(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141446
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ユーティリティメータ用の近距離無線通信
(51)【国際特許分類】
H04B 1/59 20060101AFI20170529BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20170529BHJP
H04W 4/04 20090101ALI20170529BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20170529BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
H04B1/59
H04W84/10 110
H04W4/04 190
G06K19/07 170
G06K19/07 230
G08C15/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-547939(P2015-547939)
(86)(22)【出願日】2013年11月4日
(65)【公表番号】特表2016-508310(P2016-508310A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】US2013068227
(87)【国際公開番号】WO2014099147
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】13/717,537
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316013666
【氏名又は名称】アイトロン グローバル エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ポーパ
(72)【発明者】
【氏名】ディア サレーム
(72)【発明者】
【氏名】ウラディーミル ボリソフ
【審査官】
佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−363949(JP,A)
【文献】
特開2010−130311(JP,A)
【文献】
特開2012−178154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/59
G06K 19/07
G08C 15/00
H04W 4/04
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーティリティメータであって、
プロセッサと、
前記プロセッサと通信するメモリ装置と、
NFC(近距離無線通信)を使用して通信するためのタグ装置と
を備え、
前記プロセッサのオペレーションは、前記タグ装置に、
前記NFCを介する送信のためのデータを取得するために前記メモリ装置から読み出し、
前記NFCを介して取得されたデータを前記メモリ装置へ書き込む
ように動作させ、
前記ユーティリティメータ上で実行されるアプリケーションは、最大でも、任意のソフトウェアまたは任意のファームウェア層によって規定される最小サイズのパケットサイズに制限される、ことを特徴とするユーティリティメータ。
【請求項2】
電流と電力消費量のうちの少なくとも1つを測定するための計測回路をさらに備え、
前記タグ装置はアクティブであり、および、前記ユーティリティメータはターゲット装置の役割をしていることを特徴とする請求項1に記載のユーティリティメータ。
【請求項3】
前記メモリ装置に記憶されおよび前記プロセッサによって実行可能である計量アプリケーションをさらに備え、
前記計量アプリケーションは、TCP/UDP(伝送制御プロトコル/ユーザデータグラムプロトコル)の上位で動作可能であり、
前記TCP/UDPは、IPv6(インターネットプロトコルバージョン6)の上位で実行し、
前記IPv6は、6LoWPAN(低消費電力ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク)の上位で実行し、
前記6LoWPANは、NFCIP(近距離無線通信インターネットプロトコル)の上位で実行し、前記6LoWPANは、前記IPv6と前記NFCIPとの間のパケットサイズにおける差異を調整することを特徴とする請求項1に記載のユーティリティメータ。
【請求項4】
前記NFCを使用する通信は、
NFCIP(近距離無線通信インターネットプロトコル)層を利用して、NFCを介することによる送信のためのデータをフォーマットするステップと、
