【実施例1】
【0029】
図1は、本発明に係るソーラーストリング搬送用コンテナの概略構成を説明する斜視図である。また、
図2は、
図1を矢印P方向から見た側面図である。そして、
図3は、
図2のAで示した部分とBで示した部分を拡大して示すソーラーストリング昇降手段の模式図である。そして、
図4は、
図3のソーラーストリング昇降手段の要部拡大図である。
【0030】
図1に示した本発明に係るソーラーストリング搬送用コンテナ4は、平面視が長方形をなす底板41と、前記底板41の隅に設けた柱体40で保持されて、該底板41の長手辺両端縁に植立して取り付けられた一対の長辺側面板42(42a,42b)と、前記底板41の短手辺両端縁に植立して取り付けられた一対の短辺側面板43(43a,43b、43bは図示せず)とで形成され、前記一対の長辺側面板42(42a,42b)と前記一対の短辺側面板43(43a,43b)で形成される上部開口をソーラーストリングの荷積み・荷下ろしのための開放部としたたソーラーストリング収容部を有している。なお、この上部開口には、前記一対の長辺側面板42(42a,42b)の何れか一方側に回動して該上部開口を解放する蓋44(
図5参照)が設けられている。この蓋44は前記上部開口から取り外す構成としてもよい。
【0031】
前記ソーラーストリング収容部の内部には、前記一対の長辺側面板42(42a,42b)の内壁のそれぞれに沿っ
て整列し、底板41の幅方向に互いに対向して設置された
複数のソーラーストリング昇降手段45の列(45a,45b)が設けられている。このソーラーストリング昇降手段45(45a,45b)は、前記底板41側に設置された駆動部47で駆動される駆動ギャー部47aと、前記上部開口側に設置された方向転換ギャー部47bの周りで周回する如く掛け渡された無端チェーン部材46を備えている。
【0032】
前記無端チェーン部材46
に固定されて、前記
無端チェーン部材の周回の軌跡の外側にソーラーストリングの端縁の下面を載置するための突出部46cを有する複数のソーラーストリング載置手段46aと、前記ソーラーストリング載置手段46aの上記突出部46cの背面に固定されて、その下方に載置されたソーラーストリング100の端縁上面を弾圧保持する衝撃吸収部材46bとを具備している。本実施例では、ソーラーストリング載置手段46aはスチールを含む鉄材、アルミ材、その他の金属材で成形したものであり、衝撃吸収部材46bはゴム材、合成樹脂などの弾性材で形成されている。ソーラーストリング載置手段46aは溶接等により無端チェーンに固定され、衝撃吸収部材46bは適宜の接着剤でソーラーストリング載置手段46aの背面(裏面)に固定される。
【0033】
前記荷積み・荷下ろし
の時には、前記ソーラーストリング昇降手段45の最上位に位置して、前記ソーラーストリング100を載置していない空のソーラーストリング載置手段46aと前記衝撃吸収部材46bは、
図4に示したように、前記チェーン部材46の前記周回移動により、前記ソーラーストリング昇降手段45(45b)と前記長
辺側面板42(
図3では42b)の間に退避して次のソーラーストリング100の荷下ろしの支障にならないように移動制御される。
図4中、符号46hはチェーン部材46に設けられたパーフォレーションで、このパーフォレーション46hは駆動ギヤー47aと方向転換ギヤー47bのスプロケットに噛み合うようになっている。また、
図4中のX−X'線は方向転換ギヤー47bの回転軸の方向を示す。
【0034】
前記ソーラーストリング昇降手段45の前記駆動部47は、電動モーター、油圧、空気圧を駆動源とすることができる。前記駆動部47は一方の同一列の駆動ギヤーを共通の軸で結合し、他の同一列の駆動ギヤーを共通の軸で結合して、上記一方の駆動ギヤーと同期させて駆動するのが望ましい。
【0035】
前記コンテナ4には、前記一対の長辺側面板42(42a,42b)の内壁に沿って設置された前記一対のソーラーストリング昇降手段45(45a,45b)の列の一方の列45aと他方の列45bとの間隔を、積載するソーラーストリングのサイズに応じて変更し固定する昇降手段列移動固定手段48を備えている。この昇降手段列移動固定手段48は、前記一対のソーラーストリング昇降手段の列の一方(ここでは45b)のみをレール49上で移動させる如く設置されている。
図3における矢印Dの移動距離は、移送対象となるソーラーストリングの幅に対応するように設定される。
【0036】
