【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、第1の態様は、衝突する命令が受信されるときにワイヤレス通信ネットワークにおいてアップリンク送信のための共通チャネルの種類を選択する方法であって、第1の受信された命令に従って情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるステップと、第2の種類の共通チャネルで任意のアップリンク送信を行う第2の命令を受信するステップと、送信されるべき何らかの情報が存在するかどうかを判定し、存在しない場合、第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようとする試みをやめるステップとを含む、方法を提供する。
【0010】
ユーザ機器は、例えば、UMTS電気通信ネットワークにおいてさまざまなモードで動作する可能性がある。セルにおいてユーザ機器のスイッチを初めてオンにすると、ユーザ機器は、概して、「アイドル・モード」で動作する。ユーザ機器は、基地局と同期し、そのユーザ機器自体を基地局にアタッチすると、無線リソース制御(RRC)接続を獲得し、接続モードにあると言われる。アイドル・モードのユーザ機器は、無線リソース制御(RRC)接続を持たない。ユーザ機器は、RRC接続されている場合、5つの異なるRRC状態、すなわち、cell_DCH、cell_FACH、拡張cell_FACH、cell_PCH、またはURA_PCH状態のうちの1つにある可能性がある。概して、ユーザ機器は、cell_DCH状態において、基地局からデータを送受信する個別チャネルを割り当てられるので、そのユーザ機器のトラフィックが多いとき、そのようなcell_DCH状態に移る。UMTSネットワーク・アーキテクチャにおいて、ユーザ機器は、そのユーザ機器が大量のトラフィックを有すると予想されるcell_DCH状態にある可能性がある。cell_DCH状態における動作は、概して、バッテリー電力を多く必要とする。
【0011】
ユーザ機器は、cell_DCH状態にないとき、アップリンクでランダム・アクセス・チャネル(RACH)を使用して動作し、基地局は、下りアクセス・チャネル(FACH:forward access channel)を使用してユーザ機器と通信するように動作する。RACHおよびFACHは、非常に小さなデータ搬送能力を有する。WCDMAまたはUMTSシステムにおいては、ユーザ機器がcell_FACH状態にあるときにユーザ機器および基地局がダウンリンクおよびアップリンクで共有または共通リソースを用いて動作し、それらの間でデータ・トラフィックを伝達するための能力が、拡張cell_FACHによって導入された。アップリンクにおいて、データ・トラフィックの送信は、拡張個別チャネル(E−DCH)を用いて行われ、ダウンリンクにおいて、トラフィックは、高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH:high speed downlink shared channel)で送信される。それらのチャネルは、ユーザ機器がcell_DCH状態になる必要なしにユーザ機器および基地局がある時間それらの間でより大きなデータ・パケットを伝達し、送信することを可能にする。そのような構成は、ユーザ機器がより個別的な状態に移ることなくより長くcell_FACH状態に留まることを可能にし、それによって、電力消費を抑えることを可能にする。
【0012】
一部のデータ・トラフィックは本質的に特にバースト状である可能性があり、例えば、需要は、ユーザ機器がウェブサイトのページをロードする間は高いが、その後、ユーザがそのウェブサイトを読む間は実質的にゼロである可能性があることが理解されるであろう。スマートフォンによってますます使用されようになっているそのようなバースト状のトラフィックのために完全なcell_DCH状態で動作することは、特にバッテリーの無駄が多い可能性があり、したがって、より個別的な無線接続状態になることなくバースト状のトラフィックを処理する能力が、有益である。
【0013】
CELL_FACH状態で動作するユーザ機器の機能は、さまざまな従属的特徴の実装によって拡張された。2つのそのような従属的特徴は、(i)スタンドアロンHS−DPCCH送信および(ii)RACHフォールバックである。
【0014】
HS−DPCCH(高速個別物理制御チャネル)は、CQI(チャネル品質指標)、およびダウンリンクHS−DSCH(高速個別共有チャネル)のパケットに関する肯定応答などの制御情報を運ぶためにユーザ機器によってアップリンクで使用されるチャネルである。HS−DPCCH(またはフィードバック・チャネル)は、CQI情報に基づいて適切なトランスポート・ブロック・サイズが選択され、ack/nackメッセージングの結果としてブラインド再送信が最小化され得るようにフィードバック情報が基地局に送り返されることを可能にする。
【0015】
