特許第6141718号(P6141718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141718
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 55/02 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   F02M55/02 330B
   F02M55/02 350A
   F02M55/02 350H
   F02M55/02 330D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-166629(P2013-166629)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-34533(P2015-34533A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113942
【氏名又は名称】マルヤス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】原田 成樹
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−328900(JP,A)
【文献】 特開2005−232967(JP,A)
【文献】 特開2004−286010(JP,A)
【文献】 特開平11−013593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 55/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される燃料通路管本体と、前記燃料通路管本体の軸線方向の複数箇所においてその各箇所に固着された1個の噴射弁ソケットと、その同じ各箇所に固着された1個の取付ボスとを備えて構成され、前記噴射弁ソケットには、コントロールユニットにより開閉制御される燃料噴射弁を前記燃料通路管本体に対して連通させて保持するソケット孔が形成されており、前記取付ボスには、エンジンに取り付けるための取付孔が形成されている、直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプであって、
前記燃料通路管本体は、細長の円筒状でその軸線方向を水平方向に向けて配置され、前記噴射弁ソケットおよび前記取付ボスが固着される箇所において、前記円筒状の側面軸線に向かって押しつぶされて垂直な平面状の凹壁部形成されてなり、
前記噴射弁ソケットおよび前記取付ボスが固着される前記燃料通路管本体の各箇所において、
前記噴射弁ソケットは、そのソケット孔の軸線方向を前記燃料通路管本体の軸線方向と垂直に上下方向に向けて前記燃料通路管本体の前記凹壁部に固着されており、
前記取付ボスは、その取付孔の軸線方向を前記燃料通路管本体の軸線方向と垂直に上下方向に向けて前記噴射弁ソケットと並んで前記燃料通路管本体の前記凹壁部に固着されており、
前記取付ボスの前記燃料通路管本体に固着されている側と反対側の外周面と、前記噴射弁ソケットの前記燃料通路管本体に固着されている側と反対側の外周面と、前記燃料通路管本体の前記凹壁部とに跨がって把持部材固着されることにより、前記把持部材によって前記噴射弁ソケットが前記取付ボスの外周面から前記燃料通路管本体の前記凹壁部に架けて把持されている
ことを特徴とする直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ。
【請求項2】
請求項1に記載の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプにおいて、
前記把持部材は、前記取付ボスから見て前記噴射弁ソケットと反対側にも延長して前記燃料通路管本体の外周面に固着されている
ことを特徴とする直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプにおいて、
前記把持部材は、前記噴射弁ソケットに固着された箇所を含む部分から上方に延び前記噴射弁ソケットの上端を跨いで屈曲させた屈曲片部を有し、前記屈曲片部が前記燃料通路管本体の上面の外周面に固着されている
ことを特徴とする直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンの燃焼室内に燃料を直接噴射する直噴エンジンに使用する高圧燃料デリバリパイプに関し、より詳しくは、燃料噴射弁を連通保持する噴射弁ソケットの燃料通路管本体への連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数気筒の内燃機関で構成された自動車のエンジンにおいては、燃焼室内に燃料を直接噴射する直噴エンジンの場合、エンジンの各気筒の燃焼室に燃料を高圧で供給するためにデリバリパイプが設けられており、そのデリバリパイプは、高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される燃料通路管本体と、その燃料通路管本体に固着されコントロールユニットにより開閉制御される燃料噴射弁を燃料通路管本体に対して連通させて保持するソケット孔が形成された複数の噴射弁ソケットと、同じく燃料通路管本体に固着されエンジンに取り付けるための取付孔が形成された複数の取付ボスとを備えて構成されている。
