特許第6141311号(P6141311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141311
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】広告キャンペーンの支援調整
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20170529BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G06Q30/02 382
   G09F19/00 Z
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-545916(P2014-545916)
(86)(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公表番号】特表2015-501990(P2015-501990A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】US2012065085
(87)【国際公開番号】WO2013085683
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】13/316,493
(32)【優先日】2011年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508178054
【氏名又は名称】フェイスブック,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】セナーラッタナ、ヌワン
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−065214(JP,A)
【文献】 特開2007−188150(JP,A)
【文献】 特開2001−022670(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/116198(WO,A1)
【文献】 特開2000−056720(JP,A)
【文献】 特表2008−530635(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0149625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実装された方法であって、
初期広告と、該初期広告を受信するための初期ターゲットグループを定義するターゲット基準とを含む広告キャンペーンのためのデータを、広告主からパブリッシングシステムにおいて受信する工程と、
表示するための前記初期広告を、前記初期ターゲットグループの複数の区分内の複数のユーザに提供する工程と、
前記パブリッシングシステムによって、前記複数の区分の第1の区分に対する広告メトリック値を、該第1の区分のユーザに対して前記初期広告を表示することに基づいて決定する工程と、
前記広告メトリック値に基づいて、前記パブリッシングシステムによって、前記初期広告に用いられる前記ターゲット基準から前記第1の区分を削除するように該ターゲット基準を修正するための、前記広告主への提案を決定する工程と、
前記提案を、前記パブリッシングシステムから前記広告主へ送信する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記広告主による、前記提案の受領確認に応答して、前記初期ターゲットグループから前記第1の区分を削除するように前記ターゲット基準を修正することによって修正されたターゲットグループを形成する工程と、
表示するための前記初期広告を、前記修正されたターゲットグループ内の複数のユーザに提供する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の区分に対して、前記初期広告と異なる第1の広告を指定するよう前記広告主に促す工程と、
表示するための前記第1の広告を、前記第1の区分の複数のユーザに提供する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の区分を除く前記初期ターゲットグループの一部にだけ、前記初期広告を提供する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット基準は、全てのユーザを含むグループを定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記広告メトリックは、クリックスルー率、コンバージョン率、およびブランドリフト測定値を含むグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲット基準は、複数の属性のそれぞれに対する値を含み、
前記ターゲット基準の前記複数の属性に含まれていない追加の属性の第1の値と第2の値との間における広告メトリック値の分岐を識別する工程と、
前記第1の値が前記第2の値よりも低いことに応答して、該第1の値によって部分的に定義された前記ターゲットグループの区分を前記第1の区分として識別する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ユーザを特徴付けるために用いられる複数の属性を選択する工程と、
前記複数の属性のそれぞれに対して、複数の属性値を識別する工程と、
前記属性値の複数の組み合わせを形成する工程と、
前記組み合わせのそれぞれに対して、前記広告メトリック値を決定する工程と、
前記組み合わせの前記広告メトリック値の類似性に従って、該組み合わせをクラスタ化することによって複数の組み合わせクラスタを形成する工程と、
前記組み合わせクラスタのうち、そのクラスタ内の該組み合わせにおける前記広告メトリック値の平均値が低い1つの組み合わせクラスタを識別する工程と、
識別された前記組み合わせクラスタ内の前記組み合わせの前記属性値を有するユーザのグループを、削除すべき第1の区分として識別する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
