特許第6141853号(P6141853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許61418533D集積化プロセスにおいて材料の層を転写する方法ならびに関連する構造体およびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141853
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】3D集積化プロセスにおいて材料の層を転写する方法ならびに関連する構造体およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20170529BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20170529BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   H01L27/12 B
   H01L21/265 Q
   H01L21/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-532486(P2014-532486)
(86)(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公表番号】特表2014-531768(P2014-531768A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】IB2012001578
(87)【国際公開番号】WO2013045985
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年7月23日
(31)【優先権主張番号】13/246,580
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1159358
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507088071
【氏名又は名称】ソイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリアム サダカ
(72)【発明者】
【氏名】イオヌット ラドゥ
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−505935(JP,A)
【文献】 特開平10−135147(JP,A)
【文献】 特開平11−074208(JP,A)
【文献】 特開2006−005245(JP,A)
【文献】 特表2001−508943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/265
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の構造体に転写する方法であって、
前記第1のドナー構造体の主表面に凹部を形成するステップと、
前記凹部に誘電体材料を充填するステップと、
イオンを前記第1のドナー構造体中に注入して、前記注入されたイオンによって画定される前記第1のドナー構造体内の概して平面の脆弱化ゾーンを形成するするステップであり、前記概して平面の脆弱化ゾーンは、前記第1のドナー構造体の前記半導体材料の層を前記第1のドナー構造体の残りの部分から区切り、前記注入されたイオンの濃度および前記注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方が、前記概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に前記概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化する、ステップと、
前記第1のドナー構造体を前記第2の構造体に接合するステップと、
前記第1のドナー構造体を前記概して平面の脆弱化ゾーンに沿って破断し、前記第2の構造体に接合された前記半導体材料の層を残すステップと、
を含み、前記イオンを前記第1のドナー構造体中に注入するステップは、前記第1のドナー構造体の前記主表面の非凹部の区域中にイオンを注入することなしに前記凹部内の前記誘電体材料を通して前記第1のドナー構造体中にイオンを注入するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記イオンを前記第1のドナー構造体中に注入するステップは、前記イオンを前記第1のドナー構造体中にパターン化マスクの開口を通して注入するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の構造体に転写する方法であって、
前記第1のドナー構造体の主表面に凹部を形成するステップと、
前記第1のドナー構造体の主表面と前記凹部内の側壁表面および底部表面との上に第1の共形層を堆積させるステップと、
前記第1の共形層上に前記第1の共形層と異なる組成の第2の共形層を堆積させるステップと、
前記第2の共形層の前記凹部の側壁表面と平行な部分以外をエッチングするステップと、
前記第2の共形層で覆われていない、露出した前記第1の共形層のみをエッチングするステップと、
イオンを前記第1のドナー構造体中に注入して、前記注入されたイオンによって画定される前記第1のドナー構造体内の概して平面の脆弱化ゾーンを形成するするステップであり、前記概して平面の脆弱化ゾーンは、前記第1のドナー構造体の前記半導体材料の層を前記第1のドナー構造体の残りの部分から区切り、前記注入されたイオンの濃度および前記注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方が、前記概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に前記概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化する、ステップと、
前記第1のドナー構造体を前記第2の構造体に接合するステップと、
前記第1のドナー構造体を前記概して平面の脆弱化ゾーンに沿って破断し、前記第2の構造体に接合された前記半導体材料の層を残すステップと、
を含み、前記イオンを前記第1のドナー構造体中に注入するステップは、前記第1のドナー構造体の前記主表面の非凹部の区域中にイオンを注入することなしに前記凹部の前記第1のドナー構造体が露出した底部を通して前記第1のドナー構造体中にイオンを注入するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
第1のドナー構造体であり、その中に概して平面の脆弱化ゾーンを有し、前記概して平面の脆弱化ゾーンは、前記概して平面の脆弱化ゾーンに沿った前記第1のドナー構造体内の注入されたイオンによって画定され、前記概して平面の脆弱化ゾーンは、前記第1のドナー構造体の半導体材料の層を前記第1のドナー構造体の残りの部分から区切り、前記注入されたイオンの濃度および前記注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方が、前記概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に前記概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化する、第1のドナー構造体と、
前記第1のドナー構造体の主表面に形成された凹部と、
前記凹部に充填された誘電体材料と、
前記第1のドナー構造体の前記半導体材料の層に接合される第2の構造体と、を含み、前記凹部直下の前記概して平面の脆弱化ゾーン内の領域の前記イオンの濃度は、前記凹部の間の前記概して平面の脆弱化ゾーン内の領域の前記イオンの濃度よりも高いことを特徴とする半導体構造体。
【請求項5】
第1のドナー構造体であり、その中に概して平面の脆弱化ゾーンを有し、前記概して平面の脆弱化ゾーンは、前記概して平面の脆弱化ゾーンに沿った前記第1のドナー構造体内の注入されたイオンによって画定され、前記概して平面の脆弱化ゾーンは、前記第1のドナー構造体の半導体材料の層を前記第1のドナー構造体の残りの部分から区切り、前記注入されたイオンの濃度および前記注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方が、前記概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に前記概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化する、第1のドナー構造体と、
前記第1のドナー構造体の主表面に形成された凹部と、
前記凹部の側壁表面に堆積したスペーサ構造体と、
前記第1のドナー構造体の前記半導体材料の層に接合される第2の構造体と、
