特許第6141307号(P6141307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6141307トランスミッションコンパートメントとエンジンコンパートメントとの間の電子モジュールの構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141307
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】トランスミッションコンパートメントとエンジンコンパートメントとの間の電子モジュールの構造体
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20170529BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B60R16/02 610B
   H05K5/06 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-545141(P2014-545141)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2015-501754(P2015-501754A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2012070178
(87)【国際公開番号】WO2013083319
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年6月9日
【審判番号】不服2016-7900(P2016-7900/J1)
【審判請求日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】102011088037.2
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ルーデル
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 一ノ瀬 覚
【審判官】 尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−174331(JP,A)
【文献】 特開2009−117285(JP,A)
【文献】 特開2009−74698(JP,A)
【文献】 特開2002−308021(JP,A)
【文献】 特開平8−148842(JP,A)
【文献】 特開2009−113526(JP,A)
【文献】 特開2004−362928(JP,A)
【文献】 特開2003−120811(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010028621(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H05K 5/06
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子(25)を有する回路支持体(23)と、
切欠(11)が設けられているベースプレート(9)と、電気線路(19)を有するサブモジュール(13,15,17)と、を備える、トランスミッションコンパートメント(3)とエンジンコンパートメント(5)との間に配置するための貫通コンタクト要素(1)であって、前記サブモジュール(13,15,17)は、前記ベースプレート(9)の前記切欠(11)に配置されており、前記サブモジュール(13,15,17)は、材料接続式にかつ油密に前記ベースプレート(9)に結合されており、前記トランスミッションコンパートメント(3)を前記エンジンコンパートメント(5)から油密に隔てるように構成されている貫通コンタクト要素(1)と、
を備える、電子制御モジュール(27)であって、
前記電子素子(25)は、前記サブモジュール(13,15,17)に電気的に接続されており、
前記回路支持体(23)は、前記ベースプレート(9)の、前記エンジンコンパートメント(5)に向いた側に配置されており、
前記回路支持体(23)は、プラスチック材料を含み、
前記電子制御モジュール(27)はカバー(21)を更に備え、該カバー(21)は、前記ベースプレート(9)の、前記エンジンコンパートメント(5)に向いた側に配置されており、
前記カバー(21)は、前記ベースプレート(9)に、固定要素(31)を前記回路支持体(23)に設けられた切欠(35)に通すことにより、固定されており、
前記エンジンコンパートメント(5)側で、エポキシ樹脂封入剤から成るシール(43)が、前記サブモジュール(15,17)に設けられていることを特徴とする、電子制御モジュール。
【請求項2】
前記電子素子(25)は、前記回路支持体(23)の、前記エンジンコンパートメント(5)に向いた側に配置されている、請求項1記載の電子制御モジュール。
【請求項3】
