(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の歯ブラシは、ヘッド部の植毛面に、毛束が植設されると共に、台座部と前記台座部の突端面に形成された複数の突起部とを備える弾性部材が設けられた歯ブラシである。以下、本発明の歯ブラシについて、実施形態を示して説明する。
【0013】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかる歯ブラシについて、以下に
図1A及び
図1Bを参照して説明する。
図1A及び
図1Bの歯ブラシ1は、長尺状のハンドル部3及びハンドル部3の先端に設けられたヘッド部2を備えるハンドル体と、ヘッド部2の植毛面20に設けられた毛束32と弾性部材10とを備える歯ブラシである。
【0014】
ヘッド部2の平面視形状は、ヘッド部2の中心を通り基端22から先端21に向かう軸線O1の延在方向を長手とする長方形である。
なお、本明細書における「長方形」には、頂部の一部又は全部に直線や曲線の隅切が形成された長方形、及び辺の一部又は全部が曲線で形成された長方形が含まれる。
植毛面20の中央部分には、軸線O1に沿って、複数の用毛を束ねた毛束32が2列(ヘッド部の幅方向に並ぶ毛束の数)×6行(ヘッド部の長さ方向に並ぶ毛束の数)で植設されて、中央毛束群30が形成されている。さらに、植毛面20には、中央毛束群30よりも先端21側に、先端21から順に毛束32が2列×1行、4列×1行で植設されている。また、中央毛束群30よりも基端22側に、毛束32が3列×1行で植設されている。こうして、本実施形態では、21個の毛束32からなる植毛部が形成されている。
なお、本発明の効果を有する限り、毛束32を植設する列数及び行数は適宜変更してもよく、例えば、ヘッド部の先端2から順に、毛束32が、1〜3列×1〜2行、2〜4列×1〜2行、2〜3列×2〜10行(中央毛束群30)、1〜3列×1〜2行で植設されていてもよい。
【0015】
さらに、植毛面20には、弾性部材10が、中央毛束群30を挟んだヘッド部2の幅方向の両側に、2個ずつ設けられている。中央毛束群30を挟んだ片側には、弾性部材10が軸線O1の延在方向に2個並び、中央毛束群30を挟んだ他側には、弾性部材10が軸線O1の延在方向に2個並んでいる。なお、ヘッド部2の「幅方向」とは、平面視において軸線O1に
直交する方向であり、ヘッド部2の「長さ方向」は、軸線O1の延在方向である。
【0016】
歯ブラシ1において、ヘッド部2とハンドル部3とは、全体として長尺状に一体成形されており、例えば、樹脂を材料とし射出成形により得られる。
ハンドル体を構成する樹脂は、歯ブラシ1に求める剛性や機械特性等を勘案して決定でき、例えば、曲げ弾性率(JIS K7203)が500〜3000MPaの範囲にある高硬度樹脂が挙げられる。このような高硬度樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート(CP)、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS)等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
また、ハンドル部3は、例えばエラストマー等の柔軟な樹脂が部分的又は全体的に被覆されていてもよい。
【0017】
ヘッド部2の大きさは、口腔内での操作性等を勘案して決定でき、例えば、幅が8〜15mm、長さが15〜40mm、厚さが2.5〜8mmとされる。
【0018】
毛束32を構成する用毛としては、毛先に向かって漸次その径が小さくなる用毛(テーパー毛)、毛先の丸め部を除いて外径がほぼ同一である用毛(ストレート毛)、スパイラル状の用毛、クリンプ状の用毛等が挙げられる。
【0019】
用毛の材質は、例えば、6−12ナイロン、6−10ナイロン等のポリアミド;PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル;PP等のポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の合成樹脂材料を用いることができる。
これらの樹脂材料は、複数組み合わせて用いてもよく、中でも、容易にコシを強くでき、歯垢の掻き取り性がより高くなる点で、複数のポリエステルの混合物を用いることが好ましい。
なお、複数のポリエステルの混合物としては、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとの組み合わせ、ポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとの組み合わせ、ポリブチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとの組み合わせ、又はポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートとの組み合わせが好ましい。
また、用毛としては、芯部と前記芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造を有するポリエステル製用毛が挙げられる。多重芯構造を有すると、芯部と鞘部とで異なるポリエステルを用いることができるため、機械的物性の調整が容易になる。このため、コシの強く、歯垢の掻き取り性がより高い用毛を容易に得ることができる。
なお、上記芯部と鞘部の用毛に用いることができる異なるポリエステルの組み合わせとしては、鞘部がポリエチレンテレフタレート、芯部がポリブチレンテレフタレートである組み合わせ;鞘部がポリブチレンテレフタレート、芯部がポリトリメチレンテレフタレートである組み合わせ、又は鞘部がポリエチレンテレフタレート、芯部がポリトリメチレンテレフタレートである組み合わせが好ましい。
【0020】