を含み、前記凹部直下の前記概して平面の脆弱化ゾーン内の領域の前記イオンの濃度は、前記凹部の間の前記概して平面の脆弱化ゾーン内の領域の前記イオンの濃度よりも高いことを特徴とする半導体構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイス製作で用いられる3次元(3D)集積化プロセスにおいてドナー構造体から受容構造体(recipient structure)に材料を転写する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つ以上の半導体構造体の3次元(3D)集積化は、マイクロエレクトロニクス用途においていくつかの利益をもたらすことができる。例えば、マイクロエレクトロニクス構成要素の3D集積化は、デバイス占有面積を低減しながら電気的性能および電力消費の改善をもたらすことができる。例えば、非特許文献1を参照されたい。半導体構造体の3D集積化は、半導体ダイを1または複数の追加の半導体ダイ(すなわち、ダイ対ダイ(D2D))に、半導体ダイを1または複数の半導体ウェハ(すなわち、ダイ対ウェハ(D2W)に、ならびに半導体ウェハを1または複数の追加の半導体ウェハ(すなわち、ウェハ対ウェハ(W2W))に取り付けることによって、またはそれらの組合せによって行うことができる。
【0003】
SMART−CUT(登録商標)プロセスとして当技術分野で知られているプロセスは、モノリシック3D集積化プロセスで使用される。SMART−CUT(登録商標)プロセスは、例えば、Bruelへの特許文献1(2007年2月6日に発行された)、Aspar等への特許文献2(2001年10月16日に発行された)、Aspar等への特許文献3(2002年1月1日に発行された)、Moriceau等への特許文献4(2004年6月29日に発行された)、Aspar等への特許文献5(2004年10月26日に発行された)、およびAspar等への特許文献6(2005年9月20日)に記載されている。
【0004】
簡潔に言えば、SMART−CUT(登録商標)プロセスは、複数のイオン(例えば、水素、ヘリウム、または不活性ガスイオンのうちの1または複数)をドナー構造体中にイオン注入面に沿って注入することを含む。イオン注入面に沿って注入されたイオンはドナー構造体内に脆弱な面を画定し、それに沿って、ドナー構造体はその後劈開されるか、さもなければ破断されうる。当技術分野で知られているように、イオンがドナー構造体中に注入される深さは、少なくとも部分的に、イオンがドナー構造体中に注入されるエネルギーの関数である。一般に、少ないエネルギーで注入されたイオンは比較的浅い深さに注入されることになり、一方、高いエネルギーで注入されたイオンは比較的深い深さに注入されることになる。
【0005】
ドナー構造体が別の受容構造体に接合され、その後、ドナー構造体はイオン注入面に沿って劈開されるか、さもなければ破断される。例えば、接合されたドナーおよび受容構造体を加熱して、ドナー構造体をイオン注入面に沿って劈開させるか、さもなければ破断させることができる。オプションとして、機械的な力をドナー構造体に加えて、イオン注入面に沿ったドナー構造体の劈開を支援することができる。ドナー構造体がイオン注入面に沿って劈開されたか、さもなければ破断された後、ドナー構造体の一部分は受容構造体に接合されたままである。ドナー構造体の残りの部分は、さらなるSMART−CUT(登録商標)プロセスにおいて、ドナー構造体の追加の部分を受容構造体に転写するのに再使用されうる。
【0006】
破断プロセスの後、ドナー構造体の破断面は、いくつかの用途では半導体材料の単結晶を含むことがあるドナー構造体の結晶格子にイオン不純物および欠陥を含むことがある。受容構造体に転写されているドナー構造体の一部分は、不純物準位を下げようとして処置され、ドナー構造体の転写された部分の結晶格子の品質を改善する(すなわち、破断面に隣接する結晶格子の欠陥の数を減少させる)ことができる。そのような処置は、多くの場合、例えば約1000℃の高温で熱アニールすることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第RE39,484号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,468号明細書
【特許文献3】米国特許第6,335,258号明細書
【特許文献4】米国特許第6,756,286号明細書
【特許文献5】米国特許第6,809,044号明細書
【特許文献6】米国特許第6,946,365号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2011/0045611A1号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】P. Garrou, et al., ““The Handbook of 3D Integration,“ Wiley−VCH (2008)
【非特許文献2】P. Garrou, et al, “The Handbook of 3D Integration,“ Wiley−VCH (2008) Volume 1, Chapter 11
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
この概要は、概念のうちの選択したものを簡単化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、以下の本開示の例示の実施形態の詳細な説明でさらに詳細に説明される。この概要は、請求される主題の重要な特徴または必須の特徴を識別するように意図されておらず、そしてまた請求される主題の範囲を限定するために使用されるように意図されていない。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の構造体に転写する方法を含む。そのような方法によれば、イオンを第1のドナー構造体中に注入して、注入されたイオンによって画定される第1のドナー構造体内の概して平面の脆弱化ゾーンを形成することができる。概して平面の脆弱化ゾーンは、第1のドナー構造体の半導体材料の層を第1のドナー構造体の残りの部分から区切ることができる。注入されたイオンの濃度および注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方が、概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化するように形成されうる。第1のドナー構造体は、第2の構造体に接合することができ、第1のドナー構造体は概して平面の脆弱化ゾーンに沿って破断され、第2の構造体に接合された半導体材料の層を残すことができる。
【0011】
追加の実施形態では、本開示は、半導体デバイスを製作する方法を含む。そのような方法によれば、半導体材料の層は第1のドナー構造体から第2の構造体に転写されうる。半導体材料の層を転写するステップは、イオンを第1のドナー構造体中に注入して、注入されたイオンによって画定される第1のドナー構造体内の概して平面の脆弱化ゾーンを形成するステップと、第1のドナー構造体を第2の構造体に接合するステップと、第1のドナー構造体を概して平面の脆弱化ゾーンに沿って破断し、第2の構造体に接合された半導体材料の層を残すステップとを含むことができる。第1のドナー構造体内に形成された概して平面の脆弱化ゾーンは、第1のドナー構造体の半導体材料の層を第1のドナー構造体の残りの部分から区切ることができる。加えて、概して平面の脆弱化ゾーンは、注入されたイオンの濃度および注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方が、概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化するように形成されうる。複数の能動デバイス構造体が、転写された半導体材料の層上に製作されうる。
【0012】
さらなる実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるような方法を使用して製作される半導体構造体を含む。例えば、半導体構造体は、概して平面の脆弱化ゾーンをその中に有する第1のドナー構造体を含むことができる。概して平面の脆弱化ゾーンは、概して平面の脆弱化ゾーンに沿った第1のドナー構造体内の注入されたイオンによって画定されうる。概して平面の脆弱化ゾーンは、第1のドナー構造体の半導体材料の層を第1のドナー構造体の残りの部分から区切ることができる。さらに、注入されたイオンの濃度および注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方は、概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化することができる。半導体構造体は、第1のドナー構造体の半導体材料の層に接合された第2の構造体をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを特に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本開示の実施形態の利点は、添付図面とともに読むとき本開示の実施形態のいくつかの例の説明からより容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本開示の方法のいくつかの実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、不均質なイオン注入面がドナー構造体内に形成される。
図1B】本開示の方法のいくつかの実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、不均質なイオン注入面がドナー構造体内に形成される。
図1C】本開示の方法のいくつかの実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、不均質なイオン注入面がドナー構造体内に形成される。
