特許第6141142号(P6141142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コスモ工機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6141142-仕切弁 図000002
  • 特許6141142-仕切弁 図000003
  • 特許6141142-仕切弁 図000004
  • 特許6141142-仕切弁 図000005
  • 特許6141142-仕切弁 図000006
  • 特許6141142-仕切弁 図000007
  • 特許6141142-仕切弁 図000008
  • 特許6141142-仕切弁 図000009
  • 特許6141142-仕切弁 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141142
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】仕切弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 43/00 20060101AFI20170529BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   F16K43/00
   F16L55/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-166152(P2013-166152)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-34604(P2015-34604A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(72)【発明者】
【氏名】澤田 実
(72)【発明者】
【氏名】金田 直樹
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−31788(JP,A)
【文献】 特開2012−26483(JP,A)
【文献】 特開2014−81011(JP,A)
【文献】 実公昭63−47337(JP,Y2)
【文献】 特開昭48−102317(JP,A)
【文献】 実開昭58−44589(JP,U)
【文献】 実開昭56−148188(JP,U)
【文献】 特開2001−27349(JP,A)
【文献】 米国特許第4601610(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 43/00
F16L 55/00
F16K 3/00−3/36
F16L 1/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管に接続される管路部と、前記管路部に連通する筐体部と、前記管路部を開閉可能に前記筐体部に設けられた弁体部と、前記弁体部の開放状態で前記管路部及び前記筐体部の連通を遮断可能な作業弁部とから構成されており、
前記筐体部は、前記作業弁部を備えた本体部と、前記弁体部が設けられ、前記本体部に対し密封状態で伸縮可能に且つ着脱可能に取り付けられる可動部とを有した不断流状態で用いられる仕切弁であって、
前記可動部の密封状態を維持可能な所定幅の伸長代に制限する制限手段を備えることを特徴とする仕切弁。
【請求項2】
前記制限手段は、前記可動部の前記所定幅の伸長代を超える伸長を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項1に記載の仕切弁。
【請求項3】
前記制限手段は、前記弁体部と前記作業弁部との離間状態を維持可能な所定幅の短縮代に制限することを特徴とする請求項1または2に記載の仕切弁。
【請求項4】
前記可動部は、前記本体部との接続部よりも前記管路部の反対側に、前記弁体部の弁体の収納空間が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の仕切弁。
【請求項5】
前記可動部は、前記弁体部の開放状態で前記作業弁部が遮断可能な伸長位置と、前記弁体部の弁体先端が開放状態の前記作業弁部を超える短縮位置との間を伸縮可能に取り付けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の仕切弁。
【請求項6】
前記作業弁部は、前記管路部の延設方向に開閉可能に設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の仕切弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管に接続される管路部を開閉する弁体部を備え、不断流状態で用いられる仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の仕切弁は、例えば、地中に埋設された流体管網の一部区間を敷設替えする等の管工事の際に、当該区間の前後にバイパス管とともに一時的に配設され、弁体部の開閉によりバイパス管への流路を切り換えるために用いられる。この仕切弁は、施工の前後に弁体部を着脱できるように、弁体部の開閉路を遮断する作業弁を備えているため、弁体部の弁軸部が管路から径方向に突出している。したがって、特に流体管の埋設深さが浅く土被りが少ない場合、弁軸部が路面から露出する虞がある等、管工事の作業性に影響を及ぼすという問題がある。
