(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給ラインから循環ラインに供給された燃料を循環ポンプによって前記循環ラインを経て燃料噴射ポンプを含む内燃機関に供給することができる燃料供給装置に使用される供給燃料の圧力制御装置において、
前記循環ラインにおける前記供給ラインとの接続口である循環ライン入口の上流側であって前記内燃機関の下流側に設けられた圧力制御弁であって、前記循環ラインのうち、前記循環ポンプの吐出口から前記内燃機関を通って当該圧力制御弁の入口までの圧力である、前記循環ポンプによって前記内燃機関に供給される燃料の供給圧力を調整する圧力制御弁と、
前記内燃機関に供給される燃料の前記供給圧力が、前記内燃機関に設定された出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力、及び前記循環ポンプが燃料を吐出することができる許容吐出圧力のうち小さい方の圧力以下となるように、前記圧力制御弁を制御する燃料調整操作部とを備え、
前記循環ポンプの前記許容吐出圧力は、燃料の粘度に応じて決まるものであることを特徴とする供給燃料の圧力制御装置。
前記内燃機関の前記必要圧力が前記循環ポンプの吐出圧力よりも大きいときに、又は内燃機関が必要とする圧力及び流量が、前記循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きいときに、警報信号を出力する警報手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の供給燃料の圧力制御装置。
前記燃料調整操作部は、前記必要圧力及び前記許容吐出圧力のうち、いずれの圧力が小さいかを判定する圧力判定手段を有し、前記循環ポンプが前記内燃機関に供給する燃料の供給圧力が、前記圧力判定手段が判定した小さい方の圧力以下となるように、前記圧力制御弁を自動制御する構成であることを特徴とする請求項1又は2記載の供給燃料の圧力制御装置。
前記燃料調整操作部は、前記内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う前記必要圧力及び前記必要流量、並びに、前記循環ポンプの前記ポンプ性能曲線に従う前記吐出圧力及び前記吐出流量で規定された条件において、前記内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う所望の出力又は所望の出力よりも小さくそれに近い出力を発生できるように、前記圧力制御弁を制御して前記内燃機関に供給される燃料の供給圧力を調整することを特徴とする請求項2記載の供給燃料の圧力制御装置。
前記燃料の粘度は、前記循環ラインを流れる燃料の粘度を計測するための手段によって計測して得られたものであり、前記燃料調整操作部は、前記燃料の粘度を計測するための手段によって計測して得られた燃料の粘度に基づいて、前記吐出圧力を得ることができる構成としたことを特徴とする請求項2又は5に記載の供給燃料の圧力制御装置。
前記必要圧力が前記許容吐出圧力よりも大きいとき、又は内燃機関が必要とする必要圧力及び必要流量が、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きいときに、前記燃料調整操作部は、前記圧力制御弁によって調整される前記供給圧力及びその圧力で得られる吐出流量に対応する大きさの出力に略一致するように、前記内燃機関に設定された前記出力を変更することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の供給燃料の圧力制御装置。
燃料の粘度を計測するための手段によって計測して得られた燃料の粘度に基づいて決まる前記ポンプ性能曲線に従う前記吐出圧力及び前記吐出流量で規定された条件において、前記内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う前記内燃機関の略最大出力を発生できる前記循環ポンプの吐出圧力、又はその吐出圧力で発生可能な前記内燃機関の最大出力のいずれか一方又は両方を表示するための表示部を備えていることを特徴とする請求項6記載の供給燃料の圧力制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、マリンガスオイル等の低粘度燃料を予め冷却して粘度を高めて舶用ディーゼル機関に供給する燃料供給装置では、燃料冷却装置が必要なので、この燃料冷却装置の費用が掛かるし、その設置スペースも必要とする。更に、この燃料冷却装置を使用して燃料を冷却するには、多量の冷却エネルギを必要とする。また、この燃料冷却装置が故障すると、ディーゼル機関の運転ができなくなる。
【0010】
そして、従来の内燃機関の燃料噴射装置では、低粘度燃料を使用するときに、プランジャの摺動部の潤滑性を良好に保持できるようにして、このプランジャの摺動部の摩耗や焼き付きの発生を防止することができるが、供給ポンプによって低粘度燃料をディーゼル機関に供給するときの圧力によって、供給ポンプのシール構造や軸受が損傷することを防止することはできない。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、例えばディーゼル機関に供給される燃料を粘度の大きいものから小さいものに切換えたときに、循環ポンプの燃料の吐出圧力によってその循環ポンプが悪影響を受けることを防止すると共に、その内燃機関をその適正運転条件の範囲内で使用することができる供給燃料の圧力制御装置及び内燃機関の燃料供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る供給燃料の圧力制御装置は、燃料を循環ポンプによって循環ラインを経て内燃機関に供給することができる燃料供給装置に使用される供給燃料の圧力制御装置において、前記循環ラインに設けられ前記循環ポンプによって前記内燃機関に供給される燃料の供給圧力を調整する燃料特性調整部と、前記内燃機関に供給される燃料の前記供給圧力が、前記内燃機関に設定された出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力、及び前記循環ポンプが燃料を吐出することができる許容吐出圧力のうち小さい方の圧力以下となるように、前記燃料特性調整部を制御する燃料調整操作部とを備え、前記循環ポンプの前記許容吐出圧力は、燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に応じて決まるものであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る供給燃料の圧力制御装置によると、循環ラインに設けられている燃料特性調整部を制御することによって、循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)を調整することができる。この燃料特性調整部は、例えば圧力調整弁としてもよいし、循環ライン中の燃料の流量調整をして圧力調整を行なう流量調整弁としてもよい。
【0014】
そして、燃料調整操作部は、燃料特性調整部を制御して、循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)が、内燃機関に設定された出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力、及び循環ポンプが燃料を吐出することができる許容吐出圧力のうち小さい方の圧力以下となるように設定することができる。
【0015】
従って、内燃機関に用いている燃料の性状に応じて、オペレータが燃料調整操作部を操作することによって、又は燃料調整操作部が燃料特性調整部を制御することによって、循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)が、その循環ポンプの許容吐出圧力以下となるように設定することができる。
【0016】
これによって、循環ポンプがその許容吐出圧力以下で運転することができ、自己の吐出圧力によって当該循環ポンプが悪影響を受けることを防止することができる。
【0017】