これまで、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器は、そのユーザ機器が送信すべきアップリンク・データを持っていた場合に限ってHS−DPCCHフィードバック情報を送信するように動作可能になっていた。(NBトリガHS−DPCCH送信(NB triggered HS−DPCCH transmission)としても知られる)スタンドアロンHS−DPCCH送信の従属的特徴は、ユーザ機器が送信すべきアップリンク・データを有するかどうかに関わらずユーザ機器がHS−DPCCHでフィードバック情報を送信することを基地局(NodeB)がトリガすることを可能にする。概して、基地局は、ユーザ機器にHS−SCCH(高速共有制御チャネル(High Speed−Shared Control Channel))命令を送信することによって、その基地局がユーザ機器からHS−DPCCH情報を受信したいことを示すように動作可能である。フィードバックの送信をトリガすることは、任意のHS−DSCHのパケットをスケジューリングする前に基地局がフィードバック情報、例えば、CQI情報を集めることを可能にし、それによって、基地局がユーザ機器への送信のための適切なトランスポート・ブロック・サイズをスケジューリングすることを可能にする。フィードバック情報の送信をトリガすることによって、基地局は、さらに、前のHS−DSCHのパケットに関してユーザ機器からフィードバック情報、例えば、ACK/NACKインジケータを受信し、したがって、それらの前のHS−DSCHのパケットのブラインド再送信を実行する必要をなくす可能性があり、それらの再送信は、通常、ACK/NACKメッセージがない場合にユーザ機器がそれらのパケットを受信することを保証するために行われる。
【0016】
概して、HS−DPCCHフィードバック情報は、共通(「共有」と呼ばれることもある)チャネルを用いてユーザ機器から基地局に送信される。ユーザ機器がCELL_DCH状態で動作しているとき、HS−DPCCHフィードバックは、個別リソースで送信される可能性がある。ネットワークの共有または共通チャネルは、ネットワーク内で動作するすべてのユーザ機器の間で共有されるので競合が起こりやすいことが理解されるであろう。
【0017】
RACHフォールバックの従属的特徴によれば、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器は、共通または共有チャネル、例えば、E−DCH(拡張個別チャネル)リソースの割り当てを要求するように動作可能である。ユーザ機器が混雑しているネットワークのセル内で動作しており、共通チャネルが大量に使用されている場合、そのユーザ機器への割り当てに利用可能な共通リソースがない可能性がある。RACHフォールバックの従属的特徴は、ユーザ機器がアップリンク送信のためにランダム・アクセス・チャネル(RACH)を使用して動作するように「フォールバック」すべきであることを、共有リソースを要求するそのユーザ機器に示すように基地局が動作することを可能にする。基地局は、例えば、AICH(獲得インジケータ・チャネル(Acquisition Indicator Channel))でEAI値とシグネチャ(signature)との予約された組合せを使用することによってユーザ機器にそのフォールバックを示す可能性がある。そのような指示がユーザ機器によって受信される場合、ユーザ機器は、RACHを用いてネットワークに再アクセスすることを試みるように動作可能である可能性がある。RACHチャネルでの送信に適する情報は、限られている可能性があり、例えば、ユーザ機器は、ランダム・アクセス・チャネル(RACH)で共通制御チャネル(CCCH)メッセージおよび/または個別制御チャネル(DCCH)メッセージを送信するようにのみ動作可能である可能性がある。
【0018】
CELL_FACH状態で動作するユーザ機器に関してフィードバック・チャネル、例えば、HS−DPCCHで送信されるフィードバック・メッセージは、概して、ユーザ機器がそれらのフィードバック・メッセージの送信のために共通E−DCHリソース(特に、E−DCHの送信のために使用されるスクランブリング符号)を使用するように動作可能であるようなものである。RACHを使用して送信するように動作可能なユーザ機器は、共通リソースの異なる組を使用する。ユーザ機器は、RACHで送信するように動作可能であるとき、例えば、HS−DPCCHでフィードバック・メッセージングも同時に送信することはできない。
【0019】
RACHフォールバックの従属的特徴とスタンドアロン・フィードバックの従属的特徴との共存は、ユーザ機器における動作の衝突につながる可能性があることが理解されるであろう。特に、例えば、ユーザ機器は、HS−DPCCHの送信をトリガするHS−SCCH命令を基地局から受信するが、基地局への送信を行うべきリソースを獲得しようとするプロセスの間にRACHフォールバック・インジケータも受信する可能性がある。その獲得は、例えば、共通E−DCHリソースまたはRACHリソースの獲得に関連する可能性がある。
【0020】
