特許第6141803号(P6141803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141803
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】線材切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 29/00 20060101AFI20170529BHJP
   B21F 11/00 20060101ALI20170529BHJP
   B23D 23/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   B23D29/00 A
   B21F11/00 B
   B21F11/00 F
   B23D23/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-140105(P2014-140105)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-16473(P2016-16473A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2016年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】512319656
【氏名又は名称】橋本 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−279575(JP,A)
【文献】 実公平07−011857(JP,Y2)
【文献】 実開平06−066914(JP,U)
【文献】 特開昭50−065464(JP,A)
【文献】 特開2001−170813(JP,A)
【文献】 特開平09−029533(JP,A)
【文献】 米国特許第6349474(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 29/00
B21F 11/00
B23D 23/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属線材を載せる載せ部と、固定刃物と、可動刃物と、固定刃物と可動刃物の間に設けられたセット空間と、可動刃物を前進・後退移動させる駆動機構と、駆動機構が収納されている機構収納部を備え、載せ部に載せた金属線材をセット空間にセットし、駆動機構により可動刃物を固定刃物側に押し出して、前記金属線材を固定刃物に押し付けて両刃物により切断することができる線材切断装置において、
前記セット空間にセットされた金属線材を支持する支持具が可動刃物の両外側に設けられ、
前記支持具は前記機構収納部側からセット空間側に突出して設けられ、いずれか一方の支持具は少なくとも右巻きコイルスプリングの巻き端部を支持することができ、他方の支持具は少なくとも左巻きコイルスプリングの巻き端部を支持することができる、
ことを特徴とする線材切断装置。
【請求項2】
請求項1記載の線材切断装置において、
それぞれの支持具を固定刃物側に向けて付勢しておき、金属線材をセット空間の上方開口部からセット空間に押し込んでセットすると、当該金属線材が支持具と固定刃物の間に挟着支持される、
ことを特徴とする線材切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋、異形棒、螺子棒、金属線材等の各種線材、特に、コイルスプリングの巻き始端部や巻き終端部(以下「巻き端部」という。特許請求の範囲において同じ。)の切断に適する線材切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属線材の切断に使用される切断装置として電動油圧式鉄筋切断装置がある。この装置は往復スライド可能なロッドの先端に取り付けられた可動刃物が固定刃物側に移動して固定刃物と摺動することによって、両刃物間の金属線材を切断するものであり、一例として特許文献1、2の線材切断装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−66429号公報
【特許文献2】実開平6−66914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に示すように、従来の線材切断装置Aは、固定刃物Bと可動刃物Cの間のセット空間Dに線材Gをセットし、その線材Gのうち、セット空間Dの外側(側方)に飛び出している突出部分を、線材切断装置Aの支持具Eで支持して線材Gの位置ずれを防止し、この状態で可動刃物Cを固定刃物B側に移動させると線材Gが切断されるようにしてある。
【0005】
前記線材切断装置Aはコンクリートから外に突出する鉄筋の切断を主目的とする装置であるが、従来、コイルスプリングSの巻き端部Tを切断する切断装置がなかったことから、前記線材切断装置Aを用いてコイルスプリングSの巻き端部Tを切断することがあった。線材切断装置Aで巻き端部Tを切断する場合は、図4のように、線材切断装置Aの載せ部FにコイルスプリングSを載せ、そのコイルスプリングSを可動刃物C側に傾倒させて巻き端部Tをセット空間Dにセットし、その巻き端部Tを支持具Eで支持して不用意に動かないようにし、この状態で可動刃物Cを固定刃物B側に移動させて巻き端部Tを切断している。
【0006】
しかし、コイルスプリングSには右巻きのものと左巻きのものがある。支持具Eは一本しかない。このため、コイルスプリングSが図5(a)のような右巻きの場合は、その巻き端部Tを支持具Eで支持することができるが、図5(b)のような左巻きの場合には、コイルスプリングSを線材切断装置Aの載せ部Fの上に載せると、巻き端部Tが支持具Eと反対側に突出する。このため巻き端部Tを線材切断装置Aのセット空間Dにセットしにくく、支持具Eで支持することができず、切断時にコイルスプリングSが位置ずれし易く、巻き端部Tの所望個所を確実に切断するのが困難であった。
【0007】
本発明の解決課題は、棒状の金属線材はもちろん、右巻きのコイルスプリングの巻き端部も左巻きのスプリングの巻き端部も確実に切断することのできる線材切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[線材切断装置]
