(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141333
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】カムシャフト位相調整装置
(51)【国際特許分類】
F01L 1/356 20060101AFI20170529BHJP
F01L 1/352 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
F01L1/356 Z
F01L1/352
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-557718(P2014-557718)
(86)(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公表番号】特表2015-507145(P2015-507145A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2013025718
(87)【国際公開番号】WO2013122921
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2016年2月12日
(31)【優先権主張番号】13/372,971
(32)【優先日】2012年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ジェニセ,デイヴィッド ジェラード
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−117416(JP,A)
【文献】
特開2006−177310(JP,A)
【文献】
特開昭53−074605(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0064998(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0222513(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/352−1/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを受取るための第1及び第2開口部をそれぞれが有する第1フランジ及び第2フランジを有するハウジングを備え、
前記シャフトは、前記ハウジングによって受取られ、前記第1及び第2開口部の両方を通って延びており、
更に、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に配置された第1ギヤと、前記第1ギヤから前記第1フランジの前記開口部を通って延びるシャフト受部と、前記ハウジングの前記シャフトの第1端部と同じ側に配置され、駆動軸から前記第1ギヤに回転運動を伝えるように構成される駆動軸結合部と、前記シャフトを受入れて回転を許容するように構成され前記シャフト受部を通って延びる通路と、を有する駆動ギヤ部材と、
前記ハウジングに支持されて前記シャフトの縦軸に平行な縦軸を有する軸に取付けられて、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に配置された第2ギヤ及び第3ギヤと、を備え、
前記第2ギヤは、前記第3ギヤが前記第2ギヤの角速度で回転するように第3ギヤに結合され、前記第2ギヤの歯が前記第1ギヤの歯に噛合わされ、前第3ギヤの歯が第4ギヤの歯に噛合わされ、
前記第4ギヤは、前記シャフトが前記第4ギヤの角速度で回転するように前記第4ギヤの角運動を前記シャフトに伝達するために前記シャフトに結合され、
前記ハウジングは、アクチュエータに連結されて、前記ハジングが前記シャフトの前記縦軸周りに回転するように構成され、
前記シャフトは、カムシャフトであり、カムを有する前記第1端部、及び第2末端部を含み、前記第2末端部は、前記第2開口部によって受取られ、
前記駆動ギヤ部材は、前記駆動軸結合部及び前記シャフト受部を含む第1部品と、前記第1ギヤを含む第2部品とを備え、
前記第1及び第2部品は、前記駆動軸結合部と前記第1ギヤとが同じ角速度で回転するようにする接合部を含み、
前記第2ギヤ及び前記第3ギヤは、前記第2ギヤ及び前記第3ギヤの一方から他方の対応する凹部内に延びるピンを用いて互いに結合されていることを特徴とするカムシャフト位相調整装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、ピニオンギヤを備えたアクチュエータに係合するように構成されたラックを含むことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト位相調整装置。
