特許第6141104号(P6141104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6141104一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分
<>
  • 特許6141104-一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分 図000002
  • 特許6141104-一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分 図000003
  • 特許6141104-一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分 図000004
  • 特許6141104-一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分 図000005
  • 特許6141104-一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分 図000006
  • 特許6141104-一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141104
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法並びに該方法により製造可能なコネクタ構成部分
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/16 20060101AFI20170529BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20170529BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   H01R43/16
   H01R13/11 A
   H01R13/42 H
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-113905(P2013-113905)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-251265(P2013-251265A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】10 2012 209 029.0
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ シュマッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ヴィットマン
(72)【発明者】
【氏名】ヂェンユー フー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス フォークト
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−040996(JP,A)
【文献】 特開昭50−077875(JP,A)
【文献】 特開2004−362973(JP,A)
【文献】 特開平9−147948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/16
H01R 13/11
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ構成部分(10)を、相補的なコネクタ構成部分にロックする一次ロックランス(14)を備えたコネクタ構成部分(10)を製造する方法であって、以下のステップ、即ち、
コネクタ構成部分基板としての薄板(20)を準備するステップと、
前記一次ロックランス(14)が、前記コネクタ構成部分(10)の主延在方向軸線に対して横方向に突出するように、前記薄板(20)を所定の形状に打ち抜き、曲げるステップとを有する、
一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法において、
打ち抜き加工及び曲げ加工の前に、前記薄板(20)を、前記一次ロックランス(14)を形成する領域(22)の少なくとも一部分が、比較的厚い材料厚さを有しているように塑性変形することを特徴とする、一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法。
【請求項2】
