔板9270と、フローリミッタ9280とを備え、これによって圧力流体が流れる迷路を作り出す。
【0519】
その配置は、全てのコアが作業流体(水)に浸され、その一方で圧力流体が圧力容器9200を通過するようになっている。詳細には、図66Dに関して、圧力流体は、コアの空間の大多数を占めるが、穿孔板とフローリミッタ9280の設計により、コア全体に広がるよう構成されていることが見て取れる。
【0520】
コアが回転する先の例と同様に、本例のギャップGは、回転するコアユニットと圧力容器9200のハウジングとの間に設置され、高度の乱流及びごく薄い境界層という同様の効果につながっている。
【0521】
上述の設計により、熱交換プロセスの間に作業流体と圧力流体が通過すべき経路を長くする、すなわち、熱交換が行われる総面積を増大させ、これによってその効率を上げることが可能となる。
【0522】
先の例と同じく、これらのコアは回転し、回転の間に生み出される遠心力を利用する。この特定の例においては、コアユニットは単体として一緒に回転する。しかしながら、それぞれのユニットは独立して回転できるようにすることもできるため、そのことは必須ではない。
【0523】
加えて、冷却中、圧力容器を通過する流体は、ヘリウムの冷却のみでなく、勾配温度の作業流体の生成にも役立つことに留意することが重要である。このように、流路を長くすることによって、必然的に、圧力容器を出る作業流体の最初の部分は、流速を落とすことなく、(圧力媒体よりもわずかに低い)所要温度になる。
【0524】
図66A〜66Eに戻ると、運転中、圧力流体は入口PI1を経由して圧力容器9200へともたらされ、出口Po1を経由してそこから出る。同時に、作業流体は入口PI2を経由して圧力容器9200へともたらされ、出口PO2を経由してそこから出る。
【0525】
今度は図69に移ると、ピストン9520を収容しているスペース9350は、ヘリウムがピストン配置9300に入り、そこから出るための入口と出口のための別個の配管を備えることがまず特筆される。これは、同じスペース内で圧力媒体の体積が単に増減するだけの先の例とは逆である。
【0526】
上記の結果、及びピストン9300の寸法の増大のため、ヘリウムの大部分(約2/3)は、コア9200内ではなく、ピストン9300と配管内に含まれる。
【0527】
入口開口部はピストン9300の端に位置する一方、ヘリウムをピストン9300から出すよう構成された出口開口部は、ピストンの奥深くに位置することも特筆される。これによって、ヘリウムは、ハウジング9300を出る前にピストン9320に達するよう促される(さもなければ、仮に出口も端に位置していれば、高温のヘリウムはハウジング9300に入ると同時に直ちにそこを出てしまうだろう)。
【0528】
歯車はヘリウムの体積の増加/減少に応じて作動するが、上記で言及した循環は、ヘリウムの体積それ自体の内部でより素早く、かつ効率的な熱交換を可能にする特定温度のヘリウム(例えば高温のヘリウム)の循環に関することがわかっている。
【0529】
上述の配置では、ヘリウムの大部分がコア内部には位置せず、そのためコアからの損失が著しく小さいため、より小さく、より効果的なコアを用いることができる。これは、コア温度の上昇/低下によって圧力媒体の体積が必然的に増加/減少するわけではないという事実のためである。詳細には、(圧力媒体の総量に対する)コア内部の圧力媒体の割合が損失の減少量を決定しうる。
【0530】
作業ピストン9300の直径を大きくすると、圧力媒体のための体積がより大きくなり、圧力容器内に含まれる圧力媒体の割合が減り、これによって発電機9000をより効率的にすることがわかっている。加えて、ブロワ9260が圧力容器と歯車ピストン9300内部のヘリウムを常に循環させ、その動作をより効率的にしている。
【0531】
ピストン9520は、ピストンハウジング9320内で往復運動するよう構成されているため、ピストン上にシールが施されていると、そのシールは、高温での絶え間ない往復運動のため、容易に摩耗する危険性がある。加えて、シールを絶縁材上で用いることによっても、シールがすぐに摩耗しかねず、更には絶縁材の往復運動によって絶縁材の特性に有害でありうる。
【0532】
その問題をうまく回避するため、ピストンには、その上に取り付けられ、ピストンとともに往復運動を行うよう構成された薄い殻9350が取り付けられる。ピストン9320は、この薄い殻に対してピストンを封止するシールを備えているため、このシールは殻に対して動かない。
【0533】
その結果、薄い殻9350で覆われたハウジング9320の一部は絶縁材がなくてもよく、その一方、ヘリウム入口により近接する部分はやはり絶縁されている。詳細には、殻とハウジングとの間のギャップは、覆われた部分でのヘリウムとの接触によって熱損失が生じることを防ぐために十分な程度に小さくてもよい(例えば約2〜3mm)。
【0534】
表面域が大きいことで生じるピストンハウジングからの熱損失を回避するため、ヘリウム入口により近接する上述の絶縁部は、これらの損失を回避するに足るものでなければならない。しかしながら、薄い殻自体が内部から絶縁されていることに留意することが重要である。
【0535】
発電機システム9000の運転をこれから詳細に説明する。
【0536】
システムは、3つの加熱パルスと長期の冷却パルスを含む4つのパルスで、次のように運転する。
【0537】
冷却パルス−冷却された作業流体は、勾配タンク9600の上部から放熱器ユニット9400を経由して圧力容器9200へと運ばれ、その後に接合部K及びBを通過する。加熱された後、作業流体は、容器9200から接合部A及びEを経由して出て、ポンプの働きにより勾配タンク9600へと戻る。
【0538】
勾配タンク9600の作業流体の半分がコアを通過すると、流れが変わり、作業流体は第2の勾配タンク9630、9640のうち1つから接合部R、K及びBを経由して出て、コアを通過した後、接合部A及びEを経由して勾配タンクへと戻る。このパルスは約10秒を要する
【0539】
第1の加熱パルス−作業流体はまず第2の勾配タンクから圧力容器9200へと運ばれ、これはその中の作業流体がすべて使用されるまで続く−約5秒
【0540】
