(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141070
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】止血用絆創膏及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
A61F13/02 380
A61F13/02 390
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-71683(P2013-71683)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-195501(P2014-195501A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000929
【氏名又は名称】祐徳薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 初美
(72)【発明者】
【氏名】田之上 保久
(72)【発明者】
【氏名】末廣 年章
【審査官】
一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3525358(JP,B1)
【文献】
特開2003−153938(JP,A)
【文献】
特開2005−185559(JP,A)
【文献】
特開2006−232538(JP,A)
【文献】
特開平5−286104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/02
B65H 23/032 − 23/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と粘着剤層とからなる粘着テープ(11)と、該粘着テープ(11)の粘着剤面に貼付されたパッド(12)と、粘着テープ(11)の粘着剤面とパッド(12)を被覆する剥離紙(14)と、剥離面を外側にして二つ折りにされ、粘着テープ(11)と剥離紙(14)との間に介在するように設けられた剥離紙片(13)からなり、製剤形状に打ち抜き形成された止血用絆創膏(1)であって、前記剥離紙片(13)はその折り曲げ部(13b)が前記パッド(12)に接し、あるいは近接して配置され、折り曲げ部(13b)を境に一方の片部が粘着テープ(11)に接着されるとともに他方の片部が前記剥離紙(14)側に折り返されており、前記剥離紙(14)側に折り返された片部側には粘着テープ(11)の端部より外側へ突出する摘み部(13a)が形成され、摘み部(13a)側の粘着テープ(11)の端部(11a)が打ち抜き形成において切除されていないことを特徴とする止血用絆創膏。
【請求項2】
前記摘み部(13a)の突出する方向が前記折り曲げ部(13b)と直交するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の止血用絆創膏。
【請求項3】
前記粘着テープ(11)の端部(11a)からの摘み部(13a)の突出長さが1mm〜25mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の止血用絆創膏。
【請求項4】
前記二つ折りにされた剥離紙片(13)の粘着テープ(11)に接着されている片部側の端部(13c)が、前記摘み部(13a)側の粘着テープ(11)の端部(11a)よりもやや突出するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の止血用絆創膏。
【請求項5】
粘着テープ(11)の粘着剤面にパッド(12)を貼付し、剥離面を外側にして二つ折りされた剥離紙片(13)を粘着テープ(11)の粘着剤面に貼り合わせ、粘着テープ(11)の粘着剤面の残りの露出面と剥離紙片(13)の一部を被覆するように剥離紙(13)を貼り合わせた後、前記剥離紙片(13)の剥離紙(14)側に折り返された片部側に粘着テープ(11)の端部(11a)より外側へ突出する摘み部(13a)が形成されるようにカッターで打ち抜く工程を含み、該打ち抜き工程において少なくとも前記摘み部(13a)側の粘着テープ(11)の端部(11a)が切除されないことを特徴とする止血用絆創膏の製造方法。
【請求項6】
前記二つ折りされた剥離紙片(13)を粘着テープ(11)の粘着剤面に貼り合わせる工程において、該剥離紙片(13)の粘着テープ(11)に接着されている片部側の端部(13c)が、前記粘着テープ(11)の端部(11a)よりもやや突出するように貼り合わされることを特徴とする請求項5に記載の止血用絆創膏の製造方法。
