(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光学デバイスの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(実施の形態にかかる光学デバイスの構成)
図1は、実施の形態にかかる光学デバイスの構成例を示す図である。
図1に示すように、光学デバイス100は、レーザ光源111〜113と、偏光板121〜123と、積層波長板130と、を備えている。光学デバイス100は、レーザ光源111〜113によって出射されたレーザ光の各偏光成分に所定の位相差を与えることで、レーザ光の偏光方向を調整し、偏光方向を制御した光を出力する光デバイスである。
【0012】
レーザ光源111〜113は、それぞれ異なる波長のレーザ光を出射する。たとえば、レーザ光源111は、青色(波長が450[nm])のレーザ光を出射する。レーザ光源112は、緑色(波長が512[nm])のレーザ光を出射する。レーザ光源113は、赤色(波長が650[nm])のレーザ光を出射する。
【0013】
レーザ光源111〜113から出力されたレーザ光は、それぞれ偏光板121〜123へ入射する。レーザ光源111〜113のそれぞれは、たとえば、各波長のレーザ光を直接発光するレーザ装置でもよいし、SHG(Second Harmonic Generation:第二高調波発生)方式のレーザ装置などでもよい。
【0014】
偏光板121〜123は、レーザ光源111〜113によって出射されて積層波長板130へ入射する各光の偏光方向の間の角度が所定の角度になるように、各光の偏光方向を調整する偏光調整部である。所定の角度とは、各光の波長の相違による、積層波長板130における方位角の相違を補償する角度である(後述)。
【0015】
偏光板121は、レーザ光源111から出射されたレーザ光のうちの透過偏光方向121aの直線偏光成分のみを透過させて積層波長板130へ出射する偏光子である。偏光板122は、レーザ光源112から出射されたレーザ光のうちの透過偏光方向122aの直線偏光成分のみを透過させて積層波長板130へ出射する偏光子である。
【0016】
偏光板123は、レーザ光源113から出射されたレーザ光のうちの透過偏光方向123aの直線偏光成分のみを透過させて積層波長板130へ出射する偏光子である。偏光板121〜123が透過させる直線偏光成分の透過偏光方向121a,122a,123aは、レーザ光源111〜113の各波長に応じてそれぞれ異なる方向に設計されている。透過偏光方向121a,122a,123aの詳細については後述する。
【0017】
なお、レーザ光源111〜113が直線偏光のレーザ光を出射する場合は、レーザ光源111〜113からの各レーザ光の偏光方向が、それぞれ透過偏光方向121a,122a,123aとほぼ一致するように、レーザ光源111〜113の角度を調整しておいてもよい。これにより、偏光板121〜123における光損失を抑えることができる。また、この場合は、偏光板121〜123を省いた構成とすることも可能である。この場合は、レーザ光源111〜113の角度を調整する部材が、各光の偏光方向を調整する偏光調整部となる。
【0018】
積層波長板130は、レーザ光源111〜113から出射されて偏光板121〜123を透過した光の直交する各偏光成分に所定の位相差(リタデーション)を与える波長板として動作する。たとえば、積層波長板130は、偏光板121〜123からの光の各偏光成分にλ/4(λは光の波長)の位相差を与えるλ/4板、または、偏光板121〜123からの光の各偏光成分にλ/2の位相差を与えるλ/2板として動作する。
【0019】
積層波長板130は、直列に設けられた波長板131〜133を含む。波長板131〜133のそれぞれは、通過する各光の直交する各偏光成分に所定の位相差を生じさせる複屈折素子である。波長板131は、偏光板121〜123から出射された各光を波長板132へ通過させる第1波長板である。波長板132は、波長板131から出射された各光を波長板133へ通過させる第2波長板である。波長板133は、波長板132から出射された各光を後段へ出射する第3波長板である。たとえば、波長板131,133はλ/4板であり、波長板132はλ/2板である。
【0020】
遅相軸方向131a,132a,133aは、それぞれ波長板131〜133の遅相軸の方向である。遅相軸(スロー軸)は、波長板において複屈折の屈折率が最も高い軸である。
図1に示す例では、積層波長板130がλ/4板として動作するように遅相軸方向131a,132a,133aが設計されている。具体的には、遅相軸方向131a,133aは、同一の方向(所定方向とする)に設定されている。遅相軸方向132aは、遅相軸方向131a,133a(所定方向)と異なる方向に設定されている。
【0021】
偏光方向141〜143は、積層波長板130から出射された光におけるそれぞれ青色、緑色、赤色の波長成分における偏光方向を示している。積層波長板130がλ/4板として動作するように遅相軸方向131a,132a,133aが設計されているため、偏光方向141〜143はそれぞれ円偏光となる。
【0022】
