(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定した患者のプラーク情報が、プラークの存在又は非存在、プラークの成長又は縮小、プラークの組成、プラーク組成の変化、プラークの形状、及びプラークの形状の変化の1つ以上を含む、請求項1に記載の作動方法。
前記機械学習アルゴリズムのトレーニングが、前記複数の個体のそれぞれに対する形状モデルの複数のポイントについて、前記血流特性のポイント、及び生理学的又は表現型パラメータの特徴ベクトルを作成すること;及び
前記複数の個体のそれぞれについて、前記特徴ベクトルを、対応する個体のプラーク情報と関連付けることを含む、請求項3に記載の作動方法。
前記機械学習アルゴリズムのトレーニングが、前記関連付けた特徴ベクトルに基づき、種々のポイントでプラーク情報を予測するために前記機械学習アルゴリズムをトレーニングすることを更に含む、請求項4に記載の作動方法。
各特徴ベクトルが、収縮期及び拡張期血圧、心拍数、血液特性、個体年齢、個体性別、個体身長、個体体重、疾患の有無、ライフスタイル特性、大動脈の形状特性及び冠動脈枝の形状特性のうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の作動方法。
各特徴ベクトルが、断面積特徴セット、強度特徴セット、表面特徴セット、体積特徴セット、中心線特徴セット及び簡略化された物理的特徴セットのうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の作動方法。
患者のプラーク情報を決定するための機械学習アルゴリズムの実行が、前記患者の形状モデルにおける複数ポイントのそれぞれについて、前記複数の個体のそれぞれについて取得された特徴ベクトルに対応する前記患者の生理学的パラメータの特徴ベクトルを作成することを含む、請求項3に記載の作動方法。
前記生理学的又は表現型パラメータが、心拍数、ヘマトクリット値、血圧、血液粘度、個体年齢、個体性別、個体体重、個体のライフスタイル特性、及び供給された組織の質量のうちの1つ以上を含む、請求項3に記載の作動方法。
前記機械学習アルゴリズムが、サポートベクトルマシン(SVM)、多層パーセプトロン(MLP)、多変量回帰(MVR)、ツリーベースの分類、及び重み付き線形又はロジスティック回帰のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の作動方法。
前記決定した患者のプラーク情報が、プラークの存在又は非存在、プラークの成長又は縮小、プラークの組成、プラーク組成の変化、プラークの形状、及びプラークの形状の変化の1つ以上を含む、請求項15に記載のシステム。
前記機械学習アルゴリズムのトレーニングが、前記複数の個体のそれぞれの形状モデルの複数のポイントについて、前記血流特性のポイント、及び生理学的又は表現型パラメータの特徴ベクトルを作成すること;及び
前記複数の個体のそれぞれについて、前記特徴ベクトルを、対応する個体のプラーク情報と関連付けることを含む、請求項17に記載のシステム。
前記機械学習アルゴリズムのトレーニングが、前記関連付けた特徴ベクトルに基づき、種々のポイントでプラーク情報を予測するために前記機械学習アルゴリズムをトレーニングすることを更に含む、請求項18に記載のシステム。
各特徴ベクトルが、収縮期及び拡張期血圧、心拍数、血液特性、個体年齢、個体性別、個体身長、個体体重、疾患の有無、ライフスタイル特性、大動脈の形状特性及び冠動脈枝の形状特性のうちの1つ以上を含む、請求項18に記載のシステム。
各特徴ベクトルが、断面積特徴セット、強度特徴セット、表面特徴セット、体積特徴セット、中心線特徴セット及び簡略化された物理的特徴セットのうちの1つ以上を含む、請求項18に記載のシステム。
前記プロセッサが、更に、前記機械学習アルゴリズムを使用して、前記形状モデルにおける複数のポイントに対応するプラーク情報を予測する特徴の重みを識別し、前記識別された重みを記憶装置に記憶するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
患者のプラーク情報を決定するための機械学習アルゴリズムの実行が、前記患者の形状モデルにおける複数ポイントのそれぞれについて、前記複数の個体のそれぞれについて取得された特徴ベクトルに対応する前記患者の生理学的パラメータの特徴ベクトルを作成することを含む、請求項18に記載のシステム。
前記生理学的パラメータが、心拍数、ヘマトクリット値、血圧、血液粘度、個体年齢、個体性別、個体体重、個体のライフスタイル特性、及び供給された組織の質量のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載のシステム。
前記機械学習アルゴリズムが、サポートベクトルマシン(SVM)、多層パーセプトロン(MLP)、多変量回帰(MVR)、及び重み付き線形又はロジスティック回帰のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載のシステム。
前記プロセッサが、更に、それぞれの個体について異なる時間に得られた、2つ以上の形状モデルの比較に基づいて、機械学習アルゴリズムをトレーニングし;2つ以上の形状モデル間の対応するポイントを決定することにより、それぞれの個体について異なる時間に得られた2つ以上の形状モデルを同期させるように構成されている、請求項15に記載のシステム。
コンピュータによって実行された時に、冠動脈病変に関する情報を予測する方法を前記コンピュータに実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記方法が、
複数の個体のそれぞれについて、前記個体の血管系の少なくとも一部の形状モデル、血流特性、及びプラーク情報を取得すること;
前記形状モデルの複数のポイントのそれぞれについて、前記形状モデル内のプラークの存在を予測する特徴、及び複数の個体の血流特性を識別すること;
前記複数の個体のそれぞれの形状モデル及び血流特性、並びに予測される特徴に基づいて、機械学習アルゴリズムをトレーニングすること;
患者について、患者の血管系の少なくとも一部の形状モデル及び血流特性を取得すること;及び
予測される特徴に基づき、患者の形状モデル及び血流特性に対して機械学習アルゴリズムを実行し、患者の形状モデルの少なくとも1つのポイントに対する患者のプラーク情報を決定することを含む、前記媒体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、例示的な実施形態に関して詳細に説明するが、その例示は、添付の図面に例示されている。可能な限り、同じ部分又は同様の部分について述べるには図面を通じて、同じ参照番号を用いる。
【0016】
本開示は、冠動脈疾患(CAD)の予後診断を提供するためのアプローチ、及び患者に特異的な形状及び血流特性に基づいてプラークの成長/縮小を予測するためのアプローチを記載している。特に、本開示は、患者の情報(例えば、3次元心臓イメージング、患者の人口統計及び病歴)を受け取り、CADの病因の患者特異的及び部位特異的リスクスコアを提供するシステムを記載している。本開示は、冠動脈疾患に特に関連して記載されているが、同じシステム及び方法は、冠状動脈を越えて他の血管系における病変形成の患者固有の予測を作成するために適用可能である。
【0017】
具体的には、本開示は、(1)患者に特異的な冠動脈の形状モデルを取得し、(2)血行動態特性、患者の生理学的情報、及び境界条件を抽出し、冠動脈病変の発症及び部位を予測するための、冠血流シミュレーションを実施するために、患者の心臓イメージングを使用するための特定の原理及び実施形態を記載している。本開示は、プラークを形成しやすい部位を予測するための、物理学をベースとする血流のシミュレーションに限定されるものではなく、患者の人口統計及び冠動脈の形状、並びに患者に特異的な生物物理学的シミュレーション(例えば、血液動態特性)を含む、種々の危険因子を組み入れることにより、病変の部位を予測するための機械学習を使用する。追加の診断検査の結果が利用可能であれば、これらの結果も、トレーニング及び予測で使用することができる。特定の実施形態によれば、本開示の方法は、2つの段階:(1)機械学習システムが、冠動脈病変の1つ以上の部位を予測するようにトレーニングされるトレーニング段階;及び(2)冠動脈病変の1つ以上の部位を生成するために機械学習システムが使用される生成段階の2つの段階を含む。
【0018】
図面を参照すると、
