(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141344
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】エレベータ薄型機器搬出入装置およびエレベータ薄型機器搬出入方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
B66B7/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-43532(P2015-43532)
(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-160091(P2016-160091A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(72)【発明者】
【氏名】山岸 健一
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−199649(JP,A)
【文献】
特開2006−067856(JP,A)
【文献】
実開平04−069380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00− 7/12
B62B 5/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に設置されるエレベータ薄型機器を前記昇降路に対して搬出入する際に用いられるエレベータ薄型機器搬出入装置であって、
前記エレベータ薄型機器が載せられる荷台と、前記荷台の移動方向中間部に設けられ、前記荷台を支持する第1ローラと、前記第1ローラから移動方向について離れるように前記荷台に設けられ、前記荷台を支持する第2ローラとを有する台車を備え、
前記台車は、前記台車が乗場に配置された状態で前記荷台における移動方向先端部が前記昇降路内に配置されることを特徴とするエレベータ薄型機器搬出入装置。
【請求項2】
前記台車は、前記第1ローラを移動方向について挟むように前記荷台に設けられた一対の前記第2ローラを有しており、
前記第1ローラにおける直径の寸法は、前記第2ローラにおける直径の寸法よりも大きく、
前記第1ローラの下端部は、一対の前記第2ローラのそれぞれの下端部を結ぶ直線よりも下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ薄型機器搬出入装置。
【請求項3】
乗場三方枠における一対の縦枠に渡るように前記乗場に設けられ、前記第1ローラが当たることによって、前記第1ローラが前記乗場から前記昇降路に向かって移動することを規制するストッパをさらに備え、
前記第1ローラが前記ストッパによって前記乗場から前記昇降路に向かって移動することが規制されている場合に、前記荷台における先端部が前記昇降路内に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ薄型機器搬出入装置。
【請求項4】
前記荷台に設けられ、前記第1ローラが前記ストッパによって前記乗場から前記昇降路に向かって移動することが規制されている場合に、乗場敷居に形成された敷居溝に係合される係合部材をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載のエレベータ薄型機器搬出入装置。
【請求項5】
荷台と、前記荷台の移動方向中間部に設けられ、前記荷台を支持する第1ローラと、前記荷台の下方であって、前記第1ローラから移動方向について離れるように前記荷台に設けられ、前記荷台を支持する第2ローラとを有する台車を備えたエレベータ薄型機器搬出入装置を用いて、昇降路内に設置されるエレベータ薄型機器を前記昇降路に対して搬出入するエレベータ薄型機器搬出入方法であって、
前記エレベータ薄型機器を前記荷台に載せるエレベータ薄型機器荷台載置工程と、
前記エレベータ薄型機器荷台載置工程の後、前記荷台における移動方向先端部が前記昇降路内に配置されるように、前記台車を乗場に配置する先端部昇降路内配置工程と
備えたことを特徴とするエレベータ薄型機器搬出入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータ薄型機器を昇降路に対して搬出入する際に用いられるエレベータ薄型機器搬出入装置およびエレベータ薄型機器を昇降路に対して搬出入するエレベータ薄型機器搬出入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型巻上機を昇降路に対して搬出入する際に用いられる薄型巻上機搬出入装置として、薄型巻上機が載せられる荷台と、荷台の移動方向両端部に設けられ、荷台を支持する複数のローラとを備えた台車が知られている。薄型巻上機が荷台に載せられた状態で台車を乗場出入口まで移動させることによって、薄型巻上機が乗場出入口まで移動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−312961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、薄型巻上機を昇降路に対して搬入する場合には、薄型巻上機が乗場出入口に配置された状態で、昇降路に設置された揚重装置を用いて薄型巻上機を吊り上げるので、揚重装置の設置位置が十分に高くない場合には、揚重装置の吊角度が大きくなってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、揚重装置の吊角度をより小さくすることができるエレベータ薄型機器搬出入装置およびエレベータ薄型機器搬出入方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ釣合重り搬出入装置は、昇降路内に設置されるエレベータ薄型機器を昇降路に対して搬出入する際に用いられるエレベータ薄型機器搬出入装置であって、エレベータ薄型機器が載せられる荷台と、荷台の移動方向中間部に設けられ、荷台を支持する第1ローラと、第1ローラから移動方向について離れるように荷台に設けられ、荷台を支持する第2ローラとを有する台車を備え