また、偏光板121〜123の後段に、偏光板121〜123から出射された各光を、各光の偏光方向を保持しつつ合波する合波部を設けてもよい。合波部は、たとえば、偏光板121〜123と積層波長板130との間や、積層波長板130の後段に設けることができる。合波部の構成例については後述する(たとえば
図9−1〜
図9−4参照)。
【0023】
図2は、光学デバイスの変形例を示す図である。
図2において、
図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図2に示すように、
図1に示した積層波長板130の後段に偏光板210を設けることで、光学デバイス100にアッテネータ(減衰器)の機能を持たせることができる。
【0024】
この場合は、たとえば、積層波長板130がλ/2板として動作するように波長板131〜133の遅相軸方向131a,132a,133aが設計される。これにより、積層波長板130から出射された光における各波長成分の偏光方向141〜143はそれぞれ直線偏光となる。
【0025】
また、たとえば、波長板132を液晶セルによって実現する。液晶セルは、印加電圧に応じてダイレクタの方向が変化し、通過する光の各偏光成分に生じさせる位相差が変化する。これにより、波長板132の印加電圧を変化させることで、積層波長板130から出射される光における各波長成分の偏光方向141〜143を変化させることができる。
【0026】
偏光板210は、積層波長板130から出射された光のうちの偏光方向211の直線偏光成分(所定の偏光成分)のみを透過させて後段へ出射する偏光子である。これにより、波長板132の印加電圧により偏光方向141〜143を変化させることで、偏光板210を透過する光の強度を変化させることができる。
【0027】
なお、波長板132に適用する液晶セルには、たとえばネマティック液晶を用いることができる。または、波長板132に適用する液晶セルには、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal:強誘電性液晶)を用いることができる。これにより、偏光方向の制御を高速に行うことができる。
【0028】
図2に示した光学デバイス100においては、たとえば、偏光板121〜123と積層波長板130との間や、積層波長板130と偏光板210との間や、偏光板210の後段に合波部(たとえば
図9−1〜
図9−4参照)を設けることができる。
【0029】
(光学デバイスにおける透過光量特性)
図3は、
図2に示した光学デバイスにおける透過光量特性の一例を示すグラフ(その1)である。
図3において、横軸は、液晶セルによって実現された波長板132に印加する電圧[V]を示している。縦軸は、積層波長板130から出射された光の偏光板210における透過光量(透過率)を示している。
【0030】
図3に示す例では、
図2に示した光学デバイス100において、青色のレーザ光に対応する偏光板121の透過偏光方向121aが、所定方向(波長板131,133の遅相軸方向131a,133a)に対して−10[deg]傾けられているとする。また、緑色のレーザ光に対応する偏光板122の透過偏光方向122aが所定方向と平行になっているとする。また、赤色のレーザ光に対応する偏光板123の透過偏光方向123aが、所定方向に対して12[deg]傾けられているとする。これら傾けた角度の算出方法については後述する。
【0031】
透過特性301は、波長板132への印加電圧に対する青色の光の偏光板210における透過光量の特性である。透過特性302は、波長板132への印加電圧に対する緑色の光の偏光板210における透過光量の特性である。透過特性303は、波長板132への印加電圧に対する赤色の光の偏光板210における透過光量の特性である。
【0032】
波長板132への印加電圧を変化させることで、積層波長板130において各偏光成分に生じる位相差(リタデーション)が変化し、積層波長板130から出射される光の偏光方向141〜143が変化する。このため、透過特性301〜303のように、波長板132への印加電圧を変化させることで、積層波長板130から出射される光の偏光板210における透過光量を変化させることができる。たとえば、波長板132への印加電圧を、透過特性301〜303の透過光量が単調に変化する電圧範囲310において制御することで、出力光の光強度を簡単に制御することができる。
【0033】
また、光学デバイス100によれば、偏光板121〜123の透過偏光方向121a〜123aの調整により、透過特性301〜303のように、波長板132への印加電圧の変化に対して、各波長成分の透過光量が一様に変化する。このため、各波長成分の強度比の変化を抑えつつ、出力光の光強度を制御することができる。
【0034】
図4−1は、各波長に対応する偏光板の透過偏光方向を同一にした(各波長で透過偏光方向を傾けなかった)と仮定した場合の透過光量特性の一例を参考として示すグラフである。
図4−1において、
図2または
図3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図4−1においては、縦軸の透過光量を、偏光板210からの出力光を受光した場合の受光電力[mA]によって示している(
図4−2〜