図1は、血管形状、生理機能及び血行動態からの冠動脈病変の部位、発症及び/又は変化を予測するための例示的なシステム及びネットワークのブロック図を示す。特に、
図1は、それらのいずれかが、1つ以上のコンピュータ、サーバー、及び/又は携帯用モバイル機器を介してインターネット等の電子ネットワーク101に接続することができる、複数の医師の装置又はシステム102、及び第三者提供者の装置又はシステム104を示す。医師の装置又はシステム102及び/又は第三者提供者の装置又はシステム104と、それぞれ関連する医師及び/又は第三者提供者は、1名以上の患者の心臓及び/又は血管系の画像を作成し、そうでなければ取得することができる。医師及び/又は第三者提供者は、年齢、病歴、血圧、血液粘度等の患者に特異的な情報のあらゆる組み合わせをも得ることができる。医師及び/又は第三者提供者は、電子ネットワーク101を介してサーバーシステム106に、心臓/血管の画像及び/又は患者に特異的な情報を送信することができる。サーバーシステム106は、医師の装置又はシステム102、及び/又は第三者提供者の装置又はシステム104から受信した画像及びデータを記憶する記憶装置を備えていてもよい。サーバーシステム106は、記憶装置に記憶された画像及びデータを処理するための処理装置を備えていてもよい。
【0019】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、血管形状からの冠動脈病変の部位、発症、及び/又は変化を予測するのに使用される形状モデル200の例示的な3次元メッシュの略図である。例えば、上述したように、第三者提供者又は医師は、1名以上の患者の患者に特異的な解剖学的データを取得することができる。患者に特異的な解剖学的データとしては、患者の大動脈の少なくとも一部、大動脈と結合した大部分の冠動脈の近位部(及びそこから延びる枝部)及び心筋等の患者の心臓の形状に関するデータが挙げられる。しかし、上述したように、患者に特異的な解剖学的データは、更に、又はこれに代えて、患者の心臓を超えて含む、患者の血管系のあらゆる部分に関して得ることができる。
【0020】
最初に、例えば、患者が胸痛や心臓発作等の冠動脈疾患に関連する症状を経験している場合に、医師が患者の冠動脈血流に関する情報が所望されると判断したとき、医師は患者を選択してもよい。患者に特異的な解剖学的データは、例えば非侵襲的画像法を使用して非侵襲的に取得することができる。例えば、CCTAは、ユーザーが、構造、例えば、心筋、大動脈、主冠動脈、及びそれらに接続された他の血管の画像を可視化及び作成するためのコンピュータ断層撮影(CT)スキャナーを操作し得る画像化法である。CCTAデータは経時変化する場合があり、例えば心臓周期を通して血管形状の変化を示す。CCTAは、患者の心臓の画像を生成するために使用することができる。例えば、患者の心臓のスライスに関するデータである64スライスCCTAデータが取得され、3次元画像に組み立てることができる。
【0021】
また、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波(US)又は侵襲的撮影方法(例えばデジタル差引血管造影法(DSA))等の他の非侵襲的な撮影方法が、患者の解剖学的組織の構造体に関する画像を生成するために使用され得る。これらの撮影方法は、解剖学的組織の構造体を特定することが可能となるよう、患者に造影剤を経皮的に注入することを伴い得る。結果的に生成される撮影データ(例えばCCTA、MRI、その他により提供される)は、放射線研究所又は心臓病医等の第三者の販売者により、患者の医師、その他により、提供され得る。
【0022】
他の患者に特異的な解剖学的データも、患者から非侵襲的に判定され得る。例えば、患者の血圧、基準心拍数、身長、体重、ヘマトクリット値、拍出量、その他などの生理学的データを測定することができる。血圧は、(例えば血圧計カフを使用して)患者の上腕動脈内の血圧(例えば最高(収縮期)血圧及び最低(拡張期)血圧など)であり得る。
【0023】
上述のように取得された患者に特異的な解剖学的データは、セキュリティ保護された通信ライン(例えば、
図1のネットワーク101)を介して伝達され得る。例えばデータは、コンピュータ分析、例えば、
図3〜5Bについて後述するコンピュータ分析を実施するためにサーバーシステム106又は他のコンピュータシステムに伝達され得る。1つの例示的な実施形態では、患者に特異的なデータは、ウェブベースのサービスを提供するサービスプロバイダにより運用されるサーバー106又はコンピュータシステムに伝達され得る。また、データは、患者の医師又は他のユーザーにより運用されるコンピュータシステムに伝達され得る。
【0024】
一実施形態では、サーバーシステム106は、受信した患者に特異的な解剖学的データに基づき、3次元ソリッドモデル及び/又は3次元メッシュ200を作成し得る。例えば、サーバーシステム106は、その開示内容全体が本明細書に組み入れられる、2012年11月20日に発行された、Taylorらによる米国特許第8,315,812号に記載の技術のいずれかに基づいて、3次元モデル及び/又はメッシュを作成し得る。
【0025】
図3Aは、本開示の例示的な実施形態による、血管形状、生理機能及び血行動態から冠動脈病変の部位、発症、及び/又は変化を予測するための複数の患者の血流特性に基づく、機械学習システムをトレーニングする例示的なトレーニング方法300のブロック図である。特に、
図3Aに示すように、方法300は、複数の患者について、患者の画像データ(例えば、形状モデル)、並びに生理機能及び/又は血行動態情報302を取得することを含む場合がある。方法300は、複数の患者の画像、並びに生理機能及び/又は血行動態情報に基づき、特徴ベクトル304を作成することを含む場合がある。方法300は、複数の患者について、プラーク306に関する情報を取得し、この複数の患者のプラークに関する情報を、学習システムの出力308の所望される形式にフォーマットすることを更に含んでいる。方法300は、複数の患者の画像データ、並びに生理機能予備又は血行動態情報から形成された特徴ベクトル304と、複数の患者についてのプラークに関する情報の出力308とを、両方とも学習システム310に入力することにより、トレーニングモードを完了する。例えば、以下の詳細に説明するように、特定のユーザーのプラークに関する情報の出力の作成において後で使用するため、データからのパターン及び結論を識別するために、任意の適切なタイプの機械学習システムが、特徴ベクトル304及び出力308の両方を処理し得る。
【0026】
図3Bは、本開示の例示的な実施形態による、特定の患者についての、血管形状、生理機能及び血行動態から冠動脈病変の部位、発症、及び/又は変化を予測するための、トレーニングされた機械学習システム310を使うための例示的な使用法350のブロック図である。
図3Bに示すように、方法350は、トレーニングされた学習システム310に基づいて、プラークの部位、発症、及び/又は変化を予測することが所望される、特定の患者について、患者の画像データ(例えば、形状モデル)、並びに生理機能及び/又は血行動態情報312を取得することを含む場合がある。当然に、方法350は、トレーニングされた学習システムに基づき、プラークの部位、発症、及び/又は変化を予測することが所望される、多くの患者について、患者の画像データ、並びに生理機能及び/又は血行動態情報を取得することを含む場合がある。方法350は、受信した生理機能及び/又は血行動態情報の1つ以上の要素に基づき、患者の形状モデルの複数のポイントのそれぞれについて、特徴ベクトル314を作成することを含む場合がある。次いで、方法350は、患者の形状モデルの複数のポイントのそれぞれにおけるプラークの存在又は発症の推定値の出力316を取得するために、患者について生成された特徴ベクトルにおいて機械学習システム310を操作し、出力を、患者318のプラークの部位、発症、及び/又は変化に関する使用可能な情報318に翻訳することを含む場合がある。
【0027】
以下に示すのは、サーバーシステム106を使用し、電子ネットワーク101を介して医師及び/又は第三者提供者から受信した画像及びデータに基づき、トレーニングモード方法300、血管形状、生理機能及び血行動態から冠動脈病変の部位、発症、及び/又は変化を予測するための機械学習の生成モード方法350を実行するための例示的実施形態である。特に、
図4A〜5Bの方法を、電子ネットワーク101を介して医師の装置又はシステム102、及び/又は第三者提供者の装置又はシステム104から受信した情報に基づき、サーバーシステム106により実施することができる。