NFCIPリンク層アドレスにおけるいくつかのオクテットをゼロに設定するステップと、
前記NFCIPリンク層アドレスにおける残りのオクテットを無作為に生成された値に設定するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載のユーティリティメータ。
【請求項5】
前記NFCを使用する通信は、
NFCIPリンク層アドレスを6LoWPAN層に提示するステップと、
前記アドレスからいくつかのオクテットのゼロを省くステップであって、前記省かれるゼロの数は前記アドレスの長さに基づいている、ステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載のユーティリティメータ。
【請求項6】
メータのブロックであって、
複数のユーティリティメータであって、前記ブロック内の各ユーティリティメータは、
請求項1に記載の前記ユーティリティメータを備え、および
前記プロセッサと通信する計測回路を備える
複数のユーリティリティメータと、
前記複数のユーティリティメータの各々に関連付けられた仮想メータを保持するための、前記複数のユーリティリティメータの各々とNFCで通信する主要ユーティリティメータであって、各仮想メータは、前記NFC上で前記複数のユーティリティメータのうちの1つから取得された計測情報を含む、主要ユーティリティメータと
を備えたことを特徴とするメータのブロック。
【請求項7】
イニシエータからNFC(近距離無線通信)を実行する方法であって、
RFフィールドをアクティブにするステップと、
NFCプロトコルをアクティブにするステップと、
前記NFCプロトコルおよび前記RFフィールドを使用して要求を送信するステップと、
前記要求に関連付けられたアドレスにおけるゼロを省くステップと、
前記要求をIPv6(インターネットプロトコルバージョン6)層に渡すステップと、
前記IPv6層と通信しているアプリケーションから前記要求に対する応答を受信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記要求を送信するステップは、
前記要求に応答して送信されるパケットを255オクテット以下に制限するためにアプリケーションを制約することと、
前記要求に応答して送信される前記応答におけるパケットを255オクテット以下に分割または圧縮することと
を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記イニシエータに応答して、計量装置におけるアクティブモードをアクティブにするステップと、
データパケットの衝突に応答して、前記イニシエータからポーリングを送信するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年12月17日出願の「米国特許出願第13/717,537号」の優先権を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0002】
ユーティリティ産業で使用されるユーティリティメータ(例えば、電気、水道、またはガスを計測する、家庭用および企業用メータ)においては、データをメータに転送し、メータから転送するために、様々なシステムおよび方法を利用することができる。ユーティリティメータと通信する一般的なシステムの1つに、光ポートの使用が挙げられる。しかし、光ポートを介したデータ転送速度には限界がある。さらに、光ポートを使用すると、ユーティリティの作業員が接続および切断を繰り返し行う必要がある。水道および天然ガスのメータは、バッテリ駆動である傾向が強いので、さらに設計上の制約がある。従って、ユーティリティメータとの通信は容易ではない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
添付図面を参照して、詳細な説明を記載する。図面において、参照番号の最も左の数字(複数可)は、該参照番号の初出の図を識別する。同様の特徴および要素について言及する場合、図面全体にわたって同一番号を使用する。さらに、図面は、一般的な概念を例示するものであり、必須および/または必要な要素を示そうとするものではない。
【
図1】ユーティリティメータ環境におけるハンドヘルド装置またはモバイル装置との近距離無線通信(NFC、near field communication)の使用例を示す図である。
【
図2】NFC用に共に構成された、ユーティリティメータおよびハンドヘルドユニットの詳細例を示すブロック図である。
【
図3】ハンドヘルドユニットおよび電気メータの動作例を示す、タイミングおよびフローのプロトコルの図である。
【