図4−4においても同様)。
【0035】
偏光板121〜123の透過偏光方向121a〜123aを同一にしたと仮定すると、
図4−1の透過特性301〜303のように、波長板132への印加電圧の変化に対して、各波長成分の透過光量の変化がばらつく。このため、出力光の光強度を制御すると、各波長成分の強度比が変化してしまう。
【0036】
たとえば、レーザ光源111〜113から出射される各光の強度比により色が調整された光を光学デバイス100から出力する場合に、積層波長板130において各波長成分の強度比が変化すると、光学デバイス100から意図しない色の光が出力されてしまう。
【0037】
図4−2は、
図2に示した光学デバイスにおける透過光量特性の一例を示すグラフ(その2)である。
図4−2において、
図2または
図3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図4−2においては、
図3と同じ条件において、縦軸の透過光量を、偏光板210からの出力光を受光した場合の受光電力[mA]によって示している。また、
図4−2においては、
図4−1と同様に横軸の電圧を2[V]〜5[V]まで図示している。
【0038】
図4−2の透過特性301〜303に示すように、偏光板121〜123の透過偏光方向121a〜123aをずらした光学デバイス100によれば、たとえば電圧範囲310において、各波長成分の透過光量を一様に変化させることができる。このため、各波長成分の強度比の変化を抑えつつ出力光の光強度を制御することができる。
【0039】
たとえば、レーザ光源111〜113から出射される各光の強度比により色が調整された光を光学デバイス100から出力する場合に、各波長成分の強度比の変化を抑えることができる。このため、意図通りの色の光を出力することができる。
【0040】
図4−3は、積層波長板に代えて単一の液晶セルを設けて各偏光板の透過偏光方向を同一にしたと仮定した場合の透過光量特性の一例を参考として示すグラフである。
図4−3において、
図4−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図2に示した積層波長板130に代えて単一の液晶セルを設けるとともに、偏光板121〜123の透過偏光方向121a〜123aを同一(各波長で透過偏光方向を傾けない)にしたと仮定する。
【0041】
この場合は、
図4−3の透過特性301〜303のように、波長板132への印加電圧の変化に対して、各波長成分の透過光量の変化がばらつく。このため、出力光の光強度を制御すると、各波長成分の強度比が変化してしまう。
【0042】
図4−4は、積層波長板に代えて単一の液晶セルを設けて各偏光板の透過偏光方向をずらしたと仮定した場合の透過光量特性の一例を参考として示すグラフである。
図4−4において、
図4−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図2に示した積層波長板130に代えて単一の液晶セルを設けるとともに、偏光板121〜123の透過偏光方向121a〜123aをずらしたと仮定する。
【0043】
具体的には、青色のレーザ光に対応する偏光板121の透過偏光方向121aが、所定方向に対して−7[deg]傾けられているとする。また、緑色のレーザ光に対応する偏光板122の透過偏光方向122aが所定方向と平行になっているとする。また、赤色のレーザ光に対応する偏光板123の透過偏光方向123aが、所定方向に対して−4[deg]傾けられているとする。この場合も、
図4−4の透過特性301〜303のように、波長板132への印加電圧の変化に対して、各波長成分の透過光量の変化がばらつく。このため、出力光の光強度を制御すると、各波長成分の強度比が変化してしまう。
【0044】
図4−1〜
図4−4に示したように、積層波長板130を備えた光学デバイス100においては、透過偏光方向121a〜123aをずらすことで、印加電圧に対して各波長成分の偏光方向(透過光量)を一様に変化させることができるという効果を得ることができる。
【0045】
(積層波長板の動作)
図5は、積層波長板の動作の一例を示す図である。
図5において、
図1または
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図5において、x軸は、上記の所定方向(0[deg])に対応している。z軸は、光の進行方向に対応している。
図5に示す波長板131,133のリタデーションはともにγ1であるとする。また、波長板131,133における所定方向と遅相軸方向131a,133aとの間の方位角(アジマス角)はともにΨ1であるとする。
【0046】
波長板132のリタデーションはγ2であるとする。また、波長板132の所定方向と遅相軸方向132aとの間の方位角はΨ2であるとする。ここでは、波長板131,133の遅相軸方向131a,133aの方向を基準の0[deg]と定義する。この場合は、波長板131,133の方位角Ψ1は0[deg]となる。したがって、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψは、Ψ=Ψ2−Ψ1=Ψ2となる。
【0047】
