(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。
【0008】
図1は、実施形態に係る注文処理システム100の構成を示すシステム構成図である。この注文処理システム100は、飲食店や販売店などのような顧客の注文に応じて飲食サービスや商品販売サービスを提供する様々な施設で利用可能である。ただし以下においては、飲食店での利用に適応するものとして構成された注文処理システム100について説明することとする。
【0009】
注文処理システム100は、複数の情報端末1、複数のオーダー端末2、複数の伝票プリンタ3およびステーション4をLAN(Local Area Network)5にそれぞれ接続している。ただし、オーダー端末2は、無線アクセスポイント6を介してLAN5に接続される。情報端末1、オーダー端末2および伝票プリンタ3は、
図1では2つずつを図示しているが、その数はそれぞれに任意である。情報端末1、オーダー端末2および伝票プリンタ3は、1つのみが設けられても良い。
【0010】
情報端末1は、PC(Personal Computer)やPOS(Point of Sales)端末などであり、例えば接客フロアやチェックアウトカウンタに設置される。情報端末1は、顧客に対する案内業務、受注業務、給仕(配膳)業務、あるいは会計業務など各種の業務に関する処理を行う。そして、接客フロアに設置された情報端末1においては、案内業務、受注業務および給仕(配膳)業務に関する処理が主として利用される。また、チェックアウトカウンタに設置された情報端末1においては、さらに会計業務に関する処理が利用される。なお、情報端末1は、上記の業務の一部のみに関する処理を行うことにより、特定の用途に特化したものとしても良い。
【0011】
オーダー端末2は、操作キーが複数配列されたユーザインタフェースを備え、このユーザインタフェースを介したユーザ操作によって注文に係る注文情報の入力を受け付ける注文入力装置として機能する。オーダー端末2は、入力した操作に従って注文情報を生成し、この注文情報を無線送信する。オーダー端末2から無線送信された注文情報は、無線アクセスポイント6およびLAN5を介してステーション4に伝送される。
【0012】
ステーション4は、例えばバックヤードに設置され、情報端末1から送信された各種の情報(注文情報や、注文情報にかかる会計情報など)を集計処理し、飲食店の営業に関わる管理業務に関する処理を行う管理装置として機能する。また、ステーション4は、複数の情報端末1で共通に利用される情報の管理処理も行う。
【0013】
伝票プリンタ3は、例えば接客フロアやキッチンに設置される。接客フロアに設置された伝票プリンタ3は、注文情報に基づく注文伝票を顧客のために印刷する。すなわち、接客フロアに設置された伝票プリンタ3は、いわゆるカスタマープリンタとして利用される。またキッチンに設置された伝票プリンタ3は、注文情報に基づく調理指示伝票を調理人のために印刷する。すなわち、キッチンに設置された伝票プリンタ3は、いわゆるキッチンプリンタとして利用される。
【0014】
概略的には、注文処理システム100においては、情報端末1やオーダー端末2でオーダー入力のための操作をユーザが行うと、その操作に応じて情報端末1やオーダー端末2で生成された注文情報がLAN5を介してステーション4に伝送される。ステーション4は、到来した注文情報を、会計処理や集計処理などのために管理する。またステーション4は、LAN5を介して伝票プリンタ3へと注文情報を送信する。伝票プリンタ3は、到来した注文情報に応じた内容の調理指示伝票や注文伝票を印刷する。
【0015】
次に、オーダー端末2について説明する。ここで、
図2はオーダー端末2の外観を示す平面図、
図3はオーダー端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0016】
オーダー端末2は、携帯型の本体として、
図2で左側に配置される第1の部材21と、
図2で右側に配置される第2の部材22とを備える。第1の部材21および第2の部材22は、いずれも略直方体状をなしている。第2の部材22は、ヒンジ等の止め具23を介して第1の部材21に回動自在に連結されている。この止め具23により、第2の部材22は、第1の部材21に対して第2の部材22を開いた状態(
図2)と閉じた状態(不図示)との間で開閉動作する。
【0017】