図1D】本開示の方法のいくつかの実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、不均質なイオン注入面がドナー構造体内に形成される。
図1E】本開示の方法のいくつかの実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、不均質なイオン注入面がドナー構造体内に形成される。
図1F】本開示の方法のいくつかの実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、不均質なイオン注入面がドナー構造体内に形成される。
図2A】本開示の方法のさらなる実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図2B】本開示の方法のさらなる実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図2C】本開示の方法のさらなる実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図2D】本開示の方法のさらなる実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図2E】本開示の方法のさらなる実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図2F】本開示の方法のさらなる実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図2G】本開示の方法のさらなる実施形態による、半導体材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法の間のドナーおよび/または受容構造体の簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図3A】本開示の方法のいくつかの実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部に誘電体材料を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図3B】本開示の方法のいくつかの実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、イオンは、ドナー構造体に形成された凹部に誘電体材料を含むドナー構造体の選択された領域を通して注入される。
図4A】本開示の方法のいくつかの実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、多数のイオン注入プロセスを使用して、ドナー構造体内に不均質なイオン注入面が形成される。
図4B】本開示の方法のいくつかの実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、多数のイオン注入プロセスを使用して、ドナー構造体内に不均質なイオン注入面が形成される。
図5A】本開示の方法のさらなる実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、多数のイオン注入プロセスを使用して、ドナー構造体内に不均質なイオン注入面が形成される。
図5B】本開示の方法のさらなる実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、多数のイオン注入プロセスを使用して、ドナー構造体内に不均質なイオン注入面が形成される。
図6A】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、ドナー構造体は半導体オンインシュレータタイプ構造体を含む。
図6B】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、ドナー構造体は半導体オンインシュレータタイプ構造体を含む。
図7A】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、ドナー構造体は半導体オンインシュレータタイプ構造体を含み、その中にイオン閉込め層を有する。
図7B】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、ドナー構造体は半導体オンインシュレータタイプ構造体を含み、その中にイオン閉込め層を有する。
図8A】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、側壁スペーサが、凹部を通してドナー構造体中にイオンを注入する前に凹部に形成される。
図8B】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、側壁スペーサが、凹部を通してドナー構造体中にイオンを注入する前に凹部に形成される。
図8C】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、側壁スペーサが、凹部を通してドナー構造体中にイオンを注入する前に凹部に形成される。
図8D】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、側壁スペーサが、凹部を通してドナー構造体中にイオンを注入する前に凹部に形成される。
図8E】本開示の方法の実施形態による、ドナー構造体の処理を示す簡単化され概略的に示された断面図であり、側壁スペーサが、凹部を通してドナー構造体中にイオンを注入する前に凹部に形成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で提示される説明図は、任意の特定の半導体構造体、デバイス、システム、または方法の実際の図を意味するものでないが、本開示の実施形態を説明するのに使用される単に理想化された表示である。
【0016】
本明細書で使用されるいかなる見出しも、以下の特許請求の範囲およびその法的な均等物によって定義されるような本発明の実施形態の範囲を限定すると見なされるべきでない。任意の特定の見出しに記載される概念は、一般に、本明細書全体を通して他の節において適用可能である。
【0017】
引用される参考文献のどれも、本明細書でどのように特徴づけられているかにかかわらず、本明細書で請求される主題の本発明に対する先行技術として認められない。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、半導体材料の層などの材料の層を第1のドナー構造体から第2の受容構造体に転写する方法は、イオンを第1のドナー構造体中に注入して、注入されたイオンによって第1のドナー構造体内に画定される概して平面の脆弱化ゾーンを形成することを含む。概して平面の脆弱化ゾーンは、第1のドナー構造体から転写されるべき材料の層を第1のドナー構造体の残りの部分から区切る。概して平面の脆弱化ゾーンは、概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に概して平面の脆弱化ゾーン全体にわたって不均質である。例えば、注入されたイオンの濃度および注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方は、概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化することができる。第1のドナー構造体は第2の受容構造体に接合することができ、その後、第1のドナー構造体は概して平面の脆弱化ゾーンに沿って破断され、第2の受容構造体に接合された材料の層を残すことができる。そのような方法が、本明細書において以下でさらに詳細に説明される。
【0019】
図1は、ドナー構造体100の簡単化され概略的に示された断面図である。ドナー構造体100は大量のバルク材料102を含み、それは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、III−V族半導体材料(例えば、GaN、GaAs、InN、AlN、InGaNなど)、またはそのような半導体材料の化合物などの半導体材料を含むことができる。材料102は多結晶とすることができ、または材料の単結晶を含むことができる。ドナー構造体100は、一般に、平面とすることができ、第1の主表面104Aと、第1の主表面104Aに平行に向きを定められた反対の第2の主表面104Bとを有することができる。
【0020】
図1Aに示されるように、イオン(図1Aの方向矢印によって表される)は、ドナー構造体100の選択された領域を通してのみドナー構造体100中に注入されうる。イオンは、例えば、水素イオン、ヘリウムイオン、および不活性ガスイオンのうちの1または複数を含むことができる。イオンは、ドナー構造体100中にイオン注入面106に沿って注入されうる。図1Aに示されるように、イオンは、ドナー構造体100中に第1の主表面104Aを通して第1の主表面104Aに実質的に垂直な方向に注入されうる。
【0021】