図5に示す積層波長板130は、波長板131〜133からなる積層波長板130を1つの波長板として仮想的に図示したものである。遅相軸方向130aは、積層波長板130の仮想的な遅相軸の方向を示している。積層波長板130のリタデーションをΓeとする。積層波長板130の遅相軸方向130aと所定方向との間の方位角をΨeとする。
【0048】
積層波長板130のリタデーションΓeおよび方位角Ψeは、波長板131〜133のリタデーションγ1,γ2および方位角Ψとジョーンズマトリクスとに基づく計算により下記(1)式および(2)式のように示すことができる。
【0051】
上記(1)式および(2)式において、波長板x(波長板131〜133)のリタデーションγxは、通過する光の波長によって下記(3)式のように変化する。下記(3)式において、Δnxは、波長板xの屈折率(複屈折)である。一般的に、波長板の屈折率nはn=ne−noとなる。neは波長板の進相軸(ファースト軸)の方向の屈折率である。進相軸は、複屈折の屈折率が最も低い軸である。noは波長板の遅相軸の方向の屈折率である。Δnxは、たとえば波長板xの材料や通過する光の波長λによって決まる。Δnxの波長依存性については後述する。dxは、波長板xの厚さである。
【0052】
【数3】
積層波長板130を広帯域で使用するためには、積層波長板130のリタデーションΓeが波長板xの波長の違いによる屈折率変化の影響を受けなければよいので、たとえば下記(4)式を満たせばよい。
【0054】
たとえば、γ1=π/2またはγ1=3π/2と、γ2=πと、を満たす場合に、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψによらず、上記(4)式を満たす。γ1=π/2またはγ1=3π/2と、γ2=πと、を上記(1)式および(2)式に代入すると、下記(5)式および(6)式のようになる。
【0057】
したがって、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψを変化させることで、任意のリタデーションΓeを実現することができる。たとえば、積層波長板130をλ/2板として使用する場合はリタデーションΓe=π×(2n−1)とすればよい。このためには、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψを、45[deg]または135[deg]、すなわちπ/4×(2n−1)とすればよい(nは自然数)。
【0058】
また、積層波長板130をλ/4板として使用する場合はリタデーションΓe=π/2×(2n−1)とすればよい。このためには、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψを、22.5[deg]、67.5[deg]、112.5[deg]または157.5[deg]、すなわちπ/8×(2n−1)とすればよい。
【0059】
ただし、上記のように、波長板x(波長板131〜133)のリタデーションγxは波長依存性を有する。これに対して、上記のように、波長板を積層させることにより、波長板131〜133のリタデーションγxの波長依存性があっても、積層波長板130から出射される光に対して任意のリタデーションΓe(たとえばλ/2やλ/4)を与えることができる。
【0060】
まず、レーザ光源111〜113から出射される各光のうちの1つの光に対して、所望のリタデーションΓeを与えるように波長板131〜133を設計する。ここではλ/4のリタデーションΓeを与えることとする。また、レーザ光源111の波長(青色)をλB、レーザ光源112の波長(緑色)をλG、レーザ光源113の波長(赤色)をλRとする。たとえば、波長λB,λG,λRのうちの、中間の波長である波長λGの光に対して所望のリタデーションΓeを与えるように波長板131〜133を設計する。これにより、各波長におけるずれを小さくすることができる。
【0061】
波長λGの光に対して所望のリタデーションΓeを与えるために、γ1=π/2または3π/2、かつγ2=πを満たすように波長板131〜133を設計する。具体的には、波長板131,133については、上記(3)式と、λ=λGと、γ=π/2または3π/2と、から導かれる下記(7)式の条件を満たすように、屈折率Δnおよび厚さdを設計する。γ1(G)は、波長板131,133における波長λGの光に対するリタデーションである。
【0063】
また、波長板132については、上記(3)式と、λ=λGと、γ=πと、から導かれる下記(8)式の条件を満たすように、屈折率Δnおよび厚さdを設計する。γ2(G)は、波長板132における波長λGの光に対するリタデーションである。
【0065】
また、上記(7)式および(8)式において、屈折率Δnも波長λに応じて変化する。たとえば、屈折率Δnは、Cauchy(コーシー)の分散公式から、Δn=a+b/λ
2+c/λ
4+d/λ
6…と近似することができる。a,b,c,d,…は、波長板の材料に固有の係数である。以下の説明においては、たとえば屈折率Δnをa+b/λ
2+c/λ
4(第3項まで)によって近似する。したがって、上記(3)式は下記(9)式のように近似することができる。
