特許第6141623号(P6141623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6141623光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法及び光ピックアップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141623
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法及び光ピックアップ
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/22 20060101AFI20170529BHJP
   G11B 7/12 20120101ALI20170529BHJP
【FI】
   G11B7/22
   G11B7/12
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-259565(P2012-259565)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-106992(P2014-106992A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 善人
(72)【発明者】
【氏名】桜井 修
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−005610(JP,A)
【文献】 特開2007−102826(JP,A)
【文献】 特開2007−095145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/22
G11B 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式記録媒体にレーザ光を集光するレンズ等を備えた可動部と、この可動部を変位可能に支持する支持部と、前記レーザ光を発するレーザ装置、受光素子等を備えた集積光学素子部と、この集積光学素子部を光ディスク装置本体側に接続するフレキシブル配線板とを有し、前記支持部に樹脂製フレームを備える光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法であって、
前記フレキシブル配線板は、複数の爪部及び壁部が形成された前記樹脂製フレームに巻き付けられ、前記爪部に掛けられるとともに前記壁部に位置決めされて固定され
前記フレキシブル配線板は、その一端部から長手方向に突出する耳部が形成され、この耳部が前記爪部に掛けられることを特徴とする光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法。
【請求項2】
前記フレキシブル配線板は、前記樹脂製フレームの一方向に巻き付けられることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法。
【請求項3】
前記フレキシブル配線板は、前記樹脂製フレームに略一周巻かれ、この略一周した部分は、両縁部が一対の前記爪部で固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法。
【請求項4】
前記フレキシブル配線板は、その中間部の一側部に、前記集積光学素子部に接続される2本の分岐部を備え、これらの分岐部の近傍の他側部が前記爪部で固定され、前記一対の分岐部の間の前記一側部が前記爪部で固定されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法。
【請求項5】
前記耳部が掛けられる前記爪部は、前記フレキシブル配線板を巻き始める前記樹脂製フレームのトラッキング方向に位置する一側面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法。
【請求項6】
光学式記録媒体にレーザ光を集光するレンズ等を備えた可動部と、この可動部を変位可能に支持する支持部と、前記レーザ光を発するレーザ装置、受光素子等を備えた集積光学素子部と、この集積光学素子部を光ディスク装置本体側に接続するフレキシブル配線板とを有し、前記支持部に樹脂製フレームを備える光ピックアップであって、
前記フレキシブル配線板は、複数の爪部及び壁部が形成された前記樹脂製フレームに巻き付けられ、前記爪部に掛けられるとともに前記壁部に位置決めされて固定され
前記フレキシブル配線板は、その一端部から長手方向に突出する耳部が形成され、この耳部が前記爪部に掛けられることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
