特許第6140821号(P6140821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140821
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】共通チャネルの獲得
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20170522BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20170522BHJP
【FI】
   H04W74/08
   H04W72/04 150
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-520837(P2015-520837)
(86)(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公表番号】特表2015-526975(P2015-526975A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013001810
(87)【国際公開番号】WO2014008978
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2015年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,シン ホーン
【審査官】 高野 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−012275(JP,A)
【文献】 特表2014−526220(JP,A)
【文献】 特表2011−501625(JP,A)
【文献】 Qualcomm Incorporated, Ericsson, ST-Ericsson,Introduction of Further Enhancements to CELL_FACH in 25.308[online],3GPP TSG-RAN Meeting #78 R2-123039,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_78/Docs/R2-123039.zip>,2012年 5月
【文献】 InterDigital,Considerations on dynamic R99 RACH fallback scheme[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #77bis R2-121698,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_77bis/Docs/R2-121698.zip>,2012年 3月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突する命令が受信されるときにワイヤレス通信ネットワークにおいてアップリンク送信のための共通チャネルの種類を選択する方法であって、
第1の受信された命令に従って情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるステップと、
第2の種類の共通チャネルで任意のアップリンク送信を行う第2の命令を受信するステップと、
送信されるべき何らかの情報が存在するかどうかを判定し、存在しない場合、前記第1の受信された命令に従って前記第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるステップをやめるステップとを含み、
前記判定の結果が、送信されるべき情報が存在することであるとき、前記情報のいずれかが前記第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、送信され得る場合に、前記第2の種類の共通チャネルで前記情報を送信しようと試み、送信され得ない場合に、前記第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるステップを継続するステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みる前記ステップが、前記第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得しようと試みるステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の受信された命令は、前記第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する第1の命令を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィードバック情報が、受信されたダウンリンク・チャネルに関するチャネル品質情報を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと再び試みる前にバックオフ期間の間待機するステップを含む請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記バックオフ期間が、擬似ランダムである請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の種類の共通チャネルが、E−DCHを含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の種類の共通チャネルが、RACHを含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する前記命令が、HS−DPCCHの送信を実行するHS−SCCH命令を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記衝突する命令が、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器によって受信される請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータで実行されるときに請求項1乃至10のいずれか1項の方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
衝突する命令が受信されるときにワイヤレス通信ネットワークにおいてアップリンク送信のための共通チャネルの種類を選択するように動作可能なユーザ機器であって、
第1の受信された命令に従って情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるように動作可能な獲得論理と、
