【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明によれば、独立請求項に記載の電気手術器具および電気手術装置が提供される。さらに、独立請求項に記載の電気手術装置の作動方法および組織融合方法が提供される。有利な実施形態は、たとえば、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、把持面と、前記把持面の少なくとも一領域に設けられた電極と、を備えた電気手術器具に関する。また、この電気手術器具においては、冷却流体を供給するための流体供給ラインに接続された流体出口が、前記把持面の外方の近傍に設けられている。
【0012】
冷却流体とは、水蒸気およびこれに保存されたエネルギーのための所定のドレン(drain)を表す。水蒸気が冷却流体に達すると、水蒸気は冷却流体内で凝縮し、これにより生成される凝縮熱が冷却流体を加熱する。その後、凝縮した水は、冷却流体の温度まで冷却され、これにより、冷却流体から吸収されたエネルギーが再び解放される。冷却流体が十分な量供給されれば、冷却流体はそれにもかかわらず蒸発しないが、熱を放散する。これにより、水蒸気の凝縮および冷却の間に生成されたエネルギーによって、所望の領域の外方の組織が加熱され、すなわち損傷されることは防がれる。
【0013】
本発明は、融合縫合部の周りの組織の熱損傷を低減するための従来技術により知られる方法の効果が限定されていることに基づいている。すなわち、電極の周りの溝は、溝を超えた損傷を防ぐが、溝は、融合処理の際に形成される組織の流体−細胞−集塊により詰まらないように、最小の幅でなければならない。したがって、溝が十分に広い場合に限ってのみ、損傷はこの方法によって低減可能である。従来技術で知られる水蒸気を出すための孔においては、孔が詰まるリスクもある。
【0014】
また、本発明は、電極に当接する組織または電極を洗い流すことにより最もよく水蒸気が放散されることに基づいている。低温の非導電性流体流による熱遮断は、吸引による水蒸気の放散または回収よりもはるかに効果的である。
【0015】
好適な実施形態では、電気手術器具において、把持面の外方の近傍に、吸引による冷却流体の回収のための吸引開口が設けられている。これにより、流体出口から放出され、水蒸気により加熱された冷却流体は、再び吸引により回収可能である。したがって、電気手術器具におけるまたは治療すべき器官内の冷却流体の蓄積は防がれる。また、このような吸引開口によって、電極に沿った冷却流体の連続的な流れが可能になる。これにより、流れは、必要とされる冷却能力に整合可能である。
【0016】
電気手術器具の把持面は、器具の使用の間、組織と接触される。この領域に設けられた電極は、好ましくは、導電性材料、例えばステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属の表面を有する。電極は、典型的には、接続配線によって、高周波電圧を電極に印加可能な高周波発生器に接続されている。すなわち、電極の組織(対向電極も接触される)との適切な接触の間、高周波電流が組織を通って流れる。
【0017】
流体出口は、電気手術器具の本体における簡単な開口であってよい。典型的には、開口はこれにより電気手術器具の外面に、すなわち、近傍に向けられている。流体チャネルは、電気手術器具の内部の管またはダクトから構成されても良い。これにより、特に簡単な実施形態が容易化される。
【0018】
ただ1つの流体出口を用いる代わりに、複数の流体出口を用いても良い。これにより、特定の一領域にわたる冷却流体の拡散または複数の領域にわたる供給が実現可能となる。流体出口は、また、特定の方向への放出の間、冷却流体を方向付けるように特に構成されていても良い。
【0019】
管またはダクトの代わりに、電気手術器具は、少なくとも部分的に、内部に冷却流体が供給され少なくとも1つの流体出口が構成されている中空体として構成されてもよい。これにより、器具のさらなる冷却が実現可能となる。
【0020】