図5は、発電サイトにおけるソーラーストリング搬送用コンテナからソーラーストリングを荷下ろしする作業の説明図である。また、
図6は、ソーラーストリング搬送用コンテナに設けたソーラーストリング昇降手段の荷下ろし作業を時系列で説明する模式図である。
図5において、発電サイトに到着し、特殊重機(発電サイト構築用重機)に移載したソーラーストリング搬送用コンテナは、その蓋44を開いて上部開口を露呈させる(A)。蓋44は
長辺側面板に並べて保持するか、コンテナから除去する。
【0037】
上部開口の最上部に積層されているソーラーストリング100(1)を、図示しないソーラーストリング専用クレーンのヘッドに取り付けた真空吸着手段60で吊り上げ
て架台に配置する(B)。ソーラーストリング昇降手段により、上部開口の最上部に次のソーラーストリング100(2)が上昇する(C)。ソーラーストリング100(2)を真空吸着手段60で吊り上げ
て架台に配置する(D)。以下、これをソーラーストリング100(n)まで順次繰り返してすべてのソーラーストリングの荷下ろしと架台への配置を行う。
【0038】
ソーラーストリング100の荷下ろし作業におけるソーラーストリング昇降動作を
図6により説明する。
図6の(a)に示したように、前記
図5(A)の状態にある最上部のソーラーストリング100(1)を
図5(B)のように吊り上げて荷下ろしする。その状態を
図6の(b)に示す。ソーラーストリング100(1)が無端チェーン46から吊り上げられたことを図示しないセンサで検出し、あるいはクレーンオペレータの確認と制御システムの操作により無端チェーン46が細矢印の方向に周回を開始する(
図6の(c))。
【0039】
無端チェーン46は、同方向にさらに周回し、次のソーラーストリング100(2)が開口の最上位置に上昇した時点で停止する(
図6の(d)⇒(e)⇒(f)⇒(g)⇒(h))。ソーラーストリング載置手段46aと衝撃吸収部材46bはソーラーストリング100の荷下ろしに支障がない位置に退避した状態になる。ソーラーストリング100(2)は真空吸着手段60で吊り上げられる(
図6の(i))。ソーラーストリング100(2)が荷下ろしされた後(
図6の(j))、無端チェーン46は
図6の(c)から(d)⇒(e)⇒(f)⇒(g)⇒(h)に示した周回動作を繰り返す。この動作を必要回数繰り返えして架台への配置を行う。
【0040】
図7は、本発明のソーラーストリング搬送用コンテナで扱うソーラーストリングの一例を説明する模式図で、(a)は太陽光を受ける表面の平面図、(b)は(a)の短辺の側面図、(c)は架台に固定される裏面の平面図、(d)は(c)の要部拡大図である。このソーラーストリング100は、1m×2mのソーラーモジュール110を11枚、その長辺側を隣接させて二本の支持フレーム120a,120bに固定して一枚のソーラーストリングに構成してある。この構成例では、支持フレーム120a,120bへは、各ソーラーモジュール110の縁材にボルトナット111で固定されるが、他の既知の固定手段を用いることもできる。
【0041】
図8は、
図5での説明にある真空吸着手段の構成例を説明する斜視図である。また、
図9は、真空吸着パッドの配置の説明図である。真空吸着手段60は、梯子状の枠体601の下側に多数の真空吸着パッド602を備えている。真空吸着パッド602はスプリングプランジャー603で枠体に取付けられている。真空吸着パッド602は、
図8に示したように、A、Bの対としてソーラーモジュール110ごとに配置され、枠体601の中心部分に搭載した真空ポンプ604a,604bに配管605で接続されている。
【0042】
配管605は2本のみを図示してある。AとBの真空吸着パッドの対は、
図8に示したようにソーラーストリング100の長手方向に沿って互い違いに配置されている。真空吸着パッドを、ソーラーストリング100の幅方向(短手方向)、且つ長手方向で互い違い(千鳥状)に配置し、AとBの真空吸着パッドをそれぞれ独立の真空系統で駆動し、千鳥状に配置したA系統とB系統の2系等の真空吸着配置とすることで、荷下ろしに何れかの吸着パッドに吸着の不具合が発生しても、ソーラーストリング100が直ちに落下するのを回避することができる。
【0043】
図10は、発電サイトで作業するための発電サイト構築専用重機の説明図である。発電サイト構築専用重機8には、コンテナ移載装置80、専用クレーン9が設置されている。専用クレーン9は多軸クレーンであり、本実施例の多軸クレーンは4本のアーム90(90a,90b,90c,90d)構成された多関節アームクレーンである。このクレーン9に