実行可能なコンピュータプログラムの命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、
初期広告と、該初期広告を受信するための初期ターゲットグループを定義するターゲット基準とを含む広告キャンペーンのためのデータを、広告主からパブリッシングシステムにおいて受信するための命令と、
表示するための前記初期広告を、前記初期ターゲットグループの複数の区分内の複数のユーザに提供するための命令と、
前記パブリッシングシステムによって、前記複数の区分の第1の区分に対する広告メトリック値を、該第1の区分の前記ユーザに対して前記初期広告を表示することに基づいて決定するための命令と、
前記広告メトリック値に基づいて、前記パブリッシングシステムによって、前記広告キャンペーンを修正するための、前記広告主への提案を決定するための命令と、
前記提案を、前記パブリッシングシステムから前記広告主へ送信するための命令と、を含む媒体。
【請求項10】
前記広告キャンペーンを修正するための前記提案は、前記初期広告に用いられる前記ターゲット基準から前記第1の区分を削除するように該ターゲット基準を修正することを含む、請求項9に記載の媒体。
【請求項11】
前記広告キャンペーンを修正するための前記提案は、前記初期広告に対するビッドを前記第1の区分に対して調整することを含む、請求項9に記載の媒体。
【請求項12】
前記広告キャンペーンを修正するための前記提案は、前記第1の区分を削除するように前記ターゲット基準を修正することを含む、請求項9に記載の媒体。
【請求項13】
前記第1の区分を除く前記初期ターゲットグループの一部にだけ、前記初期広告を提供するための命令をさらに含む、請求項12に記載の媒体。
【請求項14】
ユーザを特徴付けるために用いられる複数の属性を選択するための命令と、
前記複数の属性のそれぞれに対して、複数の属性値を識別するための命令と、
前記属性値の複数の組み合わせを形成するための命令と、
前記組み合わせのそれぞれに対して、前記広告メトリック値を決定するための命令と、
前記組み合わせの前記広告メトリック値の類似性に従って、該組み合わせをクラスタ化することによって複数の組み合わせクラスタを形成するための命令と、
前記組み合わせクラスタのうち、そのクラスタ内の該組み合わせにおける前記広告メトリック値の低い平均値を有する1つの組み合わせクラスタを識別するための命令と、
識別された前記組み合わせクラスタ内の前記組み合わせの前記属性値を有するユーザのグループを、削除すべき第1の区分として識別するための命令と、
前記パブリッシングシステムから前記広告主に対して、前記第1の区分を削除するように前記ターゲット基準を修正する提案を送信するための命令と、をさらに含む、請求項9に記載の媒体。
【請求項15】
コンピュータに実装された方法であって、
複数の広告からなる広告キャンペーンのためのデータを、広告主からパブリッシングシステムにおいて受信する工程と、
表示するための前記複数の広告を、初期ターゲットグループの複数のユーザに提供する工程と、
複数の前記広告のそれぞれに対して、および広告メトリックに対して
記パブリッシングシステムによって、前記ターゲットグループの複数の区分のそれぞれに対する広告メトリック値を決定する工程と、
決定された前記広告メトリック値に基づいて、前記パブリッシングシステムによって、前記ターゲットグループの前記複数の区分のそれぞれに対して、最も効果的な広告を識別する工程と、
前記複数の区分のうちの第1の区分に対して前記最も効果的であると識別された広告を前記第1の区分に割り当てる提案を、前記パブリッシングシステムから前記広告主へ送信する工程と、
識別された前記最も効果的な広告を前記第1の区分に割り当てる提案に対する、前記広告主の受領確認に応答して、
最も効果的であると識別された前記広告を前記第1の区分に提供する工程と、
前記複数の広告のうちの他の広告を前記第1の区分に提供することを禁じる工程と、を含む方法。
【請求項16】
前記初期ターゲットグループは全てのユーザを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記広告メトリックが、クリックスルー率、コンバージョン率、およびブランドリフト測定値を含むグループから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
コンピュータに実装された方法であって、
複数の広告と、該広告を表示するためのターゲットグループを定義するターゲット基準とを含む広告キャンペーンのためのデータを、広告主がパブリッシングシステムへ送信する工程と、
所与の広告メトリックに関して、前記ターゲットグループの区分に表示するために最も効果的な広告の提案を、前記広告主が前記パブリッシングシステムから受信する工程と、
提案された前記広告を前記区分に表示することの確認を、前記広告主が前記パブリッシングシステムへ送信する工程と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子広告の分野に関するものであり、より詳細には、広告結果の初期設定に基づいて広告キャンペーンを修正するための自動または半自動の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業およびその他の組織の電子広告は、一般的に、広告パブリッシャに1または複数の広告を提示し、パブリッシャがコンテンツに関連して表示される広告を供給することによって行われる。広告パブリッシャへの広告の提示の一部として、広告主は一般的に、特定の性別、年齢層、場所その他に属す人など、広告表示を限定するターゲットグループを定義する基準を指定する。
【0003】
