特許第6141199号(P6141199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141199
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】昆虫有害生物の防除
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/20 20090101AFI20170529BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20170529BHJP
   A01P 15/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   A01N65/20
   A01P7/04
   A01P15/00
【請求項の数】10
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2013-553747(P2013-553747)
(86)(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公表番号】特表2014-510051(P2014-510051A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】AU2012000160
(87)【国際公開番号】WO2012113017
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年2月20日
(31)【優先権主張番号】2011900586
(32)【優先日】2011年2月21日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】513207895
【氏名又は名称】イノヴェイト エイジー プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Innovate Ag Pty Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】メンサー,ロバート
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−510197(JP,A)
【文献】 米国特許第05538525(US,A)
【文献】 特開平04−247004(JP,A)
【文献】 国際公開第00/057888(WO,A1)
【文献】 特開2007−112931(JP,A)
【文献】 Mathew, Nisha et al.,Larvicidal activity of Saraca indica, Nyctanthes arbor-tristis, and Clitoria ternatea extracts against three mosquito vector species,Parasitology Research,2008年11月28日,vol.104 no.5,pp.1017-1025
【文献】 Poth, Aaron G. et al.,Discovery of an unusual biosynthetic origin for circular proteins in lugumes,Proceedings of the National Academy of Sciences,2011年,vol.108 no.25,pp.10127-10132
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/−00−65/48
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、メタノール、エタノール、ヘキサン、カノーラ油、綿実油、ポリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される溶剤中のチョウマメ(Clitoria ternatea)の葉由来の抽出物を含む組成物であって、前記抽出物が、殺虫活性を有し、および/または、昆虫有害生物を忌避し、および/または、昆虫有害生物の産卵を抑止し、および/または、昆虫有害生物の産卵場所に作用し、および/または、昆虫有害生物の植物への摂食を抑止し、前記組成物が一又はそれ以上の乳化剤と、任意によりキャリアを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、1種以上の農学的に許容可能な賦形物をさらに含むことを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、前記キャリアが非極性溶剤または油であることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物において、前記溶剤がカノーラ油または綿実油であることを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物において、前記溶剤が水、メタノール、エタノール、ヘキサン、カノーラ油、綿実油、ポリエチレングリコールの2種以上の組み合わせであることを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項に記載の組成物において、前記溶剤がエタノールであることを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物において、前記チョウマメが開花前段階であることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物において、前記抽出物がチョウマメの全体由来の抽出物であることを特徴とする組成物。
【請求項9】
昆虫有害生物の外寄生による被害を受ける植物もしくはこのような外寄生を受けやすい植物を、請求項1に記載の組成物で処理するステップを具えることを特徴とする、植物の昆虫有害生物を防除する方法。
【請求項10】
植物の1種以上の昆虫有害生物を防除する方法において、昆虫有害生物の外寄生による被害を受ける植物もしくはこのような外寄生を受けやすい植物を、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、カノーラ油、綿実油、ポリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせから選択される溶剤中のチョウマメ(Clitoria ternatea)の葉由の抽出物で処理するステップを含み、前記抽出物が殺虫活性を有し、および/または、前記昆虫有害生物を忌避し、および/または、前記昆虫有害生物の産卵を抑止し、および/または、前記昆虫有害生物の産卵場所に作用し、および/または、前記昆虫有害生物の植物への摂食を抑止することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫有害生物の防除のためのチョウマメ(Clitoria ternatea)の使用に関し、より具体的には、一般に殺虫活性を介したガおよびその幼虫ならびに咀嚼型もしくは吸汁型昆虫の防除、および/または、昆虫有害生物の忌避、および/または、昆虫有害生物の産卵の抑止、および/または、産卵場所への作用、および/または、昆虫有害生物の農作物または他の植物に対する摂食の抑止のためのチョウマメ(Clitoria ternatea)の使用に関する。特に、本発明は、農作物および他の植物に係る昆虫有害生物の防除のためのチョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物の使用、より具体的には、農作物および他の植物に係るガおよびその幼虫ならびに咀嚼型もしくは吸汁型昆虫の防除のためのチョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オーストラリアにおける綿産業では、作物中の有害生物の管理は、未だ合成有害生物防除剤の反復的な適用に依存している。現在では、殺虫剤耐性、有益な種の撹乱、高い生産コスト、および、環境への影響に関連する付随する問題により、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)を管理するための代替的な戦略の研究が必要とされている。これらとしては(これらに限定されないが)、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)の殺虫性タンパク質および他の宿主植物耐性を含有する遺伝子組み換え綿作物、バイオ農薬、有益な種のよりよい管理、誘引作物、間作および混植、ならびに、有害生物および益虫の行動の操作が挙げられる。現在、オーストラリアおよび多くの国々においては鱗翅類有害生物の防除に遺伝子組み換え(トランスジェニック)作物が栽培されており、これらの導入によってこれらの有害生物に対する合成殺虫剤の使用は低減されてきている。しかしながら、例えば吸収型有害生物といった他の有害生物に対するトランスジェニック植物における毒素の効果はない。また、毒素に耐性を示すことが可能である3期から後期ヘリコベルパ属(Helicoverpa)の幼虫は、トランスジェニック綿作物と従来の綿作物との両方において、その防除のための合成殺虫剤の使用を増加させた。それ故、これらの有害生物を管理するための新たなアプローチの開発の必要性に重要性が認められている。
【0003】
綿などの大規模作物における昆虫有害生物を管理する革命的な方法に係る可能性が高いアプローチの一つは、天然の植物化学化合物または植物抽出物を用いることである。天然植物抽出物または二次植物化合物(SPC)は普通、昆虫の「関心」を刺激するキューとして機能することにより昆虫の行動に作用するか、または、特定の宿主植物への昆虫の外寄生を抑止することが可能である(Rhoades and Coates 1976)。多くのSPCが、有害生物の外寄生から植物を実際に保護するために植物において作られている(Rhoades and Coates 1976)。これにより、作物植物に適用された際の有害生物による被害を低減するための植物性殺虫剤として用いられるSPCの例が複数ある。非宿主植物から抽出され、宿主植物に噴霧されるいくつかのSPCは特にガといった有害生物の行動を変えることが可能であり、これらの有害生物はその後この宿主植物を回避することとなる(Tingle and Mitchell 1984)。有害生物管理に係る研究の数多くが、有害生物の行動を変えさせる化合物よりも有害生物を殺す化学化合物に焦点を当てている(Tingle and Mitchell 1984,Mensah and Moore,1999)。従って、新規な製品をもたらす可能性のあるより複雑な作用機構を有する潜在的に有用な化合物は看過されてきた(Mensah and Moore,1999)。このような化合物は、相当の距離にわたって有害生物を誘引もしくは忌避するか、または、接触後に摂食および産卵の両方を刺激もしくは抑止する。抑制化合物は昆虫による産卵および摂食を直接的に抑え(Mensah,1996,Mensah et al.2000)、これらは刺激物質よりも重要であると考えられており、実際には、SPCにおいては抑止効果がより一般的に注目される(Bernays and Chapman 1994)。抑止剤の効力は、プッシュ・プルストラテジー(push−pull strategy)(Pyke et al.1987)における価値のない作物に適用される誘引剤/刺激物質と組み合わされて用いられた場合に高められる可能性が高い(Miller and Cowles,1990)。従って、昆虫有害生物の産卵行動および/または摂食行動を改変させるツールが農作物における有害生物管理に対する新規なアプローチであり、これにより潜在的にきわめて顕著な有益性がもたらされる。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本発明は、殺虫活性を有し、および/または、昆虫有害生物を忌避し、および/または、昆虫有害生物の産卵を抑止し、および/または、産卵場所に作用し、および/または、昆虫有害生物の植物への摂食を抑止するSPCを含むチョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物を含み、任意によりキャリアを含む昆虫有害生物防除用組成物を提供する。
【0005】
さらなる態様において、本発明は、1種以上の昆虫有害生物を防除する方法において、殺虫活性を有し、および/または、昆虫有害生物を忌避し、および/または、昆虫有害生物の産卵を抑止し、および/または、産卵場所に作用し、および/または、昆虫有害生物の植物への摂食を抑止し、ならびに、チョウマメ(Clitoria ternatea)に由来するSPCで対象箇所を処理するステップを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、チョウマメ(Clitoria ternatea)からの固体相抽出(SPE)画分のHPLCクロマトグラムをUVスペクトルと共に示す。
図2図2は、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分で処理した綿葉に対するオオタバコガ(Helicoverpa armigera)の3令幼虫の摂食応答を図示する(強制テスト)。
図3図3は、48時間後に死亡をもたらす、2令オオタバコガ(H.armigera)に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の抗菌効果を図示する。
図4図4は、葉消費重量に係るルメイン(Lu Mein)の葉(摂食誘引剤)へのチョウマメ(Clitoria ternatea)F2のマスキング効果に対する2令オオタバコガ(H.armigera)の強制摂食応答を示す。
図5図5は、2令オオタバコガ(H.armigera)の幼虫の重量に係るルメイン(Lu Mein)の葉に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分2番の強制マスキング効果を示す(3回の実験の集計)。
図6図6は、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の綿植物への産卵に対するヘキサン中に配合された組み合わされたチョウマメ(Clitoria ternatea)の効力を示すグラフである。
図7図7は、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の綿植物への産卵に対するヘキサン中に配合された異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)の効力を示す。
図8図8は、商業用の従来の綿畑で記録されたヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵および幼虫の数/m/サンプル日に対するヘキサン中に配合された異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)の効力を示す。
図9図9は、人工餌料における、2令幼虫から蛹化までのヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の幼虫に対する、(1)綿実油(2)粗綿実油および(3)カノーラ油中に配合したチョウマメ(Clitoria ternatea)の効力を示す。
図10図10は、カノーラ油との接触による開花前段階(花またはさやを含まない)のチョウマメ(Clitoria ternatea)植物原料由来のSPCを含む組成物のメタノール抽出のUV210nmでのHPLCプロファイルである。このプロファイルはAgilent 1100 LCMSDをPhenomex Luna C18カラムと共に、40℃で、以下の溶剤勾配条件により用いて得た。移動相:A=0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)−水B=0.05%TFA−アセトニトリル
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来のSPCを用いる1種以上の昆虫有害生物の防除に関する。
【0009】
本明細書において用いられるところ、SPCもしくは二次植物性化合物とは、植物によって合成される、その植物にとって生存に必須ではない化学化合物である。本SPCは、殺虫活性を有し、および/または、昆虫有害生物を忌避し、および/または、昆虫有害生物の産卵を抑止し、および/または、産卵場所に作用し、および/または、昆虫有害生物の植物への摂食を抑止させる。
【0010】
一実施形態において、昆虫有害生物は植物有害生物であって、本方法は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物を植物またはその周囲に適用するステップを含む。
【0011】
本発明の実施形態は、昆虫外寄生を限定するか防止するために、作物の処理に用いられることが可能である。本発明は、商業的規模で収穫または栽培される植物を指す農業経済学的に重要な植物に特に好適である。
【0012】
このような農学的植物(または作物)の例は、コムギ、オオムギ、ライ麦、カラスムギ、イネ、トウモロコシまたはモロコシなどの穀類;テンサイまたは飼料用ビートなどのビート;リンゴ、セイヨウナシ、セイヨウスモモ、プルーン、モモ、アーモンド、サクランボ、または、例えばイチゴ、ラズベリーもしくはブラックベリーといった液果類などの例えば仁果、石果および軟果といった果実;インゲン、レンズマメ、エンドウまたはダイズなどのマメ科植物;セイヨウアブラナ、マスタード、ケシ、オリーヴ、ヒマワリ、ココナツ、トウゴマ、カカオまたはピーナッツなどの油作物;カボチャ、キュウリまたはメロンなどの西洋カボチャ科;綿、亜麻、アサまたはジュートなどの繊維植物;オレンジ、レモン、グレープフルーツまたはタンジェリンなどの柑橘類;ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、シマトウガラシ、トマト、ジャガイモまたはトウガラシなどの野菜;アボカド、シナモンまたは樟脳などのクスノキ科;ならびに、タバコ、堅果(クルミなど)、コーヒー、ナス、サトウキビ、チャ、コショウ、ブドウ、ホップ、バショウ科、ラテックス植物および観賞用植物である。また、牧草およびマメ科植物などの飼料作物もまた重要である。
【0013】
一実施形態において、植物は、繊維植物、雑穀類、マメ科作物、しゅく穀、野菜および果実を含み、より具体的には、綿、トウモロコシ、モロコシ、ヒマワリ、アルファルファ、種々のマメ科植物、特にダイズ、キマメ、リョクトウおよびヒヨコマメ、トマト、オクラ、ならびに、同様の植物を含む。
【0014】
一実施形態において、植物は観賞植物を含む。一例として、これらの観賞植物は、ラン、バラ、チューリップ、高木、潅木、ハーブ、芝生および芝草、球根、つる植物、多年草、多肉植物、鉢植え植物であり得る。
【0015】
一実施形態において、昆虫有害生物は動物の有害生物であり、本方法は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物を動物に適用するステップを含む。一実施形態において、動物は、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、テンジクネズミ、ロバ、カモ、トリ、水バッファロー、ラクダ、トナカイ、ガチョウ、ラマ、アルパカ、ゾウ、シカ、ウサギ、ミンク、チンチラ、ハムスター、キツネ、エミュー、ダチョウであり得る。
【0016】
一実施形態において、方法は、生息地を処理するステップを含む。
【0017】
本発明は、油、水またはいずれかのキャリア生成物中のチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物を、有害生物によって影響を受ける植物もしくはその周囲に、または、有害生物によって影響を受ける動物に適用するステップを含む。処理は、油性配合物、水性配合物、残存配合物、水和剤等の使用を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、異なる配合物タイプの有益性を達成するために、配合物の組み合わせを採用することが可能である。抽出物はキャリアに添加されてもよく、または、液体配合物の場合には、例えばカノーラ油といったキャリアを用いてチョウマメ(Clitoria ternatea)からSPCを抽出してもよい。
【0018】
