(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マルチビーム回折格子は、互いに離間された曲線状の複数の溝および曲線状の複数の隆線のうちの1つを備える、請求項1に記載のマルチビーム回折格子ベースのバックライト。
前記複数の光ビームを、対応する複数のライトバルブを用いて変調することを更に含み、前記変調された複数の光ビームは、3次元(3D)電子ディスプレイの複数の画素を形成する、請求項14に記載の電子ディスプレイの動作の方法。
前記マルチビーム回折格子は、曲線状の複数の回折特徴部を有するチャープ回折格子を備え、前記曲線状の複数の回折特徴部の曲線は、前記複数のうちの前記1つの光ビームの前記異なる方向を定める、請求項1に記載のマルチビーム回折格子ベースのバックライト。
【発明を実施するための形態】
【0007】
いくつかの例は、上記で参照された図に示す特徴の追加または代替の1つである他の特徴を有している。これらおよび他の特徴は、上記で参照される図を参照して以下で詳述される。
【0008】
本明細書で説明する原理による例は、マルチビーム回折カップリング(diffractive coupling)を用いた電子ディスプレイ背面照明(backlighting)を提供する。具体的には、本明細書で説明する電子ディスプレイの背面照明は、マルチビーム回折格子を使用する。マルチビーム回折格子は、ライトガイド(light guide)から光をカップリングして外へ出し(couple out)、カップリングして外へ出された光を電子ディスプレイの視認方向(viewing direction)に方向付ける(direct)ために用いられる。本明細書で説明する原理の様々な例によれば、マルチビーム回折格子により視認方向に方向付けられた、カップリングして外へ出された光は複数の光を含んでおり、それらは、互いに異なる主極大角度方向を有している。いくつかの例では、異なる主極大角度方向を有する複数の光ビーム(「異なる方向に向けられた複数の光ビーム」とも呼ばれる)を使用して、3次元(3D)情報を表示することができる。例えば、マルチビーム回折格子により生成された、異なる方向に向けられた複数の光ビームは、変調され、例えば「裸眼」3D電子ディスプレイの複数の画素として作用することができる。
【0009】
様々な例によれば、マルチビーム回折格子は、複数の光ビームを生成し、これら複数の光ビームは、対応して空間的に隔てられた複数の異なる角度(すなわち異なる主極大角度方向(different principal angular directions))を有する。具体的には、マルチビーム回折格子により生成された各光ビームは、角度成分{θ,φ}で与えられる1つの主極大角度方向を有する。角度成分θは、本明細書では光ビームの「仰角成分」または「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、本明細書では光ビームの「方位角成分(azimuth component)」または「方位角(azimuth angle)」と呼ばれる。定義上、仰角θは、垂直面(vertical plane)(例えば、マルチビーム回折格子の平面に垂直)における角度であり、方位角φは、水平面(horizontal plane)(例えば、マルチビーム回折格子平面に平行)における角度である。
図1は、本明細書で説明する原理の一例による、特定の主極大角度方向を有する光ビーム10の角度成分{θ,φ}を示す。更に、本明細書における定義上、各光ビームは、特定の点から放射または発散(emanate)される。すなわち、定義上、各光ビームは、マルチビーム回折格子内の特定の原点に関連付けられた中心光線(central ray)を有する。また、
図1は、光ビームの原点Pを示す。
【0010】
様々な例によれば、光ビームの仰角成分θは、マルチビーム回折格子の回折角θ
mに関係し、いくつかの例では回折角θ
mにより決定される。具体的には、いくつかの例によれば、仰角成分θは、光ビームの原点Pの近くまたは原点Pにおける回折角θ
mにより決定され得る。様々な例によれば、光ビームの方位角成分φは、マルチビーム回折格子の複数の特徴部(feature)の向きまたは回転により決定され得る。具体的には、いくつかの例によれば、原点の近傍における、マルチビーム回折格子に入射する光の伝播方向に対するこれらの特徴部の方位配向角(azimuth orientation angle)φ
fは、光ビームの方位角成分φを決定し得る(例えばφ=φ
f)。例示の入射光の伝播方向は、
図1に太線の矢印を用いて示される。
【0011】
様々な例によれば、マルチビーム回折格子およびその特徴部(すなわち「回折特徴部(diffractive feature)」)の特性は、複数の光ビームの角度指向性(angular directionality)と、これらの光ビームのうちの1つまたは複数に対するマルチビーム回折格子の波長または色選択性(selectivity)の一方または両方を制御するために用いることができる。角度指向性および波長選択性を制御するために用いることができる特性は、格子長さ、格子ピッチ(特徴部間隔)、特徴部の形状、特徴部のサイズ(例えば、溝または隆線(ridge)の幅)、および格子の向きを含むが、これらに限定されない。いくつかの例では、制御のために用いられる様々な特性は、光ビームの原点の近傍の近くの特性としてもよい。
【0012】