しかしながら、その広告を最も受け入れやすいターゲットグループを正確に決定することは、広告主にとって困難であり得る。したがって、多くの場合、広告主は、男性、または20歳から40歳までの人などの極めて広い範囲のターゲットグループしか指定しないか、またはターゲットグループを全く指定せずに全てのユーザに広告を行う。かかる広範囲のターゲットグループでは、グループ内のユーザの興味および好みの変動を把握できず、その広告にほとんど興味をもたない極めて多くのユーザに広告を行うことになる。逆に、広告主は様々なタイプのユーザの興味に関する広告主自身の推測を基にターゲットグループの範囲を狭く調整しようと試みる可能性がある。しかし、広告主の推測力が乏しく、そのため実際にはその広告にほとんど興味をもたない閲覧者に広告を行ってしまう可能性がある。また、ターゲットグループを狭く調整することによって、広告を過度に少ない閲覧者に制限してしまう恐れがある。すなわち、広告が比較的まれにしか表示されないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】一実施形態による、デジタル広告が表示されて評価されるコンピュータ環境のハイレベルブロック図。
図2】一実施形態による、広告主が広告パブリッシャに提示するための広告キャンペーンを定義するために用いるユーザインタフェースの一例を示す図。
図3】一実施形態による、様々なユーザ区分に対する広告のパフォーマンスに関する広告パブリッシャからのフィードバックに基づいて、広告キャンペーンを修正するプロセスを示す図。
図4A】一実施形態による、性別に基づく広告メトリック値における分岐を検出するためのインタフェースであって、トップダウンアプローチに用いられるユーザインタフェースの一例を示す図。
図4B】一実施形態による、広告キャンペーンを修正するためのボトムアップアプローチに用いられるユーザインタフェースを示す図。
図5】一実施形態による、広告キャンペーンを修正するためのボトムアップアプローチの一部として広告パブリッシャによって行われる工程を示す図。
図6】一実施形態による、所与のターゲットグループに対して用いる広告を提案する際に広告パブリッシャによって行われる工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の実施形態において、広告パブリッシングシステムは、広告主の広告キャンペーンの広告を初期ターゲット基準によって指定されたターゲットグループに供給するものである。パブリッシングシステムは、広告の初期の提示に対するユーザの反応を基に、ターゲットグループの様々な区分(サブグループ)の広告メトリック値を評価する。様々な区
分に対する広告メトリック値に基づき、パブリッシングシステムは広告主に対して広告キャンペーンの修正を提案する。広告キャンペーンの修正例として、初期ターゲット基準を区分の少なくとも1つを修正したターゲットグループとして指定するように狭めること、低パフォーマンスの区分に対して異なる広告を指定すること、およびキャンペーンにおける広告表示に対するビッド値の調整を行うことが含まれる。
【0006】
一実施形態において、パブリッシングシステムは、広告キャンペーンに対する修正の提案にトップダウンアプローチを採用しており、男性と女性の間の分岐など、ターゲット基準に関連付けられる属性のうちの1つの異なる値の間の広告メトリック値における分岐を識別する工程を含む。その後、パブリッシングシステムは、その区分をターゲット基準から完全に除外する、または低パフォーマンスの属性値によって定義された区分に対して新たな広告を指定するなど、キャンペーンの様々な修正を提案することができる。
【0007】
他の実施形態では、パブリッシングシステムは、広告キャンペーンに対する修正の提案にボトムアップアプローチを採用しており、分析のための属性および属性値を選択する工程と、選択された属性値の組み合わせを形成する工程と、それぞれの組み合わせに対する広告メトリックを計算する工程とを含む。パブリッシングシステムはさらに、それぞれ対応する広告メトリック値を基に組み合わせをクラスタ化し、そのクラスタのうちの様々なもの(たとえばトップのクラスタ)に対するメトリックを広告主に提示し、そしてクラスタのメトリックに基づくキャンペーンの修正の提案を提供する。提案例として、広告キャンペーンのターゲットグループに所与のクラスタを含めないか含めるかを指定すること、所与のクラスタに対して新たな広告を指定することなどが含まれる。
【0008】
本明細書には特徴および利点の全てが記載されているものではなく、特に、多くのその他の特徴および利点は、当業者であれば、図面、明細書、および請求項を考慮すれば明らかとなる。また、明細書に用いられる文言は主に、読みやすさおよび教示を目的として選択されたものであり、本発明の主題を正確に記述する、または限定するために選択されたものではないことに注意すべきである。
【0009】
図面は本発明の実施形態を説明することのみを目的として使用されている。当業者であれば、以下の記載から、本明細書に示された構成および方法の実施形態に代わるものも、本明細書に記載された本発明の原理から逸脱することなく採用されることを容易に認めるであろう。
【0010】
図1は、一実施形態による、デジタル広告が表示されて評価されるコンピュータ環境のハイレベルブロック図である。具体的には、図1は、クライアントデバイス120、ネットワーク140、コンテンツプロバイダ130、広告主110、および広告パブリッシャ100を示している。クライアント120は、コンテンツプロバイダ130によってネットワーク140を通じて提供される、ソーシャルネットワーキングシステムのデータ、デジタル映像、ウェブページその他のデジタルコンテンツを閲覧する。広告主110は、広告主による支払と引き換えに、様々なコンテンツプロバイダ130によって提供されるコンテンツと併せて、表示するための広告キャンペーンの広告を提供するように広告パブリッシャ100と契約する。同様に、コンテンツプロバイダ130は、広告パブリッシャ100に対して、広告パブリッシャによる支払と引き換えに、そのコンテンツと併せて表示するための広告を提供することを許可する。
【0011】
一実施形態において、コンテンツプロバイダ130と広告パブリッシャ100は、単一のシステムを構築し、および/または同一の組織によって運営されている。たとえば、FACEBOOK(登録商標),INC.によって提供されているようなソーシャルネットワーキングシステムの場合、ソーシャルネットワーキングシステムは、クライアント12
0へのコンテンツの提供とともに、コンテンツと併せて表示するための広告の選択も行うことができる。
【0012】