図8で説明した真空吸着装置(バキュームグラッパー)60が設けられている。
図10では、この真空吸着装置60のアームを折畳んだ状態で示す。コンテナ発電サイトに搬入されたソーラーストリング専用コンテナ4は、コンテナ移載装置80で吊り上げられ、発電サイト構築専用重機8に移載される。
【0044】
この発電サイト構築専用重機8に移載された専用コンテナ4は、当該重機の車台から作業位置に釣り上げて固定される。その状態で、発電サイトのフィールドの初期作業位置(スタートポジション:0ポジション)に移動する。そして、多関節アームクレーンを用いて前記
図5〜
図6で説明した手順で荷下ろしされ、多関節アームの伸縮と旋回で図示しないフィ−ルドに設置された多数の架台に分配して配置される。ソーラーストリングを配置すべき架台の位置は、発電サイト構築専用重機8の車体に設けたレーザ測距手段13などを用いて確認され、測距データとして専用クレーンの制御装置のメモリに格納される。専用クレーン9は、この測距データに従ってそのアーム90(90a,90b,90c,90d)を伸縮し、旋回し
て架台にソーラーストリング100を配置する。
【0045】
本実施例により、少人数の作業員で工期の短縮と作業の安全性を確保でき、かつ低コストで設置を可能とした太陽光発電プラント構築用のソーラーストリング搬送用コンテナを得ることができる。
【実施例2】
【0046】
図11は、本発明に係るソーラーストリング搬送用コンテナの実施例2を説明するソーラーストリング昇降手段の要部拡大図である。また、
図12は、
図11に示したソーラーストリング載置手段と衝撃吸収部材の無端チェーンへの取り付け構造の説明図である。ソーラーストリング載置手段46a、衝撃吸収部材46b、ソーラーストリング100は一部切断した状態で示す。
図4と同一符号は同一機能部分に対応する。前記した実施例1では、前記チェーン部材46に取り付けられるソーラーストリング載置手段46aと衝撃吸収部材46bは、無端チェーン部材46ごとに独立して設けている。これに対し、実施例2では、ソーラーストリング載置手段46aと衝撃吸収部材46bをコンテナの同一の
長辺側面板側に設けた無端チェーン部材46の列の各対応するソーラーストリング載置手段が同一の高さに共通となるように当該複数のチェーン部材46に共通な長尺部材としている。
【0047】
前記ソーラーストリング載置手段46aと前記衝撃吸収部材46bは、
図13に示したように無端チェーン部材46に取付けられる。すなわち、前記ソーラーストリング載置手段46aと前記衝撃吸収部材46bは、コンテナに積載されるソーラーストリングの長尺方向サイズを十分にカバーする長さで、同一対の無端チェーン部材46ごとに取り付けられる。前記衝撃吸収部材46bは前記ソーラーストリング載置手段46aの前記突出部46cの背面に接着剤等で固定され、前記ソーラーストリング載置手段46aは無端チェーン部材46の特定のチェーン部品要素にボルトナットなどの手段で着脱可能に固定される。
【0048】
図12のソーラーストリング載置手段46aの両端に設けたストッパー46dは、載置したソーラーストリング100の長尺方向端縁の規制部材である。このストッパー46dは必須部材ではない。
【0049】
上記したように、実施例2では、駆動ギャー部47aに駆動部47からの駆動力を伝達する駆動シャフトと方向転換ギャー部47bを回転支持する支持シャフトは、前記コンテナ4の一対の長辺側面板42a,42bの内壁
のそれぞれに沿って設置された複数のソーラーストリング昇降手段45の前記駆動ギャー部47aと前記方向転換ギャー部47bにそれぞれ共通に設けられている。
【0050】
すなわち、実施例2では、前記ソーラーストリング載置手段46aは、前記複数のソーラーストリング昇降手段45の各ソーラーストリング載置手段46aを同一高さで共通に橋絡した単一部材とされている。前記衝撃吸収部材46bも、前記複数のソーラーストリング昇降手段45の各ソーラーストリング載置手段46aを同一高さで共通に橋絡した単一部材とした。その他の構成は実施例1と同様なので、繰り返しの説明はしない。
【0051】
本実施例によっても、少人数の作業員で工期の短縮と作業の安全性を確保でき、かつ低コストで設置を可能とした太陽光発電プラント構築用のソーラーストリング搬送用コンテナを得ることができる。