【0028】
図4Aは、本開示の例示的な実施形態による、血管形状、生理機能及び血行動態から冠動脈病変の部位を予測するための、機械学習システム(例えば、サーバーシステム106で実行される機械学習システム310)をトレーニングするための例示的な方法400のブロック図である。特に、方法400は、1名以上の患者について(ステップ402)、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルの取得(ステップ404)、患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値の取得(ステップ406)、及び患者の生理学的血行動態特性の1つ以上の推定値の取得(ステップ408)を含む場合がある。
【0029】
例えば、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルを取得する工程(ステップ404)は、患者の血管、心筋、大動脈、弁、プラーク、及び/又は房の1つ以上についての形状の患者特異的モデルを取得することを含む場合がある。一実施形態では、この形状は、空間をポイント間の空間的単位(例えば、ミリメートル)にマッピングすることができる(おそらく各ポイントについての近傍のリストを有する)空間内のポイントのリストとして表すことができる。一実施形態では、このモデルは、心臓周期の拡張末期段階中に患者の心臓のCTイメージング検査を実施することによって導出することができる。次いで、画像は、大動脈及び冠動脈の管腔に属するボクセルを識別するために手動で又は自動的にセグメント化することができる。冠動脈血管系の3次元画像を考慮すると、多くの利用可能な方法のいずれかを、心血管形状の患者に特異的なモデルの抽出に使用することができる。自動的に抽出された形状の不正確さは、抽出された形状を画像と比較する人間の観察者によって補正し、必要に応じて修正することができる。ボクセルが識別されると、形状モデルを、(例えば、マーチングキューブを使用して)導出することができる。
【0030】
患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ406)は、患者の生理学的又は表現型パラメータ、例えば、血圧、血液粘度、インビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)、患者年齢、患者性別、供給された組織の質量等の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む場合がある。これらのパラメータは、全身的であってもよく(例えば、血圧)又は局所的(例えば、局所における血管壁の推定密度)であってもよい。一実施形態では、生理学的又は表現型パラメータとしては、血圧、ヘマトクリット値、患者年齢、患者性別、心筋質量(例えば、心筋の質量を推定するために、画像内の心筋をセグメント化し、画像内の体積を計算し、1.05g/mLの推定濃度を用いて得た)、冠動脈疾患の一般的危険因子(例えば、喫煙、糖尿病、高血圧、腹部肥満、食習慣、家族歴等)、及び/又はインビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)が挙げられる。
【0031】
患者の生物物理学的血行動態特性の1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ408)は、壁せん断応力、振動せん断指数、粒子滞留時間、レイノルズ数、ウオマスリー数、局所流量、及び乱流運動エネルギー等の、コンピュータによる流体力学分析からの生物物理学的血行動態特性の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む場合がある。特に、平均壁せん断応力は、
【数1】
により定義することができ、表面力ベクトルの面内成分として定義される壁せん断応力であり得る。振動せん断指数(OSI)は、
【数2】
により定義することができ、せん断応力の一定方向の測定値であり得る。粒子滞留時間は、血液が指定の流体領域から流されるまでの時間の測定値であり得る。乱流運動エネルギー(TKE)は、乱流における渦に関連付けられた乱流の強さの尺度であり、測定された二乗平均平方根速度変動によって特徴付けられてもよいし、運動エネルギーによって正規化してもよい。レイノルズ数は、
【数3】
(式中、ρ:血液の密度、U:平均流速、D:血管直径、μ:動粘性係数)により定義することができる。ウオマスリー数は、
【数4】
(式中、ω:角周波数、
【数5】
に相当する)により定義することができる。
【0032】
方法400は、患者に特異的な形状モデルの1つ以上の部位におけるプラークの存在又は非存在の表示の取得を更に含む場合がある(ステップ410)。例えば、一実施形態では、石灰化した、又は石灰化していないプラークの部位を、CT、及び/又は他の画像診断法(血管内超音波又は光干渉断層撮影を含む)を用いて検出することができる。例えば、プラークは、患者に特異的な解剖学的データから生成される3次元画像(
図2の200)内に検出することができる。プラークは、大動脈、主冠状動脈の管腔よりも明るい領域、及び/又は分枝として、3次元画像又はモデル内で識別することができる。したがって、プラークが設定値以下の強度値を有するか、又はユーザが視覚的に検出することができるように、コンピュータ・システムによって検出することができる。検出されたプラークの部位は、心門点(左の主要な冠動脈口又は右冠動脈口)から関連の血管中心線上に配位するプラークの座標の突起までの距離、及び心筋(例えば心筋/心膜側)に対するプラークの角度位置によりパラメータ化することができる。検出されたプラークの部位は、関連の血管中心線上に配位するプラークの突起の開始点及び終了点によってもパラメータ化することができる。プラークが部位に存在する場合、方法400は、冠動脈プラーク組成、例えば、型、ハウンズフィールド単位(HU)等、荷重(burden)、形状(偏心性又は同心性)、及び部位の1つ以上の取得を含む場合がある。
【0033】
方法400は、プラークの存在又は非存在に関する情報がある、患者に特異的な形状モデルにおける複数のポイントのそれぞれについて(ステップ412)、ポイントに対する特徴ベクトルを作成し(ステップ414)、この特徴ベクトルを、このポイントにおけるプラークの存在又は非存在と関連付けることを更に含む場合がある(ステップ416)。一実施形態では、ポイントに対する特徴ベクトルを作成するステップは、このポイントにおける形状及び生物物理学的血行動態特性の数値的記述からなる、このポイントに対する特徴ベクトルを作成し、患者の生理学的又は表現型パラメータを見積もることを含む。例えば、特質に対する特徴ベクトル:心門までの距離、壁せん断応力、局所流量、レイノルズ数、及び中心線湾曲は、(50mm、70ダイン/cm
2、1500mm
3/秒、400、1mm
−1)の形状であってもよい。全体的な生理学的又は表現型パラメータは、全てのポイントの特徴ベクトルで使用することができ、局所的な生理学的又は表現型パラメータは、種々のポイントの特徴ベクトルで変化することができる。
【0034】
一実施形態では、ステップ414で生成される例示的な特徴ベクトルとしては、(i)収縮期及び拡張期血圧、(ii)心拍数、(iii)血漿、赤血球(赤血球)、ヘマトクリット、白血球(白血球)及び血小板(血小板)、粘度、降伏応力等を含む血液性状、(iv)患者年齢、患者性別、身長、体重等、(v)ライフスタイル特性、例えば、現在服用中の薬物/薬剤の有無、(vi)CADの一般的危険因子、例えば、喫煙、糖尿病、高血圧、腹部肥満、食事習慣、CADの家族歴等、(vii)インビトロにおける血液検査の結果、例えば、LDL、トリグリセリドコレステロール濃度等、(viii)冠動脈カルシウムスコア、(ix)大動脈及び弁中のカルシウム量、(x)大動脈瘤の存在、(xi)心臓弁膜症の存在、(xii)末梢疾患の存在、(xiii)歯科疾患の存在、(xiv)心外膜の脂肪容積、(xv)心機能(駆出率)、(xvi)負荷心エコー試験の結果、(xvii)大動脈の形状の特徴(例えば、上行大動脈及び下行大動脈に沿った断面積プロファイル、並びに大動脈の表面積及び容量)、(xviii)その開示全体が、参照により本出願に組み入れられる、2012年10月19日に、Timothy A.Fonteらによって出願された、米国特許出願第13/656,183号に記載されているような、SYNTAXスコア、(xix)既存のプラークのプラーク荷重、(xx)既存のプラークの不利なプラーク特性(例えば、積極的な再構築の存在、低減衰プラークの存在、まだらな石灰化の存在)、(xxi)冠動脈の分枝形状の特性、(xxii)冠動脈の断面積の特性、(xxiii)冠動脈管腔硬度の特性、例えば、中心線に沿った強度の変化(線形フィッティングされた強度変化の傾き)、(xxiv)冠動脈表面の形状特性、例えば、形状の3次元3次元表面曲率(ガウシアン、最大、最小、平均)、(xxv)冠動脈形状の容積の特性、例えば、心筋の容積と比較した、全冠動脈容積の比、(xxvi)冠動脈中心線の特性、(xxvii)冠動脈変形の特性、(xxviii)既存のプラークの特性、及び(xxix)計算による流動力学又は侵襲的測定に由来する冠動脈血行動態特性の1つ以上を挙げることができる。