用毛の横断面形状は円形が好ましいが、円形に必ずしも限定されるものではなく、歯ブラシ1の目的用途に応じて任意の形状とすることができ、例えば、楕円形、多角形(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、星形等)、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形等でもよい。
【0021】
用毛の太さ(すなわち、横断面における最大幅)は、材質や長さ等を勘案して適宜決定され、例えば、横断面が円形の場合、3〜12mil(1mil=1/1000inch=0.025mm)が好ましく、4〜10milがより好ましい。
また、使用感や、刷掃感、清掃効果、耐久性等を考慮して、太さの異なる複数本の用毛を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0022】
植毛面20における毛束32の太さ(すなわち、毛束の横断面における最大幅)は、用毛の材質や太さ等を勘案して決定でき、例えば、1〜3.5mmが好ましく、1.5〜2.5mmがより好ましい。全ての毛束32の毛束の太さが同一であってもよいし、相互に異なっていてもよい。
また、植毛面20における毛束同士の最短距離は、全ての毛束間で同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。植毛面20における毛束同士の最短距離としては、0.2〜1.2mmが好ましく、0.3〜1.0mmがさらに好ましい。
【0023】
毛束32の毛丈(すなわち、毛束32の高さ)H1、即ち植毛面20から毛束32の先端までの長さは、例えば、6mm〜15mmの範囲で決定できる。全ての毛束32の毛丈H1は、同一であってもよいし、相互に異なっていてもよい。
また、例えば、植毛部がヘッド部2の幅方向の中央(即ち、軸線O1)に向かうに従って高くなるように、個々の毛束32の毛丈H1が調整されていてもよい。
【0024】
弾性部材10は、植毛面20上に突設された台座部12と、台座部12の突端面13(すなわち、台座部12における植毛面20に接する面とは反対側の面)に形成された複数の突起部14とを備え、台座部12の突端面13側が4個に分岐した部材である。
本実施形態において、台座部12は、軸線O1の延在方向を長手とする平面視長方形の角柱状であって、その平面視形状の短手を形成する一対の辺及び4つの頂部は曲線で形成されている。台座部12は、植毛面20との境界(即ち、台座部12の基端)から突端面13にかけて、突端面13に平行な任意の面で切断した場合の最大幅が、同じであってもよいし、漸次縮小していてもよいし、漸次拡張していてもよい。
台座部12には、突端面13から植毛面20に向かって切り込み16が形成されている。即ち、台座部12は、切り込み16により、突端面13側が分岐している。
なお、本願明細書及び請求の範囲において、「切り込み」とは、台座部の突端面側を分岐する最大幅が3mm未満のスリット(隙間)を意味する。
台座部12の突端面13には、突起部14が、台座部12の短手方向に2個、台座部12の長手方向に4個並んで形成されている。突起部14は、平面視略真円形であり、突端に向かうに従い縮径する円錐状である。切り込み16は、台座部12の長手方向に並ぶ突起部14同士の間に形成されており、台座部12の分岐したそれぞれの部分は、突起部14を2個ずつ有している。
なお、突起部14は、台座部12の短手方向に2個、台座部12の長手方向に4個形成されているとは限らず、本発明の効果を有する限り、台座部12の短手方向に1〜3個、長手方向に2〜8個形成されていてもよい。
また、台座部12の分岐したそれぞれの部分は、突起部14を2個ずつ有しているとは限らず、本発明の効果を有する限り、1〜4個ずつ有していてもよい。
【0025】
本実施形態において、弾性部材10は、台座部12と突起部14とが一体成形された部材であり、例えば、樹脂を材料とし射出成形により得られる。
弾性部材10を構成する樹脂は、口腔内清掃時に適度に撓むものであればよく、例えば、軟質樹脂が挙げられる。軟質樹脂としては、硬さ(JISK6253硬さ試験、試験条件JIS A)が5〜100の樹脂が好ましく、20〜60の樹脂がより好ましい。硬さが5以上であれば、十分な弾性を有し、十分なマッサージ効果が得られ、硬さが100以下であれば、歯肉を傷つけることなく、かつ十分なマッサージ効果を得られるためである。
軟質樹脂の具体例としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、トランス−ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0026】
本実施形態において、弾性部材10の高さh1、即ち、植毛面20から突起部14の突端までの長さは、毛束32の毛丈H1や、弾性部材10の材質等を勘案して決定され、例えば、5.5〜14.5mmが好ましく、7〜11mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、口腔内清掃時に突起部14が歯肉に当接しやすく、より良好なマッサージ効果を得ることができる。上記上限値以下であれば、弾性部材10は適度な硬さと柔軟性とを備え、マッサージ効果をより向上できる。
【0027】
加えて、弾性部材10の高さh1は、毛束32の毛丈H1の最大値よりも低いことが好ましく、[H1]−[h1]で表される高低差D1が、好ましくは0.5〜3mm、より好ましくは1〜2.5mmである。弾性部材10が毛束32より低いことで、毛束32による歯面又は歯間部の清掃効果と、弾性部材10による歯肉のマッサージ効果とをより向上することができる。
【0028】
台座部12の高さh2は、弾性部材10に求める硬さや柔軟性を勘案して決定され、例えば、5〜11mmが好ましく、6〜8mmがより好ましい。
台座部12の長さL1、即ち平面視における台座部12の長手方向における長さの最大値は、弾性部材10に求める硬さや柔軟性を勘案して決定され、例えば、3〜15mmが好ましく、5〜10mmがより好ましい。