第2の加熱パルス−主勾配タンク9600からの作業流体がコア9240内で圧力媒体(ヘリウム)を更に加熱するために用いられる−約2.5秒
【0541】
最終の加熱パルス−貯蔵ユニット9900からの高温流体が圧力容器9200を通過する−約2.5秒。
【0542】
なお、第2の勾配タンクは(2つだけではなく)複数のn個が用いられてもよく、各々の勾配タンク分n回の第2パルスが設けられるであろう。例えば、第2勾配タンクが4つの場合、それぞれのタンクは約1秒のパルスを有しうるであろう。基本的には、勾配タンクを複数の第2タンクに分けることは、タンクの様々な部分間を完全に絶縁する単一の勾配タンクを形成することと同じである。
【0543】
システム8000に関して先に説明したように、加熱パルスの間、勾配タンクの作業流体は、放熱器ユニット9400を含み、かつ圧力容器9200を含まない独立した循環を用いて冷却されてもよい。
【0544】
貯蔵ユニット9900は、内部に含まれる水を加熱するよう構成されたソーラー設備と関連しうることがわかっている。詳細には、貯蔵ユニット9900は、保温ポットと類似する、内部鏡と、真空断熱及び/又はユニット9900から熱が逃げるのを防ぐよう構成された外部が濃厚色(例えば黒)の高断熱材で作られてもよい。或いは、高温の作業流体は、それぞれの接合部B及びAを経由してソーラー設備(図示せず)から直接もたらされてもよい。
【0545】
先に説明した両システム8000及び9000に関して、コアには内部及び外部に螺旋が形成されてもよく、この螺旋はリッジと溝を形成し、これによってコアの表面積を増大させ、これにより熱交換プロセスの効率を上げる。
【0546】
詳細には、この配置は、図68Cに示すように、互いに向き合う面の螺旋が互いに対してずれていることで、一方の面のリッジが他方の面の溝を向くような配置であってもよい。
【0547】
上述のシステム8000及び9000に関しては、これらは、システム6000及び7000で先に説明したような高温の気体との熱交換に基づいて高温の流体を生成するよう構成されたシステムとともに用いられてもよいことがわかっている。
【0548】
今度は図70A〜70Eに注目すると、一般的に10,000と表される発電機システムの異なる一設計が示され、このシステムは、燃料ユニット10,100と、気体熱伝達配置10,200と、勾配螺旋配置10,300と、圧力容器10,400と、作業ピストン配置10,500と、歯車機構10,600と、冷却再循環配置10,700と、煙突10,800とを備える。
【0549】
一般的に、上述の構成要素の各々は、以下を行うよう構成されている。
−燃料ユニット10,100は、作業流体との熱交換プロセスを行うため、高温の気体を生成するために燃料を燃やすよう構成されている
−気体熱伝達配置10,200は、燃料ユニット10,100によって提供される高温の気体と作業流体(水)との間の熱交換プロセスを行うよう構成されている
−勾配螺旋10,300は、その内部で作業媒体を循環させ、その中に含まれる作業媒体の様々な部分の間の温度差を維持するよう構成されている
−圧力容器10,400は、作業媒体と圧力媒体との間で熱交換プロセスを行い、後者の体積を増加/減少させるよう構成されている
−作業ピストン配置10,500は、圧力媒体の体積の増加/減少を直線状の動きへと転換するよう構成されている
−歯車機構10,600は、直線状の動きをエネルギー/電気に転換するよう構成されている
−冷却再循環配置10,700は、勾配螺旋10,300内に含まれる作業流体の冷却、及び燃料ユニット10,100の気体の予熱の両方を行うよう構成されている
−煙突10,800は、冷却された気体の排出を行うよう構成されている。
【0550】
運転時には、燃料ユニット10,100で燃料が燃やされ、このとき、燃焼から生じる高温の気体は気体熱伝達システム10,200へともたらされる。高温の気体は、パイプを介して伝達システム10,200にもたらされ、燃料ユニットから反対側の端部でシステム10,200へと入り、煙突10,800の方向に進むことが特筆される。
【0551】
伝達システム10,200を進む間、伝達システム10,200を逆方向に通過する作業流体との熱交換プロセスが発生し、歯車機構10,500に近接する端部で高温の作業流体が生成される。
【0552】
主螺旋10,320及び補助螺旋10,340双方の設計は、各螺旋の総量が、圧力媒体を適切に冷却/加熱するために必要な作業流体の必要量と等しいという設計である。原則的には、螺旋10,320、10,340は先の例との関連で論じたタンクに相当する。螺旋10,320、10,340を形成するチューブ10,322、10,342の直径は、圧力容器10,400のコアを通過するチューブの直径よりも大きいことが特筆される。一方では、熱が逃げることによる損失を最小化するため、コアのチューブのシールをできる限り小さくすることが望ましい。他方では、螺旋10,320、10,340に同じ直径を用いるには、必要な作業流体量を収容するため、螺旋の全長を長くすることが必要になる。
【0553】
したがって、螺旋チューブの直径をコアのチューブの直径よりも大きくするトレードオフが行われる(この2つを接続するため、適切なアダプタを用いてもよい)。アダプタは、回転するコアのチューブと静止状態の螺旋のチューブを適切に接続するため、回転可能であってもよい。加えて、アダプタは、その動作を適切に行うため、任意の必要とされるシールを含んでもよい。
【0554】
螺旋チューブは、チューブ自体への熱損失を回避するため、内部から断熱されていることが特筆される。その動作の特定段階の間、螺旋は高温の作業流体を含んでいるため、仮に断熱されていなければ、螺旋チューブ自体が熱を吸収することがあり、このためシステム10,000の効率性に有害でありうる。内部での断熱は、同様の条件下のあらゆる実施形態にも用いられうることがわかっている。
【0555】
今度は図73C〜73Fに注目し、ここでのシステムの運転を詳細に説明する。
【0556】
初期状態では、第1の圧力容器10,400aは、高温Ttopの圧力媒体を含み、第2の圧力容器10,400bは、低温Tの圧力媒体を含む。
【0557】