より具体的には、クライアントデバイス120は、多様な異なるコンピューティングデバイスのうちの何れか1つであってよい。クライアントデバイス120の例として、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレット型コンピュータ、およびインターネット対応のデジタルテレビまたはテレビセットトップボックスなどが挙げられる。
【0013】
ネットワーク140は一般的にインターネットであるが、これらには限定されることなく、LAN、MAN、WAN、携帯、有線または無線のネットワーク、プライベートネットワーク、または仮想プライベートネットワークなどの、任意のネットワークであってもよい。
【0014】
コンテンツプロバイダ130は、ソーシャルネットワーキングシステム、ビデオホスティングサービス、ブログウェブサイトその他のデジタルコンテンツをクライアント120に対して供給できることができる任意のシステムであってよい。コンテンツプロバイダ130は、そのコンテンツと併せて広告パブリッシャ100によって提供された広告を表示する。
【0015】
広告主110は、広告パブリッシャ100を通じて電子広告を行う任意の企業またはその他の組織を表している。広告主110は、広告パブリッシャ100に広告キャンペーンのデータを提供する。広告キャンペーンのデータは、1または複数の表示ターゲットの広告と広告を表示すべきユーザのグループを定義する任意のターゲット基準とを含む。ターゲット基準は広告主110によって明示的に指定されたものと、特定のターゲット基準無しに暗示されたもの(たとえば、「全てのユーザ」値、すなわち、広告主が明示的にターゲット基準を指定しないことによる暗示的な基準)との、何れであってもよい。
【0016】
ターゲット基準には、ユーザの年齢、性別、住居の地理的位置、趣味(たとえば、「テニス」または「英文学」)、会話の言語、教育レベル、関係ステータスなどの、ユーザを特徴付けることができる、1または複数の属性の数値が指定されてもよい。かかる属性に対する数値は、ソーシャルネットワーキングシステムのオンラインプロフィールなどにおいて、ユーザ自身によって直接的に指定されてもよい。あるいは、その数値は、ユーザに関する他のデータに基づく推測、たとえば、ユーザが閲覧したコンテンツ、ソーシャルネットワーキングシステム上のユーザの友達の特徴などに基づく、ユーザの年齢または性別の推測によって得られてもよい。その他の、ターゲット基準内のユーザの属性の例として、ソーシャルネットワーキングシステムのソーシャルグラフからの関連データ(たとえば、友達の数、または友達の属性)、および/または閲覧したウェブページ、またはソーシャルネットワーキングシステム内でのアクション(たとえば、ユーザが賛同したまたは「好き」と表明したアイテム、所属したグループなど)などのオンラインアクションが含まれる。
【0017】
一実施形態において、広告キャンペーンのデータのターゲット基準は、広告を表示すべきユーザの属性だけでなく、広告が併せて提示されるコンテンツの属性も含むことができる。たとえば、ターゲット基準には、「ガーデニング」または「ペット」などの、コンテンツに関連するキーワードまたはトピックを指定してもよい。キーワードまたはトピックは、たとえばコンテンツを具体化するウェブページのメタデータなど、コンテンツ所有者自身によって指定されてもよい。あるいは、たとえば、コンテンツにトピックまたはキーワードのラベル付けを行う機械学習方法によって生成された分類指標モデルの適用によって推測されてもよい。
【0018】
広告キャンペーンの各広告は、要求された支払条件が合えば、広告パブリッシャ100に対して広告主110が支払う金額を示す、関連ビッドを有していてもよい。支払条件は個別の広告ごとに、または広告キャンペーン全体で、広告主110が指定することができ、広告の表示、ユーザのクリックその他による広告の選択、ユーザによる広告に関連する製品の購入、広告に関する世論調査または広告に関連する組織に対するユーザの好意的回答などの条件を含んでいてもよい。
【0019】
広告パブリッシャ100は、広告主110から広告を受領して記憶し、記憶した広告のうちの何れが異なるコンテンツプロバイダ130のコンテンツと併せて表示するのに最も適しているかを識別し、認識された広告を表示のためにクライアント120に提供する。広告パブリッシャ100は、グラフィカルユーザインタフェースなどの、広告主110に1または複数の広告を含む広告キャンペーンを定義させるインタフェースを提供し、任意で、所与の広告または全ての広告を表示すべきターゲットグループを示す指示とともに提供する。
【0020】
より具体的には、広告パブリッシャ100は、広告データベース101と、統計データベース102と、広告選択モジュール103と、キャンペーン調整モジュール104とを含む。
【0021】
広告データベース101は、広告主110によって指定された広告キャンペーンの詳細を記憶している。たとえば、特定の広告主110が、20歳から40歳までの男性などのターゲットグループにそれぞれ表示され得る10個の広告を含む広告キャンペーンを提示することがある。この場合、広告データベース101は10個の広告と、ターゲットグループを定義するターゲット基準と、10個の広告のそれぞれをターゲットグループに関連付ける表示とを記憶している。いくつかの実施形態では、広告データベース101は広告主110の広告ビッドおよび、ユーザの広告に対するクリックなどの、広告主の支払を決定するための条件を示す指示も記憶している。
【0022】
広告は、テキスト広告、画像広告、または映像広告など、多数の異なるタイプのものがあってよい。また、各広告には、ページバナー内、サイドバー内、一連の検索結果内のリンクとしてなど、その広告の表示方法に関するそれぞれの要件があってもよい。
【0023】
図2は、広告主110が広告パブリッシャ100に提示するための広告キャンペーンを定義するために用いるユーザインタフェース200の一例を示している。一実施形態において、ユーザインタフェース200は、広告主110のブラウザを通じてアクセスされるウェブベースのインタフェースである。ユーザインタフェース200は、それぞれ異なる広告に対応しかつ広告のグラフィカル表示(サムネイル表示など)を表示するためのプレビュー領域205Aを含む、一組の広告選択コントロール部205と、キャンペーンから対応する広告を削除するための削除コントロール部とを含む。キャンペーンに(たとえば、従来のファイルを開くためのダイアログボックスを通じて)他の広告を追加するために広告追加コントロール部215を用いることもできる。