台座部12の幅W1、即ち平面視における台座部12の短手方向における長さの最大値は、弾性部材10に求める硬さや柔軟性を勘案して決定され、例えば、1〜3mmが好ましく、1.5〜2.5mmがより好ましい。
【0029】
突起部14の高さh3、即ち、突端面13から突起部14の突端までの長さは、突起部14の材質等を勘案して決定され、例えば、0.5〜4mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。上記範囲内であれば、より良好なマッサージ効果を得ることができる。
突起部14の幅r1(即ち、突起部14の基端における最大幅
)としては、突端部の幅r1の2個分の合計が台座部12の幅W1より小さければよく、突起部14の材質等を勘案して決定され、例えば、0.5〜2mmが好ましく、0.8〜1.2mmがより好ましい。上記範囲内であれば、強度と柔軟性とのバランスが良好である。なお、全ての突起部14の幅r1は、同一であってもよいし、相互に異なっていてもよい。
【0030】
台座部12における切り込み16の深さd1は、台座部12の材質や、幅W1等を勘案して決定され、例えば、台座部12の高さh2の1/3〜2/3が好ましく、2/5〜3/5がより好ましい。上記下限値未満では、弾性部材10が歯肉に与える刺激が強くなりすぎるおそれがあり、上記上限値超では、弾性部材10が歯肉に与える刺激が弱くなりすぎて、マッサージ効果が不十分になるおそれがある。
【0031】
切り込み16の幅w2、即ち、台座部12における分岐した部分同士の最大距離は、台座部12の材質等を勘案して決定され、例えば、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましく、分岐した部分同士が接触していてもよい。幅w2が上記上限値以下であれば、弾性部材10が歯肉に対して適度な刺激を与え、マッサージ効果をより高められる。
【0032】
任意の切り込み16と他の切り込み16との最短の距離w1は、台座部12における分岐した部分の上に、突起部が形成できる距離であればよく、台座部12の材質や長さL1、幅W1、突起部14の幅r1等を勘案して決定され、例えば、0.8〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。なお、最短の距離w1は、全てが同一であってもよいし、相互に異なっていてもよい。
上記下限値未満では、弾性部材10が歯肉に与える刺激が弱くなりすぎて、マッサージ効果が不十分になるおそれがあり、上記上限値超では、弾性部材10が歯肉に与える刺激が強くなりすぎるおそれがある。
軸線O1の延在方向に並んだ弾性部材10同士の最短距離としては、2〜10mmが好ましく、3〜8mmが好ましい。
弾性部材10と中央毛束群30との最短距離は、0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1.0mmが好ましい。
なお、中央毛束群30は、幅が2〜5mm、長さが2〜12mmであることが好ましい。
【0033】
歯ブラシ1の製造方法は、例えば、ハンドル体を成形し(一次成形)、得られたハンドル体に弾性部材10を設ける(二次成形)成形工程と、次いでヘッド部2に毛束32を植設する植毛工程とを備える製造方法が挙げられる。
【0034】
一次成形は、ハンドル体の形状に対応するキャビティが形成された一対の一次金型を用い、前記キャビティにハンドル体を構成する樹脂(一次樹脂ということがある)を射出して、ハンドル体を成形する操作である。
【0035】
続く二次成形は、弾性部材10の形状に対応するキャビティが形成された一対の二次金型を用い、一次成形で得られたハンドル体を二次金型のキャビティ内に装填し、二次金型に弾性部材10を構成する樹脂(二次樹脂ということがある)を射出し、植毛面20に弾性部材10を設ける操作である。二次金型のキャビティは、キャビティ内にハンドル体が装填された際、装填されたハンドル体とキャビティとの間に形成された空間が、弾性部材10に対応する形状とされたものである。
【0036】
植毛工程は、ヘッド部2に毛束32を植設し、歯ブラシ1とする工程である。毛束32の植設は、公知の方法を用いることができ、例えば、複数本の用毛からなる毛束を二つ折りに、その間に抜け止め部材(平線)を挟み、この平線を植毛穴に打ち込んで毛束を固定する平線植毛法が挙げられる。この平線は、従来公知のものを用いることができ、例えば、真鍮製、アルミニウム製の平板状の平線が挙げられる。
【0037】
次に、本実施形態の歯ブラシ1の使用方法について、スクラブ法又はバス法で口腔内を清掃する場合を例にして説明する。
毛束32の先端を歯面や歯頸部に当接させ、歯ブラシ1を軸線O1の延在方向に往復動させる。この際、毛束32が歯面、歯間部又は歯頸部の汚れを掻きとると共に、突起部14が歯肉に摺動する。突起部14が歯肉に摺動すると、その抵抗により突起部14又は台座部12が撓んだり、弾性復帰したりする。加えて、台座部12は、切り込み16により分岐しているため、この分岐した部分個々が弾性部材10の長手方向や短手方向に撓み、歯肉に対する刺激を適度に緩和する。さらに、毛束32の一部、即ち中央毛束群30を形成する毛束32は、ヘッド部2の幅方向の両側に設けられた弾性部材10により挟まれているため、ヘッド部2の幅方向への動きが規制される。こうして、歯ブラシ1は、弾性部材10が適度な圧力で歯肉を押圧して、歯肉へのマッサージ効果を発揮すると共に、毛束32が歯面、歯間部又は歯頸部を良好に擦掃する。
【0038】
本実施形態によれば、弾性部材10が設けられているため、口腔内の清掃時に、歯肉へのマッサージ効果を発揮できる。
本実施形態の弾性部材10は、台座部12上に突起部14が形成された弾性部材であるため、口腔内の清掃時には、主に突起部14が歯肉に当接する。突起部14は、基端における最大幅が、台座部12の幅及び長さより小さいため、突端に集中した力を歯肉に伝えると共に、しなやかに撓む。このため、歯肉に対し、柔らかな当たり心地を与える。