【0067】
ここで、波長板131,133における係数a,b,cをそれぞれa1,b1,c1とする。波長板131,133の厚さdをd1とする。波長板132における係数a,b,cをそれぞれa2,b2,c2とする。波長板132の厚さdをd2とする。
【0068】
この場合は、波長λBの光に対する波長板131,133のリタデーションγ1(B)は下記(10)式のようになる。また、波長λBの光に対する波長板132のリタデーションγ2(B)は下記(11)式のようになる。
【0071】
また、波長λRの光に対する波長板131,133のリタデーションγ1(R)は下記(12)式のようになる。また、波長λRの光に対する波長板132のリタデーションγ2(R)は下記(13)式のようになる。
【0074】
ここで、上記(1)式および(2)式を変形すると、下記(14)式および(15)式のようになる。
【0077】
上記(14)式および(15)式に、上記(10)式〜(13)式によるγ1およびγ2を代入すると、下記(16)式および(17)式のようになる。
【0080】
ところで、上記のように、λ/4のリタデーションΓeを得るには、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψをπ/8×(2n−1)とすればよい。また、λ/2のリタデーションΓeを得るには、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψをπ/4×(2n−1)とすればよい。したがって、これらのうちの所望のリタデーションΓeに対応するいずれかの方位角Ψの値と、波長λBまたは波長λRを上記(16)式および(17)式のλに代入することで、波長λBまたは波長λRにおける積層波長板130のリタデーションΓeおよび方位角Ψeの値が求まる。
【0081】
(方位角に対する積層波長板のリタデーションの特性)
図6は、方位角に対する積層波長板のリタデーションの特性の一例を示すグラフである。
図6において、横軸は、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψを示している。縦軸は、積層波長板130のリタデーションΓeを示している。リタデーション特性600は、方位角Ψに対するリタデーションΓeの特性を示している。リタデーション特性600に示すように、積層波長板130のリタデーションΓeは、波長板131,133と波長板132との間の方位角Ψに応じて0〜2πに変化する。
【0082】
(波長に対する積層波長板のリタデーションの特性)
図7−1は、波長に対する積層波長板のリタデーションの特性の一例を示すグラフである。
図7−1において、横軸は光の波長λ[nm]を示している。縦軸は積層波長板130のリタデーションΓeを示している。リタデーション特性711は、従来の積層構造をもたない単一のλ/4板の波長λに対するリタデーションΓeの特性である。
【0083】
リタデーション特性712は、波長板131〜133を含みλ/4板として動作する積層波長板130における波長λに対するリタデーションΓeの特性である。リタデーション特性713は、理想的なリタデーションΓeの特性であり、波長λに対して一定のリタデーションである。
【0084】
図7−1の例では、上記のように、透過偏光方向122aを傾けなくても波長λGの光に対して所望のリタデーションを与えるように波長板131〜133を設計している。このため、リタデーション特性712に示すように、波長λGに対応する512[nm]付近においてリタデーションΓeが理想的なリタデーション特性713に最も近付いている。
【0085】
図7−2は、波長に対する積層波長板の方位角の特性の一例を示すグラフである。
図7−2において、横軸は光の波長λ[nm]を示している。縦軸は積層波長板130の方位角Ψeである。方位角特性721は、波長λに対する積層波長板130の方位角Ψeの特性である。方位角特性722は、理想的な方位角Ψeであり、45[deg]である。
【0086】
上記のように、透過偏光方向122aを傾けなくても波長λGの光に対して所望のリタデーションを与えるように波長板131〜133を設計している。このため、方位角特性721に示すように、波長λGに対応する512[nm]付近において方位角Ψeが理想的な方位角特性722に最も近付いている。
【0087】
これに対して、たとえば、波長λRに対応する650[nm]付近では、積層波長板130の方位角Ψeと理想的な方位角特性722との間に12[deg]程度のオフセット723が存在する。このため、上記のように、波長λRに対応する透過偏光方向123aは、所定方向に対して−12[deg]傾くように設計される。また、波長λBに対応する450[nm]付近では、積層波長板130の方位角Ψeと理想的な方位角特性722との間に−10[deg]程度のオフセットが存在する。このため、上記のように、波長λBに対応する透過偏光方向121aは、所定方向に対して10[deg]傾くように設計される。
【0088】
図1のように積層波長板がλ/4板として動作する場合のリタデーションΓeは広帯域に渡ってπ/2に近い値となる(たとえば
