特許第6141259号(P6141259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティコナ・エルエルシーの特許一覧

特許6141259張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法
<>
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000005
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000006
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000007
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000008
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000009
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000010
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000011
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000012
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000013
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000014
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000015
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000016
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000017
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000018
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000019
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000020
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000021
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000022
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000023
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000024
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000025
  • 特許6141259-張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法 図000026
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141259
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】張力調整装置を備えた含浸セクション及び繊維ロービングを含浸するための方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/19 20060101AFI20170529BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   D06M15/19
   C08J5/04CEZ
【請求項の数】18
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-508545(P2014-508545)
(86)(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公表番号】特表2014-517880(P2014-517880A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】US2012035164
(87)【国際公開番号】WO2012149129
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】61/480,508
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100173635
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 樹里
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,アーロン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】イーステップ,デヴィッド・ダブリュー
【審査官】 馳平 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−245754(JP,A)
【文献】 特開2001−300935(JP,A)
【文献】 特開2001−113550(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0157280(US,A1)
【文献】 米国特許第06045876(US,A)
【文献】 米国特許第05268050(US,A)
【文献】 特開昭63−264326(JP,A)
【文献】 特公平04−042168(JP,B2)
【文献】 特開2006−274211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M13/00〜15/715
B29B11/16,15/08〜15/14
C08J 5/04〜5/10,5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの繊維ロービングにポリマー樹脂を含浸させるためのダイの含浸セクションであって、
ロービングに該樹脂を含浸させるように構成された含浸ゾーンであって、該含浸ゾーン複数の接触面を含む含浸ゾーン;
ロービングの走行方向に含浸ゾーンの上流に配置され、該ロービングの走行方向に該ロービングをオーバーフィードすることにより該ロービングの張力を下げるように構成された第一装置であって、該第一装置が中心軸の周りにそれぞれ回転可能な複数のローラーであり、該複数のローラーの少なくとも1が回転駆動される第一装置及び
該走行方向に該第一装置の下流に配置された第二装置であって、該ロービングの該走行方向に該ロービングをアンダーフィードすることにより該ロービングの張力を上げるように構成された第二装置
を含む含浸セクション
【請求項2】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該第二の装置は含浸ゾーンの下流に配置される含浸セクション
【請求項3】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該第二の装置が含浸ゾーン内に配置される含浸セクション
【請求項4】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該第二装置、中心軸の周りにそれぞれ回転可能な複数のローラーである含浸セクション
【請求項5】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該複数のローラーは一対のローラーを含み、ローラーの対が該ロービングに対して向かい合って整列される含浸セクション
【請求項6】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該複数のローラーの少なくとも一つが該ロービングの横断速度よりも早い速度で回転駆動される含浸セクション
【請求項7】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該複数のローラーの少なくとも一つが該ロービングの走行方向に対して垂直に調整可能である含浸セクション