、台車は、台車が乗場に配置された状態で荷台における移動方向先端部が昇降路内に配置される。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータ薄型機器搬出入装置によれば、荷台における移動方向先端部を昇降路内に配置することができるので、エレベータ薄型機器の一部を昇降路内に配置した状態で、昇降路に設置された揚重装置を用いてエレベータ薄型機器を吊り上げることができる。その結果、揚重装置の吊角度をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ薄型機器搬出入装置を示す側面図である。
【
図2】
図1のII−II線に沿った矢視断面図である。
【
図3】
図1のエレベータ薄型機器搬出入装置を示す平面図である。
【
図4】
図3のストッパおよび固定部材を示す側面図である。
【
図5】
図1のエレベータ薄型機器搬出入装置を用いて薄型巻上機を昇降路に搬出入する手順を示す図である。
【
図6】この発明の実施の形態2に係るエレベータ薄型機器搬出入装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ薄型機器搬出入装置を示す側面図、
図2は
図1のII−II線に沿った矢視断面図、
図3は
図1のエレベータ薄型機器搬出入装置を示す平面図である。図において、エレベータ薄型機器搬出入装置は、薄型巻上機(エレベータ薄型機器)100が載せられる荷台11と、荷台11の移動方向中間部に設けられ、荷台11を支持する大径ローラ(第1ローラ)12と、大径ローラ12を移動方向について挟むように荷台11に設けられ、荷台11を支持する一対の小径ローラ(第2ローラ)13とを有する台車1を備えている。薄型巻上機100は、幅方向一端部が幅方向他端部よりも下方に位置するように、荷台11に支持される。
【0010】
大径ローラ12における直径の寸法は、小径ローラ13における直径の寸法よりも大きい。大径ローラ12の下端部は、一対の小径ローラ13のそれぞれの下端部を結ぶ直線よりも下方に配置される。したがって、台車1が乗場101を移動する場合には、荷台11の移動方向先端部側に配置された小径ローラ13と大径ローラ12とが乗場101を転動する状態または荷台11の移動方向基端部側に配置された小径ローラ13と大径ローラ12とが乗場101を転動する状態となる。
【0011】
この例では、荷台11の移動方向先端部側に配置された小径ローラ13を前輪小径ローラ131とし、荷台11の移動方向基端部側に配置された小径ローラ13を後輪小径ローラ132とする。また、この例では、前輪小径ローラ131と大径ローラ12とが乗場101を転動する場合の荷台11の位置を後輪浮遊位置とし、後輪小径ローラ132と大径ローラ12とが乗場101を転動する場合の荷台11の位置を前輪浮遊位置とする。
【0012】
また、この例では、荷台11の移動方向とは、荷台11が乗場101から昇降路102に向かう場合における荷台11の移動方向であり、
図1の矢印Aの方向である。また、荷台11の移動方向先端部とは、荷台11が乗場101から昇降路102に向かう場合における荷台11の前側部分であり、荷台11の移動方向基端部とは、荷台11が乗場101から昇降路102に向かう場合における荷台11の後側部分である。
【0013】
また、エレベータ薄型機器搬出入装置は、乗場三方枠103における一対の縦枠104に渡るように乗場101に設けられるストッパ2と、乗場101に設けられ、荷台11を支持する固定部材3と、荷台11に設けられ、荷台11に載せられた薄型巻上機100を荷台11に固定するバンド部材4とをさらに備えている。
【0014】
図4は
図3のストッパ2および固定部材3を示す側面図である。ストッパ2は、縦枠104よりも昇降路102から離れた位置で、一対の縦枠104に渡って設けられている。したがって、ストッパ2は、縦枠104よりも昇降路102側に移動することが規制される。ストッパ2は、大径ローラ12が当たることによって、大径ローラ12が乗場101から昇降路102に向かって移動することを規制する。つまり、大径ローラ12が昇降路102に進入することが防止される。
【0015】
固定部材3は、乗場出入口に配置された乗場敷居105に載せられている。固定部材3は、前輪浮遊位置にある荷台11における大径ローラ12と前輪小径ローラ131との間の部分を支持する。固定部材3が荷台11を支持することによって、荷台11の位置が前輪浮遊位置に維持される。
【0016】
次に、エレベータ薄型機器搬出入装置を用いて薄型巻上機100を昇降路102に対して搬出入する手順について説明する。
図5は
図1のエレベータ薄型機器搬出入装置を用いて薄型巻上機100を昇降路102に搬出入する手順を示す図である。まず、薄型巻上機100を荷台11に載せ、バンド部材4を用いて薄型巻上機100を荷台11に固定する(薄型巻上機載置工程)。
【0017】
その後、荷台11の位置を前輪浮遊位置にした状態で、台車1を乗場101まで移動させる。
【0018】
その後、昇降路102から乗場101に向かう方向について縦枠104に隣り合うようにストッパ2を乗場101に設置し(ストッパ設置工程)、大径ローラ12がストッパ2に当たるまで台車1を昇降路102に向かって移動させる(台車進入工程)。これにより、荷台11の移動方向先端部が昇降路102の内側に配置される。
【0019】
その後、昇降路102に設置された揚重装置のワイヤ(長尺物)106を薄型巻上機100に接続させ、揚重装置を駆動させて、ワイヤ106が巻き上げられることによって、薄型巻上機100を吊り上げる。吊り上げられた薄型巻上機100は、昇降路102における所定の位置で固定される。以上により、薄型巻上機100の昇降路102への搬入が終了する。