図4】ハンドヘルドユニット、およびガスメータ、水道メータ、または他のバッテリ駆動のメータの動作例を示す、タイミングおよびフローのプロトコルの図である。
【
図5】ユーティリティメータ環境の文脈においてNFCを利用するための方法例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
(概要)
上述のように、ユーティリティメータと通信する既存の方法は、速度が遅く面倒である。本開示により、ユーティリティメータに使用する近距離無線通信(NFC、near field communication)を提供する技術について説明する。本開示は、スマートメータリングインフラストラクチャを拡張するNFCIP技術の上層の標準的なプロトコルアーキテクチャを含む。本開示により、NFCIPデータリンク層とIPv6層との間のアダプテーション層として6LowPANを使用することによって、NFCプロトコルの上層のIPv6による伝送を提供する。本開示により、例えば、リンク層のフレームのペイロードを255オクテットに制限する、リンク層のアドレスのサイズが10オクテットであるといったNFCIPリンク層の特徴に、6LowPAN/IPv6を適合させる機構を提供する。
【0005】
一例においては、モバイル(例えば、ハンドヘルド)ユニットを使用して、1つまたは複数のメータとのNFCを確立する。NFCが確立されると、ハンドヘルドユニットがメータに、一連の命令、応答、ソフトウェアおよび/またはデータの転送などを行わせることができる。これらの動作により、ネットワーク構成および/またはネットワーク管理を支援し、構成データを配信し、ネットワークの発見および接続または他の機能のプロセスにおいてユーティリティメータ/ネットワークノードを支援することができる。本例においては、命令により、メータの型、ソフトウェアおよび/もしくはファームウェアのバージョン(複数可)、または他の条件を判定することができる。ハンドヘルドユニットは、データ(例えば、ソフトウェアもしくはファームウェアの更新および/または構成ファイル/データ)をメータに送信/ダウンロードすることができる。ハンドヘルドユニットはデータ(例えば、消費情報)をメータから受信/アップロードすることができる。
【0006】
第2の例においては、NFCを使用して、メータのグループまたはブロックが主要メータと通信することを可能にする。主要メータは、メータのブロック内の他のメータそれぞれに対応する仮想メータのインスタンスを、メモリに作成および/または保持することができる。仮想メータを使用して、他のメータに関連付けられた消費データを記録することができる。かかる例においては、他のメータのそれぞれを、ユーザインタフェース(例えば、表示装置、LED、LCDなど)なしで、ネットワーキングシステムなしで、および/または主要メータへのNFC接続以外の接続なしで、構成することができる。動作において、主要メータは、他のメータのそれぞれに関連付けられた仮想メータを利用して、本部または他のネットワーク通信装置に、消費データを保持および報告することがきる。
【0007】
本明細書における論述はいくつかのセクションを含む。各セクションは技術および/または構造の一例として示すものであって、使用および/または実施しなければならない要素を示そうとするものではない。「近距離無線通信(NFC)の環境例」と題する第1のセクションでは、NFCを使用して、メータにファームウェア/ソフトウェアの更新を提供する、消費データを収集する、構成または操作を管理、設定するなどの機能を実施することができる一環境例を示す。仮想メータの構成の一例も示しており、その場合、メータのブロック内の各メータを伴うNFCにおける主要メータは、仮想メータ、または本部と通信する別のメータの代表の役割を果たすことができる。「NFC用のメータおよびモバイルユニットの構築例」と題する第2のセクションでは、メータおよびハンドヘルドユニットの構築例を示す。ハードウェアとソフトウェアとの両方の構造が示される。「タイミングおよびフローのプロトコル例」と題する第3のセクションでは、ハンドヘルドユニット、および電気、ガス、または水道のいずれかのメータの動作例を示す。「方法例」と題するセクションでは、プロセッサ、メモリ装置、ASIC(application specific integrated circuit)などを含む装置における動作方法の態様を論ずる。特に、方法例は、以下のセクションの技術を含めて本明細書で論ずる技術の何れにも、適用することができる。この簡潔な導入部は、読者の便宜を図り提供するものであって、特許請求の範囲または本開示の何れのセクションをも説明および/または制限しようとするものではない。
【0008】