前記サブモジュール(13,15,17)は、センサ、コネクタ、結合器及び/又は分配器として構成されている、請求項1又は2記載の電子制御モジュール。
【請求項4】
前記カバー(21)は、別の固定要素(29)により、前記トランスミッションコンパートメント(3)のケース(7)に固定可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の電子制御モジュール。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の電子制御モジュール(27)の製造方法であって、
切欠(11)を有するベースプレート(9)を用意する、ステップ(S1)と、
線路(19)を有するサブモジュール(13,15,17)を用意する、ステップ(S3a,S3b,S3c)と、
回路支持体(23)を用意する、ステップ(S5)と、
カバー(21)を用意する、ステップ(S7)と、
前記切欠(11)を通して前記サブモジュール(13,15,17)を貫通案内する、ステップ(S9)と、
前記サブモジュール(13,15,17)の前記電気線路(19)を前記回路支持体(23)に接続する、ステップ(S11)と、
を有する、電子制御モジュールの製造方法において、
当該製造方法は、
前記サブモジュール(13,15,17)を前記ベースプレート(9)に材料接続式にかつ油密に結合し、前記エンジンコンパートメント(5)側で、エポキシ樹脂封入剤から成るシール(43)を、前記サブモジュール(15,17)に設ける、ステップ(S13)と、
前記カバー(21)を、前記ベースプレート(9)に、固定要素(31)を前記回路支持体(23)に設けられた切欠(35)に通すことにより、固定する、ステップ(S15)と、を更に有する、
ことを特徴とする、電子制御モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記ベースプレート(9)を、前記トランスミッションコンパートメント(3)と前記エンジンコンパートメント(5)との間で前記トランスミッションコンパートメント(3)のケース(7)に配置する、ステップ(S21)と、
前記ベースプレート(9)と前記トランスミッションコンパートメント(3)の前記ケース(7)との間にシール要素(41)を設ける、ステップ(S23)と、
別の固定要素(29)により、前記カバー(21)を前記トランスミッションコンパートメント(3)の前記ケース(7)に結合する、ステップ(S25)と、
を更に有する、請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通コンタクト要素、電子制御モジュール並びに電子制御モジュールを組み立てる方法に関する。
【0002】
背景技術
例えば車両のエンジンにおいてトランスミッションを制御するために、電子制御装置が必要である。電子制御装置は、例えばトランスミッションケースの内側に配置してよく、又は外側からトランスミッションケースに組み付けてよい。
【0003】
トランスミッションの内側に配置された制御機器は、集中制御機器と云われ、流体制御ユニットに直に組み付けることができる。電子モジュールと液圧モジュールとから成る組み合わせは、メカトロニクスと云われる。メカトロニクスは、開口を通してトランスミッションケースに嵌め込まれる。続いて、開口は、カバー(オイルパンとも云われる)により閉じられる。
【0004】
集中制御機器は、電子回路(TCU)と、センサと、エネルギ供給部に接続するための差込式コネクタと、アクチュエータを制御するための電気的なインタフェースとを備える。エネルギ供給部もしくはワイヤハーネスコネクタに対する接続は、ケース又はカバーを通して案内しなければならない緊密なコネクタを介して行う必要がある。しかし、ワイヤハーネスコネクタは、通常、ケースを貫通案内する前に予め液圧ユニットに接続されている。従ってワイヤハーネスコネクタは、公差補償を可能にするために、機械的に柔軟に構成しなければならない。これにより作業が面倒になることがある。更にこの場合、集中制御機器は、トランスミッションオイル及び150℃までの高温に曝されている。高温に基づいて、回路支持体として例えばセラミック基板を用いなければならない。セラミック基板は高いコストを伴う可能性がある。
【0005】
外側からトランスミッションケースに取り付けられる制御機器は、トランスミッションコンパートメントに隣接するエンジンコンパートメント内に配置してよい。この制御機器は、増設制御機器とも云われる。増設制御機器は、120℃までの、集中制御機器よりも幾分か低い温度に曝すことができる。回路支持体として、ここでは、プリント回路板(PCB)とも云われるプリント基板を用いてよい。もちろん増設制御機器は、エンジンコンパートメント内に大きな構成スペースを要する。更に、電気線路を制御機器からトランスミッションの内側に位置するセンサ及びアクチュエータに案内して、シールしなければならないので、増設制御機器の組込は、作業上の大きな手間を伴う。この場合、トランスミッションケースにおいてシールしなければならない線路の数は、集中制御機器のワイヤハーネスコネクタの場合よりも多くなることがある。
