(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
脚体に支持された支基に、背凭れを支持する背凭れ支持杆を、左右方向を向く枢軸をもって後傾可能として枢支し、前記背凭れ支持杆、またはそれと一体となって前記枢軸を中心として回動しうるように設けた回動部材に、前記支基に移動可能として設けたロック部材を係脱させるこにより、前記背凭れを任意の後傾位置においてロックしたり、ロック状態を解除したりしうるようにした椅子において、
前記支基に設けた付勢手段により、前記ロック部材を常時ロック解除方向に向かって付勢するとともに、請求項1または2に記載の進退装置を、その出力部材をもって、前記ロック部材を前記付勢手段の付勢力に抗して、ロック方向に押動しうるようにして、前記支基に装着し、前記進退装置の入力部材を、椅子の適所に設けた操作レバーと連係手段をもって連係し、前記操作レバーの奇数回目の操作により、前記出力部材を不作動位置に移動させ、前記操作レバーの偶数回目の操作により、前記出力部材を作動位置まで進出させて、前記ロック部材をロック位置に向けて押動させるようにしたことを特徴とする椅子。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、各図において、左右は正面視において言う。
図1は、本発明の進退装置の一実施形態を備える椅子の正面図、
図2は、同じく側面図である。
この椅子は、先端部にキャスタ1を備える放射状の5本の脚杆2を有する脚体3と、脚体3の中央に立設され、内部にガススプリング4(
図3等参照)が収容されている伸縮式の脚柱5と、脚柱4の上端部に後端部が支持された前上方を向く支基6と、支基6の上方に、後述するようにして支持された座7と、前端部が左右方向を向く左右1対の枢軸8、8(
図3、
図7等参照)をもって支基6に枢着された後方を向く左右1対の背凭れ支持杆9、9と、両背凭れ支持杆9、9の後端部によって支持された背凭れ10とを備えている。
【0021】
背凭れ10は、左右の背凭れ支持杆9、9および枢軸8、8と一体となって、
図2に示すように、座7の後方において起立する起立位置から、適宜の後傾位置(図示略)までの範囲を、枢軸8、8の中心軸線を中心として回動しうるようになっている。
なお、背凭れ10に関しては、本発明に直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0022】
図4〜
図6に示すように、支基6は、硬質合成樹脂、またはアルミニウム等の剛体からなり、下面が開口する野球のホームベース状の平面視五角形の支基本体11と、その下面の開口部を着脱自在に閉塞する硬質合成樹脂材料からなる下カバー12とを備え、支基本体11と下カバー12との間の内部空間に、支基6内における各種の部品が装着されている。なお、下カバー12は、前部下カバー12aと後部下カバー12bとの2分割構造とされている。
【0023】
支基本体11の上片11aの両側端より垂下する両側片11b、11bにおける中央よりやや後方の部分には、左右方向を向く軸孔13、13が、同一直線上に並ぶようにして穿設されており、各軸孔13にはブッシュ14が嵌着され、このブッシュ14を、支基本体11の上片11aの後部下面に突設された半円形の上部軸受部15と、後部下カバー12bの側部上面に設けた半円形の下部軸受部16とによって挾持している。
各ブッシュ14内には、上記枢軸8が回転自在に嵌合されている。
【0024】
各枢軸8の外端部と内端部とには、非円形軸である六角形の角軸部8a、8bが設けられ、外端部の角軸部8aは、各背凭れ支持杆9の前端部の内側面に設けた角孔17に、また内端部の角軸部8bは、支基6内に配設した側面視扇形をなす左右1対の回動部材18、18における扇の要部分に設けた角孔19に嵌合されている。
【0025】
左右の回動部材18、18における角孔19の直上における偏心部に設けた嵌合孔20には、左右方向を向く連結杆21の各端部が嵌合されている。この連結杆21の各端部は、嵌合孔20内において回動しうるようにしてもよいし、各回動部材18に固着してもよい。
【0026】
こうして、背凭れ10と、背凭れ支持杆9、9と、枢軸8、8と、回動部材18、18と、連結杆21とは、互いに一体となって、枢軸8、8の中心軸線を中心として回動しうるようになっている。
【0027】
左右の回動部材18、18における角孔19より前下方における偏心部と、支基本体11内の前部との間には、各回動部材18に背凭れ10が起立する方向、すなわち
図10における反時計回りの方向の付勢力を付与する左右1対の第1付勢手段22、22が設けられている。
【0028】
図4〜
図8および
図14、
図15に示すように、各第1付勢手段22は、支基6内において前上方に向かって傾斜するようにして配設され、後下端部が、各回動部材18における角孔19より前下方における偏心部の外側面に、左右方向を向く軸23をもって連結され、かつ前上端部に設けた長手方向を向く長孔24が、支基本体11内の前部に配設された左右方向を向く軸25に外嵌されたばねガイド板26と、このばねガイド板26の後端部寄りに固着されたばね受け板27と、ばね受け面28aの中央に設けたスリット(図示略)に、ばねガイド板26が挿通するようにして、両側片28b、28bに設けた貫通孔28c、28cを、上記軸25に外嵌したスプリングリテーナ28と、ばねガイド板26に外嵌するようにして、ばね受け板27とスプリングリテーナ28のばね受け面28aとの間に縮設され、かつ圧縮によって反力を蓄積して、回動部材18の前下端部を後下方に向かって付勢する圧縮コイルばね30とを備えている。
【0029】
軸25は、支基本体11における両側片11b、11bの対向面間の間隔に近い長さを有し、支基本体11の上片11aの下面に設けた前後方向を向く2条のリブ11c、11cの前部の下面に設けた倒立U字状の凹溝31に嵌合され、かつその下方から軸押え32を、各リブ11cの下面にねじ止めすることにより、支基本体11内の前部に、落下しないように、かつ回転自在に(回転不能としてもよい)装着されている。
【0030】
図14に示すように、ばねガイド板26における長孔24の前端部が軸25に当接しているときは、ばねガイド板26の後下端部のそれ以上の後方への移動が阻止され、それによって、回動部材18の
図14における反時計回りの方向の回動、および背凭れ10の起立位置から前方への回動が阻止されているが、
図15に示すように、背凭れ10の後傾に伴って、回動部材18が枢軸8を中心として時計回り方向に回動させられると、ばねガイド板26は、長孔24が軸25に対して移動しうる範囲内において前上方に押し上げられ、そのとき、圧縮コイルばね30が圧縮されて、回動部材18に、背凭れ10を起立させる方向の付勢力を付与する。
【0031】
左右の回動部材18、18における円弧状の外周面には、平歯車の一部をなすような歯33がそれぞれ設けられており、この一方の回動部材18に設けられた歯33を利用し、背凭れ10の回動のロック装置34が設けられている。
【0032】
ロック装置34は、この実施形態においては、上面が側方に向かって下向傾斜し、かつ下面に、椅子に向かって右方の回動部材18の歯33に係脱しうるようにした歯35aを下面に設けたロック部材35と、後述するロックユニットとを備えている。
図12および
図13に示すように、このロック部材35は、上面が支基本体11の中央に向かって上向きに傾斜し、同方向に傾斜するようにして支基本体11の上片11aの下面に設けたガイド部11dに沿って、
図13に示すように、下端の歯35aが回動部材18の歯33と噛合するようにしたロック位置と、
図12に示すように、下端の歯35aが回動部材18の歯33から内上方に外れたロック解除位置とに、斜めに移動しうるようになっている。
【0033】
ロック部材35の外側面には、有底凹部36が形成され、この凹部36に内端部が収容された圧縮コイルばね37の外端を、上片11aの下面の内側面38に圧接させることにより、ロック部材35は、常時ロックが解除される内側方に向かって付勢されている。なお、ロック部材35は、後述する操作手段と、これにボーデンケーブルをもって連係された、ロック装置34の一部をなすロックユニットとにより作動されるようになっている。
【0034】
図5〜
図8および
図17、
図18に示すように、連結杆21と支基6の前部との間には、連結杆21および左右の回動部材18、18に、背凭れ10が起立する方向の付勢力を付与する付勢力調整手段39付きの第2付勢手段40が、左右の回動部材18、18と、左右の第1付勢手段22、22との間に位置するようにして設けられている。
【0035】
この第2付勢手段40の構成は、付勢力調整手段39の部分を除いては、第1付勢手段22の構成と類似している。
すなわち、第2付勢手段40は、上端部(基端部)が連結杆21に枢着され、そこから垂下する、付勢力調整手段39の一部をなす付勢力伝達部材41と、支基6内において前上方に向かって傾斜するようにして配設され、後下端部が、付勢力伝達部材41の下端部(先端部)に設けた二股部41a内に嵌合され、そこに左右方向を向く軸42をもって連結され、かつ前上端部に設けた長手方向を向く長孔43が、上記軸25に外嵌されたばねガイド板44と、このばねガイド板44の後端部寄りに固着されたばね受け板45と、ばね受け面46aの中央に設けたスリット47(
図17参照)に、ばねガイド板44が挿通するようにして、両側片46b、46bに設けた貫通孔46c、46cを、上記軸25に外嵌したスプリングリテーナ46と、ばねガイド板44に外嵌するようにして、ばね受け板45とスプリングリテーナ46のばね受け面46aとの間に縮設され、かつ圧縮によって反力を蓄積して、付勢力伝達部材41の下端部を後下方に向かって付勢する圧縮コイルばね48とを備えている。
圧縮コイルばね48のばね定数は、圧縮コイルばね30のばね定数より大としてある。
【0036】
図4〜
図7および
図16〜
図18に示すように、支基6内における付勢力伝達部材41と、支基本体11の上片11aの後部より垂下する垂直壁11eの前面との間には、付勢力調整手段39が設けられている。
【0037】