流体出口を電極にできるだけ近く配置することが望ましい。これにより、電極周辺の熱損傷される領域を、できるだけ小さくすることができ、または、なくすことができる。好ましくは、冷却流体と電極との間には、良好な断熱が、たとえば、絶縁層の形態で、設けられている。これにより、電極自体の過剰な冷却により、過大な熱エネルギーの放散が防がれ、これにより、融合縫合部の急速な加熱は防がれる。この断熱層が電気的に絶縁性でもあることが、(好ましくは非導電性の)冷却流体にわたる横方向の電流の流れを防ぐためにさらに好ましい。というのも、組織からの電解質の洗い流しによって、冷却流体が電極の領域内で電気絶縁性を失う場合があるからである。
【0021】
好ましい実施形態によれば、電気手術器具は互いに面し、相対的に可動な2つの把持面を有する。したがって、把持面は、互いに最も近く対向する面である。かかる場合、少なくとも1つの電極が各把持面の領域に設けられている。すなわち、かかる器具は、全体で2つの、異なる極性の電極を有し、これらは、治療すべき組織を通る電流を通過させるために用いることができる。
【0022】
電気治療器具が2つの把持面を有する場合、流体出口に関して、基本的に2つの実施形態が可能である。一方では、把持面の近傍にのみ、1つまたは複数の流体出口が設けられており、すなわち、流体出口は、他方の電極には設けられていない。他方では、両方の把持面の近傍に、それぞれ、1つまたは複数の流体出口が設けられて、冷却流体が2つの電極の近傍に放出される。この場合、水蒸気は、1つの電極においてではなく、2つの電極において冷却流体により吸収または冷却可能である。
【0023】
2つの把持面を有する電気手術器具の好ましい実施形態では、電気手術器具は、互いに結合され、相対的に可動な2つのブランチを有し、把持面は、他方のブランチに面する面によって形成される。このような実施形態の典型的な例は、プライヤ状の構成であり、これにおいては、ブランチがプライヤ状器具の構成要素によって形成される。これにより、電気手術器具は、電気手術把持器具となる。ブランチが、中間に位置する組織を把持可能なように、すなわち、両側に接触し、それぞれの力でもってその位置に把持されるように互いに十分近くに動かされると、電気手術器具は組織に固定可能である。
【0024】
第2の態様では、本発明は、第1の態様にかかる電気手術器具および流体ポンプを備えた電気手術装置に関する。流体ポンプは、冷却流体の供給用の流体チャネルに接続されている。
【0025】
電気手術装置は、さらに、凝固電流を生成するための発生器を備え、これは、電気手術器具の把持面の領域に設けられた電極に電気的に接続されている。さらに、流体ポンプおよび発生器は制御器に接続されており、制御器は流体ポンプの動作および発生器の動作を互いに整合する。流体ポンプと発生器の整合は、発生器により影響される加熱能力と流体ポンプに影響される冷却能力とが調和するように行われる。
【0026】
第2の態様にかかる電気手術器具は、本発明の第1の態様にかかる電気手術器具に関してすでに説明した利点を有する。言及した可能な実施形態および修正も、本発明の第2の態様にかかる電気手術装置の範囲内でのかかる電気手術器具の使用のために相応に実施可能である。
【0027】
本発明の第2の態様にかかる電気手術装置によれば、組織の電気手術処置が可能となり、これによれば、凝固領域の外側の組織の熱損傷は冷却ポンプを介して供給される冷却流体によって防がれる。
【0028】
流体ポンプは、液体または各冷却流体のポンプ輸送に適した任意のポンプであってよく、たとえば、ピストンポンプ、遠心ポンプ、膜ポンプ、好ましくは、蠕動ポンプであってよい。発生器は、好ましくは、電気手術器具との使用に関して従来技術において知られた高周波発生器である。典型的には、発生器は、組織の凝固、融合または他の処置に十分な高周波電力を供給する。発生器は、電気手術装置に使用される電気治療器具の1つの電極のいずれかのみに、さらには、治療される患者の体に当てられる背面電極に接続されてよい。電気手術装置に用いられる電気手術器具が少なくとも2つの電極を有する場合、発生器はこの電気手術器具の2つの電極に接続されていても良い。電気手術器具が電気手術把持器具であり、発生器が、ブランチに設けられた、互いに相対的に可動であり、互いに結合された2つの互いに対向する双極の電極である場合が特に有利である。この場合、組織を流れる電流は局所的に制限される。