【請求項8】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該装置から過剰の樹脂を除去するための装置と接触したブレードをさらに含む含浸セクション
【請求項9】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該含浸ゾーンが2〜50の接触面を含む含浸セクション
【請求項10】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該複数の接触面のそれぞれが曲線のある接触面を含む含浸セクション
【請求項11】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該複数の接触面のそれぞれが、ロービングが1〜30°の範囲の角度で接触面を横に移動するように構成される含浸セクション
【請求項12】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該含浸ゾーンが波形の断面プロフィールをもつ含浸セクション
【請求項13】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該樹脂が熱可塑性樹脂である含浸セクション
【請求項14】
請求項1に記載の含浸セクションであって、該樹脂が熱硬化性樹脂である含浸セクション
【請求項15】
少なくとも一つの繊維ロービングにポリマー樹脂を含浸させる方法であって、
繊維ロービングに張力をかける;
ロービングの張力を、中心軸の周りにそれぞれ回転可能な複数のローラーを使用して該ロービングの走行方向に該ロービングをオーバーフィードすることにより下げる;
ロービングをポリマー樹脂でコーティングする
コーティング済ロービングを含浸ゾーンの中を通して横に移動させて、ロービングに樹脂を含浸させる、ここで、含浸ゾーンは複数の接触面を含む;及び
該ロービングの該走行方向に該ロービングをアンダーフィードすることにより該ロービングの該張力を上げる
各段階を含む方法
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、該ロービングが含浸ゾーン内で約5ニュートン〜約300ニュートンの張力下にある方法
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、該ロービングを樹脂でコーティングすることが該樹脂をゲート通路に通して流すことを含む方法
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、該複数のロービングに張力をかける;複数のロービングの張力を下げる;複数のロービングを樹脂でコーティングする;及びコーティング済ロービングを含浸ゾーン通して横に移動させることをさらに含む方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、2011年4月29日出願の米国仮特許出願第61/480,508号の利益を請求し、この出願は本明細書中、参照として含まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]繊維ロービングは広範な用途で使用されてきた。たとえば、そのようなロービングは、繊維強化複合ロッド(fiber-reinforced composite rod)を成形するのに利用されてきた。このロッドは軽量の構造補強材として利用することができる。たとえば電力供給パイプライン(power umbilical)は、海底に設置された装置と海面との間の流体及び/または電気シグナルの伝達で使用されることが多い。そのような供給パイプラインを強化し易くするために、別々の載荷部材(load carrying element)として引き抜き成形した炭素繊維ロッドを使用する試みがなされてきた。
【0003】
[0003]繊維ロービングの使用に特に向いている別の用途は、形材(profile)の成形である。形材は広範な断面形状をもつ引抜成形部品であり、窓の線(window lineal)、敷板(decking plank)、手すり、手すり子(baluster)、屋根タイル、羽目板(siding)、飾り板、パイプ、垣根、標柱(post)、信号、高速道路信号、路辺標示柱(roadside marker post)などの構造部材として使用することができる。中空形材は、樹脂の中を通して連続繊維ロービングを引張り(引き抜き成形(pultruding))、次いで引き抜き成形ダイの中に前記繊維強化樹脂を造形することによって成形されてきた。
【0004】
[0004]さらに、繊維ロービングは一般に、好適な繊維強化プラスチックなどを成形するための任意の好適な用途で利用することができる。当業界では一般的に公知のように、これらの用途で利用されるロービングは典型的には、ポリマー樹脂と組み合わされている。
【0005】
[0005]しかし、現在公知のロービング及び、そのようなロービングを利用する用途に関しては、多くの重大な問題がある。たとえば、多くのロービングは、所望の強度特性を達成し易くするために、熱硬化性樹脂(たとえばビニルエステル)に依存している。熱硬化性樹脂は、製造の間に使用するのが困難であり、他の材料と一緒に層を成形するのに良好な結合特性をもっていない。さらに、他のタイプの用途で熱可塑性ポリマーからロービングを成形するための試みもなされてきた。たとえば米国特許公開第2005/0186410号(Bryantら)(特許文献1)は、送電ケーブルの複合コアを成形するために、炭素繊維を熱可塑性樹脂に埋め込む試みについて記載している。意外にも、Bryantらは繊維が不十分に湿潤するため、これらのコアは傷やあれ(dry spot)を示し、これによって耐久性及び強度が低いことに言及している。そのようなコアに関する別の問題は、熱可塑性樹脂は高温では操作できなかったということである。
【0006】
[0006]それ故に、目下、繊維ロービングを含浸するためのダイの改善された含浸セクション(impregnation section)及び方法に対する必要性が存在する。特に、現在、特定の用途に要求される所望の強度、耐久性及び温度性能を提供する繊維ロービングを製造する含浸セクション及び方法に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0186410号(Bryantら)
【発明の概要】
【0008】
[0007]本発明の一態様に従って、少なくとも一つの繊維ロービングにポリマー樹脂を含浸させるためのダイの含浸セクションを開示する。含浸セクションは、ロービングに樹脂を含浸させるように構成されている含浸ゾーンを包含する。前記含浸ゾーンは複数の接触面を包含する。含浸セクションはさらに、ロービングの走行方向に含浸ゾーンの上流に配置される装置を包含する。この装置は、ロービングの張力を下げるように構成される。
【0009】
[0008]本発明の別の態様に従って、少なくとも一つの繊維ロービングにポリマー樹脂を含浸させる方法を開示する。本方法は、繊維ロービングに張力をかける(tension)こと、前記ロービングの張力を下げること、前記ロービングをポリマー樹脂でコーティングすること、及び含浸ゾーンの中を通してコーティング済ロービングを横に移動させて(traverse)、ロービングに樹脂を含浸させることを包含する。この含浸ゾーンは複数の接触面を包含する。
【0010】
[0009]本発明の他の特徴及び側面は、以下詳細に記載する。
【0011】
[0010]当業者にとってその最適形態を含む本発明の完全且つ権限を付与する開示は、付記図面を参照して、本明細書の以下の部分で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0011]図1は、本発明で使用するための含浸システムの一態様の概略図である。
図2】[0012]図2は、本発明で使用するためのダイの一態様の斜視図である。
図3】[0013]図3は、本発明で使用するためのダイの一態様の反対側の斜視図である。
図4】[0014]図4は、図2に示されているダイの一態様の断面図である。
図5】[0015]図5は、図2に示されているダイの別の態様の断面図である。
図6】[0016]図6は、図2に示されているダイの別の態様の断面図である。
図7】[0017]図7は、本発明で使用しえるダイの多岐管アセンブリとゲート通路の一態様の分解図である。
図8】[0018]図8は、本発明で使用しえる多岐管アセンブリの別の態様の平面図である。
図9】[0019]図9は、本発明で使用しえる多岐管アセンブリの別の態様の平面図である。