(近距離無線通信(NFC)の環境例)
図1は、ユーティリティメータ環境100におけるハンドヘルド装置またはモバイル装置との近距離無線通信(NFC)の使用例を示す図である。示した例においては、複数のユーティリティメータ102(1)、102(2)、・・・、102(n)が、複数の顧客104(1)、104(2)、・・・、104(n)にそれぞれ関連付けられている。メータ102を、スター型ネットワーク、メッシュネットワーク、または他のネットワーク構成といった、ネットワーク環境において構成することができる。かかる環境においては、メータ102を、ネットワーク内のノードとみなすことができる。あるいは、各メータ102は、ユーティリティメータ環境100内で、スタンドアローンまたは非接続の計量装置であってもよい。その場合、個々のメータを、自動メータ読み取り(AMR、automatic meter reading)動作用に構成し、その読み取りをモバイルまたはハンドヘルドのメータ読み取り装置で行うことができる。
【0009】
ハンドヘルド装置106は、一般に携帯型装置およびモバイル装置を代表するものであり、メータ102とのNFC用に構成されている。動作において、ハンドヘルド装置106を、NFCを確立するためにメータ102に隣接した位置に手動で配置することができる。NFCを使用して、ハンドヘルド装置106は、1つまたは複数の目的で、隣接したメータと通信する。目的の例に含まれるのは、メータにファームウェアおよび/またはソフトウェアの更新を提供すること、メータから消費情報(例えば、使用したキロワット数)を取得すること、ネットワーク構成情報のやりとり、命令および/または問合せのやりとり、構成データを配信して、ネットワークの発見およびネットワークへの接続のプロセスにおいてメータを支援すること(特に、ガスおよび/もしくは水道メータ、または他のバッテリ駆動の装置には重要)、メータの読み取りを記録することなどである。このように、ハンドヘルド装置をメータと隣接して手動で配置することによって、NFCが各メータと確立される。ソフトウェア、ファームウェア、データ、命令、および問合せなどの適切なやりとりは、NFCのセッション中に行うことができる。次に、ハンドヘルド装置106を、別のメータ102に隣接して配置すると、別のNFCセッションが確立される。
【0010】
NFCの第2の例においては、共同住宅108、企業またはユーティリティの他の顧客
の集合体が、1つまたは複数ブロックの集合メータ110を備えることができる。メータのブロック110はユーティリティのネットワークの一部であることができる。あるいは、集合体は非ネットワーク構成で独立していてもよい。メータのブロック110の各メータは、プロセッサ、メモリ装置、および計測回路を含むことができる。メータのブロック110の各メータは、ブロックの中にある主要ユーティリティメータ112とNFCで通信することができる。主要ユーティリティメータ112は、複数のユーティリティメータ110のそれぞれに関連付けられた仮想メータを作成および/または保持することができる。主要メータはブロック内の他のメータと同じでもよく、異なっていてもよい。例によっては、主要メータ112が実際の計量機能を持たず、代わりにメータのブロック内の他のメータの仮想メータの機能を管理する場合もある。主要メータ112において定義された各仮想メータは、複数のメータ110内の関連する1つから取得した計測情報を含むことができる。メータ110は単に、主要メータ112とNFCを介して通信する計測センサ(複数可)であってもよい。各メータ110からの情報は、NFCの動作によって取得することができる。
【0011】
(メータおよびモバイルユニットの構築例)
図2は、近距離無線通信(NFC)用に共に構成された、ネットワークノードまたはユーティリティメータ102、およびハンドヘルドユニット106の詳細例を示すブロック図である。メータ102を、電気、ガス、または水道などの消費に関するデータの計測および記録用に構成することができる。ユーティリティメータ102は処理ユニット200を含むことができ、処理ユニットは、メモリ装置204と通信するプロセッサ202を含むことができる。メモリ装置204は、1つまたは複数の計測アプリケーション206を含むことができ、計測アプリケーションを、計測およびセンサーモジュール216を動作させ、メータのデータを取得するよう構成することができる。他のアプリケーション210の例には、装置管理または他の目的に必要なアプリケーションを含めることができる。
【0012】
