特許第6141294号(P6141294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141294
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】試料観察デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20170529BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G01N21/958
   G01N21/84 D
【請求項の数】29
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-538897(P2014-538897)
(86)(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公表番号】特表2014-531044(P2014-531044A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】US2012061547
(87)【国際公開番号】WO2013063013
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】13/280,807
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513237445
【氏名又は名称】アポジー・エンタープライジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APOGEE ENTERPRISES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エリック・ニコルズ
(72)【発明者】
【氏名】ランディ・リーランド・スタル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・スパージョン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・リン・ボーヤム
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エドワード・ボイヤー・ザ・サード
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭50−014787(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0139120(US,A1)
【文献】 特公平07−009382(JP,B2)
【文献】 特開平11−185023(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0291252(US,A1)
【文献】 MARIE-CLAUDE DUBOIS,IMPACT OF COATED WINDOWS ON VISUAL PERCEPTION,[ONLINE],2003年 1月 1日,P1-35,URL,http://vbn.aau.dk/files/14366147/Dokumentation044/pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料観察デバイスであって、
エンクロージャ;
試料を受容し、およびエンクロージャに対して試料を保持するためエンクロージャに配置された試料取付けシステム;並びに
エンクロージャに配置され、およびエンクロージャの背景色を制御するために構成された背景色制御システム
を有して成り、および
背景色制御システムが、エンクロージャ内での選択的な設置のために構成された複数のカセットを有して成る、試料観察デバイス。
【請求項2】
エンクロージャがボックス形状である、請求項1に記載の試料観察デバイス。
【請求項3】
ボックスが、底面、第1面、および第2面を有した鞍部を有して成る、請求項2に記載の試料観察デバイス。
【請求項4】
ボックスが開閉可能な前面、背面、および上面を有して成る、請求項3に記載の試料観察デバイス。
【請求項5】
試料取付けシステムが、支持システムおよび保持システムを有して成る、請求項1に記載の試料観察デバイス。
【請求項6】
試料取付けシステムが、試料を選択的に固定するためのラッチ・システムを有して成る、請求項5に記載の試料観察デバイス。
【請求項7】
数のカセットが、複数の有色カセットを有して成る、請求項1に記載の試料観察デバイス。
【請求項8】
背景色制御システムが、カセットを受容するための複数の取付け要素を有して成る、請求項7に記載の試料観察デバイス。
【請求項9】
取付け要素が、該取付け要素に沿って延在するスロットを有する細長いストリップを有して成る、請求項8に記載の試料観察デバイス。
【請求項10】
ストリップ内のスロットの横断面が、相互に実質的に直交するように配置されている、請求項9に記載の試料観察デバイス。
【請求項11】
取付け要素の一部は、試料観察デバイスの背面からストリップのスロットにカセットを摺動することで、カセットを受容するように構成されている、請求項9に記載の試料観察デバイス。
【請求項12】
試料取付けシステムに取り付けられた試料を更に有して成る、請求項1に記載の試料観察デバイス。
【請求項13】
試料がガラスを含んで成る、請求項12に記載の試料観察デバイス。
【請求項14】
試料がモノシリックガラスを含んで成る、請求項13に記載の試料観察デバイス。
【請求項15】
試料が彩色ガラスを含んで成る、請求項13に記載の試料観察デバイス。
【請求項16】
試料が被覆ガラスを含んで成る、請求項13に記載の試料観察デバイス。
【請求項17】
試料が絶縁性ガラスユニットを含んで成る、請求項13に記載の試料観察デバイス。
【請求項18】
エンクロージャおよび背景色制御システムを有して成る試料観察デバイスに試料を設けること;