前記フレキシブル配線板は、前記樹脂製フレームに略一周巻かれ、この略一周した部分は、両縁部が一対の前記爪部で固定されることを特徴とする請求項6に記載の光ピックアップ。
【請求項8】
前記フレキシブル配線板の一側部に、前記集積光学素子部に接続される一対の分岐部を備え、これらの分岐部の近傍の他側部が他側部爪部で固定され、前記一対の分岐部の間の前記一側部が一側部中間爪部で固定されることを特徴とする請求項6又は7に記載の光ピックアップ。
【請求項9】
前記耳部が掛けられる前記爪部は、前記フレキシブル配線板を巻き始める前記樹脂製フレームのトラッキング方向に位置する一側面に設けられていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の光ピックアップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製フレームの形状を利用した光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法及び光ピックアップに関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置において光ディスクの信号を再生する若しくは記録する光ピックアップでは、光ディスク装置の本体側との接続に、可撓性を有するフレキシブル配線板が用いられることが多い。
上記のフレキシブル配線板としては、光ピックアップに備える対物レンズ等からなる可動部を変位可能に支持する支持部のフレームに板材やビス、接着剤で固定されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−3234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブル配線板をフレームに固定するために特別に板材等を設ける構造では、部品点数が多くなり、コスト及び組付工数が嵩む。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、フレキシブル配線板を特別な部品を追加することなしに簡易な構成で固定することが可能な光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法及び光ピックアップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、光学式記録媒体にレーザ光を集光するレンズ等を備えた可動部と、この可動部を変位可能に支持する支持部と、前記レーザ光を発するレーザ装置、受光素子等を備えた集積光学素子部と、この集積光学素子部を光ディスク装置本体側に接続するフレキシブル配線板とを有し、前記支持部に樹脂製フレームを備える光ピックアップにおけるフレキシブル配線板の固定方法であって、前記フレキシブル配線板は、複数の爪部及び壁部が形成された前記樹脂製フレームに巻き付けられ、前記爪部に掛けられるとともに前記壁部で位置決めされて固定され、前記フレキシブル配線板は、その一端部から長手方向に突出する耳部が形成され、この耳部が前記爪部に掛けられることを特徴とする。
この構成によれば、フレキシブル配線板を、樹脂製フレームに巻き付けるとともに樹脂製フレームの爪部及び壁部を利用して固定する構造であるため、別部材の板材、ビス、接着剤等を用いずに済み、部品点数及び組立工数を削減することができ、軽量化、コスト削減及び生産性向上を図ることができる。また、フレキシブル配線板が、樹脂製フレームに一周巻かれた際に、フレキシブル配線板における一端部の耳部以外の部分と中間部とを干渉しないようにすることができる。
【0006】
上記構成において、前記フレキシブル配線板は、前記樹脂製フレームの一方向に巻き付けられるようにしても良い。この構成によれば、樹脂製フレームの一方向にフレキシブル配線板を巻き付けることで、巻き付け作業性を向上させることができ、生産性をより一層高めることができる。
また、上記構成において、前記フレキシブル配線板は、前記樹脂製フレームに略一周巻かれ、この略一周した部分は、両縁部が一対の前記爪部で固定されるようにしても良い。
この構成によれば、フレキシブル配線板において、樹脂製フレームに略一周の最後に固定される部分は、両縁部が一対の前記爪部で固定されるため、フレキシブル配線板が動いたとしても樹脂製フレームから外れにくくすることができる。
【0007】