【請求項3】
前記第1フランジ及び前記第2フランジの少なくとも一方は、駆動ウィング部を含み、該駆動ウィング部は、前記ラックを含むことを特徴とする請求項2に記載のカムシャフト調整装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、該アクチュエータの一端でヒンジによって前記ハウジングに回動可能に結合された油圧アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト位相調整装置。
【請求項5】
前記第2ギヤは、前記第1ギヤの半径及び前記第3ギヤの半径より大きい半径を有することを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト位相調整装置。
【請求項6】
前記駆動軸結合部は、駆動軸に結合するスプロケットを含み、
前記カムシャフト受部は、前記第1フランジの前記開口部を通り、前記第1ギヤと前記スプロケットとの間に延びており、
前記駆動ギヤ部材は、前記ハウジングの前記駆動ギヤ部材に対する前記カムシャフトの縦軸周りの回転を可能にすることを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト位相調整装置。
【請求項7】
第1通路及び第2通路を有するフレームを備え、
前記第1通路は、カムシャフトを受入れ、前記フレームの前記カムシャフト周りの回転運動を可能にするように構成され、
更に、第1ギヤと、駆動軸に結合して回転運動を前記駆動軸から前記第1ギヤに伝達するカムシャフト受部と、該カムシャフト受部を貫通して延びる通路とを有する駆動ギヤ部材を備え、
前記駆動ギヤ部材の前記通路は、前記カムシャフトを受入れるように構成され、前記カムシャフトの前記駆動ギヤ部材に対する回転を許容し、
更に、前記フレームの前記第2通路を通って延びて前記カムシャフトの縦軸に平行な縦軸を有する軸に取付けられた第2ギヤ及び第3ギヤを備え、
前記第2ギヤ及び前記第3ギヤは、前記第3ギヤが前記第2ギヤの角速度で回転するように前記軸に取付けられ、前記第2ギヤの歯は、前記第1ギヤの歯に噛合わされ、前記第3ギヤの歯は、第4ギヤの歯に噛合わされ、
前記第4ギヤは、前記カムシャフトが前記第4ギヤの角速度で回転するように、前記カムシャフトに角運動を伝達するために前記カムシャフトに結合され、
前記フレームは、前記第1ギヤと前記第4ギヤとの間、かつ、前記第2ギヤと前記第3ギヤとの間に配置されていることを特徴とするカムシャフト位相調整装置。
【請求項8】
前記フレームは、アクチュエータ受部を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記アクチュエータ受部は、ピニオンギヤを受取るように構成されたラックを含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記アクチュエータ受部は、アクチュエータの一端部を回動可能に受取るように構成されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記第2ギヤは、前記第3ギヤの半径より大きい半径を有することを特徴とする請求項7に記載のカムシャフト位相調整装置。
【請求項12】
前記第2ギヤは、前記第1ギヤの半径より大きい半径を有すること特徴とする請求項7に記載のカムシャフト位相調整装置。
【請求項13】
前記第2ギヤは、前記第1ギヤの半径及び前記第3ギヤの半径より大きい半径を有することを特徴とする請求項7に記載のカムシャフト位相調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年2月14日に出願された米国特許出願第13/372,971号に対する優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照することにより、その全てが本書に含まれる。
【0002】
本開示は、内燃機関用のカムシャフト位相調整装置に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関の動作は、エンジンバルブの開閉タイミングの制御に関与する。このタイミングは、例えば、駆動軸、カムシャフト、ロッカーアーム及びエンジンバルブの間の関係によって決定される。典型的な実例において、駆動軸の角度位置は、カムシャフトの角度位置ひいてはカムの角度位置を決定する。次いで、カムの位置は、バルブの位置を決定する。