前記薄板(20)を塑性変形するために、材料押しのけを行う変形工具(24)によって局所的に押圧する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記薄板(20)を、製造すべき一次ロックランス(14)の外側に位置する領域(23)において局所的に押圧する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記一次ロックランス(14)の横断面が、厚さの異なる複数の領域(22,26)を有するように、前記薄板(20)を塑性変形する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記一次ロックランス(14)の横断面は側方の縁部(25)で、中央(27)よりも厚い厚さ(d+Δd)を有している、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記一次ロックランス(14)が長手方向延在に沿って、厚さの異なる複数の領域を有するように、前記薄板(20)を塑性変形する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
コネクタ構成部分(10)を、相補的なコネクタ構成部分にロックする一次ロックランス(14)を備えたコネクタ構成部分(10)であって、一定の厚さ(d)を有する薄板(20)から打ち抜き、かつ曲げ加工することにより形成されるコネクタ構成部分(10)において、
前記一次ロックランス(14)が、厚さの異なる複数の領域(26,27)を有していることを特徴とする、コネクタ構成部分。
【請求項8】
前記一次ロックランス(14)の横断面は縁部(25)で、中央(27)よりも厚い厚さ(d+Δd)を有している、請求項7記載のコネクタ構成部分。
【請求項9】
前記一次ロックランス(14)は長手方向延在に沿って、厚さの異なる複数の領域を有している、請求項7又は8記載のコネクタ構成部分。
【請求項10】
前記一次ロックランス(14)は、その周囲の領域よりも厚い厚さ(d+Δd)を有している肉厚の領域(26)を有しており、該肉厚の領域(26)は塑性変形により形成されている、請求項7から9までのいずれか1項記載のコネクタ構成部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ構成部分を、相補的なコネクタ構成部分にロックするために働く一次ロックランス(Primaerverriegelungslanze)を備えたコネクタ構成部分を製造する方法に関する。さらに本発明は、該方法により製造可能なコネクタ構成部分に関する。
【背景技術】
【0002】
特に車両構造においてはしばしば、複数の電気的な導体を互いに接続する必要がある。例えば、ケーブルを互いに接続しなければならない場合や、例えば制御装置のような電気機器に接続しなければならない場合がある。
【0003】
このためにしばしば使用される差し込みコネクタでは、1つのケーシングに1つ又は複数のコンタクトチャンバが設けられている。各コンタクトチャンバには、電気的な導体に接続されたそれぞれ1つのコンタクトが配置されていて、ここでロックされている。この場合、このコンタクト及びコンタクトチャンバが1つの差し込みコネクタ構成部分を形成する。この場合、コンタクトは、コネクタが対応コネクタ若しくはソケットに差し込まれるとすぐに、対応コネクタ若しくはソケットの相応に形成された対応コンタクトと共に導電的な接続を形成するように形成されている。
【0004】
このような差し込み式のコネクタを製造する場合、その後端部に所属のケーブルが接続されている複数のコンタクトが、これに対して相補的に形成された個々のコンタクトチャンバ内に押し込まれる。例えばケーブルが引っ張られた際にコンタクトがコンタクトチャンバから滑り出るのを阻止するために、これらのコンタクトは多くの場合、形状接続的にコンタクトチャンバ内でロックされている。
【0005】
しばしば使用されるコンタクトの構成ではこのために、外方に向かって突出し、内方に向かって変位可能な一次ロックランスがコンタクトのケーシングに設けられている。この一次ロックランスは、主として、コンタクトチャンバへのコンタクトの差し込み方向とは逆方向で斜めに外方に向かってコンタクトのケーシングを越えて突出している。コンタクトをコンタクトチャンバに挿入する際には、一次ロックランスをまず内方に向かって弾性的に変形させ、次いで、目的位置に達したらコンタクトチャンバ内の切欠内にスナップインさせることができる。このようにしてコンタクトは形状接続的に、場合によっては、可逆的にコンタクトチャンバ内でロックされる。
【0006】
選択的に、一次ロックランスをコンタクトチャンバに設けることもでき、この一次ロックランスはコンタクトチャンバ内でコンタクトをロックするために、コンタクトに設けられた相補的な切欠にスナップインすることができる。
【0007】
DE102009054705A1号明細書には、差し込み接続用の、突出する一次ロックランスが設けられた従来の電気的なコンタクトが記載されている。