第1の部材21は、第2の部材22を第1の部材21に対して開いたときに外側に露出される面21Aに、表示操作部であるタッチパネル24を配置している。また、
図2で左側の側面21Bにサイドキー25を設けている。第2の部材22は、この第2の部材22を第1の部材21に対して開いたときに外側に露出される面22Aに、メンブレン方式のキーボード26を配置している。
【0018】
タッチパネル24は、表示部である液晶ディスプレイ(以下、ディスプレイと略す)241の画面上に操作部であるタッチパネルセンサ242を重ねて配置してなり、表示入力部24Aとテンキー部24Bとに区分されている。表示入力部24Aには、後述する画面データが表示される。テンキー部24Bには、「0」〜「9」のテンキーの他、「戻る」キー、「C」のクリアキー、「更新」キー、「△」および「▽」の上下キー、「・」の小数点キーが配置される。
【0019】
メンブレン方式のキーボード26には、文字や輪郭が表面にマトリクス状に印刷された複数の固定キーが配置されている。メンブレン方式のキーボード26は、他の種類のキーボードと比較して泥や液体等の汚れに強いという特徴を有している。各固定キーには、それぞれ注文業務を支援するための機能が割り付けられている。
【0020】
また、本実施形態のオーダー端末2のキーボード26には、後述するテーブル決済処理において会計情報の呼び出しを宣言する支払キー26a、後述するテーブル決済処理の決済を宣言するテーブル決済キー26bも割り付けられている。
【0021】
オーダー端末2は、第1の部材21または第2の部材22のいずれか一方に、制御ボード30を内蔵している。制御ボード30には、
図3に示すように、マイクロコンピュータ39が備えられており、このマイクロコンピュータ39が各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ39は、
図3に示すように、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)31に、アドレスバス,データバス等のバスライン38を介してROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33とが接続されて構成されている。このようなマイクロコンピュータ39には、時計部34、無線部35、キーコントローラ36、タッチパネルコントローラ37、近距離無線通信部40及びサウンドコントローラ41がバスライン38を介して接続されている。
【0022】
ROM32は、電源を切っても記憶情報が保持される不揮発性メモリであって、制御プログラム321を含むプログラムやメニュー品目の設定データやメニュー品目の品切れデータなどのメニューデータ等の固定的データを記憶する記憶部として機能する。
【0023】
RAM33は、ディスプレイ241に表示させる画面データやステーション4に送信するデータ等の可変的データを記憶する。時計部34は、現在の日付および時刻を計時する。
【0024】
無線部35は、無線アクセスポイント6との間でデータの送受信を制御する無線通信部であって、例えばIEEE 802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。
【0025】
キーコントローラ36は、サイドキー25およびキーボード26の各固定キーを監視し、キー入力の有無を判別する。タッチパネルコントローラ37は、タッチパネル24のディスプレイ241に表示される画面を制御する。また、タッチパネルコントローラ37は、タッチパネルセンサ242の信号により画面上のタッチ位置を示す二次元座標を検出する。
【0026】
近距離無線通信部40は、NFC(Near Field Communication)として知られるものであって、数センチ程度〜ゼロセンチの近距離での小電力無線通信技術により、例えばICカードXと無線通信を行うためのインタフェースである。なお、ICカードXは、半導体メモリなどの記憶装置を含む集積回路(IC)が組み込まれているとともに、近距離における無線通信機能を有する周知の媒体である。
【0027】
ICカードXは、例えば電子マネーなどの電子決済サービスに対応したカードである。
【0028】
サウンドコントローラ41は、音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ42に出力する。