【0006】
発明の開示
従って、集中制御機器や増設制御機器の前述の欠点の克服を可能にする必要がある。
【0007】
この課題は、独立請求項に記載の本発明の対象により解決することができる。本発明の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【0008】
以下に、本発明の態様に基づく装置の特徴、詳細及び考えられる効果について述べる。
【0009】
本発明の第1の見解によれば、トランスミッションコンパートメントとエンジンコンパートメントとの間に配置するための貫通コンタクト要素が提案される。貫通コンタクト要素は、少なくとも1つの切欠を有するベースプレートと、電気線路を有する少なくとも1つのサブモジュールとを備える。サブモジュールは、ベースプレートの切欠に配置されていて、材料接続式にかつ油密にベースプレートに結合されている。この場合、貫通コンタクト要素は、トランスミッションコンパートメントをエンジンコンパートメントから液密に隔てるように構成されている。
【0010】
換言すると、本発明の思想は、貫通コンタクト要素を設け、貫通コンタクト要素は、トランスミッションを、エンジンコンパートメントに対して油密に閉じ、同時に、エンジンコンパートメントからトランスミッションコンパートメントに案内する必要がある例えば全ての電気接続部を収容する、ということに基づいている。この場合、貫通コンタクト要素は、例えばトランスミッションケースに配置してよく、センサモジュールやトランスミッションコネクタの代用となり得る。更に、貫通コンタクト要素は、油密のトランスミッションカバーの代用となり得る。本願では、油密とは、油、特にトランスミッションオイルにとって不透であることを意味する。
【0011】
本発明による貫通コンタクト要素と組み合わせると、回路支持体は、集中制御機器と増設制御機器との混成体として構成することができる。例えば、回路支持体は、エンジンコンパートメント側で貫通コンタクト要素に直に配置してよく、これによりトランスミッション内部よりもより低い温度に曝すことができる。これにより、比較的安価なプリント基板を用いることができる。更に、回路支持体は、エンジンコンパートメントとトランスミッションコンパートメントとの間の移行部に直に配置してよく、これによりエンジンコンパートメント内に構造スペースを占めることはない。更に、本発明による貫通コンタクト要素により、トランスミッションケースを通る電気線路の貫通案内及び電気線路のシールの作業ステップが省かれる。なぜならば、相応の電気線路を有するサブモジュールが既にベースプレートに油密に組み込まれているからである。
【0012】
この場合、ベースプレートは、プラスチックを含むもしくはプラスチックから成っていてよい。ベースプレートの切欠は、既に製造時に、嵌め込まれたサブモジュールがトランスミッションコンパートメントにおける対応する構成要素に関して精密に正しい位置に位置調整されているように、設けられる。この場合、切欠は、製造公差を補整するために、対応するサブモジュールよりも幾分か大きく寸法設定してよい。例えばサブモジュールは、いわゆるゲージを用いてベースプレートに組み付けることができる。
【0013】
ベースプレートとサブモジュールとの間の材料接続式の結合部は、着脱不能な結合部であり、この結合部では、ベースプレートが原子もしくは分子レベルでサブモジュールに結合されている。例えば結合部は、溶接又は接着により形成することができる。好適には、材料接続式の結合部は、レーザ溶接又は摩擦溶接により形成される。これにより油密の結合部が形成されるので、サブモジュールの電気接続部は、油密にエンジンコンパートメントからトランスミッションコンパートメントに案内することができる。
【0014】
本発明の1つの態様によれば、個々のサブモジュールは、例えばセンサ、コネクタ、結合器及び/又は分配器として構成してよい。サブモジュールは、内部に電気線路及び場合によっては設けられる電気素子を有するプラスチックハウジングを備えてよい。例えば、第1のサブモジュールは、圧力センサ又は温度センサとして構成してよい。第2のサブモジュールは、例えば追加的な回転数センサに接続するための機器コネクタの代用品として機能してよい。第3のサブモジュールは、分配器として構成してよい。この場合、ベースプレートに、好適には複数のサブモジュールが組み込まれている。例えば各機能要素のために別個のサブモジュールを設けてよい。こうすると、個々の機能要素は、互いに独立して製作することができる。ベースプレートの切欠に個々のサブモジュールを組み込むことにより、更に、炉内の加熱プロセスによるベースプレート全体の案内を省くことができる。
【0015】