なお、内燃機関に用いている燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に応じて循環ポンプによる燃料の許容吐出圧力が変化することがあるのは、循環ポンプの許容吐出圧力は、燃料の粘度等の性状に応じて決まるものであり、例えば内燃機関に供給される燃料を切換えると、その切換えられた燃料の粘度等の性状に応じて許容吐出圧力が変化するからである。
【0018】
内燃機関は、低粘度燃料を使用するときに、循環ポンプの許容圧力以下に燃料供給圧力を下げることによって、定格出力を発生することができない可能性があるが、低粘度燃料を使用するときに、循環ポンプが自己の吐出圧力によって悪影響を受けることを防止できる。
【0019】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量は、当該循環ポンプの所定のポンプ性能曲線に従って変化し、かつ、前記内燃機関に設定された所望の出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力及び必要流量が、当該内燃機関の所定の必要燃料圧力・流量曲線に従って変化し、燃料特性調整部は、燃料の供給圧力を、前記循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量が、前記内燃機関の必要圧力及び必要流量を満たすように制御するものとすることができる。
【0020】
このように、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量は、所定のポンプ性能曲線に従って変化するので、燃料特性調整部によって循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)を調整すると、それに応じて循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給流量(吐出流量)も変化する。
【0021】
そして、内燃機関に設定された出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力及び必要流量は、当該内燃機関の所定の必要燃料圧力・流量曲線に従って変化する。
【0022】
従って、オペレータが、内燃機関に対して所望の出力を設定したときに、燃料調整操作部が燃料特性調整部を制御して、循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)を以下のように調整することができる。つまり、内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従ってこの内燃機関が消費する燃料の必要圧力及び必要流量が、循環ポンプのポンプ性能曲線の吐出圧力及び吐出流量よりも小さい範囲となるようにこの供給圧力(吐出圧力)を調整することができる。
【0023】
これによって、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量が、内燃機関が必要とする燃料圧力及び流量を満たす状態を保つことができる。
【0024】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記内燃機関の前記必要圧力が前記循環ポンプの吐出圧力よりも大きいときに、又は内燃機関が必要とする圧力及び流量が、前記循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きいときに、警報信号を出力する警報手段を備え、前記燃料調整操作部は、オペレータによって操作されて前記燃料特性調整部を制御するものとすることができる。
【0025】
このようにすると、オペレータが、内燃機関に対して所望の出力を設定したときに、内燃機関に設定された出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力が、循環ポンプの吐出圧力よりも大きい場合に、又は内燃機関が必要とする圧力及び流量が、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きい場合に、警報手段が警報信号を出力することができる。オペレータは、この警報信号によってその必要圧力が許容吐出圧力よりも大きいことや、内燃機関が必要とする圧力及び流量が、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きいことを認識することができる。オペレータは、この警報信号を認識したときに、オペレータは、この警報信号を認識したときに、燃料調整操作部を操作して燃料特性調整部を動作させることによって、循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)が、その循環ポンプの許容吐出圧力以下となるように、この燃料特性調整部が調整することができる。
【0026】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記燃料調整操作部は、前記必要圧力及び前記吐出圧力のうち、いずれの圧力が小さいかを判定する圧力判定手段を有し、前記循環ポンプが前記内燃機関に供給する燃料の供給圧力が、前記圧力判定手段が判定した小さい方の圧力以下となるように、前記燃料特性調整部を自動制御する構成とすることができる。
【0027】
このようにすると、オペレータが、内燃機関に対して所望の出力を設定したときに、圧力判定手段が、必要圧力及び吐出圧力のうち、いずれの圧力が小さいかを判定することができる。そして、燃料調整操作部は、循環ポンプが内燃機関に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)が、圧力判定手段が判定した小さい方の圧力以下となるように、燃料特性調整部を自動制御することができる。
【0028】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記燃料調整操作部は、前記内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う前記必要圧力及び前記必要流量、並びに、前記循環ポンプの前記ポンプ性能曲線に従う前記吐出圧力及び前記吐出流量で規定された条件において、前記内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う所望の出力又は所望の出力よりも小さくそれに近い出力を発生できるように、前記燃料特性調整部を制御して前記内燃機関に供給される燃料の供給圧力を調整するものとすることができる。
【0029】
このようにすると、オペレータが、内燃機関に対して所望の出力を設定したときに、燃料調整操作部は、内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う必要圧力及び必要流量、並びに、循環ポンプのポンプ性能曲線に従う吐出圧力及び吐出流量で規定された条件において、内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う所望の出力又は所望の出力よりも小さくそれに近い出力を発生できるように、燃料特性調整部を制御して内燃機関に供給される燃料の供給圧力(吐出圧力)を調整することができる。これによって、例えば粘度の小さい燃料が内燃機関に供給されている状態で、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量が減少することによって起こる内燃機関の出力の制限量を小さくすることができる。
【0030】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状は、前記循環ラインを流れる燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状を計測するための手段によって計測して得られたものであり、前記燃料調整操作部は、前記燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状を計測するための手段によって計測して得られた燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に基づいて、前記吐出圧力、又は循環ポンプの前記ポンプ性能曲線及び内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う必要圧力及び必要流量を得ることができる構成とすることができる。