【0003】
この問題を解消するため、弁体部を収容した筐体部が、作業弁を備えた外筒部とこの外筒部に嵌合された内筒部とからなり、外筒部に対して内筒部を伸縮可能とした構造を採用しており、施工の際に内筒部を短縮することで小型化を可能とした仕切弁がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭63−47337号公報(第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の仕切弁にあっては、例えば管工事後に弁体部を撤去するために内筒部を外筒部に対し伸長させる際に、内部流体の圧力を受けて内筒部が外筒部から脱嵌して内部流体が漏出する虞が生じるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、筐体部の本体部に対し可動部を脱嵌させることなく密封状態を維持したまま所定幅の伸長代に制限できる仕切弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の仕切弁は、
流体管に接続される管路部と、前記管路部に連通する筐体部と、前記管路部を開閉可能に前記筐体部に設けられた弁体部と、前記弁体部の開放状態で前記管路部及び前記筐体部の連通を遮断可能な作業弁部とから構成されており、
前記筐体部は、前記作業弁部を備えた本体部と、前記弁体部が設けられ、前記本体部に対し密封状態で伸縮可能に且つ着脱可能に取り付けられる可動部とを有した不断流状態で用いられる仕切弁であって、
前記可動部の密封状態を維持可能な所定幅の伸長代に制限する制限手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体部の可動部が、制限手段により本体部に対する伸長を制限されていることで、仕切弁の使用後は可動部を本体部から脱嵌することなく密封状態を維持したまま伸長動作できるため、内部流体の漏出なく作業弁を遮断して可動部を取り外すことができる。
【0008】
本発明の仕切弁は、
前記制限手段は、前記可動部の前記所定幅の伸長代を超える伸長を規制する規制部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、可動部が、制限手段の備えた規制部により所定幅の伸長代に規制されているため、本体部との密封状態を逸脱する虞がない。
【0009】
本発明の仕切弁は、
前記制限手段は、前記弁体部と前記作業弁部との離間状態を維持可能な所定幅の短縮代に制限することを特徴としている。
この特徴によれば、可動部を短縮させる際に、可動部に伴って移動する弁体部が作業弁部に当接し損傷してしまうことがない。
【0010】
本発明の仕切弁は、
前記可動部は、前記本体部との接続部よりも前記管路部の反対側に、前記弁体部の弁体の収納空間が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、本体部の接続部を極力管路部寄りに配設できるため、可動部及び弁体部を取り外し管路部に残される本体部を極小化することができる。
【0011】
本発明の仕切弁は、
前記可動部は、前記弁体部の開放状態で前記作業弁部が遮断可能な伸長位置と、前記弁体部の弁体先端が開放状態の前記作業弁部を超える短縮位置との間を伸縮可能に取り付けられることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体部の先端が作業弁部を超える位置まで可動部を短縮することで、弁体部が管路部を開閉する開閉ストロークをより短縮できるばかりか、使用後に可動部を伸長位置に配置した状態で作業弁部を遮断して、この可動部を取り外しできる。
【0012】
本発明の仕切弁は、
前記作業弁部は、前記管路部の延設方向に開閉可能に設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、作業弁部が管路部の延設方向に開閉するため、作業弁部が管路部から突出することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a),(b)は、実施例1における仕切弁を用い流体管の更新工事を示す配管図である。
図2】直管型仕切弁を示す正面断面図である。
図3】T字管型仕切弁を示す正面断面図である。
図4】(a)〜(c)は、可動部及び本体部を取り付けるフローを示す正面断面図である。
図5】(a)〜(c)は、可動部及び本体部を取り外すフローを示す正面断面図である。
図6】規制ボルトを示す斜視図である。
図7】直管型仕切弁の変形例を示す正面断面図である。
図8】(a)は、実施例2における直管型仕切弁の短縮状態を示す正面断面図であり、(b)は、同じく伸長状態を示す正面断面図である。