イオンがドナー構造体100中に注入される深さは、少なくとも部分的に、イオンがドナー構造体100中に注入されるエネルギーの関数である。一般に、少ないエネルギーで注入されたイオンは比較的浅い深さに注入されることになり、一方、高いエネルギーで注入されたイオンは比較的深い深さに注入されることになる。イオンは、第1の主表面104Aからドナー構造体100内の所望の深さにイオンを注入するように選択された所定のエネルギーでドナー構造体100中に注入されうる。少なくとも若干のイオンは所望の注入深さ以外の深さに注入されることがあり、第1の主表面104Aからドナー構造体100への深さの関数としてのドナー構造体100内のイオンの濃度のグラフは、イオン注入面106を画定する所望の注入深さに最大値を有する一般にベル形(対称または非対称)の曲線を示すことがある。言い換えれば、イオン注入面106は、ドナー構造体100内の最大のイオン濃度の面に位置合わされる(例えば、中心を置かれる)ドナー構造体100内の層または領域を含むことができる。イオン注入面106は、ドナー構造体100内の脆弱なゾーンを画定し、それに沿って、ドナー構造体100は、以下でさらに詳細に論じられるように、後続のプロセスで劈開されるか、さもなければ破断されうる。例えば、図1Bをしばらく参照すると、ドナー構造体内にイオンが存在すると、ドナー構造体100の結晶格子内に欠陥108が生成されうる。
【0022】
図1Bに示されるようなイオン注入面106は、単一の注入面を含むことができ、実質的に大多数のイオンがドナー構造体100内の単一の面に沿って位置づけられる。言い換えれば、注入されたイオンのうちの実質的な大多数は、ドナー構造体100内の単一の深さに集められる。これは、イオンの注入が多数の注入面をもたらすことがある構造体と対照的である。例えば、ドナー構造体内の多数の注入面は、異なる注入エネルギーでの多数の注入プロセスにより、または非均質なドナー構造体への注入(すなわち、非均一な注入表面トポグラフィおよび/または非均一な注入材料組成)を介して生じうる。
【0023】
ドナー構造体100から別の受容構造体に転写されるべき材料の層110はイオン注入面106の1つの側に画定され、ドナー構造体100の残りの部分112は材料110の層から見てイオン注入面106の反対の側に配置される。
【0024】
図1Aを再び参照すると、前に述べられたように、イオン注入面106に沿った概して平面の脆弱化ゾーンは、イオン注入面106に平行な少なくとも1つの方向に脆弱化ゾーン全体にわたって不均質である。例えば、注入されたイオンの濃度および注入されたイオンの元素組成の少なくとも一方は、概して平面の脆弱化ゾーンの中で変化することができる。そのような脆弱な不均質ゾーンを形成するために、いくつかの実施形態では、イオンがドナー構造体100の選択された領域を通してのみ注入されうる。例えば、イオンは、パターン化マスク118の開口116を通してドナー構造体100中に注入されうる。パターン化マスク118は、図1Aに示されるように、ドナー構造体100の主表面104A上に形成することができ、またはパターン化マスク118は、ドナー構造体100とは別々に形成され、ドナー構造体100の主表面104Aの上にただ単に配置されうる(主表面104Aの上に直接に、または主表面104Aの上に垂直方向に主表面104Aから離隔して)。
【0025】
パターン化マスク118の開口116を通してドナー構造体100中にイオンを注入することによって、イオンは、材料の層110の第1の複数の領域120を通してのみ注入され、材料の層110の第2の複数の領域122を通して注入されない。第1の複数の領域120および第2の複数の領域122は、図1Aおよび1Bにおいて垂直方向に向けられた破線で輪郭が描かれている。第2の複数の領域122を通したドナー構造体100中へのイオン注入は、マスク118の材料によって妨げられる(例えば、邪魔される)。前に述べられたように、材料の層110は、材料の層110が転写されるべき受容構造体上に能動半導体デバイス構造体(例えば、トランジスタ、キャパシタ、導電性経路など)を製作するために最終的に使用されることになる半導体材料を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、開口116は、開口が材料の層110の非能動領域になるものの上に配置され、垂直に位置合わせされるように、および材料の層110の能動領域がマスク118の材料によってイオンから遮蔽されるようにパターン化マスク118に選択的に形成されうる。言い換えれば、材料の層110の第1の複数の領域120は材料の層110の非能動領域を含むことができ、第2の複数の領域122は材料の層110の能動領域を含むことができる。
【0026】
本明細書で使用される「非能動領域」という用語は、ドナー構造体から受容構造体に転写されるべき材料の層に関連して使用されるとき、いかなる能動デバイス構造体もその中に含まない完成品のデバイスにおいて材料の層内に受動領域を最終的に含む領域を意味し、かつ含む。本明細書で使用される「能動領域」という用語は、ドナー構造体から受容構造体に転写されるべき材料の層に関連して使用されるとき、トランジスタ、キャパシタ、および導電性経路のうちの1または複数などの1または複数の能動デバイス構造体をその中に含む完成品のデバイスにおいて材料の層110内に能動領域を最終的に含む領域を意味し、かつ含む。
【0027】
上述されたように、イオンは、材料の層110の能動領域(第2の複数の領域122)を通していかなる実質的な量のイオンも注入することなしに材料の層110の非能動領域(第1の複数の領域120)を通して注入されうる。したがって、イオン注入面106によって画定された概して平面の脆弱化ゾーンは、第1の複数の領域120に近接する概して脆弱化されたゾーン内に存在するイオンの濃度(少なくとも実質的に0であることがある)と比べて、比較的高い濃度のイオンが第1の複数の領域120に近接する概して脆弱化されたゾーン内に存在するという事実によって、概して平面の脆弱化ゾーンに平行な少なくとも1つの方向に概して平面の脆弱化ゾーン全体にわたって不均質である。したがって、本開示の実施形態を使用して、イオン注入プロセスによって引き起こされることがある能動領域(すなわち、第2の複数の領域122)への損傷を減少させることができる。
【0028】
図1Cを参照すると、ドナー構造体100の第1の主表面104A(転写されるべき材料の層110の表面を含む)は受容構造体130に接合されうる。ある実施形態では、ドナー構造体100は、上述で論じられたようにイオンをドナー構造体100中に注入した後に受容構造体130に接合されうる。他の実施形態では、イオンは、ドナー構造体100の第1の主表面104Aを受容構造体120に接合した後にドナー構造体100の反対の主表面104Bを通してドナー構造体100中に注入されうる。ドナー構造体100の第1の主表面104Aを受容構造体120に接合した後に注入プロセスを行うことは、望ましい深さにイオンを注入するのにより高いエネルギーが必要とされることがあるので、相対的により困難となることがある。
【0029】
いくつかの実施形態では、ドナー構造体100は、直接接合プロセスを使用して受容構造体130に直接に接合されうる。いわゆる「直接接合法」は、直接固体対固体化学結合を2つの構造体間に確立して、それらの間に中間の接合材料を使用することなくそれらを一緒に接合する方法である。直接金属対金属接合法および直接酸化物対酸化物接合法は、第1の構造体の表面の金属または酸化物材料をそれぞれ第2の構造体の表面の金属または酸化物材料に接合するために開発されている。例えば、そのような方法は、例えば、非特許文献2に論じられている。
【0030】
したがって、ドナー構造体100のバルク材料102および/または受容構造体130の材料がそれらの接合表面にそのような直接接合プロセスのために好適な材料を含んでいない場合、好適な接合材料がドナー構造体100および/または受容構造体130の接合表面に設けられうる。例えば、図1Cは、ドナー構造体100の接合表面(第1の主表面104A)の接合材料124、および受容構造体130の接合表面の接合材料132を示す。
【0031】
接合材料124および接合材料132は、同様の組成を有することができ、例えば、金属材料(例えば、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、ニッケルなど、またはそのような金属の合金)、酸化物材料(例えば、酸化ケイ素)、半導体材料(例えば、シリコン、ゲルマニウム、化合物半導体材料など)を含むことができる。
【0032】
接合材料124および接合材料132の接合表面は、表面不純物および表面化合物(例えば、自然酸化物)を除去するために清浄化されうる。さらに、接合表面の表面粗さは、接合表面間の密接な接触の区域を原子スケールで増加させるために低減されうる。接合表面間の密接な接触の区域は、一般に、原子スケールの近くの値まで表面粗さを低減するために接合表面を研磨することによって、接合表面間に圧力を印加して塑性変形をもたらすことによって、または接合表面を研磨することと、圧力を印加してそのような塑性変形を達成することとの両方によって達成される。
【0033】
接合表面を準備した後、それらは互いに密接な接触が行われうる。そのとき、接合表面間の引力は、分子付着を引き起こすのに十分な高さである(接合されるべき2つの表面の原子および/または分子間の電子相互作用の引力(ファンデルワールス力)の合計によって誘起される接合)。次に、ドナー構造体100の接合表面と受容構造体130の接合表面との間の境界を全体にわたって接合波の伝播を開始させるために、スタイラスなどのツールがドナー構造体100の露出された主表面104B(および/または受容構造体130の露出された主表面)上に押しつけられうる。ツールが適用される点は、例えば、ドナー構造体100および/または受容構造体130の中心に、または周囲縁部に隣接して位置づけられうる。例えば、そのような方法は、Castex等の名前で2011年2月24日に公開された特許文献7に記載されている。