【0003】
一般に、直噴エンジンにおいては、デリバリパイプは、燃料通路管本体がエンジンの各気筒の上方にその軸線方向を水平方向に向けて配置されており、その燃料通路管本体の複数箇所の各箇所において1個の噴射弁ソケットと1個の取付ボスが、それぞれソケット孔と取付孔の軸線方向を燃料通路管本体の軸線方向と垂直にして上下方向に向けて燃料通路管本体に固着されて設けられている。
【0004】
この種の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプとしては、例えば、特許文献1(米国公開特許2009/0145504号公報)に開示されたものがある。このデリバリパイプは、水平方向に配置された細長の円筒状の燃料通路管本体の複数箇所の各箇所において、噴射弁ソケット固着用と取付ボス固着用の凹部を燃料通路管本体の外周から軸線を垂直方向とする円柱面状に削成し、当該凹部にそれぞれ軸線を垂直方向とする円筒状の噴射弁ソケットと取付ボスをそれぞれろう付けして、構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国公開特許2009/0145504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来技術では、燃料通路管本体にその外周から個々に円柱面状の凹部を削成しなければならず、加工製作に手間が掛かり、また、個々の噴射弁ソケットおよび取付ボスの固着強度は、それぞれの部品単独としての燃料通路管本体に対する固着状態に依存し、生産性および信頼性の面で改善することが望まれる。また、使用年月の経過に伴って固着箇所が腐食しにくい構造が望まれる。
【0007】
この発明は、そのような従来技術に対する改善を達成しようというもので、加工製作の手間を減らし、個々の噴射弁ソケットおよび取付ボスの固着強度を十分に確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明は、高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される燃料通路管本体と、燃料通路管本体の軸線方向の複数箇所においてその各箇所に固着された1個の噴射弁ソケットと、その同じ各箇所に固着された1個の取付ボスとを備えて構成され、噴射弁ソケットには、コントロールユニットにより開閉制御される燃料噴射弁を燃料通路管本体に対して連通させて保持するソケット孔が形成されており、取付ボスには、エンジンに取り付けるための取付孔が形成されている、直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプであって、燃料通路管本体は、細長の円筒状でその軸線方向を水平方向に向けて配置され、噴射弁ソケットおよび取付ボスが固着される箇所において、円筒状の側面軸線に向かって押しつぶされて垂直な平面状の凹壁部形成されてなり、噴射弁ソケットおよび取付ボスが固着される燃料通路管本体の各箇所において、噴射弁ソケットは、そのソケット孔の軸線方向を燃料通路管本体の軸線方向と垂直に上下方向に向けて燃料通路管本体の凹壁部に固着されており、取付ボスは、その取付孔の軸線方向を燃料通路管本体の軸線方向と垂直に上下方向に向けて噴射弁ソケットと並んで燃料通路管本体の凹壁部に固着されており、取付ボスの燃料通路管本体に固着されている側と反対側の外周面と、噴射弁ソケットの燃料通路管本体に固着されている側と反対側の外周面と、燃料通路管本体の凹壁部とに跨がって把持部材固着されることにより、把持部材によって噴射弁ソケットが取付ボスの外周面から燃料通路管本体の凹壁部に架けて把持されていることを特徴とする直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ、を提供する。
【0010】
把持部材は、取付ボスから見て噴射弁ソケットと反対側にも延長して燃料通路管本体の外周面に固着すると好都合である。
【0011】
把持部材は、噴射弁ソケットに固着された箇所を含む部分から上方に延び噴射弁ソケットの上端を跨いで屈曲させた屈曲片部を形成して、その屈曲片部を燃料通路管本体の上面の外周面に固着すると、さらに好都合である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、燃料通路管本体の噴射弁ソケットおよび取付ボスを固着する箇所に垂直な平面状の凹壁部を形成して、その凹壁部に、ソケット孔の軸線方向を燃料通路管本体の軸線方向と垂直に上下方向に向けて噴射弁ソケットを固着し、取付孔の軸線方向を燃料通路管本体の軸線方向と垂直に上下方向に向けて取付ボスを固着するとともに、噴射弁ソケットの燃料通路管本体に固着されている側と反対側の外周面を把持部材の中央部近傍に固着して、当該把持部材を取付ボスの外周面から燃料通路管本体の外周面に架けて渡して固着したので、加工製作の工程が簡単になり、かつ、個々の噴射弁ソケットおよび取付ボスの固着強度を十分に確保することができる。
【0013】