【請求項7】
前記粘着テープ(11)のライン流れ方向に対して垂直方向への位置調整手段(201)を有していることを特徴とする請求項5または6に記載の止血用絆創膏の製造方法。
【請求項8】
前記位置調整手段(201)が、粘着テープ(11)をガイド可能な凹型ガイド(201d)と、粘着テープ(11)の流れ方向に対する垂直方向の位置を検知するためのセンサー(203)と、該センサー(203)において読み取った粘着テープ(11)のずれを信号に変換する制御装置(202)と、該信号を受信して凹型ガイド(201d)に製造ラインと垂直方向の力を加えて動かすアクチュエーター(201a)を備えていることを特徴とする請求項7に記載の止血用絆創膏の製造方法。
【請求項9】
前記位置調整手段(201)の凹型ガイド(201d)が軸着部分にベアリングを設けたローラー(201c)を備えていることを特徴とする請求項8に記載の止血用絆創膏の製造方法。
【請求項10】
前記センサー(203)を前記剥離紙貼り合せ工程の直後に設置し、該センサー(203)により剥離紙片(13)の端部と粘着テープ(11)の端部のずれを読み取ることを特徴とする請求項8または9に記載の止血用絆創膏の製造方法。
【請求項11】
前記製剤打ち抜き工程におけるカッターの形状が、剥離紙片(13)の一部に摘み部(13a)を形成するバルーン型であることを特徴とする請求項5ないし10のいずれか1項に記載の止血用絆創膏の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈注射、皮下注射、採血、点滴等を行った後の穿刺部を被覆保護する止血用絆創膏及びその製造法に関し、更に詳細には、使用時には剥離紙より容易に剥離可能であり、貼付しやすく、かつ、製造時における資材、廃材を少なくした止血用絆創膏及びその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、静脈注射や皮下注射、採血、点滴等の処置後においては、感染防止のため消毒綿や消毒ガーゼを穿刺部位に当てて、しばらく手で押さえることを行っていたが、近年は、粘着面の中央部にパッドを備えた小型の絆創膏を穿刺部位に貼付することにより、簡便に処置する方法が用いられるようになった。
【0003】
しかし、この絆創膏は剥離シートの上にそのまま貼り付けられていたため、剥がしにくく、しかも剥がした際に粘着面同士がくっついてしまうことがあり、取り扱い性に難点があった。
【0004】
上記の取り扱い性を改善した止血用絆創膏として、粘着シートの粘着剤層に穿刺部を保護するパッド材を定置し、これを剥離紙で被覆するとともに、二つ折りにした剥離紙小片を粘着シートと剥離紙との間に介在させたものが知られていた(特許文献1)。
【0005】
この止血用絆創膏は、使用する際には二つ折りにした剥離紙小片の摘み部を指でつまんで粘着シートを剥離紙より剥がすことができるが(
図8)、かかる摘み部の先端部は粘着テープの端部よりも内側に形成されているか、あるいは粘着テープの端部と一致するように形成されているため、指で保持しにくく、剥離紙を剥がす際に穿刺部に指先が触れてしまうおそれがあり、衛生上問題があった。さらに、皮膚に貼付後、剥離紙が摘み難いといった止血用絆創膏の使用感についても、改良の余地があった。
【0006】
また、従来の製造方法は、粘着テープ(支持体と粘着基剤とを貼り合わせたもの)を繰り出す工程(粘着テープ繰り出し工程)、該粘着テープにパッドを貼り合わせ、打ち抜く工程(パッド貼り合わせ工程)、剥離紙と粘着テープとを貼り合わせる工程(剥離紙貼り合せ工程)、該貼り合せ工程後に製剤の形状にカッターで打ち抜く工程(製剤打ち抜き工程)が含まれているが、以下の問題があった。
【0007】
すなわち、かかる従来の製造方法では、粘着テープに貼り合わせるパッドや剥離紙の貼合わせ位置を適切に維持するため、また、製剤打ち抜き工程において製剤の打ち抜き位置がずれることによって不良品等が発生しないように、製造ライン上に凹型ガイドを設置し、粘着テープのライン流れ方向の垂直方向の位置を固定していた。しかしながら、その位置には機械の特性上ごくわずかなずれが生じるために、
図7(a)、(b)に示すように、粘着テープ31の両端にはそれぞれ、打ち抜き幅よりも1mm〜5mmのマージンXが必要であった。その結果、打ち抜き後、両側合わせて、2mm〜10mmの部分が無駄になり、打ち抜き後の残りの粘着テープは廃棄されていた(
