(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電算機室では、電子計算機や情報機器、通信装置等の機器が複数の収容ラックに収容されて高集約化して配置されている。そして、各収容ラックに収容される機器は使用時に熱を発するが、その運用温度は機器の安定作動を得るために低く抑える必要がある。
【0003】
このため、複数の機器が収容ラックに設置される電算機室では、二重床等の下方の吹き出し通路から冷却空気を収容ラックの前面側の通路に吹き出すようになっている。
ここで採用される電算機室空調システムは、機器を収容する各収容ラックの前面側に冷却空気を取り入れるための給気面が設けられるとともに、各収容ラックの背面側または上面側に熱を帯びた温熱空気を外部に排気するための排気面が設けられている。電算機室内では、複数の収容ラックが、通路を挟んで給気面を対向させるようにして配置され、空気調和装置から吹き出された冷却空気が床下からラック間の通路を通って各収容ラックに供給される。そして、各収容ラックで機器を冷却して昇温した空気(温熱空気)は空気調和装置の吸い込み口に再度戻される。
【0004】
この種の電算機室空調システムにおいては、給気面側への温熱空気の回り込みを招くことなく収容ラック内の機器を効率良く冷却するために、通路の両側の収容ラックの間が、通路の上部を覆う上部遮蔽体と通路の端部を覆う端部遮蔽体とによって閉塞されている。また、各収容ラックには、機器を冷却して熱を帯びた温熱空気を外部に放出するために、背面側や上面側に放熱ファンが設置されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0005】
また、この種の電算機室空調システムでは、排熱側の温熱が各部の隙間を通して冷却側の通路に入り込むのを防ぐために、空気調和装置の冷気供給能力が収容ラックの排熱ファンでの排気能力よりも高く設定されている。このため、何等かの原因によって通路内に過剰な流量の冷却空気が導入された場合には、排気ファンに排気能力を大きく上回る負荷が作用することが懸念される。
【0006】
このため、これに対処し得る電算機室空調システムとして、特許文献3に示されるものや、特許文献4に記載されるもの等が案出されている。
【0007】
特許文献3に記載の電算機室空調システムは、電算機室内の冷却側の通路の上部遮蔽体に空気の導通を許容する連通部が設けられるとともに、その通路部の縁部に、通路内の圧力が規定圧以上に上昇したときに、その圧力を受けて撓み変形して連通部を開口する可撓性の弁体が取り付けられている。このシステムは、通路内の圧力が規定圧以上に上昇すると、弁体が連通部を開いて通路内の空気を外部に逃がすことにより、通路内の圧力上昇を抑制する。
【0008】
また、特許文献4に記載の電算機室空調システムは、電算機室内の冷却側の通路の上部遮蔽体の一部が可撓性のシートによって構成され、通路内の圧力が規定圧以上に上昇したときにシートの一部がめくれて、通路内の空気を外部に逃がすようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献
3に記載の電算機室空調システムは、通路内の空気を外部に逃がす連通部が上部遮蔽体に設けられ、その連通部が可撓性の弁体によって開閉されるようになっているため、経時使用によって弁体の特性が変化し易く、安定した開閉作動を長期に亙って維持することが難しい。
【0011】
また、特許文献
4に記載の電算機室空調システムは、可撓性のシート部材のめくれによって通路内の空気を外部に逃がすようになっているため、通路内の圧力上昇時に安定した開作動を得ることが難しいうえ、通路内の圧力が規定圧以上に上昇しない通常運転時に通路内の冷気が外部に逃げ易い。
【0012】
そこでこの発明は、冷却空気や温熱空気の不要な漏れを招くことなく、通路内の圧力を常に一定範囲に安定的に維持することのできる電算機室空調システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この