【0031】
このようにすると、循環ラインを流れる燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状をこの循環ラインに設けられている燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状を計測するための手段によって計測して得ることができ、燃料調整操作部は、この実際に循環ラインを通る燃料の粘度等の性状を使用して信頼性の高い吐出圧力、又は循環ポンプの前記ポンプ性能曲線及び内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う必要圧力及び必要流量を得ることができる。これによって、確実に循環ポンプの燃料の吐出圧力によってその循環ポンプが悪影響を受けないようにすることができる。
【0032】
また、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量が、内燃機関が必要とする必要圧力及び必要流量よりも小さくならないようにすることができる。
【0033】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記必要圧力が前記許容吐出圧力よりも大きいとき、又は内燃機関が必要とする必要圧力及び必要流量が、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きいときに、前記燃料調整操作部は、前記燃料特性調整部によって調整される前記供給圧力及びその圧力で得られる吐出流量に対応する大きさの出力に略一致するように、前記内燃機関の前記設定出力を変更するものとすることができる。
【0034】
このようにすると、オペレータによって内燃機関に設定された出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力が、循環ポンプが燃料を吐出(供給)することができる許容吐出圧力よりも大きいとき、又は内燃機関が必要とする必要圧力及び必要流量が、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きいときに、燃料調整操作部は、内燃機関の設定出力を、燃料特性調整部によって調整される供給圧力(吐出圧力)及びその圧力で得られる吐出流量に対応する大きさの出力に変更することができる。これによって、内燃機関に設定されている出力が、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量で発生することができる出力に略一致させることができる。
【0035】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記警報手段が警報信号を出力したときに、前記内燃機関の出力を低下させるものとすることができる。
【0036】
このようにすると、警報手段が警報信号を出力したときに、内燃機関の出力を低下させることができる。これによって、内燃機関が必要とする圧力及び流量を、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも小さくすることができ、その結果、内燃機関を安定して駆動させることができる。
【0037】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記燃料特性調整部によって設定されている前記循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量で出力できる前記内燃機関の最大出力又は最大回転数を算出する出力算出手段を備え、前記警報手段は、前記最大出力を表す信号、前記最大回転数を表す信号、オペレータが前記最大出力を超える出力若しくは前記最大回転数を超える回転数を設定した旨の信号、又は前記内燃機関の出力を制限すべき旨の信号を出力するものとすることができる。
【0038】
このようにすると、例えば燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に応じて燃料特性調整部を調整して、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量を設定したときに、その設定されている吐出圧力及び吐出流量で出力できる内燃機関の最大出力又は最大回転数を、出力算出手段によって算出することができる。
【0039】
そして、警報手段は、内燃機関の必要圧力が循環ポンプの吐出圧力よりも大きいときに、又は内燃機関が必要とする圧力及び流量が、循環ポンプの吐出圧力及び吐出流量よりも大きいときに、最大出力を表す信号、最大回転数を表す信号、オペレータが前記最大出力を超える出力若しくは前記最大回転数を超える回転数を設定した旨の信号、又は内燃機関の出力を制限すべき旨の信号を出力することができる。
【0040】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状を計測するための手段によって計測して得られた燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に基づいて決まる前記ポンプ性能曲線に従う前記吐出圧力及び前記吐出流量で規定された条件において、前記内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う前記内燃機関の略最大出力を発生できる前記循環ポンプの吐出圧力、又はその吐出圧力で発生可能な前記内燃機関の最大出力のいずれか一方又は両方を表示するための表示部を備えているものとすることができる。
【0041】
このようにすると、燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状を計測するための手段によって計測して得られた燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に基づいて決まるポンプ性能曲線に従う吐出圧力及び吐出流量で規定された条件において、内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線に従う内燃機関の最大出力を発生できる循環ポンプの吐出圧力を表示部に表示させることができる。これによって、オペレータは、循環ポンプの吐出圧力がその表示された吐出圧力となるように燃料特性調整部を調整することができる。
【0042】
そして、当該吐出圧力で発生可能な内燃機関の最大出力を表示部に表示させるようにすることもできる。これによって、循環ポンプの吐出圧力を当該吐出圧力となるように燃料特性調整部が調整された状態で、オペレータは、内燃機関の出力を当該最大出力に設定することができる。
【0043】
この発明に係る供給燃料の圧力制御装置において、前記循環ポンプに供給される複数種類の燃料が定められ、これら複数種類のそれぞれの燃料に対して許容される粘度又はそれ以外の燃料の性状の許容範囲が設定されており、前記複数種類の燃料のうちの前記循環ラインを流れる燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状が、燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状を計測するための手段によって計測されて、その計測粘度又は計測性状が、その計測された燃料に設定された前記許容範囲外であるときに、警報手段がその旨の信号を出力するものとすることができる。
【0044】
このようにすると、循環ラインを流れる燃料が、予め定めた複数種類の燃料のうちの任意の燃料であっても、粘度又はそれ以外の燃料の性状が許容範囲外の燃料が循環ポンプから内燃機関に供給されることを、オペレータが、警報手段の出力するその旨の信号によって認識することができる。これによって、内燃機関及び循環ポンプの故障を防止することができる。
【0045】
本発明に係る内燃機関の燃料供給装置は、本発明に係る供給燃料の圧力制御装置を備えることを特徴とするものである。
【0046】