【0020】
薄型巻上機100を昇降路102から搬出する場合は、薄型巻上機100の昇降路102への搬入と逆の工程を行う。
【0021】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ薄型機器搬出入装置によれば、薄型巻上機100が載せられる荷台11と、荷台11の移動方向中間部に設けられ、荷台11を支持する大径ローラ12と、大径ローラ12を移動方向について挟むように荷台11に設けられ、荷台11を支持する一対の小径ローラ13とを有する台車1を備え、大径ローラ12における直径の寸法は、小径ローラ13における直径の寸法よりも大きく、大径ローラ12の下端部は、一対の小径ローラ13のそれぞれの下端部を結ぶ直線よりも下方に配置されるので、荷台11における移動方向先端部を昇降路102内に配置することができる。これにより、薄型巻上機100の一部を昇降路102内に配置した状態で、昇降路102に設置された揚重装置を用いて薄型巻上機100を吊り上げることができる。その結果、揚重装置の吊角度θをより小さくすることができる。
【0022】
また、このエレベータ薄型機器搬出入装置は、乗場三方枠103における一対の縦枠104に渡るように乗場101に設けられ、大径ローラ12が当たることによって、大径ローラ12が乗場101から昇降路102に向かって移動することを規制するストッパ2を備え、大径ローラ12がストッパ2によって乗場101から昇降路102に向かって移動することが規制されている場合に、荷台11における移動方向先端部が昇降路102内に配置されるので、大径ローラ12が昇降路102の内側に進入することを防止することができる。
【0023】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ薄型機器搬出入方法によれば、薄型巻上機100を荷台11に載せるエレベータ薄型機器荷台載置工程と、エレベータ薄型機器荷台載置工程の後、荷台11における移動方向先端部が昇降路102内に配置されるように、台車1を乗場101に配置する先端部昇降路内配置工程と備えているので、荷台11における移動方向先端部を昇降路102内に配置することができる。これにより、薄型巻上機100の一部を昇降路102内に配置した状態で、昇降路102に設置された揚重装置を用いて薄型巻上機100を吊り上げることができる。その結果、揚重装置の吊角度θをより小さくすることができる。
【0024】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ薄型機器搬出入装置を示す側面図である。固定部材3の上端部は、荷台11に取り付けられている。固定部材3は、固定部材本体31と、固定部材本体31の下端部に設けられた係合部材32を有している。
【0025】
固定部材本体31は、上下方向に伸縮可能となっている。つまり、固定部材本体31は、下端部が乗場敷居105に接触する接触位置と、下端部が乗場敷居105よりも上方に位置する解除位置との間で変位する。固定部材本体31は、上下方向の寸法が調整された後、ボルト等の締結部材を用いて、上下方向の寸法が維持される。台車1を移動させる場合には、固定部材本体31の位置を解除位置にする。また、大径ローラ12がストッパ2によって乗場101から昇降路102に向かって移動することが規制されている場合に、固定部材本体31の位置を接触位置にする。
【0026】
係合部材32は、大径ローラ12がストッパ2によって乗場101から昇降路102に向かって移動することが規制されている場合に、固定部材本体31の位置を接触位置にすることによって、乗場敷居105に形成された敷居溝に係合される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0027】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ薄型機器搬出入装置によれば、荷台11に設けられ、大径ローラ12がストッパ2によって乗場101から昇降路102に向かって移動することが規制されている場合に、乗場敷居105に形成された敷居溝に係合される係合部材32を備えているので、大径ローラ12がストッパ2によって乗場101から昇降路102に向かって移動することが規制されている場合に、荷台11が昇降路102から離れる方向に移動することを規制することができる。
【0028】
なお、上記実施の形態2では、固定部材3が係合部材32を有する構成について説明したが、固定部材3とは別体の固定部材をエレベータ薄型機器搬出入装置が備えた構成であってもよい。
【0029】
また、各上記実施の形態では、エレベータ薄型機器として、薄型巻上機100を例に説明したが、これに限らず、例えば、かご床またはエレベータ制御盤であってもよい。
【0030】
また、各上記実施の形態では、大径ローラ12と、一対の小径ローラ13とを備えた台車1の構成について説明したが、大径ローラ12と、大径ローラ12から移動方向について離れるように設けられた1つの小径ローラ13とを備えた台車1であってもよい。この場合であっても、小径ローラ13が大径ローラ12よりも移動方向後方に配置されることにより、荷台11における移動方向先端部を昇降路102内に配置することができる。なお、この場合、第1ローラにおける直径の寸法は、第2ローラにおける直径の寸法よりも大きくなくてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 台車、2 ストッパ、3 固定部材、4 バンド部材、11 荷台、12 大径ローラ(第1ローラ)、13 小径ローラ(第2ローラ)、31 固定部材本体、32 係合部材、100 薄型巻上機(エレベータ薄型機器)、101 乗場、102 昇降路、103 乗場三方枠、104 縦枠、105 乗場敷居、106 ワイヤ、131 前輪小径ローラ、132 後輪小径ローラ。