第2の種類の共通チャネルで任意のアップリンク送信を行う第2の命令を受信するように動作可能な受信論理と、
送信されるべき何らかの情報が存在するかどうかを判定し、存在しない場合、前記第1の受信された命令に従って前記第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようとする試みをやめるように動作可能な判定論理とを含み、
前記ユーザ機器は、前記判定の結果が、送信されるべき情報が存在することであるとき、前記情報のいずれかが前記第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、送信され得る場合に、前記第2の種類の共通チャネルで前記情報を送信しようと試み、送信され得ない場合に、前記第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みを継続する手段を含む、ユーザ機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ワイヤレス通信ネットワークにおいてアップリンク送信のための共通チャネルの種類を選択する方法、その方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品、およびユーザ機器。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電気通信システムが、知られている。セルラ・システムにおいては、セルとして知られている領域内のユーザ機器、例えば、モバイル電話に無線カバレッジが提供される。基地局が、無線カバレッジを提供するために各セルに置かれる。各セル内のユーザ機器は、基地局から情報およびデータを受信し、基地局に情報およびデータを送信する。
【0003】
基地局によってユーザ機器に送信される情報およびデータは、概して、「ダウンリンク」搬送波として知られる無線搬送波のチャネルに現れる。ユーザ機器によって基地局に送信される情報およびデータは、「アップリンク」搬送波として知られる無線搬送波のアップリンク・データ・チャネルに現れる。
【0004】
CELL_FACH状態で動作するユーザ機器の機能は、さまざまな従属的特徴の実装によって拡張された。2つのそのような従属的特徴は、(i)スタンドアロンHS−DPCCH送信および(ii)RACHフォールバックである。
【0005】
HS−DPCCH(高速個別物理制御チャネル(High Speed−Dedicated Physical Control Channel))は、CQI(チャネル品質指標)、およびダウンリンクHS−DSCH(高速個別共有チャネル(High Speed−Dedicated Shared Channel))のパケットに関する肯定応答などの制御情報を運ぶためにユーザ機器によってアップリンクで使用されるチャネルである。HS−DPCCH(またはフィードバック・チャネル)は、CQI情報に基づいて適切なトランスポート・ブロック・サイズが選択され、ack/nackメッセージングの結果としてブラインド再送信(blind retransmission)が最小化され得るようにフィードバック情報が基地局に送り返されることを可能にする。
【0006】
RACHフォールバックの従属的特徴によれば、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器は、共通または共有チャネル、例えば、E−DCH(拡張個別チャネル(Enhanced−Dedicated Channel))リソースの割り当てを要求するように動作可能である。ユーザ機器が混雑しているネットワークのセル内で動作しており、共通チャネルが大量に使用されている場合、そのユーザ機器への割り当てに利用可能な共通リソースがない可能性がある。RACHフォールバックの従属的特徴は、ユーザ機器がアップリンク送信のためにランダム・アクセス・チャネル(RACH)を使用して動作するように「フォールバック」すべきであることを、共通リソースを要求するそのユーザ機器に示すように基地局が動作することを可能にする。
【0007】
RACHフォールバックの従属的特徴とスタンドアロン・フィードバックの従属的特徴との共存は、ユーザ機器における動作の衝突につながる可能性があることが理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
態様は、ネットワークの動作全体に影響を与えることなく従属的特徴の間の衝突を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、第1の態様は、衝突する命令が受信されるときにワイヤレス通信ネットワークにおいてアップリンク送信のための共通チャネルの種類を選択する方法であって、第1の受信された命令に従って情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるステップと、第2の種類の共通チャネルで任意のアップリンク送信を行う第2の命令を受信するステップと、送信されるべき何らかの情報が存在するかどうかを判定し、存在しない場合、第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようとする試みをやめるステップとを含む、方法を提供する。
【0010】
ユーザ機器は、例えば、UMTS電気通信ネットワークにおいてさまざまなモードで動作する可能性がある。セルにおいてユーザ機器のスイッチを初めてオンにすると、ユーザ機器は、概して、「アイドル・モード」で動作する。ユーザ機器は、基地局と同期し、そのユーザ機器自体を基地局にアタッチすると、無線リソース制御(RRC)接続を獲得し、接続モードにあると言われる。アイドル・モードのユーザ機器は、無線リソース制御(RRC)接続を持たない。ユーザ機器は、RRC接続されている場合、5つの異なるRRC状態、すなわち、cell_DCH、cell_FACH、拡張cell_FACH、cell_PCH、またはURA_PCH状態のうちの1つにある可能性がある。概して、ユーザ機器は、cell_DCH状態において、基地局からデータを送受信する個別チャネルを割り当てられるので、そのユーザ機器のトラフィックが多いとき、そのようなcell_DCH状態に移る。UMTSネットワーク・アーキテクチャにおいて、ユーザ機器は、そのユーザ機器が大量のトラフィックを有すると予想されるcell_DCH状態にある可能性がある。cell_DCH状態における動作は、概して、バッテリー電力を多く必要とする。
【0011】
