【実施例】
【0078】
綿有害生物を防除するための商業綿システムにおいて、誘引または避難作物として用いることが可能である植物を特定するための研究を実施した。本研究において、アルファルファ、キマメ、モロコシ、スウィートコーンおよびチョウマメ(Clitoria ternatea)および綿ゲノタイプなどの広範な植物を、商業上の綿畑に、12メートルの畝に植えた。特にヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)といったこれらの作物における有害生物の遷移、卵および幼虫の計数を綿の季節を通じて2週間毎に実施した。試験の結果から、チョウマメ(Clitoria ternatea)に外寄生するヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)および他の綿有害生物は、綿および他の避難作物におけるものよりも顕著に少なかったことが明らかになった。それ故、植物は、昆虫有害生物を殺すかその行動を変え得るいくらかのSPCを含有していると考えられた。チョウマメ(Clitoria ternatea)はSPCの特定および有害生物を防除するためのこれらのSPCの使用という観点では過去に注目を集めてはいなかったため、この植物のバイオアッセイによる分別により、過去において知られていない生物学的有害生物防除用の化合物または画分が明らかにされ得ることが予期された。
【0079】
実施例1 チョウマメ(Clitoria ternatea):毒性摂食実験
ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)および他の綿有害生物のチョウマメ(Clitoria ternatea)に対する外寄生はテストした綿および他の避難作物のものよりも顕著に低いことが明らかにされた圃場試験の結果に基づいて、これに係る可能性のある理由および関与するSPCの調査を行った。この研究では、毒性化合物を含有し得る植物構造部の位置、および、農作物における有害生物を管理するための配合生成物としてのチョウマメ(Clitoria ternatea)の使用をも確認した。
【0080】
ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の1令および2令幼虫に対する植物構造部の毒性
チョウマメ(Clitoria ternatea)の構造部または部分(すなわち、新しい葉、中間の葉、古い葉、−完全なさやおよび切断したさや;未成熟(未熟)の種子、成熟した種子;粉砕した未熟な種子および粉砕した成熟した種子)を準備し、直径12mmのペトリ皿中の100μLの蒸留水で湿らせたろ紙の上に個々に置いた。ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫1匹を各ペトリ皿中の植物構造部の各々の上に置き、シールした。各処理を4回繰り返した。次いで、ペトリ皿を、25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータ中に置き、9日目まで毎日死亡を確認した。各処理に係る死亡率を1〜2日目、3〜4日目および5〜9日目で計算した。
【0081】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0082】
結果
表1は、チョウマメ(Clitoria ternatea)(チョウマメ(Clitoria ternatea))の異なる部分に対するヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の死亡率を表す。結果は、チョウマメ(Clitoria ternatea)中の毒素はすべての植物部位に存在しており、葉が最も多かったことを示す。H.プンクチゲラ(H.punctigera)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)中の毒素に対してオオタバコガ(H.armigera)の幼虫よりも影響されやすいことが見いだされた。
【0083】
実施例2 チョウマメ(Clitoria ternatea)の粗抽出
溶剤および抽出法の選択
抽出に用いた極性の異なる3種の溶剤は水(高極性)、メタノール(中間極性)およびヘキサン(無極性)であった。本研究の早期の段階において表面のすすぎと均質化の両方を行った。洗浄プロセスでは、葉を溶剤の中で30秒間振盪し、1mL当たり1gの新しい葉の重量と同等の濃度となる体積にまで溶剤を蒸発させた。葉を溶剤中に一晩浸してから工業用ワーリングブレンダー中で10分間混ぜることによりホモジェネートを調製した。次いで、ブレンドした葉原料をろ過し、表面洗浄に係る調節した体積と同じになるまで蒸発させた。ヘキサン抽出の場合には、分離漏斗を用いてすべての水性相を排除し、ヘキサンを適切な体積にまで蒸発させた。
【0084】
メタノールおよびヘキサン抽出物はロータリーエバポレータを用いて濃縮し、水抽出物は凍結乾燥機を用いて濃縮した。
【0085】
メタノール抽出
SPE分別およびバイオアッセイ用の画分の後の供給のためのメタノール抽出物の調製については、凍結乾燥した植物原料を用いた。各々が約45g以下の植物原料を含有する12個以下の容器を一定の重量となるまで乾燥させた(24〜30時間)。凍結乾燥した重量は一般に湿潤重量の25%〜30%であった。
【0086】
凍結乾燥した原料(重量)を2〜3mmに切断し150mLビーカ中に計量した。HPLC−グレードメタノール50mLを加え、サンプルを20分間超音波処理した。溶剤をろ過し、植物塊を組み合わせた濾液で同様にさらに3回処理し、次いで、ロータリエバポレータを用いて乾燥するまで蒸発させた。水浴温度は40℃に維持した。
【0087】
エタノール抽出
500gの空気乾燥し、粉末化した植物原料を熱エタノールを用いて完全に抽出した。ソックスレー抽出器を24時間操作し、溶剤を蒸発させたところ、80gの抽出物(16%)が得られた。比較のために、他のサンプルについて常温のエタノールおよび24時間超の浸漬を用いて別途抽出を行った。このプロセスでは、最初の浸漬で25gの抽出物(5%)が得られた。抽出は反復しなかった。
【0088】
抽出物の分別
固体相抽出(SPE)を用いて抽出物を分別し、および、40μm/120μmの不定形状の酸洗浄シリカ(60Å平均間隙率)を三官能性オクタデシル結合官能基と共に含むC18疎水性シリカ系固体相SPEカートリッジ(Varian Bond Elute(Part No.12256001)またはPhenomenex Strata C18−E(Part No.8B−S001−JCH))を用いて、昆虫に対する生物学的アッセイ用の画分を得た。すべてのカートリッジをAlltech Vacuumマニホルド(Part No.210351))で同時に処理した。SPEカートリッジを用いて、1.5のg湿潤重量の凍結乾燥した植物原料を収容したところ、コンディショニングしたカートリッジに固体として加える前に、乾燥した抽出物をセライトろ過助剤(Merck Celite 545,0.02〜0.1mm)上に分散させた場合に、より良好に分画されたバンドが得られた。この目的のために、パスツールピペットの球状の端部を用いて(ピペットの首にあるくびれで計量(約0.2g))、ロータリーエバポレータに取り付けた予め計量した小さいバイアルにすすぎながら移した残りの9mLのサンプルに、一定量のセライトを6回入れた。セライトを完全に混合した後、バイアルの内容物をN
2下でペースト状になるまで乾燥させ、次いで、ロータリーエバポレータを用いて完全に乾燥させた。SPEカートリッジを5mLのメタノール、続いて、5mLの水のほとんどすべてを通すことによりコンディショニングをした。乾燥させたサンプル/セライト残留物の六分の一を6つのコンディショニングしたSPEカートリッジの各々にスパチュラで移した。次いで、基本手順としてカラムに5mL水、続いて、メタノール/水混合物のアリコート、精製メタノール、次いで、アセトンを通し、すべての溶出液を回収した。
【0089】
HPLC分析
ダイオードアレイデテクタを備えるAgilent 1100機器を分析用クロマトグラフィーに用いた。カラムは、30℃で保持したシリカ系Phenomenex Luna 5μm C18(2)、150mm×4.6mmであった。通常は20μLである様々な体積のろ過したサンプルを、20分間で5%MeOHから100%MeOHとし、28分まで保持し、30分までに5%MeOHに戻し、37分まで保持して平衡化する酸性化メタノール/水勾配溶離プログラムを用いて分析した。移動相の両方の成分が0.5%酢酸を含有する。流量は通常1mL/minとした。フォトダイオード−アレイデテクタで、データを254nm、280nm、360nm、430nmおよび450nmで集めた。以下に図示したすべてのクロマトグラムは、280nmで得たものである。
【0090】
結果
チョウマメ(Clitoria ternatea)のメタノール抽出物からのSPE画分の化学および構造分析が
図1に示されている。一番上のトレースが、凍結乾燥植物原料の粗メタノール抽出物のものである。その下のものは、溶剤の極性を高めてSPEカートリッジから連続して溶出した種々の画分(1〜6)を表す。予期していたとおり、SPE分別およびHPLC分析の両方に共通の逆相分離プロセスでは、より長い滞留時間で後期の画分に現れる、固定相に対してより高い親和性を示す化学成分がもたらされる。
【0091】
実施例3 メッシュハウスにおける綿植物へのヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の産卵に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効力(強制テスト)