出願の発明に係る電算機室空調システムは、複数の機器を内部に収容し、冷却空気を取り入れる給気面と熱を帯びた温熱空気を排気する排気面とを有する複数の収容ラックと、複数列に配置された前記収容ラックの間に形成される通路と、温熱空気を吸い込んで冷却空気を送り出す空気調和装置と、前記通路の上部を覆って、冷却空気の流通部と温熱空気の流通部を隔成する上部遮蔽体と、を備え、前記上部遮蔽体には、前記通路の内外を連通する連通口と、重力によって前記連通口を閉塞し前記通路内の空気圧によって前記連通口を開く非可撓性の蓋体と、が設けられ
、前記蓋体は、重量が異なり相互に独立した昇降作動が可能な複数の蓋構成部品が組み合わせられた構造とされていることを特徴とする。
これにより、通路内の圧力が規定圧に満たない場合には、非可撓性の蓋体が自重によって連通口を閉じており、通路内の圧力が規定圧以上になると、非可撓性の蓋体が重力に抗して連通口を開き、通路内の空気の一部を外部に逃がすようになる。
また、この場合、通路内の圧力に応じて蓋体の蓋構成部材が選択的に押し上げられ、連通口の開口面積が適正に調整されるようになる。
【0014】
この場合、前記複数の蓋構成部品は、相対的に重量の軽い部品の下方変位を相対的に重量の重い部品が規制する変位規制部を備える構成とすることが望ましい。
【0015】
この出願の発明に係る別の電算機室空調システムは、複数の機器を内部に収容し、冷却空気を取り入れる給気面と熱を帯びた温熱空気を排気する排気面とを有する複数の収容ラックと、複数列に配置された前記収容ラックの間に形成される通路と、温熱空気を吸い込んで冷却空気を送り出す空気調和装置と、前記通路の上部を覆って、冷却空気の流通部と温熱空気の流通部を隔成する上部遮蔽体と、を備え、前記上部遮蔽体には、前記通路の内外を連通する連通口と、重力によって前記連通口を閉塞し前記通路内の空気圧によって前記連通口を開く非可撓性の蓋体と、が設けられ、前記蓋体と前記連通口の開口縁の間には、前記蓋体が開口作動したことを検出する接点スイッチが設けられていることを特徴とする。
この場合、前記接点スイッチが前記空気調和装置の送風制御部に接続され、前記送風制御部が前記接点スイッチの検出信号に応じて前記空気調和装置の送風量を制御するようにしても良い。この場合、専用の圧力センサを追加することなく、通路内の圧力に応じて空気調和装置の送風量を適正に制御することが可能になる。
【0016】
この出願の発明に係るさらに別の電算機室空調システムは、複数の機器を内部に収容し、冷却空気を取り入れる給気面と熱を帯びた温熱空気を排気する排気面とを有する複数の収容ラックと、複数列に配置された前記収容ラックの間に形成される通路と、温熱空気を吸い込んで冷却空気を送り出す空気調和装置と、前記通路の上部を覆って、冷却空気の流通部と温熱空気の流通部を隔成する上部遮蔽体と、を備え、前記上部遮蔽体には、前記通路の内外を連通する連通口と、重力によって前記連通口を閉塞し前記通路内の空気圧によって前記連通口を開く非可撓性の蓋体と、が設けられ、前記蓋体を下方に付勢する付勢スプリングを備え、前記付勢スプリングのセット荷重を制御する電磁ソレノイドを備えていることを特徴とする。
この場合、連通口を閉じる方向に作用する蓋体の重力を付勢スプリングによって助勢することが可能になるとともに、蓋体の挙動を付勢スプリングによって所望通りに制御することが可能になる。
さらに、
この場合、蓋体の開口開始荷重と蓋体の挙動を電磁ソレノイドによって容易に調整することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、非可撓性の蓋体が重力によって連通口を閉じ、通路内の圧力が設定圧以上に上昇したときに非可撓性の蓋体が重力に抗して連通口を開く構造とされているため、通路内の圧力が設定圧に達しない間は、蓋体が連通口を確実に閉じて冷却空気や温熱空気の不要な漏れを確実に防止することができ、しかも、経時使用によるへたり等の劣化を招くことがないことから、通路内の圧力を常に一定範囲に安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施形態の電算機室空調システムの概要を示す斜視図である。
【
図2】この発明の第1の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図3】この発明の第2の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図4】この発明の第3の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図5】この発明の第4の実施形態の電算機室空調システムにおける上部遮蔽体の斜視図である。