図10】[0020]図10は、本発明で使用しえる多岐管アセンブリの別の態様の平面図である。
図11】[0021]図11は、本発明で使用しえる多岐管アセンブリの別の態様の平面図である。
図12】[0022]図12は、本発明で使用しえる多岐管アセンブリの別の態様の平面図である。
図13】[0023]図13は、本発明で使用しえる多岐管アセンブリの別の態様の平面図である。
図14】[0024]図14は、本発明で使用しえる含浸セクションを少なくとも部分的に画定しているプレートの一態様の斜視図である。
図15】[0025]図15は、本発明で使用しえる含浸セクションの一部の一態様の近接断面図である。
図16】[0026]図16は、本発明で使用しえる含浸セクションの一部の別の態様の近接断面図である。
図17】[0027]図17は、本発明で使用しえる含浸セクションの一部の別の態様の近接断面図である。
図18】[0028]図18は、本発明で使用しえる含浸セクションの一部の別の態様の近接断面図である。
図19】[0029]図19は、本発明で使用しえるランドゾーンの一態様の斜視図である。
図20】[0030]図20は、本発明で使用しえるランドゾーンの別の態様の斜視図である。
図21】[0031]図21は、本発明で使用するための強化リボンの一態様の斜視図である。
図22】[0032]図22は、本発明で使用するための強化リボンの一態様の断面図である。
【0013】
[0033]本明細書及び図面において参照文字を繰り返して使用するのは、本発明の同一または類似の特徴または部材を示すことを目的とする。
【代表的な態様の詳細な説明】
【0014】
[0034]当業者は、この議論は単なる例示的な態様の記載であって、本発明のより広い側面を限定しようとするものではないことは理解すべきである。
【0015】

[0035]一般に、本発明は繊維ロービングにポリマー樹脂を含浸させるダイのための含浸セクション(impregnation section)及び方法に関する。含浸繊維ロービングは、複合ロッド、形材または、任意の他の好適な繊維強化プラスチック用途に利用することができる。本発明に従った含浸セクションは、一般に、ロービングに樹脂を含浸させるように構成される含浸ゾーン(impregnation zone)を包含する。かくして、含浸ゾーンは複数の接触面を包含する。ロービングが接触面の上を横に移動されるにつれて、ロービングは樹脂で含浸される。さらに、含浸セクションは、ロービングの張力を調整するように構成された少なくとも一つの装置を包含する。かくして、一般にこの装置は、複数のローラーなどの張力調整装置(tension adjustment device)である。たとえば例示的な態様では、ロービングが含浸ゾーンに入る前に、装置はロービングの張力を下げることができ、これにより、ロービングをよりよく含浸させることができる。さらに、含浸ゾーン内または、ロービングが含浸ゾーンを出た後に、第二の装置はロービングの張力を高めることができる。かくして、張力装置は、ロービングに樹脂を含浸させ易くすることができる。
【0016】
[0036]本発明のさらなる側面に従って、押出装置は、ロービングにポリマーを含浸させるためのダイと併せて使用することができる。中でも、押出装置は、以下に述べるように、ポリマーを繊維の全表面に適用する能力をさらに促進する。
【0017】
[0037]図1を参照すると、そのような押出装置の一態様が示されている。特に本装置は、バレル122の内部に据え付けられたスクリューシャフト124を含む押出機120を包含する。ヒーター130(たとえば電気抵抗ヒーター)を、バレル122の外側に据え付ける。使用する間は、ホッパー126の中を通してポリマー供給原料127を押出機120に供給する。供給原料127はスクリューシャフト124によりバレル122内側に運ばれて、バレル122内の摩擦熱とヒーター130により加熱される。加熱されると、供給原料127はバレルフランジ128の中を通ってバレル122を出て、含浸ダイ150のダイフランジ132に入る。
【0018】
[0038]連続繊維ロービング142または複数の連続繊維ロービング142は、単数または複数のリール144からダイ150に供給される。ロービング142は通常、含浸するために供給される前に間を離して散布され(spread apart)、垂直に、水平に、または任意の好適な角度で供給することができる。供給された後、ロービング142は一般に並べて配置され、含浸前に隣接するロービングとの間の距離は最小〜すぐ近く(no distance)である。供給原料127はさらに、ダイ150に、またはその周囲に据え付けられたヒーター133によりダイの内側で加熱することができる。ダイは一般に、ポリマーの適切な融解温度(melt temperature)をもたらす及び/または維持するのに十分な温度で操作し、これによってポリマーによりロービングの所望のレベルを含浸することができる。典型的には、ダイの操作温度はポリマーの融解温度よりも高く、たとえば約200℃〜約450℃の温度である。このようにして加工すると、連続繊維ロービング142はポリマーマトリックス内に埋め込まれ、これは供給原料127から加工された樹脂214(図4〜6)でありえる。次いでこの混合物は、湿潤複合体または押出物152として含浸ダイ150から出る。
【0019】
[0039]本明細書中で使用するように、「ロービング(roving)」なる用語は、一般に、個別(individual)繊維の束をさす。ロービング内に含まれる繊維は撚ることができるか、まっすぐであることができる。ロービングは、単一種の繊維(single fiber type)または異なる種類の繊維を含むことができる。異なる繊維は個別ロービングで使用することができるか、あるいは、ロービングのそれぞれが、異なる繊維種を含むことができる。ロービングで使用される連続繊維は、その質量に対して高度の引張り強さをもつ。たとえば、繊維の極限引張り強さ(ultimate tensile strength)は典型的には、約1,000〜約15,000メガパスカル(MPa)であり、態様によっては約2,000MPa〜約10,000MPaであり、態様によっては約3,000MPa〜約6,000MPaである。そのような引張り強さは、繊維が比較的軽量、たとえば約0.05〜約2グラム/メートル、態様によっては約0.4〜約1.5グラム/メートルの単位長さ当たりの質量(mass per unit length)であっても達成することができる。引張り強さ対単位長さ当たりの質量の比はかくして、約1,000メガパスカル/グラム/メートル(MPa/g/m)以上であり、態様によっては約4,000MPa/g/m以上であり、態様によっては約5,500〜約20,000MPa/g/mである。そのような高い引張り強さの繊維は、たとえば金属繊維、ガラス繊維(たとえばE-ガラス、A-ガラス、C-ガラス、D-ガラス、AR-ガラス、R-ガラス、S1-ガラス、S2-ガラスなど)、炭素繊維(たとえばアモルファス炭素、グラファイト炭素、または金属-コーティング化炭素など)、ホウ素繊維、セラミック繊維(たとえばアルミナまたはシリカ)、アラミド繊維(たとえばKevlar(登録商標)、E.I.duPont de Nemours製, Wilmington, Del.)、合成有機繊維(たとえばポリアミド、ポリエチレン、パラフェニレン、テレフタルアミド、ポリエチレンテレフタレート及びポリフェニレンスルフィド)、並びに熱可塑性及び/または熱硬化性組成物を強化することに関して公知の様々な他の天然または合成の無機または有機繊維状材料でありえる。炭素繊維は連続繊維として使用するのに特に好適であり、これは典型的には、約5,000〜約7,000MPa/g/mの範囲の引張り強度対質量比をもつ。連続繊維は、約4〜約35マイクロメートルの公称直径、態様によっては約9〜約35マイクロメートルの公称直径をもつことが多い。各ロービングに含まれる繊維の数は一定であるか、ロービングごとに変動することがある。典型的には、ロービングは個別の繊維を約1,000本〜約50,000本、態様によっては約5,000本〜約30,000本含む。
【0020】