エンクロージャ内に有色カセットを選択的に挿入することによって背景色制御システムを選択的に調整すること;および
1つ以上の観察ポイントから試料の外観を解析すること
を含む、試料の観察方法。
【請求項19】
ンクロージャ内に有色カセットを選択的に挿入することは、色のパターンを有する有色カセットを挿入することを含む、請求項18に記載の試料の観察方法。
【請求項20】
エンクロージャ内に有色カセットを選択的に挿入することは、エンクロージャに配置された取付け要素内にカセットを選択的に摺動させることを含む、請求項19に記載の試料の観察方法。
【請求項21】
エンクロージャは前面、上面、および背面を含む開閉可能な部分を有して成り、および
選択的に1つ以上の開閉可能な部分を開いたり又は閉じたりすることと、1つ以上の観察ポイントから試料に対する効果を評価することとを含む、請求項18に記載の試料の観察方法。
【請求項22】
選択的に1つ以上の開閉可能な部分を開いたり又は閉じたりすることは、それぞれ開閉可能な部分を外す又は係止すること、および開閉可能な部分を枢動可能に動作させることを含む、請求項21に記載の試料の観察方法。
【請求項23】
選択的に1つ以上の開閉可能な部分を開いたり又は閉じたりすることは、それぞれ開閉可能な部分を外す又は係止すること、およびエンクロージャから開閉可能な部分を取り外すことを含む、請求項21に記載の試料の観察方法。
【請求項24】
試料がガラスを含んで成る、請求項18に記載の試料の観察方法。
【請求項25】
試料がモノシリックガラスを含んで成る、請求項24に記載の試料の観察方法。
【請求項26】
試料が彩色ガラスを含んで成る、請求項24に記載の試料の観察方法。
【請求項27】
試料が被覆ガラスを含んで成る、請求項24に記載の試料の観察方法。
【請求項28】
試料が絶縁性ガラスユニットを含んで成る、請求項24に記載の試料の観察方法。
【請求項29】
試料観察デバイスであって、
キャビティーを規定するエンクロージャ;
キャビティーに隣接する少なくとも部分的に透明な試料を固定するために構成された試料取付けシステム;および
キャビティー内に色を供し、それによって試料の外観に作用するためにキャビティー周囲に配置された背景色制御システム
を有して成り、および
背景色制御システムが、複数のカセットを受容するように構成された複数の取付け要素を有して成る、試料観察デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察用の試料(又は試験片又は検体;specimen)を保持するためのデバイスに関する。より具体的には、本発明は、例えば、試料に供される光を制御するためのボックス、チューブ、チャネル、凹面構造等の光制御観察デバイスに関する。更により具体的には、本発明は、モノリシックなパネルおよび/又は絶縁ガラスユニット等のガラスを保持し、観察するための光制御観察デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
窓ガラス又は生ソーダ石灰ガラスは、自然には相対的に高い放射性を有する。熱効率(絶縁特性)を改善するために、特別に設計された薄膜コーティングが、生ソーダ石灰ガラスの1つ以上の表面にしばしば施される。これらコーティングは赤外放射エネルギーを反射し、それによって、反射が生じたガラスと同じ側に放射熱がとどまり、その一方で可視光は通過する傾向がある。これにより、冬に室内から生じる放射熱は内側に戻るように反射するが、夏場の太陽からの赤外熱放射線は離れるように反射し、室内側は冷却されるため、より効率的な窓となる。
【0003】
被覆ガラスの内側および外側の外観を予測することは困難で有り得る。更に、光処理能力および光処理能力の効果を予測することも困難で有り得る。コンピューターモデル化プログラムは、被覆ガラスの外観を描写するためにしばしば使用される。しかしながら、コンピューター又はその印刷物にその外観を描写する際、実際に組み立てて建物又は他の構造物に設けた際に被覆ガラスがどのように見えるかを正確に理解することは困難であり得る。
【発明の概要】
【0004】
ある態様では、試料観察デバイスは、エンクロージャ(又は囲い;enclosure)と、および、試料を受容し、エンクロージャに関連して試料を保持するためのエンクロージャに設けられた試料取付け(又は搭載;mounting)システムとを有して成っていてよい。又、当該デバイスは、エンクロージャに設けられ、エンクロージャの背景色を制御するために構成された背景色制御システムを有して成っていてよい。
【0005】
別の態様では、試料観察デバイスは、キャビティーを規定するエンクロージャ、キャビティーと隣接した少なくとも部分的に透明な試料を固定するために設けられた試料取付けシステム、および、キャビティー内に色を与え、それによって試料の外観に作用するためのキャビティー周囲に配置された背景色制御システムを有して成っていてよい。
【0006】
別の態様では、試料の観察方法は、エンクロージャおよび背景色制御システムを有して成る試料観察デバイス内に試料を設けることを含んでいてよい。又、当該方法は、選択的に背景色制御システムを調整し、1つ以上のバンテージポイントから試料の外観を分析することを含んでいてよい。
【0007】
上記の記載および下記の詳細な記載は共に例示と説明の目的のためにあり、本発明を必ずしも限定するものではないと理解できよう。明細書に組み込まれ、明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の事項を示している。併せて、上記の記載および下記の詳細な記載並びに図面は、本発明の原理を説明するために供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ある態様に従い、前面と背面が開き、上面が取り外された試料観察デバイスの斜視図である。
図2A図2Aは、図1の試料観察デバイスの前側の断面図である。