本明細書において、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折をもたらすように配置された複数の特徴部(すなわち、回折特徴部)として一般に定義される。いくつかの例では、複数の特徴部は、周期的にまたは準周期的に配置してもよい。例えば、回折格子は、1次元(1D)アレイに配置された複数の特徴部(例えば、材料表面における複数の溝)を含んでいてもよい。他の例では、回折格子は、複数の特徴部の2次元(2D)アレイとしてもよい。例えば、回折格子は、材料表面の複数の突起(bump)の2Dアレイとしてもよい。
【0013】
このように、また本明細書における定義上、回折格子は、回折格子に入射する光の回折をもたらす構造体である。光がライトガイドから回折格子に入射すると、そこでもたらされる回折は、回折カップリングを生じ得、したがってそれは「回折カップリング」と呼ばれるが、回折格子が回折によりライトガイドから光をカップリングして外へ出すことができる。回折格子はまた、回折により光の角度(すなわち、回折角度)を方向変更する(redirect)かまたは変化させる。具体的には、回折の結果として、回折格子を出る光(すなわち、回折された光)は一般に、入射光の伝播方向とは異なる伝播方向を有する。本明細書では、回折による光の伝播方向の変化は、「回折的方向変更(diffractive redirection)」と呼ばれる。したがって、回折格子は、回折格子に入射する光を回折により方向変更する回折特徴部を含む構造体であると理解することができ、光がライトガイドから入射する場合には、回折格子はライトガイドから光を回折によりカップリングして外へ出すこともできる。
【0014】
本明細書では特に、「回折カップリング」は、(例えば回折格子による)回折による、2つの材料の間の境界にわたる電磁波(例えば光)のカップリングとして定義される。例えば、回折格子は、ライトガイド内を伝播する光を ライトガイドの境界にわたって回折カップリングすることによって、カップリングして外へ出すために用いられ得る。例えば、回折カップリングは、内部全反射(ライトガイド内で光を導波する)に実質的に打ち勝って(overcome)、光をカップリングして外へ出すことができる。同様に、「回折的方向変更」の定義は、回折の結果としての光の方向変更または光の伝播方向の変更である。回折的方向変更は、2つの材料の間の境界において回折が生じる場合(例えば、回折格子が境界にある場合)に、その境界において生じ得る。
【0015】
更に、本明細書における定義上、回折格子の複数の特徴部は、「回折特徴部」と呼ばれ、表面(例えば2つの材料間の境界)、表面内、および表面上(at, in and on)のうちの1つまたは複数にあるものとすることができる。この表面は、例えばライトガイドの表面とすることができる。回折特徴部は、表面、表面内、または表面上の溝、隆線、穴、および突起を含むがこれらに限定されない、光を回折する様々な構造体のうちの任意のものを含むことができる。例えばマルチビーム回折格子は、材料表面における複数の平行な溝を含むことができる。別の例では、回折格子は、材料表面から立ち上がった複数の平行な隆線を含むことができる。回折特徴部(例えば溝、隆線、穴、突起など)は、長方形輪郭、三角形輪郭、および鋸歯状輪郭のうちの1つまたは複数を含むがこれらに限定されない、回折をもたらす様々な断面形状または輪郭のうちの任意のものを有することができる。
【0016】
本明細書における定義上、「マルチビーム回折格子」は、複数の光ビームを生成する回折格子である。いくつかの例では、マルチビーム回折格子は、「チャープ(chirped)」回折格子とすることができるかまたは「チャープ」回折格子を含むことができる。マルチビーム回折格子により生成される複数の光ビームは、上述のように角度成分{θ,φ}により表される異なる主極大角度方向を有することができる。具体的には、様々な例によれば、光ビームの各々は、マルチビーム回折格子による入射光の回折カップリングおよび回折的方向変更の結果として、所定の主極大角度方向を有することができる。例えば、マルチビーム回折格子は、8つの異なる主方向に8つの光ビームを生成することができる。様々な例によれば、上述のように、光ビームの仰角θは、マルチビーム回折格子の回折角θ
mにより決定することができ、方位角φは、マルチビーム回折格子に入射する光の伝播方向に対する、光ビームの原点におけるマルチビーム回折格子の複数の特徴部の向きまたは回転に関連付けることができる。
【0017】
様々な例によれば、局所的に周期的な透過性回折格子によりもたらされる回折角θ
mは、式(1)によって以下のように与えられ得る。
【0018】
【数1】
ただし、λは光の波長、mは回折次数、dは回折格子の特徴部間の距離、θ
iは回折格子に対する光の入射角、nは回折格子における回折格子に光が入射する側(すなわち「光入射」側)の材料(例えば液晶)の屈折率である。式(1)は、回折格子の光入射側とは反対側の屈折率は1の屈折率であると仮定している。光入射側の反対側の屈折率が1でない場合は、式(1)はそれに従って修正することができる。本明細書では、様々な例によれば、マルチビーム回折格子により生成される複数の光ビームは、すべてが同じ回折次数mを有していてもよい。
【0019】