この付勢力調整手段39は、上記付勢力伝達部材41と、この付勢力伝達部材41の受圧側の面、すなわち後面における上下方向の中間部に当接可能、かつ付勢力伝達部材41の後面に沿って上下方向に移動可能として支基6に設けた支点部材49と、この支点部材49を、付勢力伝達部材41の後面に沿って上下方向に移動させる移動機構50とを備えており、
図27に示すように、付勢力伝達部材41が、支点部材49との当接点を支点Pとするてことして、力点Qである先端部に作用する第2付勢手段40の付勢力を反転させ、作用点Rである基端部により、連結杆21および回動部材18を、背凭れ10が起立する方向に付勢するようにしてある(詳細な作用は後述する)。
【0038】
図16〜
図20に示すように、支点部材49は、左右方向を向くローラ状のものとされ、また、この支点部材49を上下方向に移動させる移動機構50は、前後方向に移動可能な正面視上向きコ字状の水平移動部材51と、この水平移動部材51における左右の起立片51a、51aの後半部の外側面に、左右方向の支軸52、52をもって下部が回動可能に枢着された、移動部材としての上下方向を向く左右1対のリンクアーム53、53とからなっている。左右の起立片51a、51aの離間寸法は、付勢力伝達部材41の左右寸法よりも大とされ、水平移動部材51が前方に移動したとき、第2付勢手段40の後端部、および付勢力伝達部材41の下端部と干渉しないようにしてある。なお、支軸52は、後述するように、移動機構50を前後方向にガイドするガイド軸を兼ねるように、リンクアーム53の外側面より外側方に突出させてある。
【0039】
支点部材49は、左右のリンクアーム53の上端部の対向面間に挟入された平面視前向きコ字状の支持部材54の両前向片54a、54a間において、両リンクアーム53と支点部材49を貫通する左右方向の枢軸55により回動可能に支持されている。支点部材49の前端面は、付勢力伝達部材41における上下方向の中間部の後面に回転自在に摺接している。
【0040】
水平移動部材51は、支基6における後部下カバー12bの上面に固定される支持板56の上面により、第2付勢手段40の後下方を前後方向に移動しうるように、摺動可能に支持されている。
リンクアーム53の支軸52よりも前方において、水平移動部材51における左右の起立片51a、51aには、外側方に突出するガイド軸57、57が、上端面の高さが支軸52の上端面と整合するようにして固定されている。
【0041】
後部下カバー12bの両側部に設けられた凹入段部58の上面には、前後方向を向く水平片59aと起立片59bとからなる正面視外向きL字状をなす左右1対のガイド部材59、59が、その水平片59aの前後2箇所より挿入した皿ねじ60、60を、左右の凹入段部58に設けた前後のめねじ孔61、61に螺合させることにより取付けられている。左右のガイド部材59の起立片59bには、前後方向のガイド長孔62が形成されている。
【0042】
左右のガイド部材59のガイド長孔62、62には、左右のリンクアーム53の左右の支軸52、52と、水平移動部材51の左右のガイド軸57、57とが、前後方向に移動可能として嵌合されている。なお、支軸52とガイド軸57は、それらの上端面がガイド長孔62の上端と摺接しながら、前後方向に移動するようにしてある。これにより、リンクアーム53が枢着された水平移動部材51は、支持板56の上面の摺動面に沿って前後方向に安定よく移動することができる。
【0043】
水平移動部材51および左右のリンクアーム53の下端部が前後方向に移動すると、両リンクアーム53が前後方向に傾動して起倒することにより、支点部材49と支持部材54とは、付勢力伝達部材41と支基本体11の垂直壁11e間において上下方向に移動しうるようになる(
図17、
図18参照)。なお、支基本体11の垂直壁11eには、その部分の摩耗を防止するとともに、支持部材54を上下方向に安定よく案内する平面視前向きコ字状のガイド板63が取り付けられている。
【0044】
水平移動部材51の下面と、後部下カバー12bの中央部の上面との間には、移動機構50を前後方向に移動させて、その前後位置を変更するとともに、所定位置において移動機構50の移動を停止させる、本発明の位置変更装置64が組み込まれている。
この位置変更装置64は、
図16および
図21〜
図26(支点部材49と支持部材54は図示略)に示すように、右側面に右側方に開口する鋸歯状をなす前後複数の係合溝65を有する前後方向を向くラック状の停止部材66と、右側面の前後方向の中間部に、移動方向と直交する右側方に開口するとともに、前後両面が互いに傾斜の向きが異なる1対の傾斜面67a、67aとされた平面形がほぼ鈍角の山形状をなす凹入溝67を有する停止部材66よりも若干短寸の作動部材68と、上半部の左側端部に、停止部材66の係合溝65とほぼ同一平面内において係脱可能な前後複数の係合突条69を有するとともに、下半部に、作動部材68の凹入溝67に嵌合して、その傾斜面67aとほぼ同一平面内で摺接可能な突部70を有するロック部材71と、内部に下方と左側方とに開口する収容凹部72を有し、この収容凹部72に、ロック部材71を、停止部材66の係合溝65と直交する左右方向に移動可能に収容することにより、このロック部材71と共に前後方向に移動可能な移動部材73とを備えている。
【0045】
停止部材66は、基板74の左側部に形成された上外向きの折曲片74aの上面に載置され、停止部材66の前後の端部に設けためねじ孔75に、基板74の下方より挿入したボルト(図示略)を螺合することにより、停止部材66は、折曲片74aの内縁より若干右側方に突出するようにして固着されている。
【0046】
基板74の折曲片74aの左側縁には、上向片74bが連設され、この上向片74bの上端の前後部には、上述した支持板56の左側部に穿設された前後の係合孔76、76に嵌合可能な上向突部77、77が突設されている。基板74の右側部には、上面の高さが左側部の折曲片74aのそれよりも高い上外向きの折曲片74cが連設され、この折曲片74cの上面に、支持板56の右側部を載置するとともに、支持板56の係合孔76に基板74の上向突部77を下方より嵌合することにより、基板74の上面に支持板56が重合されている(
図19参照)。
【0047】
図16に示すように、上記の重合状態で、後部下カバー12bの中央部上面の凹部78に基板74を収容するとともに、基板74の右側部の折曲片74cの下面と支持板56の左側部の下面とを、後部下カバー12bの上面の左右の凹入段部79に載置し、後部下カバー12bの下方より左右の凹入段部79と折曲片74cの通孔80に挿入した4本のボルト81を、支持板56の両側部に設けた4個のめねじ孔82に螺合することにより、支持板56と基板74は、後部下カバー12bの上面に一体的に固定されている。
【0048】
上述した作動部材68は、その左側端部が、停止部材66よりも下位において、基板74の上面と停止部材66の側端部下面との間の隙間83に嵌合されるようにして、基板74の中央部上面に、水平移動部51および移動部材73の移動方向と平行をなす前後方向に移動可能として支持されている(
図22参照)。
作動部材68の前後の端部には、隙間83への嵌合部を除いて上向きの突部68a、68aが突設され、この両突部68aには、後述する操作手段114に連係されたボーデンケーブル120のインナーワイヤ84、84の端部が止着されている。これにより、作動部材68は、操作手段を操作することにより、移動部材73の移動方向と平行をなす前後方向に移動させられる。
【0049】
ロック部材71は、
図22に示すように、作動部材68の右側方において基板74の中央部上面に、停止部材66の高さとほぼ同一面に整合するようにして、前後方向に摺動可能に載置されている。ロック部材71の左側部における係合突条69の形成部の前後寸法は、他の部分よりも若干大とされ、ロック部材71全体は、移動部材73の内部の収容凹部72内に、停止部材66の係合溝65と直交する左右方向に移動可能、かつ後述するように、右側方への最大移動量を規制して収容されている。
【0050】
図16および
図22に示すように、ロック部材71の右側部に形成された有底孔85には、圧縮コイルばね86が収容され、この圧縮コイルばね86の右端を、移動部材73の収容凹部72の内側面に圧接することにより、ロック部材71は、常時停止部材66および作動部材68側に向かって押圧されている。これにより、停止部材66の係合溝65に、ロック部材71における係合突条69が常時係合するようになっている。
【0051】
収容凹部72の左側の開口端部には、ロック部材71の左側部の拡幅部71aが、左右方向に摺動可能に嵌合する拡幅凹部72aが形成され、拡幅部71aの右側面が拡幅凹部72aの左側面と当接するまで、ロック部材71が圧縮コイルばね86に抗して右側方に移動したとき、ロック部材71における係合突条69が停止部材66の係合溝65より離脱するようになっている(
図26参照)。
【0052】
図20に示すように、ロック部材71の下半部に設けられた突部70は、その左右寸法が、係合突条69を有する上半部の左右寸法よりも短寸をなすとともに、先端部が移動部材73の下半部の収容凹部72より左側方に突出するようにして、ロック部材71と一体的に形成されている。突部70の位置は、係合突条69が停止部材66の係合溝65と係合状態にあるとき、ロック部材71における係合突条69の形成部の下方において、作動部材68の凹入溝67にも嵌合するように設定されている(
図23、
図24参照)。なお、突部70の先端部の断面形状は、作動部材68の凹入溝67とほぼ補形をなす形状とされている。
【0053】
図21および
図22に示すように、移動部材73の上端部は、支持板56に設けた前後方向のガイド長孔87に、前後方向に摺動可能に嵌合され、かつこの状態で、複数の皿ねじ88を移動部材73の上部のめねじ孔89に螺合することにより、移動部材73は、水平移動部材51の右側部下面に固定されている。移動部材73の右側部の下面と右側面は、基板74の上面と折曲片74cの内側面とに、前後方向に摺動可能に当接している。これにより、移動部材73は、支持板56のガイド長孔87と基板74とにより案内されて、水平移動部材51と共に前後方向に移動しうるようになっている。
【0054】
次に、
図17、
図18および
図23〜
図26を参照して、上記付勢力調整手段39と、位置変更装置64の作用について説明する。
図23および