一実施形態において、配合物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい油性配合物である。
【0019】
一実施形態において、配合物は油性配合物であり、油はC19〜C27炭化水素である。
【0020】
一実施形態において、配合物は、アルコール、ケトン、アルデヒドまたはスルホキシドなどの極性溶剤中のチョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物を含む。特に、配合物は、アルコール中のチョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物であり得る。
【0021】
一実施形態において、配合物は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来のメタノール抽出物を含む。一実施形態において、配合物は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来のエタノール抽出物を含む。一実施形態において、配合物は、粗および精製綿実油またはカノーラ油などの低分子量油中のチョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物を含む。他の油としては、園芸産業において公知である、ホワイト油、DC Tron oil(nC21およびnC24油)、Canopy oil(nC27油)、Biopest oil(nC24油)、ドーマントオイルまたはサマーオイルが挙げられる。これらの油のほとんどがnC19〜nC27であるが、許容可能な毒性を有する他の炭化水素も用いられ得る。本発明と共に用いるのに好適なこのような製品が市場に複数ある。これらは、Sunspray oil、ティーツリーオイル、Sunspray Ultra fine(Sun Refining and Marketing Company製)である。
【0022】
石油系散布油は、好適な農業経済学的に許容可能な希釈剤および/またはキャリアと併せて、ならびに、乳化剤、湿潤剤、界面活性剤、安定化剤、拡展剤等などの技術分野において一般的な他の添加剤と共に用いられ得る。
【0023】
一実施形態において、配合物は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来の水性抽出物を含む。
【0024】
一実施形態において、配合物は、ヘキサンなどの低級炭化水素溶剤中のチョウマメ(Clitoria ternatea)由来の抽出物を含む。
【0025】
一実施形態において、配合物は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来の粗抽出物の画分を含む。
【0026】
一実施形態において、配合物は、チョウマメ(Clitoria ternatea)由来の粗抽出物の画分の混合物を含む。
【0027】
本明細書において用いられるところ、「キャリア」という用語は、無機もしくは有機であり、および、合成もしくは天然由来であることが可能である液体または固体材料を意味し、有効化合物は、処理されるべき対象箇所に適用される本発明の組成物もしくはチョウマメ(Clitoria ternatea)から得られたSPCの適用を容易とするよう、または、その保管、輸送および/もしくは取り扱いを容易とするようこのキャリアと共に混合もしくは配合される。普通、殺虫剤の配合に慣習的に採用される材料のいずれもが好適である。
【0028】
本明細書において用いられるところ、「対象箇所」という用語は、本発明の組成物またはチョウマメ(Clitoria ternatea)由来のSPCが適用される場所を指す。個別の植物、植物および/またはその周囲などの植物の一群、個別もしくは一群の動物、および、植物が植えられているか動物が集まる可能性のある領域への適用が含まれ、ならびに、1匹もしくは複数の昆虫および/またはこれらが位置する近辺への直接的な適用が含まれる。
【0029】
本発明の組成物は、単独で、または、固体および/もしくは液体分散性キャリアビヒクルおよび/もしくは、有害生物防除剤、もしくは、所望の場合には殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌・殺カビ剤、殺菌剤、殺鼠剤、除草剤、肥料、成長調節剤等などの他の公知の適合性の活性薬剤との混合物の形態で、または、これらから形成され、特異的な適用のための特定の投与調製物であって、溶液、エマルジョン、懸濁液、粉末、ペーストおよび顆粒などのそのまま用いられる投与調製物の形態で採用されることが可能である。
【0030】
所望の場合には、本発明の組成物は、例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液、乳化性濃縮物、噴霧粉末、ペースト、可溶性粉末、散粉剤、顆粒もしくはフォームの形態の従来の分散性キャリアビヒクルといった従来の有害生物防除剤において用いられることが可能であるタイプの従来の不活性殺虫剤希釈剤もしくは増量剤と配合または混合されることが可能である。
【0031】
本発明の組成物における使用に好適であり得る典型的な乳化剤としては、これらに限定されないが、軽分子量油(例えば、カノーラ、綿実、落花生、コーン、はい芽、オリーヴ、ヒマシおよびゴマ油)、ならびに、非アニオン性、アニオン性およびカチオン性界面活性剤が挙げられる。上記乳化剤のいずれかのブレンドもまた本発明の組成物において用いられ得る。
【0032】
典型的なノニオン性界面活性剤としては、エトキシル化ラウリルアルコール、エトキシル化イソトリデカノール、エトキシル化セチルアルコール、エトキシル化ステアリルアルコールなどの、特にエトキシル化脂肪族アルコールおよびエトキシル化オキソアルコールといったエトキシル化アルカノール、ならびに、アセテートなどのこれらのエステル;エトキシル化ノニルフェニル、エトキシル化ドデシルフェニル、エトキシル化イソトリデシルフェノールならびに例えば酢酸アルキルグルコシドおよび酢酸アルキルポリグルコシドといったそのエステル、エトキシル化アルキルグルコシドなどのエトキシル化アルキルフェノール;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエートなどの、エトキシル化脂肪族アミン、エトキシル化脂肪酸、脂肪酸とグリセリンもしくはソルビタンとのモノ−、ジ−およびトリエステルなどの部分エステル;ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどの脂肪酸とグリセリンもしくはソルビタンとのエトキシル化エステル;エトキシル化コーン油、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化獣脂油などの植物油または動物性脂肪のエトキシレート;脂肪族アミン、脂肪族アミドもしくは脂肪酸ジエタノールアミドのエトキシレートが挙げられる。
【0033】
典型的なアニオン性界面活性剤としては、ラウリルスルホネート、イソトリデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート、ラウリルスルフェート、イソトリデシルスルフェート、セチルスルフェートなどの特に脂肪族アルコールスルフェートといったアルキルスルフェート、ナフチルスルホネート、ジブチルナフチルスルホネートなどのステアリルスルフェート−アリール−およびアルキルアリールスルホネート、ドデシルジフェニルエーテルスルホネートなどのアルキルジフェニルエーテルスルホネート、クミルスルホネート、ノニルベンゼンスルホネートおよびドデシルベンゼンスルホネートなどのアルキルベンゼンスルホネートスルホネート;脂肪酸のスルホン酸エステルおよび脂肪酸エステル;脂肪酸の硫酸エステルおよび脂肪酸エステル;エトキシル化ラウリルアルコールの硫酸エステルなどのエトキシル化アルカノールの硫酸エステル;アルコキシル化アルキルフェノールの硫酸エステル;アルキルリン酸エステルおよびジアルキルリン酸エステル;ジオクチルスルホスクシネートなどのスルホコハク酸のジアルキルエステル、アシルサルコシン、ステアリン酸などの脂肪酸、アシルグルタメート、リグニスルホン酸、ナフタレンスルホン酸またはフェノールスルホン酸とホルムアルデヒドおよび任意により尿素との低分子量縮合物の、特にナトリウム、カリウムカルシウムまたはアンモニウム塩といった塩が挙げられる。
【0034】
典型的なカチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム化合物、特にアルキルトリメチルアンモニウム塩およびジアルキルジメチルアンモニウム塩、例えばハロゲン化物、硫酸エステルおよびアルキル硫酸エステルが挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態において、昆虫防除組成物は、1種以上の合成殺虫剤または有害生物防除剤と組み合わされることが可能である。一実施形態において、殺虫剤または有害生物防除剤は、エンドスルファン、ジコホル、クロルピリホス、ジメトエート、ジスルホトン、オメトエート、パラチオン、ホレート、プロフェノホス、スルプロホス、チオメトン、アルジカルブ、カルバリル、β−シフルトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、フルバリネート、λ−シハロトリン、クロルフルアズロン、ピペロニルブトキシドおよび石油散布油の1種以上から選択される。他の実施形態において、有害生物防除剤は、有害生物の摂食阻害物質として知られる核多角ウイルスおよび/または植物抽出物から選択される生物学的有害生物防除剤である。さらに他の実施形態において、殺虫剤または有害生物防除剤はラベルに記載の使用量よりも少ない量で使用される。例えば、殺虫剤または有害生物防除剤は、ラベルに記載の使用量の半分もしくは三分の一で用いられ得る。
【0036】
本発明の組成物は、宿主を直接的に処理することにより、または、宿主が位置されることとなる領域を処理することにより、昆虫を防除するために用いられることが可能である。例えば、宿主は、個々の植物に、または、農作物などの一群の植物に適用されることが可能である噴霧配合物を用いることによって、直接的に処理されることが可能である。
【0037】
本発明の配合物は、農芸化学配合物の技術分野において公知である他の配合助剤を慣習的な量でさらに含んでいてもよい。このような助剤としては、これらに限定されないが、不凍剤(特にこれらに限定されないが、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノールなど)、緩衝剤(特にこれらに限定されないが、水酸化ナトリウム、リン酸など)、防腐剤(特にこれらに限定されないが、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの誘導体、安息香酸、ソルビン酸、ホルムアルデヒド、メチルパラヒドロキシベンゾエートとプロピルパラヒドロキシベンゾエートとの組み合わせなど)、安定化剤(特にこれらに限定されないが、ドデシルベンゼンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸またはブチルヒドロキシルトルエン、ブチルヒドロキシルアニソールなどの好ましくは有機酸といった酸など)、増粘剤(特にこれらに限定されないが、ヘテロポリサッカライドおよびデンプンなど)、ならびに、消泡剤(特にこれらに限定されないが、シリコーン系のもの、特にポリジメチルシロキサンなど)が挙げられる。このような助剤は市販されていると共に、技術分野において公知である。
【0038】
一実施形態において、本発明は、油および乳化剤中に配合されたチョウマメ(Clitoria ternatea)の画分、有効化合物および粗抽出物を綿有害生物の防除に用いる。
【0039】
好ましくは、チョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物および配合物は、昆虫を殺すために好適である。植物もしくは昆虫に適用されると、水中の抽出物もしくは配合物は、昆虫の角皮層に浸透するかもしくは経口摂取されて昆虫を殺すか、または、植物上の抽出物の残留物は昆虫を忌避するか、もしくは、昆虫の産卵もしくは摂食を抑止することが可能である。配合物は、産卵または摂食する昆虫を、昆虫または標的作物への適用から3〜4日間以内に殺すことまたは抑止することが可能である。
【0040】
一実施形態において、油中のチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物、画分、粗化合物または有効化合物は、水の中に溶解されて、標的昆虫によって外寄生されている作物に適用される。本発明の組成物の適用量は、典型的には、1ヘクタール当たり、1〜500リットルの水、好ましくは60〜100リットルの水に溶解した1〜2リットルの油配合抽出物または有効化合物である。一実施形態において、この適用量は、1ヘクタールの植物当たり、約100リットルの水に溶解した約2リットルの油配合抽出物である。代替的な実施形態において、適用量は約2リットルの油配合物である。典型的には、処理は、14〜28日の間隔をあけた少なくとも4回の噴霧を含み得る。
【0041】
あるいは、この方法は、特に処理されるべき面積が小さい場合には、油配合抽出物または有効化合物を水中に溶解させることなく、1ヘクタールの植物当たり、1〜3000ml、好ましくは1000〜2000mlの油配合抽出物または有効化合物を適用するステップを含んでいてもよい。例えば、温室中の植物が処理される場合がこれに該当する。
【0042】
理論に束縛されることは望まないが、本発明は、有害生物の忌避、産卵の抑制、摂食の抑止および昆虫を殺す植物抽出物の直接的な接触作用によってガおよびその幼虫ならびに咀嚼型もしくは吸汁型有害生物を防除すると考えられている。生息地の処理を介して、他の非標的有害生物を防除し、および、ガおよびその幼虫ならびに咀嚼型もしくは吸汁型有害生物の天敵を保護する方法もあり得る。
【0043】
一実施形態において、用いられるチョウマメ(Clitoria ternatea)構造部は、葉、茎、根、さや、種子および植物部位のいずれかの組み合わせである。これらは、低分子量および高分子量油もしくは水またはいずれかの他のキャリアなどの配合物中の画分または粗抽出物として、ガおよびその幼虫ならびに咀嚼型もしくは吸汁型有害生物の防除に忌避剤の作用、産卵の抑制、摂食の抑止および直接的な接触作用を介して用いられ得る。
【0044】
植物学上チョウマメ(Clitoria ternatea)は、マメ科およびマメ亜科に属する。マメ科は、一年生植物から熱帯雨林樹木までの広範な生活型を含む約12,000種を擁する大きな科である。チョウマメ(Clitoria ternatea)は、熱帯および温帯地域に広く生息していると共に多くの経済的に重要な食用植物、飼料作物、観賞用植物、ひき材種および雑草源であり、まだらな多毛性の葉であって、通常は5枚の小葉を有する攀縁性の多年生植物である。花は5cmと大きく、単独もしくは対であり、青くて中心に黄色の斑を有し、4月〜6月の間に咲く。オーストラリアでは、Kimberley全体の入り江の岸および泉周辺;また、PilbaraおよびGascoyneにおける海岸沿いの入植地周辺に帰化した園芸由来の有害種である。また、north QLDの大部分においては飼料作物としても用いられている。汎熱帯性であり、おそらくは南アメリカを原産とする。
【0045】
簡便性の目的のために、「昆虫」という用語、または、「殺虫性」などのその均等物もしくは派生語が本出願において用いられる;しかしながら、「昆虫」という用語は、昆虫のみならず、その幼体形態および幼虫をも指すと理解されるべきである。
【0046】
当業者は、すべての化合物がすべての昆虫に対して等しく効果的であるわけではないことを認識するであろう。実施形態において、組成物は、経済的に重要な農学的、森林、温室、苗床、観賞用植物、食品および繊維、公衆衛生および家畜衛生、居住用構造物、商業用構造、家屋、ならびに、貯蔵された生産物に係る有害生物を含み得る昆虫有害生物に対して活性を示す。昆虫有害生物は、鞘翅目、双翅目、膜翅目、鱗翅目、食毛目、同翅目、半翅目、直翅目、総翅目、革翅目、等翅目、シラミ目、ノミ目、トビケラ目等、特に鞘翅目および鱗翅目から選択される昆虫を含む。
【0047】
鱗翅目の幼虫としては、これらに限定されないが、スポドプテラフルギペルダ(Spodoptera frugiperda JE Smith)(ツマジロクサヨトウ);S.エクシグア(S.exigua Huebner)(シロイチモジヨトウ);ハスモンヨトウ(S.litura Fabricius)(ハスモンヨトウ(tobacco cutworm,cluster caterpillar));ベルタアワヨトウ(Mamestra configurata Walker)(バーサアーミーワーム);ヨトウガ(M.brassicae Linnaeus)(ヨトウガ);タマナヤガ(Agrotis ipsilon Hufnagel)(タマナヤガ);A.オルトゴニア(A.orthogonia Morrison)(ウェスタンカットワーム);A.サブテラネア(A.subterranea Fabricius)(グラニュレートカットワーム);アラバマアルギラシア(Alabama argillacea Huebner)(ヤガの幼虫);イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni Huebner)(イラクサキンウワバ);シュードプルシアインクルデンス(Pseudoplusia includens Walker)(ソイビーンルーパー(soybean looper));アンチカルシアゲマタリス(Anticarsia gemmatalis Huebner)(ベルベットビーンキャタピラー);ヒペナスカブラ(Hypena scabra Fabricius)(グリーンクローバワーム);ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens Fabricius)(オオタバコガ);シューダレチアウニプンクタ(Pseudaletia unipuncta Haworth)(アーミーワーム);アテチスミンダラ(Athetis mindara Barnes and Mcdunnough)(ラフスキンドカットワーム);ユーキソアメッソリア(Euxoa messoria Harris)(ダークサイデッドカットワーム);ミスジアオリンガ(Earias insulana Boisduval)(ミスジアオリンガ);E.ビッテラ(E.vittella Fabricius)(クサオビリンガ);オオタバコガ(Helicoverpa armigera Huebner)(オオタバコガ(American bollworm));H.ジア(H.zea Boddie)(オオタバコガ(corn earworm)またはオオタバコガ(cotton bollworm));メランクラピクタ(Melanchra picta Harris)(ゼブラキャタピラー);エギラ(キシロミゲス)クリアリス(Egira(Xylomyges)curialis Grote)(シトラスカットワーム)といったヤガ科のアーミーワーム、根切虫、ルーパーおよびタバコガ類:ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis Huebner)(アワノメイガ);アミエロイストランシテラ(Amyelois transitella Walker)(ネーブルオレンジワーム);スジコナマダラメイガ(Anagasta kuehniella Zeller)(スジコナマダラメイガ);スジマダラメイガ(Cadra cautella Walker)(スジマダラメイガ);ニカメイガ(Chilo suppressalis Walker)(ニカメイガ);C.パルテルス(C.partellus)(ソルガムボーラー);ガイマイツヅリガ(Corcyra cephalonica Stainton)(ガイマイツヅリガ);ハムシモドキ(Crambus caliginosellus Clemens)(ハムシモドキ);シバツトガ(C.teterrellus Zincken)(シバツトガ);コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis Guenee)(コブノメイガ);デスミアフネラリス(Desmia funeralis Huebner)(グレープリーフフォルダー);ジアファニアヒアリナタ(Diaphania hyalinata Linnaeus)(メロンワーム);D.