【0029】
制御器は、流体ポンプの動作と発生器の動作を整合する。これは、たとえば、制御器が流体ポンプの動作を、十分な量の冷却流体が、発生器により生じる凝固効果により形成される水蒸気の凝縮を生じさせるように常に供給されるように制御するものと理解される。これらの手段により、組織の熱損傷は防がれる。かかる制御器は、たとえば、供給されたおよび/または放散されたおよび/または体内に存在する流体および/または融合した組織の温度をモニタするための1つまたは複数の温度センサに接続されている。これにより、制御器は、供給される流体の量が、水蒸気に起因して存在するエネルギーを吸収および放散するのにもはや十分でないときを知ることができる。
【0030】
好ましい実施形態では、制御器は、パルス化高周波電流を生成するように発生器を制御するよう構成されている。これにより、以下に詳細に説明するように、冷却効果は大きく改善される。
【0031】
パルス化高周波電流は、冷却流体によって凝固されるべき組織に供給される対流冷却との組み合わせで、一時に発生する水蒸気の量の大きな減少をもたらす。常に対流冷却されることにより、組織は、熱により生じうる最短のストレスの後で、再び冷却可能である。さらに、周囲の組織は、冷却流体により冷却される。これにより、組織の温度は、パルス毎に過度に上昇しない。この効果を担保するため、冷却流体の供給が凝固電流の印加の前に行われることが有利である。
【0032】
パルス状印加において、最短のパルス内で、組織の流体の僅かな量のみが凝固される領域で蒸発することが好ましい。換言すれば、組織の流体を、一度にではなく、少量ずつ蒸発させる。その量は、全ての水分が一度に蒸発する場合の熱エネルギーよりも顕著に低い熱エネルギーを有する。冷却流体の温度および周囲組織の温度は、より大きい量の場合よりも、過度に上昇しない。好ましくは、パルスは、組織内に、(融合に十分な)蒸発に必要な沸騰温度に短時間のみ温度を上昇可能とするちょうど十分な量のエネルギーを組織に放出する。
【0033】
対流のような熱伝導の影響は、また、電極の端部領域における熱損傷を生じるため、沸騰温度にできるだけ早く達することが望ましい。すなわち、温度上昇のエッジはできるだけ急峻であるべきである。しかし、組織の抵抗は、組織内の所望の温度に達したときに顕著にかつ急速に上昇するため、この高エネルギーはたとえば非常に短い時間のみ維持される。というのも、そうでなければ、出力電圧の急速な上昇のために、電極間にアークが発生しうるからである。これにより、電極間の組織は、破壊されて、炭化される。
【0034】
高周波電流のパルス化放出の制御器をできるだけ有効に構成するため、種々の制御技術を用いることができる。
【0035】
可能な制御アルゴリズムは、抵抗制御式および電圧制御式の印加として設計される。これにより、発生器により提供される出力電圧を調整することにより、放出されるエネルギーを一定に維持するよう基本的に試みられる。すなわち、印加される電圧は、組織の抵抗に依存する。組織の流体の液相と気相の間の転移の間、この組織の抵抗の急速な上昇が生じ、これにより、出力電圧がこれに応じて上昇する。実際に組織の流体を蒸発させるが、電圧をさほど上昇させない量のエネルギーのみをパルス毎に放出するため、抵抗制御されたパルス長が有利である。予め定めた抵抗しきい値を超えると、パルスは自動的に停止される。組織の脱水とともに、組織の抵抗はパルス毎に上昇し、かつ、融合の際に最大脱水レベルに達するべきであるため、抵抗しきい値を各パルスとともにしだいに上昇させることが有利である。ここで、パルス長は、パルス毎に次第に長くなる。スイッチオフしきい値のレベルは、非常に多種のパラメタに依存し、印加に応じて個別に構成可能である。確実に休止期間が再び周囲の組織を冷却するために十分であるように、時間制御によってパルス間の時間間隔を実現することが有利である。
【0036】