この実験は、チョウマメ(Clitoria ternatea)から単離した画分の産卵抑止作用を判定するために実施した。テストしたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、(1)画分1、(2)画分2、(3)画分3、(4)画分4、(5)画分5および(6)画分6、および(7)未処理(対照)であった。各処理を完全ランダム化法で4回反復した。実験に用いた植物は黒色土(圃場由来)中の直径8cmのポットに植え、週に3回灌水した。植物に一度だけ施肥した。ポットに植えた植物を、自然環境への露出を増やすと共に、有害生物外寄生の可能性から保護することが可能であるメッシュハウスの中で保持および維持した。一旦植物が本葉4枚の段階に達したら、各処理の0.25mLの抽出物を葉の各々に載せ(1つのポットで1mL)、表面全体に均一に塗った。次いで、植物に覆いをかけ、3匹の交尾済みの(羽化後5日目)雌のガをケージ内に放った。処理から3日後に卵を計数した。産卵抑制指数(ODI)を以下のとおり算出した:ODI=100×(C−T)/(C+T)(式中、C=対照における合計産卵数;T=処理したろ紙における卵の合計)。
【0092】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0093】
結果
オオタバコガ(H.armigera)雌成体を用いて実験用条件下で実施した強制テストでは、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分3および画分4(表2)は、テストした他のすべての画分(表2)よりも、植物当たりの産卵数が顕著に少ない(P<0.001)ことが確認された。それ故、これらの2種の画分は産卵抑止化合物を含有する可能性がある。
【0094】
実施例4 実験室における、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫の綿植物の葉ディスクへの摂食に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効力(強制テスト)
この実験は、強制テストにおいて綿葉を用いて実施した。オオタバコガ(H.armigera)の2令幼虫を摂食バイオアッセイに用いた。テストしたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、(1)画分1、(2)画分2、(3)画分3、(4)画分4、(5)画分5、(6)画分6、および(7)水処理(対照)であった。各処理を完全ランダム化法で4回反復した。ガラス温室内で栽培していた植物から採った3日目の綿葉を研究に用いた。葉を、各処理の1mLの抽出物で処理した。抽出物に対する選好性または忌避性を防ぐために、葉面の各々の面に0.5mLを適用した。葉をドラフト中で1時間かけて空気乾燥させた。
【0095】
一旦空気乾燥し、処理した葉の各々から25mmのディスクを切り出し、これを計量し、55mmのペトリ皿に置いた。ろ紙を100μLの蒸留水で湿らせて、ディスクの乾燥を防いだ。1匹の所望のサイズの幼虫を計量し、ペトリ皿の各々に入れた。次いで、ペトリ皿を、25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータに48時間入れた。
【0096】
次いで、処理から48時間後に葉ディスクおよび幼虫の両方を計量した。実験の前後での葉ディスクおよび幼虫の両方の重量差を各処理および対照について算出して、処理に何らかの摂食阻害効果があるかを判定した。
【0097】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0098】
結果
チョウマメ(Clitoria ternatea)の画分ならびにオオタバコガ(H.armigera)の2令および3令幼虫を用いて実施した強制バイオアッセイにおいて、テストした他の画分および対照と比して、画分2、4および6で処理した葉は消費量が少なく、結果として幼虫の体重の増加も小さかった(
図2a)。画分2は、2令幼虫の重量が低減するほどに、画分4および6よりも強い抑止効果を有していることが明らかである(
図2b)。
【0099】
実施例5 実験室におけるヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫の毒性に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効力(強制テスト)
この実験は、強制テストにおいて綿葉を用いて実施した。オオタバコガ(H.armigera)の2令幼虫を摂食バイオアッセイに用いた。テストしたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、(1)画分1、(2)画分2、(3)画分3、(4)画分4、(5)画分5、(6)画分6、および(7)水処理(対照)であった。各処理を完全ランダム化法で4回反復した。ガラス温室内で栽培していた植物から採った3日目の綿葉を研究に用いた。葉を、各処理の1mLの抽出物で処理した。抽出物に対する選好性または忌避性を防ぐために、葉面の各々の面に0.5mLを適用した。葉をドラフト中で1時間かけて空気乾燥させた。
【0100】
一旦空気乾燥し、1匹の2令幼虫を、100μLの蒸留水で湿らせたろ紙上に直径25mmの葉ディスクを入れたペトリ皿に入れ、シールした。次いで、ペトリ皿を25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータに入れ、3日間にわたって幼虫の死亡率を毎日チェックした。
【0101】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0102】
結果
この研究の結果はまたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分は、2令オオタバコガ(H.armigera)の幼虫に対して抗菌効果を有していたことを示した。この実験は、画分2、3および4は、これらの処理における48時間後の死亡率が対照よりも高いことから、幼虫に有害な化合物を含有することを示した(
図3)。この図は、48時間後には、テストに供した10匹中7匹の幼虫が48時間の期間のうちに死んだことを示す。
【0103】
実施例6 抵抗力の低い綿ゲノタイプ(ルメイン(Lumein))の葉に適用したチョウマメ(Clitoria ternatea)画分2の摂食抑止作用
マスキング実験を実施して、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の幼虫摂食を刺激することで知られている綿ゲノタイプに対するヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の2令幼虫の摂食応答効果または摂食阻害効果を観察および定量化した。ACRIで、実験室においてオオタバコガ(H.armigera)の2令幼虫を用いてテストを実施して、特定されている摂食刺激物資(ルメイン(Lu Mein)画分3)と摂食抑止剤(チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2)との組み合わせを用いた相互作用の効果を判定した。
【0104】
この実験においては、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2をルメイン(Lu Mein)と呼ばれる綿ゲノタイプの葉ディスクに適用した。第2の葉ディスクを水で処理した。一旦空気乾燥し、1匹の2令幼虫を、100μLの蒸留水で湿らせたろ紙上に直径25mmの葉ディスクを入れたペトリ皿に入れ、シールした。この実験を、完全乱塊法で10回反復した。次いで、ペトリ皿を25℃(±2℃)、14時間の明時間/10時間の暗時間としたLabecインキュベータに入れた。幼虫を48時間摂食させ、消費された葉の重量および幼虫の重量を算出し、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2で処理した葉ディスクと水処理葉ディスクとの間で、消費された葉、および、重量の低減または増加の差を分析した。
【0105】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較テストを用いて平均を分けた。
【0106】
結果
この研究の結果は、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2はルメイン(Lu Mein)の葉の摂食刺激効果をマスクし、水処理されたものと比して1匹の幼虫によって消費される葉の量を低減させることを示した(
図4)。これは、結果として、対照と比して幼虫の重量の増加を低減させた(
図5)。
【0107】
実施例7 ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の綿植物への産卵に対するヘキサン中に配合されたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効果。
メッシュハウスにおけるヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の産卵を判定する研究のために、チョウマメ(Clitoria ternatea)画分2、3および4を組み合わせ、ヘキサン中に配合した。植物が本葉6枚の段階にある時に、1つのメッシュケージ(100cm×50cm×70cm)において3回の実験を実施した。チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の0(対照)、20%v/v、15%v/vおよび10%v/vの濃度を表す4回の処理を用いた。10本の綿植物を処理の各々に無作為に割り当て、メッシュケージ中に囲った。各処理では、小型の手持ち式噴霧器を用いて流出点まで適用した。対照植物には水を噴霧した。各処理は、異なるケージ中において、完全ランダム化法で4回反復した。20匹の交尾済みの雌ガを各ケージ中に放して処理した植物に産卵させた。処理の3日後に、処理の各々における植物当たりの卵の数を計数し、植物当たりの卵の数を算出した。データは、卵の数/植物/処理として表記した。