図2B図2Bは、図1の試料観察デバイスの後側の断面図である。
図2C図2Cは、図1の試料観察デバイスの上面の平面図である。
図2D図2Dは、図1の試料観察デバイスの下側の断面図である。
図2E図2Eは、図1の試料観察デバイスの左側の断面図である。
図2F図2Fは、図1の試料観察デバイスの後側の断面図である。
図3A図3Aは、上面を取り外し、前面と背面とを開いた位置での図1の試料観察デバイスの平面図である。
図3B図3Bは、上面を取り外し、前面と背面とを開いた位置での図1の試料観察デバイスの左面の断面図である。
図4A図4Aは、図1の試料観察デバイスの平面図である。
図4B図4Bは、図1の試料観察デバイスの平面図である。
図4C図4Cは、図1の試料観察デバイスの右面図である。
図4D図4Dは、図1の試料観察デバイスの背面図である。
図4E図4Eは、図1の試料観察デバイスのスペーサの底面図である。
図5A図5Aは、図1の試料観察デバイスの取付け要素の側面図である。
図5B図5Bは、図1の試料観察デバイスの取付け要素の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ある態様では、本発明は被覆ガラスから成るサンプル又は試料を設けるための光ボックスに関する。光ボックスは六面ボックスを有して成っていてよく、サンプル又は試料は六面の内部近傍又は六面の内部に配置されていてよい。光ボックスの内部は、当該ボックスの内部の色を変更できる取り外し可能で取り換え可能なパネルを有していてよい。光ボックスの六面のいくつかは開閉可能であってよい。ある態様では、例えば、光ボックスの1つ以上の前面、背面、および上面は、その場の(例えば、設置した)被覆ガラスの外観を理解するためにガラス試料を観察することができるよう選択的に開かれていてよい。すなわち、例えば、光ボックスの前面を開いた際の光ボックスの外部からの試料の光景は、その場で建物又は他の構造物の外部からのガラスの外観と似ているかもしれない。別の例では、光ボックスの背面を開いた際の当該ボックスの後部から、および当該ボックスを通じての試料の眺めは、その場で建物又は他の構造物の内部からのガラスの外観と似ているかもしれない。従って、光ボックスを用いて、フルサイズの実物模型を作成し又は被覆ガラスを完全に取り付けることを要することなく、ガラス上の異なるコーティングの外観がその場で観察され得る
【0010】
いくつかの異なるタイプの試料は、試料観察デバイス100で使用されてよい。ある態様では、モノシリック(又は単相一体の;monolithic)なガラスが含まれていてよい。他の態様では、ワイヤ付きガラス又はRFガラスが含まれていてよい。更に他の態様では、シルクスクリーン印刷ガラス、デジタル印刷ガラス、セラミックガラス原料から成るガラス等の彩色ガラス、又は他のタイプの彩色ガラスが含まれていてよい。別の態様では、透明ガラスが含まれていてよく、又は、薄く色付けされた又は色付けされたガラスが含まれていてよい。更に他の態様では、低エネルギーガラス、太陽反射ガラス、ハードコート、ソフトコート、金属被覆ガラス、金属/金属酸化物被覆ガラス等の層状ガラス又は被覆ガラス、又は他のタイプの被覆ガラスが含まれていてよい。更に他の態様では、パターンガラス/テクスチャーガラス、酸性エッチングガラス、又はサンドブラストされたガラスが含まれていてよい。更に他の態様では、二重又は三重絶縁ガラス等の絶縁ガラス又は他のレベルの絶縁ガラスが含まれていてよい。更に他の態様では、上記タイプのガラスの組合せが単一試料に含まれていてよく、および/又は試料観察デバイスを使用して2つ以上のこれらタイプのガラスを比べてよい。更に他の態様では、試料観察デバイスにて不透明な試料又は半不透明な試料が使用されてよい。又、更に他のタイプの試料が含まれていてよい。
【0011】
図面を参照すると、試料観察デバイス100は、六面形状で示されている。上記で示すように、試料観察デバイス100は、当該デバイス100に設けられた又は当該デバイス100内に設けられた試料50に供される光の角度および/又は光量を制御するように構成され得る。そのような六面ボックスが示されている一方、試料観察デバイス100は、ボックス、チューブ、チャネル、凹面構造の形態であってよく、又は、試料に到達する光を遮り、広げ、又は試料に到達する光量および光の角度を制御するための他の形状システム又はデバイスの形態であってよい。ある態様では、試料観察デバイス100は、6面、又は、7面若しくは5面等の他の数から成る面、すなわち6面よりも多い他の数から成る面若しくは6面よりも少ない他の数から成る面を有した1つ以上の丸い帽子箱であってよい。更に他の態様では、試料観察デバイス100は、示されるエンクロージャよりも大きな又は小さなエンクロージャであってよく、当該エンクロージャは、エンクロージャに配置されたコンパートメント(又は区画)を有して成っていてよい。例えば、コンパートメントは、部分的に又は完全に分離したパネルで分割される。エンクロージャを規定する壁若しくはパネル、又は、エンクロージャ内に供される分離したパネルは、摺動(又はスライドslide)し、ヒンジで移動してよい透明又は不透明なシャッター、又は、観察する1つ以上の試料を方向付けできる開閉可能な又は取り外し可能なシャッターを有した窓状の開口部を有していてよい。ある態様では、試料観察デバイスに試料を設けるための試料位置調整システムは、固定配置されてよく、又は、試料を傾け、回転し、移動し、又は調節することで調整可能であってよい。又、他の態様では、異なる大きさ又は形状の試料に適合させるために、例えば摺動又は延在させることで、試料観察デバイス100の面又はパネルを調整できるようにしてよい。試料観察デバイスの一部は、当該デバイス内に入る又は試料に供される光量を選択的に制御するために、移動可能で、開閉可能で、又は調整可能であってよい。ある態様では、上記に示したシャッターは、枢動し、摺動し、回転し、開口し、又は取り外し可能であってよい。他の態様では、試料観察デバイスの一部は、シェード(又は陰)又はブラインド、又は光量を選択できるように開口し若しくは枢動してよい他の光制限デバイスと同様であってよい。更に他の態様では、チャンバーの不透明性を調整し、それによって、選択的に通過する光量を選択的に調整可能なガスが充填されたチャンバーを使用してもよい。又、試料観察デバイス100は、例えば、試料に内部光および/又は外部光を方向づけ、又は、背景光を供するための光源を有して成っていてよい。