NFCセッション中といった、何らかの媒体を介した通信中に、メータ102は、プロトコルスタック212を利用して、例えば、パケットの形成、プロトコルの認識、データの初期化、冗長化などを含む必要な機能を実施することができる。別の例においては、6LowPanを、ヘッダの圧縮、分割、および再構築をサポートするアダプターション層として使用し、IPv6の最小MTUである1280オクテットを、NFCIPの最大MTUである255オクテットに適合させることができる。
図2の例においては、プロトコルスタック212は、TCP/UDP(Transmission Control Protocol/User Datagram Protocol)層を含むことができる。このプロトコル層はIPv6(Internet Protocol version 6)といったプロトコルの上層で動作することができる。同様に、このプロトコル層は、6LowPAN(Low Power Wireless Personal Area Network)といったプロトコルの上層で動作することができる。同様に、このプロトコルは、NFCIP(Near Field Communication Internet Protocol)といったプロトコルの上層で動作することができる。示した例は、NFCの動作中に使用できるプロトコルの代表例である。
【0013】
通信モジュール214は、メータ、中継器、スイッチ、本部などといった他のネットワークノードと通信するためのハードウェアを含むことができる。通信モジュール214には、1つまたは複数のRF(radio frequency)設備、携帯電話型無線設備、PLC(power line communication)設備などを含むことができる。計測モジュール216には、電気、天然ガス、水道、または他の消費可能資源の流量および/または量を計測するための、センサ、回路、および他の装置を含むことができる。
【0014】
NFCタグ218を、NFC通信中、ターゲットとして動作するよう構成することができる。NFCタグ218を、アクティブ通信モードまたはパッシブ通信モードにおける動作用に構成することができる。アクティブモードにおいては、NFCタグ218が作動している。パッシブモードにおいては、NFCタグは、イニシエータ装置(例えば、ハンドヘルド装置)が供給するエネルギーによってのみ、またイニシエータ装置が近接している場合にのみ作動する。アクティブモードにおいては、タグは常に作動している。ハンドヘルドユニット106がメータ102に近接している場合、NFCタグによりハンドヘルドユニット106との通信が可能になる。
【0015】
ハンドヘルドユニット106は処理ユニット220を含むことができ、処理ユニットは、メモリ装置224と通信するプロセッサ222を含むことができる。メモリ224は、多数のプログラム/アプリケーションおよびデータなどを含むことができる。プログラム/アプリケーションの代表例に、更新(複数可)226を含むことができ、更新には、メータ102にダウンロードすべき、ファームウェア、ソフトウェア、またはその他の更新を含むことができる。他のデータ228には、1つまたは複数のメータ102との間でダウンロードまたはアップロードすべきデータを含むことができる。ダウンロード可能なデータの例には、ネットワーク構成データを含むことができ、一方アップロード可能なデータの例には、1つまたは複数のメータ102からの消費データを含むことができる。NFCセッションを確立および動作させる過程で、NFCタグリーダ238を動作させるようにリーダアプリケーション230を実行することができる。他のアプリケーション232は、ネットワークに接続するようメータを支援する、データを転送する、メータまたはハンドヘルド装置の診断を実施するなどといった、任意数のタスクに対して動作可能である。
【0016】
プロトコルスタック234を含むことができ、それは、メータ、本部、または他の装置との通信中、動作可能である。プロトコルスタック234は、NFC、RF通信、セルラ方式、PLCなどといった、任意の通信モードと共に使用することができる。プロトコルスタック234は、メータ102のプロトコルスタック212と同様であってよい。
【0017】
NFCタグリーダ238は、NFCタグリーダアプリケーション230によって制御することができる。NFCタグリーダ238は、メータ102のNFCタグ218と通信することができる。NFCリーダアプリケーション230は、かかる通信中、NFCタグリーダ238の態様を制御することができる。
【0018】