図24は、非操作時における操作手段を示すもので、この状態では、圧縮コイルばね86の付勢力により、作動部材68の凹入溝67にロック部材71の突部70が嵌合するとともに、停止部材66の係合溝65にロック部材71の係合突条69が係合している。従って、ロック部材71が収容されている移動部材73、およびこの移動部材73に固定された水平移動部材51と、左右のリンクアーム53とよりなる移動機構50は、所定の前後位置で停止させられる。その結果、
図17に示すように、両リンクアーム53により支持されている支点部材49も、所定の上下位置で停止し、付勢力伝達部材41を介して、第2の付勢手段40の付勢力は適宜に調整される。
【0055】
上記の状態において、操作手段を操作し、例えば作動部材68を前方(
図25の紙面下方)に移動させると、
図25および
図26に示すように、ロック部材71の突部70が、この突部70と、作動部材68の凹入溝67における後部側の傾斜面67aとの作用により、凹入溝67より徐々に離脱しながら、右側方に移動する。これにより、ロック部材71の係合突条69も、停止部材66の係合溝65より徐々に離脱し、ロック部材71の拡幅部71aの右側面が収容凹部72の拡幅凹部72aと当接するまで右側方に移動すると、ロック部材71の係合突条69は、停止部材66の係合溝65より完全に離脱する。
このとき、ロック部材71は、圧縮コイルばね86の付勢力に抗して右側方に移動するため、操作手段には、作動部材68およびインナーワイヤ84を介して、若干の抵抗力が作用するが、圧縮コイルばね86の付勢力は小さいため、操作手段を軽力で操作することができる。
【0056】
ロック部材71の拡幅部71aが収容凹部72の拡幅凹部72aと当接すると、それ以上、ロック部材71が右方に移動するのが阻止されるので、突部70が、作動部材68の凹入溝67より完全に離脱するのが防止され、突部70と後部側の傾斜面67aとは、常に摺接状態のままにある。従って、操作手段を引き続き操作し、作動部材68を前方に移動させると、突部70が、凹入溝67の後部側の傾斜面67aにより前方に押動させられることにより、ロック部材71、移動部材73、および水平移動部材51を含む移動機構50は、一体的に前方に移動させられる。すると、左右のリンクアーム53が傾動して倒伏することにより、支点部材49は、
図18に示すように、付勢力伝達部材41の後面に沿って転動しながら、下方に円滑に移動する。これにより、第2の付勢手段40の付勢力を小さく調整することができる。なお、第2の付勢手段40の付勢力を大としたいときには、操作手段を上記と反対側に操作し、作動部材68を後方に移動させればよい。
【0057】
支点部材49は、第2付勢手段40に連結された付勢力伝達部材41に回転可能に摺接しており、また、ロック部材71は圧縮コイルばね86を圧縮した状態で、移動部材73および水平移動部材51と共に移動するのみであり、操作手段には、第2付勢手段40および圧縮コイルばね86から、作動部材68およびそれに連係されたインナーワイヤ84を介して、大きな抵抗力が加わることがない。従って、操作手段を、常時同じ操作力で操作して、第2付勢手段40から付勢力伝達手段41を介して、背凭れ支持杆9に伝達される付勢力を調整することができる。
【0058】
このような付勢力調整手段39および位置変更装置64を用いると、支点部材49を、リンクアーム53の上端部により支持し、このリンクアーム53の下端部を位置変更装置64により前後方向に移動させるだけで、支点部材49の上下方向の移動範囲を大とすることができ、従って、第2の付勢手段40の付勢力の調整可能範囲を大とすることができる。
【0059】
また、操作手段を操作して、作動部材68を前後方向に移動させるだけの簡単な操作で、ロック部材71と連係している移動部材73、水平移動部材51、およびリンクアーム53の下端部の前後位置を容易に変更することができる。
また、作動部材68の移動を停止させると、圧縮コイルばね86の付勢力により、ロック部材71の係合突条69が停止部材66の側面に設けた係合溝65に係合するので、移動部材73や水平移動部材51等を前後の所定位置に停止させることができる。
【0060】
さらに、前後方向の停止部材66の側面の係合溝65に、ロック部材71の係合突条69を選択的に係合させるので、移動部材73、水平移動部材51、およびリンクアーム53の下端部の前後方向の移動ストロ−クを大とすることができる。
【0061】
ロック部材71の係合突条69は、停止部材66の係合溝65とほぼ同一平面内で係合し、その直下において、作動部材68の凹入溝67の傾斜面67aと突部70も、ほぼ同一平面内で摺接しており、かつロック部材71は、移動部材73の内部の収容凹部72内に収容されているので、停止部材66とロック部材71と移動部材73との上下寸法が小となり、位置変更装置64全体の上下寸法も小さくなることにより、それを小型化することができる。従って、位置変更装置64を組み付ける支基6の高さを小とすることができる。
【0062】
次に、第2付勢手段40、およびその付勢力調整手段39の作用、並びに、支基11内の全部材の作用について詳しく説明する。
背凭れ10が起立位置にあるときは、左右の回動部材18、18は、
図10、
図11、および
図14に示す停止位置に位置となっている。このときの回動部材18、および背凭れ10の
図10等における反時計方向の回動は、ばねガイド板26における長孔24の前端部が、軸25に当接していることによって阻止されている。
【0063】
また、
図17および
図18に示すように、付勢力伝達部材41は、連結杆21から真下に垂下し、そのときの付勢力伝達部材41の下端のそれ以上の後方への回動は、ばねガイド板44の長孔43の前端が、軸25に当接していることによって阻止されている。
したがって、このとき、付勢力調整手段39における支点部材49は、操作手段の操作により、軽力で上下動させることができる。
【0064】
ロック装置34は、普段は、
図11および
図13に示すように、ロック部材35の歯35aが左方の回動部材18の歯33に噛合したロック状態となっている。
【0065】
この状態から、ロック装置34における後述するロックユニットを、操作手段により操作して、ロック部材35を、
図12に示すように、回動部材18に対して内側上方に移動させ、その歯35aを、回動部材18の歯33から離脱させて、ロック解除状態とする。
【0066】
この状態で、背凭れ10に着座者の背中を凭れかけることにより、背凭れ10を後傾させることができる。
この背凭れ10の後傾時に、
図13に示すように、左右の回動部材18、18と連結杆21とが、背凭れ10と一体となって、枢軸8の軸線を中心として、
図13における時計回りに回動し、このときの軸23、23の移動により、左右のばねガイド板26、26が前上方に押し上げられ、圧縮コイルばね30、30が圧縮されて、そのときの反力が、左右の第1付勢手段22、22の付勢力として、回動部材18、18に、背凭れ10を起立位置方向に復帰回動させるように作用する。
【0067】
また、このときの連結杆21の回動により、付勢力伝達部材41の上端部が、支点部材49の当接部49aを支点として、後下方に回動させられ、それに伴って、付勢力伝達部材41の下端部が前方に回動させられ、軸42を介して、ばねガイド板44が前上方に押し上げられ、圧縮コイルばね48が圧縮されて、そのときの反力が、第2付勢手段40の付勢力として、回動部材18、18に、背凭れ10を起立位置方向に復帰回動させるように作用する。
【0068】
このとき、
図27に示すように、支点部材49が、例えば下限に位置していると、支点Pから力点Qまでの距離L1が、支点Pから作用点Rまでの距離L2より小であるので、第2付勢手段40の付勢力は、連結杆21を介して、回動部材18、18、ひいては背凭れ10に、わずかしか伝達されない。したがって、このときの背凭れ10の復帰回動力は弱いものとなる。
【0069】
図28に示すように、支点部材49を下限位置よりΔLだけ上昇させると、支点Pから力点Qまでの距離L3は、L1+ΔL、支点Pから作用点Rまでの距離L4は、L2−ΔLとなり、第2付勢手段40の付勢力は、連結杆21を介して、回動部材18、18、ひいては背凭れ10に、大きく伝達される。したがって、このときの背凭れ10の復帰回動力は強くなる。
【0070】
このように、付勢力伝達部材41における支点Pから力点Qまでの距離L1と、支点Pから作用点Rまでの距離との差が、支点部材41の移動量の2倍となるので、支点部材41をわずかに移動させるだけで、背凭れ10に作用する付勢力を大きく変化させることができる。したがって、装置全体の小型化を図ることができる、しかも、背凭れ10に作用する付勢力を、原理的には無段階的に調節することができる。
【0071】
また、支点部材49をローラ状のものとしてあるので、付勢力伝達部材41が支点部材49との当接点を中心として円滑に回動できるだけでなく、付勢力伝達部材41の回動角度に応じて、上記支点Pが支点部材49の円弧面沿って移動するので、摩耗が局所に集中することがなく、耐久性を高めることができる。しかも、この当接点が、付勢力伝達部材41の回動角度に応じて移動することを利用して、背凭れ10が後傾するのに連れて、背凭れ10に伝達される付勢力が大となるようにすることができる。
【0072】
さらに、左右の回動部材18、18における枢軸8との固着部分より上方の部分に連結杆21を連結し、付勢力伝達部材41を、連結杆21から垂下し、かつその下端部において第2付勢手段40が連結されるようにして配設し、付勢力伝達部材41と左右の回動部材18、18とが、左右方向に重合するようにしてあるので、左右の回動部材18、18と付勢力伝達部材41、および左右の第1付勢手段22、22と第2付勢手段40とを、左右方向に重合するようにして、狭い空間内に集約して収容することができる。
【0073】
しかも、複数の付勢手段をもって、背凭れ10をバランスよく円滑に付勢することができ、かつ、背凭れ10に作用する付勢力を、バランスが崩れることなく、効率よく調節することができ、さらに、複数の付勢手段を、狭い空間内に集約して収容することができる。
【0074】
次に、支基6への座7の取付けについて、
図1〜
図3、および
図29を参照して説明する。
図3および