た、上記構成において、前記フレキシブル配線板は、その中間部の一側部に、前記集積光学素子部に接続される2本の分岐部を備え、これらの分岐部の近傍の他側部が前記爪部で固定され、前記一対の分岐部の間の前記一側部が前記爪部で固定されるようにしても良い。この構成によれば、分岐部の近傍の一側部における分岐部の両側も爪部で固定すると、集積光学素子部を樹脂製フレームに取付ける際にフレキシブル配線板の分岐部及びその周辺の動きが制限され、取付けにくくなるが、本発明では、分岐部の近傍の他側部と、分岐部の間の一側部を爪部で固定することで、集積光学素子部を取付けやすくすることができるとともにフレキシブル配線板を確実に固定することができる。
また、上記構成において、前記耳部が掛けられる前記爪部は、前記フレキシブル配線板を巻き始める前記樹脂製フレームのトラッキング方向に位置する一側面に設けられていても良い。
本発明の光ピックアップは、光学式記録媒体にレーザ光を集光するレンズ等を備えた可動部と、この可動部を変位可能に支持する支持部と、前記レーザ光を発するレーザ装置、受光素子等を備えた集積光学素子部と、この集積光学素子部を光ディスク装置本体側に接続するフレキシブル配線板とを有し、前記支持部に樹脂製フレームを備える光ピックアップであって、前記フレキシブル配線板は、複数の爪部及び壁部が形成された前記樹脂製フレームに巻き付けられ、前記爪部に掛けられるとともに前記壁部に位置決めされて固定され、前記フレキシブル配線板は、その一端部から長手方向に突出する耳部が形成され、この耳部が前記爪部に掛けられることを特徴とする。
この構成によれば、フレキシブル配線板を、樹脂製フレームに巻き付けるとともに樹脂製フレームの爪部及び壁部を利用して固定する構造であるため、別部材の板材、ビス、接着剤等を用いずに済み、部品点数及び組立工数を削減することができ、軽量化、コスト削減及び生産性向上を図ることができる。また、フレキシブル配線板が、樹脂製フレームに一周巻かれた際に、フレキシブル配線板における一端部の耳部以外の部分と中間部とを干渉しないようにすることができる。
上記構成において、前記フレキシブル配線板は、前記樹脂製フレームに略一周巻かれ、この略一周した部分は、両縁部が一対の前記爪部で固定された光ピックアップとしても良い。この構成によれば、フレキシブル配線板において、樹脂製フレームに略一周の最後に固定される部分は、両縁部が一対の前記爪部で固定されるため、フレキシブル配線板が動いたとしても樹脂製フレームから外れにくくすることができる。
また、上記構成において、前記フレキシブル配線板の一側部に、前記集積光学素子部に接続される一対の分岐部を備え、これらの分岐部の近傍の他側部が他側部爪部で固定され、前記一対の分岐部の間の前記一側部が一側部中間爪部で固定された光ピックアップとしても良い。この構成によれば、分岐部の近傍の一側部における分岐部の両側も爪部で固定すると、集積光学素子部を樹脂製フレームに取付ける際にフレキシブル配線板の分岐部及びその周辺の動きが制限され、取付けにくくなるが、本発明では、分岐部の近傍の他側部と、分岐部の間の一側部をそれぞれ他側部爪部、一側部爪部で固定することで、集積光学素子部を取付けやすくすることができるとともにフレキシブル配線板を確実に固定することができる。
また、上記構成において、前記耳部が掛けられる前記爪部は、前記フレキシブル配線板を巻き始める前記樹脂製フレームのトラッキング方向に位置する一側面に設けられた光ピックアップとしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、フレキシブル配線板は、複数の爪部及び壁部が形成された樹脂製フレームに巻き付けられ、爪部に掛けられるとともに壁部で位置決めされて固定されるので、フレキシブル配線板を、樹脂製フレームに巻き付けるとともに樹脂製フレームの爪部及び壁部を利用して固定する構造であるため、別部材の板材、ビス、接着剤等を用いずに済み、部品点数及び組立工数を削減することができ、軽量化、コスト削減及び生産性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の光ピックアップを示す平面図である。
図2】光ピックアップの一端部を示す斜視図である。
図3】スライドベースとフレキシブル配線板とを示す分解斜視図である。
図4】スライドベースを示す平面図である。
図5図4のV矢視図である。
図6】スライドベースの下面を示す下面図である。
図7図4のVII矢視図である。
図8】フレキシブル配線板を示す平面図である。
図9】スライドベースの一側面にフレキシブル配線板を巻き付ける要領を示す作用図である。
図10】スライドベースの下面にフレキシブル配線板を巻き付ける要領を示す作用図である。
図11】スライドベースの他側面にフレキシブル配線板を巻き付ける要領を示す作用図である。