図7(c))。
【0008】
同様に、剥離シートについても、剥離シートを粘着テープに貼り合わせる際に、製造ラインに対し、垂直方向の粘着テープの位置のずれに対応するため、粘着テープよりも1mm〜5mmの余裕が必要であった。そのため、製剤打ち抜き後の残りの剥離紙は、粘着テープの残部と同様に廃棄されていた。
【0009】
以上の通り、製剤打ち抜き工程後に生じる粘着テープ、剥離紙等の残部の廃棄量を削減することによって、コストの削減や廃棄される資材の減量が求められていた。
【0010】
【特許文献1】実開平3−36627
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明は、従来の止血用絆創膏及びその製造方法のかかる欠点を克服し、指で保持しやすく、剥離紙を剥がす際に穿刺部に指先が触れるおそれがなく、貼付後は剥離紙より容易に剥離可能であり、かつ、製造時における資材、廃材を少なくした止血用絆創膏及びその製造法の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、支持体と粘着剤層とからなる粘着テープと、該粘着テープの粘着剤面に貼付されたパッドと、粘着テープの粘着剤面とパッドを被覆する剥離紙と、剥離面を外側にして二つ折りにされ、粘着テープと剥離紙との間に介在するように設けられた剥離紙片からなる止血用絆創膏であって、前記剥離紙片はその折り曲げ部が前記パッドに近接して配置され、折り曲げ部を境に一方の片部が粘着テープに接着されるとともに他方の片部が前記剥離紙側に折り返されており、前記剥離紙側に折り返された片部側には粘着テープの端部より外側へ突出する摘み部が形成されていることを特徴とする止血用絆創膏である。
【0013】
さらに本発明は、上記課題を解決するものであり、粘着テープの粘着剤面にパッドを貼付し、剥離面を外側にして二つ折りされた剥離紙片を粘着テープの粘着剤面に貼り合わせ、粘着テープの粘着剤面の残りの露出面と剥離紙片の一部を被覆するように剥離紙を貼り合わせた後、前記剥離紙片に粘着テープの端部より外側へ突出する摘み部が形成されるようにカッターで打ち抜く工程を含み、該打ち抜き工程において少なくとも前記摘み部側の粘着テープの端部が切除されないことを特徴とする止血用絆創膏の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる止血用絆創膏は、剥離紙の一部に粘着テープより外側へ突出する摘み部を設けたことにより、該摘み部を保持することで剥離紙を剥がす際に穿刺部に指先が触れるおそれがなく、貼付後に容易に剥離紙を剥がすことができる。
【0015】
また、本発明にかかる止血用絆創膏の製造方法は、粘着テープの少なくとも一方の端部の切除が不要となるため、使用する資材の低減を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明にかかる止血用絆創膏の製造方法で、粘着テープのライン流れ方向に対して垂直方向への位置調整手段を備えたものは、剥離紙の端部と粘着テープの端部をより正確に一致させることができ、使用する資材の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明の止血用絆創膏の平面図、(b)本発明の止血用絆創膏の断面図
【
図2】(a)本発明の止血用絆創膏をカッターで打ち抜く前の状態を表す平面図、(b)本発明の止血用絆創膏をカッターで打ち抜く前の状態を表す断面図、(c)本発明の止血用絆創膏をカッターで打ち抜いた後の状態を表す断面図
【
図3】本発明の止血用絆創膏の製造工程を模式的に表した図
【
図4】(a)本発明に係る修正ガイドの側面図、(b)本発明に係る修正ガイドの平面図
【
図5】本発明の止血用絆創膏の打ち抜き用のカッター形状の実施態様
【
図6】(a)本発明の止血用絆創膏の包装状態を表す断面図、(b)本発明の止血用絆創膏の包装紙を開封した状態を表す断面図、(c)本発明の止血用絆創膏を穿刺部に貼付後、剥離紙を剥離する時の状態を表す断面図、(d)本発明の止血用絆創膏により穿刺部を被覆した状態を表す断面図
【
図7】(a)従来の止血用絆創膏をカッターで打ち抜く前の状態を表す平面図、(b)従来の止血用絆創膏をカッターで打ち抜く前の状態を表す断面図、(c)従来の止血用絆創膏をカッターで打ち抜いた後の状態を表す断面図
【