本発明に係る内燃機関の燃料供給装置によると、この燃料供給装置が備える供給燃料の圧力制御装置によって圧力制御された燃料を内燃機関に供給することができる。この供給燃料の圧力制御装置は、本発明に係る供給燃料の圧力制御装置と同様に作用する。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る供給燃料の圧力制御装置、及び内燃機関の燃料供給装置は、例えばオペレータが、内燃機関に対して設定出力を変更したときや、内燃機関に供給される燃料を粘度の大きいものから小さいものに切換えたときに、循環ポンプをその許容吐出圧力以下で運転することができるようにした構成である。従って、循環ポンプの燃料の吐出圧力によってその循環ポンプが悪影響を受けることを防止すると共に、内燃機関をその適正運転条件の範囲内で使用することができる。
【0048】
これによって、例えば船舶がSO
X規制海域(SECA)に進入するときに、この船舶に設けられている内燃機関に供給される燃料を、粘度の大きいC重油から粘度の小さいマリンガスオイル(MGO)等に切換えたときに、循環ポンプのその吐出圧力によって当該循環ポンプが悪影響を受けることを防止することができる。
【0049】
また、本発明は、循環ポンプの供給圧力を調整することによって、低粘度燃料を内燃機関で使用できるようにする構成なので、従来のように、燃料冷却装置が不要であり、そのためのコスト及び設置スペースの増加を抑えることができ、燃料冷却装置の稼動エネルギを不要とすることができる。
【0050】
更に、循環ポンプの吐出圧力(供給圧力)を下げることによって、低粘度燃料を使用できるようにしているので、循環ポンプの消費電力を削減できる。
【0051】
そして、例えば燃料冷却装置によって燃料を冷却して高い粘度の燃料として使用できるようにする燃料供給装置に対しては、本発明の供給燃料の圧力制御装置をバックアップシステムとして設けることによって、燃料冷却装置が故障した場合でも、内燃機関を継続して運転できるようにすることができる。
【0052】
また、例えば既に建設されている船舶の燃料供給装置に対して、新たに低粘度燃料が使用できるようにする場合に、本発明の供給燃料の圧力制御装置を適用することによって、燃料冷却装置を増設したり耐圧性の高いポンプに変更せずに、低粘度燃料に対応できるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明に係る供給燃料の圧力制御装置21を備える内燃機関の燃料供給装置(以下、単に「燃料供給装置」と言うこともある。)の第1実施形態を、
図1及び
図2を参照して説明する。この燃料供給装置11は、例えば
図1に示すディーゼル機関等の内燃機関12に供給される燃料を、粘度の大きいもの(第2燃料タンク14に貯留されている第2燃料油(例えばC重油))から小さいもの(第1燃料タンク13に貯留されている第1燃料油(マリンガスオイル(MGO))に切換えたときに、循環ポンプ15の燃料の吐出圧力によってその循環ポンプ15のシール構造や軸受が悪影響を受けることを防止すると共に、その内燃機関12をその適正運転条件の範囲内で使用することができるものである。
【0055】
そして、この第1燃料油(マリンガスオイル(MGO))である低粘度燃料を使用するのは、内燃機関12の排気中のSO
Xを削減するためであり、このように、排気中のSO
Xを削減する場合として、例えばこの燃料供給装置11を備える船舶がSO
X規制海域(SECA)に進入する場合である。
【0056】
図1に示すように、内燃機関12に燃料を供給するための燃料供給装置11は、第1燃料タンク13、第2燃料タンク14、供給ポンプ16、第1圧力調整弁17、循環ポンプ15、第2圧力調整弁18、粘度センサ19、及び燃料制御部20を備えている。
【0057】
供給燃料の圧力制御装置21は、第2圧力調整弁18、粘度センサ19、及び燃料制御部20を備えている。
【0058】
第1燃料タンク13は、第1燃料油を貯留することができるものである。この第1燃料油は、例えば粘度の小さいマリンガスオイル(MGO)又はナフサ等の低粘度の低硫黄燃料である。そして、このマリンガスオイルは、例えばISOの留出油に分類されるDMA又はDMXである。
【0059】
第2燃料タンク14は、第2燃料油を貯留することができるものであり、この第2燃料は、例えばC重油やA重油等の高粘度燃料である。
【0060】
そして、
図1に示すように、第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14のそれぞれの出口は、配管22、23を介して供給路切換部24(三方切換え弁)と接続している。この供給路切換部24は、第1燃料タンク13に貯留されているガスオイル、及び第2燃料タンク14に貯留されているC重油のうち、所望の燃料をこの供給路切換部24の後段に接続されている供給ポンプ16の吸込み口に導くように燃料供給路を切換えることができるものである。
【0061】
この供給路切換部24は、手動又は圧力空気等の圧力流体で作動させることができ、第1及び第2燃料タンク13、14に貯留されている第1及び第2燃料油のうち、例えばオペレータが所望の燃料油を供給ライン25に供給できるようになっている。
【0062】
また、図示しない表示部に対して、第1又は第2燃料タンク13、14のいずれのタンクから燃料が供給されているかを示す信号を送信して、表示部に表示できるようになっている。
【0063】
供給ポンプ16は、第1燃料タンク13内のガスオイル、及び第2燃料タンク14内のC重油のうち、供給路切換部24を通って導かれてくる燃料を循環ライン26に供給すると共に、この循環ライン26内の燃料(C重油又はガスオイル)に所定の圧力を付与することができるものである。
【0064】
そして、この供給ポンプ16は、供給路切換部24と、循環ライン26の入口27とを接続する供給ライン25(配管)の途中に設けられている。また、この供給ポンプ16は、例えば図示しない電気式モータで駆動される構成と成っている。
【0065】
また、
図1に示すように、この供給ライン25の途中であって、供給ポンプ16の燃料の吸込み口と吐出口とを接続するバイパス28(配管)が設けられ、バイパス28の途中に第1圧力調整弁17が設けられている。
【0066】
この第1圧力調整弁17は、供給ライン25を通って循環ライン26に供給される燃料、例えばガスオイルやC重油の供給圧力を調整するためのものであり、燃料制御部20から送信されてくる第1圧力制御信号によって制御され、燃料を所定の圧力で循環ライン26に供給できるようになっている。
【0067】
次に、
図1に示す循環ライン26について説明する。この循環ライン26は、環状に接続された配管で形成され、ガスオイルやC重油がこの循環ライン26を反時計方向に流れるように構成されている。この循環ライン26によって、循環ライン26を循環するガスオイルやC重油を、循環ライン26に接続する内燃機関12に供給することができる。この循環ライン26には、循環ポンプ15、粘度センサ19、内燃機関12、及び第2圧力調整弁18が設けられている。
【0068】
循環ポンプ15は、循環ライン26内のガスオイルやC重油を所望の圧力に昇圧して循環させることができるものであり、この循環ポンプ15は、例えば電気式モータで駆動される構成と成っている。
【0069】
粘度センサ19は、
図1に示すように、循環ライン26の途中であって、循環ポンプ15と内燃機関12との間に設けられている。この粘度センサ19は、循環ライン26を循環する第1及び第2燃料油(ガスオイルやC重油)の粘度(例えば動粘度)を計測することができるものであり、この計測して得られた計測粘度は、燃料制御部20に送信される。
【0070】
この粘度センサ19は、図には示さないが、粘度を計測するための構成のものであればよく、例えば循環ライン26の途中にオリフィスを設け、このオリフィスを通る燃料の流量を計測する流量計と、このオリフィスの前後の燃料の差圧を計測する差圧計とを備えるものとしてもよいし、これ以外のものを使用してもよい。
【0071】
内燃機関12は、例えばディーゼル機関であり、循環ライン26に接続され、この循環ライン26を流れるガスオイル又はC重油が供給されるように構成されている。そして、ディーゼル機関には、燃料噴射ポンプ(図示せず)が設けられ、この燃料噴射ポンプは、循環ライン26から供給されるガスオイル又はC重油を噴射圧力まで昇圧して、内燃機関12の燃料噴射弁からこの機関の燃焼室に噴射することができるものである。