【0108】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVA(Graphpad Instat Software Inc.,v2.03,San Diego,CA,USA)を用いて分析した。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0109】
結果
この研究の結果は、10%、15%および20%v/vで組み合わせたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分で処理した綿植物で記録された卵の数/mは、実施した3回の実験のすべてにおいて未処理(対照)植物よりも顕著に少ないことを示した(P<0.001)(
図6a、および
図7)。チョウマメ(Clitoria ternatea)濃度間において顕著な差異(P>0.05)は認められず、10%v/v濃度は15および20%v/v濃度と同様に効果的であることが示された(
図6A、Bおよび
図7)。ヘキサン配合物は綿植物に有害であり、葉に焼けを生じさせたこともまた観察された。
【0110】
実施例8 チョウマメ(Clitoria ternatea)画分による圃場実験−ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の綿植物への産卵に対するヘキサン中に配合した組み合わせたチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の効果
チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物2、3および4をヘキサン中に配合し、圃場試験のために、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)に対して従来の綿作物に用いた。この試験は商業用の従来の綿作物で実施した。チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物を、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵および幼虫に対する効力について、3種の異なる濃度(1)20%v/v(2)15%v/v(3)10%v/vおよび(4)対照(未噴霧)で評価した。各処理を完全乱塊法で4回反復した。各反復試験または処理試験区は、全長100メートルおよび全幅6メートルまたは畝で計測した。配合したチョウマメ(Clitoria ternatea)画分の異なる薬量での葉面処理を、15リットルの水に入れて、24日間の間隔をあけて試験中に2回適用した。ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵および幼虫を、1メートルの畝の無作為に選択した綿植物で視覚的に査定した。処理適用の1日前に処理前の計数を行い、処理後の計数を、処理の7、14、21および28日後に行った。データは、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵および幼虫の数/m/サンプル日と表記した。
【0111】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat Software Inc.,v2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0112】
結果
顕著な差異(P<0.001)がチョウマメ(Clitoria ternatea)画分で処理した綿植物および未処理(対照)植物間で見出された(
図8)。しかしながら、産卵抑止作用においては、顕著な差異(P>0.05)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)の濃度間では認められなかった(
図8)。
【0113】
異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区で記録した、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)のきわめて小さいおよび小さい(1令〜3令)幼虫の数/m/サンプル日は、未処理(対照)試験区よりも顕著に少なかった(P<0.001)(
図7)。しかしながら、顕著な差異(P>0.05)は、テストした異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)生成物間では見出されなかった(
図8)。
【0114】
実施例9 メッシュハウスにおける綿植物へのオオタバコガ(Helicoverpa armigera)の雌の産卵に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効力
カノーラ油および粗綿実油中の異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理したポットに植えた綿植物に対する交尾済みのヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の産卵応答を評価した。この研究において用いた植物はポットに植えた同齢のさく果を形成している綿植物であった。この実験は強制条件下で実施した。評価した処理は、(1)カノーラ油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)、(2)カノーラ中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)、(3)粗綿実油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)、(4)粗綿実油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)および(5)対照(水)であった。各処理は、10本の植物を含む処理の各々で8回反復した。各処理を、それぞれの綿植物に流出点まで適用した。10本の植物の各処理の反復試験を4匹の交尾済みのオオタバコガ(H.armigera)雌を含むプラスチックケージ中に囲って植物に産卵をさせた。処理の4日後に、各植物上の卵を計数し、記録した。データは卵の数/植物と表記した。
【0115】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0116】
結果
卵の数/植物における顕著な差異は、異なるチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した植物間では認められなかった(表3)。しかしながら、卵の数/植物における顕著な差異は、処理した植物と対照植物との間では認められた(表3)。顕著に多い(P<0.0001)卵/植物が、チョウマメ(Clitoria ternatea)油配合物と比して、対照植物において記録された(表3)。
【0117】
実施例10 実験室におけるオオタバコガ(H.armigera)の幼虫の死亡率に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効果
この研究は、ACRIで、実験室において人工餌料で飼育したヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)で実施した。この実験の最中、実験室は、25℃の温度および55〜60%の相対湿度に維持した。評価した処理は、(1)綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(2)粗綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(3)カノーラ油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)および(4)対照(水)であった。各濃度について、本発明者は、合計で48匹の2令幼虫(12匹の幼虫/反復試験)に流出点まで噴霧した。噴霧適用の後、各処理からの幼虫を移し、各処理と個々に混合したダイズ系人工餌料を含む35mLの透明なプラスチック容器(P10M;Solo,Urbana,Illionis,USA)中に移し、保持した。各処理を4回反復した。対照におけるすべての幼虫が蛹化した処理の14日後に、死亡した幼虫の数を計数し、各処理において記録した。
【0118】
データの分析
実験データのすべてを、Instat,version 2.03(Graphpad Instat Software Inc.,San Diego,California,USA)でANOVA法を用いて分析した。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0119】
結果
14DATでは、死亡した幼虫の数は粗綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)において最も多く、続いて、カノーラおよび綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)において多かった(
図9)。水(対照)においては、幼虫の死亡は記録されなかった(
図9)。また、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区において死亡していない幼虫のほとんどは病化しており、不活発であった(
図9)。対照において病化した幼虫はなく、すべての幼虫が蛹化した。総合的に、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理した幼虫の成長は、対照と比して平均で4日遅延された。
【0120】