【
図6】この発明の第4の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図7】この発明の第5の実施形態の電算機室空調システムにおける上部遮蔽体の斜視図である。
【
図8】この発明の第5の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図9】この発明の第5の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図10】この発明の第5の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図11】この発明の第5の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図12】この発明の第6の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【
図13】この発明の第7の実施形態の電算機室空調システムの
図1のA−A断面に対応する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、各実施形態に共通の電算機室空調システム100の全体構成を示す図である。最初に、
図1に基づいて各実施形態に共通の電算機室空調システム100の構成について説明する。
図1に示すように、電算機室空調システム100は、例えば略箱状に形成された電算機室101内において利用されるものである。電算機室101は、床1と図示しない壁と天井とで囲まれている。床1から上方に離間して二重床2が設けられ、その二重床2上に複数台の収容ラック3が例えば2列対向して設置されている。これら2列の収容ラック3に挟まれた二重床2上に通路4が配設されている。二重床2の下には内部空間5が設けられ、内部空間5に各収容ラック3の電気配線や後述する空気調和装置6の電気配線などが収容されている。
【0020】
また、二重床2の長手方向に延びる通路4上には多数の吹き出し孔8が形成されていている。床下の内部空間5と通路4とは、これら複数の吹き出し孔8を介して通気可能に連通している。
通路4の外側には、二重床2上に空気調和装置6が設置されている。空気調和装置6では、収容ラック3から排気された温熱空気を吸込口6aから吸い込んで冷却し、空気調和装置6内で冷却された空気(冷却空気)を底面の吹出口6bから内部空間5内に送り出す。
【0021】
空気調和装置6から内部空間5に供給された冷却空気は吹き出し孔8を通して通路4上に給気される。各収容ラック3は箱状に形成され、内部に電子計算機や通信機器等の機器が収容されている。各収容ラック3の筐体3aは、前面側に給気面3b設けられ、上面側に排気面3dが設けられている。排気面3dには排気ファン3cが設けられている。各収容ラック3は、通路4側から冷却空気が給気され、その冷却空気によって機器を冷却する。機器を冷却した空気は温熱空気となって排気ファン3cから外部に排出される。
【0022】
この電算機室空調システム100では、通路4を挟んで対向して配列された収容ラック3の上面間に上部遮蔽体10が架設されている。この実施形態の場合、上部遮蔽体10は底部のない箱型形状に形成されている。上部遮蔽体10は、通路4内の冷却空気の流通部を、収容ラック3よりも上方側の温熱空気の流通部と隔成する。また、通路4の延出方向の両側の端部には、通路4を挟んで対向する両側の収容ラック3の側端部間を連結する一対の端部遮蔽体11が取り付けられている。これらの端部遮蔽体11は、通路4内の冷却空気の流通部を、端部の収容ラック3よりも外側の温熱空間の流通部と隔成する。この実施形態においては、通路4は、二重床2上において、両側の収容ラック3と上部遮蔽体10と一対の端部遮蔽体11とに囲まれて閉鎖空間Sとされている。
【0023】
図2は、この発明の第1の実施形態の
図1のA−A断面に対応する断面図である。