【0035】
一実施形態では、冠動脈の分枝形状の特性としては、(1)血管分岐部の総数、及び血管分岐部の上流/下流の数、(2)平均、最小、最大上流/下流断面積、(3)最小及び最大上流/下流断面積の中心線上の点までの(血管中心線に沿った)距離、(4)最も近い上流/下流血管分岐部までの(血管中心線に沿った)断面積及び距離、(5)最も近い冠動脈出口及び大動脈入口/出口の断面積及びそこまでの(血管の中心線に沿った)距離、(6)最小/最大断面積を有する下流冠動脈出口の断面積及びそこまでの(血管中心線に沿った)距離、及び/又は(7)冠状血管の上流/下流体積の1つ以上を挙げることができる。
【0036】
一実施形態では、冠動脈断面積の特性としては、(1)冠動脈中心線に沿った断面管腔面積、(2)Nの指数に対する管腔断面積(ここで、Nは種々のスケーリング則源と、例えばMurray則(N=1.5)及びUylingの試験(N=1.165〜1.5)から決定することができる)、(3)主心門に対する管腔断面積の比率(LM、RCA)(例えば、LM心門における断面積、LM心門領域による左冠動脈の正規化した断面積の測定値、RCA心門における断面積、RCA心門領域による左冠動脈の正規化した断面積の測定値)、(4)Nの指数に対する主心門に対する管腔断面積の比率(ここで、Nは種々のスケーリング則源と、例えばMurray則(N=1.5)及びUylingの試験(N=1.165〜1.5)から決定することができる)、(5)中心線に沿った管腔断面積の先細りの程度(特定の間隔(例えば、血管の直径で2つ)内の中心線のサンプル、及び線形フィッティングされた断面積の計算をベースとする)、(6)狭窄病変の部位(最小断面積曲線の決定(例えば、部位の判定、面積曲線の一次導関数はゼロであり、二次導関数が正であり、人為的なピークの検出を回避するために断面積のプロファイルを平滑化する)、及び主心門からの距離の計算(中心線のパラメトリックな弧の長さ)をベースとする)、(7)狭窄病変の長さ(断面積が回復する狭窄病変からの近位及び遠位の部位に基づいて計算)、(8)フーリエ平滑化又はカーネル回帰を用いて平滑化断面積分布の基準値に基づいて、狭窄の程度を見積もりすることによる、狭窄病変の程度、(9)50%、75%、90%の面積減少に対応する病変の位置及び数、(10)狭窄病変から主心門までの距離、及び/又は(11)断面管腔境界の不規則性(又は真円度)の1つ以上を挙げることができる。
【0037】
一実施形態では、冠動脈中心線の特徴としては、例えば、(1)
【数6】
(式中、pは中心線の座標である)に基づいてフレネの曲率を計算し、中心線ポイントに沿った外接円の半径の逆数を計算することによる、冠動脈中心線の曲率(屈曲)、及び(2)
【数7】
(式中、pは中心線の座標である)に基づいてフレネのねじれを計算することによる、冠動脈中心線のねじれ(非平面)が挙げられる。
【0038】
一実施形態では、冠動脈変形の特性の計算は、(1)心臓周期にわたる冠動脈の膨張性、(2)心臓周期にわたる冠動脈の分岐角度の変化、及び/又は(3)心臓周期にわたる曲率変化を含む、多相CCTA(例えば、拡張及び収縮)を必要とする場合がある。一実施形態では、既存のプラークの特性は、(1)プラークの容量、(2)プラークの強度、(3)プラークの型(石灰化、非石灰化)、(4)プラークの部位から心門(LM又はRCA)までの距離、及び(5)プラークの部位から最も近い上流/下流血管分岐部までの距離に基づいて計算することができる。
【0039】
一実施形態では、冠動脈血行動態の特性は、コンピュータによる流体力学又は侵襲的な測定から得てもよい。例えば、下流の血管系、心臓周期の間の心臓及び動脈系との間の相互作用に起因する心筋内の圧力変動を説明するための集中定数心臓モデルと閉ループモデルを連結するとともに、下流の血管系のための集中定数冠血管モデルを用いることにより、拍動流シミュレーションを実施して血液の過渡特性を得ることができる。例えば、計算は、測定されたFFR、冠血流予備能、圧力分布、FFRct、平均壁せん断応力、振動せん断指数、粒子滞留時間、乱流運動エネルギー、レイノルズ数、ウオマスリー数、及び/又は局所流量を含み得る。
【0040】
次いで、方法400は、特徴ベクトルを患者に特異的な形状モデルのそれぞれのポイントにおいて、プラークの存在又は非存在と関連づけることを含む場合がある(ステップ416)。方法400は、患者に特異的な形状モデルにおける複数のポイントのそれぞれについて(ステップ418)、機械学習アルゴリズムがベースとしていてもよい、任意の多くの患者のそれぞれについて、上記ステップ412、414、416の実施を継続することを含む場合がある(ステップ420)。次いで、方法400は、ポイントにおける特徴ベクトルからのポイントにおけるプラークの存在の可能性を予測するための機械学習アルゴリズムをトレーニングすることを含む場合がある(ステップ422)。この作業を実施するのに適した機械学習アルゴリズムとしては、サポートベクトルマシン(SVM)、多層パーセプトロン(MLP)、及び/又は多変量回帰(MVR)(例えば、重み付き線形又はロジスティック回帰)が挙げられる。
【0041】
次いで、方法400は、機械学習アルゴリズム(例えば、特徴重み)の結果を、デジタル表現、例えば、サーバーシステム106の計算手段(コンピュータ、ラップトップ、DSP、サーバー等)の記憶保存又はデジタル保存(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ)に記憶させるか、さもなければ保存する(ステップ424)。
【0042】
図4Bは、特定の患者について、本開示の例示的な実施形態による、血管形状、生理機能及び血行動態等から冠動脈病変の部位を予測するための方法400(例えば、サーバーシステム106で実行される機械学習システム310)に従ってトレーニングされた機械学習システムを使用するための例示的な方法450のブロック図である。一実施形態では、方法450は、1名以上の患者について(ステップ452)、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルの取得(ステップ454)、患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値の取得(ステップ456)、及び患者の生理学的血行動態特性の1つ以上の見積もりの取得(ステップ458)を含んでいてもよい。
【0043】
特に、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルを取得するステップ(ステップ454)は、患者の血管、心筋、大動脈、弁、プラーク、及び/又は房の1つ以上の形状の患者に特異的なモデルを取得することを含む場合がある。一実施形態では、この形状は、空間を、ポイント間の空間的単位(例えば、ミリメートル)にマッピングすることができる、空間におけるポイントのリスト(おそらく、各ポイントに対して隣接するポイントのリストとともに)として表すことができる。一実施形態では、このモデルは、心臓周期の拡張末期段階に患者の心臓のCT撮影を実施することによって得ることができる。次いで、大動脈及び冠動脈の管腔大動脈に属するボクセルを識別するために、この画像を手動で又は自動的にセグメント化することができる。自動的に抽出された形状の不正確さは、抽出された形状を画像と比較する人間の観察者によって補正され、必要に応じて修正することができる。ボクセルが識別されると、形状モデルを、(例えば、マーチングキューブを使用して)導出することができる。
【0044】