動作において、ハンドヘルドユニット106がイニシエータの役割、一方メータ102がターゲット装置の役割を担うことができる。本例においては、メータがアクティブモードであるかパッシブモードであるかに関わらず、これらの役割を固定することができる。ハンドヘルド装置は、通信モードの選択が可能なユーザ構成のオプションを有することができる。例えば、メインライン駆動の装置との通信か、またはバッテリ駆動の装置との通信か(すなわち、電気メータとの通信か、またはガス/水道メータとの通信か)の選択である。あるいは、ハンドヘルド装置が通信しているメータのタイプ(電気メータか、ガスまたは水道メータか)を、初期化段階で動的に発見するよう、ハンドヘルド装置を構成してもよい。初期化は、ハンドヘルド装置(イニシエータ装置)がターゲット装置(メータ)との通信を初期化する時、または、データ交換用プロトコルの設定中に実施される。
【0019】
図1に関して示したように、メータ112は、メータのブロックまたは集合体110の主要ユーティリティメータであることができる。その役割において、主要メータ112は、タグリーダおよび/またはタグリーダアプリケーションを含むことができる。したがって、主要メータ112は、ハンドヘルドユニット106と同様に動作することができ、その場合主要メータは、メータのブロック110の他のメータとNFCを確立することができる。その環境において、アクティブモードまたは非アクティブモードの何れであっても、主要メータ112はイニシエータ装置としての役割、一方、他のメータはターゲット装置としての役割を担うことができる。
【0020】
(タイミングおよびフローのプロトコル例)
いくつかのネットワークプロトコルおよび技術について本明細書で説明しているが、それらは例示にすぎない。環境によっては、他の通信プロトコルを使用、代用、または開発してもよい。一例においては、NFC技術はNFCのデータリンク層のプロトコルの上層で使用されるアプリケーション(すぐ上の層の)を定義していない。近接した2つの装置間で上層のデータグラムを伝送する信頼できる方法を提供するのみである。NFC技術用に定義されたデータリンク層のプロトコルによって、NFC装備の装置間のポイントツーポイントおよびポイントツーマルチポイントの通信を確立することが可能となるだけでなく、基本的な機能によって、データレートといったデータリンクプロトコルパラメータのいくつかを、ストップアンドウェイト方式のフロー制御プロトコル(ACK/NACK)に対しても同様に構成するおよび/または折り合いをつけることが可能となる。機能的観点から、これはポイントツーポイントのプトロコルと同様である。
【0021】
さらに、6LowPANの圧縮については、802.15.4規格のリンク層の文脈で定義されている。標準規格802.15.4は、8ビット、16ビット、またはEUI(European University Institute)64ビットの、リンク層(MAC)アドレスサイズをサポートする。64ビットより小さいMACアドレスはいずれも、64ビットのEUIのようなアドレスに拡張することができる。
【0022】
NFCIPは、各装置がランダムかつローカルに生成する10オクテットのリンク層アドレスを規定する。アドレスは通信時間(イニシエータ装置とターゲット装置との間の)、持続する。イニシエータがターゲットとの通信を開始する際生成されたアドレスは、イニシエータがターゲット装置との通信を終了すると抹消される。次回同じイニシエータ装置とターゲット装置とが通信する場合は、それらは新しいアドレスを生成する。
【0023】
6LowPAN層に、802.15.4のアドレス長に等しいアドレス長を有するNFCIPリンク層を提示するために、以下のアプローチを利用できる。64ビットのリンク層アドレスに対して、NFCIPリンク層の最初の2オクテットは、常にゼロに設定される。残りの8オクテット(64ビット)は、表1に示すようにランダムに生成される。
【0025】
16ビットのリンク層アドレスに対しては、NFCIPリンク層の最初の8オクテットがゼロに設定される。残りの2オクテット(16ビット)は、表2に示すようにランダムに生成される。
【0027】
8ビットのリンク層アドレスに対しては、NFCIPリンク層の最初の9オクテットがゼロに設定される。残りの1オクテット(8ビット)は、表3に示すようにランダムに生成される。
【0029】