【0024】
例示のユーザインタフェース200はさらに、ターゲット基準の初期設定を指定するための一組のコントロール部210も含む。いくつかの実施形態において、ターゲット基準は指定された広告のそれぞれに適用される。その他の実施形態では、広告はそれぞれ、別々のターゲット基準を有し、表示されているターゲット基準コントロール部210の設定が現在選択中の広告にのみ適用されてもよい。図2に示すコントロール部210は年齢、性別、位置、およびキーワードの属性を指定するためのコントロール部のみを含むものであるが、コントロール部は、広告の閲覧者または、趣味、関係ステータス、ソーシャルネ
ットワークシステム内の友達のアクションなど、広告と併せて表示されるコンテンツに関連する任意の属性を指定できることが好ましい。
【0025】
再度図1を参照すると、統計データベース102は、クライアント120のユーザのコンテンツプロバイダ130のコンテンツと共に表示された広告との相互作用についての統計を記憶している。統計には、適用する広告の有効性を数値化する少なくとも1つの広告メトリック値を含んでいる。異なる広告メトリックは、たとえば、それぞれの広告に対する、広告がユーザに対して表示された合計回数、または広告がユーザに対して表示された回数に対する、ユーザがクリックその他によって広告を選択した回数の割合を示すクリックスルー率(CTR)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、広告メトリックは、1ユーザ単位で、および1広告単位で追跡され、それにより、集合的なユーザだけでなく、特定のユーザに対して特定の広告がどの程度有効であったかを指定する。同様に、広告メトリックは、広告の表示が広告に対応する製品の購入などの、所定の特定のアクションにつながったときの割合を示すコンバージョン(転換)率であり得る。広告のメトリックは、ブランドまたは組織の好意的な知名度を示す世論調査の結果によって証明されるように「ブランドリフト」の測定値などの、広告に関連するブランドまたは組織に関する世論調査の結果でもあり得る。追加的および/または代替的に、統計は広告キャンペーン内の個別の広告よりも(またはそれに加えて)、広告キャンペーン全体に対して追跡され得る。
【0026】
広告選択システム103は、コンテンツプロバイダ130の所与のコンテンツに対して、広告データベース101から適切な広告を選択する。一実施形態において、広告は広告によって生成される売上見込みに基づいて選択され、売上見込みは広告主110の広告ビッドと、広告が表示された場合に支払条件が満たされる確率との積である。すなわち、コンテンツプロバイダ130の所与のコンテンツに対して、およびそのコンテンツを閲覧するクライアント120のユーザに対して、広告パブリッシャ100は各広告の売上見込みを計算することができる。そして、広告パブリッシャ100は売上見込みが最も高い広告(複数可)をコンテンツに関連して表示する広告(複数可)として選択することができる。
【0027】
広告に対するクリックまたは広告に関連する製品の購入など、多くのタイプの支払条件に対して、特定の広告に関するターゲット基準がより正確になれば、支払条件を満たす確率は大きくなり、よって、広告の表示に対する売上見込みが大きくなる。一例として、社会保障給付に関する広告は高年齢グループのユーザによるクリックがより頻繁となる傾向があり、よって、高年齢グループを広告のターゲットとすることにより「広告のクリック」による支払条件を満たす確率が上がる傾向があると考えられる。このように、広告パブリッシャ100にとっても、広告主110にとっても、広告に対してより正確なターゲット基準を指定することが有益である。
【0028】
キャンペーン調整モジュール104は、所定の期間、初期の広告キャンペーンを実行し、異なるグループのユーザに対する広告の有効性についての広告メトリックおよびその他の統計を追跡する。その統計に基づき、キャンペーン調整モジュール104は、キャンペーン内の広告に対するターゲット基準の変更、キャンペーンへの広告の追加または広告の削除、キャンペーンにおける広告に対するビッドの調整などによって、自動的または半自動的にキャンペーンを修正してその有効性を高める。キャンペーン調整モジュール104のアクションは、図3により具体的に示されている。
【0029】
簡略化のために、図1ではクライアント120、広告主110、コンテンツプロバイダ130、ネットワーク140、およびパブリッシャ100をそれぞれ1つとして示しているが、それぞれ、任意の数であってよいことが理解される。たとえば、極めて多い数の(
たとえば数百万の)クライアントデバイス120が同様に極めて多い数の異なるコンテンツプロバイダ130と通信していてもよい。同様に、多数の異なる広告主が同じ広告パブリッシャ100を利用していてもよい。
【0030】
図3は様々なユーザ区分に対する広告のパフォーマンスに関する広告パブリッシャ100からのフィードバックに基づいて、広告キャンペーンを修正するプロセスを示している。広告主110はまず、広告パブリッシャ100に対して、広告、ターゲット基準、ビッドなどの広告キャンペーンを説明するデータを提示し(310)、広告パブリッシャはデータを広告データベース101に記憶する。その後、広告パブリッシャ100の広告選択モジュール103は、たとえば所与のコンテンツおよび所与のユーザに対する最大の売上見込みを有する広告(複数可)に対応して、クライアント120のユーザに対して広告キャンペーンの広告(複数可)を供給する(320)。広告は、所定の期間(2日間、1週間など)、または統計のいくらかの最小値を得るために十分な、変数である長さの期間(1000回の広告インプレッション)などの、いくらかの期間に亘って供給される(320)。
【0031】