図9】(a)は、実施例3における直管型仕切弁の短縮状態を示す正面断面図であり、(b)は、同じく伸長状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る仕切弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る仕切弁につき、図1から図6を参照して説明する。先ず図1の符号10,20は、本発明の適用された仕切弁である。図1(a),(b)に示されるように、本発明の仕切弁10,20は、例えば流体管路1の所定の更新区間Sを更新する場合に、当該更新区間Sの更新とともに取り付けられ、次の更新区間Tの更新のため管路切り換えを不断流状態で行うようになっている。
【0016】
より具体的には、先ず図1に示されるように、更新区間Sの上流側及び下流側に、開閉弁付割T字管3,3を接続し、その開閉弁4,4に接続した図示しない穿孔機を用い不断流状態で流体管を穿孔した後、これ等開閉弁付割T字管3,3同士をバイパス管5で接続する。また、これら開閉弁付割T字管3,3の更新区間S側に隣接した箇所に、同様に不断流状態で流体管を穿孔するとともに、当該穿孔を介して流体管を開閉可能な弁体を備えた密封栓2,2を設ける。
【0017】
そして、両開閉弁4,4を開放し且つ両密封栓2,2を閉塞することで、管内流体がバイパス管5にバイパスされる状態となる。この状態で更新区間Sの既設管を切除し新設管を取り付ける等の更新工事を施工できる。施工後は、両密封栓2,2を開放し両開閉弁4,4を閉塞することで、管内流体の流路を新設管に戻し、バイパス管5は撤去する。
【0018】
また図1(b)に示されるように、新設管の取付けとともに、更新済み区間S1に後述するT字管型仕切弁20、直管型仕切弁10及びバイパス管6を予め配設することで、更新済み区間S1に隣接する次の更新区間Tの更新工事の準備をしておく。
【0019】
次に、更新区間Tの図示右側に、上記と同様の開閉弁付割T字管3及び密封栓2を取り付けた後、更新区間Tの更新工事を施工する。以下、特に図示しないが、次の更新区間を順次施工する。
【0020】
尚、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、流体管の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0021】
本発明の仕切弁の構造について説明する。図2に示されるように、直管型仕切弁10は、管網を構成する流体管に接続される管路部としての直管部11と、この直管部11に形成された孔部11aを介し内部が連通する筐体部12と、この筐体部12に設けられ直管部11の内面を開閉可能に軸支された弁体部15と、この弁体部15が開放された状態で直管部11及び筐体部12の連通を遮断可能な作業弁部16と、から主として構成されている。
【0022】
より詳しくは、直管型仕切弁10の筐体部12は、直管部11に一体形成され筒状に延設される本体部14と、この本体部14の内周面に形成された案内部14bに周設したパッキン18を介し、密封状態で嵌合した可動部13とを有している。
【0023】
すなわち可動部13は、本体部14に入れ子式に嵌合しており、本体部14に対し直管部11の径方向に伸長若しくは短縮可能となっている。図2に示されるように、可動部13と本体部14とは、互いの接続部としてのフランジ13a,14aのボルト孔に挿通されたボルト・ナット17によって接続されており、可動部13が本体部14に対し短縮した短縮位置では、互いのフランジ13a,14aが当接し過挿入が防止されるようになっている。また可動部13は、上部周壁13c及び下部周壁13bの間の略中央高さ位置にフランジ13aを有しており、下部周壁13bがパッキン18に摺動するようになっている。
【0024】
更に本体部14には、作業弁部16を構成する作業弁体16a及びこの作業弁体16aを外方から操作可能な操作軸16bが、孔部11aに連通する凹部内に配設されている。作業弁体16aは、孔部11aを開放する開放位置と遮断する遮断位置とを、外方に突出する操作軸16bの端部を把持し操作することで、直管部11の延設方向にスライド移動可能に設けられている。
【0025】
このように、作業弁部16の作業弁体16aが直管部11の延設方向に開閉するため、作業弁部16が直管部11から突出することを回避できる。
【0026】
また弁体部15は、可動部13の上端を密封状に貫通し、周方向に回転可能且つ軸方向に移動不能に枢支された弁軸15aと、この弁軸15aの雄ネジに螺合した雌ネジこま15bを備え弾性材により外面が被覆された弁体15cとから構成されている。すなわち弁体部15は、可動部13の外方に突出した弁軸15aの操作端部15dを把持し回転操作することで、雌ネジこま15bの螺挿に伴い弁体15cが軸方向に移動し、図4(c)に示される直管部11の開放位置と、弁体15cの外面が直管部11の内面に周方向に亘り密封状に当接する閉塞位置(2点鎖線で図示)との間を往復動できるようになっている。
【0027】