ニチダリス(D.nitidalis Stoll)(ピックルワーム);ジアトラエアグランジオセラ(Diatraea grandiosella Dyar)(サウスウェスタンコーンボーラー)、D.サッカラリス(D.saccharalis Fabricius)(シュガーケーンボーラーボーラー);エオレウマロフチニ(Eoreuma loftini Dyar)(メキシカンライスボーラー);チャマダラメイガ(Ephestia elutella Huebner)(タバコ(カカオ)モス);ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella Linnaeus)(オオハチミツガ);クロオビクロノメイガ(Herpetogramma licarsisalis Walker)(ソッドウェブワーム);ホモエオソマエレクテルム(Homoeosoma electellum Hulst)(サンフラワーモス);モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus Zeller)(レッサーコーンストークボーラー);コハチノスツヅリガ(Achroia grisella Fabricius)(コハチノスツヅリガ);ヘリキスジノメイガ(Loxostege sticticalis Linnaeus)(ヘリキスジノメイガ);オルサガシリサリス(Orthaga thyrisalis Walker)(ティーツリーウェブガ);マメノメイガ(Maruca testulalis Geyer)(マメノメイガ);ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella Hubner)(ノシメマダラメイガ);イッテンオオメイガ(Scirpophaga incertulas Walker)(イエローステムボーラー);ウデアルビガリス(Udea rubigalis Guenee)(セロリリーフティアー)といったメイガ科のボーラー、ツツミノガ類、ウェブワーム、コームワームおよびスケルトナイザ;ならびに、アクレリスグロベラナ(Acleris gloverana Walsingham)(ウェスターンブラックヘッデッドバッドワーム(Western blackheaded budworm));A.バリアナ(A.variana Fernald)(イースタンブラックヘデッドバッドワーム);アルキプスアルギロスピラ(Archips argyrospila Walker)(果樹ハマキムシ);A.ロサナ(A.rosana Linnaeus)(セイヨウハマキ)といったハマキガ科のハマキムシ、芽を食害する害虫、種子を食害する害虫および果実を食害する害虫;ならびに、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana Fischer von Rosslerstamm)(リンゴコカクモンハマキ);コキリスホスペス(Cochylis hospes Walsingham)(バンデッドサンフラワーモス);シディアラチフェレアナ(Cydia latiferreana Walsingham)(フィルバートワーム);コドリンガ(C. pomonella Linnaeus)(コドリンガ);プラチノタフラベダナ(Platynota flavedana Clemens)(バリエゲーテッドリーフローラー);P.スツルタナ(P.stultana Walsingham)(オムニボラスリーフローラー);ホソバヒメハマキ(Lobesia botrana Denis & Schiffermiiller)(ホソバヒメハマキ);リンゴシロヒメハマキ(Spilonota ocellana Denis & Schiffermiiller)(リンゴシロヒメハマキ);エンドピザビテアナ(Endopiza viteana Clemens)(グレープベリーモス);ブドウホソハマキ(Eupoecilia ambiguella Huebner)(ブドウホソハマキ);ボナゴタサルブリコラ(Bonagota salubricola Meyrick)(ブラジリアンアップルリーフローラ);ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta Busck)(ナシヒメシンクイ);ヒマワリハマキガ(Suleima helianthana Riley)(ヒマワリハマキガ);アルギロタエニア属の一種(Argyrotaenia spp.);コリストネウラ属の一種(Choristoneura spp.)といった他のハマキ種が挙げられる。
【0048】
鱗翅目において選択される他の農学的に有害な生物としては、これらに限定されないが、アルソフィラポメタリア(Alsophila pometaria Harris)(フォールカンカーワーム);モモキバガ(Anarsia lineatella Zeller)(モモキバガ);アニソタセナトリア(Anisota senatoria J.E.Smith)(オレンジストライプドオークワーム);サクサン(Antheraea pernyi Guerin−Meneville)(チャイニーズオークタッサーモス);カイコ(Bombyx mori Linnaeus)(カイコ);ブツクラトリクススベリエラ(Bucculatrix thurberiella Busck)(コットンリーフパーホレータ);コリアスユリテム(Colias eurytheme Boisduval)(アルファルファキャタピラー);ダタナインテゲリマ(Datana integerrima Grote & Robinson)(ウォールナッツキャタピラー);デンドロリムスシビリクス(Dendrolimus sibiricus Tschetwerikov)(シベリアンシルクモス)、エノモススブシグナリア(Ennomos subsignaria Huebner)(エルムスパンワーム);エランニスチリアリア(Erannis tiliaria Harris)(リンデンルーパー);ユープロクティスクリソロエア(Euproctis chrysorrhoea Linnaeus)(ブラウンテールモス);ハリシナアメリカナ(Harrisina americana Guerin−Meneville)(グレープリーフスケルトナイザ);ヘミロイカオリビアエ(Hemileuca oliviae Cockrell)(レンジキャタピラー);アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea Drury)(アメリカシロヒトリ);ケイフェリアリコペルシセラ(Keiferia lycopersicella Walsingham)(トマトピンワーム);ラムブジナフィセラリアフィセラリア(Lambdina fiscellaria fiscellaria Hulst)(イースタンヘムロックルーパー);L.フィセラリアルグボロサ(L.fiscellaria lugubrosa Hulst)(ウェスターンヘムロックルーパー);ヤナギドクガ(Leucoma salicis Linnaeus)(スタインモス);マイマイガ(Lymantria dispar Linnaeus)(マイマイガ);マンズカクインケマクラタ(Manduca quinquemaculata Haworth)(ファイブスポテッドホークモス、トマトホーンワーム);タバコスズメガ(M.sexta Haworth)(トマトホーンワーム、タバコホーンワーム);オペロフテラブルマタ(Operophtera brumata Linnaeus)(ナミスジフユナミシャク);パレアクリタベルナタ(Paleacrita vernata Peck)(スプリングカンカーワーム);クレスフォンテスタスキアゲハ(Papilio cresphontes Cramer)(クレスフォンテスタスキアゲハ、オレンジドッグ);フリガニジアカリホルニカ(Phryganidia californica Packard)(カリフォルニアオークワーム);ミカンコハモグリ(Phyllocnistis citrella Stainton)(ミカンコハモグリ);フィロノリクテルブランカルデラ(Phyllonorycter blancardella Fabricius)(スポッテッドテンチフォームリーフマイナー);オオモンシロチョウ(Pieris brassicae Linnaeus)(オオモンシロチョウ);モンシロチョウ(P.rapae Linnaeus)(モンシロチョウ);エゾスジグロシロチョウ(P.napi Linnaeus)(エゾスジグロシロチョウ);プラティプチリアカルズイダクチラ(Platyptilia carduidactyla Riley)(アーティチョークプルームモス);コナガ(Plutella xylostella Linnaeus)(コナガ);ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella Saunders)(ワタアカミムシ);ポンチアプロトジス(Pontia protODIce Boisduval & Leconte)(サウザンキャベッジワーム);サブロデスアエグロタタ(Sabulodes aegrotata Guenee)(オムニボロスルーパー);シズラコンシンナ(Schizura concinna J.E.Smith)(レッドハンプドキャタピラー);バクガ(Sitotroga cerealella Olivier)(バクガ);タウメトポエアピチオカムパ(Thaumetopoea pityocampa Schiffermuller)(パインプロセッショナリーキャタピラー);コイガ(Tineola bisselliella Hummel)(ウェビングクロスモス);トマトキバガ(Tuta absoluta Meyrick)(トマトリーフマイナー);イポノメウタパデラ(Yponomeuta padella Linnaeus)(エルミンモス);ヘリオチススブフレクサ(Heliothis subflexa Guenee);マラコソマ属の一種(Malacosoma spp.)およびオルギア属の一種(Orgyia spp.)が挙げられる。注目すべきは、ヒゲナガゾウムシ科、マメゾウムシ科およびゾウムシ科のゾウムシ(特にこれらに限定されないが:メキシコワタミゾウムシ(Anthonomus grandis Boheman)(ワタミゾウムシ);イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus Kuschel)(イネミズゾウムシ);オサゾウムシ(Sitophilus granarius Linnaeus)(オサゾウムシ);S.オリザエ(S.oryzae Linnaeus)(ココクゾウムシ);オオタコゾウムシ(Hypera punctata Fabricius)(オオタコゾウムシ);シリンドロコプツルスアドスペルスス(Cylindrocopturus adspersus LeConte)(サンフラワーステムウィービル);スミクロニクスグルブス(Smicronyx fulvus LeConte)(レッドサンフラワーシードウィービル);S.ソルジズス(S.sordidus LeConte)(グレイサンフラワーシードウィービル);スフェノホルスマイジス(Sphenophorus maidis Chittenden)(メイズビルバグ)を含む);ハムシ科におけるノミハムシ、ウリハムシ、ネクイムシ、ハムシ、イモハムシおよびリーフマイナー(特にこれらに限定されないが:コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata Say)(コロラドハムシ);ウェスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera LeConte)(ウェスタンコーンルートワーム);D.バルベリ(D.barberi Smith & Lawrence)(ノーザンコーンルートワーム);D.ウンデシムプンクタタホワルジ(D.undecimpunctata howardi Barber)(サウザンコーンルートワーム);カエトクネマプリカリア(Chaetocnema pulicaria Melsheimer)(コーンフリービートル);フィロトレタクルシフェラエ(Phyllotreta cruciferae Goeze)(コーンフリービートル);コラスピスブルンネア(Colaspis brunnea Fabricius)(グレープコラスピス);クビアカクビボソハムシ(Oulema melanopus Linnaeus)(クビアカクビボソハムシ);ジゴグラムマエクソクラマチオニス(Zygogramma exclamationis Fabricius)(サンフラワービートル)を含む);テントウムシ科のビートル(特にこれらに限定されないが:インゲンテントウ(Epilachna varivestis Mulsant)(インゲンテントウ)を含む);コガネムシ科のコガネムシおよび他のビートル(特にこれらに限定されないが:マメコガネ(Popilliajaponica Newman)(マメコガネ);シクロセファラボレアリス(Cyclocephala borealis Arrow)(ノーザンマスクドチェーファー、ホワイトグラブ);C.イムマクラタ(C.immaculata Olivier)(サウザンマスクドチェーファー、ホワイトグラブ);リゾトログスマジャリス(Rhizotrogus majalis Razoumowsky)(ヨーロピアンコガネムシ);フィロファガクリニタ(Phyllophaga crinita Burmeister)(ホワイトグラブ);リギルスギボスス(Ligyrus gibbosus De Geer)(キャロットビートル)を含む)、カツオブシムシ科のカツオブシムシ;エラテダエ科(Elatehdae)のコメツキムシ、エレオデス属の一種(Eleodes spp.)、マレノツス属の一種(Melanotus spp.);コノデルス属の一種(Conoderus spp.);リモニウム属の一種(Limonius spp.);アグリオテス属の一種(Agriotes spp.);クテニセラ属の一種(Ctenicera spp.);アエオルス属の一種(Aeolus spp.);キクイムシ科のキクイムシおよびゴミムシダマシ科のビートルを含む鞘翅目の幼虫および成虫である。
【0049】
リーフマイナーといったアグロミザパルビコルニス(Agromyza parvicornis Loew)(コーンブロッチリーフマイナー);ミジ(特にこれらに限定されないが:コンタリニアソルギコラ(Contarinia sorghicola Coquillett)(ソルガムミジ);ヘシアンバエ(Mayetiola destructor Say)(コムギタマバエ);ムギアカタマバエ(SitODIplosis mosellana Gehin)(ウィートミジ);ネオラシオプテラムルトフェルトチアナ(Neolasioptera murtfeldtiana Felt)、(サンフラワーシードミジ)を含む);ショウジョウバエ(ミバエ科)オスキネラフリツ(Oscinella frit Linnaeus)(キモグリバエ);ウジ(特にこれらに限定されないが:タネバエ(Delia platura Meigen)(シードコーンマゴット);D.コアルクタタ(D.coarctata Fallen)(ウィートバルブフライ);ならびに、他のデリア属の一種(Delia spp.)、メロミザアメリカナ(Meromyza americana Fitch)(ムギキモグリバエ);イエバエ(Musca domestica Linnaeus)(イエバエ);ヒメイエバエ(Fannia canicularis Linnaeus)、F.フェモラリエ(F.femoralie Stein)(ヒメイエバエ);サシバエ(Stomoxys calcitrans Linnaeus)(サシバエ)を含む);フェースフライ、ノサシバエ、クロバエ、オビキンバエ属の一種(Chrysomya spp.);クロキンバエ属の一種(Phormia spp.);ならびに、他のイエバエ(muscoid fly)有害生物、アブといったアブ属の一種(Tabanus spp.);ヒツジバエといったガストロフィラス属の一種(Gastrophilus spp.);ヒツジバエ属の一種(Oestrus spp.);ウシバエといったウシバエ属の一種(Hypoderma spp.);メクラアブといったメクラアブ属の一種(Chrysops spp.);ヒツジシラミバエ(Melophagus ovinus Linnaeus)(シラミバエ);ならびに、他の短角類、蚊といったヤブカ属の一種(Aedes spp.);ハナダラカ属の一種(Anopheles spp.);イエカ属の一種(Culex spp.);ブユといった、プロシムリウム属の一種(Prosimulium spp.);ブユ属の一種(Simulium spp.);クロヌカカ、サシチョウバエ、シアド(sciahd)および他の長角類を含む双翅目の成体および幼体に注目すべきである。注目される昆虫としては、特にこれらに限定されないが、カサアブラムシ科のカサアブラムシ、カスミカメムシ科のカスミカメムシ、セミ科のセミ、ヨコバイ科のヨコバイ、エムポアスカ属の一種(Empoasca spp.)、ヒシウンカ科、アオバハゴロモ科、ビワハゴロモ上科、マルウンカ科およびウンカ科のウンカ、ツノゼミ科のツノゼミ、キジラミ科のキジラミ、コナジラミ科のコナジラミ、アブラムシ科のアブラムシ、ネアブラムシ科のネアブラムシ、コナカイガラムシ科のイボタムシ、フサカイガラムシ科、カタカイガラムシ科、コチニールカイガラムシ科、マルカイガラムシ科、フクロカイガラムシ科、ハカマカイガラムシ科、ホエニココシダエ科およびワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ、グンバイムシ科のアワダチソウグンバイ、カメムシ科のカメムシ、ヒメコガネナガカメムシ、ブリサス属の一種(Blissus spp.);ならびに、ナガカメムシ科の他のコバネナガカメムシ、コガシラアワフキ科のアワフキ、ヘリカメムシ科のヘリカメムシ、ならびに、ホシカメムシ科のアカホシカメムシおよびホシカメムシなどの半翅目および同翅目の成体および若虫が含まれる。
【0050】