図29に示すように、座7は、平面視枠状をなす合成樹脂製の座支持部材90と、この座支持部材90により支持された平面視概ね方形の浅皿状をなす可撓性の合成樹脂よりなる座板91と、座板91の上面および外周面を覆うようにして、座板91に装着されたクッション体92とからなっている。
【0075】
座支持部材90は、前後方向を向く左右1対のガイド部93、93と、その前端部同士を連結する前部連結杆94と、左右のガイド部93、93の後端部同士を連結する後部連結杆95とからなり、全体が弾性変形しにくい硬質合成樹脂により一体成形されている。なお、左右のガイド部93、93は、前部連結杆94および後部連結杆95の上面よりも上方、すなわち座板91側に突出するようにし、座板91の両側部下面を左右のガイド部93により支持した際に、座板91の下面を前部連結杆94および後部連結杆95の上面より離間させて、着座時に座板91を大きく下方に弾性変形させうるようにしてある。
【0076】
前部連結杆94の左右方向の中央寄りには、前後方向に長い左右1対の長孔96、96が設けられている。また、右方のガイド部93の前部右側面には、操作レバー97の係合爪が選択的に係合することにより、座7の前後位置を調節するための縦長の複数のスリット98が、前後方向に並べて設けられている。
【0077】
図2に示すように、座支持部材90における左右のガイド部93、93の後部下面より垂下する左右1対の下向突片99、99と、左右の背凭れ支持杆9における前端より若干後方の部分より起立する上向突片100とを、それぞれ左右方向を向く軸101をもって連結することにより、座支持部材90およびそれに支持された座板91を含む座7全体は、背凭れ10の後傾に連動して、後部が後下方に移動し、かつ前部が支基6の上面に沿って後方に摺動しつつ、後下向きに傾動するようになっている。
【0078】
図29に示すように、クッション体を除いて示す座板91における左右両側部の下面には、座支持部材90における左右のガイド部93、93に嵌合し、かつ座板91が両ガイド部93に対して一定範囲内において前後方向に摺動しうるようにした前後方向を向く左右1対の上向きに凹入する凹溝102、102が設けられている。
左右の凹溝102、102を、座板91の下面における左右の両側端より若干内方寄りに設けてあるので、左右のガイド部93、93は、座板91の両側端より内方に位置している。
【0079】
各凹溝102の外側縁には、凹溝102内に嵌合したガイド部93の外側縁に設けた前後方向の複数の外向嵌合片103に係合して、ガイド部93が凹溝102から下方に離脱するのを阻止するようにした前後複数の内向きの係合突片104が突設されている。この例では、各ガイド部93の外側の縁における前後両端部と中央部に、3個の外向嵌合片103を一定間隔おきに設け、各凹溝102の外側の縁における前後の端部を除いた部分に、前後方向の長さが外向嵌合片103よりも長い3個の係合突片104を、互いに隣接する係合突片104との間より外向嵌合片103が挿脱しうるように、前後方向に一定間隔をもって設けてある。
【0080】
座板91における各凹溝102の上壁には、座支持部材90に対して、座板91が前限位置に達したとき、ガイド部93の後端に当接して、座板91のそれ以上の前方への移動を阻止する左右1対の弾性係合片105、105が、常時凹溝102内に突出するように、かつ上向き弾性変形させうるようにして設けられている。
【0081】
座支持部材90に座板91を取付けるには、左右の弾性係合片105、105を上向きに弾性変形させながら、最後部の外向嵌合片103を、座板91における最後部の係合突片104と凹溝102の後壁との間の隙間より、前側の2個の外向嵌合片103、103を、前後に隣接する係合突片104、104間の隙間より、それぞれ凹溝102内に挿入したのち、両弾性係合片105が下向きに弾性復元する位置まで、座支持部材90に対し座板91を後方にスライドさせる。これにより、ガイド部93が凹溝102から下方に離脱するのが阻止され、座板91は、弾性係合片105が座支持部材90のガイド部93、93の後端と当接する前限位置と、凹溝102の前壁にガイド部93の前端が当接する後限位置との間を、座支持部材90に対し前後方向に移動することができる。
なお、弾性係合片105を上向きに弾性変形させて、座板91を前限位置までスライドさせれば、各外向嵌合片103と係合突片104との係合が解除されるので、座板91を上方に持ち上げるだけで、座支持部材90から簡単に外すことができる。
【0082】
図3〜
図5に示すように、支基本体11の上面の前部には、上面が側面視において曲率の大きい円弧面をなす左右1対の受け板106、106が設けられており、この各受け板106上に、その上面と補形をなす円弧面とした座支持部材90における前部連結杆93の下面を載置し、さらにその上に、左右1対の円筒形のスペーサ107、107(
図14参照)と平面視ほぼ方形をなす押え板108、108を載置して、この両押え板108と、前部連結杆93の長孔96と、受け板106とを貫通するボルト109を、支基本体11の上片11aに螺着することにより、座支持部材90の前部が、支基本体11の上面から上方に外れることなく、受け板106の上面の円弧面に沿って前後方向に摺動しうるようにしてある。
【0083】
各受け板106の後端における左右方向の中央部には、凹溝110が設けられており、この凹溝110を、支基本体11の上面より突設した突起111に係合させることにより、各受け板106は、ボルト109を中心として回動しないように、回り止めされている。
【0084】
次に、各部の操作手段について説明する。
前述した操作レバー97と、座支持部材90に設けた複数のスリット98とにより、座板91の前後位置調節手段112が形成されている。
【0085】
操作レバー97は、その上端部における前後方向に突出する軸97aを、座板91の前部右側部に枢着することにより、上下方向に回動可能に設けられている。操作レバー97の基端部には、座7の内方に向かって突出する係合爪113が設けられており、この係合爪113が、座支持部材90の複数のスリット98に選択的に係合することにより、座板91を、座支持部材90に対して、所望の前後位置で係止しうるようになっている。
なお、操作レバー97を、その係合爪113がスリット98に係合する方向に付勢する付勢手段を設けてあるが、それについては図示を省略してある。
【0086】
次に、付勢力調整手段39の操作手段である操作レバー装置114について、
図30〜
図38を参照して説明する。
この操作レバー装置114は、
図32〜
図36に示すように、座支持部材90における左側部の前後方向の中間部の下面に設けられている。
【0087】
図30、
図31、
図33および
図34に示すように、操作レバー装置114は、操作部本体115と、この操作部本体115を回動可能に支持して、座支持部材90における左方のガイド部93の前後方向の中間部の下面に取付けられる支持板116とを備えている。操作部本体115は、内側方の一部が切り欠かれた欠円板状の上面板117と、その中央部下面より下向きに突設された、上下両方向に開口する円筒軸118と、この円筒軸118と同心をなす外側において、上面板117の下面に下向きに突設された下面が開口するワイヤー巻き取り用の円筒ドラム状の回動部材119と、この回動部材119と同心をなしてその外周面と離間するように、上面板117の外側の外周縁に下向突設された、上下寸法が回動部材119の上下寸法とほぼ等しい半円形の側面板120と、側面板120の円周方向の中間部に外側方を向くように突設された操作レバー121とからなっている。
【0088】
円筒軸118の上下寸法は、回動部材119のそれよりも若干短寸としてある。また、支持板116の左右寸法は、この上面に操作部本体115を組み付けた際、操作レバー121と支持板116との側方への突出寸法が概ね等しくなるようにしてある(
図31、
図32参照)。
回動部材119の右側面、すなわち操作レバー121と反対側の外周面には、上下方向を向く平面視半円弧状の複数の係止溝122が、円周方向に連続するようにして形成されている。
【0089】
支持板116の左半部は、下方になだらかに湾曲され、ほぼ水平をなす右半部の上面は、回動部材119の支持面となっており、この支持面の中央部には、回動部材119と半円形の側面板120の下端部が回動可能に嵌合される凹部123が形成されている。この凹部123の中央には、上記円筒軸118が回動可能に嵌合される、下端部に拡径部124aを有する支軸124が上向きに突設されている。この支軸124の中心には、ボルト挿通用の上下方向の段付孔125が形成されている。
【0090】
図30および
図33に示すように、支持板116における回動部材119を挟む右側部上面の前後の端部には、左端部の高さを大とした左右方向を向く上向突部126、126が、互いに平行をなして支持板116の中央部付近まで突設され、両上向突部126の左端部の頂部と、右側面の上端部とには、それぞれ、右側方に突出する弾性係合片127と係合突片128とが、上下方向の位置を互いに異ならせて突設されている。弾性係合片127の先端部は先細りとされ、かつ上面には、係合爪127aが上向きに突設されている。係合突片128の前後寸法は、弾性係合片127のそれよりも大とされ、かつ上下方向の中間部にスリット129を形成することにより、係合突片128は、スリット129を挟んで上部係合片128aと下部係合片128bとに2分割されている。この上下の係合片128a、128bは、スリット129の分だけ互いに接近する方向に弾性変形しうるようになっている。
【0091】
支持板116の右側端部には、前後方向の中間部に平面視方形の厚肉部130aを有する起立片130が、左右の上向突部126の右端部と等高をなして連続するように突設され、この起立片130の前後方向の中間部に形成された上方に開口する有底凹部131内には、ゴムよりなる弾性体132が嵌合されている。
厚肉部130aの左方の側壁130bには、前後方向の中央部に有底凹部131と連通する縦溝133を設けた外向きの膨出部134が形成され、縦溝133内には、弾性体132に圧接することにより、回動部材119側に付勢されるようにした上下方向の係止ピン135が嵌合されている。この係止ピン135が、上記回動部材119の外周面の係止溝122に選択的に弾性係合することにより、操作レバー121に適度の節度感を付与してこれを回動操作させうるとともに、回動部材119と操作レバー121とを異なる回動位置に停止保持させうるようになっている。なお、上記弾性体132としては、ゴム以外に、板ばね等を用いることもできる。また、このような弾性体132は省略することもある。