図3に示されるように、T字管型仕切弁20は、流体管であるバイパス管に接続される管路部としての分岐管部21bと、この分岐管部21bに略直交してT字状に内部連通する本管部21cとを有し、この分岐管部21bに形成された孔部21aを介し内部が連通する筐体部12を備えている。T字管型仕切弁20のその他の構造は、上記した直管型仕切弁10と同様であるため、直管型仕切弁10と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0028】
次に図4(a)〜(c)に示されるように、直管型仕切弁10の可動部13及び弁体部15の組み付け工程について、工程順に説明する。
【0029】
先ず、図4(a)に示されるように、可動部13及び弁体部15の組み付け前の直管型仕切弁10は、本体部14のフランジ14aに閉塞蓋8が配置されており、本体部14と閉塞蓋8とはボルト・ナット9により締結されている。閉塞蓋8の下方では作業弁体16aが孔部11aを遮断しており、直管部11の密封性が保たれている。尚、閉塞蓋8の下面にはシート面が下方に延設されており、このシート面がパッキン18に密接することで、密封状態が維持されている。
【0030】
次に、図4(b)に示されるように、閉塞蓋8を取り外し、これに替えて弁体部15を備えた可動部13を本体部14に組み付け、両フランジ13a,14aのボルト孔にボルト・ナット17若しくは本発明の制限手段としての規制ボルト30を取り付けておく。
【0031】
図6に示されるように、規制ボルト30は、対向面間が所定間隔離間した一対の対向片32a,32b及びこれら対向片32a,32bに架設された架設片32cからなり略コ字状に一体形成された規制部32と、一方の対向片32aの挿通孔から挿通され他方の対向片32bの螺挿孔に螺挿されるボルト31とからなる。さらに規制ボルト30は、架設片32cの略中央の開口部32dに挿通される所定高さの剛体からなるスペーサ33を備えている。尚、本実施例の規制ボルトは、必ずしも架設片32cの開口部32d及びスペーサ33を備えずともよい。
【0032】
図4(b)に示されるように、規制ボルト30は、一対の対向片32a,32bがそれぞれフランジ13aの上面及びフランジ14aの下面に当接し得る状態で、両フランジ13a,14aに取り付けられる。また規制ボルト30は、両フランジ13a,14aに取り付けられた状態で、スペーサ33を架設片32cの開口部32dから両フランジ13a,14aの対向面間に挿通できるようになっている。
【0033】
可動部13は本体部14に対し伸長しているが、可動部13の下部周壁13bの下端がパッキン18に密接しているため、密封状態を維持している。また、規制ボルト30のスペーサ33が両フランジ13a,14aの対向面間に係合しているため、弁体部15の弁体15cの下端は、遮断状態の作業弁体16aに接触することなく上方に離間している。
【0034】
このように、スペーサ33が弁体15cと作業弁体16aとの離間状態を維持可能な所定幅の短縮代に制限することで、可動部13を短縮させる際に、可動部13に伴って移動する弁体15cが作業弁体16aに当接し損傷してしまうことがない。
【0035】
次に、作業弁部16の外方に突出した操作軸16bの端部を被覆した被覆ナット16cを取り外し、操作軸16bを操作して作業弁体16aを開放状態とする。この開放に伴い筐体部12内に流体が流入するが、可動部13と本体部14とに遊嵌したボルト・ナット17及び規制ボルト30の規制部32が流体圧に抗し、可動部13の移動が規制されているため、密封状態は保たれている。作業弁体16aの開放後は、規制ボルト30に替えてボルト・ナット17を取り付ける。
【0036】
図4(c)に示されるように、ボルト・ナット17を徐々に螺入していくことで、可動部13を本体部14に対し漸次短縮させる。ボルト・ナット17を緊締して両フランジ13a,14aが面接触する状態になっている。この状態で、可動部13の位置は、開放位置の弁体15cの下端は、開放状態の作業弁体16aを超えて下方に位置し、且つ直管部11の管頂よりも上方に位置する短縮位置である。次に、弁軸15aの操作端部15dを回転操作することで弁体15cを上下に移動させ、直管部11を開放若しくは閉塞することができる。尚、本実施例の両フランジ13a,14aが面接触する状態に替えて、可動部13の下部周壁13bの下端面が本体部14の案内部14b下端の段部14cに当接した状態で、可動部13の位置が短縮位置となるように構成してもよい。
【0037】
このように、弁体15cの先端が作業弁体16aを超える位置まで可動部13を短縮することで、弁体部15が直管部11を開閉する開閉ストロークをより短縮できるばかりか、使用後に可動部13を伸長位置に配置した状態で作業弁体16aを遮断して、この可動部13を取り外しできる。
【0038】
次に図5(a)〜(c)に示されるように、直管型仕切弁10の可動部13及び弁体部15の取り外し工程について、工程順に説明する。
【0039】
先ず、図5(a),(b)に示されるように、弁体15cを開放位置として、両フランジ13a,14aを緊締している複数組のボルト・ナット17のうち、一部のボルト・ナット17を取り外し、これに替えて、規制ボルト30を両フランジ13a,14aに締結する。