同翅目の農業経済学的に重要なメンバーは、これらに限定されないが:エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthisiphon pisum Harris)(エンドウヒゲナガアブラムシ);マメアブラムシ(Aphis craccivora Koch)(マメアブラムシ);マメクロアブラムシ(A.fabae Scopoli)(マメクロアブラムシ);ワタアブラムシ(A.gossypii Glover)(ワタアブラムシ);A.マイジラジシス(A.maidiradicis Forbes)(コーンルートアフィド);A.ポミ(A.pomi De Geer)(リンゴアブラムシ);ユキヤナギアブラムシ(A.spiraecola Patch)(スピレアアフィド);ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani Kaltenbach)(ジャガイモヒゲナガアブラムシ);イチゴケナガアブラムシ(Chaetosiphon fragaefolii Cockerell)(イチゴケナガアブラムシ);ジウラフィスノキシア(Diuraphis noxia Kurdjumov/Mordvilko)(ロシアコムギアブラムシ);オオバコアブラムシ(Dysaphis plantaginea Paaserini)(バラリンゴアブラムシ);リンゴワタムシ(Eriosoma lanigerum Hausmann)(リンゴワタムシ);ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae Linnaeus)(キャベツアブラムシ);モモコフキアブラムシ(Hyalopterus pruni Geoffroy)(モモコフキアブラムシ);ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi Kaltenbach)(ニセダイコンアブラムシ);ムギウスイロアブラムシ(Metopolophium dirrhodum Walker)(シリアルアフィド);チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae Thomas)(チューリップヒゲナガアブラムシ);モモアカアブラムシ(Myzus persicae Sulzer)(モモアカアブラムシ);レタスヒゲナガアブラムシ(Nasonovia ribisnigri Mosley)(レタスアブラムシ);ペムフィグス属の一種(Pemphigus spp.)(ルートアフィドおよびガルアフィド);トウモロコシアブラムシ(Rhopalosiphum maidis Fitch)(トウモロコシアブラムシ);ムギクビレアブラムシ(R.padi Linnaeus)(ムギクビレアブラムシ);ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum Rondani)(ムギミドリアブラムシ);サイファフラバ(Sipha flava Forbes)(イエローシュガーケーンアフィッド);ムギヒゲナガアブラムシ(Sitobion avenae Fabricius)(ムギヒゲナガアブラムシ);マダラアルファルファアブラムシ(Therioaphis maculata Buckton)(マダラアルファルファアブラムシ);コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii Boyer de Fonscolombe)(コミカンアブラムシ);ならびに、T.シトリシダ(T.citricida Kirkaldy)(ミカンクロアブラムシ);アデルゲス属の一種(Adelges spp.)(カサアブラムシ);ブドウネアブラムシ(Phylloxera devastatrix Pergande)(ペカンネアブラムシ);タバココナジラミ(Bemisia tabaci Gennadius)(タバココナジラミ(tobacco whitefly、sweetpotato whitefly));シルバーリーフコナジラミ(B.argentifolii Bellows & Perring)(シルバーリーフコナジラミ);ミカンコナジラミ(Dialeurodes citri Ashmead)(ミカンコナジラミ);トリアレウロデスアブチロネウス(Trialeurodes abutiloneus)(バンデッドウィングドホワイトフライ)およびオンシツコナジラミ(T.vaporariorum Westwood)(オンシツコナジラミ);ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae Harris)(ジャガイモヒゲヨコバイ);ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus Fallen)(ヒメトビウンカ);フタテンヨコバイ(Macrolestes quadrilineatus Forbes)(フタテンヨコバイ);ツマグロヨコバイ(Nephotettix cinticeps Uhler)(ツマグロヨコバイ);クロスジツマグロヨコバイ(N.nigropictus Stal)(クロスジツマグロヨコバイ);トビイロウンカ(Nilaparvata lugens Stal)(トビイロウンカ);トウモロコシウンカ(Peregrinus maidis Ashmead)(トウモロコシウンカ);セジロウンカ(Sogatella furcifera Horvath)(セジロウンカ);イネウンカ(Sogatodes orizicola Muir)(イネウンカ);シロリンゴヨコバイ(Typhlocyba pomaria McAtee)(シロリンゴヨコバイ);エリスロネオウラ属の一種(Erythroneoura spp.)(チマダラヒメヨコバイ);ジュウシチネンゼミ(Magicicada septendecim Linnaeus)(ジュウシチネンゼミ);ワタフキカイガラムシ(Icerya purchasi Maskell)(イセリアカイガラムシ);ナシマルカイガラムシ(Quadraspidiotus perniciosus Cornstock)(サンホゼカイガラムシ);ミカンコナジラミ(Planococcus citri Risso)(ミカンコナカイガラムシ);シュードコッカス属の一種(Pseudococcus spp.)(他のコナカイガラムシ群);フタホシナシキジラミ(Cacopsylla pyricola Foerster)(ヨーロッパナシキジラミ);カキキジラミ(Trioza diospyri Ashmead)(カキキジラミ)をさらに含む。
【0051】
半翅目の注目すべき農業経済学的に重要な種としては、これらに限定されないが:アクロステルナムヒラレ(Acrosternum hilare Say)(アオクサカメムシ);アナサトリスチス(Anasa tristis De Geer)(ヘリカメムシ);アメリカコバネナガカメムシ(Blissus leucopterus leucopterus Say)(コバネナガカメムシの一種);コリスカゴシピイ(Corythuca gossypii Fabricius)(コットンレースバグ);シルトペルチスモデスタ(Cyrtopeltis modesta Distant)(トマトバグ);ジスデルクススツレルス(Dysdercus suturellus Herrich−Schaffer)(ホシカメムシ);エウスキスツスセルブス(Euschistus servus Say)(茶色のカメムシの一種);E.バイイオァフィウス(E.vaiiolafius Palisot de Beauvois)(イッテンカメムシ);グラプトステツス属の一種(Graptostethus spp.)(ヒメマダラカメムシ);レプトグロッススコルクルス(Leptoglossus corculus Say)(マツノミヘリカメムシ);リグスリネオラリス(Lygus lineolaris Palisot de Beauvois)(ミドリヘリカメムシ);ツヤクロゴケグモ(L.Hesperus Knight)(ウェスタンターニッシュドプラントバグ);キバナノレンリソウ(L.pratensis Linnaeus)(コモンミドウバグ);マキバカスミカメ(L.rugulipennis Poppius)(マキバカスミカメ);ナガミドリカスミカメ(Lygocoris pabulinus Linnaeus)(コモングリーンカプシッド);ミナミアオカメムシ(Nezara viridula Linnaeus)(ミナミアオカメムシ);オエバルスプグナクス(Oebalus pugnax Fabricius)(イネカメムシ);オンコペルツスファスシアツス(Oncopeltus fasciatus Dallas)(ラージミルクウィードバグ);ワタノミハムシ(Pseudatomoscelis seriatus Reuter)(ワタノミハムシ)が挙げられる。
【0052】
さらに、本発明の実施形態は、カロコリスノルベギクス(Calocoris norvegicus Gmelin)(ストロベリーバグ);オルソプスカムペストリス(Orthops campestris Linnaeus);プレシオコリスルギコリス(Plesiocoris rugicollis Fallen)(アップルカプシッド);シルトペルチスモデスツス(Cyrtopeltis modestus Distant)(トマトバグ);シルトペルチスノタツス(Cyrtopeltis notatus Distant)(サックフライ);スパナゴニクスアルボファシアツス(Spanagonicus albofasciatus Reuter)(ホワイトマークドフリーホッパー)ジアホノコリスクロリオニス(Diaphnocoris chlorionis Say)(ハニーロクストプラントバグ);ラボピジコラアリイ(Labopidicola allii Knight)(オニオンプラントバグ);ワタノミハムシ(Pseudatomoscelis seriatus Reuter)(ワタノミハムシ);アデルホコリスラピズス(Adelphocoris rapidus Say)(ラピッドプラントバグ);ポエシロカプスス(Poecilocapsus lineatus Fabricius)(フォーラインドプラントバグ);ニシウスエリカエ(Nysius ericae Schilling)(フォールスチンクバグ);ニシウスラファヌス(Nysius raphanus Howard)(フォールスチンクバグ);ミナミアオカメムシ(Nezara viridula Linnaeus)(ミナミアオカメムシ);エウリガステル属の一種(Eurygaster spp.);コレイダエ属の一種(Coreidae spp.);ピロコリダエ属の一種(Pyrrhocoridae spp.);チニダエ属の一種(Tinidae spp.);ブロストマチダエ属の一種(Blostomatidae spp.);レズビイダエ属の一種(Reduviidae spp.);およびシミシダエ属の一種(Cimicidae spp.)などの半翅目に対して有効であり得る。
【0053】
また、アセリアトシケラ(Aceria tosichella Keifer)(ウィートカールマイト);ホモノハダニ(Petrobia latens MOller)(ホモノハダニ);ハダニ科におけるハダニおよびアカダニ、リンゴハダニ(Panonychus ulmi Koch)(リンゴハダニ);ナミハダニ(Tetranychus urticae Koch)(ナミハダニ);(T.マクダニエリ(T.mcdanieli McGregor)(マクダニエルダニ);T.シナバリヌス(T.cinnabarinus Boisduval)(ニセナミハダニ);T.ツルケスタニ(T.turkestani Ugarov & Nikolski)(ストロベリースパイダーマイト);ヒメハダニ科におけるヒメハダニ、ブドウヒメハダニ(Brevipalpus lewisi McGregor)(カンキツヒメハダニ);エホフィイダエ科におけるサビダニおよびフシダニ、ならびに、他の食葉性ダニ、および、ヒトおよび動物の健康に重要なダニ、すなわちチリダニ科におけるヒョウダニ、ニキビダニ科におけるニキビダニ、ニクダニ科におけるムギコナダニ、マダニ目におけるマダニ、クロアシマダニ(Ixodes scapularis Say)(シカダニ);イクソデスホロシクルス(Ixodes holocyclus Neumann)(オーストラリアマダニ);アメリカイヌカクマダニ(Dermacentor variabilis Say)(カクマダニ);アムブリオンマアメリカヌム(Amblyomma americanum Linnaeus)(ローンスターチック);ならびに、キュウセンダニ科、シラミダニ類およびヒゼンダニ科におけるキュウセンダニおよびヒゼンダニなどのダニ目(ダニ)の成体および幼虫もまた含まれる。セイヨウシミ(Lepisma saccharina Linnaeus)(セイヨウシミ);マダラシミ(Thermobia domestica Packard)(マダラシミ)などのシミ目の昆虫有害生物に注目すべきである。
【0054】
一実施形態において、昆虫は、オオタバコガ(cotton bollworm)、ネイティブバドワーム、グリーンミリド、アブラムシ、ミナミアオカメムシ、アップルディンプリングバグ、アザミウマ(プラークトリプス、タバコトリプス、ネギアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ)、コナジラミおよびツースポッテドマイトから選択される。一実施形態において、動物の昆虫有害生物としては、ノミ、シラミ、蚊、ハエ、ツェツェバエ、アリ、マダニ、ダニ、セイヨウシミおよびツツガムシが挙げられる。
【0055】
昆虫有害生物は、例えば、幼虫または他の幼体形態として早期成長段階で実施形態の組成物の殺虫活性に対してテストされ得る。昆虫は、約20℃〜約30℃および約30%〜約70%相対湿度で完全な暗中に飼育され得る。昆虫幼虫の飼育法およびバイオアッセイの実施方法は技術分野における当業者に周知である。
【0056】
いくつかの実施形態において、殺虫効果は、組成物での処理により、露出された昆虫の少なくとも約10%が殺されることとなる効果である。いくつかの実施形態において、殺虫効果は、組成物での処理により、昆虫の少なくとも約25%が殺されることとなる効果である。いくつかの実施形態において、殺虫効果は、組成物での処理により、露出された昆虫の少なくとも約50%が殺されることとなる効果である。いくつかの実施形態において、殺虫効果は、組成物での処理により、露出された昆虫の少なくとも約75%が殺されることとなる効果である。いくつかの実施形態において、殺虫効果は、組成物での処理により、露出された昆虫の少なくとも約90%が殺されることとなる効果である。
【0057】
本発明によって保護されることが可能である益虫としては、(1)捕食性のビートル(表11を参照のこと)であって、ハルモニアアルクアタ(Harmonia arcuata)(Fabricius)の成虫、ジオムスノテセンス(Diomus notescens)(Blackburn)の成虫、コシネラレパンダ(Coccinella repanda)(Thunberg)の成虫、ジクラノラウイスベルルス(Dicranolauis bellulus)(Guerin);(2)ゲオコリスルブラ(Geocoris lubra)(kirkaldy)の成虫、セルマツルスナサリス(Cermatulus nasalis)(Westwood)の成虫、ナビスカプシホルミス(Nabis capsiformis)(Germar)などの捕食性のバグ、(3)クモ、特にハエトリグモ科、オニグモ属の一種(Araneus spp.)、オキシペス属の一種(Oxypes spp.)および(捕食寄生)プテロコルムスプロミソリウス(Pterocormus promissorius)(Erichson)、ヘテロペルマスカポスム(Heteropelma scaposum)(Morley)、ネテリアプロズクタ(Netelia producta)(Brulle)が挙げられる。
【0058】
本発明の実施形態はまた、複合剤における1種以上の画分を特定することにより、本明細書に開示の方法を用いて1種以上の画分をスクリーニングすることにより、および、標的昆虫に対する潜在的な活性に対する正または負の効果を有する1種以上の画分を特徴づけることにより向上した昆虫防除剤を形成する方法に関する。
【0059】
いくつかの実施形態において、複合剤中の1種以上の画分(例えば、精油など)は、例えば、作動溶剤抽出、分留、分別結晶化、分別凍結、乾燥分別、洗剤分別、溶剤抽出、超臨界CO分別、減圧蒸留、カラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー等を含む分別技術を用いて単離されることが可能である。これらの方法は当業者に公知である。
【0060】
採用が比較的単純であり、および、溶剤の使用を必要としないために、減圧蒸留が好ましい。
【0061】
いくつかの実施形態において、複合剤の1種以上の画分は、シリカまたはアルミナ固体支持体を用いるカラムクロマトグラフィーにより単離されることが可能である。例えば、ヘキサンおよび石油エーテルなどのアルカン、トルエン、塩化メチレン(または他のハロゲン化炭化水素)、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、アルコール、酢酸等を含む有機溶剤は、単独で、もしくは、組み合わされて、カラム溶剤もしくは移動相として用いられることが可能である。いくつかの実施形態において、複合剤は、濃度が高められる極性溶剤を溶出溶剤として用いるカラムクロマトグラフィーによって分別される。カラムクロマトグラフィー法およびこれに用いられるのに一般的な溶剤は技術分野において周知である。
【0062】
いくつかの実施形態において、SPCは溶剤抽出によって単離されることが可能である。例えば、精油は、例えば、メタノール、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、t−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1、2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1、2−ジメトキシ−エタン(グリム、DME)、ジメチルエーテル、ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、ヘキサン、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、JV−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリエチルアミン、水、重水、o−キシレン、m−キシレンおよび/または−キシレンなどの有機溶剤を含む有機溶剤と組み合わされることが可能である。当業者に公知である他の有機溶剤もまた採用されることが可能である。SPCと有機溶剤との混合物を、次いで、例えば水、エタノールおよびメタノールを含む有機溶剤中で混和性ではない抽出溶剤と組み合わせることが可能である。この組み合わせを分離漏斗などのガラス容器の中で数分間激しく振盪し、次いで、別々の相に分かれるまで数分間静置する。次いで、下方のより高密度の相を分離漏斗から排出する。次いで、有機相を抽出溶剤で反復して再抽出して、抽出溶剤に可溶性の化合物を有機相からさらに分離することが可能である。次いで、有機相の体積および抽出相を、ロータリー蒸発を用いて低減して、SPCの個別の2つの画分を得ることが可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、標的昆虫に対する向上した薬剤を特定する方法は、複合剤または複合剤の個別の単離された画分中に存在する化合物の特定、および、活性に係る処方化合物のスクリーニングを含むことが可能である。化合物の特定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、または、質量分光測定(MS)と組み合わされたガスクロマトグラフィー(GC)により複合剤またはその単離した画分を分析することによって実施されることが可能である。処方化合物はまた、先ず、個別の処方成分を、例えば、作動溶剤抽出、分留、減圧蒸留、分別結晶化、分別凍結、乾燥分別、洗剤分別、溶剤抽出、超臨界CO2分別、カラムクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー等を含む技術を用いて均質になるまで富化または精製することにより特定されることが可能である。富化または精製した成分は、例えば、赤外(IR)分光法、ラマン分光法、核磁気共嗚分光法(MR)等を含む分光技術を用いて特定されることが可能である。
【0064】
いくつかの実施形態は、特定された化学物質の化学誘導体または類似体を用いた標的昆虫に対する向上した薬剤の生成に関する。特定された化学物質の化学誘導体は、無機または有機官能基を伴って誘導された化合物を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、化学誘導体は、有機官能基を伴って誘導された化合物である。いくつかの実施形態において、有機官能基はアルキル基であることが可能である。いくつかの実施形態において、有機官能基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、セリル、デシル、ヘプチル、ヘキシル、ミリシル、ミリスチル、ノニル、オクチル、パルミチル、ペンチル、ステアリル、イソプロピル、イソブチル、リグノセリル、ペンタコシル、ヘプタコシル、モンタニル、ノナコシル、ペンタン−2−イル、イソペンチル、3−メチルブタン−2−イル、t−ペンチル、ネオペンチル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、マルガリル、ノナデシル、アラキジル、ヘニコシル、ベヘニル、トリコシル、シクロブチル、シクロプロピル基等であることが可能である。いくつかの実施形態において、有機官能基はアリール基であることが可能である。いくつかの実施形態において、有機官能基はフェニルまたはビフェニル−4−イル基であることが可能である。
【0065】
いくつかの実施形態において、標的昆虫に対する向上した薬剤としては、特定された化合物のハロゲン化誘導体である化学誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態において、化学誘導体は、フッ素化、塩素化、臭素化またはヨウ化誘導体である。
【0066】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、化合物のアルケニル化誘導体である化学誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態において、化学誘導体は、オレイル化、アリル化、イソプロペンチル化、ビニル化、プレニル化またはフィチル化誘導体である。
