【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1) 焼灼プローブであって、以下:
内側伝導体と、この内側伝導体の周りに同軸性に配置された外側伝導体と、この内側伝導体とこの外側伝導体との間に配置された誘電体とを有する同軸フィードラインであって、この内側伝導体と誘電体とは、その遠位端においてこの外側伝導体を超えて延びる、同軸フィードライン;
この内側伝導体の遠位端に作動可能に連結された近位端を有する放射セクション;
この放射セクションの遠位端に連結された遠位先端部であって、この遠位先端部は、その周囲に少なくとも1つのo−リングが配置されたほぼ円筒状の近位先端延長部を備える、遠位先端部;
この外側伝導体の周りに電気的に連絡した状態で配置されたバルン短絡;
このバルン短絡の周りに同軸性に配置された伝導管;
この伝導管内に長手方向に画定された少なくとも1つの流体導管;および
この伝導管の周りに同軸性に配置されたカテーテルであって、このカテーテルの遠位端は、この遠位先端部の近位端に接合され、内部に冷却液チャンバを画定している、カテーテル
を備える、焼灼プローブ。
【0008】
(項目2) 上記カテーテルが、低電導性および誘電性からなる群より選択される電気的特性を有する高周波透過性材料から形成される、上記項目に記載の焼灼プローブ。
【0009】
(項目3) 上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブであって、
上記バルン短絡が、流入管を受容するように適合された、内部に画定された第1ノッチと、内部に画定された少なくとも1つの第2ノッチとを備え;そして
上記少なくとも1つの流体導管が、上記外側伝導体に沿って長手方向に配置され、かつ、少なくとも部分的にこの第1ノッチ内に位置決めされた流入管を備える、
焼灼プローブ。
【0010】
(項目4) 上記流入管の遠位端が、上記冷却液チャンバと流体連絡している、上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブ。
【0011】
(項目5) 上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブであって、
上記バルン短絡が、リブ部材を受容するように適合された、内部に画定された少なくとも2つの第1ノッチと、この少なくとも2つの第1ノッチの間で半径方向に画定された少
なくとも2つの第2ノッチとを備え;そして
少なくとも2つのリブ部材が上記外側伝導体に沿って長手方向に配置され、このリブ部材の各々は、少なくとも部分的に第1ノッチ内に位置決めされ、上記伝導管内に少なくとも2つの流体導管を画定する、
焼灼プローブ。
【0012】
(項目6) 上記伝導管の遠位端が、上記バルン短絡から約1/4波長遠位に位置決めされる、上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブ。
【0013】
(項目7) 上記遠位先端部が、実質的に円錐形、実質的に円筒形、実質的に丸い形状、実質的に放物線状、実質的に平坦、実質的にナイフ様、および実質的にフレア状からなる群より選択される形状を有する、上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブ。
【0014】
(項目8) 上記カテーテルの外側表面上に配置された潤滑層をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブ。
【0015】
(項目9) 上記遠位先端部の外側表面上に配置された潤滑層をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブ。
【0016】
(項目10) 上記近位先端延長部と上記カテーテルとの間に配置されたシーリング化合物をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブ。
【0017】
(項目11) 焼灼システムであって、以下:
マイクロ波焼灼エネルギー源;
このマイクロ波焼灼エネルギー源に作動可能に連結された同軸フィードラインであって、この同軸フィードラインは、内側伝導体と、この内側伝導体の周りに同軸性に配置された外側伝導体と、この内側伝導体とこの外側伝導体との間に配置された誘電体とを備え、この内側伝導体と誘電体とは、その遠位端においてこの外側伝導体を超えて延びる、同軸フィードライン;
この内側伝導体の遠位端に作動可能に連結された近位端を有する放射セクション;
この放射セクションの遠位端に連結された遠位先端部であって、この遠位先端部は、その周囲に少なくとも1つのo−リングが配置されたほぼ円筒状の近位先端延長部を備える、遠位先端部;
この外側伝導体の周りに電気的に連絡した状態で配置されたバルン短絡;
このバルン短絡の周りに同軸性に画定された伝導管;
この伝導管内に長手方向に画定された少なくとも1つの流体導管;および