第1の主螺旋10,320aは、温度Ttopの作業流体を含み、その一方で第2の主螺旋10,320bは、圧力容器10,400bから離れた端部でのTtopから、圧力容器10,400bに近接する端部でのT0の範囲の勾配温度の作業流体を含む。
【0558】
第1の補助螺旋10,340aは、圧力容器10,400aに近接する端部でのTtopから、その圧力容器から離れた端部でのTmIdの範囲の勾配温度の作業流体を有し、その一方で第2の補助螺旋10,340bは、温度がT0の作業流体を含む。
【0559】
運転の第1段階の間、伝達システム10,200からの作業流体の移動は妨げられ、全ての作業流体は、外部配管を時計回りの方向に循環される。換言すれば、第1の補助螺旋10,340a内に含まれる流体は、第1段階となる圧力媒体のTtopからTmIdに近い温度への冷却を行うため、圧力容器10,400に運ばれる。この間、残りの作業流体は循環されるため、第1の主螺旋10,320aに含まれる作業流体は第2の主螺旋10,320bに移動され、もともと第2の圧力容器と第2の主螺旋10,320bにあった作業流体は第2の補助螺旋10,340bに移動される。もともと第2の補助螺旋内に含まれていた作業流体は、前方に押し出され、外部配管内を循環する。
【0560】
作業流体の残りは、パイプ内を循環し、その内部に含まれる熱のうちのいくらかは、放熱器配置10,700を用いて取り出される。この熱は廃棄されず、むしろ、より高温の空気を燃焼プロセスに提供するため、燃焼チャンバに送り込まれる。
【0561】
この間、気体熱伝達システム10,200内では作業流体は循環されないことに留意することが重要である。しかしながら、気体熱伝達システムは継続して運転しているため、その内部に含まれる作業流体は加熱し続ける。
【0562】
加えて、作業流体は外部配管に沿って循環するため、温度T0の低温の作業流体は圧力容器10,400に到達し、圧力媒体の温度を最終的にT0に下げる。この低温の作業流体は、放熱器システム10,700を通過し、これによって温度をT0に下げることに留意が重要である。
【0563】
運転の第1段階の後、第1の補助螺旋10,340aはT0に、また、圧力容器10,400aもT0に、第1の主螺旋10,320aはT0〜Ttopの範囲の勾配温度になっている。
【0564】
この状態から、主螺旋10,320aは静止状態を保ち、その一方で作業流体は、気体熱伝達システム10,200から上部のループへと循環するため、圧力媒体を温度Ttopにするに足る第2の主螺旋に含まれる作業流体の少なくとも一部分は圧力容器10,400bに移動する。圧力容器の作業流体は、第2の補助螺旋10,340b等へと押し出される。
【0565】
運転のこの段階中、下部ループの作業流体は循環しない。しかしながら、圧力容器は稼働中である、すなわちコアはまだ回転し、内部に含まれる作業流体と圧力媒体との間で熱交換プロセスを行い、これによって、作業流体が循環していないにもかかわらず、後者を更に冷却する。
【0566】
第2段階の後、第2圧力容器の圧力媒体はTtopに、第2の補助螺旋10,340bの作業媒体は、Ttop〜TmIdの範囲の勾配温度になっている。
【0567】
この後、気体熱伝達システム10,200を通る循環は再び阻害され、第1の主螺旋からの勾配の作業媒体は第1圧力容器へと運ばれる。このように、全ての作業流体が外部配管を通ってシステムの周りを反時計回りの方向に循環される。
【0568】
この結果、第1圧力容器10,400aの圧力媒体の温度はTmIdになる。この状態では、第1の主螺旋10,320aは高温の流体のみを備え、第1の補助螺旋10,340aは、TmId〜T0の勾配温度になっている。
【0569】
圧力媒体を必要な高温Ttopにするため、加熱の最終段階が発生し、ここでは上部ループは阻害され(第2の主螺旋及び補助螺旋に循環がない)、勾配螺旋10,320aから圧力容器に高温の流体が提供される。伝達システム10,200からの高温の作業流体は、少なくとも部分的に、システム10,000を図73Cに示す初期状態に戻すに足る程度に、圧力容器に運ばれた高温流体と入れ替わる。
【0570】
上記との関連で、圧力容器を通過する作業流体は絶えず往復運動を行い、その際、主螺旋から圧力容器へと一方向に流れるより多くの流体がもう1つの方向に流れる作業流体を冷却したことがわかる。換言すれば、高温の流体は、圧力容器を通って一方向に押し流され、その後、低温の流体が逆の方向に押し流されるため、システムを流れる作業流体の一部を見ると、それぞれのループを徐々にめぐっているように見ることができる。
【0571】
圧力容器に導入された熱の一部は、ヘリウム(圧力媒体)の膨張のために機械的なエネルギーに常に変換されるため、圧力媒体の全体的な温度が常に下がり、圧力媒体をTtopにするためより多くの高温の(Ttopの)作業流体が必要となることがわかる。換言すれば、圧力媒体の一部が機械的なエネルギーに変換されるときに圧力媒体をTtopにするための必要量は、圧力媒体が膨張しない、及び/又はその熱の一部が作業に変換されないシステムと比べて大きい。
【0572】
今度は図71A〜72Dに移ると、気体熱伝達配置10,200は4つの火容器(fIre vessel)10,210を備え、その各々はハウジング10,212と、回転する内コア10,220と、回転する外殻10,230とを備える。
【0573】
高温の気体は火容器の中心部を通過し、その一方で作業流体は、殻10,230とハウジングとの間に形成されたギャップを通過して、先に説明したような乱流と境界層に好影響を与える。火容器は常に回転するが、圧力容器のコアとして高速で回転する必要はなく、これは一般的により簡素な設計の容器の長さで補うべきである。
【0574】
火容器10,210内では、作業流体の容器の圧力は約221atmで維持されており、これはシステム10,000の残りの構成要素の作業流体の圧力と同じである。
【0575】
火容器10,210は同じ設計又は同じ材料製である必要はなく、例えば、火容器の断熱部は燃料ユニット10,100により近接して置くことができることがわかる。加えて、回転速度はファイアコア(fIre core)によって異なってもよい。
【0576】