[0040]様々な熱可塑性または熱硬化性ポリマーのいずれかを使用して、連続繊維が埋め込まれるポリマーマトリックスを成形することができる。本発明で使用するのに好適な熱可塑性ポリマーとしては、たとえばポリオレフィン類(たとえばポリプロピレン、プロピレン-エチレンコポリマーなど)、ポリエステル類(たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT))、ポリカーボネート、ポリアミド(たとえばNylon(商標))、ポリエーテルケトン(たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンケトン(たとえばポリフェニレンジケトン(PPDK))、液晶ポリマー、ポリアリーレンスルフィド(たとえばポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(ビフェニレンスルフィドケトン)、ポリ(フェニレンスルフィドジケトン)、ポリ(ビフェニレンスルフィド)など)、フルオロポリマー類(たとえばポリテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルポリマー、パーフルオロ-アルコキシアルカンポリマー、ぺトラフルオロエチレンポリマー(petrafluoroethylene polymer)、エチレン-テトラフルオロエチレンポリマーなど)、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン性ポリマー(たとえばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS))などを挙げることができる。
【0021】
[0041]ポリマーマトリックスの特性は一般に、加工性及び性能の所望の組み合わせ(combination)を達成するように選択される。たとえば、ポリマーマトリックスの溶融粘度は通常、ポリマーが繊維を好適に含浸できるように十分に低い。この点において、溶融粘度は典型的には、ポリマーに関して使用される操作条件(たとえば約360℃)で測定して、約25〜約1,000パスカル-秒(Pascal-second:Pa-s)、態様によっては50〜約500Pa-s、態様によっては約60〜約200Pa-sを変動する。同様に、高温を含む用途(たとえば高圧送電ケーブル)で含浸ロービングを使用しようとするときは、比較的高い融解温度を持つポリマーを使用する。たとえばそのような高温ポリマーの融解温度は約200℃〜約500℃、態様によっては約225℃〜約400℃、態様によっては約250℃〜約350℃を変動しえる。
【0022】
[0042]ポリアリーレンスルフィドは、所望の溶融粘度を持つ高温マトリックスとして本発明での使用に特に好適である。たとえばポリフェニレンスルフィドは、一般に通常、以下の一般式:
【0023】
【化1】
【0024】
により表される繰り返しモノマー単位を含む半結晶質樹脂である。
【0025】
[0043]これらのモノマー単位は典型的には、ポリマー中、繰り返し単位の少なくとも80モル%、態様によっては少なくとも90モル%を構成する。しかしながら、ポリフェニレンスルフィドは、本明細書中、その全体がすべての目的に関して参照として含まれる米国特許第5,075,381号(Gotohら)に記載されているような追加の繰り返し単位を含むことができる。使用する場合、そのような追加の繰り返し単位は、典型的には、ポリマーのわずかに約20モル%を構成する。市販の高溶融粘度ポリフェニレンスルフィドは、商品名FORTRON(登録商標)のもと、Ticona LLC(Florence、ケンタッキー)より入手可能なものを含むことができる。そのようなポリマーは、約285℃の融解温度(ISO11357-1,2,3に従って測定)及び、310℃で約260〜約320パスカル-秒の溶融粘度を持つことができる。
【0026】
[0044]圧力センサ137(図2及び3)は含浸ダイ150の近くの圧力を検知して、スクリューシャフト124の回転速度、またはフィーダーの供給速度を制御することにより、押出速度を制御できるようにする。すなわち、押出機120が繊維ロービング142との相互作用に関して正確な量の樹脂214を送達するために操作できるように、圧力センサ137は含浸ダイ150の近く、たとえば多岐管アセンブリ220の上流に配置される。含浸ダイ150を離れた後、押出物152、または含浸繊維ロービング142は任意選択の予備造形、または誘導区分(示されていない)に入ってから、二つの隣接するローラー190の間に形成されたニップに入ることができる。任意選択であるが、ローラー190は押出物152をリボン形状に強化(consolidate)し、並びに繊維の含浸を促進し、過剰の空隙を絞り出しやすくできる。あるいは、押出し物152は、ダイ150を出る際に直接、強化リボンの形状にすることができる。ローラー190に加えて、他の造形装置、たとえばダイシステムも使用することができる。得られた強化リボン156はローラー上に据え付けられたトラック162と164により引っ張られる。トラック162及び164も、含浸ダイ150から、及びローラー190の中を通して押出物152を引っ張る。所望により、強化リボン156は区分171で巻き取ることができる。一般的に言えば、得られるリボンは比較的薄く、典型的には約0.05〜約1ミリメートル、態様によっては約0.1〜約0.8ミリメートル、態様によっては約0.2〜約0.4ミリメートルの厚さを有する。
【0027】
[0045]本開示に従ったダイ150の一態様の斜視図は、図2及び3に示されている。示されているように、樹脂214は、樹脂の流れ方向244により示されているようにダイ150の中に流れる。樹脂214はダイ150の中に分配され、そしてロービング142と相互作用する。ロービング142はロービング走行方向282でダイ150の中を通って横に移動され、そして樹脂214でコーティングされる。次いでロービング142は樹脂214で含浸されて、これらの含浸ロービング142はダイ150を出る。
【0028】
[0046]含浸ダイの中では、ロービングにポリマー樹脂214を含浸させるために、含浸ゾーン250の中を通ってロービング142が横に移動するのが一般に、好ましい。含浸ゾーン250では、ポリマー樹脂は一般に、含浸ゾーン250に作り出された剪断力(shear)と圧力とによりロービングの中を通って横方向に推し進められて、これにより含浸の程度を大きく増進させる。これは、高い繊維含有量、たとえば約35%重量分率(weight fraction:Wf)以上、態様によっては約40%Wf以上のリボンから複合体を成形する際に特に有用である。典型的には、ダイ150は複数の接触面252、たとえば少なくとも2つ、少なくとも3つ、4〜7つ、2〜20、2〜30、2〜40、2〜50、またはより多くの接触面252を含んで、ロービング142上に十分な程度の浸透力及び圧力を作りだす。これらの特有の形状は変動することができるが、接触面252は典型的には、湾曲した突出部片(curved lobe)、ピンなどの曲線のある表面をもつ。接触面252も典型的には、金属材料から製造される。
【0029】
[0047]図4〜6は、含浸ダイ150の断面図を示す。示されているように、含浸ダイ150は、多岐管アセンブリ220及び含浸セクションを含む。含浸セクションは、含浸ゾーン250と、ロービング142の張力を調整するように構成された少なくとも一つの装置300を包含する。態様によっては、含浸セクションはさらに、ゲート通路270を包含する。多岐管アセンブリ220は、その中を通ってポリマー樹脂を流すために提供される。たとえば、多岐管アセンブリ220は、チャネル222または複数のチャネル222を含むことができる。含浸ダイ150に提供される樹脂214は、チャネル222の中を通って流れることができる。
【0030】
[0048]図7〜13に示されているように、例示的な態様では、チャネル222のそれぞれの一部は曲線をなすことができる。曲線部分によって、多岐管アセンブリ220の中を通って樹脂214を分配するために様々な方向に樹脂214を比較的滑らかに向けなおす(redirection)ことができ、チャネル222の中を通って樹脂214を比較的滑らかに流すことができる。あるいは、チャネル222は線状でありえ、樹脂214を向けなおすのは、チャネル222の直線部分の間の比較的角張った移行領域を経ることができる。チャネル222は任意の好適な形状、サイズ及び/または輪郭を有することができると理解すべきである。
【0031】
[0049]図7〜13に示されているように、例示的な態様では、複数のチャネル222は複数の分岐ランナー222でありえる。ランナー222は、第一の分岐ランナー群232を含むことができる。前記第一の分岐ランナー群232は、樹脂214を多岐管アセンブリ220に提供する最初の単数または複数種類のチャネル222から分岐している複数のランナー222を含むことができる。第一の分岐ランナー群232は、最初のチャネル222から分岐する2つ、3つ、4つまたはそれ以上のランナー222を含むことができる。
【0032】