【0092】
図31に示すように、操作レバー121と対向する部分の円筒ドラム119の外周面に形成された2個の厚肉部136、136には、上下方向を向くとともに、互いの反対側の外周部の一部が円筒ドラム119の円周方向に開口された、下方に開口する上向き凹状の嵌合孔137、137が形成され、これらの嵌合孔137には、2本のボーデンケーブル138、138における上述したインナーワイヤ84、84の一端部に固着したワイヤ止め139、139が、円筒ドラム119にインナーワイヤ84を巻回させた状態で下方より嵌合されている。インナーワイヤ84、84の他端は、上述した位置変更装置64の作動部材68に接続されている。なお、各嵌合孔137の下面は、支持板116に操作部本体115を装着した際に、支持板116により閉塞されるので、ワイヤ止め139が嵌合孔137より離脱する恐れはない。また、操作部本体115を支持板116より分離させれば、ワイヤ止め139を嵌合孔137より取外すことができるので、インナーワイヤ84の交換作業等も容易となる。
ボーデンケーブル138、138のアウターチューブ138a、138aの一端部は、上記起立片130の前後の端部に設けたU字溝140を貫通して、ナット141により止着されている。
【0093】
支持板116の上面には、操作レバー121に関する表示、例えば
図30に示すように、後方に向かって漸次拡がる二等辺三角形の図形と、その両端に設けた+−の表示142等を設けることにより、その操作レバー121の操作要領や背凭れ10の付勢力の強弱等が分かり易くなるようにしてある。
【0094】
図29、
図34、
図37および
図38に示すように、座支持部材90における左側のガイド部93の前後方向の中間部下面には、操作部本体115における操作レバー121を除いた上部が回動可能に嵌合して案内される、外側方が開口されたほぼ水平の上向き凹状の凹部143が形成されている。
この凹部143と近接するガイド部93における斜上向きに傾斜する外側面には、支持板116の前後の弾性係合片127、127が係合する左右方向の前後1対の係合孔144、144が設けられている。また、ガイド部93の下面に、凹部143の内端部の内周壁143aと連続するように下向突設された前後方向のリブ145には、支持板116の前後の係合突片128、128が係合する左右方向の前後1対の係合孔146、146が形成されている。
【0095】
操作レバー装置114を、座7の側部下面である座支持部材90のガイド部93の下面に取付けるには、まず、支持板116の上面に突設した支軸124に、操作部本体115の円筒軸118の軸孔118aを回動可能に嵌合し、回動部材119の下端部を支持板116の上面の凹部123に嵌合させて、操作部本体115と支持板116とを仮組付けする。
【0096】
ついで、支持板116の前後の弾性係合片127、127と係合突片128、128とを、それぞれ、ガイド部93の上部の係合孔144、144と下部の係合孔146、146に外側方より係合させるとともに、回動部材119の上部を、ガイド部93の下面の凹部143に、回動部材119の上面が凹部143の下面と当接するようにして、回動可能に嵌合する。この際、弾性係合片127に突設した係合爪127aが、係合孔144の奥部の開口部上縁に弾性係合することにより、弾性係合片127は抜け止めされる。また、係合突片128における上下の係合片128a、128bが、スリット129の分だけ、互いに近接する方向に弾性変形しながら、係合孔146に嵌合し、係合突片128と係合孔146との摩擦力が大となるので、係合突片128が係合孔146より外れにくくなる。
【0097】
ついで、
図34に示すように、支持板116の支軸124に設けた段付貫通孔125に、下方より段付ボルト147を挿入し、この段付ボルト147の上部の雄ねじ部147aを、ガイド部93の凹部143の中央部に設けた上下方向のめねじ孔148に螺合させて締め付ける。なお、この締付け時において、支軸124の上端がガイド部93の下面と当接するので、支持板116とガイド部93により操作部本体115が上下から強く押圧されることはなく、従って回動部材119および操作レバー121を円滑に回動操作することができる。
【0098】
これにより、操作レバー装置114は、
図36に示すように、座支持部材90における左側のガイド部93の下面に、支持板116の左半部と操作レバー121がガイド部93の外側方に突出した状態で装着されるが、
図1に示すように、座支持部材90の上部には、その左右幅より大きい座板91とクッション体92が装着されるので、支持板116の左半部と操作レバー121は、座板91およびクッション体92の外側端の直下、または内方に位置することとなり、操作レバー装置114が座の外側方に大きく露出して目立つということはない。
また、操作レバー121は、座板91の下面と支持板116との間に形成される収容空間C内において回動操作されるので、操作レバー121が、他物と当接して傷つくのを防止することができる。
【0099】
操作手段である操作レバー装置114をこのような構成としたことにより、支持板116の上面に突設した支軸124に、操作部本体115の円筒軸118を嵌合させて、支持板116の上面に操作部本体115を仮組付けし、操作レバー装置114を簡単にユニット化した状態で、座支持部材90のガイド部93の下面に、段付ボルト147により下方から取り付けることができる。従って操作レバー装置114の取付作業が極めて容易となる。
【0100】
また、支持板116の上面に設けた上向突部126における右側面と左端部の頂部とに、それぞれ、互いに上下位置と左右位置を異ならせた係合突片128と弾性係合片127とを突設し、それらを、ガイド部93の外側面に設けた上下の係合孔144、146により係合させているので、操作レバー装置114は、上下および前後方向に位置決めされて保持され、ガイド部93への下方からのねじ止め作業も容易となる。しかも、支持板116の右端部と中央部とが、弾性係合片127と係合突片128により、上下2箇所で安定よく保持され、かつ回動部材119の上下の端部は、ガイド部93の下面の凹部143と支持板116の上面の凹部123に嵌合されて安定よく保持されて、その回動が案内されるので、単一の段付ボルト147のみによって、操作レバー装置114をガイド部93の下面に装着しただけでも、操作レバー装置114がぐらつく恐れはなく、回動部材119および操作レバー121を安定よく回動させることができる。
【0101】
さらに、座7の下面と支持板116の左半部とにより、操作レバー121の上方と下方がガードされるので、椅子の移動時に操作レバー121が他物と当接して傷つくのを防止しうるだけでなく、操作レバー121が外部に露呈しにくくなり、外観の向上を図ることができる。
【0102】
操作レバー121は、座板91と支持板116との間の空間に位置しているので、着座者が着座したままの姿勢で、操作レバー121を容易に回動操作することができるとともに、支持板116の上面に手を載せた状態で、操作レバー121を楽に回動操作することができる。
【0103】
回動部材119の上下の端部が、それぞれ、ガイド部93の下面の凹部143と支持板116の上面の凹部123に嵌合されているので、操作レバー装置114を、座7の側部下面であるガイド部93の下面に、下方への突出寸法を小として装着しうるとともに、支持板116とガイド部93との対向面間に回動部材119をコンパクトに収めることができる。
【0104】
次に、座7の高さ調節手段230について説明する。
高さ調節手段230は、
図1および
図3に示すように、座支持部材90の前部の左側下面に取付けられた保持部材231に、前後方向を向く軸232をもって枢着され、かつ座7の下方において外側下方へ向かって突出する操作レバー233と、主に
図14および
図15に示すように、後端部が脚注5の上端に支持されている支基本体11の後部上面に設けられた押圧装置であるガススプリング押圧機構234と、操作レバー233とガススプリング押圧機構234とを連係する連係手段、実施形態では、
図42〜
図47に示すボーデンケーブル250とから構成されている。ガススプリング押圧機構234は、脚柱5の上部を形成する被押圧部材であるガススプリング4の上端より上方に突出するロック解除ピン4aを押圧しうるものであり、ガススプリング押圧機構234によってロック解除ピン4aが押圧されると、ガススプリング4は伸縮自在となる。
【0105】
座支持部材90における左右のガイド部93、93は、座板91の両端より内方に離間させてあり、操作レバー233を、座板91の側部の下方に、座板91の側端から外側方に突出しないように配設することができるようになっている。座板91の下面は、操作レバー233を引き上げた際のストッパともなっている。また、座板91に手を掛けて、操作レバー233を操作することもできる。
【0106】
ガススプリング押圧機構234は、
図5、
図17、
図18、および
図39〜
図47に示すように、支基本体11の後部上面に形成された嵌合孔11fに嵌合して取付けられている保持筒236と、保持筒236内に、上下に変位しうるようにして嵌合された作動杆である伝達片237とを備えている。
【0107】
保持筒236は、合成樹脂等によって形成され、主に
図40および
図41に示すように、外周面に上下方向の凸条や凹条等を有し、かつ伝達片237を収容して支持しうる上下方向の内孔236aを設けた平面視横長円状の筒部236bと、筒部236bの上部に形成された外向フランジ236cとを備えている。
【0108】
内孔236aには、伝達片237の回動を許すための、上下左右方向へ拡がる空間が形成されている。
【0109】
内孔236aの上部の前面には、伝達片237の上部が、左右方向へ摺動し、かつ回動して、直線移動するように係合しうる第1案内手段である左右方向の横長孔236fが形成されている。ここで、左右方向とは、水平方向だけでなく、右側が下方へ傾斜した斜めの左右方向であってもよい。
【0110】
内孔236aの上部の後面における横長孔236fと対向する位置には、伝達片237の上部が、左右方向へ摺動し、かつ回動して直線移動するように係合しうる、上下左右の寸法が横長孔236fと同寸の第1案内手段であるガイド溝236g(