燃焼気体の温度が約150℃よりも低くなると、硫黄化合物による損傷が著しく増大することが特筆される。コア自体は、高温の気体、特に硫黄化合物による浸食と有害な影響に耐久性のある材料で作られてもよい。
【0577】
ファイアコアには常に高温の気体及び/又は作業流体が供給されるため、ファイアコアは内部、外部のいずれからも断熱されている(内部に含まれる流体の温度が常に上昇/低下するため、内部だけが断熱されている圧力容器とは異なる)。火容器は、燃料ユニットで燃料を常に燃焼し、放熱器配置10,700によって外部から気体を絶えず取り込むブロワ10,250のため気体が循環することによって、作業流体が循環しないときでも常に稼働することがわかっている。
【0578】
放熱器システム10,700を介して周囲の加熱された空気を提供することによって、燃料ユニットの効率性が上がり、圧力をも維持することがわかっている(吸込圧力は約10〜20atmであってもよい)。上記の圧力を維持することは、ファイアコア内部での熱伝達の効率性を上げる、すなわち、いつでも十分な高温の気体が十分な量でコア内部に含まれることを確実にするのに有益である。上述の圧力は、放熱器10,700の吸気、燃料の燃焼(気体の体積を増大させ、その結果その圧力を増す)とブロワ10,250によって次第に構築される。
【0579】
一方では、気体の圧力上昇によって、高温の気体と作業流体との間の熱交換プロセスの効率が上がる。他方では、圧力の上昇にはブロワへのより多くの電力提供が必要であり、このため両者のバランスをうまくとって釣り合わせることが必要である。
【0580】
加えて、ファイアコアの回転軸は、その寿命を延ばすため、別の冷却システムを用いることで冷却することができ、このことにより、より低い温度でシールと軸受の性能を向上させる。このような冷却は、(火容器から突出している)軸の外部に設けられた専用の冷却開口部を介して行ってもよい。
【0581】
火容器は、アルミニウム、及び/又は銅、及び/又はマグネシウム製であってもよく、又は(鉄と比較して)熱伝達率の高い鋼鉄で作られてもよい。しかしながら、作業流体の圧力が221atmである一方、コア内部の圧力は約10〜20atmであることを考慮すると、材料は、コアにかかる機械的負荷に耐えうるものでなければならない。この2つの要件を最適化し、またこれらの間の妥協点を考慮すべきであるのは明白である。
【0582】
コア10,222の構造上、作業面(内面及び/又は外面)には、表面積を増大させるために先に説明したような歯が形成される。加えて、表面に沿って歯/リッジを形成することで、221atmという外部圧力と10〜20atmという内部圧力との間の圧力差に耐えうるより高度な機械的一体性がファイアコアに備えられる。
【0583】
加えて、コアは、(ウィングレット10,224がコアと共に一体的に形成されているため、コアと共に)回転し、気体を循環させ、その気体を外殻10,232に向かって押し出すよう構成されたウィングレットを備えてもよい。この循環の動きの結果、プロセスはより効率的になり得、火容器10,210の長さを低減することができる。
【0584】
ファイアコアの内部の温度は(所与のどの位置でも)概して同じで高温であるため、ウィングレット10,224を断熱する必要はない。このため、ウィングレットが加熱されても、ファイアコア内部の空間の熱は下がらない。
【0585】
気体熱伝達システム10,200の運転との関連では、煙突10,800に達する気体は、ファイアコアを通過する間に徐々に冷却される結果、既にかなり冷却されている(周囲の温度より約10℃高い)ため、煙突への損傷や気体排出という他の有害な影響が低減されることがわかっている。
【0586】
本システム10,000では、摂氏約370度の温度の(更にはそれよりも低い約100〜200度の温度でさえも)作業流体で電気を生成することが可能であり、この温度は、(蒸気生成への考慮から)できる限り高温に達することが望ましい一般的な発電所での温度よりもはるかに低い。この関連で、作業流体と火容器との間の熱伝達は最大化され、これによって燃料の燃焼により生成される熱の大部分を使用することが可能となる。
【0587】
システム10,000が効率的に熱回収を行うため、一般的な発電所においてよりもはるかに低い温度でシステムを運転することが可能である。一般的に、温度が高いほど、熱エネルギーが機械的エネルギーに変換される割合が高いことがわかっている。この点において、本発電機10,000は、高い割合の熱エネルギーを機械的エネルギーに変換するが、効率的に熱回収を行うため、低い温度で変換することが可能である。
【0588】
圧力容器10,400とピストン10,600は、システム9000との関連において説明済みのものと類似している。
【0589】
加えて、システム10,000は、T0の温度の作業流体を含んだ冷却タンク10,720を備えてもよい。これらのタンクを用いるのは、補助螺旋と放熱器配置10,700を通過する作業流体が最終的にT0の温度に実際に達することを確実にするためである。
【0590】
詳細には、運転中、TmIdの温度の作業流体は、その熱を取り去る放熱器10,700を通過し、その後、T0の作業流体と混合して、少なくともその一部が放熱器10,700を経由して補助螺旋に戻される。作業流体は、このように放熱器を二重に通過することによって、必要とされるT0に達することが可能となる。
【0591】
冷却タンク10,720内での作業流体の混合によって、最終的に気体熱伝達配置10,200へと進む作業流体の温度を平均化し、伝達システム10,200から出て主螺旋10,320へと入る作業流体の熱の変動を低減する。
【0592】
タンク10,720は隔離されておらず、T0のままの状態を保つため、周囲の空気と自然な熱交換プロセスを行うよう構成されている。
【0593】
発電機システム10,000は、高温の気体を生成するよう構成された配置を含め、いかなる設備においても実施可能であることがわかっている。そのような設備の例は、車、船、電車などのような移動設備であるか、又は発電所、原子炉及び他の工業施設のような固定設備でありうる。
【0594】