この伝導管の周りに同軸性に配置されたカテーテルであって、このカテーテルの遠位端は、この遠位先端部の近位端に接合され、その内部に冷却液チャンバを画定している、カテーテル
を備える、焼灼システム。
【0018】
(項目12) 上記カテーテルが、低電導性および誘電性からなる群より選択される電気的特性を有する高周波透過性材料から形成される、上記項目のいずれかに記載の焼灼システム。
【0019】
(項目13) 上記項目のいずれかに記載の焼灼システムであって、
上記バルン短絡が、流入管を受容するように適合された、内部に画定された第1ノッチと、内部に画定された少なくとも1つの第2ノッチとを備え;そして
上記少なくとも1つの流体導管が、上記外側伝導体に沿って長手方向に配置され、かつ、少なくとも部分的にこの第1ノッチ内に位置決めされた流入管を備える、焼灼システム
。
【0020】
(項目14) 上記流入管の遠位端が、上記冷却液チャンバと流体連絡している、上記項目のいずれかに記載の焼灼システム。
【0021】
(項目15) 上記項目のいずれかに記載の焼灼システムであって、
上記バルン短絡が、リブ部材を受容するように適合された、内部に画定された少なくとも2つの第1ノッチと、この少なくとも2つの第1ノッチの間で半径方向に画定された少なくとも2つの第2ノッチとを備え;そして
少なくとも2つのリブ部材が上記外側伝導体に沿って長手方向に配置され、このリブ部材の各々は、少なくとも部分的に第1ノッチ内に位置決めされ、上記伝導管内に少なくとも2つの流体導管を画定する、
焼灼システム。
【0022】
(項目16) 上記伝導管の遠位端が、上記バルン短絡から約1/4波長遠位に位置決めされる、上記項目のいずれかに記載の焼灼システム。
【0023】
(項目17) 上記遠位先端部が、実質的に円錐形、実質的に円筒形、実質的に丸い形状、実質的に放物線状、実質的に平坦、実質的にナイフ様、および実質的にフレア状からなる群より選択される形状を有する、上記項目のいずれかに記載の焼灼システム。
【0024】
(項目18) 上記カテーテルの外側表面上に配置された潤滑層をさらに備える、上記項目のいずれかに記載の焼灼システム。
【0025】
(項目19) 焼灼プローブの製造方法であって、この方法は、以下:
内側伝導体と、外側伝導体と、この内側伝導体とこの外側伝導体との間に配置された誘電体とを有する同軸フィードラインを提供する工程;
この内側伝導体の遠位端に、遠位放射セクションシリンダを接合する工程;
この遠位放射セクションシリンダに遠位先端部を接合する工程;
この外側伝導体上にバルン短絡を位置決めする工程;
この外側伝導体の外側表面上に少なくとも1つの流体導管部材を位置決めする工程であって、この導管部材は、このバルン短絡内に画定されたノッチ内に長手方向に配置される、工程;
このバルン短絡の周りに伝導管を位置決めする工程;ならびに
このバルン短絡および同軸フィードラインの少なくとも一方を覆って導管を位置決めする工程であって、この導管の遠位端は、この遠位先端部の近位端に固定される、工程
を包含する、方法。
【0026】
(項目20) 上記伝導管の遠位端は、上記バルン短絡から1/4波長の距離遠位に位置決めされる、上記項目のいずれかに記載の焼灼プローブの製造方法。
【0027】
(摘要)
同軸フィードラインと冷却チャンバとを有する電磁性外科用焼灼プローブが開示される。開示されるプローブは、放射セクションと、放射セクションの遠位端に連結された遠位先端部と、リング様のバルン短絡またはチョーク(これが、プローブの放射パターンを制御し得る)とを有する双極性アンテナ配置を備える。バルン短絡の周りに同軸性に配置された伝導管は、脱イオン水のような冷却液をプローブ内に画定された冷却チャンバに提供する少なくとも1つの流体導管を備える。高周波透過性カテーテルがプローブの外側表面を形成し、そして、潤滑コーティングを備え得る。
【0028】
(概要)
本開示は、冷却され、誘電的に緩衝されたアンテナアセンブリを有する電磁性外科用焼灼プローブを提供する。ケーブルは、電力の送達性能および電力の取り扱いを改善し、そして、構成要素の温度を下げるために、同軸性の伝導体を介してプローブに電磁エネルギーを提供し、そして/または、流体導管を介して冷却液を提供する。適切な冷却液としては、脱イオン水、滅菌水または生理食塩水が挙げられる。
【0029】
プローブは、2つの同軸性に配置された円筒形の管を備える。外側の管は、エポキシガラス複合材料のような高周波透過性材料から形成されたカテーテルであり、近位のデバイスのハンドルからプローブの遠位先端部へと延びる。カテーテルの高周波透過性材料はさらに、低伝導性または誘電性特性を有し得る。ある実施形態では、カテーテルの材料は、プローブの作動周波数(例えば、915MHz〜2.45GHz)において低電導性または誘電性の特性を呈し得る。内側の管は、伝導性材料(例えば、ステンレス鋼のような金属)から形成され、デバイスのハンドルから放射セクションの近位端へと延びる。外側の管の内径は、内側の管の外径と実質的に等しい。