ユーザ機器は、cell_DCH状態にないとき、アップリンクでランダム・アクセス・チャネル(RACH)を使用して動作し、基地局は、下りアクセス・チャネル(FACH:forward access channel)を使用してユーザ機器と通信するように動作する。RACHおよびFACHは、非常に小さなデータ搬送能力を有する。WCDMAまたはUMTSシステムにおいては、ユーザ機器がcell_FACH状態にあるときにユーザ機器および基地局がダウンリンクおよびアップリンクで共有または共通リソースを用いて動作し、それらの間でデータ・トラフィックを伝達するための能力が、拡張cell_FACHによって導入された。アップリンクにおいて、データ・トラフィックの送信は、拡張個別チャネル(E−DCH)を用いて行われ、ダウンリンクにおいて、トラフィックは、高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH:high speed downlink shared channel)で送信される。それらのチャネルは、ユーザ機器がcell_DCH状態になる必要なしにユーザ機器および基地局がある時間それらの間でより大きなデータ・パケットを伝達し、送信することを可能にする。そのような構成は、ユーザ機器がより個別的な状態に移ることなくより長くcell_FACH状態に留まることを可能にし、それによって、電力消費を抑えることを可能にする。
【0012】
一部のデータ・トラフィックは本質的に特にバースト状である可能性があり、例えば、需要は、ユーザ機器がウェブサイトのページをロードする間は高いが、その後、ユーザがそのウェブサイトを読む間は実質的にゼロである可能性があることが理解されるであろう。スマートフォンによってますます使用されようになっているそのようなバースト状のトラフィックのために完全なcell_DCH状態で動作することは、特にバッテリーの無駄が多い可能性があり、したがって、より個別的な無線接続状態になることなくバースト状のトラフィックを処理する能力が、有益である。
【0013】
CELL_FACH状態で動作するユーザ機器の機能は、さまざまな従属的特徴の実装によって拡張された。2つのそのような従属的特徴は、(i)スタンドアロンHS−DPCCH送信および(ii)RACHフォールバックである。
【0014】
HS−DPCCH(高速個別物理制御チャネル)は、CQI(チャネル品質指標)、およびダウンリンクHS−DSCH(高速個別共有チャネル)のパケットに関する肯定応答などの制御情報を運ぶためにユーザ機器によってアップリンクで使用されるチャネルである。HS−DPCCH(またはフィードバック・チャネル)は、CQI情報に基づいて適切なトランスポート・ブロック・サイズが選択され、ack/nackメッセージングの結果としてブラインド再送信が最小化され得るようにフィードバック情報が基地局に送り返されることを可能にする。
【0015】
これまで、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器は、そのユーザ機器が送信すべきアップリンク・データを持っていた場合に限ってHS−DPCCHフィードバック情報を送信するように動作可能になっていた。(NBトリガHS−DPCCH送信(NB triggered HS−DPCCH transmission)としても知られる)スタンドアロンHS−DPCCH送信の従属的特徴は、ユーザ機器が送信すべきアップリンク・データを有するかどうかに関わらずユーザ機器がHS−DPCCHでフィードバック情報を送信することを基地局(NodeB)がトリガすることを可能にする。概して、基地局は、ユーザ機器にHS−SCCH(高速共有制御チャネル(High Speed−Shared Control Channel))命令を送信することによって、その基地局がユーザ機器からHS−DPCCH情報を受信したいことを示すように動作可能である。フィードバックの送信をトリガすることは、任意のHS−DSCHのパケットをスケジューリングする前に基地局がフィードバック情報、例えば、CQI情報を集めることを可能にし、それによって、基地局がユーザ機器への送信のための適切なトランスポート・ブロック・サイズをスケジューリングすることを可能にする。フィードバック情報の送信をトリガすることによって、基地局は、さらに、前のHS−DSCHのパケットに関してユーザ機器からフィードバック情報、例えば、ACK/NACKインジケータを受信し、したがって、それらの前のHS−DSCHのパケットのブラインド再送信を実行する必要をなくす可能性があり、それらの再送信は、通常、ACK/NACKメッセージがない場合にユーザ機器がそれらのパケットを受信することを保証するために行われる。
【0016】
概して、HS−DPCCHフィードバック情報は、共通(「共有」と呼ばれることもある)チャネルを用いてユーザ機器から基地局に送信される。ユーザ機器がCELL_DCH状態で動作しているとき、HS−DPCCHフィードバックは、個別リソースで送信される可能性がある。ネットワークの共有または共通チャネルは、ネットワーク内で動作するすべてのユーザ機器の間で共有されるので競合が起こりやすいことが理解されるであろう。
【0017】
RACHフォールバックの従属的特徴によれば、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器は、共通または共有チャネル、例えば、E−DCH(拡張個別チャネル)リソースの割り当てを要求するように動作可能である。ユーザ機器が混雑しているネットワークのセル内で動作しており、共通チャネルが大量に使用されている場合、そのユーザ機器への割り当てに利用可能な共通リソースがない可能性がある。RACHフォールバックの従属的特徴は、ユーザ機器がアップリンク送信のためにランダム・アクセス・チャネル(RACH)を使用して動作するように「フォールバック」すべきであることを、共有リソースを要求するそのユーザ機器に示すように基地局が動作することを可能にする。基地局は、例えば、AICH(獲得インジケータ・チャネル(Acquisition Indicator Channel))でEAI値とシグネチャ(signature)との予約された組合せを使用することによってユーザ機器にそのフォールバックを示す可能性がある。そのような指示がユーザ機器によって受信される場合、ユーザ機器は、RACHを用いてネットワークに再アクセスすることを試みるように動作可能である可能性がある。RACHチャネルでの送信に適する情報は、限られている可能性があり、例えば、ユーザ機器は、ランダム・アクセス・チャネル(RACH)で共通制御チャネル(CCCH)メッセージおよび/または個別制御チャネル(DCCH)メッセージを送信するようにのみ動作可能である可能性がある。
【0018】