今度は図74A〜75Bに移ると、一般的に10,000´と表される、先に説明したシステム10,000の変形形態が示されている。この例では、放熱器システム10,700の数を単一の放熱器10,700´に減らし、冷却タンク10,720の数が単一の冷却タンク10,720´に減っている。
【0595】
加えて、運転中、作業流体の流路がわずかに変更され、次の2つの工程で行われる。
第1段階では、第1の補助螺旋10,340a´から放出される加熱された作業流体は、接合部Aを通って放熱器10,700´へと(上部の配管を経由して)もたらされる一方、低い方の通路(A2)は閉じられたままである。同様に、接合部Bでは、B1が開いており、B2は閉じられている。
【0596】
このように、接合部Aと放熱器10,700´を通過した後、作業流体は接合部Bを通って、システムを反時計回りのループで第2の補助螺旋10,340b´へと引き続き流れる。
【0597】
その後、A1とB1が閉じられ、A2とB2が開かれる。この配置では、第1の補助螺旋10,340a´からの作業流体は放熱器10,700´を通り、接合部Bを経由して火容器10,200´へと流れる。
【0598】
上記の運転工程の後、(図75A及び73Bに示すように)方向が逆になり、正に逆のことが行われる(すなわち、システムを時計回りの方向に、接合部Bから接合部Aへ流れる)ことは、言うまでもない。
【0599】
今度は図76A〜76Dに移ると、一般的に11,000と表され、空気調整システムの一部を成すよう構成された発電機の他の例が示されている。
【0600】
一般的に、システム11,000も、放熱器システム11,700と、各主螺旋11,320及び補助螺旋11,340と、圧力容器11,400と、ピストン11,300と、歯車機構11,500とを備える。
【0601】
しかしながら、先に説明した例とは対照的に、ここでは、作業流体の加熱は、燃料を燃焼した結果生成される高温の気体によってではなく、むしろ空気調整システムによって行われる。
【0602】
詳細には、空気調整システム11,900は、エンクロージャ(空間)から高温の空気を排気するよう構成されており、それ自体既知のとおり、このエンクロージャでは、空気調整システムの作業流体(例えばフロン)が、システム11,000の作業流体と熱交換プロセスを行い、これによって流体を所要の高温にするよう構成されている。
【0603】
A/Cシステムの作業流体としては沸点が低い(例えば150K)ものを選択してもよいが、その温度が約450Kに上昇するよう圧縮されうるものである必要がある。これは、外部環境の周囲の温度と作業流体の高温との間の温度差を大きくし、これによって効率性を上げるために行われる。
【0604】
組立て時に、歯車機構は、追加のより小さなモータ11,910とともに稼働するよう構成されたコンプレッサ11,500と接続され、このモータは、空気調整システム11,000の冷却/加熱サイクルを行うための電力をコンプレッサに追加的に供給する。
【0605】
詳細には、コンプレッサ11,500は、作業流体を圧縮するのに必要な電力の一部を供給することができ、その一方、空気調整システムのモータ11,910が必要な電力の残りを供給する。例えば、システム11,000のコンプレッサは電力の約70%を供給可能であり、その一方、モータ11,910は残りの30%を供給することができる。システムは、コンプレッサによって供給される電力に関するデータを受け取り、必要な残りの電力を供給するためのモータを制御して、概ね一定の速度でコンプレッサを回転させるよう構成されたコントローラを備えてもよい。しかしながら、コンプレッサの回転速度における変動は決定的な悪影響を及ぼすものではないため、コントローラがなくても、システムはやはり運転可能である。
【0606】
運転時には、空気調整システム11,900の作業流体は圧縮、加熱され、適切な配管(図80A及び80B参照)を介して、A/Cシステム11,900の作業流体とシステム11,000の作業流体との間の熱交換を容易に行わせる役割を果たすコンデンサ配列を通過するよう構成される。
【0607】
コンデンサ配列11,200を通過するとき、A/Cシステムの作業流体は冷却され、その一方、システム11,000の作業流体は、圧力容器11,400内でヘリウムと熱交換プロセスを行うために必要な温度に加熱される。A/Cシステムの作業流体は、この後、膨張弁E.V.に進み、蒸発器内部で膨張することができるため、これによってエンクロージャの冷却が容易になる。
【0608】
運転時には、システムの右側が加熱されているとき、勾配温度の作業流体が圧力容器10,400へと押し入れられ、その内部にあるヘリウムを加熱させる。接合部Bでは、B1が開かれB2は閉じられ、A1が開かれA2は閉じられているため、流体は放熱器を通って接合部Aへとシステムを時計回りの方向に流れる。
【0609】
この後、右側のポンプのみが引き続き稼働し、高温の作業流体をコンデンサ配列11,200から引き出す。この状態では、B1が開かれB2は閉じられ、A2が開かれA1は閉じられているため、流体はコンデンサ配列11,200へと運ばれる。
【0610】
この段階の間、左側の圧力容器11,400の中では流体の流れはなく、単にその内部のヘリウムを更に冷却させるために自然な熱交換プロセスを継続するのみである。
【0611】
今度は図76Dに移ると、A/Cシステムの作業流体は、コンプレッサ11,500によってコンデンサ配列を通過するよう押し出される。コンデンサ配列11,200は複数の容器11,200を備え、各容器は、入口11,230を通って入るA/Cシステムの作業流体を通過させるよう構成された複数のパイプ11,240を収容する(内部から絶縁された)ハウジング11,210を有する。システム11,000の作業流体は、入口11,220を経由してハウジング11,210に入り、熱交換プロセスを行うためハウジング内でチューブの周りを通過するよう構成されている。
【0612】
コンデンサ配列11,200内をA/C流体が流れる方向は、システム11,000の作業流体の流れる方向と逆であることがわかる。先に説明したように、システム11,000の圧力媒体及び作業流体の圧力は、約221atmのままである。
【0613】
