特許第6141281号(P6141281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6141281抗C.ディフィシル毒素抗体および関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141281
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】抗C.ディフィシル毒素抗体および関連方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/33 20060101AFI20170529BHJP
   A61K 39/08 20060101ALI20170529BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20170529BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20170529BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   C07K14/33ZNA
   A61K39/08
   A61K39/395 N
   A61P31/04
   G01N33/569 F
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-530007(P2014-530007)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-527966(P2014-527966A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】US2012055228
(87)【国際公開番号】WO2013040254
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年9月8日
(31)【優先権主張番号】61/534,298
(32)【優先日】2011年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514060536
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシテイ オブ オクラホマ
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】バラード, ジミー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】メルトン, ジョルディ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハインライ, ラティシャ
(72)【発明者】
【氏名】ハム, エレイン イー.
【審査官】 松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/063346(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0054493(US,A1)
【文献】 J. F. TORRES et al.,Antigenicity of amino-acid sequences from Clostridium difficile toxin B,Journal of Medical Microbiology,1996年,Vol.44,pp.464-474
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えタンパク質を可溶型で含む組成物であって、前記組換えタンパク質がクロストリジウム・ディフィシル(lostridium difficile)の毒素Bタンパク質の一部分を含み、毒素Bタンパク質の前記一部分が配列番号1〜10の何れか一からなる、組成物。
【請求項2】
クロストリジウム・ディフィシルの毒素Bに対する中和抗毒素を生成させる方法であって、
a)
i)可溶型で発現される、配列番号1〜10の何れか一からなる、クロストリジウム・ディフィシルの毒素Bタンパク質の一部分を含む精製された組換えタンパク質、および
ii)非ヒト宿主
を提供すること;並びに
b)クロストリジウム・ディフィシルの毒素Bを中和する能力がある抗毒素がインビボで生成されるように、前記非ヒト宿主を前記組換えタンパク質で免疫すること
を含む方法。
【請求項3】
配列番号1〜10の何れか一からなる単離ポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1〜10の何れか一からなる1つまたは複数のペプチド断片に対して生成された少なくとも一の抗体を含む、クロストリジウム・ディフィシルの毒素を中和する方法に使用するための組成物であって、方法が前記毒素Bを前記抗体と接触させることを含む、組成物
【請求項5】
C.ディフィシル(. difficile)感染の診断を補助する方法であって、(a)対象の生体試料をなくとも1つのペプチド断片と接触させる工程であって、前記少なくとも1つのペプチド断片は配列番号1〜10の何れか一から選択され、前記ペプチド断片は抗毒素B抗体のエピトープを含む、工程;および
(b)抗原抗体複合体の形成を検出する工程を含む方法。
【請求項6】