図7−1参照)。そして、上記のように得られた方位角Ψeに基づいて、波長λB,λRに対応する偏光板121,123の透過偏光方向121a,123aの所定方向に対する傾きが設計される。
【0089】
たとえば、
図1に示したように、出射光の偏光方向141〜143が円偏光となる場合について説明する。
【0090】
図8−1は、各波長に対応する偏光板における透過偏光方向積層波長板の遅相軸方向の一例を示す図(その1)である。
図8−1は、上から波長λB、波長λG及び波長λRに対応する偏光板121〜123を示し、それぞれにおける透過偏光方向121a,122a,123aおよび積層波長板130の遅相軸方向130aを示している。
【0091】
図8−1に示すように波長λGのレーザ光に対応する偏光板122の透過偏光方向122aを基準として、所定方向(0[deg])と平行に設計する。そして、
図7−2より、波長λR(650[nm])において所定方向(0[deg])と遅相軸方向130aとの間の方位角Ψeは、33[deg]であることがわかる。直線偏光を円偏光に変換するためには入射直線偏光方向に対し、λ/4板の遅相軸が45[deg]である必要があるため、この場合は、赤色のレーザ光に対応する偏光板123の透過偏光方向123aと遅相軸方向130aとの差が45[deg]となるように、透過偏光方向123aは所定方向に対して−12(=33−45)[deg]傾くように設計される。つまり、前述した
図7−2における積層波長板130の方位角Ψeと理想的な方位角特性722との間に発生した12[deg]程度のオフセット723だけ、透過偏光方向123aを傾ける。
【0092】
同様に波長λB(450[nm])において、
図7−2より、方位角Ψe=55[deg]が得られたとすると、青色のレーザ光に対応する偏光板121の透過偏光方向121aと遅相軸方向130aとの差が45[deg]となるように、透過偏光方向121aは所定方向に対して10[deg]傾くように設計される。
【0093】
一方、
図2のように積層波長板がλ/2板として動作する場合、入射直線偏光方向とλ/2板の遅相軸がなす角との倍の角度だけ回転した直線偏光が透過することになる。次に
図2に図示したように、出射した各波長の偏光方向141〜143を90[deg]方向で揃えた場合について説明する。
【0094】
図8−2は、各波長に対応する偏光板における透過偏光方向積層波長板の遅相軸方向の一例を示す図(その2)である。
図8−2は、
図8−1と同様に上から波長λB、波長λG及び波長λRに対応する偏光板121〜123を示し、それぞれにおける透過偏光方向121a,122a,123aおよび積層波長板130の遅相軸方向130aを示している。
【0095】
図8−1と同じく、波長λGにおける方位角Ψe=45[deg]、波長λRにおける方位角Ψe=33[deg]とが得られたとすると、波長λGのレーザ光に対応する偏光板122の透過偏光方向122aは0[deg]に設計され、波長λRのレーザ光に対応する偏光板123の透過偏光方向123aは、遅相軸(=方位角Ψe)とのなす角度の倍の角度を回転させた時に角度が90[deg]方向となるよう、つまり、透過偏光方向123aと90[deg]方向とのなす角度(この場合は、結果として114[deg])が、透過偏光方向123aと遅相軸(=方位角Ψe)方向とのなす角度(この場合は、結果として57[deg])の2倍となるように、透過偏光方向123aを配置する。よって、透過偏光方向123aは、−24[deg]に設計される。
【0096】
同様に波長λBにおける方位角Ψe=55[deg]が得られたとすると、波長λBのレーザ光に対応する偏光板121の透過偏光方向121aは、遅相軸(=方位角Ψe)を基準に倍の角度回転した場合の角度が90[deg]となるよう、つまり、透過偏光方向121aと90[deg]方向とのなす角度(この場合は、結果として70[deg])が、透過偏光方向121aと遅相軸(=方位角Ψe)方向とのなす角度(この場合は、結果として35[deg])の2倍となるように、透過偏光方向121aを配置する。よって、透過偏光方向121aは、20[deg]に設計される。
【0097】
(各波長に対応する各偏光方向の関係)
以上のことから、λ/4板として動作する積層波長板130へ入射する各光の偏光方向の間の角度、具体的には透過偏光方向121a〜123aの間の角度は以下のようになる。すなわち、レーザ光源111〜113から出射される各光のうちの、波長λ1の光と波長λ2の光との各偏光方向の間の角度Ψ(λ1,λ2)が下記(18)式および(19)式を満たすように透過偏光方向121a〜123aを調整する。これにより、各光の波長の相違による、積層波長板130における方位角Ψeの相違を補償することができる。
【0100】
上記(18)式および(19)式は、上記(16)式および(17)式において、λ=λ1としたΨe(λ1)と、λ=λ2としたΨe(λ2)と、の差によって導くことができる。たとえば、緑色(波長が512[nm])の光の偏光方向となる透過偏光方向122aと、赤色(波長が650[nm])の光の偏光方向となる透過偏光方向123aと、の間の角度Ψ(λ1,λ2)は、上記(18)式および(19)式において、λ1=512[nm]、λ2=650[nm]とすることで算出することができる。青色(波長が450[nm])の光の偏光方向となる透過偏光方向121aについても同様に算出することができる。