【発明の概要】
【0004】
本教示の一態様において、カムシャフト位相調整装置は、カムシャフトを受取るための開口部をそれぞれが有する第1フランジ及び第2フランジを有するハウジングを含み。駆動ギヤ部材は、第1フランジと第2フランジとの間に配置された第1ギヤと、第1フランジの開口部を通って延びるカムシャフト受部とを有する。また、駆動ギヤ部材は、駆動チェーンを受取る駆動シャフト結合部を有し、その結果、駆動シャフトからの運動を第1ギヤに伝達される。駆動ギヤ部材は、カムシャフトを受入れるように構成された通路を有し、駆動ギヤ部材に対してカムシャフトの自由な回転を許容する。第2ギヤ及び第3ギヤは、ハウジングに支持されてカムシャフトに平行な軸に取付けられている。第2ギヤは、第3ギヤが第2ギヤと同じ角速度で回転するように第3ギヤに結合される。第3ギヤは、運動を第4ギヤに伝達する。第4ギヤは、カムシャフトが第4ギヤの角速度で回転するように角運動をカムシャフトに伝達するためにカムシャフトに結合される。第2ギヤの歯は、第1ギヤの歯に噛合わされ、第3ギヤの歯は、第4ギヤの歯に噛合わされる。アクチュエータは、ハウジングをカムシャフトの軸周りに回転させるためにハウジングに連結される。
【0005】
本教示の他の態様において、カムシャフト位相調整装置は、第1通路及び第2通路を有するフレームを含む。第1通路は、カムシャフトを受入れるように構成され、フレームのカムシャフト周りの回転運動を可能にする。駆動ギヤ部材は、第1ギヤと、駆動軸に結合して回転運動を駆動軸から第1ギヤに伝達するカムシャフト受部とを有する。駆動ギヤ部材は、第1ギヤを通って、カムシャフトが配置されるカムシャフト受部を通って延びる通路を有する。第2通路は、第2ギヤ及び第3ギヤが取付けられた軸を受入れるように構成される。第2ギヤ及び第3ギヤは、軸に取付けられ、第3ギヤが第2ギヤの角速度で回転する。第2ギヤの歯は、第1ギヤの歯に噛合わされ、第3ギヤの歯は、カムシャフトに結合された第4ギヤの歯に噛合わされる。第4ギヤは、角運動をカムシャフトに伝達する。カムシャフトは、第4ギヤの角速度で回転する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面に図示された要素の境界が境界の一例にすぎないことが理解されるであろう。当業者は、単一要素が複数の要素として設計される、又は、複数の要素が単一要素として設計されることが理解されるであろう。内部機構として示される要素は、外部機構として実施され、逆の場合も同じである。
【0007】
さらに、次に添付された図面及び説明において、同様の部品は、それぞれ同様の参照符号を備えて図面及び説明全体にわたって示されている。図は、縮尺で描かれておらず、特定部位の比率が説明の便宜上誇張されている。
【0008】
【
図1】
図1は、例示的な位相調整装置100の斜視図である。
【
図2】
図2は、例示的な位相調整装置100の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す例示的な位相調整装置100の断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す例示的な位相調整装置100の正面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す例示的な位相調整装置100の分解図である。
【
図6】
図6は、例示的な位相調整装置600の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す例示的な位相調整装置600の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、図面の説明の便宜上、特定の用語が使用されるが限定するものではない。本明細書に用いられる用語「上方」、「下方」及び他の方向を表す用語は、通常の意味に理解され、図面を普通に見たとき、それらの方向を指している。
【0010】
図1及び
図2は、例示的な位相調整装置100の斜視図である。位相調整装置100は、例示の目的として示され、本開示の主題である位相調整装置100の構造がここの図面に示された位相調整装置100の構造に限定されないことが理解されるであろう。
【0011】
図1に示すように、位相調整装置100は、第1フランジ104及び第2フランジ106を有するハウジング102を含む。第1フランジ104は、駆動ギヤ部材110を受取る第1開口108を有する。駆動ギヤ部材110は、第1フランジ104と第2フランジ106との間に配置された第1ギヤ112を有する。駆動ギヤ部材110は、第1ギヤ112から第1フランジ104の第1開口108を通って、駆動ギヤ部材110の全長にわたって延びる中空カムシャフト受部114を有する。