[0050]所望により、ランナー222は、図7及び9〜13に示されているように、第一の分岐ランナー群232から分岐する第二の分岐ランナー群234を含むことができる。たとえば、第二の分岐ランナー群234からの複数のランナー222は、第一の分岐ランナー群232の一つ以上のランナー222から分岐することができる。第二の分岐ランナー群234は、第一の分岐ランナー群232のランナー222から分岐する2つ、3つ、4つ以上のランナー222を含むことができる。
【0033】
[0051]所望により、ランナー222は、図7及び10〜11に示されているように、第二の分岐ランナー群234から分岐する第三の分岐ランナー群236を含むことができる。たとえば、第三の分岐ランナー群236からの複数のランナー222は、第二の分岐ランナー群234の一つ以上のランナー222から分岐することができる。第三の分岐ランナー群236は、第二の分岐ランナー群234のランナー222から分岐する2つ、3つ、4つ以上のランナー222を含むことができる。
【0034】
[0052]図7〜13に示されているように、幾つかの例示的な態様によっては、複数の分岐ランナー222は、中心軸224に沿って対称の位置づけになっている。分岐ランナー222及びその対称の位置づけは、一般に、多岐管アセンブリ220を出て、ロービング142をコーティングする樹脂214の流れが実質的にロービング142上に均一に分配されるような具合に、樹脂214を均一に分配する。これによって、一般にロービング142の均一な含浸が可能になる。
【0035】
[0053]さらに、多岐管アセンブリ220は、態様によっては出口領域242を画定する。出口領域242は、樹脂214が多岐管アセンブリ220を出る多岐管アセンブリ220のその部分である。従って、出口領域242は、一般に、樹脂214が出るチャネルまたはランナー222の少なくとも下流部分を含む。態様によっては、図7〜12に示されているように、出口領域242に配置されたチャネルまたはランナー222の少なくとも一部は、樹脂214の流れ方向244の領域(area)が次第に増加する。領域が次第に増加すると、樹脂214が多岐管アセンブリ220の中を通って流れるにつれて樹脂214を拡散でき、より分配することができるので、ロービング142上に樹脂214を実質的に均一に分配できる。これに加えて、またはあるいは、出口領域242に配置された様々なチャネルまたはランナー222は、図13に示されているように、樹脂214の流れ方向244に一定の領域を持つことができるか、または、樹脂214の流れ方向244の領域が減少することもできる。
【0036】
[0054]図7〜11に示されているように、態様によっては、出口領域242に配置されたチャネルまたはランナー222のそれぞれは、そこから流れる樹脂214が、出口領域242に配置された他のチャネルまたはランナー222からの樹脂214と混和する(combine)ように配置される。出口領域242に配置された様々なチャネルまたはランナー222から樹脂214が混和することにより、多岐管アセンブリ220から樹脂214の単一且つ均一に分配した流れを生み出して、ロービング142を実質的に均一にコーティングする。あるいは、図12及び13に示されているように、出口領域242に配置された様々なチャネルまたはランナー222は、そこから流れる樹脂214が、出口領域242に配置された他のチャネルまたはランナー222からの樹脂214とは別々になる(discrete)ように配置することができる。これらの態様において、複数の別々の、しかし一般に、均一分配された樹脂の流れ214は、ロービング142を実質的に均一にコーティングするための多岐管アセンブリ220により生み出すことができる。
【0037】
[0055]図4〜6に示されているように、出口領域242に配置されたチャネルまたはランナー222の少なくとも一部は、曲線の断面プロフィールをもつ。これらの曲線プロフィールにより、樹脂214は、チャネルまたはランナー222からロービング142の方へ、一般に、徐々に下向きに向けることができる。あるいは、これらのチャネルまたはランナー222は、任意の好適な断面プロフィールをもつことができる。
【0038】
[0056]本開示は、多岐管アセンブリ220の上記開示の態様に限定されないと理解すべきである。むしろ、任意の好適な多岐管アセンブリ220は本発明の範囲及び趣旨に含まれる。特に、コートハンガー、馬蹄、フレックスフリップ(flex-flip)または調節可能なスロット多岐管アセンブリなどの、一般に樹脂214の均一分配を提供しえる多岐管アセンブリ220は、本開示の趣旨及び範囲内である。
【0039】
[0057]図4〜7にさらに示されているように、多岐管アセンブリ220の中を通って流れた後、樹脂214はゲート通路270の中を通って流れることができる。ゲート通路270は多岐管アセンブリ220と含浸ゾーン250との間に配置され、樹脂214がロービング142をコーティングするように、多岐管アセンブリ220から樹脂214を流すために設けられる。従って、たとえば出口領域242の中を通って多岐管アセンブリ220を出る樹脂214は、ゲート通路270に入り、その中を通って流れることができる。そして樹脂214は、ゲート通路270の出口を通ってゲート通路270を出ることができる。
【0040】
[0058]図4〜6に示されているように、態様によっては、ゲート通路270は、多岐管アセンブリ220と含浸ゾーン250との間を垂直に伸長する。あるいは、ゲート通路270は、樹脂214がその中を通って流れるように、垂直と水平との間の任意の好適な角度で伸長することができる。
【0041】
[0059]さらに図4〜6に示されているように、態様によっては、ゲート通路270の少なくとも一部は、樹脂214の流れ方向244で断面プロフィールが縮小する。ゲート通路270の少なくとも一部がテーパー状になっていると、その中を通って流れる樹脂214の流速が増加してからロービング142と接触できるので、ロービング142上で樹脂214を衝突(impinge)させることができる。樹脂214によるロービング142の初期衝突により、以下に記載するように、ロービングのさらなる衝突を提供する。さらに、ゲート通路270の少なくとも一部をテーパー状にすることにより、ゲート通路270と多岐管アセンブリ220の背圧を増加することができ、これにより樹脂214がより均一に分配して、ロービング142をコーティングすることができる。あるいは、ゲート通路270は、所望によりまたは必要により、増加する断面プロフィールまたは、一般に一定の断面プロフィールをもつことができる。
【0042】
[0060]図4〜6に示されているように、ダイ150の多岐管アセンブリ220及びゲート通路270を出ると、樹脂214は、ダイ150の中を通って横に移動するロービング142と接触する。上記のように、多岐管アセンブリ220及びゲート通路270に樹脂214が分配されるため、樹脂214はロービング142を実質的に均一にコーティングすることができる。さらに態様によっては、樹脂214は、ロービング142のそれぞれの上部表面、またはロービング142の下部表面、またはロービング142それぞれの上部及び下部表面の両方に衝突することができる。ロービング142上で最初に衝突することによって、さらにロービング142に樹脂214を含浸させる。ロービング142上での衝突は、樹脂がロービング142に衝突するときは樹脂214の速度、樹脂が多岐管アセンブリ220若しくはゲート通路270を出るときはロービング142の樹脂214への近接性、または他の様々な変数により促進することができる。
【0043】
[0061]図4〜6に示されているように、コーティング済ロービング142は、含浸ゾーン250の中を通って走行方向282に横に移動する。含浸ゾーン250は、たとえばその間に配置されたゲート通路270の中を通って多岐管アセンブリ220と流体連通している。含浸ゾーン250は、ロービング142に樹脂214を含浸させるように構成されている。
【0044】
[0062]たとえば上述のように、図6及び14〜18に示されているように態様によっては、含浸ゾーン250は複数の接触面252を包含する。ロービング142は、含浸ゾーンの接触面252上を横に移動する。接触面252上にロービング142が衝突すると、ロービング142をコーティングする樹脂214をロービング142に含浸させるのに十分な剪断力と圧力を生み出す。
【0045】