【0012】
図1に示すように、試料観察デバイス100は、試料50を完全におよび/又は部分的に囲み、又は試料50に供される光を制御するためのエンクロージャ102を有して成っていてよい。又、試料観察デバイス100は、試料50を設け、方向付け、および保持するための試料位置調整システム104を有して成っていてよい。試料観察デバイスのこれら部分の各々については、以下詳細に説明する。
【0013】
記載しているように、エンクロージャ102は、任意の形状であってよく、試料の種類および形状、並びに、所望の試料露光量のタイプに基づき選択されてよい。示される態様では、エンクロージャは6面ボックス102の形状である。6面ボックス102は、当業者に知られているいくつかの方法の1つで構成されてよい。すなわち、ある態様では、6面ボックス102は、折り畳み材から作られてよく、いくつかの面は6面ボックス102を形成するために折り畳まれてよい。示される態様では、6面ボックス102は相対的に剛体材料から作られる。6面ボックス102の面のいくつかは、相対的に剛性な接続で相互に接続され、6面ボックス102の他の面は、当該面がヒンジ接続部の周りを枢動できるようにヒンジ構造で接続される。ヒンジ接続部が供される場合、ラッチシステムを供して、所定箇所で各面を固定し、選択的にヒンジ動作を抑制してもよい。
【0014】
図1に示すように、6面ボックス102は、左面110、右面112および底面114を有した鞍部(又はサドル部;saddle portion)を有して成っていてよい。左面110および右面112はこれらに対して略直角に底面114に対して取り付けられてよい。エンクロージャ102の用途および目的に応じて他の角度に設定されてもよい。左面110および右面112は、底面114に対してしっかりと接続されて、底面114に対する方向を維持してよい。ある態様では、左面110および右面112は、底面114にしっかりと取り付けられる別々の部品であってよい。6面ボックス102に使用される材料に応じて、面はツメ、ネジ、又はステープル等の留め具で底面114に取り付けられてよく、面110、112は底面114に溶接されていてよく、又は面110、112は底面114に接着されてよい。他の態様では、面110、112および底面は成型され、又は単一部品として形成されてよい。説明のため、ボックス102の面の位置は、下記のとおり規定されてよい。左面110が左側にあり、右面112が右側にあり、底面114が左面110から右面112又は底面114は右面112から左面110まで底面を横切って延在するような鞍部108を見る際、残りの面について下記の事を述べることができ得る。観察者に近い面は前面116であってよく、観察者とは反対側の面は背面118であってよく、左面から右面まで又は右面から左面までの上面を横切って延在している面は、ボックスの上面120であってよい。
【0015】
6面ボックス102の前面116、背面118、および上面120は、開閉可能な面であってよい。面116、118、120の各々は、6面ボックス102の鞍部108にヒンジ接続されてもよく、又は取り外されてよい。6面ボックス102の前面116はヒンジで鞍部108の底面114に接続されてよく、それによって、前面116は、
鞍部108の底面114の前側エッジにより規定される軸周りのヒンジ動作により開口されてよい。同様に、6面ボックス102の背面118は、ヒンジで鞍部108の底面114に接続されてよく、それによって、背面118は、鞍部108の底面114の後端部により規定される軸周りのヒンジ動作により開口されてよい。上面120は、6面ボックス102から取り外してもよく、前面116、背面118、左面110、および/又は右面112のいずれかに、又はこれらの組合せに6面ボックス120の上面を選択的に取り付けるため外周の周りに配置された一連のラッチ122を有して成っていてよい。示される態様では、ラッチ122は、前面116又は背面118ではなく左面110および右面112に上面120を取り付けるために供される。上面120を左面110に取り付けるための2つのラッチ122が示されており、上面120を右面112に取り付けるための更なる2つのラッチ122が示される。他の数量や位置に設定されたラッチ122が供されてもよい。
【0016】
又、ラッチ122は閉鎖位置内に前面116および背面118を取り付けるために供されてよい。上面120のように、ラッチ122は、左面110、右面112、および/又は上面120のいずれかに、又はこれらの組合せに前面116および背面118を選択的に取り付けるため前面116および背面118の各々の外周の周りに供されてよい。示される態様では、ラッチ122は、上面120ではなく左面110又は右面112に前面116および背面118を取り付けるために供される。あるラッチ122は、左面110に取り付けるために前面116および背面118の各々に供され、更にもう1つのラッチ122は、右面112に取り付けるために前面116および背面118の各々に供される。他の数量のラッチ122が供されてもよい。
【0017】