スタンドアロンHS−DPCCH送信およびRACHフォールバックの従属的特徴を実施する同時の要求が起こり得るその他の筋書きが存在することが、理解されるであろう。1つのそのような筋書きは、HS−DPCCHの送信の命令が、RACHフォールバックを命じるAICHをユーザ機器が受信する前に受信される場合に起こる。本明細書において説明される態様および実施形態は、効率的な全体的なネットワークの動作を保証することを目指しながら、ユーザ機器によって受信されるコマンドのそのような混合を解決するための方法を提供することを目的とする。
【0021】
1つの選択肢は、RACHフォールバック・インジケータを受信する前にユーザ機器がスタンドアロンHS−DPCCH送信を実行する命令を受信した場合にユーザ機器がRACHフォールバック・インジケータを無視するように動作可能であることである。そのような選択肢によれば、ユーザ機器は、RACHフォールバック・インジケータをNACKとして扱うように動作可能である可能性があり、そのとき、ユーザ機器は、最大プリアンブル・サイクルがまだ到達されていないものとすると、アップリンク送信のための共通リソースを取得しようと試み続ける。そのような実装は、RACHフォールバック・インジケータが基地局によってユーザ機器に送信される可能性がある1つの理由が、利用可能な共通E−DCHリソースがないことであるということを認識しないことが理解されるであろう。そのような利用することができないリソースを取得することを試みるように動作するようにユーザ機器に強制することは、ネットワークのセル内で発生する混雑を悪化させる可能性がある。
【0022】
説明される態様および実施形態によれば、例えば、E−DCHのHS−DPCCHでのメッセージを用いてスタンドアロン・フィードバック送信を実行する命令を既に受信したユーザ機器が、ユーザ機器のバッファ利用率に応じて、RACHにフォールバックする命令にしたがうように動作可能である。
【0023】
第1の態様は、第2の種類の共通チャネルのみを示すインジケータがユーザ機器に利用可能である場合、要求されている第1の種類の共通チャネルが利用不可能であるかまたは混雑している可能性が高く、したがって、第1の種類の共通チャネルの要求が成功する可能性が低いことを認識する。その要求プロセスは、それ自体がネットワーク内のシグナリングを混雑させるように作用する可能性があり、第1の態様は、それを最小化することによって、シグナリングが全体的なネットワークの動作を助けることができることを認識する。
【0024】
第1の態様は、ネットワークの共通チャネルがセル内のユーザ機器の間で共有されることと、多数のユーザ機器を含むセルが共有リソースに関して著しい競合に直面する可能性があることとを認識する。ネットワーク内で利用可能な共通チャネルの種類は、特定の種類の情報またはメッセージングを運ぶことにのみ適する可能性がある。第1の種類の共有または共通チャネルは、第1の種類の情報またはメッセージングを運ぶ可能性があり、第2は、同じ種類の情報またはメッセージングを運ぶことができない可能性がある。
【0025】
第1の態様は、第2の種類の共通チャネルを使用する命令を受信することが、要求された第1の種類の利用可能な共通リソースがないことを示す可能性が高いことを認識する。
【0026】
第1の態様は、第1の種類の共通チャネルを取得しようとする試みが、基地局への送信のためのユーザ機器のバッファにいかなる情報またはデータも存在しないうちになされる可能性があることを認識する。ネットワークに送信されるべき情報がバッファに存在しない場合、第2の種類の共有チャネルのみが利用可能であることが示されたときに第1の種類のチャネルを取得しようとし続けることは、全体的なネットワークの動作にとって有害である可能性がある。
【0027】
一実施形態においては、情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるステップが、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得しようと試みるステップを含む。したがって、そのようなフィードバック情報が生成されるか、またはネットワークに送信するためにバッファに存在するようになるよりも前に、ユーザ機器は、そのようなフィードバック情報が賢く送信され得る共通チャネルを取得しようと試みるように動作可能である可能性がある。
【0028】
一実施形態においては、方法が、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令を受信するステップを含む。したがって、ネットワーク内で第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報を送信することが可能であるに過ぎない可能性がある。
【0029】
一実施形態においては、フィードバック情報が、受信されたダウンリンク・チャネルに関するチャネル品質情報を含む。したがって、フィードバック情報が、全体的な動作を改善するためにネットワークによって使用され得る。チャネル品質情報を受信することは、ユーザ機器へのダウンリンク送信のための好適なトランスポート・ブロック・サイズを選択するときに基地局を助ける可能性がある。
【0030】