[0063]図4〜6に示されているように、態様によっては、含浸ゾーン250は、二つの相隔たって対立するプレート256と258の間に画定される。第一のプレート256は第一の内部表面257を画定し、第二のプレート258は第二の内部表面259を画定する。含浸ゾーン250は第一のプレート256と第二のプレート258との間に画定される。接触面252は、第一及び第二の内部表面257と259の両方の上で画定されるか、若しくはその両方から伸長するか、または第一及び第二の内部表面257と259の一方のみの上で画定されるか、若しくはそこから伸長することができる。
【0046】
[0064]図4〜6、15、17及び18に示されているように、例示的な態様では、接触面252は、ロービングが第一及び第二の表面257と259の上の接触面252上で交互に衝突するように、第一及び第二の表面257と259上で交互に画定することができる。かくして、ロービング142は、波形、蛇行(tortuous)または正弦曲線型の通路で接触面252を通過して、これにより剪断力が増強する。
【0047】
[0065]ロービング142が接触面252を横断する角度254は、一般に剪断力及び圧力を増強するのに十分に大きくてもよいが、繊維を破壊する過剰な力をもたらすほど大きくてはいけない。かくして、たとえば角度254は約1°〜約30°の範囲、態様によっては約5°〜約25°の範囲でありえる。
【0048】
[0066]上記のように、接触面252は典型的には、湾曲した突出部片、ピンなどの曲線のある表面をもつ。さらに多くの例示的な態様では、含浸ゾーン250は波形の断面プロフィールをもつ。図4〜6、14、15、17及び18に示されているように例示的な態様では、接触面252は第一及び第二のプレート256及び258の両方の波形表面の一部を形成し、波形の断面プロフィールを画定する突出部(lobe)である。図14は、これらの態様に従った含浸ゾーン250の少なくとも一部を形成する、その上の第二のプレート258及び様々な接触面の一態様を示す。
【0049】
[0067]図16に示されているように他の態様では、接触面252は、第一または第二のプレート256または258のたった一方の波形表面の一部を形成する突出部である。これらの態様において、衝突は、一つのプレートの表面上の接触面252の上でのみ起きる。もう一つのプレートは、一般に平坦であるか、またはコーティング済ロービングと相互作用が全くおきないように形作ることができる。
【0050】
[0068]他の態様では、含浸ゾーン250は、複数のピン(またはロッド)260を含むことができ、それぞれのピンは接触面252を有する。ピン260は、固定(static)されているか、自由回転であるか(示されていない)、または回転駆動でありえる。ピンは、含浸ゾーンを画定しているプレート表面に直接据え付けることができるか、または表面から隔てることができる。ピンはヒーターにより加熱できるか、または個別に若しくは所望により若しくは必要により加熱できることに留意すべきである。さらにピンはダイ内に含まれるか、またはダイから外側に伸長することができ、その中に完全に包み込まれなくてもよい。
【0051】
[0069]さらなる態様では、接触面252及び含浸ゾーン250は、所望により若しくは必要により、ロービング142に樹脂214を含浸させるための任意の好適な形状及び/または構造体を含むことができる。
【0052】
[0070]ロービング142をさらに含浸させ易くするために、これらはダイ150の中、特に含浸ゾーン250の中にある間は、張力下に保持することもできる。たとえば張力は、ロービング142当たり、または繊維のトウ当たり、約5〜約300ニュートンを変動し、態様によっては約50〜約250ニュートン、態様によっては約100〜約200ニュートンを変動しえる。
【0053】
[0071]図4〜6及び15〜18に示されているように、本開示に従った含浸セクションはさらに、ロービング142が含浸セクションの中を通して横に移動されるにつれて、ロービング142または複数のロービング142の張力を調整するように構成された少なくとも一つの装置300を包含する。たとえば装置300は、ロービング142の張力を下げたり、上げたりすることができる。ロービング142の張力を下げるには、装置300はロービング142を過剰供給(overfeed)することができる。言い換えれば、装置300は、以下に記載するように、含浸セクションの中を通してロービングを供給している引き抜き成形システム(pultrusion system)の引取り装置(pulling device)などの他の装置よりも早い速度で操作することができる。これにより過剰量(extra amount)のロービング142を装置300の中を通して絶えず供給させることができるので、装置300の先ではロービング142の張力は下がる。反対にロービング142の張力を上げるには、装置300はロービング142を不十分に供給する(underfeed)ことができる。言い換えれば、装置300は、以下に記載するように、含浸セクションの中を通してロービング142を供給している引き抜き成形システムの引取り装置などの、他の装置よりもより遅い速度で操作することができる。これにより、装置300の中を通してより少ない量のロービング142を絶えず供給させることができるので、装置300の先ではロービング142の張力は上がる。
【0054】
[0072]態様によっては、ロービング142の張力は、装置300により約1%以下、約2%以下、約5%以下、約10%以下、または約10%以下だけ低下または上昇させることができる。さらにまたはあるいは、ロービング142の直線速度は、装置300により、約1%以下、約2%以下、約5%以下、約10%以下、または約20%以下だけ低下または上昇させることができる。しかしながら、本開示は上記開示の百分率及び範囲に限定されず、むしろロービング142の張力または直線速度の任意の好適な低下または上昇は本開示の範囲及び趣旨に含まれると理解すべきである。
【0055】
[0073]さらに態様によっては、含浸セクションは、少なくとも一つの第一の装置300と、少なくとも一つの第二の装置300とを含むことができる。第一の装置300は、ロービング142の張力を下げるように構成することができ、第二の装置300は、ロービング142の張力を上げるように構成することができる。
【0056】
[0074]第一の装置300などの装置300は、態様によっては、図4〜6に示されているように、ロービング142の走行方向282の含浸ゾーン250の上流に配置することができる。たとえば、装置300は、図4に示されているように、ゲート通路270の出口の上流に配置することができるか、または図5に示されているように、出口に隣接して配置することができるか、または以下、特定の例示的な態様に関してより詳細に記載するように、図6に示されているように、ゲート通路270の下流に配置することができる。
【0057】
[0075]さらにまたはあるいは、第二の装置300などの装置300は、態様によっては、以下の特定の例示的な態様に関してより詳細に記載するように、含浸ゾーン250内または下流に配置することができる。
【0058】
[0076]例示的な態様では、装置300は、複数のローラー301を含むことができる。ローラー301は、ロービング142の張力を調整するように構成することができる。たとえばロービング142がダイ150の中を通して横に移動されるにつれて、ロービング142はローラー301の先へ横に移動される。ロービング142がローラー301を通りすぎるにつれて、ロービング142はローラー301の外部表面と接触する。この接触により、ロービング142上に圧力及び/または剪断が生じる。さらに上記のようにロービング142の張力を上げたり下げたりするために、ロービング142は、ロービング142の横断速度(traversal rate)よりも早いか、または遅い速度で駆動することができる。
【0059】
[0077]さらに態様によっては、様々なローラー301を、ロービング142に樹脂214を含浸させるように構成することができる。たとえば、ローラー301とロービング142との間の接触により生じた圧力及び/または剪断は、ロービング142をコーティングする樹脂214をロービング142に含浸させるのに十分でありえる。好都合には、ローラーは、ロービング142に最小限の前進流れ(drag flow)の含浸及び/または損傷(damage)を与えることができる。さらに例示的な態様によっては、以下に記載のように、ローラー301はさらにロービング142の上に樹脂214を計量するために使用することができる。
【0060】