本明細書では更に、「ライトガイド」は、内部全反射を用いて構造体内で光を導波する構造体として定義される。具体的には、ライトガイドは、ライトガイドの動作波長において実質的に透明なコアを含んでいてもよい。いくつかの例では、「ライトガイド」という用語は一般に、ライトガイドの誘電体材料と、ライトガイドを取り囲む材料または媒体との間の境界面において光を導波するための内部全反射をもたらす誘電体光導波路を指す。定義上、内部全反射のための条件は、ライトガイドの屈折率が、ライトガイド材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率より大きいことである。いくつかの例では、ライトガイドは、内部全反射を更に容易にするために、上述の屈折率差に加えてまたはその代わりにコーティングを含んでいてもよい。コーティングは、例えば反射コーティングとしてもよい。様々な例によれば、ライトガイドは、平板(plate)またはスラブ(slab)ライトガイドおよびストリップ(strip)ライトガイドの一方または両方を含むがこれらに限定されない、いくつかのライトガイドのうちの任意のものとすることができる。
【0020】
本明細書では更に、「平板」という用語は、「平板ライトガイド」のようにライトガイドに適用された場合は、区分的(piecewise)または個別的(differentially)に平面状の層またはシートとして定義される。具体的には、平板ライトガイドは、ライトガイドの上面と下面とにより境界を画された2つの実質的に直交する方向に光を導波するように構成されたライトガイドとして定義される。更に、本明細書における定義上、上面および下面は共に互いに隔てられ、個別的な意味で互いに実質的に平行である。すなわち、平板ライトガイドのいずれの個別的に小さな領域内でも、上面および下面は実質的に平行であるかまたは同一平面上にある(co-planar)。いくつかの例では、平板ライトガイドは、実質的に平坦(例えば平面に制限される)であってよく、したがって平板ライトガイドは平面状ライトガイドとなる。他の例では、平板ライトガイドは、1つまたは2つの直交する寸法(dimension)において曲線状としてもよい。例えば、平板ライトガイドは、円筒形状の平板ライトガイドを形成するように、単一の寸法において曲線状としてもよい。しかしながら、様々な例では、いずれの曲率も、光を導波するために平板ライトガイド内での内部全反射が維持されることを確実にするように、十分大きな曲率半径を有する。
【0021】
また更に、本明細書で用いられるとき、冠詞「a(1つ)」は、特許技術(patent art)における通常の意味、すなわち、「1つまたは複数(one or more)」を有することを意図するものである。本明細書では例えば、「(1つの)格子(a grating)」は1つまたは複数の格子を意味し、したがって「その(1つの)格子(the grating)」は「その1つまたは複数の格子(the grating(s))」を意味する。また、本明細書における「上部(top)」、「下部(bottom)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「上向き(up)」、「下向き(down)」、「正面(front)」、「背面(back)」、「左」、または「右」に対するいずれの参照も、本明細書では限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、値に適用されたときは一般にその値を生成するために用いられる機器の許容差範囲(tolerance range)内を意味し、またはいくつかの例では他に明示的に指定されない限り、±10%、または±5%、または±1%を意味する。更に本明細書における例は、例示的にすぎず、考察の目的で示され、限定のためのものではないことが意図される。
【0022】
図2Aは、本明細書で説明する原理と一致した一例によるマルチビーム回折格子ベースのバックライト100の斜視図を示す。
図2Cは、本明細書で説明する原理と一致した一例による、
図2Aに示すマルチビーム回折格子ベースのバックライト100の断面図を示す。
図2Bは、本明細書で説明する原理と一致した別の例によるマルチビーム回折格子ベースのバックライト100の断面図を示す。様々な例によれば、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100は、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100から離れるように方向付けられた複数の光ビーム102をもたらすように構成される。いくつかの例では、複数の光ビーム102は、電子ディスプレイの複数の画素を形成する。いくつかの例では、電子ディスプレイは、いわゆる「裸眼」3次元(3D)ディスプレイ(例えば、マルチビュー(multiview)ディスプレイ)である。
【0023】
様々な例によれば、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100によりもたらされる複数の光ビームのうちの1つの光ビーム102は、複数の光ビームのうちの他の光ビーム102とは異なる主極大角度方向を有するように構成される(例えば、
図2Bおよび
図2Cを参照)。更に、その1つの光ビーム102は、所定の方向(主極大角度方向)と、比較的狭い角度拡がり(angular spread)の両方を有することができる。いくつかの例では、これらの光ビーム102は、(例えば、以下で説明するように1つのライトバルブ(light valve)により)個々に変調されてもよい。マルチビーム回折格子ベースのバックライト100から離れるように異なる方向に方向付けられたこれらの光ビーム102の個々の変調は、例えば比較的厚い複数のライトバルブを使用した3D電子ディスプレイ用途に対して特に有用となり得る。