図8】従来の止血用絆創膏の剥離紙小片の摘み部を指でつまんで粘着シートを剥離紙より剥がす状態を表す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の止血用絆創膏の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0019】
図1(a)は本発明にかかる止血用絆創膏の平面図、
図1(b)は同断面図である。図に示すように、本発明の止血用絆創膏1は、支持体と粘着剤層とからなる粘着テープ11と、該粘着テープ11の粘着剤面に貼付されたパッド12と、粘着テープ11の粘着剤面とパッド12を被覆するように形成された剥離紙14と、二つ折りにされ粘着テープ11と剥離紙14との間に介在するように配置された剥離紙片13からなる。
【0020】
剥離紙片13は剥離面を外側にして折り曲げ部13bにおいて二つ折りにされており、該折り曲げ部13bがパッド12の端部に接し、あるいは近接して配置され、折り曲げ部13bを境に一方の片部が粘着テープ11に接着されるとともに、他方の片部が剥離紙14側に折り返されている。
【0021】
本実施態様では、剥離紙片13の粘着テープ11に接着されている片部側の端部13cが粘着テープ11の端部11aよりもやや外側へ突出するように設けられている。剥離紙片13は、少なくとも端部11a側の粘着面を被覆するように貼付すればよく、例えば、剥離紙片13の端部13cと粘着テープ11の端部11aを一致させるように設けてもよい。ただし、本実施態様のように剥離紙片13の端部13cが粘着テープ11の端部11aよりも突出して設けることにより、粘着テープ11の接着剤がはみ出した場合も剥離紙14側に折り返された剥離紙片13の片部に付着することがなく、好ましい。さらに、剥離紙片13の剥離紙14側に折り返されている片部側には、粘着テープ11の端部11aより更に外側へ突出する摘み部13aが形成されている。かかる摘み部13aを保持して剥離紙14から粘着テープ11を剥離し、穿刺部に貼付後、剥離紙片13を粘着テープ11より容易に剥離することができる。
【0022】
摘み部13aを除く止血用絆創膏1全体の形状は、略円形に形成されているが、形状はこれに限らず、楕円形、正方形、長方形、角丸正方形、角丸長方形などに形成してもよい。また、摘み部13aの形状は、本実施態様では長方形に形成されているが、形状はこれに限らず、正方形、角丸正方形、角丸長方形、山型、半円形などの摘みやすい形状を適宜採用することができる。また、摘み部13aの突出長さについては、任意に設けることができるが、特に、粘着テープ11の下端11aからの突出長さが1mm〜25mmの範囲で設けることが好ましく、特に1mm〜14mmの範囲で設けることが好ましい。さらに、摘み部13aの突出方向は、折り曲げ部13bと直交するように形成するとより剥離しやすくなるため好ましい。
【0023】
なお、本発明の止血用絆創膏1の粘着テープ11の支持体は、従来から使用されているものでよく、例えば、プラスチックシ−ト、紙、布、不織布その他種々の材料を使用することができ、また、柔軟性、通気性のある材料や、肌の色と近い色味であるベージュ系のものを使用することが好ましい。
【0024】
また、本発明の止血用絆創膏1の粘着テープ11の粘着剤は、従来から使用されているものでよく、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコン系、ビニル系、ポリビニルアルコール系等の粘着剤で形成され、適宜に酸化防止剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、顔料、紫外線吸収剤など各種添加剤成分や経皮投与性の薬剤を含有させることができる。
【0025】
さらに、本発明の止血用絆創膏1のパッド12は、不織布、布、綿、圧縮綿、ガ−ゼ、その他吸液性を有するもの、あるいはそれらを組み合わせて使用することができる。なお、パッドに使用する不織布等は、必要に応じて滅菌消毒したものや、殺菌剤等を含浸させたものを使用しても良い。
【0026】
さらに、本発明の止血用絆創膏1の剥離紙片13、剥離紙14は、剥離処理した紙以外にも、樹脂シート等の従来使用されているものを適宜採用することができる。
【0027】
以下、
図3により本発明の止血用絆創膏1の製造方法について説明する。なお、
図2(a)は本発明の止血用絆創膏をカッターで打ち抜く前の状態を表す平面図、同2(b)は本発明の止血用絆創膏をカッターで打ち抜く前の状態を表す断面図、同2(c)は本発明の止血用絆創膏をカッターで打ち抜いた後の状態を表す断面図をそれぞれ示す。
【0028】