CELL_FACH状態で動作するユーザ機器に関してフィードバック・チャネル、例えば、HS−DPCCHで送信されるフィードバック・メッセージは、概して、ユーザ機器がそれらのフィードバック・メッセージの送信のために共通E−DCHリソース(特に、E−DCHの送信のために使用されるスクランブリング符号)を使用するように動作可能であるようなものである。RACHを使用して送信するように動作可能なユーザ機器は、共通リソースの異なる組を使用する。ユーザ機器は、RACHで送信するように動作可能であるとき、例えば、HS−DPCCHでフィードバック・メッセージングも同時に送信することはできない。
【0019】
RACHフォールバックの従属的特徴とスタンドアロン・フィードバックの従属的特徴との共存は、ユーザ機器における動作の衝突につながる可能性があることが理解されるであろう。特に、例えば、ユーザ機器は、HS−DPCCHの送信をトリガするHS−SCCH命令を基地局から受信するが、基地局への送信を行うべきリソースを獲得しようとするプロセスの間にRACHフォールバック・インジケータも受信する可能性がある。その獲得は、例えば、共通E−DCHリソースまたはRACHリソースの獲得に関連する可能性がある。
【0020】
スタンドアロンHS−DPCCH送信およびRACHフォールバックの従属的特徴を実施する同時の要求が起こり得るその他の筋書きが存在することが、理解されるであろう。1つのそのような筋書きは、HS−DPCCHの送信の命令が、RACHフォールバックを命じるAICHをユーザ機器が受信する前に受信される場合に起こる。本明細書において説明される態様および実施形態は、効率的な全体的なネットワークの動作を保証することを目指しながら、ユーザ機器によって受信されるコマンドのそのような混合を解決するための方法を提供することを目的とする。
【0021】
1つの選択肢は、RACHフォールバック・インジケータを受信する前にユーザ機器がスタンドアロンHS−DPCCH送信を実行する命令を受信した場合にユーザ機器がRACHフォールバック・インジケータを無視するように動作可能であることである。そのような選択肢によれば、ユーザ機器は、RACHフォールバック・インジケータをNACKとして扱うように動作可能である可能性があり、そのとき、ユーザ機器は、最大プリアンブル・サイクルがまだ到達されていないものとすると、アップリンク送信のための共通リソースを取得しようと試み続ける。そのような実装は、RACHフォールバック・インジケータが基地局によってユーザ機器に送信される可能性がある1つの理由が、利用可能な共通E−DCHリソースがないことであるということを認識しないことが理解されるであろう。そのような利用することができないリソースを取得することを試みるように動作するようにユーザ機器に強制することは、ネットワークのセル内で発生する混雑を悪化させる可能性がある。
【0022】
説明される態様および実施形態によれば、例えば、E−DCHのHS−DPCCHでのメッセージを用いてスタンドアロン・フィードバック送信を実行する命令を既に受信したユーザ機器が、ユーザ機器のバッファ利用率に応じて、RACHにフォールバックする命令にしたがうように動作可能である。
【0023】
第1の態様は、第2の種類の共通チャネルのみを示すインジケータがユーザ機器に利用可能である場合、要求されている第1の種類の共通チャネルが利用不可能であるかまたは混雑している可能性が高く、したがって、第1の種類の共通チャネルの要求が成功する可能性が低いことを認識する。その要求プロセスは、それ自体がネットワーク内のシグナリングを混雑させるように作用する可能性があり、第1の態様は、それを最小化することによって、シグナリングが全体的なネットワークの動作を助けることができることを認識する。
【0024】
第1の態様は、ネットワークの共通チャネルがセル内のユーザ機器の間で共有されることと、多数のユーザ機器を含むセルが共有リソースに関して著しい競合に直面する可能性があることとを認識する。ネットワーク内で利用可能な共通チャネルの種類は、特定の種類の情報またはメッセージングを運ぶことにのみ適する可能性がある。第1の種類の共有または共通チャネルは、第1の種類の情報またはメッセージングを運ぶ可能性があり、第2は、同じ種類の情報またはメッセージングを運ぶことができない可能性がある。
【0025】
第1の態様は、第2の種類の共通チャネルを使用する命令を受信することが、要求された第1の種類の利用可能な共通リソースがないことを示す可能性が高いことを認識する。
【0026】
第1の態様は、第1の種類の共通チャネルを取得しようとする試みが、基地局への送信のためのユーザ機器のバッファにいかなる情報またはデータも存在しないうちになされる可能性があることを認識する。ネットワークに送信されるべき情報がバッファに存在しない場合、第2の種類の共有チャネルのみが利用可能であることが示されたときに第1の種類のチャネルを取得しようとし続けることは、全体的なネットワークの動作にとって有害である可能性がある。
【0027】
一実施形態においては、情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるステップが、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得しようと試みるステップを含む。したがって、そのようなフィードバック情報が生成されるか、またはネットワークに送信するためにバッファに存在するようになるよりも前に、ユーザ機器は、そのようなフィードバック情報が賢く送信され得る共通チャネルを取得しようと試みるように動作可能である可能性がある。
【0028】
一実施形態においては、方法が、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令を受信するステップを含む。したがって、ネットワーク内で第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報を送信することが可能であるに過ぎない可能性がある。
【0029】
一実施形態においては、フィードバック情報が、受信されたダウンリンク・チャネルに関するチャネル品質情報を含む。したがって、フィードバック情報が、全体的な動作を改善するためにネットワークによって使用され得る。チャネル品質情報を受信することは、ユーザ機器へのダウンリンク送信のための好適なトランスポート・ブロック・サイズを選択するときに基地局を助ける可能性がある。
【0030】