図1に示すように、駆動ギヤ部材110は、第1ギヤ112に対して第1フランジ104の反対側に配置された駆動軸結合スプロケット116を有する。駆動軸結合スプロケット116は、駆動軸又はクランクシャフト(図示せず)に設置されるスプロケットに噛合わされる駆動軸又はクランクシャフトチェーン(図示せず)を受取るように構成される。このような構成では、駆動軸の動作は、駆動ギヤ部材110に伝達され、具体的には、第1ギヤ112に伝達される。スプロケット及びチェーン以外の機構が駆動軸から駆動ギヤ部材110に動作を伝達するために用いられることを留意するべきである。例えば、ベルト駆動システムは、本開示に従って実施することができる。カムシャフト118は、通路120を通って駆動ギヤ部材110に挿入される。通路120は、駆動ギヤ部材110を貫通して延び、カムシャフト118が駆動ギヤ部材110を貫通して延びることができるようにする。駆動ギヤ部材110の通路120、カムシャフト118、第1開口108及びカムシャフト受部114のすべては、円形断面を有する。この構造は、カムシャフト118を駆動ギヤ部材110に対して自由に回転でき、また、駆動ギヤ部材110をハウジング102に対して自由に回転できるようにする。従って、カムシャフト118、駆動ギヤ部材110及びハウジング102のすべては、カムシャフト118の軸周りに互いに対して自由に回転する。
【0012】
図1及び
図3に示すように、第2ギヤ122、第3ギヤ124及び第4ギヤ126は、ハウジング102内に配置されている。第1ギヤ112の歯は、第2ギヤ122の歯に噛合わされている。第2ギヤ122及び第3ギヤ124は、軸128の縦軸B周りに回転し、軸128は、カムシャフト118の縦軸Aに平行である。軸128は、第1フランジ104に位置する第1軸開口132及び
図2に示すように第2フランジ106に位置する対応する第2軸開口134でハウジング102に固定される。従って、軸Bは、軸Aから一定の距離で保持される。第2ギヤ122及び第3ギヤ124は、ギヤ124からギヤ122の対応する凹部内に延びるピン144を用いて互いに固定され、この手段は、第2ギヤ122及び第3ギヤ124を同じ角速度で確実に回転させる。軸128は、第2ギヤ122及び第3ギヤ124が軸128の軸線B周りに自由に回転することができるならば、ハウジング102に回転可能又は回転不可能に固定されてもよい。このような一例では、軸128がハウジング102に対して回転することができないように、ハウジング102に固定され、さらに、
図3に示すように、第2ギヤ122及び第3ギヤ124は、互いに直接固定されて、第2ギヤ122及び第3ギヤ124が同じ角速度で軸128周りに回転する。
【0013】
従って、
図3に示す構成において、駆動軸(図示せず)及び駆動軸結合スプロケット116の両方に噛合う駆動軸チェーン(図示せず)によって駆動されるとき、駆動ギヤ部材110は、駆動軸の回転運動によって決まる回転速度でカムシャフト118及びハウジング102に対して回転する。駆動ギヤ部材110の回転運動は、第1ギヤ112を回転させる。第2ギヤ122の歯が第1ギヤ112の歯に噛合わされるので、第1ギヤ112は、回転運動を第2ギヤ122に伝える。第2ギヤ122及び第3ギヤ124は、同じ角速度で回転するように構成され、そのため、第2ギヤ122の回転速度は、第3ギヤ124に伝わる。第3ギヤ124の歯は、第4ギヤ126の歯に噛合わされ、そのため、回転運動を第4ギヤ126に伝える。第4ギヤ126は、カムシャフト118に結合されて、第4ギヤ126及びカムシャフト118が同じ角速度で回転する。従って、駆動軸チェーンによって駆動ギヤ部材110に導入された回転運動は、カムシャフト118に伝わる。添付された図面に示されたギヤは、非遊星平歯車である。しかしながら、他のギヤのタイプは、本開示に従って実装されてもよい。例えば、並列配置に配置されたはすば歯車を用いることができる。
【0014】
図3を参照して、本教示の一態様において、第1ギヤ112の半径R1は、第2ギヤ122の半径R2より小さく、
図3における半径は、特定のギヤの回転軸からギヤのピッチ円まで測定される。また、第2ギヤ122の半径R2は、第3ギヤ124の半径R3より大きい。第3ギヤ124の半径R3及び第4ギヤ126の半径R4は、同じである。本教示の他の態様において、ギヤは、様々なサイズで配置されている。例えば、第3ギヤ124の半径R3は、第4ギヤ126の半径R4より小さい又は大きくてもよい。他の例において、第1ギヤ112の半径R1は、第2ギア122の半径R2と同じかそれ以上でもよい。ギヤのサイズは、駆動軸によって与えられるトルクに対して増大又は減少するように、選択することができる。一般的な場合において、ギヤは、滑りがないと仮定して、駆動軸によって駆動軸結合スプロケット116にトルクTCの導入時に、カムシャフト118に伝えられるトルクTは、以下の関係によって与えられる。