【0072】
第2圧力調整弁18(燃料特性調整部)は、循環ライン26に設けられ、内燃機関12の下流側に配置されている。この第2圧力調整弁18は、循環ポンプ15から吐出されて内燃機関12に供給される燃料の供給圧力(吐出圧力)を調整することができるものである。そして、この第2圧力調整弁18は、燃料制御部20から送信されてくる第2圧力制御信号によって制御され、燃料を所定の圧力で内燃機関12に供給できるようになっている。
【0073】
そして、この第2圧力調整弁18は、
図1に示す循環ライン26のうち、循環ポンプ15の吐出口から粘度センサ19及び内燃機関12を通ってこの第2圧力調整弁18の入口までの圧力調整区間29を流れる燃料の圧力を調整することができるように構成されている。
【0074】
ただし、この実施形態では、第2圧力調整弁18を使用して圧力調整区間29を流れる燃料の圧力を調整したが、これ以外の手段を使用してこの圧力調整区間29を流れる燃料の圧力を調整してもよい。例えば、第2圧力調整弁18に代えて、図示しない流量調整弁を設けて、圧力調整区間29を流れる燃料の流量を調整することによってその燃料の圧力を調整してもよい。この流量調整弁は、循環ポンプ15が有するポンプ性能曲線R1、R2(
図2参照)を利用して、圧力調整区間29を流れる燃料の流量Qを調整することによって、この圧力調整区間29を流れる燃料の圧力Pを調整することができるものである。
【0075】
この
図2に示すポンプ性能曲線R1、R2は、循環ポンプ15の吐出圧力P及び吐出流量Qが所定の関係を有していることを示しており、燃料(ガスオイル、C重油)の粘度に応じて決まる曲線である。
【0076】
次に、
図1に示す燃料制御部20を説明する。この燃料制御部20は、中央演算処理装置で構成され、記憶部に予め記憶されている所定のプログラムに従って、種々の演算や処理を行うことができるものである。そして、この燃料制御部20は、
図1に示すように、第1圧力調整弁17、及び第2圧力調整弁18と電気的に接続されており、これらの動作を制御することができる。また、燃料制御部20は、粘度センサ19と電気的に接続されており、この粘度センサ19から送られてきた計測粘度を演算したり処理することができる。また、この燃料制御部20は、燃料調整操作部30を備えている。
【0077】
この燃料調整操作部30は、
図1に示す循環ポンプ15によって内燃機関12に供給される燃料の供給圧力が、内燃機関12に設定された出力を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力、及び循環ポンプ15が燃料を吐出することができる許容吐出圧力のうち、小さい方の圧力以下となるように第2圧力調整弁18(燃料特性調整部)を制御するものである。
【0078】
ただし、必要圧力と吐出圧力とが同一であるときは、循環ポンプ15によって内燃機関12に供給される燃料の供給圧力がその同一と判断された圧力となるように第2圧力調整弁18を制御するようになっている。
【0079】
次に、
図2を参照して、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線F、及び循環ポンプ15のポンプ性能曲線R1、R2について説明する。
【0080】
内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fは、内燃機関12が出力Wを発生するときに、循環ポンプ15によって内燃機関12に供給される燃料の必要圧力Pと必要流量Qとの関係を示す曲線である。例えば出力W11を発生するためには、燃料の必要圧力及び必要流量は、P1、Q1であり、出力W22を発生するためには、燃料の必要圧力及び必要流量は、P2、Q2となる。
【0081】
従って、内燃機関12に設定された出力Wを発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P及び必要流量Qは、当該内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに従って変化する。
【0082】
循環ポンプ15のポンプ性能曲線R1、R2は、第2圧力調整弁18を制御して圧力調整区間29を流れる燃料の圧力(吐出圧力)Pを調整したときに、循環ポンプ15が吐出する燃料の流量(吐出流量)Qとの関係を示す曲線である。例えば循環ポンプ15がC重油を吐出する場合は、
図2に実線で示すポンプ性能曲線R1となり、循環ポンプ15がガスオイルを吐出する場合は、
図2に一点鎖線で示すポンプ性能曲線R2となる。
【0083】
従って、循環ポンプ15の吐出圧力P及び吐出流量Qは、当該循環ポンプ15の所定のポンプ性能曲線R1又はR2に従って変化する。
【0084】
なお、燃料がC重油のときと、ガスオイルのときとでは、ポンプ性能曲線R1、R2が相違しており、この相違しているところは、循環ポンプ15がガスオイルを吐出するときよりもC重油を吐出するときの方が吐出圧力P及び吐出流量Qが大きくなるところであり、その理由は、ガスオイルよりもC重油の方が粘度が大きいからである。つまり、粘度の大きいC重油を吐出する場合は、循環ポンプ15の回転部と固定部との隙間から漏れる燃料の量が、粘度の小さいガスオイルを吐出する場合よりも少ないことが原因の一つとなっている。
【0085】
そして、
図2に示すように、循環ポンプ15がガスオイルを吐出するときのポンプ性能曲線R2では、ポンプ15の最大吐出圧力がPMに制限されているが、その理由は、第2圧力調整弁18によってガスオイルの圧力調整をしてこれ以上の圧力となるように調整すると、粘度の小さいガスオイルの圧力が、循環ポンプ15のシール構造や軸受に掛かり、これらが損傷する可能性があるからである。
【0086】
次に、内燃機関12に対して出力を設定及び変更する場合について説明する。内燃機関12に対して出力を設定及び変更する場合は、オペレータが
図1に示す内燃機関制御部31と接続する出力操作部(図示せず)を操作することによって行なわれ、この出力操作部が出力操作信号を生成して、この出力操作信号が内燃機関制御部31に入力する。この内燃機関制御部31は、これと電気的に接続する燃料制御部20及び内燃機関12のそれぞれに設定出力信号を送信するようになっている。
【0087】
次に、
図1に示す粘度センサ19、燃料調整操作部30が備える圧力判定手段(図示せず)、及び燃料調整操作部30に設けられている警報手段(図示せず)について説明する。
【0088】
粘度センサ19は、上記したように、循環ライン26を循環する第1及び第2燃料油(ガスオイルやC重油)の粘度を計測して、この計測して得られた計測粘度を燃料制御部20に送信することができるものである。
【0089】
そして、この燃料制御部20が備える燃料調整操作部30は、粘度センサ19によって計測して得られた燃料の計測粘度に基づいて、循環ポンプ15の吐出圧力P(ポンプ性能曲線R1又はR2)を得ることができるように構成されている。
【0090】
これによって、燃料調整操作部30は、実際に循環ライン26を通る燃料の粘度を使用して信頼性の高い吐出圧力P(ポンプ性能曲線R1又はR2)を求めることができる。
【0091】
なお、例えばポンプ性能曲線R1、R2に関するデータ、並びに、ガスオイル及びC重油のそれぞれの粘度に関するデータは、予め記憶部に記憶されている。従って、粘度センサ19によって燃料の粘度を計測すると、その計測粘度と対応するポンプ性能曲線R1又はR2が選択されるようになっている。
【0092】
ただし、この実施形態では、粘度センサ19によって燃料の粘度を計測してこの計測粘度に基づいて、
図2に示す循環ポンプ15のポンプ性能曲線R1又はR2を選択できるようにしたが、これに代えて、粘度センサ19以外の燃料の性状センサ(図示せず)を設け、この性状センサによって計測して得られた計測性状に基づいて、
図2に示す循環ポンプ15のポンプ性能曲線R1又はR2を選択できるようにすることができる。この燃料の性状としては、例えば燃料の流動性、潤滑性又は温度等を表すものである。
【0093】