図12】スライドベースの上面にフレキシブル配線板を巻き付ける要領を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態の光ピックアップ10を示す平面図である。
光ディスク装置等においては、光ディスクの信号の再生若しくは記録のために、光ピックアップ10を搭載している。
光ピックアップ10は、光ディスクの情報を光学的に読み取る、あるいは光ディスクに情報を光学的に書き込む装置であり、光ディスクにレーザ光を集光する対物レンズ12等を備える可動部11と、この可動部11を複数の支持ワイヤ20を介して変位可能に支持する支持部21とを有する。
可動部11は、対物レンズ12と、この対物レンズ12を支持するレンズホルダ13と、このレンズホルダ13を電磁的に駆動する駆動コイル14等を備える。
支持部21は、光ディスク装置の本体側にスライド可能に取付けられる樹脂製のスライドベース22と、このスライドベース22に取付けられた金属製のベースプレート23、集積光学素子部24、集積光学素子部24を光ディスク装置の本体側に電気的に接続するフレキシブル配線板26と、ベースプレート23に取付けられたプリント基板27、マグネット、金属製の保護カバー28とを備える。
【0011】
スライドベース22は、可動部11と、支持部21の他の部分とを囲むように収容する部品である。
ベースプレート23は、板材が折り曲げられて成形された部材である。集積光学素子部24は、光源となるレーザ装置、受光素子、光学部材等を備えた部材群である。フレキシブル配線板26は、集積光学素子部24を光ディスク装置の本体側に電気的に接続する可撓性を有する部品である。プリント基板27は、フレキシブル配線板26に別のフレキシブル配線板を介して接続され、フレキシブル配線板26が接続される光ディスク装置の本体側と支持ワイヤ20とを電気的に接続する中継部である。保護カバー28は、板材が折り曲げられて成形された部材であり、可動部11及び支持部21を保護している。
支持ワイヤ20は、弾性を有する線状体からなる連結部材であり、光ピックアップ10の両側部に2本ずつ配置されている。支持ワイヤ20の一端は、可動部11側に半田付けされて駆動コイル14に電気的に導通し、他端は、プリント基板27に半田付けされ、中間部のプリント基板27寄りの部分は、ベースプレート23と保護カバー28とで形成される緩衝材充填部30に充填された緩衝材で支持されて可動部11に発生する振動を減衰させる。
【0012】
図2は、光ピックアップの一端部を示す斜視図である。図中の矢印は、対物レンズが駆動される方向を示す。矢印Fはフォーカス方向、矢印Tはトラッキング方向である。
光ピックアップの一端部、即ちスライドベース22の集積光学素子部24が取付けられる側の一端部に、フレキシブル配線板26が略一周巻かれて取付けられている。
スライドベース22は、対物レンズ12(図1参照)が配置される側である上面22Aと、この上面22Aの下方に対向する下面22B(図6参照)と、対物レンズ12に対してトラッキング方向Tに位置する一側面22C及び他側面22Dとを備え、フレキシブル配線板26は、その巻き始めの部分が一側面22Cに有り、この一側面22Cから順に下面22B、他側面22D、上面22Aに巻かれる。
【0013】
図3は、スライドベース22とフレキシブル配線板26とを示す分解斜視図である。
スライドベース22は、光ディスク装置の本体側にスライド可能且つ揺動可能に取付けられる本体側取付部22eと、この本体側取付部22eに連結される箱形の収容部22fと、この収容部22fに隣接してフレキシブル配線板26が巻き付けられる先端部22gとを一体に備える。
収容部22fは、図1に示した可動部11と、支持部21のスライドベース22以外の構成部品とが収容される部分であり、本体側取付部22eに隣接する一端側壁部22jと、先端部22g側に設けられた他端側壁部22kと、2つの側壁22m,22nと、底壁22pとからなる。
フレキシブル配線板26は、スライドベース22に巻き付けるために一端部側に設けられた巻き付け部26Aと、光ディスク装置の本体側に接続するために他端部側に設けられた幅広の接続部26Bと、これらの巻き付け部26A及び接続部26Bのそれぞれを繋ぐ延出部26Cとから構成されている。巻き付け部26Aには集積光学素子部24が接続されている。延出部26Cは、光ディスク装置の本体側に対してスライドベース22が移動する際に略U字状に屈曲する部分であり、屈曲するのに十分な長さを有する。
【0014】
図4は、スライドベース22を示す平面図である。なお、矢印Rはトラッキング方向Tに直交する直交方向である。