加えて、図76Cに関して、システム11,000は、A/Cシステムの作業流体がコンプレッサに入る前に、システム11,000の作業流体から熱を引き出すことによってA/Cシステムの作業流体を加熱するよう構成された補助冷却配置11,700´を備えてもよい。
【0614】
補助冷却配置は、放熱器11,700´と蒸発器との間に位置する一方向弁11,710´を更に備えてもよい。放熱器11,700´内での熱交換の間、A/Cシステムの作業流体は、温度が上がり膨張する。一方向弁があることで、この膨張は膨張弁を通じた膨張とぶつかり合うことを回避することができる。
【0615】
少なくとも発電機10,000、10,000´、11,000の先の3つの例で、螺旋(主螺旋、補助螺旋のいずれも)は、発電機の特定の運転段階中、その中に含まれる作業流体の勾配温度を維持する勾配タンクを構成し、その機能において、先に説明した勾配タンクと同じであることがわかる。
【0616】
今度は図77Aと77Bに移ると、ヘリウム(又は圧力容器内の他の任意の圧力媒体)と熱交換プロセスを行う2つの方法が示されている。いずれの例でも、圧力媒体はまず勾配温度の作業媒体によって、その後はT0の温度の作業流体の追加で冷却される。
【0617】
しかしながら、第1の例では、勾配温度の作業流体は、まず最も低温である部分が圧力容器に供給され、最も高温の勾配温度部分に到達するまで圧力媒体を次第に冷却する。その後、ヘリウムはT0が追加されることで更に冷却される。
【0618】
上記のプロセスの結果、圧力容器を通過した後の作業流体の温度プロフィールは、変化し、変動する温度勾配を有するものであることが見て取れる。具体的には、Ttopよりも低い温度T´´の作業流体部分(a)と、(a)よりも圧力容器に近接した、T´´よりも高温のT´´´の温度である他の作業流体部分(b)が存在しうる。
【0619】
図示される第2の例では、勾配温度の作業流体は、最も高温の部分から最も低温の部分へと圧力容器に供給され、その後T0の作業流体が追加される。
【0620】
その結果、圧力容器を通過した後の勾配の作業流体の温度プロフィールは、圧力容器に近接する側ではより低温で、圧力容器から離れるにしたがってその温度が常に上がっていくことが見て取れる。換言すれば、作業媒体の部分(a)が部分(b)よりも圧力容器に近接している場合、その温度も(a)の方が(b)より低い。
【0621】
勾配温度の最初の部分(最も高温の部分)は、圧力媒体の温度よりもわずかに低い温度で圧力容器の端部に達する(すなわち、圧力媒体との熱交換プロセスを完了する)よう構成されていることがわかる。この要件を制御し、維持するため、流体の流速及び/又はコアの回転速度を調整してもよい。
【0622】
このような調整を行わなければ、その部分の温度差は大きくなり、これによって必然的に熱エネルギーの差を、燃焼チャンバでの燃料の燃焼量を増加させることによって補うことになる。
【0623】
発電機の作業流体が水で構成されるとき、水をその臨界点で、つまり温度は約374℃かつ圧力は221atmで維持すること(すなわち臨界水)が有益でありうることがわかる。これらの条件で水を用いることによって、圧力媒体との熱伝達の効率性は非常に上がる。
【0624】
作業流体を加熱し、この加熱をその運転の任意の段階でシステムに提供しうるよう構成されたソーラー配置を追加可能であることがわかる。例えば、作業流体は、気体熱伝達システム、貯蔵ユニットなどに戻る前に、ソーラー設備によって部分的に再加熱されてもよい。具体的には、気体熱伝達システムの場合、システムを通過する作業流体が同じ温度である時点で、加熱された作業流体を伝達システムに供給することは有益でありうる。或いは、圧力容器又は高温の貯蔵に直接供給されてもよい。
【0625】
上記のすべてに加えて、システムは、発電機によって生成された電気量を測定するセンサと、このセンサと関連して所望の電気量の値を提供するコントローラとを備える制御配置を備えてもよく、このセンサとコントローラはともにフィードバックループを形成する。
【0626】
コントローラは、少なくとも以下を調整するよう構成される。
−加熱/冷却時間
−コアの回転速度
−ポンプ/ブロワによって提供される圧力。
【0627】
本出願の対象に関係する当業者は、本出願の対象の範囲を逸脱することなく準用して、数多くの変更、変形形態及び修正を加えることができることを容易に理解するであろう。
図1A
[この文献は図面を表示できません]
図1B
[この文献は図面を表示できません]
図1C
[この文献は図面を表示できません]
図1D
[この文献は図面を表示できません]
図2A
[この文献は図面を表示できません]
図2B
[この文献は図面を表示できません]
図3A
[この文献は図面を表示できません]
図3B
[この文献は図面を表示できません]
図3C
[この文献は図面を表示できません]
図3D
[この文献は図面を表示できません]
図3E
[この文献は図面を表示できません]
図4A
[この文献は図面を表示できません]
図4B
[この文献は図面を表示できません]
図4C
[この文献は図面を表示できません]
図4D
[この文献は図面を表示できません]
図4E
[この文献は図面を表示できません]
図4F
[この文献は図面を表示できません]
図5A
[この文献は図面を表示できません]
図5B
[この文献は図面を表示できません]
図5C
[この文献は図面を表示できません]
図6A
[この文献は図面を表示できません]
図6B
[この文献は図面を表示できません]
図6C
[この文献は図面を表示できません]
図7A
[この文献は図面を表示できません]
図7B
[この文献は図面を表示できません]
図7C
[この文献は図面を表示できません]
図8A
[この文献は図面を表示できません]
図8A1
[この文献は図面を表示できません]
図8B
[この文献は図面を表示できません]
図8B1
[この文献は図面を表示できません]
図8C
[この文献は図面を表示できません]
図8C1
[この文献は図面を表示できません]
図8D
[この文献は図面を表示できません]
図8D1
[この文献は図面を表示できません]
図8E
[この文献は図面を表示できません]
図8E1
[この文献は図面を表示できません]
図8F
[この文献は図面を表示できません]
図9
[この文献は図面を表示できません]
図10