【0067】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、特定された化合物のヒドロキシル化誘導体である化学誘導体が挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、特定された化合物のチオール化誘導体である化学誘導体が挙げられる。
【0069】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、特定された化合物のカルボキシル化誘導体である化学誘導体が挙げられる。
【0070】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、特定された化合物のアミド化誘導体である化学誘導体が挙げられる。
【0071】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、特定された化合物のエステル化誘導体である化学誘導体が挙げられる。
【0072】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、特定された化合物のアシル化誘導体である化学誘導体が挙げられる。
【0073】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、特定された化合物のスルホン化誘導体である化学誘導体が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、置換基の同族体を導入することにより誘導された化学誘導体が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態においては、標的昆虫に対する向上した薬剤として、置換基を環の周囲の異なる位置に動かすことにより誘導された化学誘導体が挙げられる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態において、テスト組成物の効力は、昆虫を用いた研究を実施することにより判定可能である。例えば、昆虫を殺し、昆虫の摂食または産卵等に係る傾向を変えるテスト組成物の効力は、昆虫がテスト組成物に露出される制御下での実験を用いて研究可能である。いくつかの実施形態において、昆虫に対するテスト組成物の毒性は、昆虫がテスト組成物に露出される制御下での実験を用いて研究可能である。
【0077】
いくつかの実施形態において、配合物は、溶解性が高く、ならびに、水および有害生物防除特性をも有し得る「キャリア」油中の全配合物の安定なエマルジョンの形成能が高い乳化剤から構成される。好ましい「キャリア」油はエステル化植物性油である。
【実施例】
【0078】
綿有害生物を防除するための商業綿システムにおいて、誘引または避難作物として用いることが可能である植物を特定するための研究を実施した。本研究において、アルファルファ、キマメ、モロコシ、スウィートコーンおよびチョウマメ(Clitoria ternatea)および綿ゲノタイプなどの広範な植物を、商業上の綿畑に、12メートルの畝に植えた。特にヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)といったこれらの作物における有害生物の遷移、卵および幼虫の計数を綿の季節を通じて2週間毎に実施した。試験の結果から、チョウマメ(Clitoria ternatea)に外寄生するヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)および他の綿有害生物は、綿および他の避難作物におけるものよりも顕著に少なかったことが明らかになった。それ故、植物は、昆虫有害生物を殺すかその行動を変え得るいくらかのSPCを含有していると考えられた。チョウマメ(Clitoria ternatea)はSPCの特定および有害生物を防除するためのこれらのSPCの使用という観点では過去に注目を集めてはいなかったため、この植物のバイオアッセイによる分別により、過去において知られていない生物学的有害生物防除用の化合物または画分が明らかにされ得ることが予期された。
【0079】
実施例1 チョウマメ(Clitoria ternatea):毒性摂食実験
ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)および他の綿有害生物のチョウマメ(Clitoria ternatea)に対する外寄生はテストした綿および他の避難作物のものよりも顕著に低いことが明らかにされた圃場試験の結果に基づいて、これに係る可能性のある理由および関与するSPCの調査を行った。この研究では、毒性化合物を含有し得る植物構造部の位置、および、農作物における有害生物を管理するための配合生成物としてのチョウマメ(Clitoria ternatea)の使用をも確認した。
【0080】
ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の1令および2令幼虫に対する植物構造部の毒性
チョウマメ(Clitoria ternatea)の構造部または部分(すなわち、新しい葉、中間の葉、古い葉、−完全なさやおよび切断したさや;未成熟(未熟)の種子、成熟した種子;粉砕した未熟な種子および粉砕した成熟した種子)を準備し、直径12mmのペトリ皿中の100μLの蒸留水で湿らせたろ紙の上に個々に置いた。ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫1匹を各ペトリ皿中の植物構造部の各々の上に置き、シールした。各処理を4回繰り返した。次いで、ペトリ皿を、25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータ中に置き、9日目まで毎日死亡を確認した。各処理に係る死亡率を1〜2日目、3〜4日目および5〜9日目で計算した。
【0081】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0082】
結果
表1は、チョウマメ(Clitoria ternatea)(チョウマメ(Clitoria ternatea))の異なる部分に対するヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の死亡率を表す。結果は、チョウマメ(Clitoria ternatea)中の毒素はすべての植物部位に存在しており、葉が最も多かったことを示す。H.プンクチゲラ(H.punctigera)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)中の毒素に対してオオタバコガ(H.armigera)の幼虫よりも影響されやすいことが見いだされた。
【0083】
実施例2 チョウマメ(Clitoria ternatea)の粗抽出
溶剤および抽出法の選択
抽出に用いた極性の異なる3種の溶剤は水(高極性)、メタノール(中間極性)およびヘキサン(無極性)であった。本研究の早期の段階において表面のすすぎと均質化の両方を行った。洗浄プロセスでは、葉を溶剤の中で30秒間振盪し、1mL当たり1gの新しい葉の重量と同等の濃度となる体積にまで溶剤を蒸発させた。葉を溶剤中に一晩浸してから工業用ワーリングブレンダー中で10分間混ぜることによりホモジェネートを調製した。次いで、ブレンドした葉原料をろ過し、表面洗浄に係る調節した体積と同じになるまで蒸発させた。ヘキサン抽出の場合には、分離漏斗を用いてすべての水性相を排除し、ヘキサンを適切な体積にまで蒸発させた。
【0084】
メタノールおよびヘキサン抽出物はロータリーエバポレータを用いて濃縮し、水抽出物は凍結乾燥機を用いて濃縮した。
【0085】
メタノール抽出
SPE分別およびバイオアッセイ用の画分の後の供給のためのメタノール抽出物の調製については、凍結乾燥した植物原料を用いた。各々が約45g以下の植物原料を含有する12個以下の容器を一定の重量となるまで乾燥させた(24〜30時間)。凍結乾燥した重量は一般に湿潤重量の25%〜30%であった。
【0086】
凍結乾燥した原料(重量)を2〜3mmに切断し150mLビーカ中に計量した。HPLC−グレードメタノール50mLを加え、サンプルを20分間超音波処理した。溶剤をろ過し、植物塊を組み合わせた濾液で同様にさらに3回処理し、次いで、ロータリエバポレータを用いて乾燥するまで蒸発させた。水浴温度は40℃に維持した。
【0087】
エタノール抽出
500gの空気乾燥し、粉末化した植物原料を熱エタノールを用いて完全に抽出した。ソックスレー抽出器を24時間操作し、溶剤を蒸発させたところ、80gの抽出物(16%)が得られた。比較のために、他のサンプルについて常温のエタノールおよび24時間超の浸漬を用いて別途抽出を行った。このプロセスでは、最初の浸漬で25gの抽出物(5%)が得られた。抽出は反復しなかった。
【0088】
抽出物の分別
固体相抽出(SPE)を用いて抽出物を分別し、および、40μm/120μmの不定形状の酸洗浄シリカ(60Å平均間隙率)を三官能性オクタデシル結合官能基と共に含むC18疎水性シリカ系固体相SPEカートリッジ(Varian Bond Elute(Part No.12256001)またはPhenomenex Strata C18−E(Part No.8B−S001−JCH))を用いて、昆虫に対する生物学的アッセイ用の画分を得た。すべてのカートリッジをAlltech Vacuumマニホルド(Part No.210351))で同時に処理した。SPEカートリッジを用いて、1.5のg湿潤重量の凍結乾燥した植物原料を収容したところ、コンディショニングしたカートリッジに固体として加える前に、乾燥した抽出物をセライトろ過助剤(Merck Celite 545,0.02〜0.1mm)上に分散させた場合に、より良好に分画されたバンドが得られた。この目的のために、パスツールピペットの球状の端部を用いて(ピペットの首にあるくびれで計量(約0.2g))、ロータリーエバポレータに取り付けた予め計量した小さいバイアルにすすぎながら移した残りの9mLのサンプルに、一定量のセライトを6回入れた。セライトを完全に混合した後、バイアルの内容物をN下でペースト状になるまで乾燥させ、次いで、ロータリーエバポレータを用いて完全に乾燥させた。SPEカートリッジを5mLのメタノール、続いて、5mLの水のほとんどすべてを通すことによりコンディショニングをした。乾燥させたサンプル/セライト残留物の六分の一を6つのコンディショニングしたSPEカートリッジの各々にスパチュラで移した。次いで、基本手順としてカラムに5mL水、続いて、メタノール/水混合物のアリコート、精製メタノール、次いで、アセトンを通し、すべての溶出液を回収した。
【0089】
HPLC分析
ダイオードアレイデテクタを備えるAgilent 1100機器を分析用クロマトグラフィーに用いた。カラムは、30℃で保持したシリカ系Phenomenex Luna 5μm C18(2)、150mm×4.6mmであった。通常は20μLである様々な体積のろ過したサンプルを、20分間で5%MeOHから100%MeOHとし、28分まで保持し、30分までに5%MeOHに戻し、37分まで保持して平衡化する酸性化メタノール/水勾配溶離プログラムを用いて分析した。移動相の両方の成分が0.5%酢酸を含有する。流量は通常1mL/minとした。フォトダイオード−アレイデテクタで、データを254nm、280nm、360nm、430nmおよび450nmで集めた。以下に図示したすべてのクロマトグラムは、280nmで得たものである。
【0090】
結果
チョウマメ(Clitoria ternatea)のメタノール抽出物からのSPE画分の化学および構造分析が図1に示されている。一番上のトレースが、凍結乾燥植物原料の粗メタノール抽出物のものである。その下のものは、溶剤の極性を高めてSPEカートリッジから連続して溶出した種々の画分(1〜6)を表す。予期していたとおり、SPE分別およびHPLC分析の両方に共通の逆相分離プロセスでは、より長い滞留時間で後期の画分に現れる、固定相に対してより高い親和性を示す化学成分がもたらされる。
【0091】
実施例3 メッシュハウスにおける綿植物へのヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の産卵に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効力(強制テスト)
この実験は、チョウマメ(Clitoria ternatea)から単離した画分の産卵抑止作用を判定するために実施した。テストしたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、(1)画分1、(2)画分2、(3)画分3、(4)画分4、(5)画分5および(6)画分6、および(7)未処理(対照)であった。各処理を完全ランダム化法で4回反復した。実験に用いた植物は黒色土(圃場由来)中の直径8cmのポットに植え、週に3回灌水した。植物に一度だけ施肥した。ポットに植えた植物を、自然環境への露出を増やすと共に、有害生物外寄生の可能性から保護することが可能であるメッシュハウスの中で保持および維持した。一旦植物が本葉4枚の段階に達したら、各処理の0.25mLの抽出物を葉の各々に載せ(1つのポットで1mL)、表面全体に均一に塗った。次いで、植物に覆いをかけ、3匹の交尾済みの(羽化後5日目)雌のガをケージ内に放った。処理から3日後に卵を計数した。産卵抑制指数(ODI)を以下のとおり算出した:ODI=100×(C−T)/(C+T)(式中、C=対照における合計産卵数;T=処理したろ紙における卵の合計)。
【0092】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0093】
結果
オオタバコガ(H.armigera)雌成体を用いて実験用条件下で実施した強制テストでは、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分3および画分4(表2)は、テストした他のすべての画分(表2)よりも、植物当たりの産卵数が顕著に少ない(P<0.001)ことが確認された。それ故、これらの2種の画分は産卵抑止化合物を含有する可能性がある。
【0094】
実施例4 実験室における、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫の綿植物の葉ディスクへの摂食に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効力(強制テスト)
この実験は、強制テストにおいて綿葉を用いて実施した。オオタバコガ(H.armigera)の2令幼虫を摂食バイオアッセイに用いた。テストしたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、(1)画分1、(2)画分2、(3)画分3、(4)画分4、(5)画分5、(6)画分6、および(7)水処理(対照)であった。各処理を完全ランダム化法で4回反復した。ガラス温室内で栽培していた植物から採った3日目の綿葉を研究に用いた。葉を、各処理の1mLの抽出物で処理した。抽出物に対する選好性または忌避性を防ぐために、葉面の各々の面に0.5mLを適用した。葉をドラフト中で1時間かけて空気乾燥させた。
【0095】
一旦空気乾燥し、処理した葉の各々から25mmのディスクを切り出し、これを計量し、55mmのペトリ皿に置いた。ろ紙を100μLの蒸留水で湿らせて、ディスクの乾燥を防いだ。1匹の所望のサイズの幼虫を計量し、ペトリ皿の各々に入れた。次いで、ペトリ皿を、25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータに48時間入れた。
【0096】
次いで、処理から48時間後に葉ディスクおよび幼虫の両方を計量した。実験の前後での葉ディスクおよび幼虫の両方の重量差を各処理および対照について算出して、処理に何らかの摂食阻害効果があるかを判定した。
【0097】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0098】
結果
チョウマメ(Clitoria ternatea)の画分ならびにオオタバコガ(H.armigera)の2令および3令幼虫を用いて実施した強制バイオアッセイにおいて、テストした他の画分および対照と比して、画分2、4および6で処理した葉は消費量が少なく、結果として幼虫の体重の増加も小さかった(図2a)。画分2は、2令幼虫の重量が低減するほどに、画分4および6よりも強い抑止効果を有していることが明らかである(図2b)。
【0099】
実施例5 実験室におけるヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫の毒性に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効力(強制テスト)
この実験は、強制テストにおいて綿葉を用いて実施した。オオタバコガ(H.armigera)の2令幼虫を摂食バイオアッセイに用いた。テストしたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、(1)画分1、(2)画分2、(3)画分3、(4)画分4、(5)画分5、(6)画分6、および(7)水処理(対照)であった。各処理を完全ランダム化法で4回反復した。ガラス温室内で栽培していた植物から採った3日目の綿葉を研究に用いた。葉を、各処理の1mLの抽出物で処理した。抽出物に対する選好性または忌避性を防ぐために、葉面の各々の面に0.5mLを適用した。葉をドラフト中で1時間かけて空気乾燥させた。
【0100】
一旦空気乾燥し、1匹の2令幼虫を、100μLの蒸留水で湿らせたろ紙上に直径25mmの葉ディスクを入れたペトリ皿に入れ、シールした。次いで、ペトリ皿を25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータに入れ、3日間にわたって幼虫の死亡率を毎日チェックした。
【0101】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0102】
結果
この研究の結果はまたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、2令オオタバコガ(H.armigera)の幼虫に対して抗菌効果を有していたことを示した。この実験は、画分2、3および4は、これらの処理における48時間後の死亡率が対照よりも高いことから、幼虫に有害な化合物を含有することを示した(図3)。この図は、48時間後には、テストに供した10匹中7匹の幼虫が48時間の期間のうちに死んだことを示す。
【0103】
実施例6 抵抗力の低い綿ゲノタイプ(ルメイン(Lumein))の葉に適用したチョウマメ(Clitoria ternatea)画分2の摂食抑止作用
マスキング実験を実施して、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の幼虫摂食を刺激することで知られている綿ゲノタイプに対するヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫の摂食応答効果または摂食阻害効果を観察および定量化した。ACRIで、実験室においてオオタバコガ(H.armigera)の2令幼虫を用いてテストを実施して、特定されている摂食刺激物資(ルメイン(Lu Mein)画分3)と摂食抑止剤(チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2)との組み合わせを用いた相互作用の効果を判定した。
【0104】
この実験においては、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2をルメイン(Lu Mein)と呼ばれる綿ゲノタイプの葉ディスクに適用した。第2の葉ディスクを水で処理した。一旦空気乾燥し、1匹の2令幼虫を、100μLの蒸留水で湿らせたろ紙上に直径25mmの葉ディスクを入れたペトリ皿に入れ、シールした。この実験を、完全乱塊法で10回反復した。次いで、ペトリ皿を25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータに入れた。幼虫を48時間摂食させ、消費された葉の重量および幼虫の重量を算出し、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2で処理した葉ディスクと水処理葉ディスクとの間で、消費された葉、および、重量の低減または増加の差を分析した。