サブモジュール、特にコネクタ及び分配器は、追加的にエンジンコンパートメントに向いた側でシールすることができる。このために、電気接続部は、エンジンコンパートメント側で、エポキシ樹脂封入材又は圧入された丸ピンにより油密に封止することができる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、貫通コンタクト要素は、カバーを更に備える。貫通コンタクト要素がトランスミッションコンパートメントとエンジンコンパートメントとの間に組み込まれているもしくは位置決めされている場合、カバー(蓋とも云われる)は、ベースプレートの、エンジンコンパートメントに向いた側に配置されている。カバーは、第1の固定要素により、トランスミッションコンパートメントのケースに固定可能である。カバーは、例えば金属を含むもしくは金属から成っていてよい。この場合、カバーは、ベースプレート及びベースプレートに配置された回路支持体に対する衝撃防護部を提供することができる。
【0017】
ベースプレートとカバーとの間に、電子素子を有する回路支持体を設けてよい。回路支持体は、貫通コンタクト要素と相俟って、電子制御モジュールを形成する。
【0018】
本発明の別の態様によれば、カバーは、第2の固定要素により、ベースプレートの、エンジンコンパートメントに向いた側に固定されている。この場合、第2の固定要素は、エンジンコンパートメント側から、カバーを貫通し、回路支持体に設けられた切欠を通して延在し、ベースプレートに設けられた対応する収容要素に係合する。別の態様によれば、回路支持体は、第3の固定要素により、カバーに固定されている。第3の固定要素は、第2の固定要素に対して追加的又は択一的に設けてよい。
【0019】
第2の固定要素や第3の固定要素は、ベースプレート及び場合によってはベースプレート上に位置する回路支持体をカバーに結合する働きをする。これらの固定要素による固定時に、エンジンコンパートメントとトランスミッションコンパートメントとの間に結合部が形成されないので、第2の固定要素もしくは第3の固定要素は、油の流出に対してシールしなくてよい。
【0020】
第1の固定要素、第2の固定要素及び第3の固定要素は、それぞれリベット、スナップ嵌合部及び/又はねじとして構成してよい。
【0021】
本発明の第2の見解によれば、電子制御モジュールが提案される。電子制御モジュールは、電子素子を有する回路支持体と前述の貫通コンタクト要素とを備える。例えばダイオード、コンデンサ及びトランジスタのような電子素子は、電気的にサブモジュールに接続されていて、回路支持体の、エンジンコンパートメントに向いた側に配置されている。これにより、電子素子は、トランスミッションコンパートメントから離れるように配向されていて、エンジンコンパートメント内に作用するより低い温度により場合によっては冷却することができる。
【0022】
この場合、回路支持体は、ベースプレートの、エンジンコンパートメントに向いた側に配置されている。つまり、電子素子は、回路支持体の、ベースプレートとは反対側に位置決めされている。回路支持体は、プラスチック材料を含むもしくはプラスチック材料から成っている。このことは、回路支持体がトランスミッションコンパートメント内に作用する高温に曝されておらず、ベースプレートにより防護されていることにより、可能である。
【0023】
本発明の第3の見解によれば、前述の電子制御モジュールを製造する及び組み立てる方法が提案される。この方法は、以下の、切欠を有するベースプレートを用意するステップと、線路を有するサブモジュールを用意するステップと、回路支持体を用意するステップと、切欠を通してサブモジュールを貫通案内するステップと、サブモジュールの電気線路を回路支持体に接続する、特にろう接するステップと、サブモジュールをベースプレートに材料接続式にかつ油密に結合する、特に溶接するステップとを有する。ベースプレートの製作時に、既に切欠の位置決め及び寸法設定における製造公差を考慮することができるので、サブモジュールのための十分な遊びが想定される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、この方法は、以下の、カバーを用意するステップと、カバーを第2の固定要素によりベースプレートに固定する、特にねじ止めするステップとを更に有する。
【0025】
本発明の別の態様によれば、製造方法は、択一的に、カバーを用意するステップと、サブモジュールをベースプレートに結合する前に、サブモジュールの電気線路を回路支持体に接続する、特にろう接するステップと、サブモジュールをベースプレートに結合する前に、回路支持体を第3の固定要素によりカバーに固定する、特にねじ止めするステップとを有する。こうすると、第3の固定要素がエンジンコンパートメントに対する結合やトランスミッションコンパートメントに対する結合を有さず、従って第3の固定要素をシールしなくてよいことを達成することができる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、この方法は、ベースプレートを、トランスミッションコンパートメントとエンジンコンパートメントとの間でトランスミッションのケースに配置するステップと、ベースプレートとトランスミッションコンケースとの間にシール要素、特にシールリングを設けるステップと、第1の固定要素によりカバーをトランスミッションのケースに結合するステップとを更に有する。