[この文献は図面を表示できません]
図11A
[この文献は図面を表示できません]
図11B
[この文献は図面を表示できません]
図12A
[この文献は図面を表示できません]
図12B
[この文献は図面を表示できません]
図12C
[この文献は図面を表示できません]
図12D
[この文献は図面を表示できません]
図13A
[この文献は図面を表示できません]
図13B
[この文献は図面を表示できません]
図14A
[この文献は図面を表示できません]
図14B
[この文献は図面を表示できません]
図14C
[この文献は図面を表示できません]
図14D
[この文献は図面を表示できません]
図14E
[この文献は図面を表示できません]
図14F
[この文献は図面を表示できません]
図15A
[この文献は図面を表示できません]
図15B
[この文献は図面を表示できません]
図15C
[この文献は図面を表示できません]
図16A
[この文献は図面を表示できません]
図16B
[この文献は図面を表示できません]
図17A
[この文献は図面を表示できません]
図17B
[この文献は図面を表示できません]
図17C
[この文献は図面を表示できません]
図17D
[この文献は図面を表示できません]
図17E
[この文献は図面を表示できません]
図17E1
[この文献は図面を表示できません]
図18A
[この文献は図面を表示できません]
図18B
[この文献は図面を表示できません]
図18C
[この文献は図面を表示できません]
図18D
[この文献は図面を表示できません]
図18E
[この文献は図面を表示できません]
図18F
[この文献は図面を表示できません]
図18G
[この文献は図面を表示できません]
図19A
[この文献は図面を表示できません]
図19B
[この文献は図面を表示できません]
図19C
[この文献は図面を表示できません]
図19D
[この文献は図面を表示できません]
図19E
[この文献は図面を表示できません]
図19F
[この文献は図面を表示できません]
図20A
[この文献は図面を表示できません]
図20B
[この文献は図面を表示できません]
図20C
[この文献は図面を表示できません]
図20D
[この文献は図面を表示できません]
図20E
[この文献は図面を表示できません]
図21A
[この文献は図面を表示できません]
図21B
[この文献は図面を表示できません]
図21C
[この文献は図面を表示できません]
図21D
[この文献は図面を表示できません]
図21E
[この文献は図面を表示できません]
図21F
[この文献は図面を表示できません]
図21G
[この文献は図面を表示できません]
図22A
[この文献は図面を表示できません]
図22B
[この文献は図面を表示できません]
図22C
[この文献は図面を表示できません]
図22D
[この文献は図面を表示できません]
図23A
[この文献は図面を表示できません]
図23B
[この文献は図面を表示できません]
図23C
[この文献は図面を表示できません]
図23D
[この文献は図面を表示できません]
図23E
[この文献は図面を表示できません]
図23F
[この文献は図面を表示できません]
図24A
[この文献は図面を表示できません]
図24B
[この文献は図面を表示できません]
図24C
[この文献は図面を表示できません]
図24D
[この文献は図面を表示できません]
図25A
[この文献は図面を表示できません]
図25B
[この文献は図面を表示できません]
図26A
[この文献は図面を表示できません]
図26B
[この文献は図面を表示できません]
図27A
[この文献は図面を表示できません]
図27B
[この文献は図面を表示できません]
図27C
[この文献は図面を表示できません]
図27D
[この文献は図面を表示できません]
図27E
[この文献は図面を表示できません]
図28A
[この文献は図面を表示できません]
図28B
[この文献は図面を表示できません]
図29A
[この文献は図面を表示できません]
図29B
[この文献は図面を表示できません]
図29C
[この文献は図面を表示できません]
図30A
[この文献は図面を表示できません]
図30B
[この文献は図面を表示できません]
図30C
[この文献は図面を表示できません]
図31A
[この文献は図面を表示できません]
図31B
[この文献は図面を表示できません]
図32A
[この文献は図面を表示できません]
図32B
[この文献は図面を表示できません]
図33A
[この文献は図面を表示できません]
図33B
[この文献は図面を表示できません]
図33C
[この文献は図面を表示できません]
図34
[この文献は図面を表示できません]
図35A
[この文献は図面を表示できません]
図35B
[この文献は図面を表示できません]
図35C
[この文献は図面を表示できません]
図35D
[この文献は図面を表示できません]
図35E
[この文献は図面を表示できません]
図36A
[この文献は図面を表示できません]
図36B
[この文献は図面を表示できません]
図36C
[この文献は図面を表示できません]
図36D
[この文献は図面を表示できません]
図37A
[この文献は図面を表示できません]
図37B
[この文献は図面を表示できません]
図37C
[この文献は図面を表示できません]
図37D
[この文献は図面を表示できません]
図37E
[この文献は図面を表示できません]
図38
[この文献は図面を表示できません]
図39
[この文献は図面を表示できません]
図40A
[この文献は図面を表示できません]
図40B
[この文献は図面を表示できません]
図40C
[この文献は図面を表示できません]
図40D
[この文献は図面を表示できません]
図41A
[この文献は図面を表示できません]
図41B
[この文献は図面を表示できません]
図41C
[この文献は図面を表示できません]
図41D
[この文献は図面を表示できません]
図41E
[この文献は図面を表示できません]
図42A
[この文献は図面を表示できません]
図42B
[この文献は図面を表示できません]
図42C
[この文献は図面を表示できません]
図42D
[この文献は図面を表示できません]
図42E