実施例11 従来の綿における有害生物および益虫に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)油配合物の効力
この研究は、商業用の従来の綿作物の後期において実施した。試験はいずれかの特定の有害生物を標的とはしておらず、処理を綿作物に適用して、Namoi下流領域における綿期間中に作物にいたすべての有害生物および捕食性昆虫に対する効力を評価した。評価した処理は、(1)カノーラ油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(2)カノーラ油中の2%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(3)粗綿実油中の1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(4)粗綿実油中の2%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)、(5)未噴霧(対照)であった。各処理は完全乱塊法で3回反復した。各反復試験は、全長100メートルおよび全幅6畝またはメートルで計測した。
【0121】
各処理の葉面処理を第1日目に行った。以下の有害生物:グリーンミリド(クレオンチアデスジルツス(Creontiades dilutus))、コットンルーパー(ワタアカキリバ(Anomis flava))、ミナミアオカメムシ(ミナミアオカメムシ(Nezara viridula))およびアップルディンプリングバグ(カムピロムマリエブクネクチ(Campylomma liebknechti))、ならびに、各処理における試験期間では研究サイトにおいて大量に存在していた捕食性昆虫(捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモ)の視認による計数を、処理の24時間前、ならびに、処理の3、5および7日後に行った。計数は、各処理の反復試験における2本の無作為に選択した全長1メートルの綿の畝、すなわち、合計で6メートル/処理で行った。計数は、種々の有害生物および捕食虫に分けた。益虫は、捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモにグループ化した。データは数/mと表記した。
【0122】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat Software Inc.,v2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0123】
結果
試験期間中の試験サイトにおける主たる有害生物はグリーンミリド、コットンルーパー、ミナミアオカメムシおよびアップルディンプリングバグであった。ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)は試験サイトに存在していなかった。従って、ここで記録したデータは、テスト期間中に大量に存在していたこれらの有害生物に対するものである。
【0124】
グリーンミリドに対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の効果
研究試験区において記録したグリーンミリドの数/mは、0.17〜0.33匹/mの範囲であった(表4)。3DATでは、すべてのチョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区においてミリドは記録されず、一方で、未噴霧試験区では0.33匹/mと記録された(表4)。5DATでは、2%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区において記録されたミリドの数/mは未噴霧試験区とは顕著に異なっていた(P<0.01)が、1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表4)。1%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区で記録されたグリーンミリドの数は、5DATでは未噴霧(対照)試験区とは顕著に異なっていなかった(表4)。7DATでは、処理済みおよび対照試験区で記録されたグリーンミリドの数/mは、顕著に異なっていなかった(表4)。これは、植物に処理前に産卵されたミリドの卵の孵化のため、また、激しく繁茂した実綿のために植物の多くを除去したことによる生成物の適用度が低くなってしまったためであり得る。
【0125】
コットンルーパー対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の効果
これらは、試験中において、研究サイトの綿作物に最も大量に存在していた昆虫種であった。この研究は、対照と比して、顕著に少ない(P<0.05)コットンルーパー/mがチョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区において記録されたことを示した(表5)。3DATでは、コットンルーパー死亡率は、粗綿実油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区で最も高く(58.9%)、次いで、粗綿実油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)が高かった(47.2%)(表5)。カノーラ種子油中の1%および2%チョウマメ(Clitoria ternatea)は、それぞれ、26.6および42.9%死亡率をもたらした(表5)。未噴霧試験区では、同時にコットンルーパー個体群の10%の増加が記録された(表5)。
【0126】
アップルディンプリングバグに対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の効果
異なる濃度のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物は、3DATで、研究サイト中のADB個体群に顕著な効果を有していた(表6)。最も多いADBの死亡数は、3DATの時点では、粗綿実油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)で処理した試験区において記録され(65.9%)、次いで、カノーラ油中の2%チョウマメ(Clitoria ternatea)で記録された(64.0%)(表6)。カノーラおよび粗綿実油中の1%チョウマメ(Clitoria ternatea)では、それぞれ56.8および52.1%の死亡率が3DATに記録された(表6)。
【0127】
益虫
処理試験区で同定された益虫は主に捕食虫であり、これらは捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモを含む(表7)。
【0128】
処理および対照間で、捕食性のビートル(表8)、バグ(表9)、クサカゲロウ(表10)およびクモ(表11)の数に顕著な差異は認められなかった。これは、チョウマメ(Clitoria ternatea)生成物は綿における益虫に効果を有していないことを示す。
【0129】
実施例12 綿有害生物に対する実験室での試験用のチョウマメ(Clitoria ternatea)の配合物
チョウマメ(Clitoria ternatea)原料を、異なる成長段階で、異なる3箇所で収穫した。抽出物を、加熱乾燥し、80℃水浴中に1時間かけて植物を浸軟(各溶剤で30g)することにより形成した。24時間後にろ過および蒸発を行った。溶液を400℃の減圧下で蒸発させ、一方で、水溶液の蒸発を水浴を用いて行った。この溶液を分別化濃縮物が得られるまで蒸発させた。分別化濃縮物を、界面活性剤(C12〜C15エトキシレートおよびTeric(登録商標)(Huntsman)、乳化剤(Termul(登録商標)3000)、ならびに、粗綿実油、精製綿実油およびカノーラ油などの低分子量油中に配合した。減圧および圧力を加えて、ろ過を効率化した。
【0130】
綿有害生物および益虫に対する実験室および圃場バイオアッセイにおいて用いるために、4種の配合物を用意した。配合物は以下のとおりである:
(1)乳化剤を伴わない油中のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物(配合物A)、
(2)乳化剤を伴うがチョウマメ(Clitoria ternatea)を伴わない配合物(配合物B)、
(3)乳化剤を伴うチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物(配合物C)および
(4)乳化剤を伴うチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物(配合物D)
【0131】
実験室におけるグリーンミリドの死亡率に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の異なる薬量の効果
25℃の温度および55〜60%の相対湿度の実験室において、4種の配合物を0.5%、1.0%、1.5%および2.0%(v/v)で評価した。水を対照として用いた。各配合物に対して、1処理当たりインゲン上の合計で6匹(3組)の雌および雄の成体ミリド(1組反復試験)に流出点まで噴霧した。追加的に、インゲンも各処理において60秒浸漬させた。処理適用後、1組のグリーンミリド(雄および雌)を、35mLの透明なプラスチック容器(P101M;Solo,Urbana,Illionis,USA)中に移し、別々に保持した浸漬済みのインゲンの上に放した。各処理を3回反復した。死亡したミリド成体の数を計数し、最も効果的な処理においてすべての昆虫が死亡するまで毎日記録した。対照を基準として死亡率を算出した。
【0132】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0133】
結果