【0008】
自動車で使用される場合、差し込み式コネクタ及び、この差し込み式コネクタに装着されるコンタクトには高い要求が課せられる。このことは特に、小型化された差し込み接続部に当てはまる。一方では、コネクタのコンタクトチャンバ内側におけるコンタクトのロックは、例えばコンタクトに接続されたケーブルが引っ張られた際にコンタクトの引き抜きを回避するために、できるだけ安定的でなければならない。このために通常、一次ロックランスはできるだけ曲げ剛性的であるのが望ましい。他方では、コネクタ構成部分の製造はできるだけ簡単かつ安価に行うことができるのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE102009054705A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のコネクタ構成部分を製造する方法を改良して、必要な曲げ剛性を備えた一次ロックランスを形成することができ、できるだけ簡単かつ安価に実行可能な、コネクタ構成部分を製造する方法並びに当該方法により製造可能なコネクタ構成部分を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために本発明の方法では、コネクタ構成部分を、相補的なコネクタ構成部分にロックする一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分を製造する方法であって、以下のステップ、即ち、コネクタ構成部分基板としての薄板を準備するステップと、前記一次ロックランスが、前記コネクタ構成部分の主延在方向軸線に対して横方向に突出するように、前記薄板を所定の形状に打ち抜き、曲げるステップとを有する方法において、打ち抜き加工及び曲げ加工の前に、前記薄板を、前記一次ロックランスを形成する領域の少なくとも一部分が、比較的厚い材料厚さを有しているように塑性変形するようにした。
【0012】
さらに上記課題を解決するために本発明の構成では、コネクタ構成部分を、相補的なコネクタ構成部分にロックする一次ロックランスを備えたコネクタ構成部分であって、一定の厚さを有する薄板から打ち抜き、かつ曲げ加工することにより形成されるコネクタ構成部分において、前記一次ロックランスが、厚さの異なる複数の領域を有しているようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、例えば差し込みコネクタのためのコンタクト又はコンタクトチャンバのようなコネクタ構成部分を製造する方法が提案されている。コネクタ構成部分は、この場合、一次ロックランスを有しており、この一次ロックランスは、コネクタ構成部分、即ち、コンタクト若しくはコンタクトチャンバを、相補的なコネクタ構成部分、即ちコンタクトチャンバ若しくはコンタクトにロックするために形成されている。コネクタ構成部分はこの場合、薄板、特に、コネクタ構成部分基板として用いられる薄い金属板から製造される。このような薄板から、コネクタ構成部分の主延在方向軸線に対して横方向に突出する一次ロックランスが形成されるように、打ち抜き及び曲げ加工によって型が形成される。この場合、本発明によれば、打ち抜き加工及び曲げ加工の前に薄板を、完成したコネクタ構成部分において一次ロックランスを形成する領域の少なくとも一部分が、基板として用いられた薄板の材料厚さと比較して大きな材料厚さを有するように塑性変形される。
【0014】
提案された製造方法の思想は、差し込み式のコネクタ構成部分を、一枚の単なる薄板をベースとして簡単かつ安価に製造することができることにある。この目的で行われる、薄板を適当なジオメトリに形成することができる従来の打ち抜き工程及び曲げ工程に加えて付加的に、打ち抜き、曲げ加工の前に、薄板材料を少なくとも部分領域で局所的に塑性変形するように薄板を事前に処理することが提案される。
【0015】
この塑性変形はこの場合、以下のよう、即ち、完成したコネクタ構成部分において一次ロックランスの外側に位置する領域の薄板の材料が、完成した一次ロックランスの内側の領域に移動され、これにより一次ロックランスは少なくとも部分領域で、初期の薄板よりも厚い材料厚さを有するように、行うことができる。このように局所的に増大された材料厚さは、一次ロックランスの強度を増大させることができる。
【0016】
特に一次ロックランスは、材料厚さを所定の領域で拡大することにより、一次ロックランスの強度をさらに増大させる適当なプロフィールを得ることができる。さらに、初期薄板の材料の塑性変形により材料の強化が得られる。何故ならば、塑性変形により降伏応力は上昇し、これにより結果として一次ロックランスの曲げ剛性が上昇するからである。
【0017】