【0040】
次に、図5(c)に示されるように、残りのボルト・ナット17を漸次緩めるとともに、可動部13を本体部14に対し伸長させる。このとき筐体部12内に作用する流体圧力を利用して可動部13を伸長するようにしてもよい。
【0041】
尚、本実施例では、両フランジ13a,14aを緊締するボルト・ナットは4組存在しており、このうち2組を取り外し規制ボルト30に替えるとともに、残りの2組のボルト・ナット17を漸次緩めるようにしているが、両フランジを緊締するボルト・ナットの組数、そのうち規制ボルトに取り換える組数、及び残りのボルト・ナットの組数は本実施例に限られず、例えば両フランジを緊締する4組のボルト・ナットのうち、1組のみ規制ボルトに取り替え3組のボルト・ナットを残してもよいし、あるいは両フランジを緊締するボルト・ナットが6組存在し、そのうち2組を規制ボルトに取り替え4組のボルト・ナットを残しても構わない。
【0042】
図5(c)に示されるように、開放状態の弁体15cの下端が作業弁体16aよりも上方に位置する伸長位置まで、可動部13を本体部14に対し伸長させる。規制部32の対向片32a,32bの対向幅は、上記した可動部13の伸長位置におけるフランジ13aの上面とフランジ14aの下面との離間幅と略同じであるため、操作者は、互いに離間するフランジ13aの上面及びフランジ14aの下面が、規制部32の対向片32a,32bにそれぞれ当接する位置を可動部13の伸長位置として判断できる。
【0043】
また、規制部32は、一対の対向片32a,32b及びこれらに架設された架設片32cからなる略コ字状に一体形成されているため、可動部13の伸長動作の際に、例え内部流体圧力等により可動部13に対し本体部から離脱する方向に不測の外力が働いても、規制部32がフランジに係合して移動を規制し、可動部13の脱嵌を防止し本体部14との密封状態を逸脱する虞がない。
【0044】
さらに、架設片32cの開口部32dを介しフランジ13a,14aの対向面間にスペーサ33を挿入することで、伸長した可動部13の位置が安定し、不測に落下する虞を防止できる。尚、スペーサ33の先端はテーパ状に形成されているため、フランジ13a,14aの対向面間に挿入しやすい。
【0045】
図5(c)に示されるように、可動部13の伸長位置で作業弁体16aを遮断し、可動部13及び弁体部15を取り外す。そして本体部14のフランジ14aに図4(a)で示した閉塞蓋8を取り付ける。可動部13は、本体部14との接続部であるフランジ13aよりも直管部11の反対側に、上部周壁13cが釣鐘状に延設されていることで、内部に弁体15cの収納空間が形成されている。このようにすることで、本体部14のフランジ14aを極力直管部11寄りに配設できるため、可動部13及び弁体部15を取り外した後に直管部11に残される本体部14を極小化することができる。
【0046】
上記した本発明の制限手段としての規制ボルト30によれば、筐体部12の可動部13が、本体部14に対する伸長を制限されていることで、直管型仕切弁10の使用後は可動部13を本体部14から脱嵌することなく密封状態を維持したまま伸長動作でき、内部流体の漏出なく作業弁体16aを遮断して可動部13を取り外すことができる。
【0047】
次に図7に示されるように、本発明の仕切弁の変形例について説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。本変形例の筐体部12’は、本体部14’の内周面14dが段部を有さず上下方向に直線状に形成されており、この内周面14dに沿って可動部13が伸縮するようになっている。このようにすることで、仕切弁10’の構造を簡素化できるばかりか、段部に夾雑物が滞留する虞を回避できる。
【0048】
また、本発明の仕切弁の別の変形例として、特に図示しないが、例えば可動部と本体部とを密封するパッキンが、可動部の外周面に設けられていてもよいし、あるいは更に別の変形例として、可動部が着脱する本体部のフランジが、管路部から離間し、開放状態の弁体部の基端付近に設けられていてもよい。
【実施例2】
【0049】
次に、実施例2に係る仕切弁につき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
図8(a)に示されるように、本実施例2の直管型仕切弁40の筐体部42は、互いにネジ嵌合された部材からなる可動部43と、直管部11の外周面の近傍位置に可動部43に接続するフランジ44aを有する本体部44とから構成されている。更に可動部43は、本体部44のフランジ44aにボルト47により図示しないパッキンを介し接続される被嵌部45と、この被嵌部45の雄ネジ部45aに螺合する雌ネジ部46aを備えた嵌合部46とからなる。
【0051】
より詳しくは、嵌合部46は、弁軸15aの上部に回転可能に枢支されるとともに、被嵌部45の雄ネジ部45aの背面側の内周面に沿う内周壁を有した内嵌部46cと、この内嵌部46cに取付ネジ46dによって固定され、内嵌部46cの内周壁との間で雌ネジ部46aを備えた外嵌部46bとから構成される。