【0029】
続いて、オーダー端末2のマイクロコンピュータ39(CPU31)が制御プログラム321に従って実行する各種の処理のうち、オーダー端末2のテーブル決済処理について説明する。
【0030】
ここで、
図4はオーダー端末2のマイクロコンピュータ39(CPU31)が発揮するテーブル決済処理にかかる機能を示すブロック図である。
図4に示すように、オーダー端末2のCPU31は制御プログラム321に従って動作することによって、会計情報呼出手段311と、決済宣言手段312と、決済手段313と、更新手段314と、として機能する。
【0031】
会計情報呼出手段311は、注文情報にかかる会計情報を管理装置であるステーション4から呼び出す。決済宣言手段312は、会計情報についての決済を宣言する。
【0032】
決済手段313は、決済宣言手段312によって決済が宣言された会計情報に対する決済処理を、近距離無線通信部40によって通信が確立しているICカードXとの間における電子決済によって実行する。
【0033】
更新手段314は、決済手段313による決済にかかる情報をステーション4に通知して会計情報を精算済みに更新させる。
【0034】
次いで、オーダー端末2のテーブル決済処理の流れについて、
図5のフローチャートおよび
図6の画面遷移例を参照して説明する。
【0035】
図5のフローチャートに示すように、オーダー端末2のCPU31(会計情報呼出手段311)は、
図6(a)に示す座席情報画面Aをオーダー端末2のディスプレイ241の表示入力部24Aに表示した状態で、会計情報の呼び出し操作に待機する(ステップS1)。ここで、座席情報画面Aは、飲食テーブルに居ながら会計処理を実行するテーブル決済を希望する顧客のテーブルナンバーを選択するための画面である。
【0036】
オーダー端末2のCPU31(会計情報呼出手段311)は、ホールスタッフが座席情報画面Aでテーブル決済する該当のテーブルナンバーをタッチし、オーダー端末2のキーボード26の支払キー26aを操作した場合、会計情報の呼び出し操作があったと判断し(ステップS1のYes)、ステーション4に問合せを行い、明細及び支払い金額を含む会計情報を取得する(ステップS2)。
【0037】
次いで、オーダー端末2のCPU31(会計情報呼出手段311)は、ステップS2で取得した会計情報に基づいて
図6(b)に示すような会計情報画面Bをディスプレイ241の表示入力部24Aに表示する(ステップS3)。
図6(b)に示す会計情報画面Bは、テーブル番号A−004の会計情報(明細及び支払い金額)を表示した例である。
【0038】
なお、本実施形態においてはテーブル決済を希望する顧客の会計情報をテーブルナンバーで選択するようにしたが、これに限るものではなく、伝票ナンバーでの選択でも良い。
【0039】
以上のようにして取得した会計情報画面Bの会計情報は、ホールスタッフによって確認を受ける。そして、ホールスタッフは、会計情報画面Bの会計情報の確認が終了すると、オーダー端末2のキーボード26のテーブル決済キー26bを操作する。
【0040】
次いで、
図5のフローチャートに示すように、オーダー端末2のCPU31(決済宣言手段312)は、ホールスタッフによるオーダー端末2のキーボード26のテーブル決済キー26bの操作によってテーブル決済が指示されたと判断すると(ステップS4のYes)、
図6(c)に示すタッチ待ち画面Cをオーダー端末2のディスプレイ241の表示入力部24Aに表示する(ステップS5)。
【0041】
図6(c)に示すタッチ待ち画面Cには、「お客様のカードにタッチしてください」というメッセージM1が表示される。これにより、操作者であるホールスタッフに対して決済の対象となる電子マネーなどの電子決済サービスに対応したICカードXとの間での通信確立を促す。
【0042】
このようにタッチ待ち画面Cが表示されている状態で、オーダー端末2がICカードXに近づけられると、
図5のフローチャートに示すように、オーダー端末2のCPU31(決済手段313)は、近距離無線通信部40とICカードXとの間で通信が確立したと判断すると(ステップS6のYes)、決済処理を実行し(ステップS7)、
図6(d)に示す決済完了画面Dをオーダー端末2のディスプレイ241の表示入力部24Aに表示するとともに(ステップS8)、メッセージ表示以外の別の報知手段によって決済が完了した旨を報知する(ステップS9)。
【0043】