【0024】
図2A〜
図2Cに示すように、回折格子ベースのバックライト100は、ライトガイド110を備えている。ライトガイド110は、光104を(例えば光源130から)導波するように構成されている。いくつかの例では、ライトガイド110は、内部全反射を用いて導波光104を導波する。例えば、ライトガイド110は、光導波路として構成された誘電体材料を含んでいてもよい。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率より大きい、第1の屈折率を有していてもよい。例えば、屈折率の差は、ライトガイド110の1つまたは複数の導波モードによる導波光104の内部全反射を容易にするように構成されている。
【0025】
例えば、ライトガイド110は、(例えば、
図2Bおよび
図2Cの断面に示すように、かつ
図2Aの上部から示すように)光学的に透明な材料の、伸ばされて実質的に平面状のシートであるスラブまたは平板の光導波路としてもよい。誘電体材料の実質的に平面状のシートは、内部全反射により光104を導波するように構成されている。いくつかの例では、ライトガイド110は、ライトガイド110の表面の少なくとも一部分上にクラッド層を備えていてもよい(図示せず)。例えば、クラッド層は、内部全反射を更に容易にするために用いてもよい。
【0026】
いくつかの例では、光104は、ライトガイド110の長さに沿って伝播し導波されるように、ライトガイド110の端部(end)内へカップリングできる。例えば、レンズ、ミラー、およびプリズム(図示せず)のうちの1つまたは複数は、ライトガイド110の端部または縁部(edge)内への光のカップリングを容易にすることができる。様々な例によれば、ライトガイド110の光学的に透明な材料は、様々なタイプのガラス(例えば石英ガラス、アルカリ・アルミノシリケート・ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、および実質的に光学的に透明なプラスチックまたはポリマー(例えばポリ(メチルメタクリレート)または「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)を含むがこれらに限定されない、様々な誘電体材料のうちの任意のものを含んでいてもよいし、またはこれらのうちの任意のもので形成されていてもよい。
【0027】
図2Bおよび
図2Cに更に示すように、導波光104は、全体的に水平方向にライトガイド110に沿って伝播することができる。導波光104の伝播は、ライトガイド110内の様々な伝播光学ビームを表すいくつかの太線の水平の矢印として、
図2Bにおいて左から右に示されている。
図2Cは、やはりいくつかの水平の矢印として、右から左への導波光104の伝播を示している。例えば、これらの伝播する光ビームは、ライトガイド110の光学モードのうちの1つまたは複数に関連する伝播光の平面波を表すことができる。例えば、導波光104の伝播する光ビームは、内部全反射に起因した、ライトガイド110の材料(例えば誘電体)と周囲の媒体との間の境界面におけるライトガイド110の壁面からの「跳ね返り(bouncing)」または反射により伝播することができる。
【0028】
様々な例によれば、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100は、マルチビーム回折格子120を更に備える。マルチビーム回折格子120は、ライトガイド110の表面に配置され、回折カップリングによりまたは回折カップリングを用いて、ライトガイド110から導波光104の一部分または複数部分をカップリングして外へ出すように構成されている。具体的には、導波光104のカップリングして外へ出された部分は、複数の光ビーム102としてライトガイド表面から離れるように回折により方向変更される。上述のように、様々な例によれば、複数の光ビーム102の各々は、異なる主極大角度方向を有する。
【0029】
具体的には、
図2Cは、複数の光ビーム102を発散(diverge)するように示し、
図2Bは、複数の光ビーム102を収束(converge)するように示している。例えば、光ビーム102が発散する(
図2C)かまたは収束する(
図2B)かは、導波光104の方向により決定できる。光ビーム102が発散しているいくつかの例では、発散する光ビーム102は、マルチビーム回折格子120のある距離だけ下または裏側に位置する「仮想」点(図示せず)から発散するように見え得る。同様に、いくつかの例によれば、収束する光ビーム102は、マルチビーム回折格子120の上または正面のある点(図示せず)に収束することができる。
【0030】
様々な例によれば、マルチビーム回折格子120は、回折をもたらす複数の回折特徴部122を備える。もたらされる回折は、ライトガイド110からの導波光104の回折カップリングを担う。例えば、マルチビーム回折格子120は、回折特徴部122としての役割を果たす、ライトガイド110の表面内の複数の溝およびライトガイド表面110から突出した複数の隆線の一方または両方を含んでいてもよい。これらの溝および隆線は、互いに平行に配置してもよく、かつ少なくともある点では、マルチビーム回折格子120によりカップリングして外へ出される導波光104の伝播方向と垂直に配置してもよい。
【0031】