このような制御において、抵抗しきい値によりパルス長を制限することがさらに有利である。組織の脱水によって、抵抗はパルス毎に増大し、抵抗は、パルス中、および、パルス間隔すなわちパルスの間においても測定されても良い。組織の流体の蒸発によるパルス中の抵抗の増大は、短時間のみである。というのも、蒸気の一部は、加熱された体積から圧縮されずに、すぐに組織内で再度凝縮するからである。しかし、これに対して、パルス間の抵抗は、長期に維持される脱水状態の程度を表している。組織の融合において特に長い割合が重要であるため、パルス休止における抵抗に関する抵抗しきい値に達した後に、印加を停止することが有利である。
【0037】
温度制御式かつ電圧制御式の印加が、抵抗制御式かつ電圧制御式の印加の代替である。これによれば、温度しきい値の到達は、電極に統合された少なくとも1つの熱センサによる組織温度の連続的な測定により検出される。組織の温度が所定の温度限度値、例えば、100℃に達すると、パルスは自動的に停止される。温度がより低い温度しきい値(たとえば30℃)以下に再度降下すると、パルスは再開される。パルス毎に増大する組織抵抗によって、パルス電力は電圧しきい値のために低下する。これにより、組織を温度の上限まで加熱するのに必要な時間の長さは長くなる。結果的に、パルスは典型的には経時的により長い時間となる。
【0038】
記載した温度制御式かつ電圧制御式の印加は、発生器のパルスの長さおよび休止の長さ(すなわちエネルギー放出の長さも)が自動的に組織の種類、および、たとえば使用する器具に依存した他のパラメタに対して調整されるという利点を有する。これにより、異なる印加においても、電極間の同じ組織の温度が生成可能である。しかしまた、この場合、印加の全体持続時間を、抵抗しきい値によって制限することが有利である。これは、抵抗制御式かつ電圧制御式の印加に関して上述したように実施される。
【0039】
好ましい実施形態では、本発明の第2の態様の電気手術装置は、冷却流体を吸引により回収可能な吸引ポンプをさらに備える。これにより、電極近傍における、すなわち典型的には組織における、したがって患者の体内における冷却流体の放出だけでなく、この領域からの吸引によるその回収も可能となる。患者体内への冷却流体の蓄積および制御されない分布は、したがって避けることができる。
【0040】
吸引ポンプは、種々の共通モードにおいて、たとえば、ピストンポンプ、遠心ポンプまたは膜ポンプの形態で構成可能である。蠕動ポンプが好ましい。
【0041】
一方で、吸引ポンプは、吸引により回収した冷却流体を循環して再導入し、流体ポンプから流体出口に戻すよう導くことができる。換言すれば、かかる実施形態では、吸引により回収された冷却流体は、再使用可能である。好ましくは、かかる場合、吸引により回収された冷却流体は、再循環の前に、精製され(たとえばフィルタにより行われる)、および/または、冷却される(たとえば冷却装置によって行われる)。かかる場合、冷却ポンプは、吸引ポンプと同時に動作し、たとえば、循環路内で実際にただ1つのポンプが設けられる。
【0042】
代替的に、吸引により回収される冷却流体は、貯蔵システムまたは廃棄システム、たとえばタンクまたは廃棄管に供給されてもよい。かかる場合、これは再使用されない。
【0043】
吸引により冷却流体を回収するため、吸引口を有する個別の管が設けられ、この管は、電気手術器具とは独立に患者体内に挿入可能である。これにより、吸引による冷却流体の回収を柔軟に行うことができ、すなわち、管は体内位置に正確に配置可能であり、そこで冷却流体は回収される。
【0044】
しかし、代替的に、電気手術器具は、把持面の外方の近傍で吸引により冷却流体を回収するための吸引口を有してよい。この吸引口は、その後、吸引ポンプに接続されている。これにより、吸引ポンプは、電極の所定位置にある吸引口を介して冷却流体を回収する。これにより、電極に沿った所定の流体チャネルが提供可能である。
【0045】