この第1の実施形態の場合、上部遮蔽体10は、上壁基材10aに開口12が形成され、上壁基材10aの上面側に開口12を覆うように支持筐体13が取り付けられている。支持筐体13は底部が開口した略箱型状に形成されている。支持筐体13の上壁には、通路4の内外を連通する連通口14が形成されている。なお、この実施形態においては、上部遮蔽体10の上壁基材10aに支持筐体13を取り付け、その支持筐体13に連通口14を設けるようにしているが、上部遮蔽体10の上壁基材10aに直接連通口14を形成することも可能である。
【0024】
支持筐体13上の連通口14の縁部には、ヒンジ15を介して蓋体16が上下方向に回動可能に取り付けられている。蓋体16は、金属や硬質樹脂等の非可撓性の部材によって形成され、連通口14よりも外形の大きい板状形状に形成されている。この蓋体16は、自身の重量によって上方側から連通口14を閉塞する。
この実施形態の場合、蓋体16は重心Gに作用する自身の重量と通路4内の冷却空気の圧力とのバランスによって連通口14を開閉する。蓋体16による連通口14の開放圧は、蓋体16の厚みや外側形状、材質等によって決まる蓋体16の重量によって設定調整される。
【0025】
この実施形態の電算機室空調システムにおいては、通路4内の冷却空気の圧力が設定圧に満たない通常時には、蓋体16が自身の重力によって上部遮蔽体10の連通口14を閉塞している。この実施形態の電算機室空調システムでは、通路4の外部から内部方向への温熱空気の流入を防止するためにもともと通路内の圧力が外部の空気圧よりもある程度以上高くなるように空気調和装置6の風量が設定されているが、何らかの異常によって通路4内の空気圧が設定圧以上に上昇した場合には、
図2中の黒抜き矢印で示すように、通路4内の空気圧が蓋体16の重量に打ち勝ち、蓋体16をヒンジ15を中心として上方に押し上げるようになる。これにより、連通口14が開放され、通路4内の空気の一部が、
図2中の白抜き矢印で示すように連通口14を通って外部に逃がされるようになる。この結果、通路4内の過剰な圧力上昇は抑制される。
【0026】
この実施形態の電算機システムは、非可撓性の蓋体16が自身の重力によって連通口14を閉じ、通路4内の圧力が設定圧以上に上昇したときに、蓋体16が通路4内の空気圧を受けて連通口14を開放する構造とされているため、通常時には、連通口14を確実に閉じて不要な冷却空気の逃げを抑制することができるうえ、長期間使用しても、蓋体16の閉じ性能が低下することがない。
【0027】
つづいて、この発明の他の実施形態について順次説明するが、各実施形態において、同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
図3は、この発明の第2の実施形態の
図1のA−A断面に対応する断面図である。
この実施形態は、上部遮蔽体10の支持筐体13に連通口14が設けられ、その連通口14の縁部に、自身の重力によって連通口14を閉じる蓋体16が取り付けられている点等の基本構成は第1の実施形態のものと同様であるが、蓋体16と連通口14の開口縁に接点スイッチ17の接点17a,17bが設けられ、その接点17a,17bが検出回路18を介して空気調和装置6の風量制御部19に接続されている。
空気調和装置6の風量制御部19は、蓋体16が連通口14を開いたことを意味する信号を接点スイッチ17から受けたときに、空気調和装置6からの冷却空気の送風量を減少させる。
【0028】
この実施形態においては、第1の実施形態と同様の基本効果を得ることができるうえ、蓋体16と連通口14の開口縁に接点スイッチ17の接点17a,17bが設けられていることから、専用の圧力センサを追加することなく、通路4内の圧力異常を検出できる、という利点がある。また、この実施形態では、接点スイッチ17の信号を受け、蓋体16が連通口14を開いたことが検出されたときに、風量制御部19が空気調和装置6の送風量を減少させるため、通路4内の上昇した圧力を速やかに減少させることができる。
【0029】
図4は、この発明の第3の実施形態の
図1のA−A断面に対応する断面図である。
この実施形態は、上部遮蔽体10の支持筐体13に円形状の連通口14Aが設けられ、その連通口14Aが球状の蓋体16Aによって閉塞されるようになっている。この実施形態の場合も、蓋体16Aは自重によって連通口14Aを閉塞するが、蓋体16Aはヒンジ15によって支持筐体13に軸支されておらず、支持筐体13上に突設された半球状のガイド壁20と、複数の金属線によって円錐状に組み立てられたガイド部材35とによって不規則な変位が制限されいる。この実施形態の蓋体16Aは、金属や硬質樹脂等の非可撓性の部材によって形成されている。