一実施形態では、患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ456)は、患者の生理学的又は表現型パラメータ、例えば、血圧、血液粘度、インビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)、患者年齢、患者性別、供給された組織の質量等の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む。これらのパラメータは、全身的であってもよく(例えば、血圧)又は局所的(例えば、局所における血管壁の推定密度)であってもよい。一実施形態では、生理学的又は表現型パラメータとしては、血圧、ヘマトクリット値、患者年齢、患者性別、心筋質量(例えば、心筋の質量を推定するために、画像内の心筋をセグメント化し、画像内の体積を計算し、1.05g/mLの推定濃度を用いて得た)、冠動脈疾患の一般的危険因子(例えば、喫煙、糖尿病、高血圧、腹部肥満、食習慣、家族歴等)、及び/又はインビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)が挙げられる。
【0045】
一実施形態では、患者の生理学的血行動態学的特徴の1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ458)は、壁せん断応力、振動せん断指数、粒子滞留時間、レイノルズ数、ウオマスリー数、局所流量、及び乱流運動エネルギー等の、コンピュータによる流体力学分析からの生物物理学的血行動態特性の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む場合がある。特に、平均壁せん断応力は、
【数8】
により定義することができ、表面力ベクトルの面内成分として定義される壁せん断応力であり得る。振動せん断指数(OSI)は、
【数8-1】
により定義することができ、せん断応力の一定方向の測定値であり得る。粒子滞留時間は、血液が指定の流体領域から流されるまでの時間の測定値であり得る。乱流運動エネルギー(TKE)は、乱流における渦に関連付けられた乱流の強さの尺度であり、測定された二乗平均平方根速度変動によって特徴付けられてもよいし、運動エネルギーによって正規化してもよい。レイノルズ数は、
【数9】
(式中、ρ:血液の密度、U:平均流速、D:血管直径、μ:動粘性係数)により定義することができる。ウオマスリー数は、
【数10】
(式中、ω:角周波数、
【数11】
に相当する)により定義することができる。
【0046】
方法450は、患者の患者に特異的な形状モデルにおける各ポイントについて(ステップ460)、そのポイントにおける形状及び生物物理学的血行動態特性の数値的記述、並びに患者の生理学的又は表現型パラメータの推定値を含む特徴ベクトルを作成することを含む場合がある(ステップ462)。全体的な生理学的又は表現型パラメータは、1以上のポイントの特徴ベクトルで使用することができ、局所的な生理学的又は表現型パラメータは種々のポイントの特徴ベクトルで変化することができる。方法450は、患者に特異的な形状モデルにおける複数のポイントのそれぞれについて、上記ステップ460、462を実施するために継続する必要がある場合がある(ステップ464)。
【0047】
次いで、方法450は、記憶した機械学習の結果に基づき、患者に特異的な形状モデルにおける各ポイントでのプラークの存在又は非存在の可能性の推定値の作成を含む(
図4AのBで記憶)(ステップ468)。特に、方法450は、(例えば、各ポイントにおける特徴ベクターの関数としてプラーク推定値を生成することにより)患者に特異的な形状モデルにおける各ポイントでのプラークの存在の可能性の推定値を作成するために、方法400のトレーニングモードで作成された機械学習アルゴリズム310の記憶された結果(例えば、特徴の重み)を使用する場合がある。トレーニングモードで使用される、同一の機械学習アルゴリズム技術(例えば、SVM、MLP、MVR技術)を用いて、これらの推定値を生成することができる。一実施形態では、推定値は、形状モデルの各ポイントにおけるプラークの存在の可能性であってもよい。ポイントに既存のプラークがない場合、上記方法は、プラーク(例えば、脂質に富み、石灰化されていないプラーク)の発症の推定される確率を生成することを含む場合がある。ポイントにプラークが存在する場合、上記方法は、識別されるプラークが異なる段階(例えば、線維性又は石灰化)に進行する可能性、並びにこのような進行の量又は形状の推定値を生成する場合がある。一実施形態では、推定値は、特定の任意の部位、又は部位の組み合わせにおける形状、型、組成、サイズ、成長、及び/又は縮小の可能性であってもよい。例えば、一実施形態では、(長期的なトレーニングデータがないと)プラークの進行は、実際に特性Yを有しているにもかかわらず、患者集団に基づく疾病特性Xを有していると患者が思われるように決定することにより、予測することができる。したがって、推定値は、患者が状態Xから状態Yに進行するであろうことを含む場合があり、これは、プラークの成長、縮小、型の変化、組成の変化、形状の変化等に関する前提及び/又は予測を含む場合がある。方法450は、プラークの存在又は非存在の可能性の推定値を記憶することを含む場合があり(ステップ470)、例えば、コンピュータ、ラップトップ、DSP、サーバーシステム106のサーバー等の計算手段のメモリー又はデジタル保存(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ)に記憶させ、これらの患者特異的及び部位特異的な病変形成の予測される可能性を、電子ネットワーク101等を介して医療提供者に伝えることを含む場合がある。
【0048】
図5Aは、本開示の例示的な実施形態による、血管形状、生理機能及び血行動態の、例えば長期的データ(すなわち、時間の異なるポイントにおいて同一の患者から得た、対応するデータ)を使用することにより、時間の経過による、冠動脈病変の発症又は変化(例えば、成長及び/又は縮小)を予測するための機械学習システム(例えば、サーバーシステム106で実行する機械学習システム310)のトレーニングのための例示的方法500のブロック図である。特に、方法500は、1名以上の患者について(ステップ502)、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルの取得(ステップ504)、患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値の取得(ステップ506)、及び患者の生理学的血行動態特性の1つ以上の推定値の取得(ステップ508)を含む場合がある。
【0049】
例えば、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルを取得するステップ(ステップ504)は、患者の血管、心筋、大動脈、弁、プラーク、及び/又は房の1つ以上の形状の患者に特異的なモデルを取得することを含む場合がある。一実施形態では、この形状は、空間を、ポイント間の空間的単位(例えば、ミリメートル)にマッピングすることができる、空間におけるポイントのリスト(おそらく、各ポイントに対して隣接するポイントのリストとともに)として表すことができる。一実施形態では、このモデルは、心臓周期の拡張末期段階に患者の心臓のCT撮影を実施することによって得ることができる。次いで、大動脈及び冠動脈の管腔大動脈に属するボクセルを識別するために、この画像を手動で又は自動的にセグメント化することができる。自動的に抽出された形状の不正確さは、抽出された形状を画像と比較する人間の観察者によって補正され、必要に応じて修正することができる。
【0050】
患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ506)は、患者の生理学的又は表現型パラメータ、例えば、血圧、血液粘度、インビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)、患者年齢、患者性別、供給された組織の質量等の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む場合がある。これらのパラメータは、全身的であってもよく(例えば、血圧)又は局所的(例えば、局所における血管壁の推定密度)であってもよい。一実施形態では、生理学的又は表現型パラメータとしては、血圧、ヘマトクリット値、患者年齢、患者性別、心筋質量(例えば、心筋の質量を推定するために、画像内の心筋をセグメント化し、画像内の体積を計算し、1.05g/mLの推定濃度を用いて得た)、冠動脈疾患の一般的危険因子(例えば、喫煙、糖尿病、高血圧、腹部肥満、食習慣、家族歴等)、及び/又はインビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)が挙げられる。