【0027】
貫通コンタクト要素及び電子制御モジュールは、例えば車両のトランスミッションに、特にオートマチックトランスミッションに嵌め込むことができる。電子制御モジュールは、例えば液圧又は電子機械式の制御ユニットとして構成してよい。
【0028】
本発明の別の特徴および利点は、添付の図面に関する例示的な態様の以下の説明から当業者には明らかである。図示の例示的な態様は、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の1つの態様による貫通コンタクト要素の断面図である。
図2】本発明の1つの態様による電気制御モジュールの断面図である。
図3】本発明の別の1つの態様による電気制御モジュールの断面図である。
図4】本発明の1つの態様による電気制御モジュールを組み立てる方法のブロック図である。
図5】本発明の別の1つの態様による電気制御モジュールを組み立てる方法のブロック図である。
【0030】
全図は、単に、本発明に係る装置、もしくは本発明に係る装置の、本発明の態様による構成要素を略示したものに過ぎない。特に図面における間隔及びサイズ比は、縮尺通りに再現したものではない。複数の異なる図面において、対応する構成要素には、同一の参照符号を付してある。
【0031】
図1には、貫通コンタクト要素1が示されている。貫通コンタクト要素1は、車両のトランスミッションコンパートメント3とエンジンコンパートメント5との間に配置されている。貫通コンタクト要素1は、トランスミッションケース7におけるトランスミッションの開口に配置されていて、シール要素41、例えばシールリングによりシールされている。
【0032】
貫通コンタクト要素1は、ベースプレート9を備え、ベースプレート9には、電気線路19を有する複数のサブモジュール13,15,17が組み込まれている。例えば第1のサブモジュール13はセンサとして、第2のサブモジュール15はコネクタとして、第3のサブモジュール17は分配器として構成されている。サブモジュール13,15,17は、ベースプレート9に設けられた貫通切欠又は貫通部としての切欠11を通して案内されている。切欠11は、例えば円形に形成してよく、貫通コンタクト要素1がトランスミッションコンパートメント3とエンジンコンパートメント5との間の所定の箇所に配置されている場合に、サブモジュール13,15,17がトランスミッションコンパートメント3内で対応する構成要素に対して位置正しく配置されているように、位置決めすることができる。
【0033】
サブモジュール13,15,17に位置決め要素12が設けられており、位置決め要素12は、ベースプレート9の片側で、位置決め要素12に対して設けられた位置決め収容部10に係合する。図1及び図2では、位置決め収容部10は、ベースプレート9の、トランスミッションコンパートメント3に向いた側に設けられている。つまり、サブモジュール13,15,17は、例えば下側からベースプレート9を通して案内される。図3では、位置決め収容部10は、ベースプレート9の、エンジンコンパートメント5に向いた側に設けられている。つまり、サブモジュール13,15,17は、例えば上側からベースプレート9を通して案内される。
【0034】
サブモジュール13,15,17は、図示の態様では、レーザ溶接法により、レーザ溶接箇所39で、材料接続式(材料接続式の結合とは例えば接着や溶接等の材料自体(原子、分子の力)による結合を意味する)にかつ油密に、ベースプレートに結合されている。この結合プロセスは、ベースプレート9におけるサブモジュール13,15,17の位置決め及び位置固定に役立つ。コネクタ及び分配器のようなサブモジュール15,17は、油密にエンジンコンパートメント5からトランスミッションコンパートメント3に案内されている。このためにエンジンコンパートメント側で、エポキシ樹脂封入剤又はプレス嵌めされた丸ピン(丸形の栓)のようなシール43が、サブモジュール15,17に設けられている。
【0035】
貫通コンタクト要素1は、トランスミッションコンパートメント3とエンジンコンパートメント5との間の全ての電気的な入力及び出力を備える。更に、貫通コンタクト要素1は、耐油性の材料によりトランスミッションコンパートメント3をエンジンコンパートメント5に対してシールしている。この場合、貫通コンタクト要素1は、同時にセンサモジュール、トランスミッションコネクタ及びトランスミッションカバーとして働く。このためにベースプレート9は、第1の固定要素29により、トランスミッションケース7にねじ固定されている。
【0036】