加えて、弾性部材10は、台座部12によって適度な剛性を備えているため、突起部14によって、歯肉に適度な強さの刺激を与え、マッサージ効果を高めることができる。
さらに、台座部12は突端面13側が分岐しているため、スクラブ法やバス法で口腔内を清掃した際に、台座部12の分岐した部分が個々に撓んで、歯肉に与える刺激を適度に緩和できる。
即ち、弾性部材10は、基端から突端に向かい、段階的に撓みやすくなっているため、突起部14が柔らかな当たり心地で歯肉に当接すると共に、全体として、適度な刺激を歯肉に与えられる。
【0039】
一般に、歯ブラシは、口腔内の清掃中に、毛束同士が互いに干渉し合うことで、適度な毛腰強度を発揮できるように設計されている。このような歯ブラシの植毛面に弾性部材10を設けると、毛束は、数量が少なくなり、毛腰強度が低下して、清掃効果が低下する傾向にある。
本実施形態によれば、毛束32の一部である中央毛束群30が弾性部材10で挟まれているため、中央毛束群30を形成する毛束32は、ヘッド部2の幅方向への撓み具合が制限される。このため、毛束32は、数量が少なくても、強い毛腰を備え、清掃効果をより向上できる。
【0040】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかる歯ブラシについて、以下に
図2A及び
図2Bを参照して説明する。
第一の実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、その説明を省略すると共に、主に第一の実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態の歯ブラシ100は、ヘッド部2の長さ方向(即ち、軸線O1の延在方向)の両側に並ぶ2個の弾性部材10の間に毛束132が設けられた歯ブラシである。即ち、歯ブラシ100は、弾性部材10が、ヘッド部2の幅方向及び長さ方向の双方で、毛束の一部を挟んで設けられた歯ブラシである。
【0041】
植毛面20には、ヘッド部の先端21から順に、毛束32が、2列×1行、4列×1行、2列×3行、4列×1行(この内、ヘッド部2の幅方向の両端の毛束を符号132で示す)、2列×3行、3列×1行で植設されている。
植毛面20における毛束同士の最短距離は、全ての毛束間で同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。毛束同士の最短距離としては、0.2〜1.2mmが好ましく、0.3〜1.0mmがさらに好ましい。
弾性部材10は、その長手が軸線O1の延在方向となるように、ヘッド部2の幅方向の両側に2個ずつ設けられている。ヘッド部2の幅方向で対向する二対の弾性部材10は、いずれも2列×3行の毛束32を挟んで設けられている。毛束132を中心として先端21側に位置する一対の弾性部材10で挟まれた2列×3行の毛束32によって第一の中央毛束群130aが形成されている。また、毛束132を中心として基端22側に位置する一対の弾性部材10で挟まれた2列×3行の毛束32によって第二の中央毛束群130bが形成されている。
中央毛束群130aは、幅が2〜5mm、長さが2〜10mmであることが好ましい。
中央毛束群130bは、幅が2〜5mm、長さが2〜10mmであることが好ましい。
また、軸線O1の延在方向に並ぶ一対の弾性部材10同士の間には、毛束132が植設されている。
各弾性部材10と毛束132との最短距離は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。弾性部材10と毛束132との最短距離としては、0.3〜1.2mmが好ましく、0.5〜1.0mmが好ましい。
また、弾性部材10と中央毛束群130a又は中央毛束群130bとの最短距離としては、0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1.0mmが好ましい。
なお、本発明の効果を有する限り、毛束32を植設する列数及び行数は適宜変更してもよく、例えば、ヘッド部の先端21から順に、毛束32が、1〜3列×1〜2行、2〜4列×1〜2行、1〜3列×1〜4行(中央毛束群130a)、3〜5列×1〜2行(この内、ヘッド部2の幅方向の両端から○〜○列の毛束を符号132で示す)、1〜2列×1〜4行(中央毛束群130b)1〜3列×1〜2行で植設されていてもよい。
【0042】
本実施形態の歯ブラシ100によれば、弾性部材10が、ヘッド部2の幅方向で、毛束32の一部(即ち、中央毛束群130a、及び中央毛束群130b)を挟んで設けられており、ヘッド部2の長さ方向で、毛束132を挟んで設けられている。このため、歯ブラシ100で口腔内を洗浄した際、第一の中央毛束群130aを形成する毛束32、第二の中央毛束群130bを形成する毛束32において、ヘッド部2の幅方向への撓み具合が制限される。このため、第一の中央毛束群130a及び第二の中央毛束群130bを形成する毛束32が、強い毛腰で口腔内を清掃する。
加えて、毛束132は、ヘッド部2の長さ方向で弾性部材10に挟まれているため、歯ブラシ100を軸線O1の延在方向に往復動させた場合、ヘッド部2の長さ方向への撓み具合が制限されて、強い毛腰で口腔内を清掃できる。
このように、弾性部材10がヘッド部2の幅方向及び長さ方向の双方で毛束の一部を挟んで設けられていることで、歯ブラシ100の清掃効果をより高められる。
【0043】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態にかかる歯ブラシについて、以下に
図3A及び
図3Bを参照して説明する。
第一及び第二の実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、その説明を省略すると共に、主に第一及び第二の実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態の歯ブラシ200は、軸線O1上に3個の弾性部材10が離間して並設された歯ブラシであり、各弾性部材10は、軸線O1の延在方向が短手とされている。