図3に示すように、本発明の止血用絆創膏1の製造方法は、粘着テープ11を繰り出す工程101、
パッド12を打ち抜き、粘着テープ11に貼り合わせる工程102、剥離紙片13、剥離紙14と粘着テープ11を貼り合わせる工程103、該貼り合せ後に製剤の形状にカッターで打ち抜く工程104を含み、かつ、当該一連の工程は同一製造ラインで行うものであって、粘着テープ11のライン流れ方向に対して垂直方向への位置を調整する手段201を有している。さらにこれらの工程の後には、止血用絆創膏1を個別にコーシール包装する工程105がある。
【0029】
各工程について更に詳しく説明すると、まず、打ち抜き工程102においてパッド12が帯状の資材より円形に打ち抜かれ、貼り合わせ工程102において粘着テープ11の中央に間隔をあけて貼付される。次に貼り合わせ工程103において、二つ折りされた帯状の剥離紙片13が折り曲げ部13bをパッド12に接し、あるいは近接して位置するように粘着テープ11の粘着剤面に貼り合わされる。このとき、粘着テープ11に接着されている片部の下端13cが粘着テープ11の端部11aよりもやや突出するように貼付されるが(
図2b)、剥離紙片13の下端13cは必ずしも突出して設ける必要はなく、少なくとも、端部11a側の粘着剤面が剥離紙片13により被覆されればよい。
【0030】
次に、貼り合わせ工程103において、残りの粘着テープ11の露出面と剥離紙片13の二つ折りの一部を被覆するように、帯状の剥離紙14を貼り合わせる。本実施態様では、剥離紙片13側の端部14aが粘着テープ11の端部11aと一致するように貼付されているが(
図2b)、必ずしもこれを一致させる必要はなく、例えば、粘着テープ11の端部11aよりも内側へ適宜セットバックするように設けてもよい。
【0031】
次に、上記の工程で貼り合わされた各部材が、製剤打ち抜き工程104において打ち抜き線10に沿って製剤形状に打ち抜かれる。このとき、
図2(b)に示すように、打ち抜き線10の最上部10aと粘着テープ11の端部との間にはマージンXが必要となる。しかしながら、反対側の端部11aは、打ち抜き線10が摘み部13aを形成するように粘着テープ11の幅を超えて剥離紙片13側に突出するため、切除されるのは剥離紙片13の端部(摘み部13a側)のみであり、端部11aにおいて粘着テープ11を切除する必要がなく、よって、マージンXを作る必要もない。これにより、従来必要とされていた粘着テープの両端部のマージンのうち、少なくとも一方のマージン分1mm〜5mm幅の粘着テープについて使用量を軽減できる。さらに、端部11aは従来の円形に打ち抜かれた粘着テープよりも0mm〜2mmの範囲で内側に位置するよう設けられているため、少なくとも、端部11a側において合わせて1mm〜7mmの幅で粘着テープ11の使用量軽減が可能となる。
【0032】
また、本発明の止血用絆創膏1の製造方法では、粘着テープ11のライン流れ方向に対して、垂直となる方向への位置を調整する手段201を備える。該手段によって、機械の特性上生じる粘着テープ11のずれを緩和することが可能となり、例えば、剥離紙片13の粘着テープ11側の端部13cと粘着テープの端部11aとの位置関係を正確に管理することが可能となり、上述のように、止血用絆創膏打ち抜き後に生じる残部の廃棄量も減少させることができる。また、上記ずれによって生じる、粘着剤のはみ出しを防止することも可能である。
【0033】
かかる位置調整手段としては、一例として、
図4(a)、(b)のように、センサー203、制御装置202、アクチュエーター201a、ベアリング201b、ローラー201c、凹型ガイド201d、支持部201eを備える装置を使用できる。より詳しくは、製造ラインの両側に並行して垂設される一対の支持部201eの間にローラー201cが回転可能に架設され、さらに支持部201eの内側にはローラー201cとともに粘着テープ11をガイド可能な凹部を形成する凹型ガイド201dを備えている。さらに、一方の支持部201eの側面には前記の各部材を粘着テープ11の流れ方向に対して垂直方向に移動させるためのアクチュエーター201aが設けられている。なお、ローラー201cの支持部201eに対する軸着部分にはベアリング201bを設けることにより、ラインを円滑に動かすことが可能となっている。
【0034】