【0034】
オプションとして、ドナー構造体100および/または受容構造体130は、接合プロセスを支援するために接合プロセスの間加熱されうる。
【0035】
受容構造体130はダイまたはウェハを含むことができ、実施形態によっては、前に製作された能動デバイス構造体134を含むことができる。図1Cに概略的に示された能動デバイス構造体134はトランジスタを示しているが、能動デバイス構造体134は、キャパシタ、導電性ライン、トレース、および/またはビアなどのような他のタイプの能動デバイス構造体を含むことができる。能動デバイス構造体134は、過度の熱エネルギーにさらされると好ましくない影響を受けることがある材料または構造体を含むことがある。したがって、いくつかの実施形態では、接合プロセスは、約400℃以下、約200℃以下、またはさらにほぼ室温で実行されることがある。
【0036】
ドナー構造体100を受容構造体130に接合した後、ドナー構造体100をイオン注入面106に沿って劈開するか、さもなければ破断して、受容構造体130と、接合材料124で受容構造体130に接合された材料の層110と、それらの間の接合材料132とを含む図1Dに示された構造体を形成することができる。例えば、ドナー構造体100(およびオプションとして受容構造体130)を加熱して、ドナー構造体100をイオン注入面106に沿って劈開するか、さもなければ破断することができる。いくつかの実施形態では、ドナー構造体100および受容構造体130の温度は、破断プロセスの間、約500℃以下、約400℃以下、またはさらに約350℃以下に維持されうる。破断プロセス中の温度を制限するのは、例えば、受容構造体130上の前に形成された能動デバイス構造体を損傷しないために望ましいことがある。しかし、他の実施形態では、劈開するプロセスは高温で行われうる。オプションとして、機械的な力をドナー構造体100に加えて、イオン注入面106に沿ったドナー構造体100の劈開または他の破断を引き起こすか、または支援することができる。
【0037】
破断プロセスの後、材料の層110は受容構造体130に接合されたままであり、ドナー構造体100の残りの部分は望ましいとき追加の材料の層を受容構造体に転写するために再使用されうる。
【0038】
破断プロセスの後、材料の層110の露出された破断面111は、転写された材料の層110の結晶格子の欠陥と、不純物とを含むことがある。さらに、注入されたイオンに起因する欠陥108は、前述されたように、イオンが注入された材料の層110の第1の複数の領域120(図1B)に近接する破断面111に存在することがある。したがって、材料の層110の破断面111は、不純物(例えば、注入されたイオン)を除去するため、および破断面111に隣接する材料の層110内の結晶格子の品質を改善するために処置されうる。例えば、破断面111は、図1Eに示される構造体を形成するために化学的エッチングプロセス、機械研磨プロセス、および化学機械研磨(CMP)プロセスのうちの1または複数を受けることができる。図1Eの構造体は図1Dのものと実質的に同様であるが、表面111は、図1Dのものに比べて表面111の改善された品質を示すために欠陥108がないように示されている。
【0039】
表面111に隣接する材料の層110の品質を改善するのに使用される処置プロセスは、材料の層110を、不純物が全くない状態または完全な結晶品質の状態にしないことがある。しかし、品質は、第2の複数の領域122を通してイオンを注入することなしにイオンが第1の複数の領域120を通して注入されたので、第1の複数の領域120(非能動領域を含むことがある)と比べて第2の複数の領域122(能動領域を含むことがある)においてより高くなりうる。
【0040】
図1Fを参照すると、能動デバイス構造体140が、転写された材料の層110の中におよび/または上に製作されうる。図1Cに概略的に示された能動デバイス構造体140はトランジスタを示しているが、能動デバイス構造体140は、キャパシタ、導電性ライン、トレース、および/またはビアなどのような他のタイプの能動デバイス構造体を含むことができる。さらに、能動デバイス構造体140は、CMOSタイプトランジスタ、垂直トランジスタ、ダイオード(例えば、PN接合)、クロスポイントメモリデバイス(例えば、相変化メモリまたは別のタイプの抵抗メモリデバイス)の構成要素などのうちのいずれかを含むことができる。オプションとして、能動デバイス構造体140は、図1Fに示されるように、非能動の第1の複数の領域120に有意な量の能動デバイス構造体140を製作することなく、能動の第2の複数の領域122の中におよび/または上に製作されうる。改善された品質の材料の層110の表面111の上におよび/または中に製作される結果として、能動デバイス構造体140の性能の信頼性は改善されうる。
【0041】
後続の処理は、1または複数の半導体デバイスの製作を完了するために既知の方法に従って続くことができる。そのような半導体デバイスは、例えば、電子信号プロセッサデバイス、メモリデバイス、光能動デバイス(例えば、放射放出デバイス(レーザ、発光ダイオードなどのような)または放射受取りデバイス(光検出器、太陽電池などのような))、微小機械デバイスなどを含むことができる。
【0042】
能動デバイス構造体140の1または複数は、垂直方向に延びる導電性ビア、導電性パッド、および横方向に延びる導電性ラインのうちの1または複数を使用してそれらの間に電気的接触を確立することによって、受容構造体130の能動デバイス構造体134のうちの1または複数に動作可能に結合されうる。
【0043】
図2Aから2Gは、本開示の方法の追加の実施形態を示す。図2Aは、図1Aと同様であり、イオンが、パターン化マスク168の開口166を通してイオンを注入することによって材料の層160の第2の複数の領域172を通してイオンを注入することなしに、転写されるべき材料の層160の第1の複数の領域170を通してドナー構造体150中に選択的に注入されることを示す。しかし、不均質な概して脆弱化されたゾーンを形成するためにイオン注入面156に沿ってイオンを注入する前に、複数の凹部164が、図2Aに示されるように、第1の複数の領域170のドナー構造体150の第1の主表面154A中に形成されうる。
【0044】
凹部164は、例えばマスキングおよびエッチングプロセスを使用してドナー構造体150に形成されうる。いくつかの実施形態では、イオン注入プロセス中に使用される同じマスク168を最初にエッチングマスクとして使用して、凹部164を形成することができる。例えば、パターン化マスク168は、酸化物材料、窒化物材料、または酸窒化物材料をドナー構造体の表面154Aの上に堆積させることによって形成されうる。次に、フォトリソグラフィプロセスを使用して、マスク168を通る開口166を形成することができる。例えば、マスク168を形成するために使用される材料の上にパターン化フォトマスクを堆積させることができ、エッチングプロセスを使用し、パターン化フォトマスクを使用してマスク168に開口166をエッチングすることができ、その後、フォトマスクを除去することができる。次に、パターン化マスク168を使用して、ドナー構造体150に凹部164を形成することができ、その後、イオンは、材料の層160の第2の複数の領域172をイオンから遮蔽するためにマスク168を使用して、材料の層160の凹部164および第1の複数の領域170を通して注入されうる。
【0045】
開口164を通してイオンを注入することによって、主表面154Aからドナー構造体156中へのイオン注入面156の深さは増加されうる。例えば、いくつかの実施形態では、イオン注入面156は、イオンが注入されるドナー構造体150の主表面154Aからほぼ1.5μm以上に位置づけられうる。主表面154Aからより遠くドナー構造体150中にイオンを注入することにより、比較的より厚い材料の層160を受容構造体に転写することができるようになる。
【0046】
図2Bはマスク168を除去した後の構造体を示し、イオン注入プロセスに起因する第1の複数の領域170に近接するドナー構造体150の欠陥158を示す。前に記したように、図2Aに示されたようなイオン注入面156は単一の注入面を含むことができ、実質的に大多数のイオンはドナー構造体150内の単一の面に沿って位置づけられる。言い換えれば、注入されたイオンの実質的な大多数は、ドナー構造体150内の単一の深さに集められる。
【0047】
図2Cを参照すると、凹部164は誘電体材料165で充填されうる。例えば、誘電体材料は図2Bの構造体の上にブランケット堆積させることができ、その後、化学機械研磨(CMP)プロセスを使用して、凹部164の外側のドナー構造体150の主表面154Aの上の過剰な誘電体材料を除去することができる。
【0048】
図2Dに示されるように、ドナー構造体150は、図1Cを参照して前に説明されたような方法で受容構造体180に接合されうる。受容構造体180は、いくつかの実施形態では能動デバイス構造体184を含むことがある。さらに、前に論じられたように、接合材料174をドナー構造体150の接合表面(第1の主表面154A)に設けることができ、接合材料182を受容構造体180の接合表面に設けることができる。接合材料174および接合材料182は同様の組成を有することができ、例えば金属材料(例えば、銅または銅合金)、または酸化物材料(例えば、酸化ケイ素)を含むことができる。直接金属対金属または酸化物対酸化物接合が、図1Cを参照して前に説明されたように、接合材料174の突合せ面と接合材料182の突合せ面との間で確立されうる。