薄板の塑性変形の過程は、材料を押しのける変形工具によって行うことができ、この場合、この変形工具によって薄板は局所的にプレスされ、即ち圧力下に置かれることができる。このような局所的な薄板のプレスは特に、製造すべき一次ロックランスの外側の領域で行うことができる。
【0018】
換言すると、薄板状のコネクタ構成部分基板は、材料を押しのける変形工具によって局所的に圧力下に置かれ、これにより薄板の材料の部分は加えられた圧力により塑性流動し始め、製造すべき一次ロックランスの外側の領域から、コネクタ構成部分が完成した状態で一次ロックランスを形成する領域へと移動する。
【0019】
提案される方法では、前記一次ロックランスの横断面が、厚さの異なる複数の領域を有するように、前記薄板を塑性変形することができる。特に、一次ロックランスを、側方の縁部における横断面が、中央における横断面よりも厚い厚さを有するように形成することができる。
【0020】
縦長の一次ロックランスの一方又は両方の側方の縁部における増大された厚さはこの場合、コネクタ構成部分基板の薄板の材料を、一次ロックランスの外側の隣接領域から、一次ロックランスのこの縁部領域へと塑性変形によりずらすことにより得られる。このように形成された厚い縁部領域を備えた一次ロックランスは、結果として生じた例えばU字形プロフィール又はV字形プロフィールの横断面により高い曲げ剛性を有することができる。
【0021】
コネクタ構成部分基板として用いられる薄板の塑性変形は、前記一次ロックランスが長手方向延在に沿って、厚さの異なる複数の領域を有しているように行うこともできる。
【0022】
この目的で、一次ロックランスの長手方向延在に沿った種々異なる領域へ、種々異なる多くの材料が塑性変形により移動することができる。この場合、材料は、一次ロックランスの外側の領域から、又は選択的に、一次ロックランスの内側の隣接領域から来るものである。一次ロックランスの種々様々な厚さの領域、及びこれに関連してランスの長さにわたって変化する横断面は、これにより一次ロックランスに沿って生じる種々様々な曲げ剛性が、システム全体の強度が最適となるように調節されるように選択される。
【0023】
本発明の構成の種々の特徴及び利点は部分的に本発明による製造方法に関して、及び部分的に本発明によるコネクタ構成部分に関して説明されている。当業者には、適当な形式で方法の特徴をコネクタ構成部分の特徴に適用し、逆にコネクタ構成部分の特徴を方法の特徴に適用することができることが理解され、個々の構成の特徴は適当な形式で互いに組み合わせたり入れ替えたりして、別の有利な構成、作用、シナジー効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】差し込み式のコネクタを示した分解図である。
図2】一次ロックランスを備えたコンタクトとして形成されたコネクタ構成部分を示した図である。
図3】本発明の構成によるコネクタ構成部分のためのコネクタ構成部分基板の打ち抜き領域を示した図である。
図4】コネクタ構成部分を製造する本発明による方法ステップを示した図である。
図5】コネクタ構成部分を製造する本発明による方法ステップを示した図である。
図6】コネクタ構成部分を製造する本発明による方法ステップを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明するが、この説明及び図面は本発明の構成を限定するものではない。
【0026】
図面は単に概略的に示したものであり、実際の縮尺ではない。同じ特徴若しくは同じ機能を有する特徴については図面において同じ符号を用いている。
【0027】
図1には差し込みコネクタ1が示されており、このコネクタ1は、対応コネクタに対する差し込み接続の部分を成すことができる。このコネクタ1は例えば、複数のケーブルを互いに、又はワイヤーハーネスを自動車における制御機器に、機械的かつ電気的に接続するために使用される。
【0028】
コネクタ1はケーシング上部3とケーシング下部4とを有し、これら両部分3,4は係止舌片5を介して互いに機械的に結合可能である。ケーシング上部3とケーシング下部4との間にマット状シール部材8が配置されている。ケーシング上部3及びケーシング下部4には複数のコンタクトチャンバ6,7が設けられており、これらコンタクトチャンバ6,7を貫通して、ケーブル及びケーブルに固定されたコンタクト(図1には示されていない)がコネクタ1内に導入され、コネクタ1で係止固定される。
【0029】
図2には、コネクタ1のコンタクトチャンバ7内に挿入され、ここで係止されるようなコンタクトとしての、差し込み式のコネクタ構成部分10が示されている。この場合、このコンタクトの前方部分にはコンタクトボックス13が設けられており、このコンタクトボックス13は例えば外方に突出するコンタクト面16と共に、このコンタクトに当接させられる対応コンタクトとの機械的かつ電気的なコンタクトを形成している。このコンタクトの後端部では圧着領域(Crimpbereich)12にケーブル11が取り付けられている。コンタクトボックス13からは、後方外側に向かって斜めに、一次ロックランス14が突出している。