一実施形態においては、方法が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうである場合に、その情報を第2の種類の共通チャネルで送信するステップを含む。したがって、情報またはデータがユーザ機器のバッファに存在すると判定される場合、その情報が第1の種類のチャネルで送信されることが理想的であるとしても、その情報の一部またはすべてを第2の種類の共通チャネルで送信することが可能である可能性がある。情報またはデータが第2の種類のチャネルを用いて送信され得ると判定される場合、一部のまたはすべての情報の適切な再構成が、行われる可能性があり、その情報が、第2の種類の共通チャネルで送信される可能性がある。
【0031】
一実施形態においては、方法が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうでない場合に、第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようとする試みを継続するステップを含む。したがって、情報またはデータがユーザ機器のバッファに存在すると判定される場合、その情報のいずれかを第2の種類の共通チャネルで送信することが可能でないと判定される可能性があり、最大の回数のプリアンブル手順または通常のバックオフ手順(back off procedure)に従って、方法は、第1の種類の共通チャネルを取得するさらなる試みが継続することを許す可能性がある。
【0032】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルが、E−DCHを含む。
【0033】
一実施形態においては、第2の種類の共通チャネルが、RACHを含む。
【0034】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令が、HS−DPCCHの送信を実行するHS−SCCH命令を含む。
【0035】
第2の態様は、コンピュータで実行されるときに第1の態様の方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品を提供する。
【0036】
第3の態様は、衝突する命令が受信されるときにワイヤレス通信ネットワークにおいてアップリンク送信のための共通チャネルの種類を選択するように動作可能なユーザ機器であって、第1の受信された命令に従って情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるように動作可能な獲得論理と、第2の種類の共通チャネルで任意のアップリンク送信を行う第2の命令を受信するように動作可能な受信論理と、送信されるべき何らかの情報が存在するかどうかを判定し、存在しない場合、前記第1の受信された命令に従って第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようとする試みをやめるように動作可能な判定論理とを含む、ユーザ機器を提供する。
【0037】
一実施形態においては、獲得論理が、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得しようと試みるように動作可能である。
【0038】
一実施形態においては、ユーザ機器が、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令を受信するように動作可能なフィードバック命令受信論理をさらに含む。
【0039】
一実施形態においては、フィードバック情報が、受信されたダウンリンク・チャネルに関するチャネル品質情報を含む。
【0040】
一実施形態においては、判定論理が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうである場合に、その情報を第2の種類の共通チャネルで送信するように動作可能である。
【0041】
一実施形態においては、判定論理が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうでない場合に、第1の種類の共通チャネルでリソースを獲得しようとする試みを継続するように前記獲得論理に命じるように動作可能である。
【0042】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルが、E−DCHを含む。
【0043】
一実施形態においては、第2の種類の共通チャネルが、RACHを含む。
【0044】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令が、HS−DPCCHの送信を実行するHS−SCCH命令を含む。
【0045】
さらなる特定の好ましい態様が、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、必要に応じて、請求項に明示的に記載された組合せ以外の組合せで独立請求項の特徴と組み合わされる可能性がある。
【0046】
装置の特徴が機能を提供するように動作可能であるものとして説明される場合、これは、その機能を提供するか、またはその機能を提供するように適合もしくは構成される装置の特徴を含むことが理解されるであろう。
【0047】
本発明の実施形態が、添付の図面を参照して以降で説明される。