【0051】
患者の生物物理学的血行動態特性の1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ508)は、壁せん断応力、振動せん断指数、粒子滞留時間、レイノルズ数、ウオマスリー数、局所流量、及び乱流運動エネルギー等の、コンピュータによる流体力学分析からの生物物理学的血行動態特性の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む場合がある。特に、平均壁せん断応力は、
【数12】
により定義することができ、表面力ベクトルの面内成分として定義される壁せん断応力であり得る。振動せん断指数(OSI)は、
【数13】
により定義することができ、せん断応力の一定方向の測定値であり得る。粒子滞留時間は、血液が指定の流体領域から流されるまでの時間の測定値であり得る。乱流運動エネルギー(TKE)は、乱流における渦に関連付けられた乱流の強さの尺度であり、測定された二乗平均平方根速度変動によって特徴付けられてもよいし、運動エネルギーによって正規化してもよい。レイノルズ数は、
【数14】
(式中、ρ:血液の密度、U:平均流速、D:血管直径、μ:動粘性係数)により定義することができる。ウオマスリー数は、
【数15】
(式中、ω:角周波数、
【数16】
に相当する)により定義することができる。
【0052】
方法500は、患者に特異的な形状モデルの1つ以上の部位におけるプラークの成長、縮小、又は発症の表示の取得を更に含む場合がある(ステップ510)。例えば、一実施形態では、プラークの部位は、CT、及び/又は他の画像診断法(血管内超音波又は光干渉断層撮影を含む)を用いて決定することができる。プラークが部位に存在する場合、方法500は、冠動脈プラーク組成、荷重(burden)、及び部位の1つ以上の取得を含む場合がある。
【0053】
時間の経過により患者から得られた形状を同期化するため、個々の複数の時変走査間のポイント対応を決定することが望ましい場合がある。言い換えれば、後の時点に同じ場所で病気の進行と相関している(例えば2つの異なる時点の同じ患者のイメージの一組のデータベースを用いて)初期の時点に場所で血管の特徴を学ぶことが望ましい場合がある。新たな患者の画像を仮定すると、局所疾患進行のトレーニングデータを、各位置での疾患の変化を予測するために使用することができる。したがって、一実施形態では、ステップ510は、(i)最初のスキャンから後のスキャンまでの冠動脈中心線のマッピングを決定し、(ii)中心線に沿って定義された曲率座標を用いて抽出されたプラークのマッピングを決定することを更に含む場合がある。一実施形態では、冠動脈中心線マッピングは、(i)各スキャンについて、主要な心外膜冠動脈(例えば、左下行性冠動脈、回旋動脈、右冠動脈)、及び血管枝(例えば、対角枝( diagonal)、周縁枝(marginal)等)の中心線の抽出;(ii)スキャン間の共通の物質ポイントを決定するための信頼できるランドマークとしての分岐ポイントの使用;及び (iii)分岐ポイント間のポイントについて、対応を識別するための冠動脈血管の線形補間又は断面積プロファイル(例えば、弁、勾配)の使用により決定することができる。一実施形態では、抽出されたプラークのマッピングは、(i)各スキャンからプラークの抽出;(ii)中心線(r、θ、s)のそれぞれに関連する曲率座標システムによってプラークボクセルの位置のパラメータ化;及びそれぞれの曲率座標システムにおけるプラークボクセルの対応の決定、により決定することができる。一実施形態では、曲率座標システムは定義することができ、ここでr、s、θのそれぞれは下記である。
【0054】
r=プラークボクセルから関連する中心線(プラークの投射)までの距離;
【0055】
s=心門ポイント(左の主要な、又は右冠動脈)から関連する中心線のプラークボクセルの投射までの距離;及び
【0056】
θ=中心線に平行な基準経路に対する角度位置。
【0057】
方法500は、プラークの成長、縮小又は発症に関する情報がある、患者に特異的な形状モデルにおける複数のポイントのそれぞれについて(ステップ512)、ポイントに対する特徴ベクトルを作成し(ステップ514)、この特徴ベクトルを、このポイントにおけるプラークの成長、縮小又は発症と関連付けることを更に含む場合がある(ステップ516)。一実施形態では、ポイントに対する特徴ベクトルを作成するステップは、このポイントにおける形状及び生物物理学的血行動態特性の数値的記述からなる、このポイントに対する特徴ベクトルを作成し、患者の生理学的又は表現型パラメータを見積もりすることを含む。例えば、特質に対する特徴ベクトル:ヘマトクリット、プラーク荷重、プラークハウンズフィールド単位、心門までの距離、壁せん断応力、局所流量、レイノルズ数、及び中心線湾曲は、(45%、20mm
3、130HU、60.5mm,70ダイン/cm
2、1500mm
3/秒、400,1mm
−1)の形状であってもよい。全体的な生理学的又は表現型パラメータは、全てのポイントの特徴ベクトルで使用することができ、局所的な生理学的又は表現型パラメータは、種々のポイントの特徴ベクトルで変化することができる。
【0058】
一実施形態では、ステップ514で生成される例示的な特徴ベクトルとしては、(i)収縮期及び拡張期血圧、(ii)心拍数、(iii)血漿、赤血球(赤血球)、ヘマトクリット、白血球(白血球)及び血小板(血小板)、粘度、降伏応力等を含む血液性状、(iv)患者年齢、患者性別、身長、体重等、(v)ライフスタイル特性、例えば、現在服用中の薬物/薬剤の有無、(vi)CADの一般的危険因子、例えば、喫煙、糖尿病、高血圧、腹部肥満、食事習慣、CADの家族歴等、(vii)インビトロにおける血液検査の結果、例えば、LDL、トリグリセリドコレステロール濃度等、(viii)冠動脈カルシウムスコア、(ix)大動脈及び弁中のカルシウム量、(x)大動脈瘤の存在、(xi)心臓弁膜症の存在、(xii)末梢疾患の存在、(xiii)歯科疾患の存在、(xiv)心外膜の脂肪容積、(xv)心機能(駆出率)、(xvi)負荷心エコー試験の結果、(xvii)大動脈の形状の特徴(例えば、上行大動脈及び下行大動脈に沿った断面積プロファイル、並びに大動脈の表面積及び容量)、(xviii)上述のSYNTAXスコア、(xix)既存のプラークのプラーク荷重、(xx)既存のプラークの不利なプラーク特性(例えば、積極的な再構築の存在、低減衰プラークの存在、まだらな石灰化の存在)、(xxi)冠動脈の分枝形状の特性、(xxii)冠動脈の断面積の特性、(xxiii)冠動脈管腔硬度の特性、例えば、中心線に沿った強度の変化(線形フィッティングされた強度変化の傾き)、(xxiv)冠動脈表面の形状特性、例えば、形状の元3次元表面曲率(ガウシアン、最大、最小、平均)、(xxv)冠動脈形状の容積の特性、例えば、心筋の容積と比較した、全冠動脈容積の比、(xxvi)冠動脈中心線の特性、(xxvii)冠動脈変形の特性、(xxviii)既存のプラークの特性、及び/又は(xxix)計算による流動力学又は侵襲的測定に由来する冠動脈血行動態特性の1つ以上を挙げることができる。
【0059】
一実施形態では、冠動脈の分枝形状の特性としては、(1)血管分岐部の総数、及び血管分岐部の上流/下流の数、(2)平均、最小、最大上流/下流断面積、(3)最小及び最大上流/下流断面積の中心線上の点までの(血管中心線に沿った)距離、(4)最も近い上流/下流血管分岐部までの(血管中心線に沿った)断面積及び距離、(5)最も近い冠動脈出口及び大動脈入口/出口の断面積及びそこまでの(血管の中心線に沿った)距離、(6)最小/最大断面積を有する下流冠動脈出口への断面積及びそこまでの(血管中心線に沿った)距離、及び/又は(7)冠状血管の上流/下流体積の1つ以上を挙げることができる。
【0060】