いくつかの例では、これらの溝および隆線は、表面内へエッチング、ミリング、またはモールドしてもよく、または表面上に貼り付けてもよい。したがって、マルチビーム回折格子120の材料は、ライトガイド110の材料を含んでいてもよい。
図2Aに示すように、マルチビーム回折格子120は、ライトガイド110の表面を貫通する実質的に平行な複数の溝を含む。他の例では(図示せず)、マルチビーム回折格子120は、ライトガイド表面に貼り付けられたまたは固定された膜または層でもよい。例えば、回折格子120は、ライトガイド表面上に堆積されていてもよい。
【0032】
様々な例によれば、マルチビーム回折格子120は、ライトガイド110の表面、表面上、または表面内に様々な構成で配置できる。例えば、マルチビーム回折格子120は、ライトガイド表面にわたって複数列および複数行に配置された複数の格子(例えば、マルチビーム回折格子)の1つの要素(member)とすることができる。別の例では、複数のマルチビーム回折格子120は、複数のグループ(例えば3格子の1グループであり、このグループ内の各格子は異なる光の色に関連する)に配置でき、これらのグループは複数行および複数列に配置できる。また別の例では、複数のマルチビーム回折格子120は、ライトガイド110の表面にわたって実質的にランダムに分散することができる。
【0033】
いくつかの例によれば、マルチビーム回折格子120は、チャープ回折格子120を含んでいてもよい。
図2A〜
図2Cに示すように、定義上、チャープ回折格子120は、チャープ回折格子120の範囲または長さにわたって変化する複数の回折特徴部の回折間隔dを呈する(exhibit)かまたは有する回折格子である。本明細書では、変化する回折間隔dは、「チャープ」と呼ばれる。その結果、ライトガイド110から回折によりカップリングして外へ出された導波光104は、チャープ回折格子120にわたる異なる原点に対応する異なる回折角θ
mにおいて、光ビーム102としてチャープ回折格子120から出射するかまたは放射される(例えば、上記の式(1)を参照されたい)。チャープのおかげで、チャープ回折格子120は、光ビーム102の仰角成分θの観点から、異なる主極大角度方向を有する複数の光ビーム102を生成することができる。
【0034】
いくつかの例では、チャープ回折格子120は、距離と共に線形に変化する回折間隔dのチャープを有するまたは呈することができる。したがって、チャープ回折格子120は、「線形チャープ」回折格子と呼ぶことができる。例えば、
図2Bおよび
図2Cは、マルチビーム回折格子120を線形チャープ回折格子として示している。図示のように、複数の回折特徴部122は、マルチビーム回折格子120の第2の端部120’’では、第1の端部120’でよりも互いに近くにある。更に、図示の回折特徴部122の回折間隔dは、第1の端部120’から第2の端部120’’まで線形に変化する。
【0035】
いくつかの例では、チャープ回折格子を含むマルチビーム回折格子120を用いてライトガイド110から光をカップリングして外へ出すことにより生成された複数の光ビーム102は、導波光104が第1の端部120’から第2の端部120’’の方向に(例えば
図2Bに示すように)伝播するときには、収束する(すなわち複数の収束光ビーム102となる)ことができる。代替的には、他の例によれば、導波光104が第2の端部120’’から第1の端部120’に(例えば
図2Cに示すように)伝播するときには、複数の発散光ビーム102が生成され得る。
【0036】
別の例では(図示せず)、チャープ回折格子120は、回折間隔dの非線形なチャープを呈していてもよい。チャープ回折格子120を実現するために用いることができる様々な非線形なチャープは、指数関数チャープ、対数チャープ、および別の実質的に不均一またはランダムであるが依然として単調に変化するチャープを含むが、これらに限定されない。正弦波チャープ、三角形または鋸歯状チャープなどであるが、これらに限定されない非単調なチャープも使用可能である。
【0037】
いくつかの例によれば、マルチビーム回折格子120内の複数の回折特徴部122は、導波光104の入射方向に対して様々な向きを有していてもよい。具体的には、マルチビーム回折格子130内の第1の点におけるこれらの回折特徴部122の向きは、別の点におけるこれらの回折特徴部122の向きとは異なっていてもよい。上述のように、いくつかの例によれば、光ビーム102の主極大角度方向{θ,φ}の方位角成分φは、光ビーム102の原点におけるこれらの回折特徴部122の方位配向角φ
fにより決定されてもよいし、この方位配向角φ
fに対応していてもよい。したがって、マルチビーム回折格子120内の複数の回折特徴部122の変化する向きは、少なくともそれらのそれぞれ方位角成分φの観点から、異なる主極大角度方向{θ,φ}を有する異なる光ビーム102を生成する。
【0038】
いくつかの例では、マルチビーム回折格子120は、曲線状のまたは全体的に曲線状の構成で配置された複数の回折特徴部122を含んでいてもよい。例えば、これらの回折特徴部122は、曲線の半径に沿って互いに離間された曲線状の複数の溝および曲線状の複数の隆線のうちの1つを含んでいてもよい。例えば
図2Aは、曲線状の離間された複数の溝として、曲線状の複数の回折特徴部122を示している。回折特徴部122の曲線に沿った異なる点において、曲線状の複数の回折特徴部122に関連するマルチビーム回折格子120の「下にある回折格子」は、異なる方位配向角φ