少なくとも一のペプチド断片を含む、C.ディフィシル感染を診断するためのキットであって、前記少なくとも1つのペプチド断片は配列番号1〜10の何れか一から選択され、前記ペプチド断片は抗C.ディフィシル毒素B抗体のエピトープを含む、ット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2011年9月13日に出願された米国特許仮出願61/534,298号の35U.S.C.119(e)に基づく利益を主張するものであり、この仮出願はその全体があたかも本明細書に完全に記載されるかのように出典明示によって本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、国立衛生研究所により授与された助成金番号R01HL084489による政府の助成によってなされた。政府は、本発明に一定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は、グラム陽性で芽胞を形成する嫌気性の桿菌であり、この種の多くの株は一般に使用される抗生物質の大多数に対し獲得耐性を有する。抗生物質の使用の影響としてミクロフローラが減少すると、正常細菌叢と栄養を競合することなく、腸内でC.ディフィシルが成長し、有害な毒素を産生することが可能となる。C.ディフィシルの強毒株では、疾病の発生率が増加し、患者に更に重大な影響がある。
【0004】
C.ディフィシルは、それぞれ、サイズが308kDおよび269kDである2つの主なタンパク質毒素である毒素A(TcdA)および毒素B(TcdB)を産生する。2つの毒素は、大クロストリジウム細胞毒(LCT)ファミリーに属し、49%のアミノ酸同一性を共有する。これらの毒素は、類似する構造を有し、推定上のレセプター結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および酵素ドメインを共有する。レセプター媒介性のインターナリゼーションおよび細胞内切断の後、これらの毒素は宿主の腸の上皮細胞中でRho−Racファミリーの低分子量GTPaseのメンバーを特異的なスレオニン残基でグルコシル化して、アクチン細胞骨格の変化、大量の体液分泌、急性炎症、および結腸粘膜のネクローシスを誘導する。
【0005】
TcdBは、疾病の一因となる決定的な毒性因子であると決定されており、診断およびワクチン接種の標的である。毒素Aおよび毒素Bに対する中和抗体は、C.ディフィシル関連下痢(CDAD)の解消に重要な役割を担うと考えられる。これら中和応答のバリエーション、中和応答の非存在、および交差中和の欠如は、全てが疾患の重症度の範囲に影響し、また潜在的に再発の一因となるとの仮説がある。特定の共有されているおよびユニークな中和エピトープを決定することにより、CDADのワクチンおよび治療薬として改良された診断薬を(疾患の重症度、株のタイプ、および再発の潜在性に関して)設計することができる。
【0006】
幾つかの研究は、毒素Aおよび毒素Bに対する抗体がCDIを防御するとの考えを支持している。大部分の急性感染症患者は、IgM応答を示さず、むしろ二次性のIgG応答を示す。急性C.ディフィシル感染症(CDI)の患者では、より高レベルの抗毒素B IgGがより軽度の疾患と関連付けられてきた。高い抗毒素A抗体価の発生は無症候性の保因の発生と関連し、他方で低い抗毒素A抗体価は引き続くCDIの発生と関連する。また、毒素Aに対する低レベルの抗体も、より重度の疾患と関連付けられてきた。興味深いことに、健康な成人の60%までで毒素Aおよび毒素Bに対する血清IgGおよびIgAを検出可能であるが、これらの抗体の中和効果は高齢者では衰える。このように、CDIに対する防御と中和抗体の存在との間に明らかな相関関係があるが、これらの応答が年齢とともに失われる理由は不明のままである。このような状況は現時点で何が強い中和応答を構成するかについての理解(つまり、どのエピトープが中和応答に重要であるか)が欠如していることに起因しており、このような状況からヒトの抗毒素応答を研究することが困難となっている。
【0007】
ヒトにおける中和抗体応答の情報は、有力な予後予測のツールを提供できるであろう。C.ディフィシルの病原性株に暴露された場合に、一部の患者は重度の感染を発症し、他の患者は軽度の下痢のみを経験するのかの理由不明である。中和抗体が疾患の重症度の決定的な決定要因である可能性が非常に高い。感染症患者に現れる免疫応答を更に分析することにより、どの抗体が重度のまたは再発性の疾患を防御可能であるかが理解されることを我々は期待する。大多数の患者が実際に毒素Bに対する抗体を作るが、これらの「Ab陽性」患者の多くが中和抗体を産生しないことを予備的なデータは示している。そのうえ、一部の患者はC.ディフィシルの超強毒株(hypervirulent strain)の毒素Bを中和する抗体を作るが、C.ディフィシルの過去に記録された株の毒素Bを中和しないことが示されている。この観察は、動物モデルにおいて抗体が2つの型の毒素Bを交差中和しないことが見出されていることからも支持される。過去に記録された株および超強毒株の毒素B抗体が交差中和しないとの事実から、幾つかの懸念が生じる。第一に、過去に記録された毒素に向けて開発されたワクチンが、超強毒性の毒素を防御しない可能性があること。第二に、治療用のモノクローナル抗体が、交差防御しない可能性があること。第三に、過去に記録された株または超強毒株での感染による獲得免疫が、互いの株での感染を防御しない可能性があること。これらの理由から、C.ディフィシルに感染した患者において何が中和抗毒素応答(neutralizing anti−toxin response)を構成するかをよりよく理解すること、ならびにCDIおよびCDADを防御するために使用しうる適切な抗毒素を開発することが決定的に必要である。本明細書に記載される請求項にかかわる発明の実施形態は、ヒトおよび動物モデルにおいて抗原性でありかつ毒素Bの中和を担う毒素Bの特定の領域を提供する。本発明の他の実施形態は、毒素Bに対する抗体を産生させるために使用される大量の毒素Bのペプチド断片を発現させるためのプラットフォームを提供する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施形態は、組換えタンパク質を可溶型で含む組成物を対象とし、前記組換えタンパク質は毒素Bを中和する抗体を産生するために使用されるクロストリジウム・ディフィシルの毒素B配列の一部分を含む。