顕著な差異(P<0.01)が処理間で認められた(表12)。チョウマメ(Clitoria ternatea)を0.5%v/vで適用した場合にはミリドの死亡数は減少した。適用量の増加に伴って、死亡したグリーンミリドの数が顕著に増加した(表12)。配合物Aは、グリーンミリド成体に対して、テストしたすべての薬量で最も高い死亡率をもたらした(表12)。1%v/v薬量では、配合物Aは55.7%の死亡率がもたらされたのに比して、配合物Cおよび配合物Dでは、それぞれ、44.3%であった(表12)。生成物を2%v/v薬量で適用した場合、最も高い死亡率は、配合物A(100%)、配合物C(89%)および配合物D(100%)によりもたらされた(表12)。チョウマメ(Clitoria ternatea)を含有していなかった配合物Bによりもたらされたグリーンミリドに対する死亡率は、チョウマメ(Clitoria ternatea)を含有する他の配合物よりも顕著に低く(P<0.01)、水(対照)で処理した昆虫とは顕著に異なっていなかった(表12)。
【0134】
実施例13 グリーンミリド成体の生存に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の直接適用および残留物の組み合わせの効力。
チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である、配合物A、配合物Cおよび配合物Dを、25℃の温度および60〜70%RHの実験室において、1および2L/haで評価した。対照として水を用いた。各配合物に対して、1処理当たり合計で6匹(3組)の雌および雄の成体ミリド(1組/反復試験)にインゲン上で流出点まで噴霧した。また、インゲンを各配合物に60秒浸漬し、35mLの透明なプラスチック容器(P101M;Solo,Urbana,Illionis,USA)中に移し、別々に保持した。その後、1匹の雄および雌グリーンミリド(1組)をプラスチック容器中のインゲンに放した。各処理を3回反復した。死亡したミリド成体(雄および雌)の数を計数し、処理の3、5、7、9および11日後に記録し、対照を基準として死亡率を算出した。
【0135】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0136】
結果
グリーンミリド雄成体の死亡率に対する効力
3DATでは、33.3%の死亡率をもたらした2L/ha配合物Aを除き、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理のいずれもグリーンミリド雄成体を死亡させていなかった(表13)。5DATでは、2L/haで適用した配合物Dおよび配合物Aは33.3%の死亡率をもたらしたが、一方で、より低薬量では、チョウマメ(Clitoria ternatea)生成物はミリドを全く殺さなかった。1L/ha薬量では、チョウマメ(Clitoria ternatea)生成物は33.3%のグリーンミリドの死亡率を7DATでもたらしたが、一方で、2L/ha薬量では66.7%がもたらされた(表13)。9および11DATでは、2L/ha配合物Aおよび配合物Dはミリドを100%死亡させたが、一方で、1L/ha薬量および2L/ha配合物Cは66.7%を死亡させた(表13)。
【0137】
実施例14 グリーンミリド雌成体の死亡率に対する効力
3DATでのグリーンミリド雌成体の死亡率はゼロであったが、5DATでは33.3%であった(表14)。雌成体およびインゲンを2L/ha配合物Aおよび配合物Dで処理した場合の死亡率は7DATで66.7%であるのに比して、1L/ha配合物Dおよび配合物Aで処理した場合は33.3%であった(表14)。1L/ha配合物Cで処理した昆虫のいずれも7DATでは死亡しておらず、わずかに33.3%が9および11DATに死亡した。対照的に、2L/ha配合物Aおよび配合物Dの適用では雌成体のすべてが9DATで死亡し、一方で、2L/ha配合物Cでは昆虫の77.7%が、ならびに、1L/ha配合物Dおよび配合物Aでは昆虫の66.7%が死亡した。11DATでは、わずかに33.3および66.7%がそれぞれ死亡した1L/ha配合物Cおよび1L/ha配合物Dで処理した昆虫を除いて、すべての処理された昆虫が死亡した(表14)。
【0138】
実施例15 実験室における、インゲンでのグリーンミリド成体に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の産卵抑止作用:
合計産卵数に対する効果
25℃の温度および40%RHの実験室において、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である配合物A、配合物B、配合物Cおよび配合物Dを、0.5%、1.0%、1.5%および2.0%(v/v)で評価した。対照として水を用いた。各配合物に対して、1処理当たり合計で6匹(3組)のグリーンミリドの雌および雄の成体ミリド(1組/反復試験)に、ろ紙上で流出点まで噴霧した。インゲンを各配合物中に60秒浸漬し、次いで、35mLの透明なプラスチック容器(P101M;Solo,Urbana,Illionis,USA)の中に移し、別々に保持した。3組の処理したグリーンミリド成体を各プラスチック容器中の処理したインゲンの上に放した。各処理を4回反復した。卵の数を双眼顕微鏡で計数し、処理の1つにおけるすべての昆虫が死亡した処理の9日後まで毎日記録した。データを産卵数/雌と表記し、処理間で比較した。
【0139】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVA(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)を用いて分析した。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0140】
結果
インゲンへのグリーンミリドの産卵数は、配合物Aで処理した昆虫において、他の処理および対照よりもすべての濃度で顕著に少なかった(P<0.001)(表15)。0.5%v/vチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物では、1.17個の卵/雌が配合物Aで処理したインゲンに産卵されたのに比して、配合物Cおよび配合物Dで処理した植物においては、それぞれ、8.58および7.25個/雌であった(表15)。配合物Bおよび未噴霧のインゲンは、それぞれ、11および12.42個の卵/雌を有していた(表15)。1.0%v/vでは、配合物Dで処理した昆虫およびインゲンに係る産卵数/雌は配合物A、配合物Bおよび配合物Cと同じであったが、配合物Aは合物Bおよび配合物Cとは異なっていた。配合物Aおよび配合物Dで処理した植物における記録された卵の数/雌は、対照よりも顕著に少なかった(P<0.0009)(表15)。1.5および2L/ha薬量では、配合物A、配合物Cおよび配合物Dで処理した昆虫およびインゲンにおいて卵の数/雌に顕著な差異は認められなかった。しかしながら、配合物Aで処理した昆虫およびインゲンにおける卵の数/雌は、配合物Bおよび未噴霧(対照)よりも顕著に少なかった(P<0.005およびP<0.01)(表15)。
【0141】
実施例16 実験室における、インゲンにおけるグリーンミリド雌成体に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)の産卵抑止作用:処理後の日数および雌成体による産卵。
25℃の温度および40〜55%RHの実験室において、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である、配合物C、配合物Dおよび配合物Aを、1および2L/haで評価した。水を対照として用いた。各配合物に対して、1処理当たり合計で6匹の成体ミリド雌および雄(3組)(1組/反復試験)にろ紙上で流出点まで噴霧した。3本のインゲンを各処理または配合物において60秒浸漬した。各処理からの各ミリド組および処理したインゲンを、35mLの透明なプラスチック容器(P101M Solo,Urbana,Illionis,USA)に移し、別々に保持した。各処理を3回反復した。各処理におけるグリーンミリドの産卵数/雌を、処理の3、5、7、9および11日後に双眼顕微鏡で計数した。卵の数/雌/処理を算出し、処理および対照間で比較した。
【0142】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0143】
結果
グリーンミリド雌成体は、3〜11DATでは、2L/ha配合物Aで処理したインゲンに産卵をしなかった(表16)。1L/ha配合物Aで処理したインゲンは3DATでは産卵が記録されなかったが、5〜11DATでは、1L/ha配合物Aで処理したインゲンにおいて記録された卵の数は0.67〜2.00個/雌の範囲であった(表16)。3DATでの1L/ha配合物C、配合物Dおよび水で処理したインゲンにおける産卵数は、それぞれ、0.33、0.67および2.00個/雌であった(表16)。同じ期間で、2L/ha配合物Cおよび配合物Dで処理したインゲンのそれぞれにおいて産卵は記録されなかった(表16)。5DATでは、1L/ha配合物Cおよび配合物Dで処理したインゲンはそれぞれ10および8.67個の卵/雌を有しており、対照は5.33個/雌を有していた。配合物Cおよび配合物Dの施用量を2L/haに2倍にした場合、産卵数/雌は4.00個(配合物C)および6.00個(配合物D)に低減され、これは、1L/ha薬量とは顕著に異なっていた(P<0.01)(表16)。7〜11DATでは、2L/ha配合物Cおよび配合物Dで処理したインゲンにおける産卵数は1L/ha薬量および対照とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表16)。
【0144】