そして、粘着テープ11の流れ方向に対する垂直方向の位置を検知するためのセンサー203を剥離紙貼り合せ工程103の直後に設置し、該センサーにより剥離紙片13の端部13cと粘着テープ11の端部11aのずれを読み取り、ずれを制御装置202に伝達し、制御装置202において信号に変換し、位置調整手段201おいてずれが無く張り合わされるよう、アクチュエーター201aに信号を送る。制御装置202より、信号を受信後、アクチュエーター201aによって、製造ラインの進行方向と垂直になるように、ローラー201cを備えた凹型ガイド201dに力を加え、凹型ガイド201d全体を動かすことで、これら端部のずれを防ぐことができる。
【0035】
本発明の止血用絆創膏1の形状は、製剤打ち抜き工程104におけるカッターの形状を変えることにより、バルーン型、丸型、四角型など種々の形状(
図5)に変更することができる。例えば、カッターをバルーン型の刃にした場合、剥離紙片13の一部に摘み部13aを形成することができる。したがって、製剤打ち抜き工程におけるカッターの形状は、バルーン型であることが好ましい。また、該摘み部13aの形状や突出長さについても、製剤打ち抜き用のカッターの形状を変更することによって容易に変更可能である。
【0036】
以下に、本発明の止血用絆創膏の貼付の実施態様について具体的に説明する。
図6(a)は本発明の止血用絆創膏1が包装紙2により個別包装されている状態を表す。止血用絆創膏1を使用する際には、予め包装紙2を開封し、準備を行い、静脈注射や皮下注射、採血、点滴等を行った際に、注射針を刺した状態で次のように使用する。
【0037】
止血用絆創膏1の一側をつかみ、包装紙に固定された剥離紙14より引き剥がす(
図6b)。引き剥がした止血用絆創膏1を、パッド12と穿刺部が重なり合うように皮膚に貼付し、止血用絆創膏本体を固定する(
図6c)。最後に、剥離紙片13の摘み部13aをつかみ、剥離紙片13を粘着シート11からはがし、穿刺部が被覆保護された状態にする(
図6d)。
【0038】
このように、予め包装用紙を開封しておけば、一連の操作を片手で行うことが可能であり、注射針を刺したまま、手や注射針が、穿刺部に触れることなく、皮膚に貼付することができる。更に、皮膚貼付後は、剥離紙片13を摘むことで、剥がしやすくなり、従来の止血用絆創膏よりも格段に使用感がよい。
【0039】
[実施例1]
上記の製造方法に従い、剥離紙片13の摘み部13aの突出長さが5mmになるように実施例1を製造した。
【0040】
[実施例1]
上記の製造方法に従い、剥離紙片13の掴み部13aの突出長さが12mmになるように実施例2を製造した。
【0041】
[比較例1]
市販の止血用絆創膏(ニチバン株式会社インジェクションパッド)を比較例1とした。
【0042】
[比較例2]
比較例1とは別の市販の止血用絆創膏(ニチバン株式会社インジェクションパッドマイルド)を比較例2とした。
【0043】
(使用試験)
1群10名の被験者により、摘み部を備えた剥離紙片の掴みやすさ、摘み部を備えた剥離紙片の貼付後の引き剥がしやすさ、総合的な使いやすさについてアンケートを行い、下記基準で評価した。
(評価方法)
使いやすい8名以上 ○
使いやすい5名〜7名 △
使いやすい5名未満 ×
【0044】
表からわかるように、実施例1及び実施例2は、比較例1又は比較例2と比較して、剥離紙片13の掴みやすさ又は剥離紙片13の引き剥がしやすさで使用感がよく、総合評価からも使用感が良かった。このようなことから剥離紙片13の摘み部13aは、粘着テープ11の端部11aより外側へ突出していることが好ましく、その突出長さは1〜25mmが好ましく、特に1〜14mmが好適である。
【符号の説明】
【0046】
1 … … 止血用絆創膏
2 … … 包装紙
11 … … 粘着シート
11a … … 端部
12 … … パッド
13 … … 剥離紙片
13a … … 摘み部
13b … … 折り曲げ部
13c … … 端部
14 … … 剥離紙
14a … … 端部
31 … … 粘着シート
31a … … 端部
32 … … パッド
33 … … 剥離紙
33a … … 摘み部
33b … … 折り曲げ部
34 … … 剥離紙
101 … … 粘着テープを繰り出す工程
102 … … パッドを
打ち抜き、粘着テープに貼り合わせる工程
103 … … 剥離紙と粘着テープとを貼り合わせる工程
104 … … 製剤の形状にカッターで打ち抜く工程
105 … … 個別包装する工程
201 … … 位置調整手段
201a … … アクチュエーター
201b … … ベアリング
201c … … ローラー
201d … … 凹型ガイド
201e … … 支持部
202 … … 制御装置
203 … … センサー