ラッチ122の特定の配置により、ラッチシステムの各々に対して開閉可能な面の各々が相互に区分けされる点で示されるラッチ122の特定の配置には利点があり得る。これは、開閉可能な面が実質的に固定された鞍部108に引っ掛けられ、又は外されるからである。そのようにして、他の前面116、背面118、および上面120のいずれかが開口されるかに関係なく、前面116、背面118、および上面120のいずれか1つは外され、開かれてよい。又、ラッチ122の他の配置がされてもよい。ラッチは、係止された際に試料観察デバイスの各部分を一体的に強固に引っ張り、係止部分のラッキング(又は振り;racking)又は他の動作を抑制するために、絞り(又は引抜き;draw)ラッチであってよい。又、例えば、磁石、スナップ(又は留め金;snap)、フックおよびループ等のラッチ以外の他の取付けデバイスが供されてよい。
【0018】
又、6面ボックス102は、当該ボックス102を運搬するため上面120に配置された取っ手124を有して成っていてよい。2つの取っ手を運搬のために、6面ボックス102の左面110および右面112並びに/又は前面116および背面118の各々に他の取っ手124が配置されてよい。又、6面ボックス102は、その底面に配置されたスペーサ126を有して成っていてよい。スペーサ126は、6面ボックス102が例えばテーブル、実験台、カウンター、又は他の構造物に設けられた際に、表面の結合(;marrying)を抑制するためのパッド128を有して成っていてよい。又、スペーサ126は、背面114の周りを枢動する際にて開閉可能な前面116および背面118の厚さを適合させる作用機能を有していてよい。例えば、図3Bに示すように、スペーサ126は、前面116および背面118の各々と同じ厚さ、又は前面116および背面118の各々の厚さをごく僅かに上回っている厚さを有していてよい。
【0019】
又、ボックス型のエンクロージャ102は、試料位置調整システム104を有して成っていてよい。試料位置調整システム104は、エンクロージャ102に対して所定箇所で試料50を受容し、試料50を保持するために構成されていてよい。ある態様では、試料50は、エンクロージャ102内に収めるような形状および大きさであってよい。すなわち、エンクロージャ102がチューブ状である場合、例えば、試料50は円形であって、チューブの一端を封止するように構成されていてよい。他の態様では、特定の開口部が試料50の設置のために供されてよく、試料50はこの開口部内に収まり又は開口部を覆うような大きさであってよい。示される態様では、試料位置調整システムで使用される試料50は、光ボックスのエンクロージャ102の前面116内に収まるよう略長方形又は四角形であってよい。図1、2B〜2Eおよび3A〜3Bに示されるように、試料位置調整システム104は、それ故、エンクロージャ内にどの程度試料50を設けてよいかを制御するための支持システム(又はバッカーシステム;backer system)130を有して成っていてよい。保持要素132が、所定箇所で試料50を支持システム130に対して保持するために供されてよく、ラッチ134が所定箇所で試料50を支持システム130に対して選択的に保持するために供されてよい。
【0020】
支持システム130は、鞍部108の左面110、右面112、底面114の各々の内面に配置された一連のバンパー又はバー(又は棒)を有して成っていてよい。バー130は、各面に沿って連続的又は断続的であってよい。示されるバー130は、左面110、右面112、および底面114の長さに沿って連続的である。バー130は、各面に取り付けられてよく、試料が設けられてよい6面ボックス102の前面に面する当接面とでエンクロージャ102の狭いキャビティーを形成してよい。ある態様では、複数のバンパー又はバー130が相互に一体となってU字形状のバンパー又はバーが形成されてよい。他の態様では、そのいくつかの部品が相互に別々となっていてよい。バー130は、6面ボックス102の前面116に略平行に延在していてよく、それによって、試料50をバー130に設置する際に、試料50は6面ボックス102の前面116に略平行に設置されてよい。バー130は、オフセット距離136分6面ボックス102の底面114の先端部から離されてよい。オフセット距離136は、下記に記載するように保持要素132の厚さに加えて試料50の厚さと略同じであってよい。他のオフセット距離136が、エンクロージャ102内の試料50の奥行きを調整するために供されて、選択されてよい。ある態様では、オフセット距離は、例えば、支持システムを摺動させ、又は移動させることにより調整可能であってよい。更に他の態様では、支持システムは、試料50の角度および/又は方向を選択的に調整するために傾斜角を変えたり、又は枢動可能であってよい。バンパー又はバー130の他の方向を供し、選択して、例えば、その場におけるガラスの向き又は傾斜角度に最も類似させてもよい。
【0021】
バンパー又はバー130は、取り付けられるボックスの各面に対して略垂直に測定された厚さを有していてよい。バンパー又はバー130の厚さは、下記に記載するように背景色制御システム106の取付け要素140の厚さと同じ又は類似であるように選択されてよい。そのようにして、前面から観察する際に、バンパー又はバー130は、例えば、カラーボードを並べて、試料50を通じて6面ボックス102内の実質的にクリーンな景色を供する背景色制御システム106に関連する構造物を実質的に中継してよい。
【0022】
又、図2Bおよび図2Cに示すように、支持システム130は、6面ボックス102の上面120に配置された追加のバンパー又はバー130を有して成っていてよい。6面ボックス102の上面120が、図示するように開閉可能である場合、6面ボックス102の上面120にあるバンパー又はバー130は、鞍部108の左面110、右面112、および底面114にあるバンパー又はバー130と分離可能又は離れていてよい。ある態様では、上部120にあるバンパー又はバー130は、6面ボックス102の左面と右面にあるバンパー130間に嵌まり込むように、図示するような6面ボックス102の上面120の幅よりも短い長さであってよい。上面120にあるバンパー130は、試料50の周りに均一な当接面を供するために、6面ボックス102の左面110、右面112、および底面114にあるバンパー又はバー130と同じオフセット距離136分6面ボックス102の前面116から距離をあけて配置されてよい。