図6(d)に示すように、決済完了画面Dには、「決済は完了しました」というメッセージM2が表示される。これにより、テーブル決済を希望した顧客およびホールスタッフに対してICカードXで電子決済サービスを利用した決済が完了したことを知らせることができる。
【0044】
報知手段の例としては、予め「決済完了した旨」のオーディオデータを用意しておき、サウンドコントローラ41からスピーカ42に出力するようにする。なお、これに限るものではなく、LEDの発光によるメッセージ情報を受信した旨の報知、バイブレータの振動によるメッセージ情報を受信した旨の報知などであっても良い。
【0045】
次いで、
図5のフローチャートに示すように、オーダー端末2のCPU31(更新手段314)は、支払い情報をステーション4に通知する(ステップS10)。
【0046】
ステーション4は、通知された支払い情報に基づいて会計情報を精算済みに更新し、カスタマープリンタとして利用される伝票プリンタ3よりPOS会計用伝票を発行する。
【0047】
ここで、
図7はPOS会計用伝票Vの一例を示す平面図である。
図7に示すように、POS会計用伝票Vは、伝票ナンバーやテーブルナンバーなどとともに、テーブル決済された会計情報に含まれるメニュー品目毎の価格、および当該メニュー品目毎の価格の合計を記載している。また、POS会計用伝票Vは、合計行の下に、電子マネーでテーブル決済が済んでいる旨を示す“テーブル支払い 電子マネー”行を記載している。さらに、POS会計用伝票Vは、透かし印字で「領収済」を印字している。さらにまた、POS会計用伝票Vは、伝票呼び出し用のバーコードBCも記載している。伝票呼び出し用のバーコードBCは、例えば伝票ナンバーであり、精算時にスキャニングされることにより、ステーション4に記憶されている会計情報の確認に用いられる。
【0048】
ホールスタッフは、このようにして発行されたPOS会計用伝票Vを、テーブル決済を行った顧客に手渡す。そして、顧客は、手渡されたPOS会計用伝票Vをチェックアウトカウンタに持って行く。チェックアウトカウンタにおいては、会計担当の店員が、情報端末1のスキャナ(図示せず)を介してPOS会計用伝票Vの伝票呼び出し用のバーコードBCをスキャニングして読み取る。
【0049】
情報端末1は、読み取ったバーコードデータ(例えば伝票ナンバー)をステーション4に送信し、ステーション4に記憶されている会計情報の確認を行う。上述したようにテーブル決済されていて会計情報が精算済みに更新されている場合、会計情報および精算済みである旨がステーション4から情報端末1に通知される。情報端末1は、会計情報および精算済みである旨の通知をステーション4から受信すると、会計情報に従って
図8に示すような会計レシートRを出力して、会計処理を終了する。
図8に示すように、会計レシートRは、合計行の下に、電子マネーで支払った旨を示す“電子マネー払い”行を記載している。
【0050】
なお、予め小型の携帯プリンタ(図示せず)をホールスタッフに携帯させておき、本実施形態のように伝票プリンタ3よりPOS会計用伝票Vを発行せずに、情報端末1で会計処理したものとして、支払い情報が通知されたステーション4から携帯プリンタに対して会計レシートRを発行させる信号を出力するようにしても良い。
【0051】
このように、本実施形態のオーダー端末2によれば、注文情報にかかる会計情報をステーション4から呼び出し、当該会計情報に対する決済処理を、近距離無線通信部40によって通信が確立している電子マネーなどの電子決済サービスに対応したICカードXとの間における電子決済によって実行し、決済にかかる情報をステーション4に通知して会計情報を精算済みに更新させる。これにより、オーダー端末2を用いることで、飲食テーブルに居ながら飲食後の会計業務の実行が可能になる。
【0052】
本実施形態のオーダー端末2で実行される制御プログラム321は、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0053】
さらに、本実施形態のオーダー端末2で実行される制御プログラム321を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のオーダー端末2で実行される制御プログラム321をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。