また、把持部材の燃料通路管本体の外周面に固着されている端部近傍を、燃料通路管本体の凹壁部に固着すると、その部分が平面同士の固着となり、製造性が良好で、固着強度が向上する。さらに、把持部材に、その中央部から上方に延びて噴射弁ソケットの上端を跨いで屈曲させた屈曲片部を形成して、その屈曲片部を燃料通路管本体の上面の外周面に固着する構造を採ると、エンジン運転時に上向きの強い力が掛かる噴射弁ソケットの燃料通路管本体への固着強度がより一層向上し、また、噴射弁ソケットと燃料通路管本体の固着箇所や燃料通路管本体の上面に腐食性の塩水や塵埃が溜まり難くなり、耐久性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明による直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプの第一の実施形態の全体構造を示す側面図である。
図2図1のデリバリパイプの平面図である。
図3図1のデリバリパイプのIII−III線に沿った断面図である。
図4図1のデリバリパイプの底面図である。
図5図1のデリバリパイプのV−V線に沿った断面図である。
図6図1のデリバリパイプのVI−VI線に沿った断面図である。
図7】この発明による直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプの第二の実施形態の全体構造を示す、図1に相当する側面図である。
図8図7のデリバリパイプの、図2に相当する平面図である。
図9図7のデリバリパイプのIX−IX線に沿った断面図である。
図10】この発明のデリバリパイプにおける燃料通路管本体の加工形態の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、この発明による直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプの実施形態を説明する。
【0016】
図1〜3に示す第一の実施形態において、直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ10は、直列4気筒の直噴型エンジンに用いられるものであり、高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される燃料通路管本体11の軸線方向の4箇所においてその各箇所に1個の噴射弁ソケット13と1個の取付ボス12が固着されて構成されている。燃料通路管本体11は、押し出し成型された一本の細長い円筒状体をその軸線方向(長手方向)の4箇所でその側面から軸線に向かって押しつぶし加工して垂直な平面状の凹壁部11aを形成してなるもので、その軸線方向を水平方向に向けて配置される燃料通路管本体11に対して、各凹壁部11aの箇所において、1個の取付ボス12および1個の噴射弁ソケット13が各軸線方向を上下方向に向けて並んで固着されている。燃料通路管本体11は、両端が止め栓17で塞がれていて、内部に燃料通路20が形成されている。取付ボス12には、エンジンに取り付けるための取付孔30がその軸線方向を上下方向に向けて形成されており、噴射弁ソケット13には、コントロールユニットにより開閉制御される燃料噴射弁40(図1に二点鎖線で図示)を燃料通路管本体11に対して連通させて保持するソケット孔23がその軸線方向を上下方向に向けて形成されている。
【0017】
取付ボス12と噴射弁ソケット13を平面状の凹壁部11aに固着する構造を採用することにより、燃料通路管本体11の水平方向の円柱状部分に固着する場合に比べて、固着加工工程が簡単で、かつ、より高い固着強度が期待される。
【0018】
燃料通路管本体11と噴射弁ソケット13の固着箇所では、燃料通路管本体11の凹壁部11aにソケット孔23に連通するための連通孔21が穿設されており、噴射弁ソケット13に燃料通路20に連通するための連通孔22が穿設されており、両者連通孔21、22を整合させることにより燃料通路20がソケット孔23に連通している(図3を参照)。なお、固着する製造工程としては、燃料通路管本体11の凹壁部11aに取付ボス12と噴射弁ソケット13を位置決めして溶接により仮留めした後に、ろう付けにより隙間にろうを流し込んで完全に密着させる。符号18は、燃料ポンプからの高圧燃料の供給を受けるための連結部を示し、符号19は、圧力センサに接続するための連結部を示す。
【0019】
この発明では、さらに把持部材14を設けて、把持部材14により噴射弁ソケット13をその背面側(燃料通路管本体11に固着されている側と反対側)で取付ボス12から燃料通路管本体11に架けて跨いで把持している。つまり、把持部材14の中央部近傍を噴射弁ソケット13の背面側の外周面に固着するとともに、把持部材14の一方の端部近傍14aを取付ボス12の背面側の外周面に固着し、把持部材14の他方の端部近傍14bを燃料通路管本体11の外周面に凹壁部11aの箇所で固着してある。この実施形態では、把持部材14は、その中央部近傍から上方に延び噴射弁ソケット13の上端を跨いで屈曲させた屈曲片部14cを有し、この屈曲片部14cの先端近傍が燃料通路管本体11の上面の外周面に固着されている。図示の例では、屈曲片部14cは、燃料通路管本体11の上面に被さって固着される部分が燃料通路管本体11に沿って図中右方向に延長して広げられている。
【0020】