一実施形態では、冠動脈断面積の特性としては、(1)冠動脈中心線に沿った断面管腔面積、(2)Nの指数に対する管腔断面積(ここで、Nは種々のスケーリング則源と、例えばMurray則(N=1.5)及びUylingの試験(N=1.165〜1.5)から決定することができる)、(3)主心門に対する管腔断面積の比率(LM、RCA)(例えば、LM心門における断面積、LM心門領域による左冠動脈の正規化した断面積の測定値、RCA心門における断面積、RCA心門領域による左冠動脈の正規化した断面積の測定値)、(4)Nの指数に対する主心門に対する管腔断面積の比率(ここで、Nは種々のスケーリング則源と、例えばMurray則(N=1.5)及びUylingの試験(N=1.165〜1.5)から決定することができる)、(5)中心線に沿った管腔断面積の先細りの程度(特定の間隔(例えば、血管の直径で2つ)内の中心線のサンプル、及び線形フィッティングされた断面積の計算をベースとする)、(6)狭窄病変の部位(最小断面積曲線の決定(例えば、部位の判定、面積曲線の一次導関数はゼロであり、二次導関数が正であり、人為的なピークの検出を回避するために断面積のプロファイルを平滑化する)、及び主心門からの距離の計算(中心線のパラメトリックな弧の長さ)をベースとする)、(7)狭窄病変の長さ(断面積が回復する狭窄病変からの近位及び遠位の部位に基づいて計算)、(8)フーリエ平滑化又はカーネル回帰を用いて平滑化断面積分布の基準値に基づいて、狭窄の程度を見積もりすることによる、狭窄病変の程度、(9)50%、75%、90%の面積減少に対応する病変の位置及び数、(10)狭窄病変から主心門までの距離、及び/又は(11)断面管腔境界の不規則性(又は真円度)の1つ以上を挙げることができる。
【0061】
一実施形態では、冠動脈中心線の特徴としては、例えば、(1)
【数17】
(式中、pは中心線の座標である)に基づいてフレネの曲率を計算し、中心線ポイントに沿った外接円の半径の逆数を計算することによる、冠動脈中心線の曲率(屈曲)、及び/又は(2)
【数18】
(式中、pは中心線の座標である)に基づいてフレネのねじれを計算することによる、冠動脈中心線のねじれ(非平面)が挙げられる。
【0062】
一実施形態では、冠動脈変形の特性の計算は、(1)心臓周期にわたる冠動脈の膨張性、(2)心臓周期にわたる冠動脈の分岐角度の変化、及び/又は(3)心臓周期にわたる曲率変化を含む、多相CCTA(例えば、拡張及び収縮)を必要とする場合がある。一実施形態では、既存のプラークの特性は、(1)プラークの容量、(2)プラークの強度、(3)プラークの型(石灰化、非石灰化)、(4)プラークの部位から心門(LM又はRCA)までの距離、及び/又は(5)プラークの部位から最も近い上流/下流血管分岐部までの距離に基づいて計算することができる。
【0063】
一実施形態では、冠動脈血行動態の特性は、コンピュータによる流体力学又は侵襲的な測定から得てもよい。例えば、下流の血管系、心臓周期の間の心臓及び動脈系との間の相互作用に起因する心筋内の圧力変動を説明するための集中定数心臓モデルと閉ループモデルを連結するとともに、流入境界条件のための集中定数冠血管モデルを用いることにより、拍動流シミュレーションを実施して血液の過渡特性を得ることができる。例えば、計算は、測定されたFFR、冠血流予備能、圧力分布、FFRct、平均壁せん断応力、振動せん断指数、粒子滞留時間、乱流運動エネルギー、レイノルズ数、ウオマスリー数、及び/又は局所流量の1つ以上を含み得る。
【0064】
次いで、方法500は、特徴ベクトルを患者に特異的な形状モデルのそれぞれのポイントにおいて、プラークの成長、縮小、又は発症と関連づけることを含む場合がある(ステップ516)。方法500は、患者に特異的な形状モデルにおける複数のポイントのそれぞれについて、並びに機械学習アルゴリズムがベースとして(ステップ520)いてもよい、任意の多くの患者のそれぞれについて、上記ステップ512、514、516の実施を継続することを含む場合がある(ステップ518)。方法500は、患者に特異的な形状モデルにおける複数のポイントのそれぞれについて(ステップ518)、並びにプラークの成長、縮小、又は発症に関する情報を作成するために有用なあらゆる追加の期間にわたり(すなわち、モデルの各ポイントにおけるプラークの変化、及び/又は変化の割合)、機械学習アルゴリズムがベースとして(ステップ520)いてもよい、任意の多くの患者のそれぞれについて上記ステップ512、514、516を実施するために継続することが必要な場合がある(ステップ518)。
【0065】
次いで、方法500は、ポイントにおける特徴ベクトルからのポイントでプラークの成長、縮小、又は発症の量の可能性を予測するための機械学習アルゴリズムをトレーニングすることを含む場合がある(ステップ524)。この作業を実施するのに適した機械学習アルゴリズムとしては、サポートベクトルマシン(SVM)、多層パーセプトロン(MLP)、及び/又は多変量回帰(MVR)(例えば、重み付き線形又はロジスティック回帰)が挙げられる。一実施形態では、トレーニングデータが、検出されるよりも低い量の(例えば、サイズ又は程度)プラークを予測する機械学習アルゴリズムを引き起こす場合、機械学習アルゴリズムは、プラーク縮小を予測するものとして判断される可能性があり;トレーニングデータが、検出されるよりも高い量の(例えば、サイズ又は程度)プラークを予測する機械学習アルゴリズムを引き起こす場合、機械学習アルゴリズムは、プラーク成長を予測するものとして判断される可能性がある。
【0066】
次いで、方法500は、機械学習アルゴリズム(例えば、特徴重み)の結果を、デジタル表現、例えば、サーバーシステム106の計算手段(コンピュータ、ラップトップ、DSP、サーバー等)の記憶保存又はデジタル保存(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ)に記憶させるか、さもなければ保存する(ステップ526)。
【0067】
図5Bは、本開示の例示的な実施形態による、特別の患者に対して、血管形状、生理機能及び血行動態から冠動脈病変の発症、成長/縮小速度を予測するための機械学習システム(例えば、サーバーシステム106で実行される機械学習システム310)を使用する例示的方法のブロック図である。一実施形態では、方法550は、1名以上の患者について(ステップ552)、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルの取得(ステップ554)、患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値の取得(ステップ556)、及び患者の生物物理学的血行動態特性の1つ以上の推定値の取得を含む場合がある(ステップ558)。
【0068】
特に、患者の血管系の一部の患者に特異的な形状モデルを取得するステップ(ステップ554)は、患者の血管、心筋、大動脈、弁、プラーク、及び/又は房の1つ以上の形状の患者に特異的なモデルを取得することを含む場合がある。一実施形態では、この形状は、空間を、ポイント間の空間的単位(例えば、ミリメートル)にマッピングすることができる、空間におけるポイントのリスト(おそらく、各ポイントに対して隣接するポイントのリストとともに)として表すことができる。一実施形態では、このモデルは、心臓周期の拡張末期段階に患者の心臓のCT撮影を実施することによって得ることができる。次いで、大動脈及び冠動脈の管腔大動脈に属するボクセルを識別するために、この画像を手動で又は自動的にセグメント化することができる。自動的に抽出された形状の不正確さは、抽出された形状を画像と比較する人間の観察者によって補正され、必要に応じて修正することができる。
【0069】
一実施形態では、患者の生理学的又は表現型パラメータの1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ556)は、患者の生理学的又は表現型パラメータ、例えば、血圧、血液粘度、インビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)、患者年齢、患者性別、供給された組織の質量等の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む。これらのパラメータは、全身的であってもよく(例えば、血圧)又は局所的(例えば、局所における血管壁の推定密度)であってもよい。一実施形態では、一実施形態では、生理学的又は表現型パラメータとしては、血圧、ヘマトクリット値、患者年齢、患者性別、心筋質量(例えば、心筋の質量を推定するために、画像内の心筋をセグメント化し、画像内の体積を計算し、1.05g/mLの推定濃度を用いて得た)、冠動脈疾患の一般的危険因子(例えば、喫煙、糖尿病、高血圧、腹部肥満、食習慣、家族歴等)、及び/又はインビトロにおける血液検査の結果(例えば、LDL/トリグリセリドコレステロール濃度)が挙げられる。
【0070】