植毛面20には、ヘッド部の先端21から順に、2列×1行の毛束32、4列×1行の毛束32、弾性部材10、4列×1行の毛束32、弾性部材10、4列×1行の毛束32、弾性部材10、4列×1行の毛束32、3列×1行の毛束32が設けられている。即ち、歯ブラシ200は、3個の弾性部材10がヘッド部2の長さ方向で毛束32の一部を挟んで設けられた歯ブラシである。
植毛面20に植設された隣接する毛束同士の最短距離は、全ての毛束間で同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。毛束同士の最短距離としては、0.2〜1.2mmが好ましく、0.3〜1.0mmがさらに好ましい。
軸線O1上に併設された弾性部材10同士の最短距離は、2〜5mmが好ましく、3〜4mmがさらに好ましい。弾性部材10同士の最短距離は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、弾性部材10と毛束32との最短距離としては、0.2〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmが好ましい。弾性部材10と毛束32との最短距離は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、本発明の効果を有する限り、毛束32を植設する列数及び行数は適宜変更してもよく、例えば、ヘッド部の先端21から順に、1〜3列×1〜2行の毛束32、2〜4列×1〜2行の毛束32、弾性部材10、3〜5列×1〜3行の毛束32、弾性部材10、3〜5列×1〜3行の毛束32、弾性部材10、3〜5列×1〜3行の毛束32、1〜3列×1〜2行の毛束32で設けられていてもよい。
【0044】
本実施形態の歯ブラシ200によれば、弾性部材10がヘッド部2の長さ方向で、毛束32の一部を挟んで設けられている。このため、歯ブラシ200を軸線O1の延在方向に往復動させた場合、弾性部材10でヘッド部2の長さ方向への撓み具合が制限される毛束32が増えて、より強い毛腰で歯面等を清掃できる。
【0045】
(第四の実施形態)
本発明の第四の実施形態にかかる歯ブラシについて、以下に
図4A及び
図4Bを参照して説明する。
第一〜第三の実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、その説明を省略すると共に、主に第一〜第三の実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態の歯ブラシ300は、植毛面20の略中央に、4個の弾性部材10が2列×2行で設けられ、この4個の弾性部材10からなる弾性部材群を囲むように毛束32が設けられた歯ブラシである。即ち、歯ブラシ300において、弾性部材10は、毛束32を挟むようにして設けられていない。なお、本実施形態において、弾性部材10は、いずれもヘッド部2の長さ方向が長手とされている。
ヘッド部2の長さ方向に並ぶ弾性部材10同士の最短距離は、0.1〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmが好ましい。また、ヘッド部2の長さ方向に並ぶ弾性部材10同士の最短距離は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。
ヘッド部2の幅方向に並ぶ弾性部材10同士の最短距離は、0.1〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmが好ましい。また、ヘッド部2の幅方向に並ぶ弾性部材10同士の最短距離は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。
弾性部材10と毛束32との最短距離は、0.2〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmが好ましい。弾性部材10と毛束32との最短距離は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。
植毛面20に植設された隣接する毛束同士の最短距離は、全ての毛束間で同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。毛束同士の最短距離としては、0.2〜1.2mmが好ましく、0.3〜1.0mmがさらに好ましい。
【0046】
本実施形態の歯ブラシ300によれば、弾性部材10がヘッド部2の略中央に設けられているため、毛束32は、植毛面20の中央方向への撓み具合が制限され、植毛面20の外側方向への撓み具合は制限されにくい。
このため、毛束32は、植毛面20の中央方向に撓む際には強い毛腰となり、植毛面20の外側方向に撓む際には弱い毛腰(柔らかな当たり心地)となって、口腔内を清掃する。
ただし、歯ブラシ300においては、軸線O1近傍の毛束32が少なくなり、清掃実感が損なわれやすい。このため、弾性部材10は、ヘッド部2の幅方向両側に設けられていることが好ましい。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
第一〜第四の実施形態では、ヘッド部が平面視長方形であるが、本発明はこれに限定されず、平面視形状が真円形、楕円形等の円形、平面視三角形、平面視五角形等、平面視長方形以外の多角形であってもよい。ここで、多角形には、各頂部に直線や曲線の隅切が形成された形状や、各辺の一部又は全部が曲線とされた形状が含まれる。
【0048】
第一〜第四の実施形態では、台座部が平面視長方形の角柱状とされているが、本発明はこれに限定されず、台座部が真円柱状や楕円柱状の円柱状であってもよいし、平面視三角形、平面視五角形等、平面視長方形以外の角柱状であってもよい。