図45および
図47参照)が設けられている。
なお、横長孔236fに代えて、同寸の横長溝としてもよく、また、ガイド溝236gに代えて、同寸の長孔としてもよい。さらに、横長孔236f、ガイド溝236gのいずれか一方又は双方を、後述するピン238が摺動可能に係止しうるレール等の案内部としてもよい。
【0111】
内孔236aの下部の前後面には、伝達片237の下部が、上下方向へ摺動し、かつ回動して、直線移動するように係合しうる上部が僅かに右側に傾斜する第2案内手段である上下方向の長溝236h、236hが、互いに対向するようにして形成されている。ここで、上下方向とは、伝達片237における後述する押圧部237dを、ガススプリング4のロック解除ピン4aを押圧する方向へ移動させうる方向であれば、若干左右に傾いていてもよい。なお、長溝236hは、下端部が開放しており、下方から後述する突軸237cを長溝236h内に嵌合させることができるようになっている。
なお、長溝236hに代えて、突軸237cを摺動可能に係止しうる長孔やレール等としてもよい。
【0112】
保持筒236には、内孔236aと連通し、保持筒236を支基本体11にネジS(
図39参照)によって組み付けるための上下方向の取付孔236dと、連係手段(後述するボーデンケーブル250)の一端部を固定しつつ、収容しうる収容溝236eとが設けられている。
【0113】
操作レバー233を含む駆動手段の一部をなす連係手段は、一端が、
図3に示す保持部材231に止着され、かつ他端が、
図42に示すように、保持筒236の上部の収容溝236eに止着されている可撓性のアウターチューブ248と、その内部へ挿通され、アウターチューブ248の一端から引き出された一端が操作レバー233に止着され、かつアウターチューブ248の他端から引き出された端末部249aが、ワイヤ係止部247に係止されたインナーワイヤ249とからなるボーデンケーブル250としてある。
【0114】
伝達片237は、
図39〜
図47等に示すように、縦長駒状のもので、上縁は、ボーデンケーブル250におけるインナーワイヤ249の端末部249aを係止しうる求心方向のワイヤ係止溝237aが切込まれた半円弧状をなしている。即ち、伝達片237の上端部は、インナーワイヤ249の端末部249aが係止され、牽引されるようになっている。このとき、少なくとも、インナーワイヤ249の端末部249aは、水平方向へ直線移動するようになっている。
【0115】
伝達片237におけるワイヤ係止溝237aの直下には、第1被案内部である円柱状のピン238を嵌合しうる前後方向を向く保持孔237bが穿設されている。上述の横長孔236fおよびガイド溝236gは、保持孔237bに嵌合されたピン238を、摺動かつ回動可能に支持しうるようになっている。
【0116】
伝達片237の下部には、前後に突出する第2被案内部である円柱状の突軸237c、237cが形成されている。上述の長溝236hは、突軸237cを摺動かつ回動可能に支持しうるようになっている。
【0117】
伝達片237の下端縁は、突軸237cの中心に対して、回転方向に漸次突出量を大としたカム状の、換言するとカム面を有する押圧部237dとしてある。押圧部237dは、被押圧部材である上述のガススプリング4の上端部に設けたロック解除ピン4aを押圧しうるものであり、押圧部237dの先端は、ロック解除ピン4aを確実に押圧可能とするために、尖形をなしている。
【0118】
伝達片237を保持筒236に取り付けるには、
図41に示すように、伝達片237を、保持筒236の内孔236aの下方から挿入し、伝達片237における突軸237cを、下端部が開放する保持筒236の長溝236h内へ摺動させ、伝達片237を、保持筒236の横長孔236fと、伝達片237の保持孔237bとを連通させるようにして収容する。ピン238を、連通した横長孔236fから、保持孔237bへ挿通させて、挿通したピン238をガイド溝236gに係合させる。このようにして、伝達片237は、ピン238により、保持筒236内に支持されることとなる。
【0119】
次に、
図45〜
図47を参照して、伝達片237の変位態様について説明する。
伝達片237の変位態様は、ボーデンケーブル250が伝達片237を牽引した際の伝達片237の上部に設けられたピン238の摺動可能範囲、並びに伝達片237の下部に設けられた突軸237cの摺動可能範囲等によって決定される。換言すると、伝達片237の変位態様は、横長孔236f、ガイド溝236g、長溝236hの形状や位置等に依存する。なお、ピン238と突軸237cとは連動するようになっている。
【0120】
図46に示すように、ボーデンケーブル250により伝達片237の上端部が牽引されると、ピン238が横長孔236fおよびガイド溝236gの左端部から、右方へ回動しながら摺動することによって、伝達片237の上部は、少なくとも上方向の移動が規制されつつ、横長孔236fの範囲内で右側へ移動する。さらに、伝達片237の下部は、伝達片237の上部の移動に連動して、突軸237cが、長溝236hの上端部から、下方へ回動しながら摺動することによって、僅かに下方が左方へ傾斜する下方向へ移動する。
【0121】
図47に示すように、伝達片237の上端部がボーデンケーブル250により完全に牽引されると、ピン238は横長孔236fおよびガイド溝236g内の右端部に移動し、突軸237cは、長溝236h内のほぼ中間へ移動する。伝達片237は、ほぼ垂直に起立した状態で、その下部が内孔236aから下方へ突出するようにして支持される。なお、伝達片237のこの位置を、便宜上、押圧位置と呼ぶ。
【0122】
この実施形態においては、上述のように、保持筒236における横長孔236f、ガイド溝236g、および長溝236hは、伝達片237の変動態様を制限しうるものであるから、その形状(長手方向の寸法)や位置等について配慮する必要がある。
なお、横長孔236f、ガイド溝236g、および長溝236h内を摺動するピン238および突軸237cの相互の位置の関係は、
図45に示すように、ピン238が、横長孔236fおよびガイド溝236g内の左端に位置している際のピン238の中心P1と、突軸237cが、長溝236hの上端に位置しているときの突軸237cの中心P3とを結ぶ距離D1から、ピン238が横長孔236fおよびガイド溝236g内の右端に位置しているときのピン238の中心P2と、突軸237cが、長溝236hの上端に位置しているときの突軸237cの中心P3とを結ぶ距離D2を減算した距離αが、突軸237cの中心P3から、伝達片237の押圧位置における突軸237cの中心P4までの距離D3と等しい(D1−D2=α、α=D3)関係となっている。
【0123】
即ち、距離D3は、突軸237cの下方への移動距離、換言すると、伝達片237における押圧部237dの下方への移動距離であるから、本発明の目的を達成するためには、少なくとも、距離D3は押圧部237dがロック解除ピン4aを確実に押圧できる移動距離と同じか、それ以上が必要であるため、「α(距離D3)≧非押圧位置の伝達片237における押圧部237dの位置から、押圧位置の伝達片237における押圧部237dの位置までの距離β」となるように、横長孔236f、ガイド溝236g、および長溝236hの形状(長手方向の寸法)や位置を配慮する必要がある。
例えば、α≧βの関係となっている
図45に示すガススプリング押圧機構234において、横長孔236f、ガイド溝236gの右側を下方に傾斜させた状態で設けた場合には、D2が減少するため、αは増加する。従って、このように横長孔236f、ガイド溝236gを設けてもよい。
【0124】
次に、伝達片237のガススプリング4への押圧態様について説明する。
伝達片237は、
図17に示すように、それが非押圧位置のとき、伸縮式の脚柱5の上部を形成するガススプリング4の上端より上方に突出するロック解除ピン4aの上方に位置するようになっている。
一方、伝達片237は、
図18に示すように、それが押圧位置のとき、非押圧位置から下方へ移動して、伝達片237の押圧部237dは、保持筒236から下方へ突出して、ガススプリング4のロック解除ピン4aを押圧するようになっている。
【0125】
本実施形態においては、例えば、伝達片を回転させる押圧構造と比較して、インナーワイヤ249の牽引による伝達片237の上端部の水平方向の直線運動を、伝達片237の下部のほぼ垂直方向の直線運動に変換することによって(
図45〜
図47参照)、伝達片237の押圧部237dによるロック解除ピン4aを作動させるに足りる押圧量を容易に確保することができる。また、伝達片237の直下に位置するガススプリング4のロック解除ピン4aに対して、伝達片237の押圧部237dは、ほぼ垂直に力を伝達することができるため、確実かつ効率的にロック解除ピン4aを押圧することができる。さらに、アーム部材の直線運動を可能とする空間があれば足り、アーム部材の作動に要する空間の省スペース化を図ることができる。
【0126】
高さ調節手段230によると、操作レバー233を、不作動位置から、作動位置まで引き上げると、インナーワイヤ249が牽引されて、伝達片237が、
図45に示す非押圧位置から、
図47に示す押圧位置まで変位させられ、そのときの伝達片237の押圧部237dが下方に移動することによって、押圧部237dにガススプリング4のロック解除ピン4aが押し下げられて、脚柱5が自由に伸縮しうるようになる。
座7が所望の高さとなった時点で、操作レバー233から手を離すと、ガススプリング4のロック解除ピン4aの復帰用の付勢手段(図示略)の上向きの付勢力(復帰力)により、伝達片237の押圧部237dが押し上げられて、ロック解除ピン4aが非押圧状態となると、ガススプリング4が伸縮不能な状態となって、脚柱5はロックされ、座7の高さが決定される。押圧部237dが押し上げられることに伴って、伝達片237は、上記と逆方向に変位させられ、それに伴って、インナーワイヤ249は上記と逆側に牽引させられ、操作レバー233は不作動位置まで復帰回動させられる。
【0127】
次に、ロック装置34におけるロック部材35を回動部材18の係合面18aに係脱させる操作手段301について説明する。