この実施形態の場合、第1の実施形態と同様の効果を得ることができるうえ、連通口14Aからの空気の吹き出し方向を周域にほぼ均等に分散させることができる、という利点がある。
【0030】
図5は、この発明の第4の実施形態の支持筐体13と蓋体16Bの斜視図であり、
図6は、第4の実施形態の
図1のA−A断面に対応する断面図である。
この実施形態は、上部遮蔽体10の支持筐体13に略楕円形状の連通口14Bが設けられ、その連通口14Bが楕円体状の蓋体16Bによって閉塞されるようになっている。この実施形態の場合、蓋体16Bは、重心Gからずれた位置に回動軸21が突設され、その回動軸21が支持筐体13上の軸受部22によって回動可能に支持されている。この実施形態の場合も、蓋体16Bは金属や硬質樹脂等の非可撓性の部材によって形成されている。
この実施形態は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。
【0031】
図7は、この発明の第5の実施形態の支持筐体13と蓋体16Cの斜視図であり、
図8〜
図11は、第5の実施形態の
図1のA−A断面に対応する断面図である。
この実施形態は、上部遮蔽体10の支持筐体13に円形状の連通口14Cが設けられ、その連通口14Cが、第1蓋部品23と第2蓋部品24と第3蓋部品25とから成る蓋体16Cによって閉塞されるようになっている。この実施形態の場合、第1蓋部品23と第2蓋部品24と第3蓋部品25が蓋構成部品となっている。また、この実施形態の場合も、第1,第2,第3蓋部品23,24,25(蓋体16C)は、金属や樹脂等の非可撓性の部材によって形成されている。
連通口14Cには、上方側が拡開するテーパ面14Cbが設けられている。
【0032】
第1蓋部品23は、円板状に形成され、蓋体16C全体の中心部に配置されている。第2蓋部品24は、円環状に形成され、第1蓋部品23の外周側に嵌合可能に配置されている。また、第3蓋部品25は、円環状の形成され、第2蓋部品24の外周側に嵌合可能に配置されている。第3蓋部品25の外周面には、連通口14Cのテーパ面14Cbと嵌合可能な上方側が拡径するテーパ面25aが設けられている。また、第1蓋部品23の外周面と第2蓋部品24の内周面には、上方側が拡径する相互に嵌合可能なテーパ面23a,24bが設けられ、第2蓋部品24の外周面と第3蓋部品25の内周面の間には、上方側が拡径する相互に嵌合可能なテーパ面24a,25bが設けられている。
なお、図中符号40は、支持筐体13上に複数の金属線によって円錐状に組み立てられて、第1蓋部品23,第2蓋部品24,第3蓋部品25の不規則な動きを規制するガイド部材である。
【0033】
通路4内から大きな空気圧が作用しない間は、
図8に示すように、第1蓋部品23は、第2蓋部品24の内周側のテーパ面24bに嵌合され、第2蓋部品24は、第3蓋部品25の内周側のテーパ面25bに、第3蓋部品25は、連通口14Cのテーパ面14Cbに嵌合されている。この状態においては、テーパ面24b,25bは上方側が拡開する形状とされているため、第2蓋部品24のテーパ面24bが第1蓋部品23の下方変位を相対的に規制する変位規制部を構成し、第3蓋部品25のテーパ面25bが第2蓋部品24の下方変位を相対的に規制する変位規制部を構成する。また、連通口14Cには、上方側に拡開するテーパ面14Cbが設けられているため、第3蓋部品25は、連通口14Cによって下方変位を規制され、その状態で連通口14Cを閉塞する。
【0034】
また、第1蓋部品23,第2蓋部品24,第3蓋部品25の各重量については、最外周側の第3蓋部品25が最も重く、中心部の第1蓋部品23が最も軽く、第2蓋部品24が、第1蓋部品23と第3蓋部品25の中間重量となっている。この実施形態では、蓋体16Cが連通口14Cを開放する設定圧が3段階に設定されている。ここで、最大の設定圧を第1設定圧、次に大きい設定圧を第2設定圧、最小の設定圧を第3設定圧と呼ぶものとすると、蓋体16Cは、通路4内の空気圧が第1設定圧以上のときに、