【0052】
すなわち、可動部43は、雄ネジ部45aを備えた被嵌部45に嵌合部46が内外から嵌合しており、嵌合部46の回転操作に伴う雌ネジ部46aの螺挿により、本体部44に対し伸縮可能に構成されている。また内嵌部46cの内周壁外面には、被嵌部45の内面に密接するパッキン46eが設けられ、可動部43の伸縮によっても密封状態が維持される。
【0053】
図8(b)に示されるように、可動部43の嵌合部46を回転操作することで、可動部43を本体部44に対し容易且つ無段階に伸縮させることができる。また雄ネジ部45a及び雌ネジ部46aが螺合していることで、伸縮方向の移動が規制されており、可動部43に対し外力が加わってもこの外力に対抗できるため、可動部43が本体部44から脱嵌してしまう虞が無い。つまり本実施例2の雄ネジ部45a及び雌ネジ部46aは、本発明の制限手段の規制部を構成している。
【0054】
また、例えば被嵌部45の外面の所定高さ位置に、図示しない目印を付しておくことで、所定の伸長位置若しくは短縮位置に達したことを操作者が目視で確認できる。
【実施例3】
【0055】
次に、実施例3に係る仕切弁につき、図9を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0056】
図9(a)に示されるように、本実施例3の制限手段50は、直管型仕切弁10の本体部14に対し固定され可動部13を囲うように立設される立設部51と、立設部51の上壁の雌ネジ部51aに螺合される操作ネジ52と、この操作ネジ52を回転自在且つ軸方向に移動不能に軸受けするとともに、弁体部15に固定される固定部53と、から構成される。
【0057】
制限手段50の組み付けについて、詳しくは、立設部51の下端に設けた複数の固定ネジ51bを内方に螺挿し、本体部14のフランジ14a周面部に当接若しくは螺合させることで、立設部51を本体部14に対し固定する。また固定部53に設けた固定ネジ53bを内方に螺挿し、弁体部15の操作端部15dに当接させることで、固定部53を弁体部15に固定する。また制限手段50を組み付けした後に、両フランジ13a,14aを緊締するボルト・ナットは、遊嵌若しくは取り外しておく。
【0058】
次に、図9(b)に示されるように、操作ネジ52を上方に螺挿すると、操作ネジ52は、これを軸受けする固定部53、これに固定された弁体部15及び可動部13を伴って、本体部14に固定された立設部51に対し、漸次上方に移動する。
【0059】
このように操作ネジ52を回転操作することで、可動部13を本体部14に対し容易に且つ無段階に伸縮させることができる。また操作ネジ52及び立設部51の雌ネジ部51aが螺合していることで、可動部13に対し上方向に外力が加わってもこの外力に対抗できるため、可動部13が本体部14から脱嵌してしまう虞が無い。つまり本実施例3の操作ネジ52及び雌ネジ部51aは、本発明の制限手段の規制部を構成している。
【0060】
また、例えば操作ネジ52外面の所定高さ位置に、図示しない目印を付しておくことで、図に示される伸長位置に達したことを操作者が目視で確認できる。
【0061】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0062】
例えば、前記実施例1では、本発明の制限手段としての規制ボルト30が、可動部13の短縮を所定幅に規制するスペーサ33を備えているが、例えばこのスペーサ33に替えて、略コ字状の規制部の前後方向の幅を上記した所定幅に形成してもよく、当該規制部を両フランジ13a,14aの対向面間に配置することで、可動部13の短縮を所定幅に規制するようにしてもよい。
【0063】
また例えば、前記実施例1では、本発明の制限手段としての規制ボルト30が、所定幅の伸長代を超える伸長を規制する規制部32を備えているが、本発明の制限手段は、必ずしも上記した規制部を備えているものに限られず、例えば密封状態を維持可能な所定幅の伸長代に達したことを操作者が目視で確認できる目印を有していてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 流体管路
2 密封栓
3 開閉弁付割T字管
4 開閉弁
5,6 バイパス管
8 閉塞蓋
10 直管型仕切弁(仕切弁)
11 直管部(管路部)
12 筐体部
13 可動部
14 本体部
13a,14a フランジ(接続部)
15 弁体部
15c 弁体
16 作業弁部
16a 作業弁体
17 ボルト・ナット
18 パッキン
20 T字管型仕切弁(仕切弁)
30 規制ボルト(制限手段)
31 ボルト
32 規制部
33 スペーサ
40 直管型仕切弁(仕切弁)
42 筐体部
43 可動部
44 本体部
45 被嵌部
45a 雄ネジ部(規制部)
46 嵌合部
46a 雌ネジ部(規制部)
50 制限手段
51 立設部
51a 雌ネジ部(規制部)
52 操作ネジ(規制部)
53 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9