【0049】
ドナー構造体150を受容構造体180に接合した後、ドナー構造体150をイオン注入面156に沿って劈開するか、さもなければ破断して、受容構造体180と、受容構造体180に結合された材料の層160とを含む図2Eに示される構造体を形成することができる。ドナー構造体150は、図1Dを参照して前に説明されたように、イオン注入面156に沿って破断されうる。破断プロセスの後、材料の層160の露出された破断面161は、転写された材料の層160の結晶格子の欠陥と、不純物とを含むことがある。さらに、注入されたイオンに起因する欠陥158は、前述されたように、イオンが注入された材料の層160の第1の複数の領域170(図2B)に近接する破断面161に存在することがある。したがって、材料の層160の破断面161は、不純物(例えば、注入されたイオン)を除去するため、および破断面161に隣接する材料の層160内の結晶格子の品質を改善するために処置されうる。例えば、破断面161は、図2Fに示される構造体を形成するために化学的エッチングプロセス、機械研磨プロセス、および化学機械研磨(CMP)プロセスのうちの1または複数を受けることができる。オプションとして、誘電体材料156はエッチング停止材料として使用されうる。言い換えれば、材料は、誘電体材料156の体積部が露出されるようになるまで化学的エッチングプロセス、機械研磨プロセス、および化学機械研磨(CMP)プロセスのうちの1または複数を使用して破断面161から除去されうる。したがって、転写された材料の層160の非能動の第1の複数の領域170(図2B)は、実施形態によっては少なくとも実質的に除去されうる。転写された材料の層160の非能動の第1の複数の領域170(図2B)の一部分は、他の実施形態ではとどまることができる。図2Fの構造体は図2Eのものと同様であるが、欠陥158を前に含んでいた表面161の区域(図2E)は除去されている。
【0050】
図2Gを参照すると、能動デバイス構造体190は、転写された材料の層160の中におよび/または上に製作されうる。図2Gに概略的に示された能動デバイス構造体190はトランジスタを示しているが、能動デバイス構造体190は、キャパシタ、導電性ライン、トレース、および/またはビアなどのような他のタイプの能動デバイス構造体を含むことができる。さらに、能動デバイス構造体190は、CMOSタイプトランジスタ、垂直トランジスタ、ダイオード(例えば、PN接合)、クロスポイントメモリデバイス(例えば、相変化メモリまたは別のタイプの抵抗メモリデバイス)の構成要素などのうちのいずれかを含むことができる。オプションとして、能動デバイス構造体190は、図2Gに示されるように、非能動の第1の複数の領域170に有意な量の能動デバイス構造体190を製作することなく、能動の第2の複数の領域172の中におよび/または上に製作されうる。改善された品質の材料の層160の表面161の上におよび/または中に製作される結果として、能動デバイス構造体190の性能の信頼性は改善されうる。
【0051】
後続の処理は、前に説明されたように、1または複数の半導体デバイスの製作を完了するために既知の方法に従って続くことができる。
【0052】
追加の実施形態では、図2Aから2Gを参照して上述されたような方法を行うことができ、イオン注入プロセスは、ドナー構造体の凹部を形成した後に、しかし凹部を誘電体材料で充填した後に行われる。例えば、図3Aは、図2Aに示されたドナー構造体150のようなドナー構造体200を示す。ドナー構造体200はバルク材料202を含み、第1の主表面204Aと、反対の第2の主表面204Bとを有する。ドナー構造体150に関連して説明されたように、複数の凹部212はドナー構造体200の第1の主表面204A中に形成されうる。
【0053】
凹部212は、例えばマスキングおよびエッチングプロセスを使用してドナー構造体200に形成されうる。例えば、パターン化マスク216は、酸化物材料、窒化物材料、または酸窒化物材料をドナー構造体200の表面204Aの上に堆積させることによって形成されうる。次に、フォトリソグラフィプロセスを使用して、マスク216を通る開口218を形成することができる。例えば、マスク216を形成するために使用される材料の上にパターン化フォトマスクを堆積させることができ、エッチングプロセスを使用し、パターン化フォトマスクを使用してマスク216に開口218をエッチングすることができ、その後、フォトマスクを除去することができる。次に、パターン化マスク216を使用して、ドナー構造体200に凹部212を形成することができる。
【0054】
図3Bを参照すると、誘電体材料214が、図2Cの誘電体材料165に関連して前に説明されたように、凹部212に供給されうる。誘電体材料214は、イオンをドナー構造体200中に注入する前に凹部212に供給されうる。凹部212を通し、凹部212の誘電体材料214を通してドナー構造体200中にイオン注入面206に概して沿ってイオンを注入して、ドナー構造体200内に脆弱な概して平面のゾーンを画定することができる。前に記されたように、図3Bに示されるようなイオン注入面206は、単一の注入面を含むことができ、実質的に大多数のイオンがドナー構造体200内の単一の面に沿って位置づけられる。言い換えれば、注入されたイオンの実質的な大多数は、ドナー構造体200内の単一の深さに集められる。ドナー構造体200から転写されるべき材料の層210は、イオン注入面206と第1の主表面204Aとの間に画定されうる。
【0055】
前に説明されたように、イオンは、ドナー構造体200の第2の複数の領域222にイオンを注入することなくドナー構造体200の第1の複数の領域220中に注入されうる。欠陥208が、第1の複数の領域220のイオン注入面206に沿って示される。いくつかの実施形態では、第1の複数の領域220はドナー構造体200の非能動領域を含むことができ、第2の複数の領域222はドナー構造体200の能動領域を含むことができる。マスク216が図3Bに示されていないが、実施形態によっては、凹部212を形成するのに使用される同じマスク216をイオン注入プロセスの間使用して、イオン注入面206に沿って不均質な脆弱化ゾーンを形成することができる。他の実施形態では、異なるマスクが使用されうる。
【0056】
上述されたようにイオンを注入した後、材料の層210は、図2Dから2Gを参照して本明細書で前に説明されたような方法を使用して受容構造体に転写されうる。
【0057】
前に説明された実施形態では、イオン注入面に沿ったドナー構造体内の概して平面の脆弱化ゾーンは、転写されるべき材料の層の第2の複数の領域を通してイオンを注入することなしに転写されるべき材料の層の第1の複数の領域を通してイオンを注入することによって、不均質にされる。他の方法を使用して、本開示の実施形態による不均質な脆弱化ゾーンを形成することができる。追加の実施形態では、イオンは、転写されるべき材料の層の第1の複数の領域および第2の複数の領域の両方を通して注入されうるが、領域内のイオンの濃度、イオンの元素組成のいずれかまたは両方が、転写されるべき材料の層の第1の複数の領域と第2の複数の領域との間で異なるようにされうる。これらの追加の実施形態では、第1の複数の領域および第2の複数の領域の両方を通して注入されたイオンは単一の注入面を形成することができ、実質的に多数の注入されたイオンは注入されたドナー構造体内に位置づけられる。
【0058】
例えば、図4Aは、第1のイオン注入プロセスにおいてドナー構造体250中にイオン注入面256に沿って注入される複数のイオンを示す。前に説明されたように、ドナー構造体250はバルク材料252を含み、第1の主表面254Aと、反対の第2の主表面254Bとを有することができる。イオンはドナー構造体250中に均質に注入することができ、その結果、第1の複数の欠陥258が、第1の複数の領域270および第2の複数の領域272の両方においてイオン注入面256全体にわたって概して均質な方法で形成される。
【0059】
図4Bを参照すると、第1のイオン注入プロセスの後、第2のイオン注入プロセスを使用して、第2の複数の領域272を通して追加のイオンを注入することなしに第1の複数の領域270を通して追加のイオンを注入することができる。イオンは、本明細書で前に説明されたように、パターン化マスク266の開口268を通してドナー構造体250中に注入されうる。第2のイオン注入プロセスのイオンは、第1のイオン注入プロセスのイオンと比べて同じ元素組成または異なる元素組成とすることができる。その結果、追加の欠陥259が、第2の複数の領域272に追加の欠陥259を形成することなしに第1の複数の領域270のイオン注入面256に沿って形成される。
【0060】
図4Bに示されるように、複数の凹部264が、オプションとして、例えば前に説明されたようなマスキングおよびエッチングプロセスを使用してドナー構造体250の第1の主表面254A中に形成されうる。イオンは、図2Aを参照して前に説明されたような方法で凹部264を通して第1の複数の領域270中に注入されうる(図4Bに示されるように)。他の実施形態では、第2のイオン注入プロセスの前に誘電体材料を凹部264内に供給することができ、イオンは、図3Bを参照して前に説明されたような方法で凹部264内の誘電体材料を通して注入されうる。