広告パブリッシャ100は、クリックまたはその他の広告の選択、広告に関連するアイテムの購入、広告によって影響を受けた世論調査への回答などの、提供された広告に関するユーザの反応を得る(330)。得られた反応に基づき、キャンペーン調整モジュール104は統計データベース102を更新する(340)。統計データベース102の更新は、広告のクリック率、製品購入などの所定のアクションに対する広告のコンバージョン率、所与の世論調査に対する好意的な反応の確率などの、広告の支払条件に関する広告メトリックを計算する工程を含む。
【0032】
一実施形態において、統計は、単一の属性の値または複数の属性の値の組み合わせの何れかに関して、異なるグループに対して別々に計算される。たとえば、統計は単一の人口統計学的属性である「性別」に対して(たとえば、グループ内の男性および女性に対する統計を別々に追跡することにより)別々に計算されても、または単一の人口統計学的属性である「年齢」に対して(たとえば、個々の年齢、または13歳から17歳、18歳から22歳、23歳から27歳などの年齢範囲などの、異なる年齢区分の各組に対して別々に統計を追跡することにより)別々に計算されてもよい。他の例として、統計は、「男性、13歳から17歳」、「女性、13歳から17歳」、「男性、18歳から22歳」、「女性、18歳から22歳」などの区分のように、「性別」と「年齢」の属性の組み合わせに対して計算されてもよい。
【0033】
一実施形態において、初期のターゲット基準によって定義されたグループ内の属性値のみが考慮される。たとえば、初期のターゲット基準がターゲットグループを全体的に女性、またはアメリカ合衆国の西部に位置する30歳を超える年齢の女性に限定する場合、統計は男性を含む区分に対して追跡されない。他の実施形態では、統計は、初期のターゲット基準から外れている属性値の区分についても同様に追跡されてもよい。
【0034】
更新された統計に基づいて、キャンペーン調整モジュール104は様々な選択肢に関するキャンペーンの修正の提案を提供する(350)。キャンペーンの修正の選択肢には、初期のターゲットグループよりもキャンペーンの広告に対してより受け入れやすいと経験的に決定されたグループを定義するために、初期のターゲット基準を狭める工程、またはその他の調整を行う工程が含まれる。その他の選択肢の例として、キャンペーンに広告を追加する工程または広告を削除する工程、および/または異なるターゲット基準と広告を入れ替える工程が含まれる。その他の選択肢は、広告キャンペーン内の1または複数の広告に対するビッドを上げる(または下げる)ことである。広告主110が、提案された修正選択肢を承認する場合は、キャンペーンはそのように修正される(360)。キャンペ
ーンを修正するための様々な選択肢についてより具体的に説明する。
【0035】
上述したように、広告キャンペーンの修正の選択肢の1つは、初期のターゲット基準を調整することである。一実施形態において、トップダウンアプローチが採用される。トップダウンアプローチでは、キャンペーン調整モジュール104は、統計データベース102内の広告メトリック値を、提供された広告に対するクライアント120のユーザの反応に基づいて計算されるものとして監視し、属性のうちの1つの値にまたがる広告メトリック値に対して発生する分岐を記録する。分岐は、広告メトリック値が少なくともいくらかの閾値分異なる場合、たとえば、一方の数値が他方の数値の3倍など、少なくともいくらかの所定の定数倍である場合に、発生したと考えられる。キャンペーン調整モジュール104は、その後、広告主110に分岐について通知し、キャンペーンを調整するためにユーザに選択肢を提供する。1つの選択肢は、分岐が存在する属性の低パフォーマンス値に対して、ユーザの区分を除外することである。これにより、ターゲット基準を、分岐する属性に対してより狭くなるように修正する。その他の選択肢は、その区分に対して表示される広告を変更することである。これにより、ターゲット基準は2組のターゲット基準、すなわち、初期のターゲット基準および初期の広告(複数可)に関連した最初の1つの組と、新たな広告(複数可)に関連した新たな組とに、効果的に分割される。新たな組のターゲット基準は、初期のターゲット基準と同じ設定を有し、低パフォーマンスの属性値を有するユーザの除外が追加される。他の選択肢は、その区分に表示された広告に対するビッドを上げることである。
【0036】
たとえば、図4Aは、一実施形態による、性別に基づく広告メトリック値における分岐を検出するためのインタフェースであって、トップダウンアプローチに用いられるユーザインタフェース400の一例を示す。この例の目的のために、広告キャンペーンのための広告主110の初期のターゲット基準をアメリカ合衆国の南東部に位置する29歳から32歳までの人々に指定する。ユーザインタフェース400は、分岐の対象(ソース)(「備考:あなたの広告の結果は性別に基づいて分かれました」)および初期のターゲット基準(「現在のターゲット:年齢:29歳から32歳、位置:アメリカ合衆国の南東部」)とされた属性を指定する。表示領域410は属性に関する分岐を要約する。すなわち、性別の属性に関して、広告キャンペーン内の広告は男性が0.3%のクリックスルー率で女性が1.2%のクリックスルー率であったのに対して、広告キャンペーンに対する平均クリックスルー率は全体で0.6%であった。ユーザインタフェース400には、現在のターゲット基準内の異なる年齢グループの男性と女性との間のクリックスルー率の違いが視覚的に示され、複数属性分布グラフ420などの、分岐を視覚化する追加のデータが示されてもよい。
【0037】
低パフォーマンスの「男性」区分に視覚的に関連付けられた、提案された選択肢415Aは広告主110に対して、既に「男性」区分に関連付けられた広告(複数可)以外の新たな広告を指定する選択肢を提供する。たとえば、広告キャンペーンが2つの広告を含み、そのうちの何れかが示されたターゲットの人口統計学的グループのユーザ(すなわち、29歳から32歳までの、アメリカ合衆国の南東部に位置するユーザ)に示される場合、この選択肢を選択することによって、ターゲット基準を2組の異なる基準、すなわち、初期の基準を有する最初の組(すなわち29歳から32歳の年齢で、かつアメリカ合衆国の南東部に位置する)と、「性別」属性の低パフォーマンスの「男性」値を有するユーザを除外する新たな組(すなわち29歳から32歳の年齢で、アメリカ合衆国の南東部に位置し、かつ男性ではない)とに効果的に分割できると考えられる。また、新たな基準の組によって定義されたグループは、低いCTRとなった初期の2つの広告以外の、新たに指定された広告(複数可)に関連付けられることになるであろう。