実施例17 綿有害生物に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効力
試験を、NarrabriのAustralian Cotton Research Instituteの圃場での商業用の従来のかんがい綿作物で実施した。一条のヒマワリを圃場の片側に植えて、グリーンミリドおよび他の綿有害生物および益虫を高密度とした。
【0145】
以下の処理を、綿有害生物、特にグリーンミリドに対して評価した:(1)1L/ha配合物C、(2)1L/ha配合物D、(3)1L/ha配合物A、(4)1L/ha配合物B、(5)従来の殺虫剤(62.5ml/ha Fipronilおよび0.80L/ha Steward)および(6)未噴霧(未処理)対照。処理試験区を、4回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅8mおよび長さ100メートルであった。
【0146】
各処理の葉面処理を3ヶ月の期間にわたって行った。処理を適用する決定は、IPM GuidelinesおよびCottonLogicによって推奨される0.5グリーンミリド/mの経済的閾値に基づいて行った。合計で、シーズンを通して各処理を3回適用した。
【0147】
綿植物上のグリーンミリド成体および若虫、ミナミアオカメムシ、アップルディンプリングバグ、アザミウマ、ジャシッドおよびアブラムシなどの非標的節足動物の処理前の計数を視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。各計数において、各処理の反復試験の無作為に選択した長さ2メートルの2本の畝、すなわち、1回の処理で、合計で8メートルを試験した。データを、各噴霧適用に係る各処理について数/mおよび数/m/シーズンの終了時のサンプル日と表記した。
【0148】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0149】
結果
商業用の綿におけるヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)油系配合物の効力
およそ等しいヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵の数/m/サンプル日が従来の殺虫剤で処理した試験区(2.22±0.26個)で見つかったのに比して、1.64、1.71および1.57個が、1L/ha配合物C(1.64個)、1L/ha配合物D(1.71個)および1L/ha配合物Aで見つかった(表17)。1L/ha配合物B(チョウマメ(Clitoria ternatea)、すなわち、チョウマメ(Clitoria ternatea)キャリアを伴わない配合物)で処理した試験区で見つかったヘリコベルパ属(Helicoverpa)の卵の数/m/サンプル日は、他のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物よりも顕著に高い(P<0.0001)が、従来の殺虫剤で処理した試験区と同じであった(表17)。未噴霧試験区(3.90/m)では、すべての他の処理より最も多いヘリコベルパ属(Helicoverpa)の卵の数/m/サンプル日が記録された(表17)。従来の殺虫剤処理試験区での卵の死亡率(43.1%)は、配合物C(58.0%)、配合物D(56.2%)および配合物A(59.7%)−処理試験区よりも顕著に低かった(P<0.001)(表1)。配合物B処理試験区では、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)の卵は26.2%死亡率であった(表17)。
【0150】
VS+S幼虫の数は、従来の殺虫剤(1.19匹)において同じであるのに比して、配合物C(1.70匹)、配合物D(1.65匹)および配合物A(1.46匹)処理試験区では1.70、1.65および1.46匹であった(表17)。配合物Bで処理した試験区では、ヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)のVS+S幼虫の数は、他のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区よりも顕著に多かった(P<0.0001)(表17)。未噴霧試験区では、VS+S幼虫の数が処理中最多であったが、これは、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表17)。従来の殺虫剤処理試験区におけるVS+S幼虫の死亡率(53.9%)は、配合物C(34.1%)、配合物D(36.1%)および配合物A(43.4%)よりも高かった(表17)。配合物B(10.1%)処理試験区でのVS+S幼虫の死亡率は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった。
【0151】
従来の殺虫剤試験区において見つかったヘリコベルパ属の一種(Helicoverpa spp.)のM+L幼虫の数(0.30匹)は、配合物C(0.45匹)、配合物D(0.46匹)および配合物A(0.26匹)処理試験区と同じであった(表17)。配合物B処理試験区で見出されたM+L幼虫の数/m/サンプル日(0.70匹)は、未噴霧試験区と同じであったが、他のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物よりも顕著に多かった(表17)。従来の殺虫剤試験区でのM+L幼虫の死亡率(68.1%)は、配合物A処理試験区(73.3%)より低かった。配合物C(52.1%)および配合物D(51.1%)で処理した試験区でのM+L幼虫の死亡率は、配合物A試験区(73.3%)より低いが、配合物B処理試験区(25.5%)より高かった(表17)。
【0152】
実施例18 商業用の綿における吸収型有害生物に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)油系配合物の効力
グリーンミリド
グリーンミリドの数/m/サンプル日は、従来の殺虫剤(0.33匹)と同じであるのに比して、配合物C(1.07匹)、配合物D(1.09匹)および配合物A(0.77匹)処理試験区では1.07、1.09および0.77匹であった(表18)。配合物Bで処理した試験区では、グリーンミリドの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区より顕著に多かった(P<0.0001)(表18)。未噴霧試験区では、グリーンミリドの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表18)。従来の殺虫剤処理試験区におけるグリーンミリドの死亡率(81.5%)は、配合物C(39.9%)、配合物D(38.8%)および配合物A(56.7%)よりも高かった(表18)。配合物B処理試験区におけるグリーンミリドの死亡率(32.6%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表18)。
【0153】
ミナミアオカメムシ
ミナミアオカメムシの数/m/サンプル日は従来の殺虫剤と同じ(0.19匹)であるのに比して、配合物C(0.44匹)、配合物D(0.35匹)、配合物A(0.17匹)および配合物B(0.54匹)処理試験区では0.44、0.35および0.17匹であった(表18)。配合物Bで処理した試験区(0.54匹)では、ミナミアオカメムシの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区よりも顕著に多かった(P<0.0001)(表18)。未噴霧試験区では、ミナミアオカメムシの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表18)。従来の殺虫剤処理試験区におけるミナミアオカメムシの死亡率(81.5%)は、配合物C(39.9%)、配合物D(38.8%)および配合物A(56.7%)よりも高かった(表18)。配合物B処理試験区におけるミナミアオカメムシの死亡率(32.6%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表18)。
【0154】
アブラムシ
およそ等しいワタアブラムシの数/m/サンプル日が従来の殺虫剤で処理した試験区(1.20匹)で見つかったのに比して、2.09、2.06、0.17および2.62匹が、配合物C(2.09匹)、配合物D(2.06匹)、配合物A(1.36匹)および配合物B(2.62匹)処理試験区で見つかった(表18)。配合物Bで処理した試験区(2.62匹)では、ワタアブラムシの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区より顕著に多かった(P<0.0001)(表18)。未噴霧試験区では、ワタアブラムシの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表18)。従来の殺虫剤処理試験区におけるワタアブラムシの死亡率(63.4%)は、配合物C(36.3%)、配合物D(37.2%)および配合物A(58.5%)よりも高かった(表18)。配合物B処理試験区におけるアブラムシの死亡率(20.1%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表18)。
【0155】
アップルディンプリングバグ