fを有している。具体的には、曲線状の回折特徴部122に沿った所定の点において、曲線は、曲線状の回折特徴部122に沿った別の点とは一般に異なる特定の方位配向角φ
fを有している。更に、特定の方位配向角φ
fは、所定の点から放射された1つの光ビーム102の主極大角度方向{θ,φ}の対応する方位角成分φをもたらす。いくつかの例では、回折特徴部(例えば溝、隆線など)の曲線は、円の一区間を表していてもよい。この円は、ライトガイド表面と同一平面としてもよい。他の例では、曲線は、例えばライトガイド表面と同一平面である、楕円または別の曲線状形状の一区間を表していてもよい。
【0039】
他の例では、マルチビーム回折格子120は、「区分ごとに」曲線状である複数の回折特徴部122を含んでいてもよい。具体的には、1つの回折特徴部は、それ自体で実質的に滑らかなまたは連続した曲線を表さなくてもよいが、マルチビーム回折格子120内のその回折特徴部に沿った異なる点において、その回折特徴部は、依然として導波光104の入射方向に対して異なる角度に向けられてもよい。例えばこの回折特徴部122は、複数の実質的に直線の区画(segment)を含む1つの溝とすることができ、各区画は隣接する区画とは異なる向きを有している。様々な例によれば、これらの区画の異なる角度は、併せて1つの曲線(例えば円の一区画)を近似していてもよい。以下で説明する
図3を参照されたい。更に他の例では、これらの特徴部は、特定の曲線(例えば円または楕円)を近似せずに、単にマルチビーム回折格子120内の異なる場所において、導波光の入射方向に対して異なる向きを有していてもよい。
【0040】
いくつかの例では、マルチビーム回折格子120は、向きの異なる複数の回折特徴部122と、回折間隔dのチャープの両方を含んでいてもよい。具体的には、向きとこれらの回折特徴部122間の間隔dの両方が、マルチビーム回折格子120内の異なる点において変化していてもよい。例えば、マルチビーム回折格子120は、共に曲線状でありかつ曲線の半径の関数として間隔dが変化する複数の溝または複数の隆線を有する曲線状のチャープ回折格子120を含んでいてもよい。
【0041】
図2Aは、曲線状でかつチャープされた複数の回折特徴部122(例えば複数の溝または複数の隆線)を含むマルチビーム回折格子120(すなわち、曲線状のチャープ回折格子である)を示す。導波光104の例示の入射方向が、
図2Aでは1本の太線の矢印により示されている。
図2Aはまた、ライトガイド110の表面から離れるように向いた複数の矢印として、回折カップリングによりもたらされた複数の放射された光ビーム102を示している。図示のように、これらの光ビーム102は、複数の異なる主極大角度方向に放射される。具体的には、これらの放射された光ビーム102の異なる主極大角度方向は、図示のように、方位角および仰角の両方において異なる。
図2Aには、限定ではなく例として、6つの別々の光ビーム102が示されている。上述のように、いくつかの例によれば、回折特徴部122のチャープは、異なる主極大角度方向の仰角成分に対して大きく関与し得、これらの回折特徴部122の曲線は、方位角成分に対して大きく関与し得る。
【0042】
図3は、本明細書で説明する原理と一致した別の例によるマルチビーム回折格子120の平面図を示す。図示のように、マルチビーム回折格子120は、ライトガイド110の表面上にあり、区分ごとに曲線状でありかつチャープされた複数の回折特徴部122を含んでいる。
図3では、導波光104の例示の入射方向は、太線の矢印により示されている。
【0043】
図2Bおよび
図2Cを再び参照すると、いくつかの例によれば、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100は、光源130を更に含んでいてもよい。光源130は、カップリングされてライトガイド110内へ入った(coupled into)ときに導波光104となる光を供給するように構成してもよい。様々な例では、光源130は、発光ダイオード(LED)、蛍光灯、およびレーザのうちの1つまたは複数を含むがこれらに限定されない、実質的に任意の光源としてもよい。いくつかの例では、光源130は、特定の色により表される狭帯域(narrowband)のスペクトルを有する実質的に単色の光を生成してもよい。具体的には、この単色光の色は、特定の色域またはカラーモデル(例えば、赤−緑−青(RGB)カラーモデル)の原色としてもよい。光源130は赤色LEDとしてもよく、単色光102は実質的に赤色となる。光源30は緑色LEDとしてもよく、単色光130は実質的に緑色となる。光源130は青色LEDとしてもよく、単色光130は実質的に青色となる。他の例では、光源130により供給される光は、実質的に広帯域(broadband)のスペクトルを有する。例えば、光源130により生成される光は、白色光としてもよい。光源130は、白色光を生成する蛍光灯としてもよい。いくつかの例では、導波光104は、光源130からの光であって、カップリングされてライトガイド110の端部または縁部内へ入ったものであってもよい。例えば、レンズ(図示せず)は、光をカップリングしてライトガイド110の端部または縁部で、ライトガイド110内へ入れることを容易にすることができる。
【0044】