NFCIPリンク層がそのアドレスを6LowPAN層に提示する際、ゼロに設定された最初の(2、8、または9)オクテットは省略される。これにより、非802.15.4MAC層を使用して6LowPAN層が「隠される」ことが可能となる。一例においては、6LowPan層は、802.15.4のリンク層にIPv6を適合させるよう設計されている。IPv6のアドレスがリンクローカルIPv6アドレスである場合、6lowpan層により、MAC層アドレスをIPv6アドレスに埋め込んだIPv6アドレスの圧縮が可能となる。NFCIPは、10オクテットというサイズを規定しており(表1に示すように)、かつ、ステートレス自動構成リンクローカルIPv6アドレスに対しては、8オクテットのEUI(またはEUIのような)MACアドレスが必要なので、本例のアプローチは、次のようなリンク層アドレスを設定したNFCIPを有することになる。すなわち、最初のxオクテットが0×00に設定され、それに続く(10−x)オクテットがランダムに計算される((10−x)オクテットにランダムの数字を生成する)、その場合x=2、8、または9オクテットである。このような環境では、NFCIPは10オクテットのリンク層アドレスを有し、802.15.4MACアドレスは1/2/8オクテットまでであり、IPv6は、リンクローカルIPv6アドレスを構成するために、8オクテットのリンク層/MACアドレスを要する。本例においては、IPv6層は、10オクテットから8/2/1オクテットに圧縮されたNFCIPリンク層アドレスを提示される。すなわち、最初の2/8/9オクテットがゼロに設定され、圧縮(および/または省略)することが可能である。
【0030】
ステートレス自動構成のIPv6リンクローカルアドレスの場合、リンクローカルIPv6アドレスを構成するために、装置が64ビットのEUI MACアドレスを使用する必要がある。この環境においては、NFCIPリンク層はIPv6層に、最初の2オクテットが「ゼロ」で省略されている(上記表1参照)、ランダムに生成されたアドレスを提示する。結果生成されるIPv6リンクローカルアドレスを表4に示す。
【0032】
図3は、ハンドヘルドユニットおよび電気メータの動作例300を示すタイミングおよびフローのプロトコルの図である。動作302において、ハンドヘルド装置(例えば、
図1および
図2のハンドヘルド装置106)が、上位レベルの初期化を実施する。動作304において、ハンドヘルド装置を、アクティブモードのイニシエータとして構成する。動作306において、電気メータ(例えば、
図1および
図2の電気メータ102)を、アクティブモードのターゲットとして構成する。動作308において、RFフィールドの検出がないこと検証する。それに応じて、動作310において、RFフィールドを起動する。動作312において、RF衝突回避を含め、アクティブ通信モードを起動する。イニシエータ、すなわちハンドヘルド装置が、起動を開始する。動作314において、NFCプロトコルを起動する。一例においては、イニシエータが属性およびパラメータの選択を要求する。動作316および318において、NFCのメッセージを、ハンドヘルド装置および電気メータのIPv6層に送信する。メッセージはハンドヘルド装置にはID1を、電気メータにはID2を示す。両動作において、ゼロである最初の2オクテットが省略(除去)される。動作320および322において、IPv6リンクが、ローカルアドレスを構成する。動作324において、ハンドヘルド装置上のアプリケーションが、電気メータ向けの要求を作成する。動作326において、イニシエータ(すなわち、ハンドヘルド装置)が、動作の要求/応答モードを使用して、データ交換プロトコルを開始する。イニシエータが要求(REQ)を送信し、一方ターゲットが応答(RES)を送信する。REQおよびRESは、伝達する情報のペイロードを含む。動作328において、電気メータ上で動作しているアプリケーションが、要求を受信する。動作330において、応答を生成する。動作326に見られるように、データ交換プロトコルを開始し、動作332において、ハンドヘルド装置上で動作しているアプリケーションが、応答を受信する。ゆえに、示される例において、動作324で要求が作られ、その結果、動作332で応答が受信される。動作334において、ハンドヘルド装置による要求、および電気メータによる応答のサイクルを繰り返すことができる。動作336において、セッションが終了し、プロトコルが動作を停止する。具体的には、イニシエータ(すなわち、ハンドヘルド装置)が非選択および解除を開始する。
【0033】
図4は、ハンドヘルドユニットおよび、ガスメータ、水道メータ、または他のバッテリ駆動のメータの動作例400を示す、タイミングおよびフローのプロトコルの図である。
図4は、動作402においてターゲットがパッシブモードである点で、
図3と異なる。パッシブモードはバッテリ駆動の計量ユニットが電力を節約するために必要である。
【0034】
(方法例)