収容部22fは、対物レンズ12(図1参照)及びその周囲に配置される部品が収容される主収容部22sと、プリント基板27等が配置されるように主収容部22sに隣接して設けられた副収容部22tとを備える。
先端部22gは、その端面に集積光学素子部24(図3参照)が挿入されて取付けられる素子取付穴22uが形成され、先端部22gの上面22Aには、フレキシブル配線板26(図3参照)を配置するためにトラッキング方向Tに延びる上部配線配置部22vが形成されている。上部配線配置部22vは、その両側にフレキシブル配線板26を係止する爪部32a〜32eが形成されている。爪部32a,32b,32cは上部配線配置部22vの幅方向、即ち直交方向Rの一側に設けられ、爪部32d,32eは上部配線配置部22vの直交方向Rの他側に設けられている。
【0015】
図5は、図4のV矢視図であり、スライドベース22の一側面22Cを示している。
スライドベース22における先端部22gの一側面22Cには、フレキシブル配線板26(図3参照)を配置するためにフォーカス方向Fに延びる一側部配線配置部22wが形成されている。一側部配線配置部22wは、その両側に、フレキシブル配線板26を係止する爪部32g,32hと、フレキシブル配線板26を位置決めする凸部32j及び壁部32kとが形成されている。爪部32g及び凸部32jは一側部配線配置部22wの直交方向Rの一側に設けられ、爪部32h及び壁部32kは一側部配線配置部22wの直交方向Rの他側に設けられている。
【0016】
図6は、スライドベース22の下面22Bを示す下面図である。
スライドベース22における先端部22gの下面22Bには、フレキシブル配線板26(図3参照)を配置するためにトラッキング方向Tに延びる下部配線配置部22xが形成されている。
下部配線配置部22xは、その両側に、フレキシブル配線板26を係止する爪部32n,32pと、フレキシブル配線板26を位置決めする壁部32q,32rとが形成されている。壁部32q,32rは下部配線配置部22xの直交方向Rの一側に設けられ、爪部32n,32pは下部配線配置部22xの直交方向Rの他側に設けられている。
【0017】
図7は、図4のVII矢視図であり、スライドベース22の他側面22Dを示している。
スライドベース22における先端部22gの他側面22Dには、フレキシブル配線板26(図3参照)を配置するためにフォーカス方向Fに延びる他側部配線配置部22yが形成されている。他側部配線配置部22yは、その両側に、フレキシブル配線板26を係止する爪部32s,32tと、フレキシブル配線板26を位置決めする壁部32u,32vとが形成されている。爪部32s及び壁部32uは他側部配線配置部22yの直交方向Rの一側に設けられ、爪部32t及び壁部32vは他側部配線配置部22yの直交方向Rの他側に設けられている。
【0018】
図8は、フレキシブル配線板26を示す平面図である。
フレキシブル配線板26の巻き付け部26Aは、ボリューム35を取付けるために一端部に設けられたボリューム取付部26eと、フレキシブル配線板26の長手方向から側方に突出してプリント基板27(図1参照)側から延びる別のフレキシブル配線板36が接続される第1分岐部26fと、フレキシブル配線板26の長手方向から側方に突出して幅が広く形成された幅広部26gと、フレキシブル配線板26の長手方向から側方に分岐して集積光学素子部24に接続される第2分岐部26hとを備える。符号26pはボリューム取付部26eと第1分岐部26fとを繋ぐ第1配線部、26qは第1分岐部26fと幅広部26gとを繋ぐ第2配線部、26rは幅広部26gと第2分岐部26hとを繋ぐ第3配線部である。
【0019】
ボリューム取付部26eは、フレキシブル配線板26の長手方向に突出する耳部26dを備える。耳部26dは、スライドベース22(図5参照)側に係止される部分である。
ボリューム35は、集積光学素子部24の光量を調節する機能を有する。
第1分岐部26fは、フレキシブル配線板36と半田付けにて接続される。
幅広部26gは、配線が多く集中している部分であり、他の部品、配線が接続される。
第2分岐部26hは、一対の分岐配線部26k,26kと、これらの分岐配線部26k,26kに接続される素子側配線部26mとから構成され、素子側配線部26mに集積光学素子部24が接続される。符号26sは分岐配線部26k,26k間を繋ぐ第4配線部である。このように、一対の分岐配線部26k,26kで集積光学素子部24に接続することで、1本の分岐配線部26kの幅を小さくできるとともに分岐配線部26k,26kのそれぞれに外力を分散させることができるため、それぞれの分岐配線部26kを容易に屈曲させることができる。これにより、フレキシブル配線板26に接続されている集積光学素子部24をスライドベース22に取付けやすくすることができる。