この操作手段301は、支基6に設けられ、かつロック部材35を常時ロック解除方向に向かって付勢する上記圧縮コイルばね37(
図12および
図13)よりなる付勢手段と、椅子の適所、この実施形態においては座支持部材90に設けられた操作レバー302(
図3)と、操作レバー302と連係されて支基6に設けられ、操作レバー302の操作によって、ロック部材35を、圧縮コイルばね37の付勢力に抗してロック位置まで押動したり、ロック部材35が、圧縮コイルばね37の付勢力によりロック解除位置に押動されるのを許容したりする、すなわちロック部材35をロック位置と解除位置とに移動させる作動装置である進退装置303(
図5)とを備えている。
【0128】
進退装置303は、
図48〜
図57に示すように、ケース304と、ケース304に、一方向に往復移動可能として装着され、進出位置(
図51)と後退位置(
図56)と、その中間の中間停止位置(
図55)とに移動可能とした入力部材305と、ケース304に設けられ、入力部材305を進出位置に向かって付勢する付勢手段としての圧縮コイルばね306と、ケース304に、入力部材305と同方向に往復移動可能として装着され、作動位置(
図51および
図52)と、リターン位置(
図56)と、その中間の不作動位置(
図55)とに移動可能とした出力部材307と、後退位置切換手段308と、進出位置切換手段309とを備えている。
なお、以下の進退装置303の説明に関しては、
図50〜
図57の図面上の左右方向を左右方向とし、その図面の面と直交する方向を前後方向とする。
【0129】
後退位置切換手段308は、第1停止位置(
図51〜
図54)と第2停止位置(
図55および
図56)とに移動可能としてケース304に設けた停止部材310を備えており、入力部材305の奇数回目の後退時に、第1停止位置に位置している停止部材310が(
図51)、入力部材305に設けた第1当接部305aに当接して(
図53)、入力部材305を中間停止位置に停止させ(
図54)、その後の入力部材305の進出時に、停止部材310が第1停止位置から第2停止位置に移動させられ(
図55)、入力部材305の偶数回目の後退時に、入力部材305の後退位置までの後退を許容し、後退位置に達したとき(
図56)、停止部材310が入力部材305に設けた第2当接部305bに当接して、入力部材305を後退位置に停止させ、入力部材305の後退位置からの進出時に、入力部材305に設けた復帰片305cにより、停止部材308が第2停止位置から第1停止位置に移動させられる(
図57)ようになっている。
【0130】
進出位置切換手段309は、ケース304に設けたガイド孔311と、入力部材305に設けたガイド孔312と、出力部材307に設けたガイド孔313とを貫通するようにしてケース304に装着された連係ピン314を有し、入力部材305の奇数回目の進出時に、出力部材307を不作動位置に停止させ(
図55)、入力部材305の偶数回目の進出時に、出力部材307を作動位置に停止させる(
図51)ように、連係ピン314を各ガイド孔311、312、313の縁に沿って案内させることにより、ケース304と入力部材305と出力部材307とを互いに連係させるようになっている。
【0131】
ケース304は、上端に外向鍔部304aを有し、かつ上下方向に開口する左右方向に長い角筒状をなし、左方の側端壁304bには、円形の挿通孔315が設けられ、かつ右方の側端壁304cの内面には、ばね受けピン316が突設されている。
【0132】
ケース304における前後の両側壁304d、304dには、前後方向に貫通する上記ガイド孔311と、さらに別のガイド孔317とが、互いに左右に離間させて設けられている。
【0133】
ケース304は、
図5および
図17に示すように、その外向鍔部304aが、支基本体11の上面に当接するようにして、他部を、支基本体11の上面のほぼ中央部に設けた左右方向に長い方形の嵌合孔318に嵌合し、かつ外向鍔部304aを支基本体11にねじ止めすることにより、支基本体11に、容易に着脱しうるように装着されている。
【0134】
入力部材305は、挿通孔315が設けられたケース304の側端壁304bに対向する面に、出力部材307を進退自在に収容する凹部319が設けられた中空箱状の本体部305dを備えており、その上端に、
図51の左方である進出方向に突出して、ケース304の側端壁304bの上端面に沿って摺動するようにしたガイド突部305eが設けられている。
【0135】
入力部材305における上記復帰片305cは、本体部305dの
図51における右方の端面の上部に、右方に突出するようにして設けられ、かつ先端部が下向きに屈曲している。
本体部305dの右方の端面における復帰片305cの直下には、上記第2当接部305bが、左方に横向きU字状に凹入するように設けられ、さらにその下方に、第1当接部305aが、右方に突出するように設けられている。
第1当接部305aの先端面は、停止部材310における後述する係止ピンが係合しうるように、浅く凹入している。
【0136】
入力部材305の本体部305dの右端面におけるばね受けピン316と対向する部分には、ばね受けピン305fが突設され、両ばね受けピン305f、316に圧縮コイルばね306の左右の端部が嵌合するようにして、入力部材305の本体部305dの右端面とケース304の側端壁4cの内側面との間に、圧縮コイルばね306が縮設されている。
【0137】
出力部材307は、入力部材305の凹部319内に左右方向に摺動可能として嵌合された本体部307aと、その左端に突設され、ケース304の側端壁304bにおける挿通孔315を摺動自在に挿通して、ケース304より左方に突出する突軸307bとからなっている。
【0138】
後退位置切換手段308における上記停止部材310は、全体が正面視横向きU字状をなして、上下の端部が互いに拡開しようとする習性を有し、二股状の下端部が前後方向を向く軸320をもってケース304に止着され、かつ二股状となった上端部に、前後方向を向く係止ピン321が設けられている。
この係止ピン321は、中間部が入力部材305の第1当接部305aおよび第2当接部305bに当接可能であり、かつ前後の端部が、ケース304の両側壁304d、304dに設けた正面視ほぼ直角三角形のガイド孔317に嵌合されている。
【0139】
ガイド孔317は、入力部材305の移動方向である左右方向と平行をなし、第1停止位置に位置している係止ピン321が、入力部材305の第1当接部305aに当接して、後退させられるのを案内する左右方向を向くガイド縁317aと、入力部材305の移動方向と直交するように上方を向き、係止ピン321が当接することにより、係止ピン321のそれ以上の右方への後退を阻止する停止縁317bと、第2停止位置に位置している係止ピン321が、入力部材305に設けた復帰片305cにより、進出方向に移動させられる際に(
図56および
図57参照)、係止ピン321を第2停止位置から第1停止位置に移動するように案内する傾斜縁317cとを備えている。
【0140】
次に、各ガイド孔311、312、313と連係ピン314との関係について説明する。
出力部材307に設けたガイド孔313は、入力部材305の移動方向と平行をなす左右方向を向く短寸の第1ガイド溝313aと、その右端から下方を向く第2ガイド溝313bとを備えている。
【0141】
出力部材307における第1ガイド溝313aの右端の上方には、上方を向くばね収容孔322が設けられ、ここに上下方向を向く付勢手段である圧縮コイルばね323が収容されている。
圧縮コイルばね323の上端は、入力部材305におけるガイド突部305eの下面に当接し、かつ同じく下端は、ガイド孔313内を貫通する前後方向を向く連係ピン314の中間部に当接し、連係ピン314を常時下方に向かって付勢している。
【0142】
入力部材305に設けたガイド孔312は、出力部材307における第1ガイド溝313aより僅かに長い左右方向を向く第1ガイド溝312aと、その右端から下方を向く第2ガイド溝312bと、この第2ガイド溝312b下端から左斜め上方に向かって延出し、入力部材305の奇数回目の後退時に、連係ピン314に摺接して、連係ピン314を、圧縮コイルばね323の付勢力に抗して、ケース304のガイド孔311における後述する突部311bを乗り越える位置まで上昇させる傾斜カム面312cとを備えている。
傾斜カム面312cの上端から第1ガイド溝312aまでの間には、短寸の垂直面312dが設けられているが、この垂直面312dは省略して、傾斜カム面312cの上端がそのまま第1ガイド溝312aに繋がるようにしてもよい。
【0143】
ケース304に設けたガイド孔311は、連係ピン314が圧縮コイルばね323の付勢力によって当接させられる左右方向を向く底片となる基準縁311aと、この基準縁311aの左右方向の中間部に上向き突設され、入力部材305の奇数回目の進出時に、連係ピン314が後縁に当接して、出力部材307を不作動位置に停止させ(
図55)、かつ出力部材307が作動位置に停止しているときは、連係ピン314が前縁に当接して、出力部材307の後退を阻止するようにした突部311bと、入力部材305の偶数回目の後退時に、連係ピン314に摺接して、連係ピン314を、圧縮コイルばね323の付勢力に抗して、出力部材307におけるガイド孔313の
第1ガイド溝313aに係合するまで移動させる右上方に向かって延出する第1傾斜カム面311cと、入力部材305の偶数回目の進出時に、連係ピン314に摺接して、連係ピン314を、出力部材307におけるガイド孔313の
第2ガイド溝313bに係合する位置まで移動させる第2傾斜カム面311dとを備えている。
【0144】
なお、入力部材305のガイド孔312における傾斜カム面312cは、入力部材305の偶数回目の後退時に、ケース304におけるガイド孔311の第1傾斜カム面311cと協働して、連係ピン314を、付勢手段の付勢力に抗して、出力部材307におけるガイド孔313の
第1ガイド溝313aに係合するまで移動させる作用もする。
【0145】
ケース304の上端開口部より露呈するようにした入力部材305の上面には、ワイヤーエンド取付部324が設けられ、ここに、ケース304の右端上部に止着されたボーデンケーブル325におけるアウターチューブ325aの一端から左方に向けて引き出されたインナーワイヤ325bの端末が止着されている。