【0105】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較テストを用いて平均を分けた。
【0106】
結果
この研究の結果は、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2はルメイン(Lu Mein)の葉の摂食刺激効果をマスクし、水処理されたものと比して1匹の幼虫によって消費される葉の量を低減させることを示した(図4)。これは、結果として、対照と比して幼虫の重量の増加を低減させた(図5)。
【0107】
実施例7 ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の綿植物への産卵に対するヘキサン中に配合されたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効果。
メッシュハウスにおけるヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の産卵を判定する研究のために、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2、3および4を組み合わせ、ヘキサン中に配合した。植物が本葉6枚の段階にある時に、1つのメッシュケージ(100cm×50cm×70cm)において3回の実験を実施した。チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の0(対照)、20%v/v、15%v/vおよび10%v/vの濃度を表す4回の処理を用いた。10本の綿植物を処理の各々に無作為に割り当て、メッシュケージ中に囲った。各処理では、小型の手持ち式噴霧器を用いて流出点まで適用した。対照植物には水を噴霧した。各処理は、異なるケージ中において、完全ランダム化法で4回反復した。20匹の交尾済みの雌ガを各ケージ中に放して処理した植物に産卵させた。処理の3日後に、処理の各々における植物当たりの卵の数を計数し、植物当たりの卵の数を算出した。データは、卵の数/植物/処理として表記した。
【0108】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVA(Graphpad Instat Software Inc.,v2.03,San Diego,CA,USA)を用いて分析した。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0109】
結果
この研究の結果は、10%、15%および20%v/vで組み合わせたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分で処理した綿植物で記録された卵の数/mは、実施した3回の実験のすべてにおいて未処理(対照)植物よりも顕著に少ないことを示した(P<0.001)(図6a、および図7)。チョウマメ(Clitoria ternatea)濃度間において顕著な差異(P>0.05)は認められず、10%v/v濃度は15および20%v/v濃度と同様に効果的であることが示された(図6A、Bおよび図7)。ヘキサン配合物は綿植物に有害であり、葉に焼けを生じさせたこともまた観察された。
【0110】
実施例8 チョウマメ(Clitoria ternatea)画分による圃場実験−ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の綿植物への産卵に対するヘキサン中に配合した組み合わせたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効果
チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物2、3および4をヘキサン中に配合し、圃場試験のために、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)に対して従来の綿作物に用いた。この試験は商業用の従来の綿作物で実施した。チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物を、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵および幼虫に対する効力について、3種の異なる濃度(1)20%v/v(2)15%v/v(3)10%v/vおよび(4)対照(未噴霧)で評価した。各処理を完全乱塊法で4回反復した。各反復試験または処理試験区は、全長100メートルおよび全幅6メートルまたは畝で計測した。配合したチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の異なる薬量での葉面処理を、15リットルの水に入れて、24日間の間隔をあけて試験中に2回適用した。ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵および幼虫を、1メートルの畝の無作為に選択した綿植物で視覚的に査定した。処理適用の1日前に処理前の計数を行い、処理後の計数を、処理の7、14、21および28日後に行った。データは、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵および幼虫の数/m/サンプル日と表記した。
【0111】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat Software Inc.,v2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0112】
結果
顕著な差異(P<0.001)がチョウマメ(Clitoria ternatea)画分で処理した綿植物および未処理(対照)植物間で見出された(図8)。しかしながら、産卵抑止作用においては、顕著な差異(P>0.05)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)の濃度間では認められなかった(図8)。
【0113】
異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区で記録した、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)のきわめて小さいおよび小さい(1令〜3令)幼虫の数/m/サンプル日は、未処理(対照)試験区よりも顕著に少なかった(P<0.001)(図7)。しかしながら、顕著な差異(P>0.05)は、テストした異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)生成物間では見出されなかった(図8)。
【0114】
実施例9 メッシュハウスにおける綿植物へのオオタバコガ(Helicoverpa armigera)の雌の産卵に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効力
カノーラ油および粗綿実油中の異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理したポットに植えた綿植物に対する交尾済みのヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の産卵応答を評価した。この研究において用いた植物はポットに植えた同齢のさく果を形成している綿植物であった。この実験は強制条件下で実施した。評価した処理は、(1)カノーラ油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)、(2)カノーラ中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)、(3)粗綿実油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)、(4)粗綿実油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)および(5)対照(水)であった。各処理は、10本の植物を含む処理の各々で8回反復した。各処理を、それぞれの綿植物に流出点まで適用した。10本の植物の各処理の反復試験を4匹の交尾済みのオオタバコガ(H.armigera)雌を含むプラスチックケージ中に囲って植物に産卵をさせた。処理の4日後に、各植物上の卵を計数し、記録した。データは卵の数/植物と表記した。
【0115】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0116】
結果
卵の数/植物における顕著な差異は、異なるチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した植物間では認められなかった(表3)。しかしながら、卵の数/植物における顕著な差異は、処理した植物と対照植物との間では認められた(表3)。顕著に多い(P<0.0001)卵/植物が、チョウマメ(Clitoria ternatea)油配合物と比して、対照植物において記録された(表3)。
【0117】
実施例10 実験室におけるオオタバコガ(H.armigera)の幼虫の死亡率に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効果
この研究は、ACRIで、実験室において人工餌料で飼育したヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)で実施した。この実験の最中、実験室は、25℃の温度および55〜60%の相対湿度に維持した。評価した処理は、(1)綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(2)粗綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(3)カノーラ油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)および(4)対照(水)であった。各濃度について、本発明者は、合計で48匹の2令幼虫(12匹の幼虫/反復試験)に流出点まで噴霧した。噴霧適用の後、各処理からの幼虫を移し、各処理と個々に混合したダイズ系人工餌料を含む35mLの透明なプラスチック容器(P10M;Solo,Urbana,Illionis,USA)中に移し、保持した。各処理を4回反復した。対照におけるすべての幼虫が蛹化した処理の14日後に、死亡した幼虫の数を計数し、各処理において記録した。
【0118】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0119】
結果
14DATでは、死亡した幼虫の数は粗綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)において最も多く、続いて、カノーラおよび綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)において多かった(図9)。水(対照)においては、幼虫の死亡は記録されなかった(図9)。また、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区において死亡していない幼虫のほとんどは病化しており、不活発であった(図9)。対照において病化した幼虫はなく、すべての幼虫が蛹化した。総合的に、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理した幼虫の成長は、対照と比して平均で4日遅延された。
【0120】
実施例11 従来の綿における有害生物および益虫に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)油配合物の効力
この研究は、商業用の従来の綿作物の後期において実施した。試験はいずれかの特定の有害生物を標的とはしておらず、処理を綿作物に適用して、Namoi下流領域における綿期間中に作物にいたすべての有害生物および捕食性昆虫に対する効力を評価した。評価した処理は、(1)カノーラ油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(2)カノーラ油中の2%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(3)粗綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(4)粗綿実油中の2%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(5)未噴霧(対照)であった。各処理は完全乱塊法で3回反復した。各反復試験は、全長100メートルおよび全幅6畝またはメートルで計測した。
【0121】
各処理の葉面処理を第1日目に行った。以下の有害生物:グリーンミリド(クレオンチアデスジルツス(Creontiades dilutus))、コットンルーパー(ワタアカキリバ(Anomis flava))、ミナミアオカメムシ(ミナミアオカメムシ(Nezara viridula))およびアップルディンプリングバグ(カムピロムマリエブクネクチ(Campylomma liebknechti))、ならびに、各処理における試験期間では研究サイトにおいて大量に存在していた捕食性昆虫(捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモ)の視認による計数を、処理の24時間前、ならびに、処理の3、5および7日後に行った。計数は、各処理の反復試験における2本の無作為に選択した全長1メートルの綿の畝、すなわち、合計で6メートル/処理で行った。計数は、種々の有害生物および捕食虫に分けた。益虫は、捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモにグループ化した。データは数/mと表記した。
【0122】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat Software Inc.,v2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0123】
結果
試験期間中の試験サイトにおける主たる有害生物はグリーンミリド、コットンルーパー、ミナミアオカメムシおよびアップルディンプリングバグであった。ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)は試験サイトに存在していなかった。従って、ここで記録したデータは、テスト期間中に大量に存在していたこれらの有害生物に対するものである。
【0124】
グリーンミリドに対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の効果
研究試験区において記録したグリーンミリドの数/mは、0.17〜0.33匹/mの範囲であった(表4)。3DATでは、すべてのチョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区においてミリドは記録されず、一方で、未噴霧試験区では0.33匹/mと記録された(表4)。5DATでは、2%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区において記録されたミリドの数/mは未噴霧試験区とは顕著に異なっていた(P<0.01)が、1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表4)。1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区で記録されたグリーンミリドの数は、5DATでは未噴霧(対照)試験区とは顕著に異なっていなかった(表4)。7DATでは、処理済みおよび対照試験区で記録されたグリーンミリドの数/mは、顕著に異なっていなかった(表4)。これは、植物に処理前に産卵されたミリドの卵の孵化のため、また、激しく繁茂した実綿のために植物の多くを除去したことによる生成物の適用度が低くなってしまったためであり得る。
【0125】
コットンルーパー対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の効果
これらは、試験中において、研究サイトの綿作物に最も大量に存在していた昆虫種であった。この研究は、対照と比して、顕著に少ない(P<0.05)コットンルーパー/mがチョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区において記録されたことを示した(表5)。3DATでは、コットンルーパー死亡率は、粗綿実油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区で最も高く(58.9%)、次いで、粗綿実油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)が高かった(47.2%)(表5)。カノーラ種子油中の1%および2%チョウマメ(Clitoria ternatea)は、それぞれ、26.6および42.9%死亡率をもたらした(表5)。未噴霧試験区では、同時にコットンルーパー個体群の10%の増加が記録された(表5)。
【0126】
アップルディンプリングバグに対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の効果
異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物は、3DATで、研究サイト中のADB個体群に顕著な効果を有していた(表6)。最も多いADBの死亡数は、3DATの時点では、粗綿実油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区において記録され(65.9%)、次いで、カノーラ油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)で記録された(64.0%)(表6)。カノーラおよび粗綿実油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)では、それぞれ56.8および52.1%の死亡率が3DATに記録された(表6)。
【0127】
益虫
処理試験区で同定された益虫は主に捕食虫であり、これらは捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモを含む(表7)。
【0128】
処理および対照間で、捕食性のビートル(表8)、バグ(表9)、クサカゲロウ(表10)およびクモ(表11)の数に顕著な差異は認められなかった。これは、チョウマメ(Clitoria ternatea)生成物は綿における益虫に効果を有していないことを示す。
【0129】
実施例12 綿有害生物に対する実験室での試験用のチョウマメ(Clitoria ternatea)の配合物
チョウマメ(Clitoria ternatea)原料を、異なる成長段階で、異なる3箇所で収穫した。抽出物を、加熱乾燥し、80℃水浴中に1時間かけて植物を浸軟(各溶剤で30g)することにより形成した。24時間後にろ過および蒸発を行った。溶液を400℃の減圧下で蒸発させ、一方で、水溶液の蒸発を水浴を用いて行った。この溶液を分別化濃縮物が得られるまで蒸発させた。分別化濃縮物を、界面活性剤(C12〜C15エトキシレートおよびTeric(登録商標)(Huntsman)、乳化剤(Termul(登録商標)3000)、ならびに、粗綿実油、精製綿実油およびカノーラ油などの低分子量油中に配合した。減圧および圧力を加えて、ろ過を効率化した。
【0130】
綿有害生物および益虫に対する実験室および圃場バイオアッセイにおいて用いるために、4種の配合物を用意した。配合物は以下のとおりである:
(1)乳化剤を伴わない油中のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物(配合物A)、
(2)乳化剤を伴うがチョウマメ(Clitoria ternatea)を伴わない配合物(配合物B)、
(3)乳化剤を伴うチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物(配合物C)および