このような構造とすることにより、エンジン運転時に上向きの強い力が掛かる噴射弁ソケット13の燃料通路管本体11への固着強度がより一層増すことになり、デリバリパイプの信頼性がより一層向上する。さらに、エンジン内の環境条件としては、デリバリパイプの上面側および取付ボス12や噴射弁ソケット13の固着箇所周辺は、走行中に跳ね上がる泥や雨水、さらには、融氷剤の塩化カルシウムなど腐食性の塵埃が付着することで、腐食のおそれも出てくることから、この実施形態のように噴射弁ソケット13の固着箇所や燃料通路管本体11の上面の一部が上から覆われていると、その分だけ噴射弁ソケット13や燃料通路管本体11、及びその固着箇所が腐食する事態が減少する。
【0021】
把持部材14について、図5、6を併せて参照しながらさらに説明すると、把持部材14の下端縁は、取付ボス12に固着された側の端部から噴射弁ソケット13の外周を廻った辺りまで、外側に向けて折り曲げてフランジ部14fが形成されており、把持部材14の上端縁は、屈曲片部14cが延び出している箇所の手前までの取付ボス12を覆っている範囲で、外側に向けて折り曲げてフランジ部14eが形成されている。フランジ部14e、14fは、把持部材14の平面部の剛性を持たせる役割をしている。把持部材14の屈曲片部14cが噴射弁ソケット13の上端を跨いで燃料通路管本体11の上面の外周面に固着されている様子が、図6に明確に示されている。把持部材14の屈曲片部14cの先端近傍が燃料通路管本体11の上面の外周面に固着されていることによって、さらに噴射弁ソケット13の燃料通路管本体11に対する固着強度が増大する。また、取付ボス12の側から見ても、把持部材14により噴射弁ソケット13と連結されていることで、取付構造的にも強度が向上している。
【0022】
次に、上記の第一の実施形態の一部分を変形した第二の実施形態について、図7〜9を参照しながら説明する。この実施形態は、第一の実施形態における把持部材14から屈曲片部14cを省略したもので、図7図1図8図2図9図6をそれぞれ比べて分かるように、把持部材15は、噴射弁ソケット13をその背面側で取付ボス12から燃料通路管本体11に架けて跨いで把持している。つまり、把持部材15の中央部近傍を噴射弁ソケット13の背面側の外周面に固着するとともに、把持部材15の一方の端部近傍15aを取付ボス12の背面側の外周面に固着し、把持部材15の他方の端部近傍15bを燃料通路管本体11の外周面に凹壁部11aの箇所で固着してある。この第二の実施形態では、把持部材15は、その上端縁が全長に亘って外側に向けて折り曲げられてフランジ部15eが形成されており、フランジ部15eは、取付ボス12に固着された側の端部から燃料通路管本体11の凹壁部11aに固着された側の端部まで続いている。下端縁も同様に外側に向けて折り曲げられてフランジ部15fが形成されているが、フランジ部15fは、第一の実施形態の場合と同様に、取付ボス12に固着された側の端部から噴射弁ソケット13の外周を廻った辺りまで形成されており、それより先には対応する高さ位置に燃料通路管本体11が存在しないので、延長されていない。
【0023】
図7のX−X線に沿った断面は、先に説明した図3と同様な形状を呈し、把持部材15に関する符号が、15,15a、15bとなる以外は、各部を説明する符号は、第一の実施形態の場合と同一である。
【0024】
上記で説明した第一および第二の実施形態では、把持部材14、15を固着した箇所が、噴射弁ソケット13を中に置いて、取付ボス12の背面外周から凹壁部11aまでの範囲であったが、把持部材14、15を取付ボス12から見て噴射弁ソケット13の反対側にも延長して、その延長部分を燃料通路管本体11の外周面に固着する構成とすることもでき、そうすれば、取付ボス12と噴射弁ソケット13両者の燃料通路管本体11への固着強度が向上する。
【0025】
また、上記で説明した第一および第二の実施形態では、燃料通路管本体11の凹壁部11aは、取付ボス12と噴射弁ソケット13を固着する4箇所のその付近のみを飛び飛びに押しつぶし加工してあるが、図10の断面図に示すように、第1の箇所から第4の箇所までの範囲を一括して押しつぶし加工してもよい。
【0026】
以上説明したように、この発明によれば、燃料通路管本体の押しつぶし加工により垂直平面として形成した凹壁部に取付ボスと噴射弁ソケットを固着したので、加工製作が簡単であり、また、把持部材によって噴射弁ソケットを背面から把持して取付ボスと燃料通路管本体に架けて固着したので、噴射弁ソケットおよび取付ボスの燃料通路管本体への固着強度を十分に確保することができる。さらに、把持部材の一部に屈曲片部を設けて、噴射弁ソケットを上から跨いで燃料通路管本体の上面に固着すると、エンジン作動時における噴射弁ソケットの把持強度が増すとともに、固着箇所周辺の腐食のおそれが減少する。
【符号の説明】
【0027】
10…直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ、11…燃料通路管本体、11a…凹壁部、12…取付ボス、13…噴射弁ソケット、14…把持部材、14c…屈曲片部、15…把持部材、20…燃料通路、23…ソケット孔、30…取付孔、40…噴射弁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10