[0078]本開示に従ったローラー301は、中心軸302の周りを回転可能である。ローラー301は、中心軸302に対して同心(concentric)であるか、または偏心(eccentric)でありえる。上記のように、この回転運動により張力を調節することができ、場合により、ロービング142に最小限の前進流れ及び/または損傷を与えることができる。さらに上記のように、例示的な態様では、ローラー301は回転駆動される。これらの態様では、以下に記載するように、引き抜き成形システムの引取り装置のような、ロービング142に付随する他の装置とは切り離されている、モーターまたは他の任意の好適な駆動装置をローラー301に接続してローラー301を回転駆動することができるか、ローラー301は、ロービング142の接触とは独立して回転することができる。ローラー301の回転速度は、ロービング142の好適な張力調整に関して所望の通りまたは必要により、ローラー301の先に横に移動しているロービング142の速度より早くても遅くてもよい。
【0061】
[0079]図4〜6及び15〜18に示されているように、例示的な態様では、ローラー301は少なくとも一対のローラー301を含むことができる。一対のローラー301は一般に、ローラー301の先に横に移動しているロービング142が、実質的に同時にローラー301の対の両方のローラー301と接触するように、ダイ150の中にロービング142の進路(path)に関して一般に向かい合って整列することができる。従って、ローラー301の対は、ロービング142の張力を調整し、場合によりロービング142を含浸させるように構成することができ、ローラー301の対のそれぞれのローラー301は、向かい合う側(opposing side)からロービング142と接触している。ローラー301は一対のローラー301、二対のローラー301、三対のローラー301、四対のローラー301、または五対以上のローラー301を含むことができる。さらに、含浸セクションが第一の装置301及び第二の装置301を含む態様では、それぞれの装置301は、図4〜6及び15〜18に示されているように、一対のローラー301または、二対以上のローラー301を含むことができる。
【0062】
[0080]さらにまたはあるいは、ローラー301は交互ローラー(alternating roller)301を含むことができる。ローラー301は、たとえば第一及び第二の表面257及び259の上に互い違いに(alternately)、またはこれに近接して配置することができる。従って、ロービング142は、波形、蛇行または正弦曲線型の通路でローラー301を通過して、これにより剪断を高める。
【0063】
[0081]図4〜6、14、15及び16に示されているように態様によっては、ローラー301は空洞(cavity)304に配置することができる。空洞304はたとえば、第一及び/または第二のプレート256及び258で画定することができ、従って第一及び第二の表面257及び259を中断させる(disrupt)。例示的な態様では、ローラー301の先に横に移動しているロービング142がローラー301と接触できるように、空洞に配置されたローラー301の一部は空洞304から突き出る。さらにまたはあるいは、ローラー301は、第一の表面257若しくは第二の表面159などの表面に直接据え付けることができるか、または図17及び18に示されているように、表面から間隔をあけることができる。
【0064】
[0082]図4〜6及び15〜118に示されているように、ローラ―301は、ロービング142の走行方向282の含浸ゾーン250の複数の接触面252の上流に配置することができる。これらの態様の幾つかでは、上流のローラー301の一つ以上をさらに使用して、ロービング142の上に樹脂214を計量することができる。たとえば図5に示すように、態様によっては、ゲート通路270から流される樹脂214がローラー301の上を流れることができるように、ゲート通路270の出口はローラー301に近接することができる。ロービング142がローラー301の先に横に移動するにつれて、樹脂214は、ローラー301によりロービング142の上にコーティングすることができる。ローラー301の回転速度は、樹脂214が所望の通りに計量されるように、ロービング142に適用される樹脂214の量を決定することができる。さらにまたはあるいは、ローラー301は、所望によりまたは必要により、図4及び5〜18に示されているように、ゲート通路270の出口の上流に配置することができるか、または図6に示されているように、ゲート通路270の出口の下流に配置することができる。さらに図4〜6、15、17及び18に示されているように、ローラー301は、ロービング142の走行方向282の含浸ゾーン250の複数の接触面252の下流に配置することができる。さらにローラー301は、図16に示されているように、様々な接触面252の間に配置することができる。たとえばローラー301は、一つ、二つ、三つ、四つ、五つまたはそれ以上の接触面252の下流に配置することができ、他の接触面252はこのローラー301の下流に配置することができる。
【0065】
[0083]図18に示されているように、態様によっては、ローラー301は、たとえば一般に直線または曲線の進路に沿って、ロービング142の走行方向282に対して垂直に調整することができる。これらの態様に従ったローラー301は、ロービング142に追加の圧縮力を提供するのに望ましいようにまたは必要により、走行方向282に対して垂直または任意の好適な角度から垂直で調整することができる。従って、ロービング142に向かって調整するときには、そのような調整によって、ローラー301は追加の圧縮力とロービング142に適用して、さらに張力を増強し、場合によりロービング142を含浸させることができる。たとえば、図18に示されているようにばね機構306、空気圧若しくは水圧シリンダー、ギア機構、または任意の好適な調整機構をローラー301に接続して、所望によりローラー301を動かして、ローラー301を調整することができる。態様によっては、一定の圧縮力がロービング142に適用されるように、ローラー301の調整は一定であることができる。別の態様では、任意の好適な速度及び/または間隔で、断続的な圧縮力がロービング142に適用されるように、ローラー301の調整は断続でありえる。さらに、ローラー301の任意の好適な調整は、本開示の範囲及び趣旨に含まれると理解すべきである。
【0066】
[0084]装置300は、ヒーター133により加熱することができるか、または個別に、または所望により若しくは必要により加熱することができる。さらに装置300は、ダイ150内部に含まれることができるか、ダイ150から外側に伸長でき、完全にその中に入らなくてもよい。例示的な態様では、装置300は、一般にダイ150の温度よりも低くない。
【0067】
[0085]図4〜6、15及び16に示されているように、態様によっては、含浸セクションはさらに少なくとも一つのブレード308を含むことができる。それぞれのブレード308は、ローラー301などの装置300と接触することができ、その装置300から余分な樹脂214を除去するために提供することができる。たとえば、ブレード308は、ドクターブレードまたは他の好適なブレードでありえる。示されているように、例示的な態様において装置300に付随するブレード308は、ロービング142の走行方向282で装置300の下流に配置することができる。あるいは、ブレード208は、ローラー301の上流に配置することができる。ローラーが回転する間及びロービング142と接触した後、装置300は、ブレード308と接触することができる。ブレード208は、装置300の外部表面から余分な樹脂214をこすり落とすことができる。
【0068】
[0086]含浸セクションにおける装置300の配列及び配置は、上記例に限定されず、むしろ含浸セクションにおける装置300の任意の好適な配列及び配置は本開示の範囲及び趣旨に含まれることは理解すべきである。さらに、本開示のローラー301はローラー301に限定されず、むしろばね装置または他の好適な張力調整装置などの、ロービング142の張力を調整するための任意の好適な装置は、本開示の範囲及び趣旨に含まれることは理解すべきである。
【0069】
[0087]図4〜6、19及び20に示されているように、態様によってはランドゾーン(land zone)280は、ロービング142の走行方向282の含浸ゾーン250の下流に配置することができる。ロービング142はランドゾーン280の中を通って横に移動してから、ダイ150を出ることができる。図19に示されているように、態様によっては、ランドゾーン280の領域が増加するように、ランドゾーン280の少なくとも一部は走行方向282に増加する断面プロフィールをもつことができる。増加する部分は、ロービング142がダイ150を出やすくするために、ランドゾーン280の下流部分でありえる。あるいは、断面プロフィールまたはその任意の部分は縮小することができるか、図20に示されているように一定であることができる。