(4)乳化剤を伴うチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物(配合物D)
【0131】
実験室におけるグリーンミリドの死亡率に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の異なる薬量の効果
25℃の温度および55〜60%の相対湿度の実験室において、4種の配合物を0.5%、1.0%、1.5%および2.0%(v/v)で評価した。水を対照として用いた。各配合物に対して、1処理当たりインゲン上の合計で6匹(3組)の雌および雄の成体ミリド(1組反復試験)に流出点まで噴霧した。追加的に、インゲンも各処理において60秒浸漬させた。処理適用後、1組のグリーンミリド(雄および雌)を、35mLの透明なプラスチック容器(P101M;Solo,Urbana,Illionis,USA)中に移し、別々に保持した浸漬済みのインゲンの上に放した。各処理を3回反復した。死亡したミリド成体の数を計数し、最も効果的な処理においてすべての昆虫が死亡するまで毎日記録した。対照を基準として死亡率を算出した。
【0132】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0133】
結果
顕著な差異(P<0.01)が処理間で認められた(表12)。チョウマメ(Clitoria ternatea)を0.5%v/vで適用した場合にはミリドの死亡数は減少した。適用量の増加に伴って、死亡したグリーンミリドの数が顕著に増加した(表12)。配合物Aは、グリーンミリド成体に対して、テストしたすべての薬量で最も高い死亡率をもたらした(表12)。1%v/v薬量では、配合物Aは55.7%の死亡率がもたらされたのに比して、配合物Cおよび配合物Dでは、それぞれ、44.3%であった(表12)。生成物を2%v/v薬量で適用した場合、最も高い死亡率は、配合物A(100%)、配合物C(89%)および配合物D(100%)によりもたらされた(表12)。チョウマメ(Clitoria ternatea)を含有していなかった配合物Bによりもたらされたグリーンミリドに対する死亡率は、チョウマメ(Clitoria ternatea)を含有する他の配合物よりも顕著に低く(P<0.01)、水(対照)で処理した昆虫とは顕著に異なっていなかった(表12)。
【0134】
実施例13 グリーンミリド成体の生存に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の直接適用および残留物の組み合わせの効力。
チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である、配合物A、配合物Cおよび配合物Dを、25℃の温度および60〜70%RHの実験室において、1および2L/haで評価した。対照として水を用いた。各配合物に対して、1処理当たり合計で6匹(3組)の雌および雄の成体ミリド(1組/反復試験)にインゲン上で流出点まで噴霧した。また、インゲンを各配合物に60秒浸漬し、35mLの透明なプラスチック容器(P101M;Solo,Urbana,Illionis,USA)中に移し、別々に保持した。その後、1匹の雄および雌グリーンミリド(1組)をプラスチック容器中のインゲンに放した。各処理を3回反復した。死亡したミリド成体(雄および雌)の数を計数し、処理の3、5、7、9および11日後に記録し、対照を基準として死亡率を算出した。
【0135】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0136】
結果
グリーンミリド雄成体の死亡率に対する効力
3DATでは、33.3%の死亡率をもたらした2L/ha配合物Aを除き、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理のいずれもグリーンミリド雄成体を死亡させていなかった(表13)。5DATでは、2L/haで適用した配合物Dおよび配合物Aは33.3%の死亡率をもたらしたが、一方で、より低薬量では、チョウマメ(Clitoria ternatea)生成物はミリドを全く殺さなかった。1L/ha薬量では、チョウマメ(Clitoria ternatea)生成物は33.3%のグリーンミリドの死亡率を7DATでもたらしたが、一方で、2L/ha薬量では66.7%がもたらされた(表13)。9および11DATでは、2L/ha配合物Aおよび配合物Dはミリドを100%死亡させたが、一方で、1L/ha薬量および2L/ha配合物Cは66.7%を死亡させた(表13)。
【0137】
実施例14 グリーンミリド雌成体の死亡率に対する効力
3DATでのグリーンミリド雌成体の死亡率はゼロであったが、5DATでは33.3%であった(表14)。雌成体およびインゲンを2L/ha配合物Aおよび配合物Dで処理した場合の死亡率は7DATで66.7%であるのに比して、1L/ha配合物Dおよび配合物Aで処理した場合は33.3%であった(表14)。1L/ha配合物Cで処理した昆虫のいずれも7DATでは死亡しておらず、わずかに33.3%が9および11DATに死亡した。対照的に、2L/ha配合物Aおよび配合物Dの適用では雌成体のすべてが9DATで死亡し、一方で、2L/ha配合物Cでは昆虫の77.7%が、ならびに、1L/ha配合物Dおよび配合物Aでは昆虫の66.7%が死亡した。11DATでは、わずかに33.3および66.7%がそれぞれ死亡した1L/ha配合物Cおよび1L/ha配合物Dで処理した昆虫を除いて、すべての処理された昆虫が死亡した(表14)。
【0138】
実施例15 実験室における、インゲンでのグリーンミリド成体に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の産卵抑止作用:
合計産卵数に対する効果
25℃の温度および40%RHの実験室において、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である配合物A、配合物B、配合物Cおよび配合物Dを、0.5%、1.0%、1.5%および2.0%(v/v)で評価した。対照として水を用いた。各配合物に対して、1処理当たり合計で6匹(3組)のグリーンミリドの雌および雄の成体ミリド(1組/反復試験)に、ろ紙上で流出点まで噴霧した。インゲンを各配合物中に60秒浸漬し、次いで、35mLの透明なプラスチック容器(P101M;Solo,Urbana,Illionis,USA)の中に移し、別々に保持した。3組の処理したグリーンミリド成体を各プラスチック容器中の処理したインゲンの上に放した。各処理を4回反復した。卵の数を双眼顕微鏡で計数し、処理の1つにおけるすべての昆虫が死亡した処理の9日後まで毎日記録した。データを産卵数/雌と表記し、処理間で比較した。
【0139】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVA(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)を用いて分析した。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0140】
結果
インゲンへのグリーンミリドの産卵数は、配合物Aで処理した昆虫において、他の処理および対照よりもすべての濃度で顕著に少なかった(P<0.001)(表15)。0.5%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物では、1.17個の卵/雌が配合物Aで処理したインゲンに産卵されたのに比して、配合物Cおよび配合物Dで処理した植物においては、それぞれ、8.58および7.25個/雌であった(表15)。配合物Bおよび未噴霧のインゲンは、それぞれ、11および12.42個の卵/雌を有していた(表15)。1.0%v/vでは、配合物Dで処理した昆虫およびインゲンに係る産卵数/雌は配合物A、配合物Bおよび配合物Cと同じであったが、配合物Aは合物Bおよび配合物Cとは異なっていた。配合物Aおよび配合物Dで処理した植物における記録された卵の数/雌は、対照よりも顕著に少なかった(P<0.0009)(表15)。1.5および2L/ha薬量では、配合物A、配合物Cおよび配合物Dで処理した昆虫およびインゲンにおいて卵の数/雌に顕著な差異は認められなかった。しかしながら、配合物Aで処理した昆虫およびインゲンにおける卵の数/雌は、配合物Bおよび未噴霧(対照)よりも顕著に少なかった(P<0.005およびP<0.01)(表15)。
【0141】
実施例16 実験室における、インゲンにおけるグリーンミリド雌成体に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の産卵抑止作用:処理後の日数および雌成体による産卵。
25℃の温度および40〜55%RHの実験室において、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である、配合物C、配合物Dおよび配合物Aを、1および2L/haで評価した。水を対照として用いた。各配合物に対して、1処理当たり合計で6匹の成体ミリド雌および雄(3組)(1組/反復試験)にろ紙上で流出点まで噴霧した。3本のインゲンを各処理または配合物において60秒浸漬した。各処理からの各ミリド組および処理したインゲンを、35mLの透明なプラスチック容器(P101M Solo,Urbana,Illionis,USA)に移し、別々に保持した。各処理を3回反復した。各処理におけるグリーンミリドの産卵数/雌を、処理の3、5、7、9および11日後に双眼顕微鏡で計数した。卵の数/雌/処理を算出し、処理および対照間で比較した。
【0142】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0143】
結果
グリーンミリド雌成体は、3〜11DATでは、2L/ha配合物Aで処理したインゲンに産卵をしなかった(表16)。1L/ha配合物Aで処理したインゲンは3DATでは産卵が記録されなかったが、5〜11DATでは、1L/ha配合物Aで処理したインゲンにおいて記録された卵の数は0.67〜2.00個/雌の範囲であった(表16)。3DATでの1L/ha配合物C、配合物Dおよび水で処理したインゲンにおける産卵数は、それぞれ、0.33、0.67および2.00個/雌であった(表16)。同じ期間で、2L/ha配合物Cおよび配合物Dで処理したインゲンのそれぞれにおいて産卵は記録されなかった(表16)。5DATでは、1L/ha配合物Cおよび配合物Dで処理したインゲンはそれぞれ10および8.67個の卵/雌を有しており、対照は5.33個/雌を有していた。配合物Cおよび配合物Dの施用量を2L/haに2倍にした場合、産卵数/雌は4.00個(配合物C)および6.00個(配合物D)に低減され、これは、1L/ha薬量とは顕著に異なっていた(P<0.01)(表16)。7〜11DATでは、2L/ha配合物Cおよび配合物Dで処理したインゲンにおける産卵数は1L/ha薬量および対照とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表16)。
【0144】
実施例17 綿有害生物に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効力
試験を、NarrabriのAustralian Cotton Research Instituteの圃場での商業用の従来のかんがい綿作物で実施した。一条のヒマワリを圃場の片側に植えて、グリーンミリドおよび他の綿有害生物および益虫を高密度とした。
【0145】
以下の処理を、綿有害生物、特にグリーンミリドに対して評価した:(1)1L/ha配合物C、(2)1L/ha配合物D、(3)1L/ha配合物A、(4)1L/ha配合物B、(5)従来の殺虫剤(62.5ml/ha Fipronilおよび0.80L/ha Steward)および(6)未噴霧(未処理)対照。処理試験区を、4回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅8mおよび長さ100メートルであった。
【0146】
各処理の葉面処理を3ヶ月の期間にわたって行った。処理を適用する決定は、IPM GuidelinesおよびCottonLogicによって推奨される0.5グリーンミリド/mの経済的閾値に基づいて行った。合計で、シーズンを通して各処理を3回適用した。
【0147】
綿植物上のグリーンミリド成体および若虫、ミナミアオカメムシ、アップルディンプリングバグ、アザミウマ、ジャシッドおよびアブラムシなどの非標的節足動物の処理前の計数を視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。各計数において、各処理の反復試験の無作為に選択した長さ2メートルの2本の畝、すなわち、1回の処理で、合計で8メートルを試験した。データを、各噴霧適用に係る各処理について数/mおよび数/m/シーズンの終了時のサンプル日と表記した。
【0148】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0149】
結果
商業用の綿におけるヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)油系配合物の効力
およそ等しいヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵の数/m/サンプル日が従来の殺虫剤で処理した試験区(2.22±0.26個)で見つかったのに比して、1.64、1.71および1.57個が、1L/ha配合物C(1.64個)、1L/ha配合物D(1.71個)および1L/ha配合物Aで見つかった(表17)。1L/ha配合物B(チョウマメ(Clitoria ternatea)、すなわち、チョウマメ(Clitoria ternatea)キャリアを伴わない配合物)で処理した試験区で見つかったヘリコベルパ属(Helicoverpa)の卵の数/m/サンプル日は、他のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物よりも顕著に高い(P<0.0001)が、従来の殺虫剤で処理した試験区と同じであった(表17)。未噴霧試験区(3.90/m)では、すべての他の処理より最も多いヘリコベルパ属(Helicoverpa)の卵の数/m/サンプル日が記録された(表17)。従来の殺虫剤処理試験区での卵の死亡率(43.1%)は、配合物C(58.0%)、配合物D(56.2%)および配合物A(59.7%)−処理試験区よりも顕著に低かった(P<0.001)(表1)。配合物B処理試験区では、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵は26.2%死亡率であった(表17)。
【0150】
VS+S幼虫の数は、従来の殺虫剤(1.19匹)において同じであるのに比して、配合物C(1.70匹)、配合物D(1.65匹)および配合物A(1.46匹)処理試験区では1.70、1.65および1.46匹であった(表17)。配合物Bで処理した試験区では、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)のVS+S幼虫の数は、他のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区よりも顕著に多かった(P<0.0001)(表17)。未噴霧試験区では、VS+S幼虫の数が処理中最多であったが、これは、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表17)。従来の殺虫剤処理試験区におけるVS+S幼虫の死亡率(53.9%)は、配合物C(34.1%)、配合物D(36.1%)および配合物A(43.4%)よりも高かった(表17)。配合物B(10.1%)処理試験区でのVS+S幼虫の死亡率は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった。
【0151】
従来の殺虫剤試験区において見つかったヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)のM+L幼虫の数(0.30匹)は、配合物C(0.45匹)、配合物D(0.46匹)および配合物A(0.26匹)処理試験区と同じであった(表17)。配合物B処理試験区で見出されたM+L幼虫の数/m/サンプル日(0.70匹)は、未噴霧試験区と同じであったが、他のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物よりも顕著に多かった(表17)。従来の殺虫剤試験区でのM+L幼虫の死亡率(68.1%)は、配合物A処理試験区(73.3%)より低かった。配合物C(52.1%)および配合物D(51.1%)で処理した試験区でのM+L幼虫の死亡率は、配合物A試験区(73.3%)より低いが、配合物B処理試験区(25.5%)より高かった(表17)。
【0152】
実施例18 商業用の綿における吸収型有害生物に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)油系配合物の効力
グリーンミリド
グリーンミリドの数/m/サンプル日は、従来の殺虫剤(0.33匹)と同じであるのに比して、配合物C(1.07匹)、配合物D(1.09匹)および配合物A(0.77匹)処理試験区では1.07、1.09および0.77匹であった(表18)。配合物Bで処理した試験区では、グリーンミリドの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区より顕著に多かった(P<0.0001)(表18)。未噴霧試験区では、グリーンミリドの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表18)。従来の殺虫剤処理試験区におけるグリーンミリドの死亡率(81.5%)は、配合物C(39.9%)、配合物D(38.8%)および配合物A(56.7%)よりも高かった(表18)。配合物B処理試験区におけるグリーンミリドの死亡率(32.6%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表18)。
【0153】
ミナミアオカメムシ
ミナミアオカメムシの数/m/サンプル日は従来の殺虫剤と同じ(0.19匹)であるのに比して、配合物C(0.44匹)、配合物D(0.35匹)、配合物A(0.17匹)および配合物B(0.54匹)処理試験区では0.44、0.35および0.17匹であった(表18)。配合物Bで処理した試験区(0.54匹)では、ミナミアオカメムシの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区よりも顕著に多かった(P<0.0001)(表18)。未噴霧試験区では、ミナミアオカメムシの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表18)。従来の殺虫剤処理試験区におけるミナミアオカメムシの死亡率(81.5%)は、配合物C(39.9%)、配合物D(38.8%)および配合物A(56.7%)よりも高かった(表18)。配合物B処理試験区におけるミナミアオカメムシの死亡率(32.6%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表18)。
【0154】
アブラムシ
およそ等しいワタアブラムシの数/m/サンプル日が従来の殺虫剤で処理した試験区(1.20匹)で見つかったのに比して、2.09、2.06、0.17および2.62匹が、配合物C(2.09匹)、配合物D(2.06匹)、配合物A(1.36匹)および配合物B(2.62匹)処理試験区で見つかった(表18)。配合物Bで処理した試験区(2.62匹)では、ワタアブラムシの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区より顕著に多かった(P<0.0001)(表18)。未噴霧試験区では、ワタアブラムシの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表18)。従来の殺虫剤処理試験区におけるワタアブラムシの死亡率(63.4%)は、配合物C(36.3%)、配合物D(37.2%)および配合物A(58.5%)よりも高かった(表18)。配合物B処理試験区におけるアブラムシの死亡率(20.1%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表18)。