ただし、台座部が歯肉や頬に当接した際に、使用者に強い刺激を与えるのを防止する観点からは、頂部が曲線で形成された角柱状又は円柱状が好ましく、マッサージ効果をより高める観点からは平面視長方形の角柱状がより好ましい。
【0049】
第一〜第四の実施形態では、突起部が円錐状とされているが、本発明はこれに限定されず、突起部の形状は、材質等を勘案して適宜決定される。突起部の形状は、例えば、三角錘状、四角錘状、五角錘状等の多角錘状であってもよいし、半球状であってもよいし、円柱状や多角柱状等の柱状、又は突起部の基端から突端に向かい突端面に対して水平な断面における最大幅が略同一の柱状部に次いで漸次突端面に対して水平な断面における最大幅が縮小する縮形部を備える突起部であってもよい。ただし、歯肉に対する当たり心地をより柔らかな突起部とし、かつ歯肉に対しより適度な刺激を与える観点から、突起部は、円錐状、多角錘状、半球状、又は突起部の基端から突端に向かい突端面に対して水平な断面における最大幅が略同一の柱状部と、この柱状部に次いで突端面に対して水平な断面における最大幅が漸次縮小する縮形部を備える突起部等、突端に向かうに従い突端面に対して水平な断面における最大幅が縮小する形状が好ましく、円錘状、多角錘状がより好ましく、円錘状がさらに好ましい。
【0050】
第一〜第四の実施形態では、1個の台座部に8個の突起部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、突起部の数量は、突起部の材質等を勘案して適宜決定され、2個以上、7個以下であってもよいし、9個以上、16個以下、であってもよい。
【0051】
第一〜第四の実施形態では、台座部の突端面側が4個に分岐している(即ち、3個の切り込みが形成されている)が、台座部の分岐数は台座部の大きさを勘案して決定され、台座部の突端面側が2〜3個に分岐していてもよいし、5個以上に分岐していてもよい。ただし、歯肉に対する刺激をより適切なものにする観点から、2〜12個に分岐していることが好ましく、3〜8個に分岐していることがより好ましい。
【0052】
第一〜第四の実施形態では、台座部と突起部とが一体成形されているが、本発明はこれに限定されず、台座部と突起部とがそれぞれ別個に成形されていてもよい。
【0053】
第一〜第四の実施形態では、台座部が切り込みにより分岐されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、
図5に示す弾性部材110のように、台座部112の突端面113に、側面視台形の凹条116が形成されて、台座部112の突端面113側が分岐されていてもよい。
なお、ここでいう「凹条」とは、台座部の突端面側を分岐する側面視台形の隙間であって、側面視台形の一方の底辺における最少値が1.0mm以上、5mm以下、もう一方の底辺における最少値が2mm以上、8mm以下である隙間を意味する。
ただし、口腔内を清掃する際に、台座部の分岐した部分同士が干渉することで、適度な強度の刺激を歯肉に与えてマッサージ効果を高める観点からは、台座部は切り込みにより分岐されていることが好ましい。
【0054】
第一の実施形態では、弾性部材がヘッド部の幅方向両側に2個ずつ、計4個設けられているが、本発明は、これに限定されず、弾性部材がヘッド部の幅方向両側に1個ずつ計2個設けられていてもよいし、ヘッド部の幅方向両側に3個以上ずつ計6個以上設けられていてもよい。ただし、適度な強度の刺激を歯肉に与えてマッサージ効果を高める観点からは、弾性部材の数量は計4〜14個が好ましく、計4〜10個がより好ましい。
加えて、ヘッド部の幅方向の一方に設けられる弾性部材の数量と他方に設けられる弾性部材の数量は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、弾性部材で挟まれた毛束の撓み具合をより良好に制御する観点から、ヘッド部の幅方向の一方に設けられる弾性部材の数量と他方に設けられる弾性部材の数量は、同じであることが好ましい。
【0055】
第二の実施形態では、弾性部材がヘッド部の幅方向両側に2個ずつ、計4個設けられているが、本発明は、これに限定されず、弾性部材がヘッド部の幅方向両側に1個ずつ計2個設けられていてもよいし、3個以上ずつ計6個以上設けられていてもよい。ただし、適度な強度の刺激を歯肉に与えてマッサージ効果を高める観点からは、弾性部材の数量は計4〜14個が好ましく、計4〜10個がより好ましい。
加えて、ヘッド部の幅方向の一方に設けられる弾性部材の数量と他方に設けられる弾性部材の数量は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、弾性部材で挟まれた毛束の撓み具合をより良好に制御する観点から、ヘッド部の幅方向の一方に設けられる弾性部材の数量と他方に設けられる弾性部材の数量は、同じであることが好ましい。
【0056】
第三の実施形態では、3個の弾性部材が設けられているが、本発明は、これに限定されず、弾性部材の数量は、1〜2個であってもよいし、4個以上、8個以下であってもよい。ただし、適度な強度の刺激を歯肉に与えてマッサージ効果を高める観点からは、2〜10個が好ましく、3〜8個がより好ましい。
【0057】
第四の実施形態では、弾性部材群が4個の弾性部材で形成されているが、本発明はこれに限定されず、弾性部材群を形成する弾性部材の数量は、1個以上、3個以下であってもよいし、5個以上、8個以下であってもよい。ただし、適度な強度の刺激を歯肉に与えてマッサージ効果を高める観点からは、3〜20個が好ましく、4〜10個がより好ましい。
【0058】
このように、本発明の歯ブラシは、弾性部材の数量、大きさ、突起部の数量、分岐数等が適宜組み合わされて、清掃効果とマッサージ効果とが調節される歯ブラシである。
【0059】
例えば、ヘッド部の長さ方向に3個以上の弾性部材が並設された歯ブラシについて、
図6A及び
図6Bを参照して説明する。