[この文献は図面を表示できません]
図43
[この文献は図面を表示できません]
図44A
[この文献は図面を表示できません]
図44B
[この文献は図面を表示できません]
図44C
[この文献は図面を表示できません]
図45A
[この文献は図面を表示できません]
図45B
[この文献は図面を表示できません]
図45C
[この文献は図面を表示できません]
図46A
[この文献は図面を表示できません]
図46B
[この文献は図面を表示できません]
図46C
[この文献は図面を表示できません]
図46D
[この文献は図面を表示できません]
図47
[この文献は図面を表示できません]
図48A
[この文献は図面を表示できません]
図48B
[この文献は図面を表示できません]
図48C
[この文献は図面を表示できません]
図49A
[この文献は図面を表示できません]
図49B
[この文献は図面を表示できません]
図49C
[この文献は図面を表示できません]
図49D
[この文献は図面を表示できません]
図49E
[この文献は図面を表示できません]
図49F
[この文献は図面を表示できません]
図49G
[この文献は図面を表示できません]
図49H
[この文献は図面を表示できません]
図50A
[この文献は図面を表示できません]
図50B
[この文献は図面を表示できません]
図51
[この文献は図面を表示できません]
図52A
[この文献は図面を表示できません]
図52B
[この文献は図面を表示できません]
図52C
[この文献は図面を表示できません]
図53A
[この文献は図面を表示できません]
図53B
[この文献は図面を表示できません]
図53C
[この文献は図面を表示できません]
図53D
[この文献は図面を表示できません]
図53E
[この文献は図面を表示できません]
図54A
[この文献は図面を表示できません]
図54B
[この文献は図面を表示できません]
図55A
[この文献は図面を表示できません]
図55B
[この文献は図面を表示できません]
図55C
[この文献は図面を表示できません]
図55D
[この文献は図面を表示できません]
図56A
[この文献は図面を表示できません]
図56B
[この文献は図面を表示できません]
図56C
[この文献は図面を表示できません]
図56D
[この文献は図面を表示できません]
図56E
[この文献は図面を表示できません]
図57A
[この文献は図面を表示できません]
図57B
[この文献は図面を表示できません]
図57C
[この文献は図面を表示できません]
図57D
[この文献は図面を表示できません]
図57E
[この文献は図面を表示できません]
図58
[この文献は図面を表示できません]
図59A
[この文献は図面を表示できません]
図59B
[この文献は図面を表示できません]
図59C
[この文献は図面を表示できません]
図59D
[この文献は図面を表示できません]
図59E
[この文献は図面を表示できません]
図60A
[この文献は図面を表示できません]
図60B
[この文献は図面を表示できません]
図60C
[この文献は図面を表示できません]
図60D
[この文献は図面を表示できません]
図60E
[この文献は図面を表示できません]
図61A
[この文献は図面を表示できません]
図61B
[この文献は図面を表示できません]
図61C
[この文献は図面を表示できません]
図62A
[この文献は図面を表示できません]
図62B
[この文献は図面を表示できません]
図62C
[この文献は図面を表示できません]
図62D
[この文献は図面を表示できません]
図63A
[この文献は図面を表示できません]
図63B
[この文献は図面を表示できません]
図64
[この文献は図面を表示できません]
図65A
[この文献は図面を表示できません]
図65B
[この文献は図面を表示できません]
図66A
[この文献は図面を表示できません]
図66B
[この文献は図面を表示できません]
図66C
[この文献は図面を表示できません]
図66D
[この文献は図面を表示できません]
図66E
[この文献は図面を表示できません]
図67A
[この文献は図面を表示できません]
図67B
[この文献は図面を表示できません]
図67C
[この文献は図面を表示できません]
図68A
[この文献は図面を表示できません]
図69
[この文献は図面を表示できません]
図70A
[この文献は図面を表示できません]
図70B
[この文献は図面を表示できません]
図70C
[この文献は図面を表示できません]
図70D
[この文献は図面を表示できません]
図70E
[この文献は図面を表示できません]
図71A
[この文献は図面を表示できません]
図71B
[この文献は図面を表示できません]
図72A
[この文献は図面を表示できません]
図72B
[この文献は図面を表示できません]
図72C
[この文献は図面を表示できません]
図72D
[この文献は図面を表示できません]
図73A
[この文献は図面を表示できません]
図73B
[この文献は図面を表示できません]
図73C
[この文献は図面を表示できません]
図73D
[この文献は図面を表示できません]
図73E
[この文献は図面を表示できません]
図73F
[この文献は図面を表示できません]
図74A
[この文献は図面を表示できません]
図74B
[この文献は図面を表示できません]
図75A
[この文献は図面を表示できません]
図75B
[この文献は図面を表示できません]
図76A
[この文献は図面を表示できません]
図76B
[この文献は図面を表示できません]
図76C
[この文献は図面を表示できません]
図76D
[この文献は図面を表示できません]
図77A
[この文献は図面を表示できません]
図77B
[この文献は図面を表示できません]
図78A
[この文献は図面を表示できません]
図78B
[この文献は図面を表示できません]
図78C
[この文献は図面を表示できません]
図78D
[この文献は図面を表示できません]
図78E
[この文献は図面を表示できません]
図78F
[この文献は図面を表示できません]
図78G
[この文献は図面を表示できません]
図78H
[この文献は図面を表示できません]