【0038】
低パフォーマンスの「男性」区分に視覚的に関連付けられた、提案された選択肢415
Bは広告主110に対して、ターゲット基準を狭めて、今後の広告の提示からそのグループを除外する選択肢を提供する。このように、本例では、ターゲット基準が「29歳から32歳の年齢で、アメリカ合衆国の南東部に位置し、かつ男性ではない」とされる。あるいは、高パフォーマンスの「女性」区分に視覚的に関連付けられた選択肢415Cは、広告主110に対して、「性別」属性の「女性」値についてターゲット基準を特化して、他の属性に関するターゲット基準を広げ得る選択肢を提供してもよい。たとえば、「29歳から32歳の年齢で、かつアメリカ合衆国の南東部に位置する」というターゲット基準を、「性別」属性の「女性」のみを含むように狭めることができ、しかし「年齢」または「位置」の属性に関する限定は削除して広げることができる。一実施形態において、様々な拡大の選択肢、たとえば「年齢」または「位置」の属性を削除する選択肢が、ユーザ選択の選択肢415Cに対応して提案される。
【0039】
初期のターゲット基準を調整することによって広告キャンペーンを修正する他の技術は、図5にその工程が示されるボトムアップアプローチを用いることである。キャンペーン調整モジュール104は、分析のための可能な属性を何組か選択し(510)、分析に対して、それらの属性の可能な数値を何組か選択する(520)。属性および属性値は、公知の重要性の所定の組からのものであってもよく、または、たとえば何れの属性または属性値が特別に強いまたは弱い広告のメトリック値への結び付きを見せるのかを分析することによって、属性および属性値が動的に計算されてもよい。選択された属性および属性値を用いて、キャンペーン調整モジュール104は選択された属性の異なる可能な数値の属性値の組み合わせを形成し(530)、各組み合わせの統計を追跡する(540)。その後、キャンペーン調整モジュール104は、その組み合わせを、クリックスルー率の類似性などの広告メトリックの間の類似の度合に基づいてグループ内にクラスタ化して(550)、それぞれのクラスタに対する広告メトリックの平均値を計算する。キャンペーン調整モジュール104は広告主110に対して、追跡された統計を提示し(560)、広告キャンペーンの修正に対する提案を提供する(570)。一実施形態において、広告主110は、追跡すべき属性および属性値を部分的または完全に指定することなどによって、このプロセスに入力を提供する選択肢を有している。
【0040】
たとえば、キャンペーン調整モジュール104は、年齢、性別、位置の属性を選択し510、さらに1年の年齢範囲の年齢値、「男性」および「女性」である性別値、および「アメリカ合衆国の南東部」、「アメリカ合衆国の西部」、「カナダのケベック」などの所定の地域の設定である位置値を選択する(520)。キャンペーン調整モジュール104は次いで、「年齢:13歳、性別:男性、位置:アメリカ合衆国の南東部」、「年齢:13歳、性別:女性、位置:アメリカ合衆国の南東部」、「年齢:13歳、性別:男性、位置:アメリカ合衆国の西部」などの属性値の組み合わせを形成する(530)。キャンペーン調整モジュール104は次いで、これらの異なる組み合わせのそれぞれの統計を、広告に対する所与の反応を(もし存在すれば)ユーザがそれに対して全ての対応する属性値を有する組み合わせに関連付けながら追跡する。たとえば、17歳、男性、かつカリフォルニア州サンタクララ(すなわちアメリカ合衆国西部)に位置するということを示すプロフィールを有するユーザが、広告主110の広告キャンペーン内の広告の1つをクリックした場合、そのクリックスルーのデータは「年齢:17歳、性別:男性、位置:アメリカ合衆国の西部」という組み合わせに関連付けられる。
【0041】
この例を続けると、クリックスルー率が対象のメトリックであると仮定し、属性値の組み合わせのうちの7つがそれぞれ、0.6%、0.5%、0.25%、0.61%、1.2%、0.21%、および0.53%であるとする。クラスタシードとしての最初の組み合わせで始めて、クラスタ中心からの0.05%の類似閾値を同じクラスタ内に存在するための要件とすると、組み合わせは、{0.6%、0.61%}、{0.5%、0.53%}、{0.25%}、{1.2%}、および{0.21%}のグループにクラスタ化さ
れ、それぞれ、0.605%、0.515%、0.25%、1.2%、および0.21%の平均CTRを有する(550)。
【0042】
キャンペーン調整モジュール104はその後、統計を提示する(560)。たとえば、図4Bはこの目的のためのユーザインタフェース450の一例を示している。現在のターゲット基準(すなわち、30歳から45歳までの男性)によって定義されたターゲットグループの表示に加えて、ユーザインタフェース450は、関連する広告のメトリック(ここでは、平均CTR)の値に従って分類されたターゲットグループの区分のトップのクラスタのリスト465も含んでいる。たとえば、第1の最高ランキングのクラスタ465Aは、平均CTRが1.2%である、「年齢:31歳、性別:男性、位置:アメリカ合衆国の南東部」および「年齢:33歳、性別:男性、位置:アメリカ合衆国の南東部」の組み合わせを含んでいる。
【0043】
キャンペーン修正の提案は、リスト465内の1または複数のクラスタに関連付けられて提示される(570)。たとえば、クラスタはそれぞれ、そのクラスタをターゲットグループに含めるべきか、またはターゲットグループから除外すべきかを示すために用いられる、関連するチェックボックス470またはその他のコントロール部を有することができる。チェックボックス470の選択解除によって、ターゲット基準が対応するクラスタ内の区分を除外するように変更される。また、1または複数のクラスタは、図4Aに関して上述した選択肢415Aと同様に、広告主110がそのクラスタの区分に特有の新たな広告を指定することを許可する、関連リンク475を有していてもよい。ユーザインタフェース450は、リスト465に示されたトップグループのクラスタよりもランキングの低い何れかのクラスタの区分を除外して、その結果、ターゲット基準の変更が行われる、選択肢480も含んでいてもよい。