また、この燃料調整操作部30は、内燃機関12に所望の出力Wが設定されたときは、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに基づいて、循環ポンプ15がその設定出力Wを発生するのに必要とされる燃料の必要圧力Pを得ることができるように構成されている。
【0094】
これによって、燃料調整操作部30は、内燃機関12に対して実際に設定された出力Wに基づいて信頼性の高い必要圧力Pを得ることができる。よって、確実に循環ポンプ15の燃料の吐出圧力によってその循環ポンプ15のシール構造及び軸受が悪影響を受けないようにすることができる。
【0095】
そして、この内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに基づく必要圧力P及び必要流量Qに関するデータは、予め記憶部に記憶されている。従って、内燃機関12の出力Wが設定されると、この設定出力Wと対応する必要圧力P及び必要流量Qが選択されるようになっている。
【0096】
また、
図1に示すこの燃料調整操作部30が備える圧力判定手段は、内燃機関12に設定された出力Wを発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P、及び循環ポンプ15がその燃料を吐出することができる許容吐出圧力PMのうち、いずれの圧力が小さいかを判定する手段である。
【0097】
更に、燃料調整操作部30に設けられている警報手段は、図には示さないが、前記圧力判定手段が、内燃機関12に設定された出力Wを発生するのに必要とされる燃料の必要圧力Pが、循環ポンプ15がその燃料を吐出することができる許容吐出圧力P(PM)よりも大きいと判断したときに、警報信号を出力するように構成されている。
【0098】
この警報信号は、図示しない表示部及び警報機に入力され、この表示部は、その旨の警報表示をするようになっているし、警報機は、その旨の警報音を発生するようになっている。
【0099】
そして、これら表示部及び警報機が警報表示及び警報音を出力した場合は、オペレータが、燃料調整操作部30に設けられている例えば制御切換スイッチ(図示せず)を操作することによって、この燃料調整操作部30が第2圧力調整弁18を作動させることができ、これによって、循環ポンプ15が吐出する燃料の吐出圧力(供給圧力)Pが、内燃機関12に設定された出力Wを発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P、及び循環ポンプ15が燃料を吐出することができる許容吐出圧力Pのうち、小さい方の圧力以下となるように制御する構成となっている。
【0100】
そしてこのとき、オペレータは、内燃機関12の出力を低減させて、内燃機関12に設定された出力Wを発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P及び必要流量Qが、循環ポンプ15が吐出する燃料の吐出圧力(供給圧力)P及び吐出流量Qよりも小さくする。これによって、内燃機関を安定して駆動させることができる。
【0101】
以上のように、オペレータが、内燃機関12に対して、例えば
図2に示す所望の出力W11を設定したときに、燃料調整操作部30が第2圧力調整弁18を制御して、循環ポンプ15が内燃機関12に供給する燃料の供給圧力(吐出圧力)Pを調整するメカニズムは、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに従ってこの内燃機関12が消費する燃料の必要圧力P及び必要流量Qが、循環ポンプ15のポンプ性能曲線R1又はR2に従う吐出圧力P及び吐出流量Qよりも小さい範囲となるようにこの供給圧力(吐出圧力)Pを調整するというものである。
【0102】
これによって、循環ポンプ15をその許容吐出圧力PM以下で運転することができるので、循環ポンプ15の燃料の吐出圧力Pによってその循環ポンプ15が悪影響を受けることを防止することができる。
【0103】
次に、上記のように構成された燃料供給装置11の作用及び燃料を切換えるときの手順を説明する。例えば今、
図1に示す第2燃料タンク14内のC重油が供給ライン25を経て循環ライン26に供給されて、内燃機関12が
図2に示す出力W11で運転しているとする。次に、オペレータが供給路切換部24を操作して切換えることによって、第1燃料タンク13内のガスオイルが循環ライン26に供給される状態にする。
【0104】
このとき、燃料調整操作部30が備える圧力判定手段は、内燃機関12に設定されている出力W11を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P1(
図2参照)、及び循環ポンプ15が燃料(ガスオイル)を吐出することができる許容吐出圧力PMのうち、いずれの圧力が小さいかを判定する。
【0105】
つまり、循環ポンプ15がガスオイルを吐出することができる許容吐出圧力PMは、
図2に示すポンプ性能曲線R2の吐出圧力P及び吐出流量Qの関係に基づいて、燃料調整操作部30が求めることができる。なお、循環ポンプ15がガスオイルを吐出するときに、
図2に示すポンプ性能曲線R2に従って運転されることは、前記したように、粘度センサ19が循環ライン26を流れる燃料がガスオイルであることを検出することによって、この燃料調整操作部30は、認識することができる。
【0106】
そして、圧力判定手段によって、内燃機関12に設定されている出力W11を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P1が、循環ポンプ15が燃料(ガスオイル)を吐出することができる許容吐出圧力PMよりも大きいと判定したときは、燃料調整操作部30は、内燃機関12の出力W11における循環ポンプ15の吐出流量Q1が一定とした条件において、ポンプ性能曲線R2における吐出圧力PがP2であることを求める。
【0107】
しかる後に、圧力判定手段は、
図2に示す必要圧力P1が吐出圧力P2よりも大きいと判定する。このとき、表示部及び警報機が警報表示及び警報音を出力する。
【0108】
オペレータは、この警報表示及び警報音によって、必要圧力P1が吐出圧力P2よりも大きいことを認識することができる。そして、オペレータは、この警報表示及び警報音を認識したときに、燃料調整操作部30に設けられている制御切換スイッチ(例えばガスオイルモード用押しボタンスイッチ)を操作することによって、この燃料調整操作部30が第2圧力調整弁18を制御して、循環ポンプ15が吐出する燃料(ガスオイル)の吐出圧力(供給圧力)Pが、循環ポンプ15が燃料(ガスオイル)を吐出することができる吐出圧力P2となるように調整することができる。
【0109】
このようにして、循環ポンプ15の吐出圧力がP2に設定されると、内燃機関12は、必要燃料圧力・流量曲線Fに従ってW22(P2、Q2)の出力で運転することができる。
【0110】
これによって、循環ポンプ15は、そのポンプ性能曲線R2の許容吐出圧力PM以下で運転することができ、自己の吐出圧力P2によって当該循環ポンプ15のシール構造や軸受が悪影響を受けることを防止することができる。
【0111】
ただし、燃料の粘度等の性状によって、同一の出力のときに内燃機関12が必要とする燃料圧力も変化するので、使用している燃料又は粘度センサ19(性状センサ)によって検知された燃料の粘度(又は粘度以外の性状)によって、内燃機関12の出力を変化させることが必要な場合がある。
【0112】
また、この供給燃料の圧力制御装置21によると、内燃機関12は、低粘度燃料を使用するときに、設定出力W11を発生することができない可能性があるが、低粘度燃料を使用するときに、循環ポンプ15が自己の吐出圧力P2によって悪影響を受けることを防止できると共に、内燃機関12をその適正運転条件の範囲内(必要燃料圧力・流量曲線Fに従って)で使用することができる。
【0113】
これによって、例えばこの燃料供給装置11を備える船舶がSO
X規制海域(SECA)に進入するときに、内燃機関12に供給される燃料を、粘度の大きいC重油から粘度の小さいマリンガスオイル(MGO)に切換えたときに、循環ポンプ15のその吐出圧力P2によって当該循環ポンプ15が悪影響を受けることを防止することができる。
【0114】