一実施形態においては、方法が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうである場合に、その情報を第2の種類の共通チャネルで送信するステップを含む。したがって、情報またはデータがユーザ機器のバッファに存在すると判定される場合、その情報が第1の種類のチャネルで送信されることが理想的であるとしても、その情報の一部またはすべてを第2の種類の共通チャネルで送信することが可能である可能性がある。情報またはデータが第2の種類のチャネルを用いて送信され得ると判定される場合、一部のまたはすべての情報の適切な再構成が、行われる可能性があり、その情報が、第2の種類の共通チャネルで送信される可能性がある。
【0031】
一実施形態においては、方法が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうでない場合に、第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようとする試みを継続するステップを含む。したがって、情報またはデータがユーザ機器のバッファに存在すると判定される場合、その情報のいずれかを第2の種類の共通チャネルで送信することが可能でないと判定される可能性があり、最大の回数のプリアンブル手順または通常のバックオフ手順(back off procedure)に従って、方法は、第1の種類の共通チャネルを取得するさらなる試みが継続することを許す可能性がある。
【0032】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルが、E−DCHを含む。
【0033】
一実施形態においては、第2の種類の共通チャネルが、RACHを含む。
【0034】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令が、HS−DPCCHの送信を実行するHS−SCCH命令を含む。
【0035】
第2の態様は、コンピュータで実行されるときに第1の態様の方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品を提供する。
【0036】
第3の態様は、衝突する命令が受信されるときにワイヤレス通信ネットワークにおいてアップリンク送信のための共通チャネルの種類を選択するように動作可能なユーザ機器であって、第1の受信された命令に従って情報のアップリンク送信のための第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようと試みるように動作可能な獲得論理と、第2の種類の共通チャネルで任意のアップリンク送信を行う第2の命令を受信するように動作可能な受信論理と、送信されるべき何らかの情報が存在するかどうかを判定し、存在しない場合、前記第1の受信された命令に従って第1の種類の共通チャネルのリソースを獲得しようとする試みをやめるように動作可能な判定論理とを含む、ユーザ機器を提供する。
【0037】
一実施形態においては、獲得論理が、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得しようと試みるように動作可能である。
【0038】
一実施形態においては、ユーザ機器が、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令を受信するように動作可能なフィードバック命令受信論理をさらに含む。
【0039】
一実施形態においては、フィードバック情報が、受信されたダウンリンク・チャネルに関するチャネル品質情報を含む。
【0040】
一実施形態においては、判定論理が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうである場合に、その情報を第2の種類の共通チャネルで送信するように動作可能である。
【0041】
一実施形態においては、判定論理が、送信されるべき情報が存在するかどうか、およびその情報のいずれかが第2の種類の共通チャネルで送信され得るかどうかを判定し、そうでない場合に、第1の種類の共通チャネルでリソースを獲得しようとする試みを継続するように前記獲得論理に命じるように動作可能である。
【0042】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルが、E−DCHを含む。
【0043】
一実施形態においては、第2の種類の共通チャネルが、RACHを含む。
【0044】
一実施形態においては、第1の種類の共通チャネルでフィードバック情報のアップリンク送信のためのリソースを獲得する命令が、HS−DPCCHの送信を実行するHS−SCCH命令を含む。
【0045】
さらなる特定の好ましい態様が、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、必要に応じて、請求項に明示的に記載された組合せ以外の組合せで独立請求項の特徴と組み合わされる可能性がある。
【0046】
装置の特徴が機能を提供するように動作可能であるものとして説明される場合、これは、その機能を提供するか、またはその機能を提供するように適合もしくは構成される装置の特徴を含むことが理解されるであろう。
【0047】
本発明の実施形態が、添付の図面を参照して以降で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】一実施形態によるワイヤレス電気通信ネットワークの主な構成要素を示す図である。
図2】ユーザ機器がネットワークでリソースを獲得しようと試みるときに実施され得るあり得るプロセスを概略的に示す図である。
図3】実施形態による基地局とユーザ機器との間のメッセージングを概略的に示す図である。
図4】実施形態による基地局とユーザ機器との間のメッセージングを概略的に示す図である。
図5】実施形態による基地局とユーザ機器との間のメッセージングを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、一実施形態による、全体を10で示すワイヤレス電気通信システムの主な構成要素を概略的に示す。ユーザ機器50は、ワイヤレス電気通信システム10中を動き回る。無線カバレッジ30の領域をサポートする基地局20が、設けられる。いくつかのそのような基地局20が、ユーザ機器50にカバレッジの広い領域を提供するために設けられ、地理的に分散される。ユーザ機器50が基地局20によって提供される領域30内にあるとき、関連する無線リンクを介してユーザ機器50と基地局20との間で通信が確立され得る。概して、各基地局20は、サービスの地理的領域30内のいくつかのセクタをサポートする。
【0050】
典型的には、基地局20内の異なるアンテナが、それぞれの関連するセクタをサポートする。各基地局20は、複数のアンテナを有する。図1は、典型的なワイヤレス通信システム10内に存在し得るすべてのユーザ機器50および基地局20のうちの小さなサブセットを示すことが理解されるであろう。
【0051】