図2及び図3には、電気制御モジュール27の択一的な態様が示されている。図2並びに図3では、電気制御モジュール27は、貫通コンタクト要素1を備え、エンジンコンパートメント側に、電子素子25を有する回路支持体23が配置されている。回路支持体23は、プリント回路板(PCB)として構成されており、電子素子25は、エンジンコンパートメント側で回路支持体23に配置されている。このようにして、トランスミッションコンパートメント3と比べて低い、エンジンコンパートメント5の周囲温度は、電子素子25の冷却のために利用することができる。これにより場合によってはより安価な電子素子25を用いることができる。
【0037】
回路支持体23は、エンジンコンパートメント5の側から、例えば金属製のカバー21により防護される。カバー21は、第1の固定要素29により、トランスミッションケース7にねじ固定されており、これにより電気制御モジュール27は、トランスミッションコンパートメント3及びエンジンコンパートメント5に対して位置固定されている。
【0038】
図2では、カバー21は、更に第2の固定要素31により回路支持体23及び特にベースプレート9に固定されている。この場合、第2の固定要素31は、エンジンコンパートメント側に取り付けられている。この場合、第2の固定要素31は、回路支持体23に設けられた切欠35を通して、ベースプレート9に設けられた収容要素37に係合している。こうすると、エンジンコンパートメント5とトランスミッションコンパートメント3との間に開いた結合部は形成されない。従って第2の固定要素31は、トランスミッションからの油の流出に対してシールしなくてよい。
【0039】
図4には、図2に示された電気制御モジュール27の考えられる製造法もしくは組立法が示されている。先ず、複数の切欠11を有するベースプレート9が用意されるS1。更に、電気線路19を有する複数のサブモジュール13,15,17が用意されるS3a,S3b,S3c。更に回路支持体23が用意されるS5。更に、カバー21が用意される。これらのステップS1,S3a,S3b,S3c,S5,S7は、同時に又は逐次行うことができる。
【0040】
続いて、サブモジュール13,15,17は、切欠11を通して貫通案内しS9、ベースプレート9に材料接続式にかつ油密に結合することができるS13。その後で、回路支持体23が、ベースプレート9に配置され、サブモジュール13,15,17の電気線路19は、回路支持体23にろう接されるS11。更に、カバー21が、第2の固定要素31により、ベースプレート9に固定されるS15。その後で、ベースプレート9が、トランスミッションコンパートメント3とエンジンコンパートメント5との間でトランスミッションケース7に配置されS21、シール要素41が、ベースプレート9とトランスミッションケース7との間に設けられるS23。最後に、カバー21が、第1の固定要素29により、トランスミッションケース7に固定されるS25。
【0041】
図2とは異なり、図3に示された態様では、サブモジュール13,15,17は、上側からベースプレート9に嵌め込まれている。更に、図3では、第2の固定要素31の代わりに第3の固定要素33が設けられており、第3の固定要素33は、回路支持体23をカバー21に結合する。こうして、第3の固定要素33は、トランスミッションコンパートメント3に対する結合もエンジンコンパートメント5に対する結合も有さず、シールしなくてよい。図3に示された電気制御モジュール27は、更に製造法もしくは組立法において、図2に示された態様とは異なっている。
【0042】
図5には、図3に示された電気制御モジュール27の考えられる製造法もしくは組立法が示されている。必要な構成要素の用意S1,S3a,S3b,S3c,S5,S7の後で、先ず、サブモジュール13,15,17の電気線路19が、回路支持体23に接続されるS11。続いて、第3の固定要素33が回路支持体23に設けられた対応する切欠23を通して案内され、カバー21の収容要素に係合することにより、サブモジュール13,15,17及び回路支持体23のアセンブリが、カバー21に組み込まれるS19。その後、サブモジュール13,15,17が、ベースプレート9の切欠11を通して案内され、材料接続式にかつ油密にベースプレート9に溶接されるS13。これ以降の方法は、図4の方法と同様に進行する。
【0043】
図示されていない態様では、回路支持体23は、トランスミッションコンパートメント3とエンジンコンパートメント5との間の中間スペースの外側に配置されていてよい。つまり、回路支持体23は、エンジンコンパートメント5内で位置決めして、ワイヤハーネスを介して、ベースプレート9に設けられたサブモジュール13,15,17に接続することができる。
【0044】
最後に、「有する」又は同等の表現が別の構成要素又はステップを設けることができることを除外するべきではないことを述べておく。更に、「1つ」が複数を除外しないことを指摘しておく。更に、様々な態様について記載された特徴は、相互に任意に組み合わせてよい。更に、特許請求の範囲の符号は、特許請求の範囲の権利範囲を制限するものとして解釈するべきではないことを述べておく。
図1
図2
図3
図4
図5