いくつかの例では、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100は、実質的に透明である。いくつかの例によれば、具体的には、ライトガイド110およびマルチビーム回折格子120の両方は、ライトガイド110内の導波光伝播の方向と直交する方向に光学的に透明としてもよい。例えば、光学的透明性は、回折格子ベースのバックライト100の一方の側の物体を反対側から見ることを可能にし得る。
【0045】
本明細書で説明する原理のいくつかの例によれば、電子ディスプレイが提供される。様々な例によれば、電子ディスプレイは、変調された複数の光ビームを電子ディスプレイの複数の画素として放射するように構成される。更に、様々な例では、放射された、変調された光ビームは、複数の異なる方向に向けられた光ビームとして、電子ディスプレイの視認方向に向かって優先的に方向付けられてもよい。いくつかの例では、電子ディスプレイは、3次元(3D)電子ディスプレイ(例えば裸眼3D電子ディスプレイ)である。様々な例によれば、変調され、異なる方向に向けられた光ビームのうちの異なる光ビームは、3D電子ディスプレイに関連付けられた、異なる「視像(view)」に対応することができる。例えば、異なる「視像」は、3D電子ディスプレイにより表示される情報の「裸眼の」(例えばオートステレオスコピック)表現をもたらすことができる。
【0046】
図4は、本明細書で説明する原理と一致した一例による電子ディスプレイ200のブロック図を示す。具体的には、
図4に示す電子ディスプレイ200は、変調された複数の光ビーム202を放射するように構成された3D電子ディスプレイ200(例えば「裸眼」3D電子ディスプレイ)である。放射された、変調された光ビーム202は、
図4では例としてかつ限定ではなく、発散するものとして(例えば収束するのと対照的に)示されている。
【0047】
図4に示す3D電子ディスプレイ200は、光を導波する平板ライトガイド210を備えている。平板ライトガイド210内の導波光は、3D電子ディスプレイ200により放射される変調された複数の光ビーム202となる光の発生源である。いくつかの例によれば、平板ライトガイド210は、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100に関して上述したライトガイド110と実質的に同様とすることができる。例えば平板ライトガイド210は、内部全反射により光を導波するように構成された誘電体材料の平面状のシートであるスラブ光導波路としてもよい。
【0048】
図4に示す3D電子ディスプレイ200は、マルチビーム回折格子220を更に備える。いくつかの例では、マルチビーム回折格子220は、上述のマルチビーム回折格子ベースのバックライト100のマルチビーム回折格子120と実質的に同様としてもよい。具体的には、マルチビーム回折格子220は、導波光の一部分を複数の光ビーム204としてカップリングして外へ出すように構成されている。更に、マルチビーム回折格子220は、これらの光ビーム204を対応する複数の異なる主極大角度方向に向けるように構成されている。いくつかの例では、マルチビーム回折格子220は、チャープ回折格子を含む。いくつかの例では、マルチビーム回折格子220の回折特徴部(例えば、溝、隆線など)は、曲線状の回折特徴部である。更に他の例では、マルチビーム回折格子220は、曲線状の回折特徴部を有するチャープ回折格子を含む。例えば、曲線状の回折特徴部は、曲線状の(すなわち、連続的に曲線状または区分的に曲線状の)隆線または溝と、マルチビーム回折格子220にわたって距離の関数として変化し得る曲線状の複数の回折特徴部間の間隔とを含んでいてもよい。
【0049】
図4に示すように、3D電子ディスプレイ200は、ライトバルブアレイ230を更に備える。様々な例によれば、ライトバルブアレイ230は、複数の異なる方向に向けられた光ビーム204を変調するように構成された複数のライトバルブを含む。具体的には、ライトバルブアレイ230の複数のライトバルブは、異なる方向に向けられた複数の光ビーム204を変調して、3D電子ディスプレイ200の画素である変調された複数の光ビーム202を供給する。更に、変調された、異なる方向に向けられた光ビーム202のうちの異なる光ビームが、3D電子ディスプレイの異なる視像に対応することができる。様々な例では、複数の液晶ライトバルブおよび複数の電気泳動ライトバルブを含むがこれらに限定されない、ライトバルブアレイ230の異なるタイプの複数のライトバルブを使用してもよい。
図4では、光ビーム202の変調を強調するために破線が用いられている。
【0050】
様々な例によれば、3Dディスプレイ内で使用されるライトバルブアレイ230は、比較的厚くしてもよいし、または等価的にマルチビーム回折格子220から比較的大きな距離だけ離間されてもよい。いくつかの例では、ライトバルブアレイ230(例えば複数の液晶ライトバルブを用いたもの)は、マルチビーム回折格子220から離間されてもよいし、または等価的に約50マイクロメートルより大きい厚さを有していてもよい。いくつかの例では、ライトバルブアレイ230は、マルチビーム回折格子220から離間されてもよいし、または約100マイクロメートルより大きい厚さを有していてもよい。更に他の例では、その厚さまたは間隔は、約200マイクロメートルより大きくしてもよい。本明細書で説明する原理の様々な例によれば、マルチビーム回折格子220は複数の異なる主極大角度方向に方向付けられた複数の光ビーム204を供給するので、比較的厚いライトバルブアレイ230またはマルチビーム回折格子220から離間されたライトバルブアレイ230を使用してもよい。いくつかの例では、比較的厚いライトバルブアレイ230は、市販されているものとしてもよい(例えば市販の液晶ライトバルブアレイ)。