T=(R2/R1)・(R4/R3)・TC
【0015】
図2を参照して、カムシャフト118は、第2フランジ106を通って、第2開口部136を通って延びている。第1開口部108と同様に、第2開口部136は、円形断面を有し、カムシャフト118をハウジング102に対して自由に回転できる。第2フランジ106のアーチ形のウィング部140に位置するラック138は、関連するピニオンギヤ(図示せず)をラック138の歯に噛合わせることができる。ラック138の歯に噛合わされるそのようなピニオンギヤを回転させることにより、ピニオンギヤは、位相調整装置100をカムシャフト118周りに回転させる。カムシャフト118に対して位相調整装置100を回転させるために他の機構を用いてもよい。本教示の他の態様においては、ヒンジ機構がウィング部140に配置され、アクチュエータとして機能する油圧ピストンに連結されて、位相調整装置100をカムシャフト118周りに回転させる。
【0016】
カムシャフト118の位相の変化は、位相調整装置100をカムシャフト118周りに回転させることにより、達成される。ハウジング102に回転可能に取付けられた駆動ギヤ部材110のポジション及び角速度は、駆動軸の運動によって決定され、駆動軸の運動は、駆動チェーンにより駆動ギヤ部材110に伝達される。この構成の他の特徴は、駆動ギヤ部材110及び第1ギヤ112のポジション及び角速度がカムシャフト118周りの位相調整装置100の回転とは独立していることである。従って、位相調整装置100が
図4に示すウィング部140の底縁部を基準にして測定された角度Φだけ反時計方向にカムシャフト118周りに回転することにより(駆動軸は静止して保持されている)、第1ギヤ112、すなわち、駆動ギヤ部材110が同じ角度Φだけ時計方向に回転するのと同様に(ハウジング102は静止して保持されている)、カムシャフト118を同じ回転量で回転させる。両方の場合において、回転運動は、第2ギヤ122に伝達され、上述した同じ機構によって、第3ギヤ124及び第4ギヤ126を介して最終的にカムシャフト118に伝達される。従って、本教示の一態様において、所望の方向に所望量だけハウジング102を回転させることにより、駆動軸の動きとは独立してカムシャフト118の位相を変化させることができる。
【0017】
図4を参照して、通常動作中に、駆動チェーンは、駆動ギヤ部材110を反時計方向に回転させて、その結果、第1ギヤ112も反時計方向に回転する。これは、第2ギヤ122に時計回りの運動を与える。第3ギヤ124は、第2ギヤ122と同じ角運動を有し、従って、時計回りに動く。第3ギヤ124は、第4ギヤ126に反時計回りの回転を与え、同様にカムシャフト118にも反時計回りの回転を与える。位相調整装置100を時計方向に回転することによって、例えば、回転運動は、第1ギヤ112によって第2ギヤ122に与えられる運動に加えて、第2ギヤ122に与えられる。カムシャフト118の縦軸A周りの位相調整装置100の時計回りの回転の結果は、駆動チェーンによってカムシャフト118に伝えた回転運動と、その後の駆動ギヤ部材110,第2ギヤ122、第3ギヤ124及び第4ギヤ126を介した運動の伝達とに加えて、カムシャフト118に更なる回転運動、すなわち、位相シフトを与える。
【0018】
図5は、
図1〜
図4に示される位相調整装置100の分解図を示す。
図5を参照して、第3ギヤ124は、組立て時に第2ギヤ122の中に挿入されるピン144を含み、これにより、組立てられると、第2ギヤ122と第3ギヤとは、確実に同じ角速度で回転する。駆動ギヤ部材110は、駆動軸結合スプロケット116及びカムシャフト受部114を含む第1部品と、第1ギヤ112を含む第2部品との2つの部品で示されている。この構成は、カムシャフト受部114を円形の第1開口108を通して挿入することができ、第1ギヤ112を第1フランジ104と第2フランジとの間で、カムシャフト受部114に固定することができる。六角接続部148は、第1ギヤ112の相補の六角穴149に挿入される。六角接続部148及び六角穴149は、確実な嵌め合いを与える大きさであり、これにより、駆動軸結合スプロケット116と第1ギヤ112とを確実に同じ角速度で回転させる。第4ギヤ126は、同じ方法でカムシャフト118に固定される。カムシャフト118の端部に配置される第2六角接続部146は、第4ギヤ126の第2六角穴147の中に挿入される。六角穴147は、確実な嵌め合いを与える大きさであり、これにより、第4ギヤ126をカムシャフト118と確実に同じ角速度で回転させる。