【0155】
アップルディンプリングバグ
従来の殺虫剤で処理した試験区で見つかったアップルディンプリングバグの数/m/サンプル日(2.03匹)は、配合物C(3.59匹)、配合物D(3.88匹)、配合物A(2.70匹)および配合物B(4.32匹)(表19)で処理した試験区よりも低かった。配合物Bで処理した試験区(4.32匹)では、アップルディンプリングバグの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区より顕著に多かった(P<0.000l)(表19)。未噴霧試験区(4.57匹)では、アップルディンプリングバグの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表19)。従来の殺虫剤処理試験区におけるアップルディンプリングバグの死亡率(55.6%)は、配合物C(21.4%)、配合物D(15.1%)および配合物A(40.9%)よりも高かった(表19)。配合物B処理試験区におけるアップルディンプリングバグの死亡率(5.5%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表19)。
【0156】
グリーンジャシッド
従来の殺虫剤で処理した試験区で見つかったグリーンジャシッドの数/m/サンプル日(2.03匹)は、配合物C(2.93匹)、配合物D(2.88匹)、配合物A(2.16匹)および配合物B(3.13匹)で処理した処理試験区のものと同じであった(表19)。配合物Aで処理した試験区(2.16)では、グリーンジャシッドの数/m/サンプル日は、配合物Bで処理した試験区(3.13匹)よりも顕著に少なかった(P<0.0002)。配合物Bで処理した試験区では、グリーンジャシッドの数/m/サンプル日は、配合物C、配合物Dで処理した試験区および未噴霧試験区(3.78)と同じであった(表19)。従来の殺虫剤処理試験区でのグリーンジャシッドの生存率(28.6%)は配合物A(42.9%)で処理した試験区よりも低かった。配合物Cおよび配合物D処理におけるグリーンジャシッドの死亡率は、配合物Bで処理した試験区(17.2)とほぼ同じであった(表19)。
【0157】
アザミウマ
およそ等しいアザミウマの数/m/サンプル日が従来の殺虫剤で処理した試験区(11.06匹)で見つかったが、これに比して、配合物C(10.00匹)、配合物D(10.19匹)、配合物A(10.62匹)、配合物B(11.04匹)処理試験区および対照試験区(12.22匹)であった(表19)。配合物Aで処理した試験区(10.62)では、アザミウマの数/m/サンプル日は、配合物Bで処理した試験区と同じであった(11.04)。配合物Aおよび配合物Bの両方で処理した試験区では、アザミウマの数/m/サンプル日は、配合物C、配合物D、従来の殺虫剤および未噴霧試験区で処理した試験区と同じであった(12.22)(表19)。従来の殺虫剤処理試験区におけるアザミウマの死亡率(9.5%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である配合物Aで処理した試験区と同じであった(表19)。
【0158】
実施例19 重要な益虫に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効果
試験を、NarrabriのAustralian Cotton Research Instituteの圃場での商業用の従来のかんがい綿作物で実施した。一条のヒマワリを圃場の片側に植えて、グリーンミリドおよび他の綿有害生物ならびに益虫を高密度とした。
【0159】
以下のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物を綿作物の益虫に対して評価した:(1)1L/ha配合物C、(2)1L/ha配合物D、(3)1L/ha配合物A、(4)1L/ha配合物B、(5)従来の殺虫剤(62.5ml/ha Fipronilおよび0.80L/ha Steward)および(6)未噴霧(未処理)対照。処理試験区を、4回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅8mおよび長さ100メートルであった。
【0160】
各処理の葉面処理を3ヶ月の期間にわたって行った。処理を適用する決定は、IPM GuidelinesおよびCottonLogicによって推奨される0.5の捕食虫に対する前比に基づいて行った。合計で、シーズンを通して各処理を3回適用した。
【0161】
綿植物上の捕食性のビートル、捕食性のバグ、捕食性クサカゲロウおよびクモなどの益虫の処理前の計数を視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。各計数において、各処理の反復試験の無作為に選択した長さ2メートルの2本の畝、すなわち、1回の処理で、合計で8メートルを試験した。データを、各噴霧適用に係る各処理について数/m、および、数/m/シーズンの終了時の各処理に係るサンプル日と表記した。
【0162】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0163】
結果
処理試験区から同定した捕食性昆虫は、捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモであった(表7を参照のこと)。
【0164】
捕食性ビートル
チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区および対照(未噴霧)試験区において記録された捕食性のビートルの数/m/サンプル日に顕著な差異(P>0.05)はなかった(表20)。しかしながら、従来の殺虫剤で処理した試験区とチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区との間には顕著な差異が見出された(表20)。従来の殺虫剤で処理した試験区では、1.51匹の捕食性のビートル/m/サンプル日であったのに比して、配合物C(2.25匹)、配合物D(2.19匹)、配合物A(2.00匹)、配合物B(2.20匹)および対照(2.51匹)試験区では2.25、2.19、2.00、2.20および2.51匹であった(表20)。
【0165】
捕食性バグ
最も多数の捕食性のバグの数/m/サンプル日が対照試験区において記録された(1.78匹)が、これは、配合物B(1.65匹)、配合物A(1.25匹)、配合物C(1.16匹)および配合物D(1.25匹)で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表20)。従来の殺虫剤で処理した綿作物では、捕食性バグの数は最少であった(P<0.0001)(表20)。
【0166】
捕食性クサカゲロウ
捕食性クサカゲロウの数/m/サンプルに、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区および従来の殺虫剤処理試験区では、顕著な差異(P>0.05)は見出されなかった(表20)。最多のクサカゲロウの数/mは未噴霧試験区(1.01)において記録されたが、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表20)。対照的に、最少のクサカゲロウの数/mは従来の殺虫剤処理試験区で記録され、これは、対照試験区とは顕著に異なっていた(P<0.03)(表20)。
【0167】
クモ
クモの数/m/サンプル日(3.28匹)が未噴霧(対照)試験区で記録されたのに比して、2.52、3.10、2.78、2.73および2.13匹が、配合物C(2.52匹)、配合物D(3.10匹)、配合物A(2.78匹)、配合物B(2.73匹)および従来の殺虫剤(2.13匹)試験区で記録された(表20)。対照試験区で見出されたクモの数/m/サンプル日間の差異は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)が、従来の殺虫剤処理試験区とは異なっていた(P<0.0003)(表20)。従来の殺虫剤処理試験区で記録されたクモの数は、配合物D処理試験区を除き、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表20)。
【0168】
実施例20 シルバーリーフコナジラミに対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効力
以下のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物を、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)−b−バイオタイプ(シルバーリーフコナジラミ)の成虫および若虫に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)生成物の効力を判定する試験において用いた:これらは、
(1)配合物A(乳化剤を伴わない油中のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物)、
(2)配合物D(乳化剤を伴うチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物)
【0169】
Wee Waaに近いMerah northの商業用の綿作物におけるタバココナジラミ(Bemisia tabaci)に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物の効果
この試験は、Wee Waaに近いMerah northの商業用の綿圃場における従来のかんがい綿作物において実施した。2種類の試験を2週間にわたって実施した。評価した処理は、(1)2L/ha配合物A(2)2L/ha配合物D(3)未噴霧(未処理)対照であった。処理試験区を、3回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅24m、長さ100mであった。
【0170】
各処理の葉面処理を第1日目に行った。各処理において、処理前の計数を、綿植物の葉の下面のタバココナジラミ(B.tabaci)の成体および若虫について視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。各サンプル日においては、各処理の反復試験からの二十(20)本の植物を無作為に選択し、各植物の頂端の下方5番目の節の葉(早朝(9〜10am))におけるタバココナジラミ(B.tabaci)の成体を葉を裏返して注意深く視覚的に計数し、存在する個別の成体の数を計数した。
【0171】
若虫の場合、20本の植物の各々の頂端下方の5番目の節の1枚の葉を切除し、別々に注意深くプラスチックバッグの中に入れた。個別の葉を含むプラスチックバッグを実験室に持ち帰り、タバココナジラミ(B.tabaci)の若虫を双眼顕微鏡で計数した。成体および若虫の両方のデータを、各処理について数/葉として表記した。
【0172】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0173】
結果
研究サイトに存在するタバココナジラミ(B.tabaci)の型は、主にb−バイオタイプであった。配合物Aおよび配合物Dで処理した試験区において記録されたタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の数/葉は、未噴霧試験区よりも顕著に低かった(3DATでP<0.01、7DATでP<0.05、および、14DATでP<0.0001)(表21)。3DATでは、2L/ha配合物Dで処理した試験区で記録されたタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の死亡率は74.5%であるのに比して、2L/ha配合物A処理試験区では54.8であった(表21)。しかしながら、7および14DATでは、配合物A処理試験区の死亡率は、それぞれ、77.3および73.4%に増加したが、一方で、配合物D試験区では、それぞれ、対照を基準として60.4および73.2%であった(表21)。
【0174】
タバココナジラミ(B.tabaci)の若虫/葉の場合、3、7および14DATでは、配合物Aおよび配合物D処理した試験区間では顕著な差異(P>0.05)は見出されなかったが、未噴霧対照とは顕著に異なっていた(P<0.000l)(表22)。しかしながら、3DATでの配合物D処理試験区でのタバココナジラミ(B.tabaci)の若虫の死亡率(74.9%)は、対照を基準として、配合物A(28.2%)処理試験区よりも顕著に高かった(表22)。7および14DATでは、配合物A処理試験区で記録された死亡率は73.6および55.6%に増加したが、一方で、配合物D処理試験区での死亡率は、それぞれ、対照を基準として75.3および67.0%であった(表22)。
【0175】
実施例21 商業用の綿作物におけるタバココナジラミ(Bemisia tabaci)に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物および従来の殺虫剤の効果
この試験は、綿圃場における従来のかんがい綿作物において実施した。以下の処理を、タバココナジラミ(B.tabaci)−b−バイオタイプの成体および若虫に対して評価した:(1)2L/ha配合物A、(2)2L/ha配合物D、(3)Merah northで0.80L/haジアフェンチウロン(従来の殺虫剤)、および、(4)未噴霧(対照)。処理試験区を3回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅24m、長さ100mであった。
【0176】
各処理の葉面処理を2週間にわたって行った。各処理において、処理前の計数を、綿植物の葉の下面のタバココナジラミ(B.tabaci)の成体および若虫について視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。成体および若虫の両方のデータは、各処理について数/葉として表記した。
【0177】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0178】
結果
研究サイトに存在するタバココナジラミ(B.tabaci)型は主にb−バイオタイプであった。およそ等しいタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の数/葉が、3DATに、従来の殺虫剤で処理した試験区(15.33匹)で見つかったのに比して、配合物D、配合物Aおよび未噴霧試験区では18.00、11.33および25.00匹であった(表23)。7DATでは、配合物A処理試験区で記録された成体の数/葉は、配合物Dおよび従来の殺虫剤試験区と同じであったが、対照試験区とは顕著に異なっていた(P<0.0001)(表23)。対照的に、配合物Dおよび従来の殺虫剤試験区で見出されたタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の数/葉は、対照試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表23)。14DATでは、処理および対照試験区間で顕著な差異(P>0.05)は記録されなかった(表23)。しかしながら、3DATで、配合物D処理試験区(54.7%)でのタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の死亡率は、配合物A試験区(28.0%)および従来の殺虫剤試験区(38.7%)よりも高かった(表23)。7DATでは、タバココナジラミ(B.tabaci)の成体の死亡率(66.7%)は、対照を基準として、配合物D(38.9%)および従来の殺虫剤(32.2%)よりも高かった(表23)。対照的に、14DATでは、処理間の死亡率における差異は、対照を基準としておよそ同じであった(表23)。
【0179】
3DATでは、配合物Aおよび配合物Dで処理した試験区で見出されたタバココナジラミ(B.tabaci)の若虫の数/葉は顕著に異なっていなかった(P>0.05)が、従来の殺虫剤および未噴霧試験区とは顕著に異なっていた(P<0.06)(表24)。3DATでは、処理した従来の殺虫剤と未噴霧試験区との間に、有意差(P>0.05)は認められなかった(表24)。7DATで処理および対照間に顕著な差異(P>0.05)は見出されなかったが、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区と、従来と、未噴霧試験区との間では顕著な差異が見出された(表24)。死亡率の観点では、配合物Aおよび配合物D処理試験区では、タバココナジラミ(B.tabaci)の若虫の53.3および36.4%死亡率が比較されたが、これと比して、従来の殺虫剤処理試験区では、対照試験区より若虫の12パーセントの増加が記録された(表24)。7DATでは、配合物D処理試験区では47.5パーセント死亡率であるのに比して、配合物A(28.8%)および従来の殺虫剤(22.1%)であった。14DATでは、個別の処理によってもたらされた死亡率は、77.2パーセント(配合物A)、79.5%(配合物D)および60.6%(従来の殺虫剤)に増加した(表24)。
【0180】
文献
以下の書面による開示が本明細書において参照により援用されている。
1 Bernays,E.A.and Chapman,R.F.(1994).Host Plant Selection by Phytophagous Insects.Chapman and Hall.London.
2 Mensah,R.K.,Verneau,S.and Frerot,B.(2000).Deterrence of oviposition of adult Ostrinia nubilalis(Hubner)by a natural enemy food supplement Envirofeast* on maize in France.International Journal of Pest Management 46(1),49−53
3 Mensah,R.K.(1996).Suppression of Helicoverpa spp.oviposition by use of natural enemy food supplement“Envirofeast”.Australian Journal of Entomology,35,323−329.
4 Mensah,R.and Moore,C.J.(1999).A Review of Behaviour Modifying Chemicals in Relation to Pest Host Selection and Management on Australian Cottons.CRDC.
5 Miller,J.R.and Cowles,R.S.(1990).Stimulo−deterrent diversion:a concept and its possible application to onion maggot control.J.Chem.Ecol.16:3197−3212.
6 Pyke,B.,Rice,M.,Sabine,G.and Zalucki,M.(1987).The push−pull strategy−behavioural control of Heliothis.Australian Cotton Grower 9:7−9.
7 Rhoades,D.F.and Coates,R.H.(1976).Towards a general theory of plant anti−herbivore chemistry.In:J.W.Wallace and L.Mansell,eds.Biochemical Interactions Between Insects and Plants.Pp.168−213.Plenum,New York.
8 Tingle,F.C.and Mitchell,E.R.(1984).Aqueous extracts from indigenous plants as oviposition deterrents for Heliothis virescens.J.Chem.Ecology 10:101−113
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