【0051】
(例えば
図4に示されるような)いくつかの例では、3D電子ディスプレイ200は、光源240を更に備える。光源240は、平板ライトガイド210内を伝播する光を導波光として供給するように構成される。いくつかの例によれば、具体的には、導波光は、平板ライトガイド210の縁部内へカップリングされる光源240からの光である。いくつかの例では、光源240は、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100に関して上述した光源130と実質的に同様である。例えば、光源240は、単色光を供給する特定の色(例えば赤、緑、青)のLED、または、広帯域光(例えば白色光)を供給する蛍光灯などであるがこれらに限定されない広帯域光源を含んでいてもよい。
【0052】
本明細書で説明する原理のいくつかの例によれば、電子ディスプレイの動作の方法が提供される。
図5は、本明細書で説明する原理と一致した一例による電子ディスプレイの動作の方法300のフローチャートを示す。図示のように、電子ディスプレイの動作の方法300は、ライトガイド内で光を導波すること310を含む。いくつかの例では、ライトガイドおよび導波光は、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100に関して上述したライトガイド110および導波光104と実質的に同様としてもよい。具体的には、いくつかの例では、ライトガイドは、内部全反射により導波光を導波してもよい(310)。更に、いくつかの例では、ライトガイドは、実質的に平面状の誘電体光導波路(例えば平板ライトガイド)としてもよい。
【0053】
電子ディスプレイの動作の方法300は、マルチビーム回折格子を用いて導波光の一部分を回折によりカップリングして外へ出すこと320を更に含む。様々な例によれば、マルチビーム回折格子は、ライトガイドの表面に配置される。例えば、マルチビーム回折格子は、ライトガイドの表面に複数の溝、複数の隆線などとして形成してもよい。他の例では、マルチビーム回折格子は、ライトガイド表面上の膜を含んでいてもよい。いくつかの例では、マルチビーム回折格子は、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100に関して上述したマルチビーム回折格子120と実質的に同様である。具体的には、マルチビーム回折格子は、導波光の回折によりカップリングして外へ出された(320)部分から、複数の光ビームを生成する。
【0054】
電子ディスプレイの動作の方法300は、ライトガイド表面から離れるように複数の光ビームを回折により方向変更すること330を更に含む。具体的には、表面から離れるように回折により方向変更された(330)複数のうちの1つの光ビームは、複数のうちの他の光ビームとは異なる主極大角度方向を有する。いくつかの例では、回折により方向変更された複数のうちの各々の光ビームは、複数のうちの他の光ビームに対して異なる主極大角度方向を有する。表面から離れるように光ビームを回折により方向変更すること330は、マルチビーム回折格子を更に使用する。様々な例によれば、マルチビーム回折格子を用いて異なる主極大角度方向において表面から離れるように複数の光ビームを回折により方向変更すること330は、マルチビーム回折格子ベースのバックライト100に関して上述したマルチビーム回折格子120の動作と実質的に同様としてもよい。具体的には、この方法300によれば、マルチビーム回折格子は、同時にまたは実質的に同時に、導波光を複数の光ビームとして回折によりカップリングして外へ出し(320)、回折により方向変更(330)してもよい。
【0055】
いくつかの例では、電子ディスプレイの動作の方法300は、複数の光ビームのうちの複数の光ビームを、対応する複数のライトバルブを用いて変調すること340を更に含む。具体的には、回折により方向変更された(330)複数の光ビームは、対応する複数のライトバルブを通過することにより、または対応する複数のライトバルブと別の方法で相互作用することにより変調される(340)。いくつかの例によれば、変調された光ビームは、3次元(3D)電子ディスプレイの画素を形成することができる。例えば、変調された光ビームは、3D電子ディスプレイ(例えば裸眼3D電子ディスプレイ)の複数の視像をもたらすことができる。
【0056】
いくつかの例では、複数の光ビームを変調する(340)のに用いられる複数のライトバルブは、3D電子ディスプレイ200に関して上述したライトバルブアレイ230と実質的に同様である。例えば、これらのライトバルブは、複数の液晶ライトバルブを含んでいてもよい。別の例では、これらのライトバルブは、エレクトロウェッティングライトバルブおよび電気泳動ライトバルブを含むがこれらに限定されない別のタイプのライトバルブとしてもよい。
【0057】
このように、マルチビーム回折格子を使用して複数の異なる方向に向けられた光ビームを供給するマルチビーム回折格子ベースのバックライト、3D電子ディスプレイ、および電子ディスプレイの動作の方法の複数の例について説明した。上述の例は、本明細書で説明する原理を表す多数の特定の例のいくつかを単に例示するものであることが理解されるべきである。明らかに当業者は、添付の特許請求の範囲により定義される範囲から逸脱せずに数多くの他の構成を容易に考案することができる。