【0019】
図6及び
図7のそれぞれは、他の実施形態のカム位相調整装置600の斜視図及び断面図である。このカム位相調整装置600において、キャリア、すなわち、フレーム602は、カム位相調整装置600をカムシャフト606の縦軸A周りに回転させることができるピニオンギヤ(図示せず)の形式のアクチュエータに連結するように構成されるラック604を含む。
図7を参照して、駆動ギヤ部材608は、第1ギヤ610と、駆動チューン(図示せず)に係合するスプロケットの形式の駆動軸結合部612とを含む。駆動ギヤ部材608は、カムシャフト606及びフレーム602に対して自由に回転するように構成される。カムシャフト606は、駆動ギヤ部材608内の通路を通り、第1フレーム開口部616を通して延び、更に、駆動ギヤ部材608及びフレーム602に対して自由に回転する。第4ギヤ624は、組立てられるとき、第4ギヤ624に挿入されるピン631を有するナット629によってカムシャフト606に取付けられて、第4ギヤ624とカムシャフト606とが同じ角速度で回転する。
【0020】
続けて
図7を参照して、第1ギヤ610は、第2ギヤ620に噛合わされている。従って、第1ギヤ610は、第1ギヤ610が回転するとき、第2ギヤ620に回転運動を伝達する。第2ギヤ620及び第3ギヤ622は、軸B周りに回転し、この軸Bは、縦軸Aに平行、かつ、縦軸Aから一定の距離を置いて配置される。第2ギヤ620及び第3ギヤ622は、スリーブ640に固定され、このスリーブ640は、第2ギヤ620及び第3ギヤ622内に延びるピン642を有し、第2ギヤ620と第3ギヤ622とを確実に同じ角速度で軸B周りに回転させる。スリーブ640は、フレーム開口部632で自由に回転するように構成されている。第2ギヤ620及び第3ギヤ622は、スリーブ通路632及びナット630を貫通して延びるねじ付ボルト626でスリーブ640に固定される。第3ギヤ622は、第4ギヤ624に噛合わされ、これにより、第3ギヤ622は、回転運動を第4ギヤ624に伝達する。第4ギヤ624は、回転運動をカムシャフト606に伝達し、このカムシャフト606は、第4ギヤ624と同じ角速度で回転する。
【0021】
本開示の目的及び特定の定めのない限り、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、「一つ以上の(one ore more)」を意味する。「含む(includes)」又は「含んでいる(including)」の用語が明細書又は請求の範囲に用いられる範囲内において、請求の範囲に転換語として使用されるとき、用語が解釈されるように、用語「含む(comprising)」と似たように含むことを意図している。更に、用語「又は(or)」が使用される範囲内において(例えば、A又はB)、「A若しくはB又は両方」を意味することを意図している。出願人が「A又はBのみで両方でない」を示す意図があるとき、「A又はBのみで両方でない」の用語が使用される。従って、本明細書の用語「又は(or)」の使用は、包括的であり、排他的使用でない。ブライアン エー.ガーナーによる現代の法的用法624(第二編(2d.Ed.)、1995)の辞書を参照する。また、「内に(in)」又は「の中に(into)」が明細書又は請求の範囲に用いられる範囲内において、さらに、「上に(on)」又は「上に(onto)」を意味することを意図している。更に、「接続」の用語が明細書又は請求の範囲に用いられる範囲内において、それは、「直接接続」だけでなく、他の部品又は複数の部品を介して接続されるような「間接接続」を意味することを意図している。
【0022】
本開示は、様々な実施形態を示しながら、これら実施形態を多少詳細に述べているが、そのような詳細に請求項に係る発明の範囲を制限又は何らか限定することが出願人の目的でない。更なる利点及び改良は、当業者に容易に明らかになるであろう。従って、本発明は、広い態様において、図示及び記載された特定の詳細及び実施例に限定されない。従って、本出願人の請求項に係る発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱することなく、そのような詳細から発展が可能である。更に、上記実施形態は、例示であり、単一の特徴又は要素は、本願又は後の出願の請求項となり得る可能なすべての組合せに不可欠ではない。