一実施形態では、患者の生理学的血行動態学的特徴の1つ以上の推定値を取得するステップ(ステップ558)は、壁せん断応力、振動せん断指数、粒子滞留時間、レイノルズ数、ウオマスリー数、局所流量、及び乱流運動エネルギー等の、コンピュータによる流体力学分析からの生物物理学的血行動態特性の1つ以上の推定値のリストを取得することを含む場合がある。特に、平均壁せん断応力は、
【数19】
により定義することができ、表面力ベクトルの面内成分として定義される壁せん断応力であり得る。振動せん断指数(OSI)は、
【数20】
により定義することができ、せん断応力の一定方向の測定値であり得る。粒子滞留時間は、血液が指定の流体領域から流されるまでの時間の測定値であり得る。乱流運動エネルギー(TKE)は、乱流における渦に関連付けられた乱流の強さの尺度であり、測定された二乗平均平方根速度変動によって特徴付けられてもよいし、運動エネルギーによって正規化してもよい。レイノルズ数は、
【数21】
(式中、ρ:血液の密度、U:平均流速、D:血管直径、μ:動粘性係数)により定義することができる。ウオマスリー数は、
【数22】
(式中、ω:角周波数、
【数23】
に相当する)により定義することができる。
【0071】
方法550は、患者に特異的な形状モデルにおける各ポイントについて(ステップ560)、ポイントについて、そのポイントにおける形状及び生物物理学的血行動態特性の数値的記述、並びに患者の生理学的又は表現型パラメータの推定値を含む特徴ベクトルを作成することを含む場合がある。全体的な生理学的又は表現型パラメータは、全てのポイントの特徴ベクトルで使用することができ、局所的な生理学的又は表現型パラメータは種々のポイントの特徴ベクトルで使用することができる。方法550は、患者に特異的な形状モデルにおける複数のポイントのそれぞれについて、上記ステップ560、562を実施するために継続する必要がある場合がある(ステップ564)。
【0072】
次いで、方法550は、記憶した機械学習の結果に基づき、患者に特異的な形状モデルにおける各ポイントでのプラークの可能性、及び/又は成長速度、縮小又は発症の推定値の作成を含む(
図5AのBで記憶)(ステップ566)。特に、方法550は、(例えば、各ポイントにおける特徴ベクトルの関数としてプラーク推定値を生成することにより)患者に特異的な形状モデルにおける各ポイントでのプラークの成長、縮小、又は発症(成長/縮小の速度)の可能性の推定値を作成するために、方法500のトレーニングモードで作成された機械学習アルゴリズムの記憶された結果(例えば、特徴の重み)を使用する場合がある。トレーニングモードで使用される、同一の機械学習アルゴリズム技術(例えば、SVM、MLP、MVR技術)を用いて、これらの推定値を生成することができる。方法550は、プラークの成長、縮小、又は発症の可能性の推定値を記憶することを含む場合があり(ステップ568)、例えば、コンピュータ、ラップトップ、DSP、サーバーシステム106のサーバー等の計算手段のメモリー又はデジタル保存(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ)に記憶させ、これらの患者特異的及び部位特異的な病変形成の予測される可能性を医療提供者に伝えることを含む場合がある。
【0073】
図6は、本開示の実施形態を実施することのできる、例えば、医師の装置又はサーバー102、第三者提供者の装置又はサーバー104、及びサーバーシステム106のいずれかのような、例示的なコンピュータシステム600の簡略ブロック図である。例えば、サーバー600のプラットフォームは、パケットデータ通信660のためのデータ通信インターフェースを含む場合がある。プラットフォームは、1台以上のプロセッサの形状で、プログラム命令を実行するための中央演算処理装置(CPU)620を含んでいてもよい。サーバー600は、通信ネットワーク(図示せず)を介してプログラミング及びデータを受信し得るが、プラットフォームは、通常、ROM630及びRAM640等のプラットフォームにより処理及び/又は通信される、様々なデータファイルのための、内部通信バス610、プログラムを記憶させる場所及びデータを記憶させる場所を有する。そのような前記機器の、ハードウェア要素、操作システム、及びプログラミング言語は、事実上従来のものであり、当業者はそれらを熟知していると思われる。サーバー600は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、モニター、ディスプレイ等の入力及び出力装置と接続された、入力ポート及び出力ポート650を有していてもよい。当然に、各種のサーバー機能は、処理負荷を分散するために、同様のプラットフォームの数に分散方式で実装されていてもよい。また、サーバーは、1つのコンピュータのハードウェアプラットフォームの適切なプログラミングによって実行することができる。
【0074】
上述したように、コンピュータシステム600は、携帯用装置、パーソナルコンピュータ、サーバー、クラスター化した計算機、及び/又はクラウドコンピューティングシステム等の任意のタイプのコンピューティングシステム、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態では、コンピュータシステム600は、メモリー、中央演算処理装置(CPU)、及び/又は任意にユーザインタフェースを有するハードウェアの集合であってもよい。メモリーとしては、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、又は磁気テープ等の磁気記憶装置;個体ディスク(SSD)又はフラッシュメモリー等の半導体記憶装置;光ディスク記憶装置;又は光磁気ディスク記憶装置等の物理的記憶媒体において具現化されるRAM又はROMのあらゆるタイプが挙げられる。CPUとしては、メモリーに記憶された命令に従ってデータを処理するための1つ以上のプロセッサが挙げられる。プロセッサの機能は、1つの専用のプロセッサにより、又は複数のプロセッサにより提供され得る。更に、プロセッサは、限定されないが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、又はソフトウェアを実行することのできる他の任意のハードウェアを有していてもよい。ユーザインターフェースとしては、あらゆるタイプのディスプレイモニター、タッチパッド、タッチスクリーン、マイクロフォン、カメラ、キーボード、及び/又はマウス等の入力/出力装置、又はそれらの組み合わせを有していてもよい。
【0075】
この技術のプログラムの態様は、通常は、あるタイプの機械可読媒体上に担持されるか又はその機械可読媒体に具現化される実行可能コード及び/又は関連データの形態の「製品」又は「製造物品」と考えることができる。「記憶装置」型媒体としては、ソフトウェアプログラミング用にいつでも非一時的な記憶装置を提供することができる、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ等の、コンピュータ、プロセッサ等、又はそれらの関連モジュールのためのメモリ若しくは他の記憶装置のうちの任意のもの、又はそれらの全てが挙げられる。全て又は一部のソフトウェアは、時には、インターネット又は他の様々な電気通信を介して通信することができる。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータ若しくはプロセッサから他のコンピュータ又はプロセッサへの、例えば、モバイル通信ネットワークの管理サーバー若しくはホストコンピュータからサーバーのコンピュータプラットフォームへの、及び/又はサーバーから携帯装置へのソフトウェアのローディングを可能にしてもよい。したがって、ソフトウェア要素を有する他の種類の媒体としては、ローカルデバイス間の物理的インターフェースを横断して、有線及び光学地上通信線ネットワークを通して、並びに種々のエアリンクを経由して使用されるような光学、電気、及び電磁波が挙げられる。有線又は無線リンク、光学リンク又は同等物等のそのような波を運搬する物理的要素もまた、ソフトウェアを有する媒体とみなすことができる。本明細書で用いられる場合、非一時的、有形「記憶」媒体に制限されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」等の用語は、実行のために命令をプロセッサに提供することに関与する任意の媒体を意味する。
【0076】
本開示の他の実施形態は、明細書の検討及び本明細書に記載の発明の実践から、当業者に明白となるであろう。検討される明細書及びび実施例は、例示に過ぎないことが意図され、本発明の真の範囲及び精神は、以下の請求項によって示される。