【0044】
キャンペーン調整モジュール104はさらに、図6に示すように、特定のターゲット人口統計層に対して用いるためのキャンペーンの最高の広告を選択するために用いられてもよい。まず、広告パブリッシャ100は広告主110から広告キャンペーンの定義を受信する。広告キャンペーンは、たとえば図2のユーザインタフェース200に指定されているように、複数の広告を含むことができ、ターゲット基準は個別に、または全体的に広告に割り当てられることができる。複数の広告はキャンペーン全体の異なる表示、または異なるメッセージを示すことができ、したがって、多少異なる閲覧者にアピールしてもよい。したがって、関連する所与のターゲットグループに対して、広告のうち異なるものが適切であってもよい。
【0045】
ターゲットグループ(たとえば男性、20歳から30歳までの人など)は、広告主110によって明確に指定されてもよい。あるいは、広告パブリッシャ100は、図4Bおよび図5に関して上述したボトムアップアプローチなどにおいて、自動的に複数の区分を形成するようにしてもよく、これらの区分はそれぞれ、ターゲットグループとして個別に評価されてもよい。
【0046】
何れかの場合において、広告パブリッシャ100は、ターゲットグループのユーザに広告キャンペーンの複数の広告を提供し(620)、ターゲットグループにおける異なる広告に対する広告メトリック値を決定する(630)。広告パブリッシャ100は次いで、ターゲットグループに対して、最も高い広告メトリック値を有する広告などの、広告のメトリック値に基づいて最も効果的である広告(複数可)を識別する(640)。広告パブリッシャは次いで、広告主110に対して、識別された最も効果的である広告(複数可)を、ターゲットグループに対する広告(複数可)として表示し、他の広告をターゲットグループに対して表示する広告から除外する提案を送信する(650)。
【0047】
このように、上述の様々な方法において、キャンペーン調整モジュール104の提案によって、広告主110はその広告キャンペーンの効果を向上させる方法を迅速かつ容易に決定することができる。
【0048】
本発明の実施形態に関する上述の記載は説明のために提示されたものであり、本発明を完全に網羅するものでも、開示された正確な構成に限定するものでもない。関連分野の当業者であれば、上記の開示を考慮して、多くの変更および変形が可能であることを十分理解することができる。
【0049】
本明細書のいくつかの部分は、情報に基づく動作のアルゴリズムおよび記号の表示によって本発明の実施形態を説明している。これらのアルゴリズム的記載および表示は、データ処理技術分野の当業者がその仕事内容を他の当業者に効率的に伝えるために通常用いているものである。これらの動作は、機能的、計算的、または論理的に記載される一方、コンピュータプログラムまたは同等の電子回路、マイクロコードその他によって実行されると理解されている。また、これらの動作のアレンジをモジュールと呼ぶことは、普遍性を失うことなく、時には利便性があることも証明されている。記載されている動作およびそれらに関連するモジュールは、ソフトウエア、ファームウエア、ハードウエア、またはそれらの組み合わせにおいて実装されていてもよい。
【0050】
本明細書に記載の工程、動作、またはプロセスは何れも、1または複数のハードウエアまたはソフトウエアのモジュールを単独で、または他のデバイスと組み合わせて用いて実行または実施されてよい。一実施形態において、ソフトウエアモジュールは、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を含み、本明細書に記載の工程、動作、または方法の何れか、または全てを実行するためのコンピュータプロセッサによって実行されることができる、コンピュータプログラム製品に実装される。
【0051】
本発明の実施形態は、本明細書に記載の動作を実行するための装置にも関連していてもよい。この装置は、要求された目的のために特別に構築されてもよく、および/またはコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成された汎用コンピューティングデバイスを含んでいてもよい。かかるコンピュータプログラムは、コンピュータシステムバスに接続できる、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体、または電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体に記憶されていてよい。さらに、本明細書で言及するコンピューティングシステムは何れも、単一のプロセッサを含んでいてもよく、または計算能力を高めるために複数プロセッサ設計を採用したアーキテクチャであってもよい。
【0052】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載の計算プロセスによって作られた製品にも関連していてもよい。かかる製品は、計算プロセスから得られた情報を含んでいてよく、この情報は非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶され、本明細書に記載のコンピュータプログラム製品またはその他のデータの組み合わせなど任意の実施形態を含んでいてもよい。
【0053】
最後に、本明細書に用いられる文言は、主として、読みやすさおよび教示を目的として選択されたものであり、本発明の主題の正確な記述または限定のために選択されたものではない。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本出願の請求項によって限定されるものである。したがって、本発明の実施形態の開示は、本発明を説明するものであり、添付の請求項に定義された本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6