【0009】
本発明の更なる実施形態は単離されたポリペプチドを対象とし、そのポリペプチドのアミノ酸配列はクロストリジウム・ディフィシルの毒素B配列の断片を含有する配列を含み、その断片は抗毒素B抗体を産生するための抗原である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】抗毒素B抗体により認識される毒素Bタンパク質の領域を示す図である。
図2】毒素中和能力(toxin−neutralizing ability)に関して種々のC.ディフィシル断片に対する抗体の試験結果を示す図である。
図3】中和抗体産生性のペプチド断片(neutralizing antibody−producing peptide fragment)を同定するためのエピトープマッピングの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
C.ディフィシルは、グラム陽性で芽胞を形成する嫌気性の細菌である。この細菌が抗生物質に関連した下痢の主な原因であり、その重症度は軽度の下痢から命にかかわる偽膜性大腸炎にまでおよぶ。病原性C.ディフィシル株は、その株の病原性と密接に関連する外毒素A(TcdA)およびB(TcdB)を排出する。TcdAおよびTcdBの双方は腸毒素性で、腸上皮のダメージを誘発し、粘膜の透過性を増加させる能力があり、それ故にC.ディフィシル関連大腸炎の病因の主因であると考えられる。北アメリカにおいて過去数年間で高い罹病率および死亡率を記録した幾つかの病院でのCDADの流行は、広域抗生物質を広範に使用したことに起因する。より毒性の高いC.ディフィシル株の出現も、その疾患の発生率および重症度の増加の一因である。抗生物質を使用することによって、腸内の共生ミクロフローラが減少し、C.ディフィシルのより広範な増殖が可能となり、毒素の産生に至る。CDADは、軽度の下痢から重度で劇症の致死的な疾患にわたる範囲の症状を有する。
【0012】
本明細書で提供される発明の実施形態は、C.ディフィシルのペプチド断片を組換え型で高レベルに発現させるためのベクターを含む。種々の実施形態において、ベクターはシャトルベクターである。更に、本発明では、C.ディフィシルのペプチド断片を発現するベクターを保持する細胞が提供される。また、本明細書の発明は、少なくとも1つのペプチド断片を含むC.ディフィシルの存在をアッセイするためのキットも特徴とする。ある特定の実施形態におけるキットは使用説明書を含む。他の実施形態において、キットは少なくとも1つの毒素中和抗体を含む。
【0013】
毒素Aおよび毒素Bに対する抗体は、C.ディフィシルに以前に感染したかまたは感染中の患者において同定された。患者および対照の血清試料を収集し、貯蔵し、標準のELISAアッセイを用いて精製された毒素AおよびB(10463株およびNAP1株の双方から)に対する反応性を試験した。毒素は主として2つの株10463およびNAP1から精製した。
【0014】
本発明の一実施形態は、毒素中和アッセイを対象とする。このアッセイでは、患者の血清を毒素Bを中和する能力について試験した。C.ディフィシルの毒素BをC.ディフィシルに感染した患者の血清と共に室温で1時間インキュベーションした。血清/毒素の混合物を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に添加し、37℃でインキュベーションした。CHO細胞を細胞の生存度について顕微鏡下で観察した。血清/毒素の混合物で処理したCHO細胞が毒素単独で処理した細胞よりも高い生存度を示すことが観察された。
【0015】
本発明の一実施形態は、抗毒素B抗体により認識される毒素Bタンパク質の領域を決定することを対象とする(図1)。C.ディフィシルに感染した患者の抗血清を用いて、抗毒素B抗体によるエピトープ認識を決定するため実験を実施した。毒素Bタンパク質の幾つかの領域が抗毒素B抗体により標的とされる領域と同定された。これらの領域は以下に確認されるとともに添付される配列表においても確認される:
ASIGETIIDDKNYYFNQS- 1874〜1891(配列番号1)
EDGFKYFAPANTLDEN- 1902〜1917(配列番号2)
IGDYKYFNSDGVMQK- 1972〜1987(配列番号3)
YKYFAPANTVNDNIYG- 2168〜2183(配列番号4)
ESDKYYFNPETKKA- 2218〜2231(配列番号5)
QNTLDENFEGESINYT- 2308〜2323(配列番号6)
【0016】