【0023】
又、試料位置調整システム104は、保持(又はキーパー;keeper)要素132を有して成っていてよい。保持要素132は、支持システム130に対して試料50を保持するように構成されていてよい。例えば、図2E、3Aおよび3Bに示すように、保持要素132は、6面ボックス102の底面114に配置され、および支持システム130よりも6面ボックス102の前側にはなれて配置された保持ストリップ132の形状であってよい。保持要素132は支持バー又はバンパーと同様に連続的又は断続的な保持ストリップ132であってよい。少なくとも1つの連続的又は断続的な保持ストリップ132は、6面ボックス102の底面114の前側エッジに沿って配置されていてよい。保持ストリップ132は、試料50の厚さと同じ、又はわずかに試料50よりも厚い距離分支持システム130から離れていてよい。例えば、試料50が単一のガラス枠である場合、支持システム130から保持要素132までの距離は、ガラス厚さと略同じであってよい。例えば、試料50が絶縁性ガラスユニット(IGU)である場合、支持システム130から保持要素132までの距離は、ガラスペイン厚さと支持システム130から保持要素132までの間隔との合計と略同じであってよい。ある態様では、スペーサが、支持システム130と保持要素132との余分なスペースに占める試料を備えた支持システム130と保持要素132との間の場所に供されてよい。例えば、試料の厚さが支持システム130と保持要素132との間のスペースよりも薄い場合、スペーサは残りのスペースを占めるように供されてよい。本態様は、6面ボックス102の底面114にある保持要素132を示しているが、ある態様では、保持要素132は6面ボックス102の左面110および右面112に供されてもよい。
【0024】
支持システム130と関連するいくつかの保持要素132は、例えば上面から試料50を挿入し、および/又は取り除くためのスロットを備えていてよい。すなわち、スロットの上部を露出する上面120は取り外されて又は開かれてよく、試料50はスロットの上部から支持システム130と保持要素132との間の試料50を動かすことで挿入されてよい。この態様では、支持システム130と保持要素132は十分に試料50を固定していてよいので、ラッチ134は供されなくてよい。
【0025】
又、試料位置調整システム104は、ラッチ134を有して成っていてよい。ラッチ134は、試料50を配置できるように構成され、試料50を固定するために所定位置に移動するように構成されていてよい。示される態様では、ラッチ134は、フック形状要素134から成っている。図示するように、フック形状要素134は、支持の右面に沿って配置されたピボットピンの周りで枢動可能であってよい。ある態様では、ピボットピンは、支持システム130の面内に挿入され、支持システム130の面に略垂直に配置されたネジ又は通しボルトであってよい。フック形状要素134は、試料50に垂直および支持システム130の側面に平行な面で移動可能であってよい。図2Bに示すように、支持システム130の上面は、ラッチ134が試料の挿入および/又は除去のため試料50の無い箇所で上昇移動できるようにラッチ134の上昇移動に適応するためのスペース又はギャップ138を有して成っていてよい。6面ボックス102の前面116、背面118、および上面120の各々を試料50を自由にすることなく開いてよいので、ラッチ134のこの配置は有利であり得る。又、ラッチ134の他の配置が供されてよい。ラッチ134は、試料を固定するために閉鎖位置に向かって変更されていてよい。例えば、バネが、試料を固定するラッチ134にバイアスをかける(又は偏向する:bias)ために供されてよい。
【0026】
フック状のラッチ134が記載されている一方、他のラッチシステム134が供されてよい。例えば、保持バー132が6面ボックス102の左面110および右面112に供されてよい。保持バー132は、左面110および右面112の前側エッジと略合致した軸周りで、例えばヒンジを通じて枢動可能であり、それによって、6面ボックス102の前面以外および試料50の配置箇所以外で枢動可能であってよい。一旦、試料50を設置して、各支持バー(又はバッカーバー;backer bar)130に対して試料50の各側面を固定すると、保持バー132は、元の位置に戻って枢動可能であってよい。フック状ラッチ134のように、これらの保持型のラッチ134は、試料50を所定箇所に保持するために固定位置に向かってバイアスが掛けられてよい。所定箇所でピクチャーフレームのバッキングを維持するためにピクチャーフレームの背面に見られるのと同様の枢動可能なタブ等の更に他のラッチデバイス134およびシステムが、試料位置調整システム104で使用されてよい。更に他のシステムが使用されてよい。
【0027】
試料位置調整システム104は一連の支持バー130、保持子132、およびラッチ134を有して成ることを記載しているが、他の試料位置調整システム104が供されてよい。例えば、磁石が試料50を固定するために使用されてよい。更に他の態様では、接着剤が使用されてよい。これらいずれの態様であっても、接着剤又は磁石は、例えば鞍部108のエッジに試料50を固定するために使用されてよく、又は支持バー130が使用されてよく、接着剤又は磁石が試料50を固定するために使用されてよい。更に他の態様では、試料はエンクロージャ102内に又はエンクロージャ102上に合う磨耗部(又はフリクション;friction)であってよい。更に他の試料位置調整システム104が供されてよい。
【0028】