本発明の線材切断装置は、金属線材を載せる載せ部と、固定刃物と、可動刃物と、固定刃物と可動刃物の間に設けられたセット空間と、可動刃物を前進・後退移動させる駆動機構と、駆動機構が収納されている機構収納部を備え、載せ部に載せた金属線材をセット空間にセットし、駆動機構により可動刃物を固定刃物側に押し出して、前記金属線材を固定刃物に押し付けて両刃物により切断することができる線材切断装置において、前記セット空間にセットされた金属線材を支持する支持具が可動刃物の両外側に設けられ、それら支持具は前記機構収納部側からセット空間側に突出して設けられ、いずれか一方の支持具は少なくとも右巻きコイルスプリングの巻き端部を支持でき、他方の支持具は少なくとも左巻きコイルスプリングの巻き端部を支持できるようにしたものである。なお、巻き端部とは、コイルスプリングのうちコイル状に巻かれていない直線状の部分を意味するものであり、コイルスプリングの端面寄りの部分に限定されない。
【0009】
前記線材切断装置は、それぞれの支持具を固定刃物側に向けて付勢しておき、金属線材をセット空間の上方開口部からセット空間に押し込んでセットすると、当該金属線材が支持具と固定刃物の間に挟着支持されるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の線材切断装置は次の効果がある。
(1)可動刃物の両外側に支持具が設けられているため右巻きのコイルスプリングも左巻きのコイルスプリングも確実に切断することができ、コイルスプリング以外の金属線材も切断することができる。
(2)支持具を固定刃物側に付勢した場合、その付勢力によって金属線材をより確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の線材切断装置の一例を示す斜視図。
図2図1に示す線材切断装置でコイルスプリングの巻き端部を切断する場合の一例を示すものであって、(a)は右巻きのコイルスプリングの巻き端部を切断する場合の平面図、(b)は左巻きのコイルスプリングの巻き端部を切断する場合の平面図。
図3】従来の線材切断装置の一例を示す斜視図。
図4図3に示す線材切断装置でコイルスプリングの巻き端部を切断する場合の側面図。
図5図3に示す線材切断装置でコイルスプリングの巻き端部を切断する場合の一例を示すものであって、(a)は右巻きのコイルスプリングの巻き端部を切断する場合の平面図、(b)は左巻きのコイルスプリングの巻き端部を切断する場合の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
[線材切断装置]
本発明の線材切断装置1の一例を、図面を参照して説明する。本発明の線材切断装置1は、鉄筋や異形棒、螺子棒、パイプ材といった各種金属線材の切断に用いることができるが、ここでは、金属線材がコイルスプリング6(図2(a)(b))の場合を一例として説明する。
【0013】
一例として図1に示す線材切断装置1は、本体2の先端側に固定刃物3と可動刃物4を備えたものであり、固定刃物3と可動刃物4の間のセット空間5にコイルスプリング6(図2(a)(b))の直線状の巻き端部6aをセットし、可動刃物4を固定刃物3側に押し出して固定刃物3と摺接させることによってコイルスプリング6の巻き端部6aを切断するものである。
【0014】
本発明の線材切断装置1には、可動刃物4の両外側に支持具8が設けられ、切断対象であるコイルスプリング6の巻き端部6aを支持できるようにしてある。両支持具8は本体2の機構収納部10側からセット空間5側に突出して設けられている。支持具8はスプリング11で固定刃物3側に向けて付勢してあり、コイルスプリング6の巻き端部6aをセット空間5の上方側の開口部5aからセット空間5に押し込むと、当該支持具8でコイルスプリング6の巻き端部6aを押圧して支持できるようにしてある。コイルスプリング6を載せる載せ部9は、図2(a)(b)のように、右側だけに設けることもできるが、右側に設けられた載せ部9と同じ構造の載せ部9を左側にも設けて、図2(b)のように左巻きのコイルスプリング6の巻き端部6aを切断する際にコイルスプリング6を載せられるようにしてもよい。
【0015】
線材切断装置1としては、固定刃物3と可動刃物4を備えた各種切断装置を用いることができ、例えば、株式会社オグラの電動油圧式鉄筋切断機を用いることができる。この切断機の可動刃物4は本体2の機構収容部10に内蔵されたピストン機構やその他の方式の駆動機構(図示しない)によって前進或いは後退(往復移動)するようにしてある。可動刃物4は、本体2に設けられたスイッチSWの操作によって前進或いは後退する。本体2からは電源コード7が引き出されて商用電源を取り込めるようにしてある。
【0016】
前記線材切断装置1に設けられた固定刃物3と可動刃物4はそれらの軸線を図2(a)(b)に示すように左右にずらして配置されて、可動刃物4を固定刃物3側に前進スライドさせると両刃物の近接する側面(以下、「近接側面3a、4a」という)が摺接し、この摺接により、前記セット空間5にセットされた巻き端部6aが切断されるようにしてある。
【0017】
(使用例)
本発明の線材切断装置1の使用例について、図面を参照して説明する。この使用例は、本発明の線材切断装置1を用いて、右巻きのコイルスプリング6の巻き端部6aを切断する場合の例である。
(1)図2(a)のように、線材切断装置1の載せ部9にコイルスプリング6を載せ、そのコイルスプリング6を可動刃物4側に傾倒させて(図4参照)巻き端部6aをセット空間5にセットする。このとき、セット空間5にセットされた巻き端部6aは、図2(a)の右側の支持具8によって支持される。
(2)前記(1)の状態で、スイッチSWを操作して可動刃物4を固定刃物3側に移動させ、セット空間5にセットされた巻き端部6aを切断する。
【0018】
左巻きのコイルスプリング6を切断するときも前記(1)と同様の手順で巻き端部6aをセット空間5にセットする(図2(b))。このとき、セット空間5にセットされた巻き端部6aは、図2(b)の左側の支持具8によって支持される。この状態でスイッチSWを操作して可動刃物4を固定刃物3側に移動させることによって、セット空間5にセットされた巻き端部6aを切断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の線材切断装置1は、コイルスプリング6の巻き端部6aのほか、鉄筋や異形棒、螺子棒、パイプ材といった各種金属線材の切断にも用いることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 線材切断装置
2 本体
3 固定刃物
3a (固定刃物の)近接側面
4 可動刃物
4a (可動刃物の)近接側面
5 セット空間
5a (セット空間の)開口部
6 コイルスプリング
6a 巻き端部
7 電源コード
8 支持具
9 載せ部
10 機構収容部
11 スプリング
A 線材切断装置
B 固定刃物
C 可動刃物
D セット空間
E 支持具
F 載せ部
G 線材
S コイルスプリング
T 巻き端部
SW スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5