ワイヤレス通信システム10は、無線ネットワーク・コントローラ(RNC)40によって管理される。無線ネットワーク・コントローラ40は、バックホール通信リンク60を介して複数の基地局20と通信することによってワイヤレス電気通信システム10の動作を制御する。RNC40は、各基地局20を介してユーザ機器50とも通信し、したがって、ワイヤレス通信システム10全体の区域を効果的に管理する。
【0052】
ユーザ機器50は、「アップリンク」または「逆方向」チャネルとして知られるチャネルでデータおよび情報を送信することによって基地局20と通信し、基地局20は、「ダウンリンク」または「順方向」チャネルとして知られる無線チャネルでデータおよび情報を送信することによってユーザ機器50と通信する。
【0053】
概要
実施形態をさらに詳細に検討する前に、まず、概要が示される。
【0054】
CELL_FACH状態で動作するユーザ機器の機能は、さまざまな従属的特徴の実装によって拡張された。2つのそのような従属的特徴は、(i)スタンドアロンHS−DPCCH送信および(ii)RACHフォールバックである。
【0055】
HS−DPCCH(高速個別物理制御チャネル)は、CQI(チャネル品質指標)、およびダウンリンクHS−DSCH(高速個別共有チャネル)のパケットに関する肯定応答などの制御情報を運ぶためにユーザ機器によってアップリンクで使用されるチャネルである。HS−DPCCH(またはフィードバック・チャネル)は、CQI情報に基づいて適切なトランスポート・ブロック・サイズが選択され、ack/nackメッセージングの結果としてブラインド再送信が最小化され得るようにフィードバック情報が基地局に送り返されることを可能にする。
【0056】
これまで、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器は、そのユーザ機器が送信すべきアップリンク・データを持っていた場合に限ってHS−DPCCHフィードバック情報を送信するように動作可能になっていた。(NBトリガHS−DPCCH送信としても知られる)スタンドアロンHS−DPCCH送信の従属的特徴は、ユーザ機器が送信すべきアップリンク・データを有するかどうかに関わらずユーザ機器がHS−DPCCHでフィードバック情報を送信することを基地局(NodeB)がトリガすることを可能にする。概して、基地局は、ユーザ機器にHS−SCCH(高速共有制御チャネル)命令を送信することによって、その基地局がユーザ機器からHS−DPCCH情報を受信したいことを示すように動作可能である。フィードバックの送信をトリガすることは、任意のHS−DSCHのパケットをスケジューリングする前に基地局がフィードバック情報、例えば、CQI情報を集めることを可能にし、それによって、基地局がユーザ機器への送信のための適切なトランスポート・ブロック・サイズをスケジューリングすることを可能にする。フィードバック情報の送信をトリガすることによって、基地局は、さらに、前のHS−DSCHのパケットに関してユーザ機器からフィードバック情報、例えば、ACK/NACKインジケータを受信し、したがって、それらの前のHS−DSCHのパケットのブラインド再送信を実行する必要をなくす可能性があり、それらの再送信は、通常、ACK/NACKメッセージがない場合にユーザ機器がそれらのパケットを受信することを保証するために行われる。
【0057】
概して、HS−DPCCHフィードバック情報は、共有または共通チャネルを用いてユーザ機器から基地局に送信される。ネットワークの共有または共通チャネルは、ネットワーク内で動作するすべてのユーザ機器の間で共有されるので競合が起こりやすいことが理解されるであろう。
【0058】
RACHフォールバックの従属的特徴によれば、CELL_FACH状態で動作するユーザ機器は、共通または共有チャネル、例えば、E−DCH(拡張個別チャネル)リソースの割り当てを要求するように動作可能である。ユーザ機器が混雑しているネットワークのセル内で動作しており、共通E−DCHチャネルが大量に使用されている場合、そのユーザ機器への割り当てに利用可能な共有リソースがない可能性がある。RACHフォールバックの従属的特徴は、ユーザ機器がアップリンク送信のためにランダム・アクセス・チャネル(RACH)を使用して動作するように「フォールバック」すべきであることを、共有リソースを要求するそのユーザ機器に示すように基地局が動作することを可能にする。基地局は、例えば、AICH(獲得インジケータ・チャネル)でEAI値とシグネチャとの予約された組合せを使用することによってユーザ機器にそのフォールバックを示す可能性がある。そのような指示がユーザ機器によって受信される場合、ユーザ機器は、RACHを用いてネットワークに再アクセスすることを試みるように動作可能である可能性がある。RACHチャネルでの送信に適する情報は、限られている可能性があり、例えば、ユーザ機器は、ランダム・アクセス・チャネル(RACH)で共通制御チャネル(CCCH)メッセージおよび/または個別制御チャネル(DCCH)メッセージを送信するようにのみ動作可能である可能性がある。
【0059】
CELL_FACH状態で動作するユーザ機器に関してフィードバック・チャネル、例えば、HS−DPCCHで送信されるフィードバック・メッセージは、概して、ユーザ機器がそれらのフィードバック・メッセージの送信のために共通E−DCHリソース(特に、E−DCHの送信のために使用されるスクランブリング符号)を使用するように動作可能であるようなものである。RACHを使用して送信するように動作可能なユーザ機器は、共通RACHの異なる組を使用する。ユーザ機器は、RACHで送信するように動作可能であるとき、例えば、HS−DPCCHでフィードバック・メッセージングも同時に送信することはできない。
【0060】
RACHフォールバックの従属的特徴とスタンドアロン・フィードバックの従属的特徴との共存は、ユーザ機器における動作の衝突につながる可能性があることが理解されるであろう。特に、例えば、ユーザ機器は、HS−DPCCHの送信をトリガするHS−SCCH命令を基地局から受信するが、基地局への送信を行うべきリソースを獲得しようとするプロセスの間にRACHフォールバック・インジケータも受信する可能性がある。その獲得は、例えば、共通E−DCHリソースまたはRACHリソースの獲得に関連する可能性がある。
【0061】
図2は、ユーザ機器がネットワークでリソースを獲得しようと試みるときに実施され得るあり得るプロセスを概略的に示す。基地局は、利用可能な共通チャネルがないことと、ユーザ機器がRACHを使用するためにフォールバックすべきであることとをAICHシグナリングを介してユーザ機器に示すことができる可能性があることが分かる。そのRACHフォールバック・インジケータは、時間T1とT2との間にユーザ機器によって受信される可能性がある。ユーザ機器がRACHチャネルでメッセージを送信するように動作可能となる前、つまり、ユーザ機器がE−DCHの送信よりもRACHの送信を行うように再構成し、RACHチャネルを取得する時間T2とT5との間に、ユーザ機器は、スタンドアロン・フィードバック、例えば、HS−DPCCHの送信を実行する命令を基地局から受信する可能性がある。