背景色制御システム106は、エンクロージャ102の内部の色を制御するために構成されていてよい。それ故、エンクロージャ102の内部の色は、色と試料50との間の関係のユーザーの理解を助けるために背景色制御システム106を使用して選択的に変更されてよい。すなわち、背景色は、いくつかのバンテージポイントからの試料50の外観に影響するかもしれず、試料50はいくつかのバンテージポイントからの背景色の外観に影響するかもしれない。図1に示すように、背景色制御システム106は、複数の取付け要素140および取付け要素140に取り付けるための複数の有色カセット142を有して成っていてよい。取付け要素140は、有色カセット142の挿入、取り外し、および取り換えができるように構成されており、それによって、エンクロージャ102の内部色を選択的に変更することができるようにしてよい。又、物理的におよび手動で変更可能な背景色制御システム106が記載されているが、エンクロージャ102の面が、液晶又は電子的におよび/又は自動的に色変更可能な他のスクリーン等の色変更可能なパネルを有して成る電子システムが供されてよい。
【0029】
示される態様では、取付け要素140は、有色カセット142を受容するため取付けストリップ140の形状であってよい。図5Aおよび5Bに示すように、取付けストリップ140は、断面が略四角形又は長方形であってよく、相対的に細長くてよい。取付けストリップ140は、その全長に沿って延在するスロット144を有していてよい。スロット144は、有色カセット142のエッジを受容するように構成されていてよい。そのため、スロット144は、有色カセット142の厚さと略同じ厚さであるか、有色カセット142の厚さよりも僅かに厚くてよい。スロット144は、取付け要素ストリップ140の厚さを部分的に延在する奥行(又は深さ;depth)を有していてよい。図5Bに示すように、各取付けストリップ140は、横断面が相互に実質的に垂直であるように配置された2つのスロット144を有していてよい。スロット144は、相互に交差することを回避するために取付けストリップ140の横断面中に配置されることに留意する。すなわち、少なくとも1つのスロット144は、ストリップ140の各面の中心からずらされていてよく、隣接面にあるスロット144が交差しないように切断されている。スロット144が隣接面にあるスロット144に侵入し始めるようにスロット144の奥行が取付けストリップ内に延在している場合、このずれ(又はオフセット;offset)はスロット144が交差しないようにすることを可能にしてよい。ある態様では、スロットの奥行は、スロット144が内側の角に向かって切断されるストリップ140の各面の中心に位置づけることができるように調整されてよい(すなわち、より小さくされてよい)。
【0030】
図1を再度参照すると、取付けストリップ140は、4つのカセット142を受容するようにエンクロージャ102の鞍部108に配置されてよい。ある取付けストリップ140は、底面114および左面110の交差部分に配置されてよく、その交差部分に沿って延在していてよい。追加の取付けストリップ140が、底面114および右面112の交差部分に配置されていてよく、その交差部分に沿って延在していてよい。更に別の取付けストリップ140が左面110の上側エッジの近傍に配置されてよく、左面110の上側エッジに沿って延在していてよい。更に別の取付けストリップ140が右面112の上側エッジの近傍に配置されてよく、右面112の上側エッジに沿って延在していてよい。追加の取付けストリップ140は、第5のカセット142を受容するようにエンクロージャ102の背面118に配置されていてよい。後者のこれら取付けストリップ140は、背面118に沿って上側に延在するように配置されていてよく、背面118の垂直なエッジから間隔をおいて配置されてよく、それによって、背面118にある取付けストリップ140が鞍部108にある取付けストリップ140の内面により規定される境界内に入る。背面118が閉じられると、背面118に位置づけられた取付けストリップ140は、鞍部108にある取付けストリップ140と干渉しないようにしてよい。又、背面118にある取付けストリップ140は、その中にあるスロット144の1つのみが露出して、残りのスロット144がエンクロージャ102の背面118に面するように方向づけられてよい。これは、これら取付けストリップ140がエンクロージャ102の隣接面からカセット142を受容しないようにするためである。又、背面118にある取付けストリップ140は、背面118の上側に向かって延在するというよりはむしろ背面118に広がるように配置されていてよい。全ての5つのカセットを設置し、エンクロージャ102を完全に閉じた際、試料50の眺め(又は光景;view)は、各有色カセット142から成る色合わせで上面120、底面114、左面110、右面112および背面118を有する略長方形又は正方形のボックスを示すかもしれない。
【0031】
カセット142は、取付けストリップ140のスロット144内に摺動するために構成され、取付けストリップ140のスロット144への選択的な挿入および取り外しのために構成された相対的に薄い要素(又はエレメント;element)であってよい。カセット142は、例えばプレート状の要素であってよい。カセット142は、それに適用される同色又は異色の2つの面を有して成っていてよい。カセット142は、別の色を単一セットのカセット142で解析できるように裏返せるようにしてよい。カセット142は、相対的に硬く、エンクロージャを横切って一方の取付けストリップ140から別の取付けストリップ140まで及ぶように構成されていてよい。カセット142は、木材、金属、板紙、カードボード、プラスチック、伸張織物であってよく、又は複合材が使用されてよい。又、他の材料が使用されてよい。又、スロット(又は細長い穴;slot)のある取付けストリップおよびカセットを記載しているが、背景色を調整するための他のシステムが供されてよい。例えば、磁石取付けストリップ又はフック、ループ、スナップ(又は留め金;snap)を有する取付けストリップ、又は他の再使用可能なファスナー(又は留め具;fastener)が使用されてよい。
【0032】