【0101】
また、上記(18)式および(19)式において、波長板131,133の屈折率Δn1(λ)は、上記のCauchyの分散公式から、a1+b1/λ
2+c1/λ
4+d1/λ
6…によって近似することができる。また、波長板132の屈折率Δn2(λ)は、a2+b2/λ
2+c2/λ
4+d2/λ
6…によって近似することができる。
【0102】
すなわち、波長板131,133の材料に固有の係数をA1,A2,A3,…Am(mは自然数)とすると、波長板131,133の屈折率Δn1(λ)は、A1+A2/λ
2+A3/λ
4+A4/λ
6…+A(m)/λ^(2(m−1))によって近似することができる。また、波長板132の材料に固有の係数をB1,B2,B3,…Bmとすると、波長板132の屈折率Δn2(λ)は、B1+B2/λ
2+B3/λ
4+B4/λ
6…+B(m)/λ^(2(m−1))によって近似することができる。
【0103】
同様に、λ/2板として動作する積層波長板130へ入射する各光の偏光方向の間の角度、具体的には透過偏光方向121a〜123aの間の角度は以下のようになる。すなわち、レーザ光源111〜113から出射される各光のうちの、波長λ1の光と波長λ2の光との各偏光方向の間の角度Ψ(λ1,λ2)が下記(20)式および(21)を満たすように透過偏光方向121a〜123aを調整する。これにより、各光の波長の相違による、積層波長板130における方位角Ψeの相違を補償することができる。
【0106】
上記(20)式および(21)式は、上記(16)式および(17)式において、λ=λ1としたΨe(λ1)と、λ=λ2としたΨe(λ2)と、の差によって導くことができる。たとえば、緑色(波長が512[nm])の光の偏光方向となる透過偏光方向122aと、赤色(波長が650[nm])の光の偏光方向となる透過偏光方向123aと、の間の角度Ψ(λ1,λ2)は、上記(20)式および(21)式において、λ1=512[nm]、λ2=650[nm]とすることで算出することができる。青色(波長が450[nm])の光の偏光方向となる透過偏光方向121aについても同様に算出することができる。
【0107】
また、上記(20)式および(21)式において、波長板131,133の屈折率Δn1(λ)は、上記のCauchyの分散公式から、a1+b1/λ
2+c1/λ
4+d1/λ
6…によって近似することができる。また、波長板132の屈折率Δn2(λ)は、a2+b2/λ
2+c2/λ
4+d2/λ
6…によって近似することができる。
【0108】
すなわち、波長板131,133の材料に固有の係数をA1,A2,A3,…Am(mは自然数)とすると、波長板131,133の屈折率Δn1(λ)は、A1+A2/λ
2+A3/λ
4+A4/λ
6…+A(m)/λ^(2(m−1))によって近似することができる。また、波長板132の材料に固有の係数をB1,B2,B3,…Bmとすると、波長板132の屈折率Δn2(λ)は、B1+B2/λ
2+B3/λ
4+B4/λ
6…+B(m)/λ^(2(m−1))によって近似することができる。
【0109】
(合波部の構成例)
図9−1は、合波部の構成例を示す図である。
図9−1に示すように、光学デバイス100に設ける合波部は、たとえばファイバカプラ910によって実現することができる。
図9−1に示す例では、合波部が偏光板121〜123と積層波長板130との間に設けられる場合について説明する(
図9−2〜
図9−4においても同様)。
【0110】
ファイバカプラ910は、たとえば、偏光保持ファイバ911〜913と、コンバイナ914と、偏光保持ファイバ915と、を備えている。偏光保持ファイバ911〜913,915は、たとえば、入射されたレーザ光の偏光状態を保持して出射するPMF(Polarization Maintaining Fiber)である。
【0111】
偏光保持ファイバ911には、偏光板121から出射された青色のレーザ光(B)が入射する。偏光保持ファイバ911は、入射した青色のレーザ光(B)を、偏光状態を保持しつつコンバイナ914へ出射する。偏光保持ファイバ912には、偏光板122から出射された緑色のレーザ光(G)が入射する。偏光保持ファイバ912は、入射した緑色のレーザ光(G)を、偏光状態を保持しつつコンバイナ914へ出射する。
【0112】
偏光保持ファイバ913には、偏光板123から出射された赤色のレーザ光(R)が入射する。偏光保持ファイバ913は、入射した赤色のレーザ光(R)を、偏光状態を保持しつつコンバイナ914へ出射する。コンバイナ914は、偏光保持ファイバ911〜913から出射された各レーザ光を合波する合波器である。コンバイナ914は、合波したレーザ光を偏光保持ファイバ915へ出射する。
【0113】
偏光保持ファイバ915は、コンバイナ914から出射されたレーザ光を、偏光状態を保持しつつ出射する。偏光保持ファイバ915から出射されるレーザ光は、赤色、緑色および青色の各光を含むレーザ光となる。また、偏光保持ファイバ915から出射されるレーザ光は積層波長板130へ入射する。