また、循環ポンプ15の供給圧力(吐出圧力)を第2圧力調整弁18で調整することによって、低粘度燃料を内燃機関12で使用できるようにする構成なので、従来のように、燃料冷却装置が不要であり、そのためのコスト及び設置スペースの増加を抑えることができ、燃料冷却装置の稼動エネルギを不要とすることができる。
【0115】
更に、循環ポンプ15の吐出圧力(供給圧力)Pを下げることによって、低粘度燃料を使用できるようにしているので、循環ポンプ15の消費電力を削減できる。
【0116】
そして、例えば燃料冷却装置によって燃料を冷却して高粘度として使用できるようにする方式の燃料供給装置に対しては、この実施形態の供給燃料の圧力制御装置21をバックアップシステムとして設けることによって、燃料冷却装置が故障した場合でも、内燃機関12を継続して運転できるようにすることができる。
【0117】
また、例えば既に建設されている船舶の燃料供給装置に対して、新たに低粘度燃料が使用できるようにする場合に、この実施形態の供給燃料の圧力制御装置21を適用することによって、燃料冷却装置を増設したり耐圧性の高いポンプに変更せずに、低粘度燃料に対応できるようにすることができる。
【0118】
なお、上記では、
図1に示す第2燃料タンク14内のC重油が内燃機関12に供給されている状態から、供給路切換部24を切換えることによって、第1燃料タンク13内のガスオイルが内燃機関12に供給される場合について説明したが、第1燃料タンク13内のガスオイルが内燃機関12に供給されている状態から、供給路切換部24を切換えることによって、第2燃料タンク14内のC重油が内燃機関12に供給される場合については、従来の設定圧力と同様に、第2圧力調整弁18をこのC重油が循環ライン26を流れるときの設定圧力Pに調整(例えばC重油モード用押しボタンスイッチを操作)すればよいので、その詳細な説明を省略する。
【0119】
次に、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置の第2実施形態を説明する。この第2実施形態の燃料供給装置と、第1実施形態の燃料供給装置11とが相違するところは、以下のところである。
【0120】
第1実施形態の燃料供給装置11では、燃料調整操作部30が備える圧力判定手段が、
図2に示す必要圧力P1が吐出圧力Pよりも大きいと判定したときに、表示部及び警報機が警報表示及び警報音を出力するようになっている。そして、オペレータは、この警報表示及び警報音によって、必要圧力P1が吐出圧力Pよりも大きいことを認識したときに、燃料調整操作部30に設けられている制御切換スイッチを操作することによって、循環ポンプ15が吐出する燃料(ガスオイル)の吐出圧力(供給圧力)Pが、循環ポンプ15が燃料(ガスオイル)を吐出することができる吐出圧力P2となるように調整している。
【0121】
これに対して、第2実施形態の燃料供給装置では、燃料調整操作部30が備える圧力判定手段が、
図2に示す必要圧力P1が吐出圧力Pよりも大きいと判定したときに、表示部及び警報機が警報表示及び警報音を出力すると共に、燃料調整操作部30は、オペレータが制御切換スイッチを操作することなく、自動的に第2圧力調整弁18を制御して、循環ポンプ15が吐出する燃料(ガスオイル)の吐出圧力(供給圧力)Pが、循環ポンプ15が燃料(ガスオイル)を吐出することができる吐出圧力P2となるように調整するところである。
【0122】
これ以外は、第1実施形態と同等の構成であり同様に作用するので、それらの詳細な説明を省略する。
【0123】
次に、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置の第3実施形態を、
図3等を参照して説明する。この第3実施形態の燃料供給装置と、第1実施形態の燃料供給装置11とが相違するところは、以下のところである。
【0124】
第1実施形態の燃料供給装置11では、燃料調整操作部30が、循環ポンプ15がガスオイルを吐出することができる吐出圧力Pを算出する方法として、内燃機関12の出力W11における循環ポンプ15の吐出流量Q1が一定とした状態で、ポンプ性能曲線R2における吐出圧力PがP2であることを求めるようにしている。
【0125】
次に、燃料調整操作部30が第2圧力調整弁18を制御して、循環ポンプ15が吐出する燃料(ガスオイル)の吐出圧力(供給圧力)Pが、循環ポンプ15が燃料(ガスオイル)を吐出することができる吐出圧力P2となるように調整する。これによって、内燃機関12は、必要燃料圧力・流量曲線Fに従ってW22(P2、Q2)の出力で運転するようにしている。
【0126】
これに対して、第3実施形態の燃料供給装置では、燃料調整操作部30が、
図3に示す必要燃料圧力・流量曲線F上の出力W11を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P及び燃料の必要流量Q、並びに循環ポンプ15のポンプ性能曲線R2上の循環ポンプ15が燃料(ガスオイル)を吐出することができる吐出圧力P及び吐出流量Qで規定される条件において、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに従う最大出力W33又は最大出力よりも小さくそれに近い出力W44を発生できるように、燃料調整操作部30が第2圧力調整弁18を自動的に制御して、内燃機関12に供給される燃料(ガスオイル)の供給圧力(吐出圧力)Pを調整するところである。
【0127】
このようにすると、オペレータが、例えば内燃機関12に対して
図3に示す所望の出力W11を設定したときに、燃料調整操作部30は、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに従う必要圧力P及び必要流量Q、並びに、循環ポンプ15のポンプ性能曲線R2に従う吐出圧力P及び吐出流量Qで規定される条件において、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに従う最大出力W33又は最大出力よりも小さくそれに近い出力W44を発生できるように、第2圧力調整弁18を制御して内燃機関12に供給される燃料の供給圧力(吐出圧力)Pを調整することができる。これによって、例えば粘度の小さい燃料(ガスオイル)が内燃機関12に供給されている状態で、循環ポンプ15の燃料の吐出圧力Pによってその循環ポンプ15が悪影響を受けないようにすることができ、しかも、この粘度の小さい燃料(ガスオイル)を使用する内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fにおいて最大出力W33又は最大出力よりも小さくそれに近い出力W44を発生できるようにすることができる。
【0128】
また、
図3に示すように、第1及び第2実施形態の燃料供給装置11等を使用した場合の内燃機関12の出力は、W22に設定を変更することができるが、第3実施形態の燃料供給装置を使用した場合の内燃機関12の出力は、W33又はW44に設定を変更することができ、このように、第3実施形態の燃料供給装置を使用する方が、内燃機関12の実際に発生する出力が、設定出力よりも小さくなる程度を抑えることができる。
【0129】
これ以外は、第1実施形態と同等の構成であり同様に作用するので、それらの詳細な説明を省略する。
【0130】
次に、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置の第4実施形態を説明する。この第5実施形態の燃料供給装置は、上記各実施形態において、
図1に示す供給燃料の圧力制御装置21が、第2圧力調整弁18によって設定されている循環ポンプ15の吐出圧力P及び吐出流量Qで出力できる内燃機関の最大出力又は最大回転数を算出する出力算出手段を備えている。
【0131】
そして、警報機は、内燃機関12の当該最大出力を表す信号、内燃機関12の当該最大回転数を表す信号、オペレータが最大出力を超える出力若しくは最大回転数を超える回転数を設定した旨の信号、又は内燃機関12の出力を制限すべき旨の信号を出力して、表示部に表示させるように構成されている。
【0132】
ここで、内燃機関の出力を制限すべき旨の信号を出力する場合としては、燃料調整操作部30が備える圧力判定手段が、
図2に示す必要圧力P1が許容吐出圧力PMよりも大きいと判定したときである。
【0133】