第一〜第四の実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、その説明を省略すると共に、主に第一〜第四の実施形態と異なる点について説明する。
図6Aの歯ブラシ400は、植毛面20に、ヘッド部2の幅方向両側に平面視長方形の角柱状の弾性部材410が3個ずつ設けられた歯ブラシであり、弾性部材410は、その長手が軸線O1の延在方向となるように設けられている。ヘッド部2の幅方向で対向する三対の弾性部材410は、いずれも2列×2行の毛束32を挟んで設けられている。
なお、本発明の効果を有する限り、ヘッド部の長さ方向に並設される弾性部材410の個数は適宜変更してもよく、例えば、3個以上、10個以下で設けられていてもよい。また、ヘッド部2の幅方向で対向する弾性部材410は、いずれも1〜3列×1〜3行の毛束32を挟んで設けられていてもよい。
ヘッド部2の長さ方向に並ぶ弾性部材410同士の間には、毛束132が設けられている。即ち、ヘッド部2の幅方向両側には、ヘッド部2の長さ方向に並ぶ弾性部材410同士の間に挟まれた毛束132が、2個ずつ設けられている。
なお、本発明の効果を有する限り、ヘッド部2の長さ方向に並ぶ弾性部材410同士の間に挟まれた毛束132は、3列×2行〜5列×2行で設けられていてもよい。
弾性部材410は、平面視長方形の角柱状の台座部412と台座部412の突端面413に形成された4個の突起部14とを備え、突端面413から植毛面20に向かう切り込み16が1個形成されている。
なお、本発明の効果を有する限り、突起部の個数及び切り込みの個数は適宜変更してもよく、例えば、台座部412の突端面413に形成された突起部の個数は1以上、4以下であってもよく、植毛面20に向かう切り込み16は1以上、3以下であってもよい。
弾性部材410の台座部12の長さL1(即ち平面視における台座部12の長手方向における最大の長さ)としては、1〜7mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
また、弾性部材410の台座部12の幅W1(即ち平面視における台座部12の短手方向における最大の長さ)としては、1〜4mmが好ましく、2〜3mmがより好ましい。
弾性部材410と毛束32との最短距離としては、0.2〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmがより好ましい。
各弾性部材410と毛束132との最短距離は、全てが同じであってもよく、異なっていてもよい。弾性部材10と毛束132との最短距離としては、0.2〜1.2mmが好ましく、0.3〜1.0mmが好ましい。
植毛面20に植設された隣接する毛束32同士の最短距離は、全ての毛束間で同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。毛束同士の最短距離としては、0.5〜1.2mmが好ましく、0.8〜1.0mmがさらに好ましい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
表1に記載の仕様に従い、
図1A及び
図1Bの歯ブラシ1と同様の歯ブラシを作製した。この歯ブラシは、ハンドル体がPP製、弾性部材がスチレン系エラストマー製、用毛がナイロン製である。得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、及びマッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「四角柱」、弾性部材の配置を「両側各2」と記載した。
【0062】
(実施例2)
図2A及び
図2Bの歯ブラシ100と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、及びマッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「四角柱」、弾性部材の配置を「両側各2離間」と記載した。
【0063】
(実施例3)
図6A及び
図6Bの歯ブラシ400と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、マッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「四角柱」、弾性部材の配置を「両側各3離間」と記載した。
【0064】
(比較例1)
図7A及び
図7Bの歯ブラシ500と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。歯ブラシ500は、2列×8行で毛束32が植設され、これらの毛束32を挟んで、ヘッド部2の幅方向両側に弾性部材510が1個ずつ設けられた歯ブラシである。弾性部材510は、突起部14が、平面視長方形の角柱状の台座部512の突端面に、台座部512の短手方向に2個、台座部の長手方向に14個並んで形成されている。なお、この台座部512は、分岐していない。
得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、及びマッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「四角柱」、弾性部材の配置を「両側各1」と記載した。
【0065】
(比較例2)
図8A及び
図8Bの歯ブラシ550と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。歯ブラシ550は、2列×8行で毛束32が植設され、これらの毛束32を挟んで、ヘッド部2の幅方向両側に弾性部材560が2個ずつ設けられた歯ブラシである。弾性部材560は、突起部14が、平面視長方形の角柱状の台座部562の突端面に、台座部562の短手方向に2個、台座部の長手方向に6個並んで形成されている。なお、この台座部562は、分岐していない。