又、光源はエンクロージャ102内に供されてよい。例えば、ロープライト、白熱電球、LED電球、ハロゲン電球、又は他の照明が供されてよい。例えば、LED照明は、光でカセット142を“洗浄”し、エンクロージャ102に内部光を供するために取付けストリップ140の露出部に沿って供されてよい。他の態様では、照明は、光でエンクロージャ102を満たすために支持バー130の内面に供されてよい。又、エンクロージャ102の内側容積を明るくできるように他の位置に照明が供され、他の種類の照明が供されてよい。又、例えば、試料50の外面に光を照らすために外部照明を供し、それによって、試料50の反射性および他の特性を解析してよい。
【0033】
試料観察デバイス100のいくつかの部分には、これに少なくとも部分的に透明な試料50を位置付けるためにエンクロージャ102が供されてよい。エンクロージャ102には、試料50の少なくとも一面にキャビティー(又は空洞:cavity)又は空間が供されてよく、背景色制御システム106には、キャビティー又は空間を囲む又は隣接する有色カセットが供されることで、キャビティー又は空間内に色が与えられてよい。試料観察デバイスは、彩色空間又は有色空間と屋外又は別の空間とを分離するガラスの外観の建造物内の彩色空間又は有色空間の効果に似ているかもしれない。この外観に作用するかもしれない建造物の他の外観(又は形相;aspect)に関連したガラス又はグレイジングのモデル化により、ガラス又はフィルムコートされたガラスの予想される外観の理解がより正確にされ、および/又はガラス又はフィルムコートされたガラスの予想される外観の理解が深められる上で有利であり得る。
【0034】
ある態様では、試料観察デバイス100は、並べて試料を観察できるように構成されていてよい。ある態様では、当該デバイスは、相互に隣接する2つの試料を受容する大きさであってよい。従って、2つの試料はデバイス100内に設置され、例えば、比較される試料は異なる試料に同様の露出効果を与えて形成されたものであってよい。ある態様では、隣接する試料が全ての面に沿って同様の露出条件となることができるように中央壁が供されてよい。同一又は略同一の背景および/又は照射条件で異なる試料が並んで比較されてよい。更に、背景色および/又は照射が異なる場合に、同一の又は略同一の試料が並べて比較されてよい。更に他の態様では同様の比較観察をするため、多数の試料観察デバイス100が使用され、相互に隣接して配置されてよい。
【0035】
使用中は、試料観察デバイス100により、ガラス又は被覆ガラス又は他の試料50が観察可能であってよい。完全に閉じたエンクロージャ102で観察を開始する際、前面110を開いて、試料50を設置してよい。試料50は、ボックス102の底面114にある保持要素132の後方で、保持要素132と支持バー130との間に試料50の下部を設置するために僅かに傾けてよい。試料50は、例えばエンクロージャ102の左面110、右面112および上面120にある支持バー130に対して所定箇所に傾けてよく、ラッチ134が所定箇所で試料50を保持するために所定位置に枢動されてよい。カセット142が既に所定箇所にある場合、試料50は前面116から観察されてよい。エンクロージャ102内に供される場合、カセット142の色と関連して試料50に対する照明の効果を再観察するために、照明がつけられたり、消されたりしてよい。この条件下での前面116からの眺めは、例えば、建造物の内側でライトをつけたり消したりした状態での、建造物の外側からの試料50の外観に似ているかもしれない。カセット142を設置したり、取り換えたりすることが可能な場合、エンクロージャ102の背面118は、外され開かれてよい。カセット142の色や色のパターンは選択されてよく、左面110、右面112、底面114および上面120のためのカセット142は、エンクロージャ102の背面118から取付けストリップ142のスロット144に摺動させて、取付けストリップ142に設置されてよい。エンクロージャ102の背面118のためのカセット142は、エンクロージャ102の背面118に位置付けられた取付けストリップ142のスロット144に摺動させてよい。エンクロージャ102の背面118は、所定箇所で新しいカセット142で閉じられてよく、又は、背面118は、エンクロージャ102内に照射することができるように又はエンクロージャ102の内側からの試料50の外部観察ができるように開かれたままであってよい。エンクロージャ102を通しての背面118からの外部からの眺めは、例えば建造物の内部からの試料の外観に似ているかもしれない。ある場合では、上部のカセット142は取り外されてよく、又、エンクロージャ102の上面120は、光が上部からエンクロージャ102に入ることができるように取り外されてよい。この際、試料50は、試料50を解析するために前面118又は(背面118を開いたままで)背面118から観察されてよい。開口面と観察するバンテージポイントとの他の組み合わせが行われてよい。
【0036】
移動させるため、試料50はエンクロージャ102から取り除かれてよく、又は試料50はエンクロージャ102内の所定箇所に残ったままであってよい。エンクロージャの前面116、背面118および上面120は閉じられたり、係止されたりしてよく、エンクロージャ102は取っ手121又は他の運搬システムを通じて運搬されてよい。
【0037】
本発明は、好ましい態様を含む様々な態様を参照しながら説明されてきたが、これらの態様は例示であって、本発明の範囲はこれに限定されないと理解されよう。多くの変更、修正、追加および改良が可能である。その機能は、別々であり、又は本発明の様々な態様と異なるブロックと組み合わされ、又は異なる専門用語集で記載されていてよい。これらおよび他の変更、修正、追加および改良は下記の特許請求の範囲に規定されているように本発明の範囲内にあってよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B