図9−1に示したファイバカプラ910により、偏光板121〜123から出射された各レーザ光を、それぞれの偏光方向を保持したまま合波して積層波長板130へ出射することができる。
【0114】
図9−2は、合波部の変形例1を示す図である。
図9−2において、
図9−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図9−2に示すように、光学デバイス100に設ける合波部は、ダイクロイックミラーを用いた合波部920によって実現することができる。合波部920は、ミラー921と、ダイクロイックミラー922,923と、を備えていてもよい。
【0115】
ミラー921は、偏光板123から出射された赤色のレーザ光(R)を反射させてダイクロイックミラー922へ出射する。ダイクロイックミラー922は、偏光板122から出射された緑色のレーザ光(G)を反射させてダイクロイックミラー923へ出射する。また、ダイクロイックミラー922は、ミラー921から出射された赤色のレーザ光(R)を透過させてダイクロイックミラー923へ出射する。
【0116】
ダイクロイックミラー923は、偏光板121から出射された青色のレーザ光(B)を反射させて後段へ出射する。また、ダイクロイックミラー923は、ダイクロイックミラー922から出射された赤色のレーザ光(R)および緑色のレーザ光(G)を透過させて後段へ出射する。ダイクロイックミラー922,923のそれぞれは、たとえば誘電体多層膜によって実現することができる。
【0117】
ダイクロイックミラー923から出射されるレーザ光は、赤色、緑色および青色の各光を含むレーザ光となる。また、ダイクロイックミラー923から出射されるレーザ光は積層波長板130へ入射する。
図9−2に示したダイクロイックミラーを用いた合波部920により、偏光板121〜123から出射された各レーザ光を、それぞれの偏光方向を保持したまま合波して積層波長板130へ出射することができる。
【0118】
図9−3は、合波部の変形例2を示す図である。
図9−3において、
図9−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図9−3に示すように、ダイクロイックミラーを用いた合波部920は、
図9−2に示した構成においてミラー921を省いた構成としてもよい。
【0119】
ダイクロイックミラー922は、偏光板123から出射された赤色のレーザ光(R)を反射させてダイクロイックミラー923へ出射する。また、ダイクロイックミラー922は、偏光板122から出射された緑色のレーザ光(G)を透過させてダイクロイックミラー923へ出射する。このように、偏光板123から出射された赤色のレーザ光(R)と、偏光板122から出射された緑色のレーザ光(G)と、をダイクロイックミラー922へ入射することによって
図9−2に示したミラー921を省いた構成としてもよい。
【0120】
図9−4は、合波部の変形例3を示す図である。
図9−4に示すように、光学デバイス100に設ける合波部は、ホログラムカプラ940によって実現してもよい。ホログラムカプラ940は、波長ごとに回折角が異なるように記憶されたボリュームホログラムである。偏光板121〜123から出射された各レーザ光は、ホログラムカプラ940において集光する。そして、偏光板121〜123から出射された各レーザ光は、ホログラムカプラ940を通過する際に、波長に応じた角度で回折することで同じ方向で出射される。
【0121】
図9−4に示したホログラムカプラ940により、偏光板121〜123から出射された各レーザ光を、それぞれの偏光方向を保持したまま合波して積層波長板130へ出射することができる。
【0122】
以上説明したように、光学デバイスによれば、波長成分ごとの偏光方向のばらつきを抑えることができる。また、たとえば、波長成分ごとに所定のリタデーションを得られるように波長成分ごとに最適化した複数の波長板を設ける構成に比べて、装置の大型化を抑えることができる。
【0123】
なお、上述した実施の形態においては、複数の光源の一例としてレーザ光源111〜113を挙げたが、複数の光源はレーザ光源111〜113に限らない。たとえば、複数の光源は、互いに異なる波長のレーザ光を出射する2つ、または4つ以上の光源であってもよい。また、レーザ光の波長についても、450[nm](青色)、512[nm](緑色)、650[nm](赤色)に限らず任意の波長を用いることができる。
【0124】
また、上述した実施の形態においては、各色の偏光板の偏光軸を最適な角度に回転させたが、それぞれ透過偏光方向121a,122a,123aとほぼ一致するように、各レーザ光源の角度を調整してもよい。これにより、偏光板121〜123における光損失を抑えることができる。また、この場合は、偏光板121〜123を省いた構成とすることも可能である。この場合は、レーザ光源111〜113の角度を調整する部材が、各光の偏光方向を調整する偏光調整部となる。
【0125】
また、光学デバイス100にアッテネータの機能を持たせる構成について説明したが、光学デバイス100を適用可能な装置はこれに限らない。たとえば、
図1に示した光学デバイス100は、プロジェクタなどに適用することも可能である。