【0061】
第2のイオン注入プロセスの後、さらなる処理が、図2Cから2Gを参照して本明細書で前に説明されたような方法を使用して材料の層260を受容構造体に転写するために実行されうる。
【0062】
さらなる実施形態では、第1のイオン注入プロセスは、第2のイオン注入プロセスのような選択的で不均質なイオン注入プロセスを含むことができる。例えば、図5Aは、第1のイオン注入プロセスにおいてドナー構造体300中にイオン注入面306に沿って注入される複数のイオンを示す。前に説明されたように、ドナー構造体300はバルク材料302を含み、第1の主表面304Aと、反対の第2の主表面304Bとを有することができる。イオンはドナー構造体300中に不均質に注入することができ、その結果、第1の複数の欠陥308が、第1の複数の領域320(非能動領域を含むことがある)中にイオンを注入することなしに第2の複数の領域322(能動領域を含むことがある)に形成される。図5Aに示されていないが、イオンは、本明細書で前に説明されたように、パターン化マスクの開口を通してドナー構造体300内の第2の複数の領域322中に注入されうる。
【0063】
図5Bを参照すると、第1の選択的に不均質なイオン注入プロセスの後、第2の選択的に不均質なイオン注入プロセスを使用して、第2の複数の領域322を通して追加のイオンを注入することなしに第1の複数の領域320を通して追加のイオンを注入することができる。イオンは、本明細書で前に説明されたように、パターン化マスク316の開口318を通してドナー構造体300中に注入されうる。第2のイオン注入プロセスのイオンは、第1のイオン注入プロセスのイオンと比べて同じ元素組成または異なる元素組成とすることができる。その結果、追加の欠陥309が、第2の複数の領域322にそのような追加の欠陥を形成することなしに第1の複数の領域320のイオン注入面306に沿って形成される。第2の複数の欠陥309は、第1の複数の欠陥308と比べてより広範囲および/または有効であることができ、その結果、イオン注入面306に沿って画定された脆弱化ゾーンは、第2の複数の領域322よりも第1の複数の領域320において相対的により弱くなる(より破断されやすい)。
【0064】
図5Bに示されるように、複数の凹部312が、オプションとして、例えば前に説明されたようなマスキングおよびエッチングプロセスを使用してドナー構造体300の第1の主表面304A中に形成されうる。イオンは、図2Aを参照して前に説明されたような方法で凹部312を通して第1の複数の領域320中に(図5Bに示されるように)注入されうる。他の実施形態では、第2のイオン注入プロセスの前に誘電体材料を凹部312内に供給することができ、イオンは、図3Bを参照して前に説明されたような方法で凹部312内の誘電体材料を通して注入されうる。図5Bに示されるように、第1の選択的で不均質なイオン注入プロセスおよび第2の不均質なイオン注入プロセスは、ドナー構造体300内の単一の注入面309に集められたイオンをもたらすことができる。言い換えれば、第1の選択的で不均質なイオン注入および第2の不均質なイオン注入は、ドナー構造体300に対して実質的に等しい深さに注入されうる。
【0065】
第2のイオン注入プロセスの後、さらなる処理が、図2Cから2Gを参照して本明細書で前に説明されたような方法を使用して材料の層310を受容構造体に転写するために実行されうる。
【0066】
本明細書で前に説明された方法のいずれにおいても、ドナー構造体は、オプションとして、半導体オンインシュレータ(SeOI)タイプ基板(例えば、シリコンオンインシュレータ(SOI)タイプ基板)を含むことができる。例えば、図6Aおよび6Bは、図5Aおよび5Bを参照して前に説明されたものと同様の方法を示し、ドナー構造体は半導体オンインシュレータ(SeOI)タイプ基板を含む。当然、本明細書で説明される他の方法のいずれも、図6Aおよび6Bを参照して以下で説明されるように半導体オンインシュレータ(SeOI)タイプ基板を使用して同様に実行されうる。
【0067】
図6Aを参照すると、ベース基板390と半導体材料の層392とをそれらの間の誘電体材料394とともに含むドナー構造体350が示される。言い換えれば、半導体材料の層392は、ベース基板390から誘電体材料の層394の反対の側に配置される。誘電体材料の層394は、当技術分野で「埋込み酸化物層」(BOL)と呼ばれるものを含むことができ、例えば、窒化物(窒化ケイ素(例えば、Si))または酸化物(例えば、酸化ケイ素(SiO)または酸化アルミニウム(Al)などのセラミック材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、誘電体材料の層394は、約1ミクロン(1μm)以下、約500ナノメートル(500nm)以下、またはさらに約300ナノメートル(300nm)以下の平均合計厚さを有することができる。半導体材料の層392は、例えば、シリコン、ゲルマニウム、III−V族半導体材料(例えば、GaN、GaAs、InN、AlN、InGaNなど)、またはそのような半導体材料の化合物を含むことができる。半導体材料の層392は多結晶とすることができ、または材料の単結晶を含むことができる。ベース基板390は、例えば、セラミック材料または半導体材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、ベース基板390は、半導体材料の層392のものと少なくとも実質的に同様の組成を有することができる。前に説明されたドナー構造体のように、ドナー構造体350は、第1の主表面354Aと、反対の第2の主表面354Bとを有する。
【0068】
図6Aは、第1のイオン注入プロセスにおいてドナー構造体350中にイオン注入面306に沿って注入される複数のイオンを示す。イオンはドナー構造体350中に不均質に注入することができ、その結果、第1の複数の欠陥358が、第1の複数の領域370(非能動領域を含むことがある)中にイオンを注入することなしに第2の複数の領域372(能動領域を含むことがある)に形成される。図6Aに示されていないが、イオンは、本明細書で前に説明されたように、パターン化マスクの開口を通してドナー構造体350内の第2の複数の領域372中に注入されうる。
【0069】
図6Bを参照すると、第1の選択的に不均質なイオン注入プロセスの後、第2の選択的に不均質なイオン注入プロセスを使用して、第2の複数の領域372を通して追加のイオンを注入することなしに第1の複数の領域370を通して追加のイオンを注入することができる。イオンは、本明細書で前に説明されたように、パターン化マスク366の開口368を通してドナー構造体350中に注入されうる。第2のイオン注入プロセスのイオンは、第1のイオン注入プロセスのイオンと比べて同じ元素組成または異なる元素組成とすることができる。その結果、追加の欠陥359が、第2の複数の領域372にそのような追加の欠陥を形成することなしに第1の複数の領域370のイオン注入面356に沿って形成される。第2の複数の欠陥359は、第1の複数の欠陥358と比べてより広範囲および/または有効であることができ、その結果、イオン注入面356に沿って画定された脆弱化ゾーンは、第2の複数の領域372よりも第1の複数の領域370において相対的により弱くなる(より破断されやすい)。
【0070】
図6Bに示されるように、複数の凹部362が、オプションとして、例えば前に説明されたようなマスキングおよびエッチングプロセスを使用してドナー構造体350の第1の主表面354A中に形成されうる。イオンは、図2Aを参照して前に説明されたような方法で凹部362を通して第1の複数の領域370中に(図6Bに示されるように)注入されうる。他の実施形態では、第2のイオン注入プロセスの前に誘電体材料を凹部362内に供給することができ、イオンは、図3Bを参照して前に説明されたような方法で凹部362内の誘電体材料を通して注入されうる。前の実施形態に記されたように、第1の選択的で不均質なイオン注入プロセスおよび第2の不均質なイオン注入プロセスは、ドナー構造体350内の単一の注入面309に集められたイオンをもたらすことができる。言い換えれば、第1の選択的で不均質なイオン注入および第2の不均質なイオン注入は、ドナー構造体350に対して実質的に等しい深さに注入されうる。
【0071】
第2のイオン注入プロセスの後、さらなる処理が、図2Cから2Gを参照して本明細書で前に説明されたような方法を使用して材料の層360を受容構造体に転写するために実行されうる。
【0072】
本明細書で前に説明された方法のいずれにおいても、ドナー構造体は、オプションとして、意図されたイオン注入面に隣接してイオンを閉込めるのを支援するために、その中に少なくとも1つのイオン閉込め層を含むことができる。例えば、図7Aおよび7Bは、図6Aおよび6Bを参照して前に説明されたものと同様の方法を示すが、ドナー構造体はイオン閉込め層をさらに含む。当然、本明細書で説明される他の方法のいずれも図7Aおよび7Bを参照して以下で説明されるようなイオン閉込め層を含むドナー構造体を使用して同様に実行されうる。
【0073】
図7Aを参照すると、図6Aのものと実質的に同様である半導体オンインシュレータ(SeOI)タイプ基板を含み、ベース基板440と、半導体材料の層442と、ベース基板440および半導体材料の層442の間の誘電体材料の層444とを含むドナー構造体400が示される。ドナー構造体400は、半導体材料の層442が配置されるその側で誘電体材料の層444の上に配置されたイオン閉込め層446をさらに含む。言い換えれば、イオン閉込め層446は半導体材料の層442内に埋めることができるか、またはそれは半導体材料の層442と誘電体材料の層444との間に配置することができる。