得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、及びマッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「四角柱」、弾性部材の配置を「両側各2」と記載した。
【0066】
(比較例3)
図9A及び
図9Bの歯ブラシ600と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。歯ブラシ600は、2列×8行で毛束32が植設され、これらの毛束32を挟んで、ヘッド部2の幅方向両側に弾性部材610が5個ずつ設けられた歯ブラシである。弾性部材610は、真円柱状の台座部612の突端面に、3個の突起部14が形成された部材である。なお、この台座部612は、分岐していない。
得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、及びマッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「真円柱」、弾性部材の配置を「両側各5」と記載した。
【0067】
(比較例4)
図10A及び
図10Bに示す歯ブラシ650と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。歯ブラシ650は、歯ブラシ550(
図8A及びB)の弾性部材560を突起部が形成されていない弾性部材660に換えた歯ブラシである。
得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、マッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「四角柱」、弾性部材の配置を「両側各2」と記載した。
【0068】
(比較例5)
図11A及び
図11Bに示す歯ブラシ700と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。歯ブラシ700は、突端に向かうに従い縮径する略円柱状の弾性部材710のみを植毛面20に設けた歯ブラシである。即ち、歯ブラシ700は、植毛面20に毛束が設けられていない歯ブラシである。
得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、及びマッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「真円柱」、弾性部材の配置を「全面」と記載した。
【0069】
(比較例6)
図12A及び
図12Bに示す歯ブラシ750と同様の歯ブラシとした以外は、実施例1と同様にして歯ブラシを得た。歯ブラシ750は、歯ブラシ600(
図9A及びB)の弾性部材610を弾性部材710に換えた歯ブラシである。
得られた歯ブラシについて、清掃効果、当たり心地、及びマッサージ効果を評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中には、台座部の形状を「真円柱」、弾性部材の配置を「両側各5」と記載した。
【0070】
(評価方法)
<清掃効果>
10人のモニターが、各例の歯ブラシで口腔内を清掃し、その際の歯頸部と歯面の清掃効果を下記評価基準で評価した。モニター10人の平均点が4.0点以上を「A」、平均点3.0点以上4.0点未満を「B」、平均点2.0点以上3.0点未満を「C」、平均点2.0点未満を「D」とした。
【0071】
≪評価基準≫
5点:歯頸部及び歯面の汚れが落ちた感触を非常に感じる。
4点:歯頸部及び歯面の汚れが落ちた感触を強く感じる。
3点:歯頸部及び歯面の汚れが落ちた感触を感じる。
2点:歯頸部及び歯面の汚れが落ちた感触をあまり感じない。
1点:歯頸部及び歯面の汚れが落ちた感触を感じない。
【0072】
<当たり心地>
10人のモニターが、各例の歯ブラシで口腔内を清掃し、その際の歯肉への当たり心地を下記評価基準で評価した。モニター10人の平均点が4.0点以上を「A」、平均点3.0点以上4.0点未満を「B」、平均点2.0点以上3.0点未満を「C」、平均点2.0点未満を「D」とした。
【0073】
≪評価基準≫
5点:歯肉の痛みがなく、当たり心地が非常によい。
4点:歯肉の痛みがなく、当たり心地がとてもよい。
3点:歯肉の痛みがなく、当たり心地がよい。
2点:歯肉に弱い痛みを感じる。
1点:歯肉に強い痛みを感じる。
【0074】
<マッサージ効果>
10人のモニターが、各例の歯ブラシで口腔内を清掃し、その際の歯肉へのマッサージ感を下記評価基準で評価した。モニター10人の平均点が4.0点以上を「A」、平均点3.0点以上4.0点未満を「B」、平均点2.0点以上3.0点未満を「C」、平均点2.0点未満を「D」とした。
【0075】
≪評価基準≫
5点:マッサージ感を非常に感じる。
4点:マッサージ感を強く感じる。
3点:マッサージ感を感じる。
2点:マッサージ感をあまり感じない。
1点:マッサージ感を感じない。
【0076】
<総合評価>
清掃効果、当たり心地、マッサージ効果の結果を下記評価基準に分類した。
【0077】
≪評価基準≫
A:全ての評価結果が「A」又は「B」で、「A」が2個以上。
B:全ての評価結果が「A」又は「B」で、「A」が1個以下。
C:全ての評価結果が「A」〜「C」で、「C」が1個以上。
D:評価結果のいずれかが「D」である。
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜3は、総合評価が「B」又は「A」であった。
中でも、歯ブラシ100(
図2A及び
図2B)と同様の仕様とした実施例2は、清掃効果及びマッサージ効果の両方が「A」であった。
一方、台座部が分岐していない比較例1〜3は、突起部が形成されているものの、総合評価が「C」又は「D」であった。突起部が形成されていない弾性部材を用いた比較例4〜6は、総合評価が「C」又は「D」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、清掃効果を損なうことなく、歯肉を効果的にマッサージできることが判った。