従来の殺虫剤で処理した試験区で見つかったアップルディンプリングバグの数/m/サンプル日(2.03匹)は、配合物C(3.59匹)、配合物D(3.88匹)、配合物A(2.70匹)および配合物B(4.32匹)(表19)で処理した試験区よりも低かった。配合物Bで処理した試験区(4.32匹)では、アップルディンプリングバグの数/m/サンプル日は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物および従来の殺虫剤で処理した他の試験区より顕著に多かった(P<0.000l)(表19)。未噴霧試験区(4.57匹)では、アップルディンプリングバグの数/m/サンプル日はすべての処理中最多であったが、配合物B処理試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表19)。従来の殺虫剤処理試験区におけるアップルディンプリングバグの死亡率(55.6%)は、配合物C(21.4%)、配合物D(15.1%)および配合物A(40.9%)よりも高かった(表19)。配合物B処理試験区におけるアップルディンプリングバグの死亡率(5.5%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物中で最低であった(表19)。
【0156】
グリーンジャシッド
従来の殺虫剤で処理した試験区で見つかったグリーンジャシッドの数/m/サンプル日(2.03匹)は、配合物C(2.93匹)、配合物D(2.88匹)、配合物A(2.16匹)および配合物B(3.13匹)で処理した処理試験区のものと同じであった(表19)。配合物Aで処理した試験区(2.16)では、グリーンジャシッドの数/m/サンプル日は、配合物Bで処理した試験区(3.13匹)よりも顕著に少なかった(P<0.0002)。配合物Bで処理した試験区では、グリーンジャシッドの数/m/サンプル日は、配合物C、配合物Dで処理した試験区および未噴霧試験区(3.78)と同じであった(表19)。従来の殺虫剤処理試験区でのグリーンジャシッドの生存率(28.6%)は配合物A(42.9%)で処理した試験区よりも低かった。配合物Cおよび配合物D処理におけるグリーンジャシッドの死亡率は、配合物Bで処理した試験区(17.2)とほぼ同じであった(表19)。
【0157】
アザミウマ
およそ等しいアザミウマの数/m/サンプル日が従来の殺虫剤で処理した試験区(11.06匹)で見つかったが、これに比して、配合物C(10.00匹)、配合物D(10.19匹)、配合物A(10.62匹)、配合物B(11.04匹)処理試験区および対照試験区(12.22匹)であった(表19)。配合物Aで処理した試験区(10.62)では、アザミウマの数/m/サンプル日は、配合物Bで処理した試験区と同じであった(11.04)。配合物Aおよび配合物Bの両方で処理した試験区では、アザミウマの数/m/サンプル日は、配合物C、配合物D、従来の殺虫剤および未噴霧試験区で処理した試験区と同じであった(12.22)(表19)。従来の殺虫剤処理試験区におけるアザミウマの死亡率(9.5%)は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物である配合物Aで処理した試験区と同じであった(表19)。
【0158】
実施例19 重要な益虫に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効果
試験を、NarrabriのAustralian Cotton Research Instituteの圃場での商業用の従来のかんがい綿作物で実施した。一条のヒマワリを圃場の片側に植えて、グリーンミリドおよび他の綿有害生物ならびに益虫を高密度とした。
【0159】
以下のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物を綿作物の益虫に対して評価した:(1)1L/ha配合物C、(2)1L/ha配合物D、(3)1L/ha配合物A、(4)1L/ha配合物B、(5)従来の殺虫剤(62.5ml/ha Fipronilおよび0.80L/ha Steward)および(6)未噴霧(未処理)対照。処理試験区を、4回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅8mおよび長さ100メートルであった。
【0160】
各処理の葉面処理を3ヶ月の期間にわたって行った。処理を適用する決定は、IPM GuidelinesおよびCottonLogicによって推奨される0.5の捕食虫に対する前比に基づいて行った。合計で、シーズンを通して各処理を3回適用した。
【0161】
綿植物上の捕食性のビートル、捕食性のバグ、捕食性クサカゲロウおよびクモなどの益虫の処理前の計数を視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。各計数において、各処理の反復試験の無作為に選択した長さ2メートルの2本の畝、すなわち、1回の処理で、合計で8メートルを試験した。データを、各噴霧適用に係る各処理について数/m、および、数/m/シーズンの終了時の各処理に係るサンプル日と表記した。
【0162】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0163】
結果
処理試験区から同定した捕食性昆虫は、捕食性のビートル、バグ、クサカゲロウおよびクモであった(表7を参照のこと)。
【0164】
捕食性ビートル
チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区および対照(未噴霧)試験区において記録された捕食性のビートルの数/m/サンプル日に顕著な差異(P>0.05)はなかった(表20)。しかしながら、従来の殺虫剤で処理した試験区とチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区との間には顕著な差異が見出された(表20)。従来の殺虫剤で処理した試験区では、1.51匹の捕食性のビートル/m/サンプル日であったのに比して、配合物C(2.25匹)、配合物D(2.19匹)、配合物A(2.00匹)、配合物B(2.20匹)および対照(2.51匹)試験区では2.25、2.19、2.00、2.20および2.51匹であった(表20)。
【0165】
捕食性バグ
最も多数の捕食性のバグの数/m/サンプル日が対照試験区において記録された(1.78匹)が、これは、配合物B(1.65匹)、配合物A(1.25匹)、配合物C(1.16匹)および配合物D(1.25匹)で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表20)。従来の殺虫剤で処理した綿作物では、捕食性バグの数は最少であった(P<0.0001)(表20)。
【0166】
捕食性クサカゲロウ
捕食性クサカゲロウの数/m/サンプルに、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区および従来の殺虫剤処理試験区では、顕著な差異(P>0.05)は見出されなかった(表20)。最多のクサカゲロウの数/mは未噴霧試験区(1.01)において記録されたが、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表20)。対照的に、最少のクサカゲロウの数/mは従来の殺虫剤処理試験区で記録され、これは、対照試験区とは顕著に異なっていた(P<0.03)(表20)。
【0167】
クモ
クモの数/m/サンプル日(3.28匹)が未噴霧(対照)試験区で記録されたのに比して、2.52、3.10、2.78、2.73および2.13匹が、配合物C(2.52匹)、配合物D(3.10匹)、配合物A(2.78匹)、配合物B(2.73匹)および従来の殺虫剤(2.13匹)試験区で記録された(表20)。対照試験区で見出されたクモの数/m/サンプル日間の差異は、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)が、従来の殺虫剤処理試験区とは異なっていた(P<0.0003)(表20)。従来の殺虫剤処理試験区で記録されたクモの数は、配合物D処理試験区を除き、チョウマメ(Clitoria ternatea)配合物で処理した試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表20)。
【0168】
実施例20 シルバーリーフコナジラミに対するチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物の効力
以下のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物を、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)−b−バイオタイプ(シルバーリーフコナジラミ)の成虫および若虫に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)生成物の効力を判定する試験において用いた:これらは、
(1)配合物A(乳化剤を伴わない油中のチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物)、
(2)配合物D(乳化剤を伴うチョウマメ(Clitoria ternatea)配合物)
【0169】
Wee Waaに近いMerah northの商業用の綿作物におけるタバココナジラミ(Bemisia tabaci)に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物の効果
この試験は、Wee Waaに近いMerah northの商業用の綿圃場における従来のかんがい綿作物において実施した。2種類の試験を2週間にわたって実施した。評価した処理は、(1)2L/ha配合物A(2)2L/ha配合物D(3)未噴霧(未処理)対照であった。処理試験区を、3回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅24m、長さ100mであった。
【0170】