【0062】
そのような筋書きでは、ユーザ機器は、スタンドアロンHS−DPCCH送信を実行するHS−SCCH命令を無視し、RACHの送信を続行するように動作可能であるべきであることが同意された。
【0063】
スタンドアロンHS−DPCCH送信およびRACHフォールバックの従属的特徴を実施する同時の要求が起こり得るその他の筋書きが存在することが、理解されるであろう。1つのそのような筋書きは、HS−DPCCHの送信の命令が、RACHフォールバックを命じるAICHをユーザ機器が受信する前に受信される場合に起こる。換言すると、基地局は、図2のT1の前にスタンドアロン・フィードバックを要求する場合、図2のT1とT2との間にユーザ機器がRACHにフォールバックすべきであることをそのユーザ機器に示す。本明細書において説明される態様および実施形態は、効率的な全体的なネットワークの動作を保証することを目指しながら、ユーザ機器によって受信されるコマンドのそのような混合を解決するための方法を提供することを目的とする。
【0064】
1つの選択肢は、RACHフォールバック・インジケータを受信する前にユーザ機器がスタンドアロンHS−DPCCH送信を実行する命令を受信した場合にユーザ機器がRACHフォールバック・インジケータを無視するように動作可能であることである。そのような選択肢によれば、ユーザ機器は、RACHフォールバック・インジケータをNACKとして扱うように動作可能である可能性があり、そのとき、ユーザ機器は、最大プリアンブル・サイクルがまだ到達されていないものとすると、アップリンク送信のための共通リソースを取得しようと試み続ける。そのような実装は、RACHフォールバック・インジケータが基地局によってユーザ機器に送信される可能性がある1つの理由が、利用可能な共通E−DCHリソースがないことであるということを認識しないことが理解されるであろう。そのような利用することができないリソースを取得することを試みるように動作するようにユーザ機器に強制することは、ネットワークのセル内で発生する混雑を悪化させる可能性がある。
【0065】
以下で詳細に説明される態様および実施形態によれば、例えば、E−DCHのHS−DPCCHでのメッセージを用いてスタンドアロン・フィードバック送信を実行する命令を既に受信したユーザ機器が、ユーザ機器のバッファ利用率に応じて、RACHにフォールバックする命令にしたがうように動作可能である。
【0066】
換言すると、ユーザ機器は、図2の時間T1の前に、スタンドアロンHS−DPCCH送信を実行する命令を受信し、図2に示されたAICHフェーズ中に、RACHにフォールバックする指示を受信するとき、ユーザ機器は、あらゆるスタンドアロンHS−DPCCH送信を「取り消す」ように動作可能であり、(i)RACHを用いた送信が許容されおよび/もしくはRACHを用いた送信に適するデータ、例えば、DCCHもしくはCCCHメッセージをユーザ機器のバッファが有すると判定される場合にRACHでの送信にフォールバックすること、または(ii)ユーザ機器のバッファが全くデータを含まないと判定される場合にいかなるアップリンク送信も停止することを行うように動作可能である。
【0067】
ユーザ機器のそのような動作は、基地局がスタンドアロンHS−DPCCH送信を開始するHS−SCCH命令をユーザ機器に送信した後に基地局における負荷の状態が変わる可能性があることを認識する。負荷の状態は、基地局がRACHフォールバックを実施するAICHをユーザ機器に送信する前に変わる可能性がある。
【0068】
ユーザ機器からの共通リソースの要求はレイヤ1で行われるので、基地局は、共通リソースの割り当てが完了し、アップリンク送信が行われるようになるまでユーザ機器を特定する手段を持たないことが理解されるであろう。ユーザ機器によって共通チャネルの要求がなされた状態で基地局が特定のユーザ機器へのスタンドアロン・フィードバック要求を調整する方法は、存在しない。
【0069】
概して、基地局は、共通E−DCHリソースがセル内で混雑している場合にRACHフォールバックが必要であることを示すことが理解されるであろう。RACHフォールバックが必要とされることを基地局が示す場合、HS−DPCCHの送信のための共通E−DCHリソースを取得するユーザ機器からの要求は失敗する可能性が高い。態様は、セルが混雑しているときに共通リソースの継続的な要求を必要とする動作からユーザ機器を遠ざけることが、全体的なネットワーク動作にとって有益である可能性があることを認識する。
【0070】
態様は、さらに、RACHを用いてユーザ機器によって送信され得るCCCHまたはDCCHの送信が遅らされる必要がない場合にはそのようにすべきでないことを認識する。換言すると、ユーザ機器がRACHで送信され得る情報を有し、RACHフォールバック・インジケータが基地局から受信された場合、その情報は、スタンドアロンHS−DPCCH送信を実行するどんなHS−SCCH命令が既に受信されていたとしてもRACHで適切なメッセージにより送信され得る。
【0071】
一実施形態によれば、ユーザ機器がRACHを介して送信され得ないアップリンク・データをそのユーザ機器のバッファに有し、そのアップリンク・データがスタンドアロン・フィードバックを実行する命令の受信とRACHフォールバック・インジケータの受信との間にそのバッファに到着した場合、そのユーザ機器は、レガシーの手順に従ってランダムな期間何もせず、それから、共通E−DCHリソースを要求することによってネットワークにアクセスすることを再び試みるように動作可能である可能性がある。
【実施例1】
【0072】
図3は、一実施形態による基地局とユーザ機器との間のメッセージングを概略的に示す。示された筋書きによれば、ユーザ機器50が、時間τにおいてスタンドアロンHS−DPCCH送信の開始を命じるHS−SCCH命令を基地局20から受信する。結果として、ユーザ機器50は、HS−DPCCHの送信を行うべき共通E−DCHリソースを基地局20から取得しようと試みるプリアンブル・プロセスを時間τにおいて開始する。基地局20は、利用可能なE−DCHリソースがないのでユーザ機器20がRACHにフォールバックすべきであることを示すAICHを時間τにおいて送信する。この時間(τ)において、ユーザ機器20のバッファは、空であると判定され、説明された態様によれば、ユーザ機器は、RACHまたはE−DCHチャネルでのすべてのアップリンク送信を停止するように動作可能である。