接続部26Bは、光ディスク装置の本体側に設けられたコネクタ37に接続される。
【0020】
以上に述べたフレキシブル配線板26の巻き付け固定の要領を以下に順に説明する。
図9は、スライドベース22の一側面22Cにフレキシブル配線板26を巻き付ける要領を示す作用図である。図9(A)はフレキシブル配線板26(図8参照)の巻き付け前の一側部配線配置部22wを示す図であり、図5の要部を示している。図9(B)はフレキシブル配線板26の巻き付け後の一側部配線配置部22wを示す図である。
図9(A),(B)に示すように、まず、ボリューム取付部26eの耳部26dを一側部配線配置部22wの爪部32hに掛け、ボリューム取付部26eの一側縁部33aを凸部32jで位置決めするとともにボリューム取付部26eの他側縁部33bを壁部32kで位置決めし、ボリューム取付部26eの付根側縁部33cを爪部32gに掛ける。
このように、ボリューム取付部26eを、その一つの対角線位置にて爪部32g,32hで係止することで浮き上がりとフォーカス方向の移動を防止し、且つ凸部32j及び壁部32kで回り止めすることでボリューム35を支障なく回すことができる。
【0021】
図10は、スライドベース22の下面22Bにフレキシブル配線板26を巻き付ける要領を示す作用図である。図10(A)はフレキシブル配線板26(図8参照)の巻き付け前の下部配線配置部22xを示す図であり、図6の要部を示している。図10(B)はフレキシブル配線板26の巻き付け後の下部配線配置部22xを示す図である。
図10(A),(B)に示すように、第1分岐部26fの近傍である第1配線部26pを爪部32nに掛けるとともに第2配線部26qを爪部32pに掛け、第1配線部26pの縁部を壁部32qで位置決めするとともに第2配線部26qを壁部32rで位置決めする。このように、フレキシブル配線板26の第1分岐部26fの両側を爪部32n,32pで係止することで、第1分岐部26f及び第1分岐部26fに接続されるフレキシブル配線板36の浮き上がりを抑制することができる。
【0022】
図11は、スライドベース22の他側面22Dにフレキシブル配線板26を巻き付ける要領を示す作用図である。図11(A)はフレキシブル配線板26(図8参照)の巻き付け前の他側部配線配置部22yを示す図であり、図7の要部を示している。図11(B)はフレキシブル配線板26の巻き付け後の他側部配線配置部22yを示す図である。
図11(A),(B)に示すように、幅広部26gの一側縁部33eを爪部32sに掛けるとともに壁部32uで位置決めし、幅広部26gの他側縁部33fを爪部32tに掛けるとともに壁部32vで位置決めする。
爪部32s,32tは、縁部の一部が傾斜する形状であり、配線が多い幅広部26gにおいて、それらの配線に接触しないように配線を避けている。
【0023】
図12は、スライドベース22の上面22Aにフレキシブル配線板26を巻き付ける要領を示す作用図である。図12(A)はフレキシブル配線板26(図8参照)の巻き付け前の上部配線配置部22vを示す図であり、図4の要部を示している。図12(B)はフレキシブル配線板26の巻き付け後の上部配線配置部22vを示す図である。
図12(A),(B)に示すように、第2分岐部26hの近傍、詳しくは、第3配線部26rの他側縁部33hを爪部32dに掛け、第4配線部26sの一側縁部33jを爪部32a,32bに掛け、延出部26Cの一側縁部33kを爪部32cに掛け、延出部26Cの他側縁部33mを爪部32eに掛ける。
【0024】
第3配線部26rの一側縁部33pを掛ける爪部を設けていないのは、上部配線配置部22vで初めに他側縁部33hを爪部32dに掛けた後で集積光学素子部24をスライドベース22に取付ける際に、フレキシブル配線板26を動きやすくしてスライドベース22に容易に集積光学素子部24を取付けやすくするためである。一側縁部33pを爪部に掛けなくても第4配線部26sの一側縁部33jを爪部32a,32bに掛けることでフレキシブル配線板26を確実に固定することができる。
また、フレキシブル配線板26の巻き終わり部分である延出部26Cの両側を爪部32c,32eで係止することで、延出部26Cが光ピックアップ10(図1参照)の移動に伴って屈曲してもスライドベース22から外れることがなく、フレキシブル配線板26を確実に固定することができる。
【0025】