アウターチューブ325a他端は、
図3に示す座支持部材90における操作レバー302の近傍に止着され、そこから引き出されたインナーワイヤ325bの他端は、操作レバー302に止着され、操作レバー302を回動操作することにより、インナーワイヤ325bを牽引して、入力部材305を、圧縮コイルばね306の付勢力に抗して、右方に繰り返し移動させる、すなわち後退させることができるようになっている。
【0146】
次に、この進退装置303の操作要領と作用について説明する。
図51に示すように、入力部材305が、圧縮コイルばね306の付勢力により、左方に付勢され、入力部材305における本体部305dの左端が、ケース304における側端壁304bの内面に当接して、進出位置に保持されているとき、連係ピン314は、圧縮コイルばね323の付勢力により下向きに付勢され、入力部材305のガイド孔312における第2ガイド溝312bの下端と、出力部材307のガイド孔313における第2ガイド溝313bの下端とに係合するとともに、ケース304のガイド孔311における突部311bの左側縁とその左方の基準縁311aとに当接して、右方への移動が阻止され、出力部材307は、その突軸307bがケース304の左端より最も左方に突出した作動位置に保持されている。
【0147】
停止部材310は、その係止ピン321がガイド孔317の前端部に係合することにより、第1停止位置に保持されている。
【0148】
この状態から、操作レバー302を回動し、インナーワイヤ325bを牽引して、入力部材305を右方に移動(第1回目の後退)させると、
図52に示すように、入力部材305におけるガイド孔312の傾斜カム面312cにより、連係ピン314が、圧縮コイルばね323の付勢力に抗して持ち上げられ、連係ピン314が、ケース304のガイド孔311における突部311bの上面より上方に持ち上げられた時点で、
図53に示すように、連係ピン314と入力部材305と出力部材307とが一体となって、突部311bの上面に沿って右方に移動し、連係ピン314が、突部311bの上面を通過したとき、連係ピン314は、圧縮コイルばね323の付勢力により、一旦ケース304のガイド孔311における突部311bの後方における基準縁311aに当接するまで押し下げられた後、
図54に示すように、ケース304のガイド孔311における第1傾斜カム面311cに沿って摺動することにより、持ち上げられる。
【0149】
また、
図52に示す状態から、
図54示す状態に至る途中で、入力部材305の第1当接部305aが、第1停止位置に位置している係止ピン321に当接し、それを右方に押動し、係止ピン321が、
図54示すように、ガイド孔317の停止縁317bに当接すると、入力部材305と出力部材307と連係ピン314とがその位置で停止させられる。
【0150】
その後、操作レバー302から手を離すと、入力部材305は、圧縮コイルばね306の付勢力により、左方に押動される(第1回目の進出)とともに、連係ピン314は、圧縮コイルばね323の付勢力により下向きに押動させられることにより、ケース304のガイド孔311における第1傾斜カム面311cに沿って下方に摺動し、
図55に示すように、連係ピン314がケース304のガイド孔311における突部311bの右側面とその右方の基準縁311aとに当接することにより、入力部材305はそれ以上の左方への移動が阻止され、中間停止位置に保持され、出力部材307は、不作動位置に停止させられる。
【0151】
また、
図54に示す状態から、入力部材305が左方に移動させられる際に、係止ピン321は、入力部材305の第1当接部305aから離れて、ガイド孔317の停止縁317bに沿って上方に移動させられ、第2停止位置に停止させられる。
これは、係止ピン321が、
図53に示す状態から、
図54に示すように、ガイド孔317の停止縁317bに当接する直前までは、停止部材310が直線状に戻ろうとする復元力の分力により、係止ピン321は左方に付勢されているが、係止ピン321がガイド孔317の停止縁317bに当接した時点では、係止ピン321が軸320の直上か、またはその右方に位置し、停止部材310が直線状に戻ろうとする復元力の分力が、係止ピン321を左方に付勢することはなくなるか、または逆に右方に向かって付勢することになるためである。
【0152】
図55に示す状態から、再度操作レバー302を回動し、インナーワイヤ325bを牽引して、入力部材305を右方に移動(第2回目の後退)させると、連係ピン314は、入力部材305のガイド孔312における傾斜カム面312cが右方に移動することにより、傾斜カム面312cとケース304におけるガイド孔311の第1傾斜カム面311cとの協働作動により、圧縮コイルばね323の付勢力に抗して、漸次持ち上げられ、その後入力部材305のガイド孔312における垂直面312dの高さに至っても、その垂直面312dとケース304におけるガイド孔311の第1傾斜カム面311cとに沿って摺接することにより、さらに持ち上げられ、
図56に示すように、入力部材305のガイド孔312における第1ガイド溝312aに係合すると、ほぼ同時に、出力部材307のガイド孔313における第1ガイド溝313aにも係合する。
【0153】
その後、または連係ピン314が出力部材307のガイド孔313における第1ガイド溝313aに係合するのとほぼ同時に、入力部材305の第2当接部305bが、第2停止位置に位置している停止部材310の係止ピン321に当接し、入力部材305のそれ以上の右方への移動が阻止され、入力部材305は、
図56に示すように、右限である後退位置に停止させられる。
【0154】
また、出力部材307は、連係ピン314が、そのガイド孔313における第1ガイド溝313aの左端と、入力部材305のガイド孔312における第1ガイド溝312aの左端と、ケース304におけるガイド孔311の右上端とに係合した状態で、最も後退したリターン位置に停止させられる。
【0155】
その後、操作レバー302から手を離すと、入力部材305は、圧縮コイルばね306の付勢力により、左方に押動される(第2回目の進出)。
このとき、連係ピン314は、圧縮コイルばね323の付勢力により、入力部材305のガイド孔312における第1ガイド溝312aの下縁に圧接されており、それより下方への移動が阻止された状態で、入力部材305および出力部材307と一体となって左方へ移動させられる。
【0156】
図57に示すように、連係ピン314が、ケース304のガイド孔311における第2傾斜カム面311dに当接すると、連係ピン314のそれ以上の左方への移動が阻止され、それに対して、入力部材305と出力部材307とが相対的に左方へ移動させられることにより、連係ピン314は、入力部材305のガイド孔312における第1ガイド溝312aから第2ガイド溝312bへ、また、出力部材307のガイド孔313における第1ガイド溝313aから第2ガイド溝313bへ移行させられ、圧縮コイルばね323の付勢力により、それらの第2ガイド溝312b、313bの下端部に係合させられ、
図51に示す状態に復帰させられる。
すなわち、入力部材305における本体部305dの左端が、ケース304における側端壁304bの内面に当接して、入力部材305は進出位置に保持され、出力部材307は、その突軸307bがケース304の左端より最も左方に突出した作動位置に保持され、連係ピン314は、ケース304のガイド孔311における突部311bの左側縁とその左方の基準縁311aとに当接して、右方への移動が阻止される。
【0157】
図56に示す状態から、
図57に示す状態を経て、
図51に示す状態に復帰するまでの間に、ガイド孔317における停止縁317bと傾斜縁317cとのなす後上端の角部に係合して、第2停止位置に位置していた停止部材310における係止ピン321は、入力部材305の左方への移動時に、復帰片305cの先端部の下向き部分に当接して、
図57に示すように、ガイド孔317の傾斜縁317cに沿って左方へ押動され、
図51に示すように、ガイド孔317の前端部に係合する第1停止位置に復帰させられる。
【0158】
この進退装置303は、操作レバーの第3回目の回動操作、およびそれ以降の奇数回目の回動操作によって、第1回目の回動操作のときと同じように作動し、また操作レバーの第4回目の回動操作、およびそれ以降の偶数回目の回動操作によって、第2回目の回動操作のときと同じように作動する。
【0159】
進退装置303は、出力部材307の突軸307bが、ロック部材35の方向を向くようにして、ケース304を支基本体11の上面に設けた嵌合孔318に嵌合して装着し、作動位置としたときの出力部材307の突軸307bをもって、ロック部材35をロック位置まで押動することができ、出力部材307を不作動位置とすることにより、ロック部材35が、圧縮コイルばね37の付勢力により、ロック解除位置へ移動させられるのを許容するようになっている。
【0160】
また、ロック装置34におけるロック部材35の操作手段301を、上記のような構成としたことにより、背凭れ10に着座者が凭れていて、ロック部材35が回動部材18の係合面18aから離脱できない場合でも、進退装置303の出力部材307を不作動位置に復帰させておくことにより、その後、背凭れ10に作用していた負荷が解消した時点で、ロック部材35が、圧縮コイルばね37の付勢力により、回動部材18の係合面18aから自動的に離脱することができる。すなわち、ロック解除の予約機能をもたせることができる。
【0161】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような変形した態様での実施が可能である。
(1) 入力部材305を、ボーデンケーブル325を介することなく、直接操作レバー等により移動させるようにする。
(2) 後退位置切換手段または進出位置切換手段を、機能が同一で構成が実施形態のものと異なるものと置換する。
【0162】
上記実施形態では、ガススプリング押圧機構234を作動させる操作レバー233、およびロック装置34を作動させる操作レバー302を、座7における座支持部材90に設けているが、これらの操作レバー233、302は、図示を省略した肘掛けや、椅子における他の部分に設けてもよい。