このようにすると、例えば燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に応じて第2圧力調整弁18を調整して、循環ポンプ15の吐出圧力P及び吐出流量Qを設定したときに、その設定されている吐出圧力P及び吐出流量Qで出力できる内燃機関12の最大出力又は最大回転数を、出力算出手段によって算出することができる。
【0134】
そして、警報手段は、内燃機関12の必要圧力が循環ポンプ15の吐出圧力よりも大きいときに、又は内燃機関12が必要とする圧力及び流量が、循環ポンプ15の吐出圧力P及び吐出流量Qよりも大きいときに、最大出力を表す信号、最大回転数を表す信号、オペレータが最大出力を超える出力若しくは最大回転数を超える回転数を設定した旨の信号、又は内燃機関の出力を制限すべき旨の信号を出力して、表示部に表示させることができる。
【0135】
次に、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置の第5実施形態を説明する。この第5実施形態の燃料供給装置は、上記各実施形態において、粘度センサ19(又は燃料の性状センサ(図示せず))によって計測して得られた燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に基づいて決まるポンプ性能曲線Rに従う吐出圧力P及び吐出流量Qで規定された条件において、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに従う内燃機関12の略最大出力を発生できる循環ポンプ15の吐出圧力、又はその吐出圧力で発生可能な内燃機関の最大出力のいずれか一方又は両方を表示するための表示部(図示せず)を備えている。
【0136】
このようにすると、粘度センサ19(又は燃料の性状センサ)によって計測して得られた燃料の粘度又はそれ以外の燃料の性状に基づいて決まるポンプ性能曲線Rに従う吐出圧力及び吐出流量で規定された条件において、内燃機関12の必要燃料圧力・流量曲線Fに従う内燃機関12の最大出力を発生できる循環ポンプ15の吐出圧力を表示部に表示させることができる。これによって、オペレータは、循環ポンプ15の吐出圧力がその表示された当該吐出圧力となるように第2圧力調整弁18を調整することができる。
【0137】
そして、当該吐出圧力で発生可能な内燃機関12の最大出力を表示部に表示させるようにすることもできる。これによって、循環ポンプ15の吐出圧力を当該吐出圧力となるように第2圧力調整弁18が調整された状態で、オペレータは、内燃機関12の出力を当該最大出力に設定することができる。
【0138】
次に、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置の第6実施形態を説明する。この第6実施形態の燃料供給装置は、上記各実施形態において、循環ポンプ15に供給される複数種類の燃料(例えばA重油、C重油、ガスオイル)が定められている。そして、
図1に示す供給燃料の圧力制御装置21には、これら複数種類のそれぞれの燃料に対して許容される粘度(又はそれ以外の燃料の性状の許容範囲)が設定されている。
【0139】
そして、複数種類の燃料のうち循環ライン26を流れる燃料の粘度(又はそれ以外の燃料の性状)が、粘度センサ19(又は性状センサ)によって計測されて、その計測粘度(又は測定性状)が、その計測された燃料に設定された許容範囲外であるときに、警報機がその旨の信号を出力する構成となっている。
【0140】
また、計測粘度(又は計測性状)が、その計測された燃料に設定された許容範囲外であるか否かの判定は、燃料制御部20に設けられている粘度判定手段(又は性状判定手段)によって行なわれる。
【0141】
このようにすると、予め定めた複数種類の燃料のうちのいずれかの燃料であっても、粘度(又はそれ以外の燃料の性状)が許容範囲外の燃料が循環ポンプ15から内燃機関12に供給されることを、オペレータが、警報機の出力するその旨の信号によって認識することができる。これによって、内燃機関12及び循環ポンプ15の故障を防止することができる。
【0142】
ここで、循環ライン26を流れる燃料の粘度等の性状が許容範囲外であるか否かを判定する際に、この判定しようとしている当該燃料(例えばA重油、C重油、ガスオイル)の種類が燃料制御部20に入力されている必要がある。当該燃料の種類を燃料制御部20に入力する方法として、例えばオペレータがガスオイルモード用押しボタンスイッチ、A重油モード用押しボタンスイッチ、又はC重油モード用押しボタンスイッチを操作する方法がある。
【0143】
このように、燃料の種類が押しボタンスイッチで選択されると、燃料制御部20が、当該燃料の粘度等の性状が、当該燃料に対して予め設定された許容範囲外であるか否かを判定することができる。
【0144】
また、これ以外にも、
図2に示す供給路切換部24に例えばリミットスイッチを取り付けておき、供給路切換部24が切り換わったことをこのリミットスイッチで検出して、その検出信号(循環ライン26を流れる燃料がガスオイル、A重油、又はC重油であることを示す信号)を燃料制御部20に自動的に出力する方法がある。
【0145】
ただし、上記各実施形態では、オペレータは、内燃機関制御部31にて内燃機関に対して所望の出力に設定するにあたり、循環ポンプの性能曲線、並びに内燃機関の必要燃料圧力・流量曲線で規定される条件において、そのときに使用している燃料の粘度等の性状において可能な最大出力を自分で判断して設定したり、燃料制御部20が発生する警報により、内燃機関の出力を制限するように自分で設定したが、これに代えて、燃料調整操作部30は、内燃機関12が実際に発生している出力W22、W44、又はW33(第2圧力調整弁18によって調整された循環ポンプ15の供給圧力に対応する大きさの出力)に略一致するように、内燃機関制御部31に設定されている内燃機関12の設定出力を自動的に変更するようにしてもよい。
【0146】
このようにすると、オペレータによって内燃機関12に設定された出力W11を発生するのに必要とされる燃料の必要圧力P1が、循環ポンプ15が燃料を吐出(供給)することができる許容吐出圧力PMよりも大きいときに、燃料調整操作部30は、内燃機関12の設定出力Wを、第2圧力調整弁18によって調整される供給圧力(吐出圧力)Pに対応する大きさの出力W22、W33、又はW44に変更することができる。これによって、内燃機関12に設定された出力Wと、内燃機関12が実際に発生している出力Wとを略一致させることができ、オペレータによる内燃機関12に対する出力変更の操作性の向上を図ることができる。
【0147】
そして、上記各実施形態では、舶用のディーゼル機関に対して本発明に係る燃料供給装置11等を適用した例を示したが、これに代えて、例えば陸上で使用されるディーゼル機関等の内燃機関に対して本発明に係る燃料供給装置11等を適用することができる。
【0148】
また、上記各実施形態では、循環ライン26に粘度センサ19を設けて、循環ライン26を流れる燃料の粘度を計測してその燃料の種類を検出するようにしたが、これに代えて、粘度センサ19を設けずに、供給路切換部24を切換えたときの切換え信号によって、循環ライン26を流れる燃料の種類を認識するようにしてもよい。
【0149】
更に、上記実施形態において、循環ライン26を流れるガスオイルの温度が上昇すると、その粘度が許容粘度以下に低下して、循環ポンプ15のシール構造や軸受に対して悪影響を及ぼすので、ガスオイルの粘度を粘度センサ19で検出して、その計測粘度に基づいて第2圧力調整弁18を調整して、循環ポンプ15の吐出圧力(供給圧力)を例えば減少させたり、内燃機関12の出力を減じるようにしたが、これに代えて、ガスオイルの温度を温度センサで検出して、その計測温度に基づいてガスオイルの粘度を算出し、そして、この算出した粘度に基づいて第2圧力調整弁18を調整して、循環ポンプ15の吐出圧力を例えば減少させたり、内燃機関12の出力を減じるようにしてもよい。
【0150】
また、当該ガスオイルの温度を温度センサで検出して、その計測温度に基づいて第2圧力調整弁18を調整して、循環ポンプ15の吐出圧力を例えば減少させたり、内燃機関12の出力を減じるようにしてもよい。例えば計測温度が予め設定された温度以上になったときに、上記のような調整を行うようにしてもよい。