【0030】
金属またはプラスチック製の先端部が、カテーテルの遠位端に位置決めされ得る。先端部は、プローブの組織内への挿入の容易さを向上するために、トロカール幾何学(例えば、実質的に円錐形)で作製され得る。先端部およびカテーテルは、非粘着性の熱収縮性材料および/または潤滑コーティングでコーティングされ得る。
【0031】
同軸フィードラインの内側の金属管と外側伝導体との間には、内側の金属管の遠位端から約1/4波長(γ/4)近位の距離に電気的接続が設けられ、短絡バルンが形成される。あるいは、バルンは、内側の金属管の遠位端から1/4波長の任意の奇数倍(例えば、3γ/4、5γ/4など)の距離に位置決めされ得る。本明細書中で使用される場合、用語「波長」は、開示されるアンテナの作動周波数に対応する電磁エネルギー(例えば、マイクロ波焼灼エネルギー)の波長をいう。循環する冷却液(好ましくは、低電導性を有する)は、バルンの誘電性絶縁体を形成する。
【0032】
アンテナの放射セクションは、双極性の構造を有する。双極性フィードは、同軸性の外側伝導体を開き(例えば、剥がす)、そして、同軸フィードラインの延長された誘電体および内側伝導体を遠位に露出させることによって構築される。同軸性の誘電体の切断部は、円筒状の放射セクションにおいて直径が増加する内側伝導体とぴったり合い、この円筒状の放射セクションは、アンテナの遠位先端部に向かってさらに遠位に延びている。内側伝導体は、アンテナの先端部に対し遠位に連結され得る。内側伝導体はまた、放射性能を向上させ、そして、さらなる機械的強度を提供するために、フレア状であっても、らせん状であっても、ディスクが充填されていてもよい。
【0033】
バルン短絡内のノッチは、冷却および誘電性の緩衝のためにバルン構造を通して放射セクション内へと流体を循環させることを可能にする。遮蔽またはメッシュもまた、バルン短絡のために使用され得る。流体の流入および流出の制御は、短絡を通って放射セクション内へと通過する流入管および/もしくは流出管を用いるか、または、円筒形の幾何学を流入および流出のための2つのセクションへと分割するための突出した低電導性構造を用いるかのいずれかによって達成され得る。この構造は、さらに、カテーテル管内に同軸フィードラインおよびアンテナ放射構造を中心に配置し得る。
【0034】
本開示によるマイクロ波焼灼アンテナは、大きな焼灼直径を迅速に達成すること、ほぼ球状の焼灼形状、低い反射電力、プローブシャフトの冷却、皮下処置において使用するためのより狭いゲージの針サイズ(15g)を有することなどの利点を有し得る。金属製の伝導管は、増大した強度および剛性を提供し得、例えば、胸壁を通した難しい挿入を可能
にする。バルン短絡は、多くの放射をプローブの遠位先端部へと限定し、皮膚の火傷を引き起こし得る複数のアンテナの相互作用からの合併症の可能性を低下させ得る。
【0035】
一実施形態では、本開示による電磁性外科用焼灼プローブは、内側伝導体と、外側伝導体と、内側伝導体と外側伝導体との間に配置された誘電体とを有する同軸フィードラインを備える。外側伝導体は先が切られて(例えば、剥がされて)おり、それによって、内側伝導体と誘電体とが、外側伝導体を超えて延びる。放射セクションは、内側伝導体の遠位端に連結され、そして、遠位先端部は、放射セクションの遠位端に連結される。先端部は、その周囲に少なくとも1つのo−リングが配置されたほぼ円筒形の近位先端延長部を備え、これは、冷却液チャンバの流体の漏れからの密封を助け得る。本開示のプローブはまた、外側伝導体の周りに電気的に連絡した状態で配置されたリング様のバルン短絡を備え、これは、プローブの放射パターンの制御を助け得る。その中を通して伝導管が配置される。遠位先端部の近位端に接合された高周波透過性カテーテルが、プローブを取り囲み、そして、プローブ内に冷却液チャンバを画定する。
【0036】
また、同軸フィードラインによって前述のプローブに作動可能に連結されたマイクロ波焼灼エネルギー源を備える電磁性外科用焼灼システムも開示される。
【0037】
本開示はまた、焼灼プローブの製造方法にも関しており、この方法は、内側伝導体と、外側伝導体と、内側伝導体と外側伝導体との間に配置された誘電体とを有する同軸フィードラインを提供する工程を包含する。遠位放射セクションシリンダが、内側伝導体の遠位端に接合され、そして、遠位先端部が遠位放射セクションシリンダに接合される。内部に少なくとも1つのノッチが画定されたバルン短絡が外側伝導体上に位置決めされ、そして、少なくとも1つの流体導管部材が外側伝導体の外側表面上に位置決めされ、その結果、流体導管部材は、バルン短絡上に設けられたノッチ内に長手方向に配置される。伝導管がバルン短絡の周りに位置決めされ、そして、高周波透過性導管がアセンブリを覆って位置決めされる。高周波透過性導管の遠位端は、遠位先端部の近位端に固定される。
【0038】
本開示の上記および他の局面、特徴および利点は、添付の図面と組み合わせて以下の詳細な説明を考慮すればより明らかとなる。