各処理の葉面処理を第1日目に行った。各処理において、処理前の計数を、綿植物の葉の下面のタバココナジラミ(B.tabaci)の成体および若虫について視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。各サンプル日においては、各処理の反復試験からの二十(20)本の植物を無作為に選択し、各植物の頂端の下方5番目の節の葉(早朝(9〜10am))におけるタバココナジラミ(B.tabaci)の成体を葉を裏返して注意深く視覚的に計数し、存在する個別の成体の数を計数した。
【0171】
若虫の場合、20本の植物の各々の頂端下方の5番目の節の1枚の葉を切除し、別々に注意深くプラスチックバッグの中に入れた。個別の葉を含むプラスチックバッグを実験室に持ち帰り、タバココナジラミ(B.tabaci)の若虫を双眼顕微鏡で計数した。成体および若虫の両方のデータを、各処理について数/葉として表記した。
【0172】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0173】
結果
研究サイトに存在するタバココナジラミ(B.tabaci)の型は、主にb−バイオタイプであった。配合物Aおよび配合物Dで処理した試験区において記録されたタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の数/葉は、未噴霧試験区よりも顕著に低かった(3DATでP<0.01、7DATでP<0.05、および、14DATでP<0.0001)(表21)。3DATでは、2L/ha配合物Dで処理した試験区で記録されたタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の死亡率は74.5%であるのに比して、2L/ha配合物A処理試験区では54.8であった(表21)。しかしながら、7および14DATでは、配合物A処理試験区の死亡率は、それぞれ、77.3および73.4%に増加したが、一方で、配合物D試験区では、それぞれ、対照を基準として60.4および73.2%であった(表21)。
【0174】
タバココナジラミ(B.tabaci)の若虫/葉の場合、3、7および14DATでは、配合物Aおよび配合物D処理した試験区間では顕著な差異(P>0.05)は見出されなかったが、未噴霧対照とは顕著に異なっていた(P<0.000l)(表22)。しかしながら、3DATでの配合物D処理試験区でのタバココナジラミ(B.tabaci)の若虫の死亡率(74.9%)は、対照を基準として、配合物A(28.2%)処理試験区よりも顕著に高かった(表22)。7および14DATでは、配合物A処理試験区で記録された死亡率は73.6および55.6%に増加したが、一方で、配合物D処理試験区での死亡率は、それぞれ、対照を基準として75.3および67.0%であった(表22)。
【0175】
実施例21 商業用の綿作物におけるタバココナジラミ(Bemisia tabaci)に対するチョウマメ(Clitoria ternatea)抽出物および従来の殺虫剤の効果
この試験は、綿圃場における従来のかんがい綿作物において実施した。以下の処理を、タバココナジラミ(B.tabaci)−b−バイオタイプの成体および若虫に対して評価した:(1)2L/ha配合物A、(2)2L/ha配合物D、(3)Merah northで0.80L/haジアフェンチウロン(従来の殺虫剤)、および、(4)未噴霧(対照)。処理試験区を3回の反復試験/処理を伴う完全乱塊法で設定した。各反復試験区は幅24m、長さ100mであった。
【0176】
各処理の葉面処理を2週間にわたって行った。各処理において、処理前の計数を、綿植物の葉の下面のタバココナジラミ(B.tabaci)の成体および若虫について視覚的に行った。処理後の計数を処理の適用から3、7および14日後に行った。成体および若虫の両方のデータは、各処理について数/葉として表記した。
【0177】
データの分析
実験データのすべてを、反復測定ANOVAを用いて分析した(Graphpad Instat and Prism Software,Inc.v.2.03,San Diego,CA,USA)。処理およびサンプル日は独立した可変要素とした。Tukey−Kramer多重比較検定を用いて平均を分けた。
【0178】
結果
研究サイトに存在するタバココナジラミ(B.tabaci)型は主にb−バイオタイプであった。およそ等しいタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の数/葉が、3DATに、従来の殺虫剤で処理した試験区(15.33匹)で見つかったのに比して、配合物D、配合物Aおよび未噴霧試験区では18.00、11.33および25.00匹であった(表23)。7DATでは、配合物A処理試験区で記録された成体の数/葉は、配合物Dおよび従来の殺虫剤試験区と同じであったが、対照試験区とは顕著に異なっていた(P<0.0001)(表23)。対照的に、配合物Dおよび従来の殺虫剤試験区で見出されたタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の数/葉は、対照試験区とは顕著に異なっていなかった(P>0.05)(表23)。14DATでは、処理および対照試験区間で顕著な差異(P>0.05)は記録されなかった(表23)。しかしながら、3DATで、配合物D処理試験区(54.7%)でのタバココナジラミ(B.tabaci)の成体の死亡率は、配合物A試験区(28.0%)および従来の殺虫剤試験区(38.7%)よりも高かった(表23)。7DATでは、タバココナジラミ(B.tabaci)の成体の死亡率(66.7%)は、対照を基準として、配合物D(38.9%)および従来の殺虫剤(32.2%)よりも高かった(表23)。対照的に、14DATでは、処理間の死亡率における差異は、対照を基準としておよそ同じであった(表23)。
【0179】
3DATでは、配合物Aおよび配合物Dで処理した試験区で見出されたタバココナジラミ(B.tabaci)の若虫の数/葉は顕著に異なっていなかった(P>0.05)が、従来の殺虫剤および未噴霧試験区とは顕著に異なっていた(P<0.06)(表24)。3DATでは、処理した従来の殺虫剤と未噴霧試験区との間に、有意差(P>0.05)は認められなかった(表24)。7DATで処理および対照間に顕著な差異(P>0.05)は見出されなかったが、チョウマメ(Clitoria ternatea)処理試験区と、従来と、未噴霧試験区との間では顕著な差異が見出された(表24)。死亡率の観点では、配合物Aおよび配合物D処理試験区では、タバココナジラミ(B.tabaci)の若虫の53.3および36.4%死亡率が比較されたが、これと比して、従来の殺虫剤処理試験区では、対照試験区より若虫の12パーセントの増加が記録された(表24)。7DATでは、配合物D処理試験区では47.5パーセント死亡率であるのに比して、配合物A(28.8%)および従来の殺虫剤(22.1%)であった。14DATでは、個別の処理によってもたらされた死亡率は、77.2パーセント(配合物A)、79.5%(配合物D)および60.6%(従来の殺虫剤)に増加した(表24)。
【0180】
文献
以下の書面による開示が本明細書において参照により援用されている。
1 Bernays,E.A.and Chapman,R.F.(1994).Host Plant Selection by Phytophagous Insects.Chapman and Hall.London.
2 Mensah,R.K.,Verneau,S.and Frerot,B.(2000).Deterrence of oviposition of adult Ostrinia nubilalis(Hubner)by a natural enemy food supplement Envirofeast* on maize in France.International Journal of Pest Management 46(1),49−53
3 Mensah,R.K.(1996).Suppression of Helicoverpa spp.oviposition by use of natural enemy food supplement“Envirofeast”.Australian Journal of Entomology,35,323−329.
4 Mensah,R.and Moore,C.J.(1999).A Review of Behaviour Modifying Chemicals in Relation to Pest Host Selection and Management on Australian Cottons.CRDC.
5 Miller,J.R.and Cowles,R.S.(1990).Stimulo−deterrent diversion:a concept and its possible application to onion maggot control.J.Chem.Ecol.16:3197−3212.
6 Pyke,B.,Rice,M.,Sabine,G.and Zalucki,M.(1987).The push−pull strategy−behavioural control of Heliothis.Australian Cotton Grower 9:7−9.
7 Rhoades,D.F.and Coates,R.H.(1976).Towards a general theory of plant anti−herbivore chemistry.In:J.W.Wallace and L.Mansell,eds.Biochemical Interactions Between Insects and Plants.Pp.168−213.Plenum,New York.
8 Tingle,F.C.and Mitchell,E.R.(1984).Aqueous extracts from indigenous plants as oviposition deterrents for Heliothis virescens.J.Chem.Ecology 10:101−113