【0073】
ユーザ機器がτにおいて送信すべきデータを有していたが、そのデータがRACH介して送信され得なかった場合、ユーザ機器は、そのデータを送信するための共通E−DCHリソースを取得しようと再び試みる前にランダムな時間何もしないように動作可能である可能性がある。
【実施例2】
【0074】
図4は、一実施形態による基地局とユーザ機器との間のメッセージングを概略的に示す。この示された例によれば、ユーザ機器50は、時間τにおいてCCCHのパケットを送信することを望んでおり、したがって、共通E−DCHリソースを取得しようと試みるためにτにおいてプリアンブル・ランピング(preamble ramping)を開始するように動作可能である。プリアンブル・ランピング中、時間τにおいて、ユーザ機器50は、スタンドアロンHS−DPCCH送信の開始を命じるHS−SCCH命令を基地局20から受信する。時間τにおいて、ユーザ機器は、ユーザ機器がRACHにフォールバックすべきであることを示すAICHを基地局20から受信する。ユーザ機器は、そのとき、スタンドアロンHS−DPCCH送信の要求を取り消し、RACHを介してそのユーザ機器のCCCHの送信を開始するように動作可能である。これは、図4に示されるように、(時間τの後)そのユーザ機器自体をRACHの送信のために再構成し、RACHリソースを取得するためにプリアンブル・ランピングを実行することを伴う。
【実施例3】
【0075】
図5は、一実施形態による基地局とユーザ機器との間のメッセージングを概略的に示す。示された筋書きによれば、ユーザ機器は、時間τにスタンドアロンHS−DPCCH送信を開始するHS−SCCH命令を基地局20から受信するように動作可能である。結果として、ユーザ機器50は、そのユーザ機器50のHS−DPCCHの送信のための共通E−DCHリソースを取得しようとするために時間τにおいてプリアンブル・プロセスを開始するように動作可能である。プリアンブル・ランピング段階の間に、時間τにおいて、ユーザ機器は、そのユーザ機器が送信すべきDCCHのパケットを有すると判定する。それから、ユーザ機器は、時間τにおいて、ユーザ機器がRACHにフォールバックすべきであることを示すAICHを基地局20から受信する。DCCHメッセージがRACHを介して送信され得るので、ユーザ機器は、時間τの後、HS−DPCCHの送信の要求を取り消し、次いで、RACHリソースの取得を開始するように動作可能である。
【0076】
説明された態様は、ユーザ機器がHS−DPCCHの送信のための同時のHS−SCCH命令とRACHフォールバックの指示とを処理することを可能にする。態様は、共通E−DCHの混雑を増大させず、しかも、ユーザ機器がRACHによって運ばれ得るメッセージを送信することをさらに可能にする。
【0077】
当業者は、さまざまな上述の方法のステップがプログラムされたコンピュータによって実行され得ることを容易に認識する。本明細書において、一部の実施形態は、機械またはコンピュータが読むことができ、前記上述の方法のステップの一部またはすべてを実行する命令の機械が実行することができるまたはコンピュータが実行することができるプログラムを符号化するプログラム・ストレージ・デバイス、例えば、デジタル・データ・ストレージ媒体を包含するようにやはり意図される。プログラム・ストレージ・デバイスは、例えば、デジタル・メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気ストレージ媒体、ハード・ドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタル・データ・ストレージ媒体である可能性がある。実施形態は、上述の方法の前記ステップを実行するようにプログラムされたコンピュータを包含するようにやはり意図される。
【0078】
「プロセッサ」または「論理」と分類される任意の機能ブロックを含む図に示されたさまざまな要素の機能は、専用ハードウェアと、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアとを使用することによって提供され得る。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用のプロセッサ、単一の共有のプロセッサ、または一部が共有される可能性がある複数の個々のプロセッサによって提供される可能性がある。さらに、用語「プロセッサ」または「コントローラ」または「論理」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと考えられるべきでなく、暗黙的に、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを含む可能性がある。通常のおよび/またはカスタムのその他のハードウェアも、含まれる可能性がある。同様に、図に示されたいずれのスイッチも、概念的であるに過ぎない。それらの機能は、プログラム論理の動作によって、専用の論理によって、プログラムの制御および専用の論理のインタラクションによって、またはさらには手動で実行される可能性があり、文脈からより詳細に理解されるように、特定の技術が、実装者によって選択され得る。
【0079】
本明細書の任意のブロック図が本発明の原理を具現化する回路の概念図を示すことは、当業者によって理解されるに違いない。同様に、任意のフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、実質的にコンピュータ可読媒体で表現され、したがって、コンピュータまたはプロセッサによって、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず実行され得るさまざまなプロセスを表すことが理解されるであろう。
【0080】
説明および図面は、単に、本発明の原理を示す。したがって、当業者が、本明細書において明示的に説明されていないか、または示されていないが、本発明の原理を具現化し、本発明の趣旨および範囲内に含まれるさまざまな構成を案出することができることは、理解されるであろう。さらに、本明細書に挙げられたすべての例は、本発明の原理、ならびに当技術分野の発展のために(1人または複数の)本発明者がもたらした概念を読者が理解するのを助ける教示のみを特に目的とするようにもっぱら意図されており、そのような特に挙げられた例および条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの特定の例を説明する本明細書のすべての記述は、それらの等価物を包含するように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5