好ましい実施形態では、電気手術装置は、流体ポンプが動作時に1℃〜6℃、好ましくは1℃〜3℃の冷却流体を供給するように構成されている。実際に、この値域が特に有利であることがわかっている。かかる温度は、たとえば、電気手術装置がさらに、ペルチェ素子またはコンプレッサ式冷却ユニットをたとえば有する冷却ユニットを有する場合に実現可能である。しかし、熱遮断のために、冷却ユニットはまた、たとえば建物内に設置された外部冷却循環路に接続されても良い。あるいは、1℃〜6℃、特に3℃での流体の供給は、冷却流体が各温度ですでに供給されることにおいて実現されてもよい。このために、冷却流体を含む容器がたとえば、冷蔵器内に貯蔵され、使用直前にのみ取り出されても良い。
【0046】
第3の態様では、本発明は、電気手術装置の動作方法に関する。本方法は、以下のステップを含む:
電気手術器具の把持面の少なくとも1つの電極に交流電圧を印加するステップ、
交流電圧の印加と整合して、電極の直近に冷却流体を供給するステップ。
【0047】
本発明の第3の態様にかかる方法は、組織を融合すべき場合に有利である。冷却流体の電極の直近への整合された供給によって、組織の熱損傷は防がれる。
【0048】
本発明の第3の態様にかかる方法は、好ましくは、本発明の第2の態様にかかる電気手術装置を用いて行われる。それは、本発明の第1の態様にかかる電気手術器具を用いてのみ実行されても良い。本明細書に記載された種々の実施形態および利点は、同様に、本発明の第3の態様にかかる方法にあてはまる。特に、冷却流体は、好ましくは、水蒸気が大部分実質的に完全に凝縮し、これにより生じる冷却流体の加熱が許容値を超えないような量で供給される。さらに、上記で詳述したように、冷却流体は、1℃〜6℃、好ましくは1℃〜3℃の温度で供給され、交流電圧がパルス化モードで供給されることがさらに好ましい。
【0049】
しかし、処理は、本発明の第2の態様にかかる電気手術装置を用いずに行われても良い。特に、共通の電気手術器具が用いられ、それとは独立に、流体チャネルに沿った凝固すべき組織部分の洗い流しが行われる。これは、たとえば、冷却流体がポンプおよび管によって凝固すべき組織部分の近傍にポンプ輸送され、別のポンプおよび別の管によって吸引により再度回収されるように、行われる。
【0050】
特に好ましくは、流体の流れは一定であり、これによって、一定した熱遮断が可能となる。
【0051】
好ましくは、非導電性流体が冷却流体として用いられる。これにより、電極間の冷却流体の浸透の際に起こりうる短絡が防がれる。このため、たとえば、電解質を含まない溶液を用いることができる。このようなものは、フレゼニウス・カービAG社(バート・ホンブルク)のPurisole(商標)の商標の下で現在流通している。
【0052】
第4の態様では、本発明は、組織融合の方法に関し、該方法は、以下の工程ステップを含む:
融合地帯において互いに対して融合されるべき組織部分同士を押圧するステップ、
融合地帯における融合されるべき組織部分を加熱するステップ、
冷却流体の供給により融合地帯の近傍の組織を冷却するステップ。
【0053】
本発明の第4の態様では、2つの組織部分が1つの融合段階に互いに融合可能である。これは、これらがその後永続的に互いに接続されることを意味している。本発明の第4の態様による方法は、好ましくは、本発明の第2の態様の電気手術装置を用いて、または、本発明の第1の態様の電気手術器具を用いて行われる。これらに記載の変形例および利点は、同様に、本発明の第4の態様にかかる工程ステップにも当てはまる。特に、本発明の第4の態様にかかる方法は、融合地帯の外側の熱損傷の防止を容易にし、というのも、組織は供給される冷却流体により冷却されるからである。
【0054】
一実施形態では、加熱ステップは、凝固されるべき組織部分に凝固電流を供給することを含む。別の実施形態では、しかし、必ずしも代替的な実施形態ではないが、加熱ステップは、少なくとも1つの加熱ユニットによる、凝固されるべき部分の加熱を含んでもよい。両方の実施形態を組み合わせてもよく、すなわち、組織は、凝固電流および加熱ユニットで同時にまたは交互に加熱されても良い。加熱ユニットによる加熱は、組織の脱水により抵抗がすでに大きく増大している場合に、特に有利である。
【0055】
本発明の別の利点をおよび実施形態は、添付図面を関して記載された以下の実施形態を見るとき、当業者に明らかとなる。