図9に示すように、第1蓋部品23,第2蓋部品24,第3蓋部品25がそれぞれ個別に浮き上がって連通口14Cを開く。そして、通路4内の空気圧が第2設定圧以上第1設定圧未満のときには、
図10に示すように、最も重量の重い第3蓋部品25を連通口14C上に残したまま第1蓋部品23と第2蓋部品24が個別に浮き上がって連通口14Cを開き、通路4内の空気圧が第3設定圧以上第2設定圧未満のときには、
図11に示すように、第2蓋部品24と第3蓋部品25を連通口14C上に残したまま第1蓋部品23のみが連通口14Cを開く。つまり、この実施形態においては、通路4内の空気圧に応じて連通口14Cの開口する面積が三段階に自動的に切り替えられる。
【0035】
したがって、この実施形態においては、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、通路4から外部に逃がされる冷却空気の流量を通路4内の圧力に応じて適切に調整することができることから、システムにおける冷却効率の低下を最小限に抑えることができる。
また、この実施形態の場合、最も重量の重い第3蓋部品25のテーパ面25bが次に重量の重い第2蓋部品24の下方変位を規制し、第2蓋部品24のテーパ面24bが最も重量の軽い第1蓋部品23の下方変位を規制する構造とされているため、重量の異なる蓋体を複数ヶ所に分散して設置する場合に比較して、全体を集約して占有スペースを小さくすることができる。
【0036】
図12は、この発明の第6の実施形態の
図1のA−A断面に対応する断面図である。
この実施形態は、上部遮蔽体10の支持筐体13に連通口14が設けられ、その連通口14の上方に、自身の重力によって連通口14を閉じる蓋体16Dが設けられている点等は上述の他の実施形態と同様であるが、支持筐体13の上面に蓋体16Dの上方を覆うハウジング27が設けられ、そのハウジング27の上壁下面と蓋体16Dの間に、その蓋体16Dを下方に付勢する付勢スプリング28が介装されている。蓋体16Dは、この実施形態の場合も、金属や硬質樹脂等の非可撓性の部材によって形成されている。また、この実施形態の付勢スプリング28は、連通口14を自重によって閉塞する蓋体16Dに付勢スプリング28の力を付加し、蓋体16Dの挙動を制御するものであり、比較的ばね剛性の低いものが用いられている。
なお、図中符号29は、ハウジング27の側壁に形成されて、ハウジング27の内外を導通させる貫通孔である。
【0037】
この実施形態においては、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、ハウジング27と蓋体16Dの間に介装した剛性の低い付勢スプリング28によって蓋体16Dの挙動を制御し、連通口14の開放特性を所望通りに設定することができる、という利点がある。
【0038】
図13は、この発明の第7の実施形態の
図1のA−A断面に対応する断面図である。
この実施形態は、基本的な構成は第6の実施形態とほぼ同様であり、ハウジング27内に蓋体16Dを下方に付勢する付勢スプリング28が設けられているが、ハウジング27には、付勢スプリング28のセット荷重を制御するための電磁ソレノイド30がさらに取り付けられている。具体的には、電磁ソレノイド30には、ソレノイドの励磁によって先端部の進退位置が制御されるロッド部30aが設けられており、そのロッド部30aの突出量を制御することによって、付勢スプリング28の端部の支持位置を調整できるようになっている。
【0039】
この実施形態においては、第6の実施形態と同様の効果を得ることができるうえ、電磁ソレノイド30によって付勢スプリング28のセット荷重を任意に調整し、蓋体16Dの挙動と、それによる連通口14の開放特性をより所望通りに調整できる、というさらなる利点がある。
【0040】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、収容ラックの給気側の冷却空気の通路の上方が上部遮蔽体によって閉塞される場合に、その上部遮蔽体に連通口と、その連通口を自重によって閉塞する蓋体を設けたが、収容ラックの排気側の温熱空気の通路の上方が上部遮蔽体によって閉塞される場合に、同様に、その上部遮蔽体に連通口と、その連通口を自重によって閉塞する蓋体を設けるようにしても良い。