本発明の一実施形態は、毒素Bの中和の間に標的とされる毒素Bタンパク質の領域を決定することを対象とする。中和抗体を有する血清試料を毒素の複数の断片を用いて分析して、毒素Bタンパク質のどの領域が中和抗体応答を示している患者の間で標的とされるかを検出した。それらの断片をクローン化し、発現させた。図2に示されるように、10463株の毒素Bのペプチド断片(断片14)に対する抗体はインビトロでの中和と関連していた。この断片は189アミノ酸のポリペプチドであり、10463株の毒素Bのアミノ酸2152から2341にわたる。この配列は以下に記載されるとともに本出願において配列番号7として記載される。
DDNGIVQIGVFDTSDGYKYFAPANTVNDNIYGQAVEYSGLVRVGEDVYYFGETYTIETGWIYDMENESDKYYFNPETKKACKGINLIDDIKYYFDEKGIMRTGLISFENNNYYFNENGEMQFGYINIEDKMFYFGEDGVMQIGVFNTPDGFKYFAHQNTLDENFEGESINYTGWLDLDEKRYYFTDEYIA(配列番号7)
【0017】
本発明の別の実施形態において、NAP1の毒素Bに由来するペプチド断片に対して生成された抗体をインビトロでの毒素Bの中和について試験した。この断片はNAP1株の毒素Bのアミノ酸2152〜2341にわたる。この配列は以下に記載されるとともに本出願において配列番号8として記載される。
DENGLVQIGVFDTSDGYKYFAPANTVNDNIYGQAVEYSGLVRVGEDVYYFGETYTIETGWIYDMENESDKYYFDPETKKAYKGINVIDDIKYYFDENGIMRTGLITFEDNHYYFNEDGIMQYGYLNIEDKTFYFSEDGIMQIGVFNTPDGFKYFAHQNTLDENFEGESINYTGWLDLDEKRYYFTDEYIA(配列番号8)
【0018】
本発明の一実施形態は、毒素Bタンパク質の抗原部分を決定することを対象とする。目的の断片についてオーバーラップするデカペプチドを合成し、患者の抗体応答を詳細に調べてどの配列が抗原性を有し、中和に関連しているかを正確に決定した。
【0019】
オーバーラップするデカペプチドを用いた詳細な特異性のエピトープマッピングにより、目的の領域が動物モデルおよび患者の試料の双方において標的とされる一領域に狭められ、その領域に対する抗体はインビトロで10463およびNAP1の毒素を中和する能力がある(図3)。図3に示されるように、破線ボックスは実験において抗毒素B抗体により標的とされると考えられかつ毒素B中和特性も示された毒素Bタンパク質中の領域の境界を表す。同定されたペプチドは次のアミノ酸配列ESDKYYFNPETKKACKGINLID(配列番号9)を有する。この配列は抗毒素B抗体により標的とされる毒素Bの領域として以前に同定された配列番号5とオーバーラップする。
【0020】
10463株(配列番号7)およびNAP1株(配列番号8)に由来する2つの毒素B断片の更なる分析によって、それらの断片が2226位から2231位のペプチドを表すヘキサペプチド即ちPETKKA(配列番号10)を共有することが示される。
【0021】
本発明の一実施形態は、C.ディフィシルの毒素Bに由来する抗原性ペプチド断片を含む組成物を対象とする。本発明のある特定の実施形態において、抗原性ペプチド断片は発現ベクターに含まれ、これらベクターが次に使用されて抗体を産生させるために使用できる多量のタンパク質が産生される。
【0022】
本発明の一実施形態は、毒素Bタンパク質中のエピトープを標的とする抗体を産生させることを対象とする。本発明の他の実施形態は、毒素Bタンパク質中のエピトープを標的とし、中和効果を示す抗体を産生させることを対象とする。ウサギを毒素Bの断片で免疫し、血清を複数の時点で収集した。ウサギ血清を抗体の存在および抗体の中和に関する潜在能力について試験した。
【0023】
本発明の一実施形態は、C.ディフィシル感染を診断するための方法であって、(a)対象の生体試料を毒素Bの断片である少なくとも1つのペプチド断片と接触させる工程;および(b)抗原抗体複合体の形成を検出する工程を含む方法を提供する。この方法において、対象の生体試料は、試験に使用されるペプチド断片と複合体を形成できる抗体を含有しうる。かかる生体試料の例は試験対象の血清である。
【0024】
本発明の別の実施形態は、毒素Bの1つまたは複数のペプチド断片を含むキットを提供し、このキットはC.ディフィシルに以前に感染したかまたは感染中の患者の血清を試験するために使用される。キットを用いて得られる試験の結果によって、患者が受けた感染のタイプ(つまり、感染を引き起こすC.ディフィシルの株)の診断が提供される。キットの別用途は、C.ディフィシル感染の予防および治療における治療補助(therapeutic aid)として機能させることである。例えば、毒素Bのペプチド断片を使用して、免疫で生じる抗体がC.ディフィシルによる引き続く感染イベントにおいて毒素応答を中和させるために機能するように患者を免疫しうる。
【0025】
これら方法の多くの適切なバリエーションが上記記載の方法および特許請求の範囲に記載の方法を置換しうるまたはそれらの方法に付加して使用されうることを当業者は認識するであろう。本発明の実施形態の他のバリエーションおよび修飾およびその種々の態様の実施が当業者には明らかであること、ならびに本発明が本明細書および特許請求の範囲に記載された特定の実施形態に限定されないことを理解すべきである。従って、本発明の実施形態ならびに本明細書において開示および主張される基礎の根底にある原理の真の精神および範囲内の任意のおよび全ての修飾、バリエーション、または均等物を網羅することが企図される。
図1
図2
図3
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]