図5は、ユーティリティメータ環境の文脈においてNFCを利用するための方法例500を示すフロー図である。該方法の動作は、コンピュータ可読および/またはプロセッサ可読記憶媒体上で定義された、コンピュータもしくはプロセッサが実行可能なステップまたは動作により実行できる。コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータといった情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された、揮発性および不揮発性、取外し可能および取外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD−ROM、DVD(digital versatile disk)、もしくは他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、もしくは他の磁気記憶装置、またはコンピューティング装置がアクセスする情報を記憶するために使用可能な他の任意の非伝送媒体が含まれるが、それらに限らない。対照的に、通信媒体はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または、搬送波または他の伝送機構といった変調データ信号による他のデータを具現化することができる。本明細書で定義するように、コンピュータ記憶媒体には、かかる非一時的通信媒体は含まれない。
【0035】
一例において、いくつかの初期ステップを行うことができる。動作502において、イニシエータに応答してRFフィールドを起動する。
図3および
図4の例においては、イニシエータはハンドヘルド装置である。動作504において、イニシエータに応答してNFCプロトコルを起動し、上層のプロトコルを初期化する。動作506において、ターゲットが電気メータである場合は、イニシエータおよびターゲットにおいてアクティブ通信モードを開始する。ターゲットがガスメータ、水道メータ、またはバッテリ駆動の装置である場合、パッシブモードを開始する。
【0036】
イニシエータ(例えば、ハンドヘルド装置)は、ターゲット装置(例えば、電気メータ)に要求を送信することができる。動作508において、イニシエータ上で動作しているアプリケーションから要求を送信する。NFCプロトコルを伝送に使用することができる。動作510において、要求に関連付けられたアドレスからゼロを省略することができる。ゼロを除去することにより、異なるプロトコル層が求めるアドレス構成との相違を調整する。動作512において、要求をターゲット内のIPv6層に渡す。ターゲット上で動作するアプリケーションが要求を受信することができる。
【0037】
NFCIPのDL(Data link)層の技術により、DLのフレームのペイロードを255オクテットまでサポートするが、それではIPv6のMTUである1280オクテットを伝送するのに要求されるものより小さすぎる。したがって、IPv6パケットを伝送するためのフレーム形式を、この相違を克服するよう規定することができる。更に、IPv6リンクローカルアドレスの構造、およびNFCIPインタフェースの上層のアドレスのステートレス自動構成を規定する。一例においては、IPv6は1280オクテットのパケットサイズのサポートを要求し、そのサイズは、NFCIPのフレームのペイロードの最大サイズである255オクテットよりはるかに大きい。この相違を克服するために、6LOWPANの圧縮、分割、および再構築という方法を使用することができる。あるいは、NFCIPの通信チャネルを使用するアプリケーションを、255オクテットまでのサイズを有するIPv6パケット(+6LowPANヘッダ)につながるアプリケーションプロトコルのデータユニットを常に生成するよう構成することができる。
【0038】
動作514において、アプリケーションは、最大限度を超えないように、パケットサイズを制約する(または強制的に抑える)ことができる。さらにまたはあるいは、動作516において、パケットを分割して、要求サイズまでパケットサイズを削減することができる。さらにまたはあるいは、動作518において、パケットを圧縮して、要求サイズまでパケットサイズを削減することができる。
【0039】
動作520において、要求(動作508においてイニシエータが作成した)に対する応答を、イニシエータが受信することができる。動作522において、応答を受信しなかった場合(例えば、パケットの衝突のため)、イニシエータはターゲットに問い合わせを送信する。
【0040】
(結論)
本主題を、構造的特徴および/または方法論的動作に固有の言語で説明したが、当然のことながら、添付請求項で定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴または動作に限るものではない。例えば、本明細書においては、NFCタグが論じられているが、場合によっては、最新および将来の、他のNFC技術を使用して、同様の結果を取得することできよう。むしろ特定の特徴および動作は、請求項を実装する例示的形態として開示するものである。