【0074】
イオン閉込め層446は、例えば、イオン注入面406に沿って概して脆弱化されたゾーンを形成するのに使用されるイオン注入プロセスの前に、例えば、ホウ素、炭素、または他の元素でドープされた半導体材料の層442の一部分を含むことができる。ドーパント元素が存在することにより、イオン閉込め層446は注入プロセスの間イオンの貫通を比較的少なくすることができる。他の実施形態では、イオン閉込め層446は、半導体材料の層442のものと異なり、半導体材料の層442と比較して注入されるべきイオンの貫通を比較的少なくする材料(ドープされたまたはドープされてない)を含むことができる。
【0075】
図7Aは、第1のイオン注入プロセスにおいてドナー構造体400中にイオン注入面406に沿って注入される複数のイオンを示す。イオンはドナー構造体400中に不均質に注入することができ、その結果、第1の複数の欠陥408が、第1の複数の領域420(非能動領域を含むことがある)中にイオンを注入することなしに第2の複数の領域422(能動領域を含むことがある)に形成される。図7Aに示されていないが、イオンは、本明細書で前に説明されたように、パターン化マスクの開口を通してドナー構造体400内の第2の複数の領域422中に注入されうる。
【0076】
図7Bを参照すると、第1の選択的に不均質なイオン注入プロセスの後、第2の選択的に不均質なイオン注入プロセスを使用して、第2の複数の領域422を通して追加のイオンを注入することなしに第1の複数の領域420を通して追加のイオンを注入することができる。イオンは、本明細書で前に説明されたように、パターン化マスク416の開口418を通してドナー構造体400中に注入されうる。第2のイオン注入プロセスのイオンは、第1のイオン注入プロセスのイオンと比べて同じ元素組成または異なる元素組成とすることができる。その結果、追加の欠陥409が、第2の複数の領域422にそのような追加の欠陥を形成することなしに第1の複数の領域420のイオン注入面406に沿って形成される。第2の複数の欠陥409は、第1の複数の欠陥408と比べてより広範囲および/または有効であることができ、その結果、イオン注入面406に沿って画定された脆弱化ゾーンは、第2の複数の領域422よりも第1の複数の領域420において相対的により弱くなる(より破断されやすい)。
【0077】
図7Bに示されるように、複数の凹部412が、オプションとして、例えば前に説明されたようなマスキングおよびエッチングプロセスを使用してドナー構造体400の第1の主表面404A中に形成されうる。イオンは、図2Aを参照して前に説明されたような方法で凹部412を通して第1の複数の領域420中に(図7Bに示されるように)注入されうる。他の実施形態では、第2のイオン注入プロセスの前に誘電体材料を凹部412内に供給することができ、イオンは、図3Bを参照して前に説明されたような方法で凹部412内の誘電体材料を通して注入されうる。前の実施形態に記されたように、第1の選択的で不均質なイオン注入プロセスおよび第2の不均質なイオン注入プロセスは、ドナー構造体400内の単一の注入面406に集められたイオンをもたらすことができる。言い換えれば、第1の選択的で不均質なイオン注入および第2の不均質なイオン注入は、ドナー構造体400に対して実質的に等しい深さに注入されうる。
【0078】
第2のイオン注入プロセスの後、さらなる処理が、図2Cから2Gを参照して本明細書で前に説明されたような方法を使用して材料の層410を受容構造体に転写するために実行されうる。
【0079】
イオンが凹部を通してドナー構造体中に注入される本明細書で説明される方法のいずれにおいても、誘電体側壁スペーサが、オプションとして、凹部と横方向に近接するドナー構造体の領域中にイオンが入らないようにするために、凹部を通してドナー構造体中にイオンを注入する前にドナー構造体の凹部内に設けられうる。そのような方法の例示の実施形態が図8Aから8Eを参照して以下で説明される。
【0080】
図8Aを参照すると、ドナー構造体500が示され、ドナー構造体500は図2Aのドナー構造体150と同様であり、パターン化マスク568の開口566を通してドナー構造体500のバルク材料552中に形成された複数の凹部564を含む。パターン化マスク568は、例えば、窒化ケイ素(Si)などの窒化物材料の層を含むことができる。バルク材料552は、第1の主表面554Aと、反対の第2の主表面554Bとを有することができる。凹部564は、図8Aに示されるように、第1の主表面554中に形成されうる。
【0081】
図8Bを参照すると、凹部564を形成した後、材料の1または複数の共形層が、凹部564内の露出された横方向側壁表面および底部表面上を含めて、マスク568と、バルク材料552の第1の主表面554Aとの上に堆積されうる。材料の1または複数の共形層は、例えば、誘電体材料の1または複数の層を含むことができる。例えば、第1の共形層569Aは、マスク568上と、凹部564内のバルク材料552の露出された表面上とに堆積させることができ、第2の共形層569Bは、図8Bに示されるように、第1の共形層569A上に堆積させることができる。第2の共形層569Bは、以下で説明されるように、第1の共形層569Aをエッチングすることなしに第2の共形層569Bを選択的にエッチングすることができるように第1の共形層569Aのものと異なる材料組成を有することができる。非限定の例として、第1の共形層569Aは、例えば、酸化ケイ素(SiO)などの酸化物材料を含むことができ、第2の共形層569Bは、例えば、窒化ケイ素(Si)などの窒化物材料を含むことができる。
【0082】
図8Cに示されるように、異方性エッチングプロセスを使用して、窒化物を含むことができる第2の共形層569Bをエッチングすることができ、その結果、第2の共形層569Bの垂直方向に延びる領域を実質的に除去することなく第2の共形層569Bの横方向に延びる領域は除去される。したがって、図8Cに示されるように、凹部564内の横方向の側壁上に配置された第2の共形層569Bの領域のみが残り、第1の共形層569Aは、凹部564内の底面で、およびドナー構造体550の主表面554Aの上で露出される。限定ではなく例として、ドライプラズマエッチングプロセス(例えば、反応性イオンエッチング(RIE)プロセス)を使用して、第2の共形層569Bを異方性的にエッチングすることができる。
【0083】
第2の共形層569Bを異方性的にエッチングした後、別のエッチングプロセスを使用して、凹部564内の底部表面で露出されている第1の共形層569A(酸化物を含むことができる)の部分を除去することができる。例えば、湿式化学的エッチングプロセスを使用して、第1の共形層569Aの露出された領域をエッチングし、図8Dに示される構造体をもたらすことができる。エッチングプロセスは、さらに、ドナー構造体550の第1の主表面554Aの上に重なる第1の共形層569Aの領域を除去することができる。図8Dに示されるように、バルク材料552は凹部564の底部で露出される。露出させる際、バルク材料552は凹部564の底部で露出され、スペーサ構造体574は、図8Dに示されるように、凹部564内の横方向の側壁にとどまることができる。これらのスペーサ構造体574は、1または複数の共形層569A、569Bの部分を含むことができる。
【0084】
したがって、凹部564の底部でバルク材料552を露出させた後、複数のイオンが、ドナー構造体550中にイオン注入面556に沿って注入されうる。イオンはドナー構造体550中に不均質に注入することができ、その結果、欠陥が、第2の複数の領域572(能動領域を含むことがある)にイオンを注入することなしに第1の複数の領域570(非能動領域を含むことがある)中に形成される。イオン注入プロセスの間、スペーサ構造体574は、さらに、転写されるべき材料の層560の能動領域572に凹部564内の側壁を通してイオンが入らないようにすることができる。図8Dに示されるようなイオン注入面556は単一の注入面を含むことができ、実質的に大多数のイオンはドナー構造体550内の単一の面に沿って位置づけられる。言い換えれば、注入されたイオンの実質的な大多数は、ドナー構造体550内の単一の深さに集められる。
【0085】
図8Eを参照すると、注入されたイオンは、第1の複数の領域570のイオン注入面556に沿った欠陥558の形成をもたらすことができる。イオン注入プロセスの後、1または複数の共形層569A、569B(例えば、スペーサ構造体574)の残っている部分およびマスク568(図8D)を、例えば、エッチングプロセスおよび化学機械研磨(CMP)プロセスのうちの1または複数を使用してドナー構造体550から除去して、図8Eに示される構造体を形成することができる。図8Eに示される構造体は図2Bのものと概して同様であり、図2C〜2Gを参照して本明細書で前に説明されたようにさらに処理されうる。図8Dのスペーサ構造体574のようなスペーサ構造体は、さらに、図3Aおよび3B、4Aおよび4B、5Aおよび5B、6Aおよび6B、および7Aおよび7Bを参照して本明細書で説明された方法のいずれでも形成され、使用されうる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E