【0070】
[0088]図4〜6にさらに示されているように、態様によっては、面板290は含浸ゾーン250に隣接することができる。面板290は、含浸ゾーン250、含まれる場合には走行方向282のランドゾーン280の下流に配置することができる。面板290は一般に、ロービング142から余分の樹脂214を計量(meter)するように構成される。かくしてロービング142がその中を通って横に移動する面板290の開口部は、ロービング142がその中を通って横断するときに、開口部のサイズが、ロービング142から余分の樹脂214を除去するような大きさにすることができる。
【0071】
[0089]さらに他の構成成分を場合により使用して、繊維の含浸を助けることができる。たとえば、「ガスジェット」アセンブリを特定の態様で使用して、個別の繊維のロービングを均等に散布しやすくすることができ、これは合体させたトウの幅全体にわたって、24,000本もの繊維まで含むことができる。これにより強度特性を均等に分散させるのに役立つ。そのようなアセンブリとしては、出口ポートを通過する移動ロービング上に一般に、垂直様式で衝突する圧縮空気または他の気体の供給を含むことができる。次いで散布したロービングを、上記のように含浸させるためにダイに導入することができる。
【0072】
[0090]本開示に従ったダイ及び方法を使用して得られた含浸ロービングは、非常に低い空隙比(void fraction)をもつことができ、これによりその強度を高めやすくなる。たとえば、空隙比は約3%以下、態様によっては約2%以下、態様によっては約1%以下、態様によっては約0.5%以下である。空隙比は、当業者に公知の方法を使用して測定することができる。たとえば空隙比は、サンプルをオーブン(たとえば約600℃で3時間)に設置して樹脂を燃やし尽くす、「樹脂燃焼(resin burn off)」試験を使用して測定することができる。次いで、残った繊維の質量を測定して、重量と容積比(volume fraction)を計算することができる。そのような「燃焼」試験は、ASTM D 2584-08に従って実施して、繊維とポリマーマトリックスの重量を測定することができ、次いでこれを使用して、以下の等式:
【0073】
【数1】
【0074】
{式中、Vfは百分率としての空隙比である;
ρcは、公知方法、たとえば液体または気体比重瓶法(pycnometer)(たとえばヘリウム比重瓶法)を使用して測定した複合体の密度である;
ρtは、複合体の理論密度であり、以下の等式より決定される:
【0075】
【数2】
【0076】
mはポリマーマトリックスの密度である(たとえば好適な結晶度における);
ρfは繊維の密度である;
Wfは繊維の重量分率である;及び
Wmはポリマーマトリックスの重量分率である)}をベースとした「空隙比」を計算することができる。
【0077】
[0091]あるいは、空隙比は、ASTM D 3171-09に従って樹脂を化学的に溶解させることによって測定することができる。「燃焼」及び「溶解」法は、通常、融解及び化学溶解に耐性であるガラス繊維に特に適している。しかしながら他の場合には、空隙比は、ASTM D 2734-09(方法A)に従ってポリマー、繊維、及びリボンの密度をベースとして間接的に計算することができ、ここで密度はASTM D792-08方法Aにより測定することができる。もちろん、空隙比は慣用の顕微鏡装置を使用して見積もることができる。
【0078】
[0092]本開示は、少なくとも一つの繊維ロービング142にポリマー樹脂214を含浸させるための方法に関する。上記のように、一般に本方法は、繊維ロービング142に張力をかけることを包含し、これは上記のように、引取り装置または他の好適な装置を使用することにより達成することができる。本方法はさらに、上記のように装置300などの、ロービング142の張力を下げることを包含する。本方法はさらに、繊維ロービング142をポリマー樹脂214でコーティングすることを包含する。本方法はさらに、含浸ゾーン250の中をコーティング済ロービング142を横に移動させて、ロービング142に樹脂214を含浸させることを包含する。含浸ゾーン250は、複数の接触面252を含む。
【0079】
[0093]さらに態様によっては、本方法はさらに、上記のように装置300を使用して、ロービング142の張力を上げることを包含する。さらに態様によっては、本方法は上記のように、装置300を、ロービング142の走行方向282に対して一般に垂直に調整する段階を包含することができる。
【0080】
[0094]態様によっては、ロービング142は、上記のように含浸ゾーン250内部で約5ニュートン〜約300ニュートンの張力下にありえる。さらに態様によっては、ロービング142を樹脂214でコーティングすることは、ゲート通路270の中を通して樹脂214を流すことを包含しえる。
【0081】
[0095]上記のように、含浸ダイ150を出た後、含浸済ロービング142、または押出物152は、リボンの形状に強化することができる。それぞれのリボンで使用されるロービング数は変動しえる。しかしながら、通常、リボンは2〜20個のロービングを含み、態様によっては2〜10個のロービング、態様によっては3〜5個のロービングを含むことができる。ロービングを対称的に分配し易くするために、リボンの中で互いにほぼ同じ距離を隔てて配置されているのが一般に、望ましい。たとえば図21を参照して、強化リボン4の一態様は、−x方向に互いに等距離に離れた三つ(3)のロービング5を含んでいることを示す。しかしながら他の態様では、ロービングの繊維が通常、リボン4のなかでくまなく均一に分配されるように、混和する(combine)のが望ましい。これらの態様において、ロービングは一般に、互いに区別がつかない。たとえば図22を参照すると、一般に繊維が均一に分配されるように混和されているロービングを含む強化リボン4の一態様が示されている。
【0082】
[0096]特定の用途に関しては、本開示に従って引き抜き成形プロセスをさらに利用することができる。たとえば態様によっては、そのようなプロセスを使用してロッドを成形することができる。このような態様では、ロービング142の連続繊維は縦方向に配向されて(図1のシステムの機械方向A)、引張り強さを強める。繊維の配向に加えて、押出プロセスの他の側面も制御して所望の強度を達成する。たとえば比較的高い割合の連続繊維を強化リボンで使用して、強化された強度特性を提供する。たとえば、連続繊維は通常、リボンの約25重量%〜約80重量%、態様によっては約30重量%〜約75重量%、態様によっては約35重量%〜約60重量%を構成する。同様に、(単数または複数種類の)ポリマーは、リボンの約20重量%〜約75重量%、態様によっては約25重量%〜約70重量%、態様によっては約40重量%〜約65重量%を構成する。
【0083】
[0097]通常、リボンは含浸ダイ150から直接押出システムに供給することができるか、またはスピンドル若しくは他の好適な貯蔵装置から供給することができる。張力を制御する装置を使用して、リボンが引き抜き成形システムの中を通して引っ張られるのにつれて、リボン内での張力の程度を制御し易くできる。リボンを加熱する装置には、オーブンを供給することができる。次いでリボンを強化ダイに供給することができ、この強化ダイは、リボンを一緒にプレフォーム(preform)に圧縮し、並びに整列し、ロッドなどの所望の製品の初期形状を成形するように操作することができる。所望により、プレフォームを最終形状に圧縮する、第二のダイ(たとえばキャリブレーションダイ)も使用することができる。ダイの間及び/またはいずれかのダイの後に冷却システムをさらに組み入れることができる。下流の引き取り装置は、システムの中を通して、製品を引っ張るために配置することができる。
【0084】
[0098]本発明のこれら及び他の変形及び変更は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者により実施しえる。さらに様々な態様の側面は、全体においてまたは一部分において交換可能であることは理解すべきである。さらに、当業者は、上記記載は単なる例示であって、付記請求の範囲に記載された発明を限定するものではないことを理解するだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22