以上の図1図2図4図7に示したように、光学式記録媒体にレーザ光を集光するレンズとしての対物レンズ12等を備えた可動部11と、この可動部11を変位可能に支持する支持部21と、レーザ光を発するレーザ装置、受光素子等を備えた集積光学素子部24と、この集積光学素子部24を光ディスク装置本体側に接続するフレキシブル配線板26とを有し、支持部21に樹脂製フレームとしてのスライドベース22を備える光ピックアップ10におけるフレキシブル配線板26の固定方法であって、フレキシブル配線板26は、複数の爪部32a〜32e,32g,32h,32n,32p,32s,32t、壁部32k,32q,32r,32u,32v及び凸部32jが形成されたスライドベース22に巻き付けられ、爪部32a〜32e,32g,32h,32n,32p,32s,32tに掛けられるとともに壁部32k,32q,32r,32u,32v及び凸部32jで位置決めされて固定される。
【0026】
この構成によれば、フレキシブル配線板26を、スライドベース22に巻き付けるとともにスライドベース22の爪部32a〜32e,32g,32h,32n,32p,32s,32t、壁部32k,32q,32r,32u,32v及び凸部32jを利用して固定する構造であるため、別部材の板材、ビス、接着剤等を用いずに済み、部品点数及び組立工数を削減することができ、軽量化、コスト削減及び生産性向上を図ることができる。
【0027】
また、図2に示したように、フレキシブル配線板26は、スライドベース22の一方向に巻き付けられるので、巻き付け作業性を向上させることができ、生産性をより一層高めることができる。
また、図2及び図12(A),(B)に示したように、フレキシブル配線板26は、スライドベース22に略一周巻かれ、この略一周した部分は、両縁部(一側縁部33k及び他側縁部33m)が一対の爪部32c,32eで固定されるので、フレキシブル配線板26が屈曲等を伴って動いたとしてもスライドベース22外れにくくすることができる。
【0028】
図8及び図9(A),(B)に示したように、フレキシブル配線板26は、その一端部から長手方向に突出する耳部26dが形成され、この耳部26dが爪部32hに掛けられるので、耳部26dでフレキシブル配線板26の一端部を固定することができるとともに、フレキシブル配線板26が、スライドベース22に一周巻かれた際に、フレキシブル配線板26における一端部の耳部26d以外の部分とフレキシブル配線板26の中間部とを干渉しないようにすることができる。
【0029】
また、図8及び図12(A),(B)に示したように、フレキシブル配線板26は、その中間部の一側部に、集積光学素子部24に接続される2本の分岐部としての分岐配線部26k,26kを備え、これらの分岐配線部26k,26kの近傍の他側部としての他側縁部33hが爪部32dで固定され、一対の分岐配線部26k,26kの間の一側部としての一側縁部33jが爪部32a,32bで固定される。分岐配線部26k,26kの近傍の一側部における分岐配線部26k,26kの両側(一側縁部33kの他に一側縁部33p)も爪部で固定すると、集積光学素子部24をスライドベース22に取付ける際にフレキシブル配線板26の分岐配線部26k,26k及びその周辺の動きが制限され、取付けにくくなるが、本発明では、分岐配線部26k,26kの近傍の他側部(他側縁部33h)と、分岐配線部26k,26kの間の一側部(一側縁部33j)を爪部32d,32a,32bで固定することで、フレキシブル配線板26の動きを抑制しにくくなり、集積光学素子部24を取付けやすくできるとともにフレキシブル配線板26を確実に固定することができる。
【0030】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図2図9図12に示したように、スライドベース22にフレキシブル配線板26を巻き付ける方向を、一側面22C→下面22B→他側面22D→上面22Aの順としたが、光ピックアップ10と、光ディスク装置の本体側のコネクタ37(図8参照)との位置関係によっては、これに限らない。また、巻き始め位置を一側面22Cとしたが、これに限らない。更に、フレキシブル配線板26をスライドベース22の上記4つの面に亘って略一周巻き付けたが、これに限らず、これより少ない面に固定する、あるいは、例えば、3.5面というように面の一部のみを利用して固定しても良い。
【符号の説明】
【0031】
10 光ピックアップ
11 可動部
12 対物レンズ(レンズ)
21 支持部
22 スライドベース(樹脂製フレーム)
24 集積光学素子部
26 フレキシブル配線板
26d 耳部
26k 分岐配線部(分岐部)
32a〜32e,32g,32h,32n,32p,32s,32t 爪部
32j 凸部
32k,32q,32r,32u,32v 壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12