【0030】
コンタクトが、押込み方向15の方向でコンタクトチャンバ内に押し込まれると、一次ランス14は一時的に内方に向かってばね弾性的に変位し、終端位置に達するとコンタクトチャンバ内の切欠にスナップ係合し、ひいてはこのコンタクトをコンタクトチャンバ内でロックすることができる。
【0031】
選択的に、コネクタ構成部分10を、適当に形成されたコンタクトチャンバとして形成することもでき、このコンタクトチャンバからは、一次ロックランスが内方に向かって、相応に形成されたコンタクトの切欠に向かって突出している。
【0032】
図3図6につき、本発明の実施の形態による差し込み式のコネクタ構成部分の製造方法を説明する。
【0033】
図3には、コネクタ構成部分基板として用いられる薄板20が示されている。 この薄板20には領域21がマーキングされていて、この領域は製造過程で打ち抜かれ、最終的にコネクタ構成部分を形成するように適当な形状に屈曲される。
【0034】
コネクタ構成部分10の一次ロックランス14を形成する領域22の周りには、この場合、変形領域23が示されており、この変形領域23は、製造すべき一次ロックランス14の外側、即ち、相応の領域22の外側に位置している。
【0035】
図4図6に示したように、本発明によれば、コネクタ構成部分を成す領域21を打ち抜き、曲げ加工する前に、一次ロックランス14を形成する領域22の周りの変形領域23が、変形工具24によって適当に塑性変形される。
【0036】
この場合、変形工具24は例えば、下面が適当な形状に丸形に形成されているポンチの形で、十分に高い力Fで薄板20に押し付けられる。変形工具24のポンチの形により、材料は変形領域23から塑性変形され、一次ロックランスを形成する領域22の内側の隣接領域へと移動する。変形工具24のポンチの最も下方に達する領域は、この場合、一次ロックランスを形成する、幅bを有する領域22の外側に置かれ、この領域で薄板20の材料を押しつぶし、この領域の初期の厚さdを局所的に減じる。
【0037】
しかしながら、後続して行われる打ち抜き工程とは異なり、このような塑性変形工程では、変形工具24のポンチの形状並びに加えられる押し付け力は、薄板20の材料の塑性変形は行われるが、薄板20の局所的な分離は行われない程度のものに選択されている。ポンチ下方で押しのけられた材料はこの場合、少なくとも部分的に、一次ロックランスを形成する領域22へと移動し、これにより側方の縁部25に、薄板20の、領域22の中央27に残っている本来の厚さdよりも厚い厚さを有する領域26が形成される。この変形工程で変形された材料では、塑性変形の際に多くの場合、その顕微鏡的構造が変化するので、これは肉厚領域26における材料の強化につながり、一次ロックランスの曲げ剛性をさらに高めるのに貢献する。
【0038】
従って、図6により明らかであるように、最終的に得られる一次ロックランス14には、側方の縁部25が中央に生じる厚さdよりもΔdだけ厚い厚さを有している、波状の横断面が生じる。
【0039】
曲げ加工と打ち抜き加工によってのみ製造され、ほぼ方形の横断面を有する従来の一次ロックランスと比較して、横断面が波形のこのような一次ロックランスは著しく高い曲げ剛性を有する。さらに、塑性変形の間に、外部から、一次ロックランスの領域22内へと押し込まれた材料は、塑性変形時の強化により付加的に、一次ロックランスの曲げ剛性をより高くすることに貢献する。さらに、塑性変形中に生じる、一次ロックランスの縁部25における材料蓄積に基づき、一次ロックランスを形成する薄板の厚さが全体として増大し、これにより、一次ロックランスの曲げ剛性をさらに高めることができる。
【0040】
塑性変形による一次ロックランスの材料の強化は局所的に異なる形式で行うことができ、曲げ剛性を局所的に適合させることにより一次ロックランスの強度を最適にするために、一次ロックランスの長さにわたって、異なる曲げ剛性を有する異なる横断面を形成することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 差し込み式のコネクタ、 3 ケーシング上部、 4 ケーシング下部、 5 係止舌片、 6,7 コンタクトチャンバ、 8 マット状シール部材、 10 コネクタ構成部分、 11 ケーブル、 12 圧着領域、 13 コンタクトボックス、 14 一次ロックランス、 15 押込み方向、 16 コンタクト面、 20 薄板、 21 領域、 22 一次ロックランスを形成する領域、 23 変形領域、 24 変形工具、 25 縁部、 26 領域、 27 領域22の中央
図1
図2
図3
図4
図5
図6